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2005年度研究・教育・事業報告

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(1)

2005

年度研究・教育・事業報告

'

滋賀大学生涯学習教育研究センターでは、センターだより『大学と社会~

j

を発刊して、センターの活動報告を行ってきています。したがって、とこで

j

i は、滋賀大学生涯学習教育研究センターの主な活動について報告します。

1.研究

(1)滋賀県の公民館実態調査を実施 これからの社会は「生涯学習の時代」だといわれている。国も都道府県も市町村も、生涯学習の 施策の推進に努めており、また、民間の教育文化産業による生涯学習事業もますます盛んになって います。 こうした状況の中で今、地域の中心的な学習施設である「公民館J のあり方が問われています。 「公民館」は、「地域を基盤として住民が『集い~ w学び~ wつながる』ことにより、教養・文化・ス ポーツなどの活動をとおして住民の自治能力を高め、地域づくりに寄与するJ総合的な社会教育施 設であり、他の国にはみられないわが国独自の施設です。 文部科学省は、 1959年に公示された「公民館の設置及び運営に関する基準Jの見直し作業を進 めてきましたが、 2003年6月6日に新しい「公民館の設置及び運営に関する基準」を告示しまし た。新しい「設置及び運営に関する基準Jでは、面積、設備、開館時間などの要件が撤廃され、地 域の実情に合わせた公民館運営を促しています。また新たに、家庭教育への支援の充実、ボランテ ィアの養成のための研修会の開催、さらにはNPO法人などと共同して、講座の開設、講習会の開 催に努めることなどの規定が追加されました。 こうした動向に対して、滋賀県の公民館は現在どの程度対応しているのか。生涯学習教育研究セ ンターでは2005年度10月に、滋賀県社会教育委員会議と共同で「滋賀県の公民館に関する調査J を実施しました。以下では、その結果の一部を紹介します。なお、調査結果の全体は後日報告する 予定です。 1 .家庭教育・子育て支援を目的とした 事業の実施状況(図1) (39.0%) 実施しなかった 実纏した (61.0%) 69-2.ボランティア養成講座の実施状況 (図 2)

(2)

図1 家庭教育・子育て支援を目的とした事業 「家庭教育・子育て支援を目的とした事業」 は61.

0%

の公民館で実施していることが明らか となりました。 具体的には「子育て講座・講演会」の実施の ほか、「親子プレイステーション事業や「子育 てサロン」等が実施されています。 図2 ボランティア養成講座 「ボランティア養成講座J を実施した公民 館は、

5

.

8

%

にとどまっています。講座の内容 としては、「公民館事業にボランティアとして かかわってもらうための講座J

r

子育てサボー ター養成講座J

r

ボランティアガイド養成講座」 等が実施されています。 ( 2 )滋賀県・日野町との共同研究一人権学習に関する意識調査 滋賀県・日野町では、『第四次日野町総合計画~

(

2

0

0

1

4

月策定)で、「学校・家庭・地域社会 などあらゆる場を通じて人権意識の高揚に努め(ること)Jを掲げています。これをふまえて、セ ンターでは地域における人権学習に関わる基礎的資料をえることを目的に、

2005

1

月に日野町 と共同で「人権学習に関する意識調査」を実施しました。 たとえば、関心ある人権問題・社会問題では、①高齢者問題

(

6

2

.

2

%)、②環境・公害問題

(

3

8

.

5

%

)

、③障害者問題

(

3

3

.

4

%

)

、④平和問題

(

2

3

.

3

%

)

、⑤男女平等問題

(

2

0

.

9

%

)

となりまし た。「高齢者問題Jは、

2

0

歳代

(

3

8

.

7

%

)

、3

0

歳代

(

3

5

.

8

%

)

、40歳代

(

5

0

.

6

%

)

、5

0

歳代

(

7

2

.

1

%)、

6

0

歳代

(

7

1.

1

%)、

7

0

歳以上

(

7

7

.

0

%

)

と、

40

歳代ですでに

50%

を超えているのが特徴的です。 この調査は、この間政府関係機関が進めてきた人権教育・啓発施策の問題点(以下の三点)を検 討することもねらいとしました。

l

.

r

同和問題は人権問題の重要な柱j と称して、人権学習の中でも特に同和問題を重視する構 図がつくられてきたが、重視すべき人権問題は住民自身の「生活課題」の中にこそあるのでは ないか。 2.

r

人権意識J の高揚における教育・啓発の役割が特に重視されてきたが、住民の意識変革に とって教育・啓発は一つの条件にすぎないのではないか。 3.行政が設定した学習場面への参加が重視されてきたが、「人権意識」の高揚のためには、住 民自身の自主的な学習機会の創造が基本になるのではないか。 なお、報告書は、日野町教育委員会・滋賀大学生涯学習教育研究センター『人権学習に関する意 識調査報告書~

(

2

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0

5

年11月)として刊行しました。

I

I

.

教育一社会教育主事講習会の実施

文部科学省の委託事業として、

2005

年度に社会教育主事講習を実施しました。社会教育主事講 習は、社会教育法及び社会教育主事講習等規程にもとづき、社会教育主事としての職務に必要な専 門的知識や技術を獲得させることを目的とし、四つの講習科目(生涯学習概論、社会教育計画、社 会教育演習、社会教育特講)によって運営されるものです。

2005

年度の日程は、次の通りでした。

7

月2

1

日(木)開講式・オリエンテーション

7

月2

2

日(金) "-' 8月

1日(月)

講義・演習(但し、

7

月24日、

3

0

日、

3

1

日は休み) 8月 2日(火) "-' 8月 5 日(金)

8

8

日(月) "-' 8月2

5

日(木) 合宿研修 講義・演習(但し、

8

月1

3

日"-'

1

6

日、

2

0

日、

2

1

日は休み) ハ U 司 t

(3)

8月26日(金)特別講義・閉講式 この日程の中で、受講生が最も時間と智恵と体力を費やしたのが合宿研修 (8月 2日'"'-'8月 5日) です。すでに、合宿研修の記録(研究集録)は作成されていますが、ここでは、受講生によって書 かれた研究集録の「編集後記」の一部を紹介します。今回の社会教育主事講習の雰囲気をよく伝え ています。 「クールビズだからネクタイはいらないかな?でも、開講式だから、きちんとしていかないとい けないかもりなど社会や教育の「不易流行Jを敏感に感じながら私たちは平成17年度社会教育主 事講習に集まってきました。 その顔ぶれは、行政職員、教師など近畿l府3県からの49名でした。滋賀大学教育学部大会議室 に集まった49名は、ほとんどが交わす言葉も少なげな中(仲のよい人もいましたが)、 1ヶ月を越 える長い期間職場を離れ、ともに学ぶ仲間になりました。 7月26日の開講式、主任講師である住岡先生が「社会教育こそ、出会いの中でおこなわれる」と 出会いの大切さを語られるところから講習がはじまりました。重みのあるこの言葉とは裏腹に

r

1 ヶ月を越える長い間、無事終了できるかなあ ?J そんな不安でいっぱいでした(でも、先生のこの 言葉が49名の仲間意識を強いものにし、この仲間とやっていくことに喜びゃ大切さを感じるきっか けになったことは言うまでもありません)。さらには「まだまだ先は長いですよ。体を大事にしな がらですね。J という住岡先生から励ましの声をいただきながらのスタートとなりました。 交わす言葉も少なげだ、った仲間が「おはようござ、います」と日ごとにあいさつを交わす声も増え、 「喫煙コーナー仲間」や「昼ご飯仲間」など仲間の和が深まってきました。名札に自己紹介のコメ ントを書き入れる工夫や体を動かしてのレクリエーションの講義(ベスト 9やキンボールなど)も 仲間づくりを加速させました。 そしてむかえた滋賀県青年会館での3泊4日の 合宿。同じ時間を共有し、夜遅くまで精力をつい! 合宿研修は、次の

5

つのテーマにわかれ t やした毎日。その中で、「立ち止まって人々が語│て学習プログラムの作成を行いました。 1.男女共同参画社会の実現 り合うことの大切さJ

r

プロセスの大切さJ

r

人の 思いを受け止め、その上で自分なりの思いも発信 することの大切さ」などたくさんのことを学びま した。と同時にもう一つ大きく学んだことは、 49 名みんなの個性豊かな表現力でした。合宿が終わ 2.健康の維持・増進 3.環境問題への挑戦

4

.

家庭・地域の教育力の活性化① るとこのメンバーとの出会いが、大切な宝物にな

5

.

家庭・地域の教育力の活性化② ってきました。 「早く終わってほしいな。Jそんな思いも持ちながら始まった講習でしたが、お盆を過ぎて、最 終週をむかえる頃には何とも言えない寂しさがわいてきました。住岡先生の「お互いの幸せのため にJ

r

みなさんまだ元気そうですね、おかしいなあ」の声や梅田先生の優しい眼差し、神部先生の 「はい、いいですか」の声など思い出がふと脳裏をよぎるようになってきました。 8月26日、 1ヶ 月を越える長い講習を終え、 49名それぞれが少しの寂しさとともに「やりとげたJ という満足感い っぱいで閉講式を迎えることができました。 (以下略) ーi 勺 t

(4)

なお、これまでは、京都教育大学・奈良教育大学・滋賀大学がローテーション

(

2

年間担当)を 組んで実施してきましたが、 2004年度より方式が変更され、今後は京都教育大学・奈良教育大 学 ・滋賀大学・和歌山大学がローテーション(1年間担当)を組んで実施する予定です(したがっ て、今後は 4年に一度の開催になります)。

I

I

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事業

( 1)

r

環境学習支援士」養成プログラムの実施 1. 1環境学習支援士」とは 「環境学習支援士」養成プログラムが、 2005年4月からスタートしました。「環境学習支援士J は、単に環境問題に関する専門的な知識を有する人材ではなく、学校や地域にあって、自ら先頭に 立ち、適切な指導・助言を行いながら、環境問題の解決に取り組むことができるリーダーです。 「環境学習支援士」養成プログラムは、「大学の授業の履修J 1実習J 1課題研究」の3つから構 成されています。これらの学習を、学習の開始から

4

年以内に修了した受講生には、厳格な審査を 経た後に、滋賀大学より「環境学習支援士Jの資格が授与されます。 2.受講者の募集と決定 募集定員は、社会人・現職教員コース各5名、学生コース20名、計30名です。社会人・現職教 員コースの募集は、 2005年3月14日から25日まで行われました。その結果、社会人コースで26名、 現職教員で10名応募があり、抽選の結果、各5名の受講生が決定しました。 一方、学生コースについては、 2005年4月14日に受講説明会が開催され、 35名の学生が参加し ました。説明会では、「環境学習支援士」養成プログラムについての説明が行われた後に、参加者 全員に、 「あなたは『環境学習支援士』の資格をなぜ取得しようと思ったので、すか」という題目で レポートが課されました。そして、説明会終了後レポートの審査が行われ、その結果、 20名の受講 生が決定しました。 以下は、学生のレポートの一部です。「環境学習支援士J の資格取得に対する学生の動機の一端 を知ることができます。

0 1

環境」という広範なテーマを学ぶにあたって、私は「環境学習支援士」という資格が自分の 中の一つの指標になると思いました。もしとの資格を取ることができれば、本当に自分の学びたい ことを学んだという証明になるのではと考えました。(大学2回生)

O

環境教育先進県である、滋賀県の大学で、この資格を取得することができたら、地元の福井に帰 ったときに、施設や学校で子どもから老人までいろんな人とともに環境教育活動を進めていきたい です。地元を環境先進県に近づけていきたいと考えています。(大学3回生) 申し込み状況(人数)

¥ ¥ ¥

男 女 学 生 大学院 男 女 1回 2回 3回 4回 1年 2年 学生コース 7 28 11 17 1 5 1

¥ ¥ ¥

男 女 年 代 男 女 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 社会人コース 23 3

1 l 1 6 13 4 現職教員コース 8 2

。。

2 7 1

。。

円 L 勺 , .

(5)

3.資格取得にむけて 現在、この

30

名の受講生は、「環境学習支援土」の資格の取得を目指して学習を続けています。 早ければ、

2006

年度にも、第

1

号の「環境学習支援士Jが誕生することになります。

(

2

)

r

淡海生涯カレッジ」大津校・草津校のとりくみ 1.大津校・草津校の受講状況

2005

年度の大津校・草津校の受講状況は、次の表の通りでした。 大津校は、受講者は

53

名で、そのう ち修了者は

44

名(修了率

8

3

.

0

%)でし た。草津校は、受講者は

32

名で、その うち修了者は

25

名(修了率

78.1%)

で した。両校とも、修了率は近年では高い 方でした。 コース 受講者 修了者 修了率 大津校 平日コース

3

0

2

7

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0

.

0

土曜コース

23

1

7

7

3

.

9

i口L

5

3

44

8

3

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0

草津校

3

2

2

5

7

8

.

1

2.

r

淡海生涯カレッジ」研究発表会

2006

1

1

4

日(土)、「淡海生涯カレッジJの研究発表会がありました。この発表会は、

1

0

月 8日より滋賀大学で行われてきた「理論学習講座」の一環であり、受講生がいくつかの研究グルー プに分かれて自分たちなりに環境問題に関する研究を行った成果を発表しあい、評価しあう会です。 例年、「淡海生涯カレッジ」の最後を飾るにふさわしい質の高い研究発表がなされてきました。 今年は、 8グループの発表がありました。各グループの発表テーマは以下のとおりです。

0

いかにゴミを減らすか

0

琵琶湖にはどんな水鳥が住んでいるのだろうーその生活スタイルと環境を調べる-O

自然環境から学びに生かすCOD

0

地元河川の水質を改善・琵琶湖の水をきれいに

0

身近な自然環境"里山・植物の水質浄化作用"を学ぶ

O

里山保全について考える

0

風土と伝統を学びに生かすにはー琵琶湖と水と葦-O

リサイクルをどう進めるか その中で、例えば「琵琶湖にはどんな水鳥が住んでいるのだろう」は、湖北町野鳥センタ一周辺 の野鳥観察を中心にして、オオワシ、コハクチョウ、オオヒシクイの生活と環境を調べたものであ り、その発表内容は非常に興味深いものでした。その他にも、何カ所ものリサイクル工場を見学し たグループ、実際に里山保全活動に参加したグループ、自分たちで器具や試薬を購入してCODを 測定したグループ等、非常に意欲的な研究が目立ちました。 毎年、発表をしたグループのメンバーからは、「これで 自分たちの研究を終わらせるのはもったいない」、との声 がでてくることも少なくなく、これまでもカレッジ修了 後、自主学習グループを結成し、継続して研究をしてい るグループがいくつもあります。今年の受講生からも、 そうしたグループがいくつも生まれることを期待したい ものです。 内 ぺ U 門 i

(6)

(3)

r

淡海生涯カレッジ

J

10周年記念事業 1995年度に文部省の委嘱を受けて、滋賀県と滋賀大学が共同して開発した「淡海生涯カレッジJ は、大津市 (1996年度)、彦根市・長浜市 (1997年度)、八日市市(1998年度)、草津市 (2000年 度)で開校されてきましたが、 2005年度で10周年を迎えました。 この問、関係機関の努力となによりも受講生の学習意欲に支えられ、全国的にもユニークな学習 機会として貴重な成果を納めてきました。 10周年を迎えるに当たり、この成果を確認し、さらなる 発展をはかる趣旨で次のような10周年記念事業を計画しました。 1.

r

淡海生涯カレッジJ10周年の成果を冊子にまとめる。 2.記念講演会を開催する。 3.記念レセプションを開催する。 1.

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淡海生涯カレッジJ10周年記念誌の発刊 記念誌は、淡海生涯カレッジ10周年記念事業実行委員会・滋賀大学生涯学習教育研究センター 『淡海生涯カレッジの挑戦一学びと生かしの創造、 10年の軌跡~ (A4版)として、 2006年1月に 発刊しました。目次は、次のようになっています。 はじめに 第1章 淡 海 生 涯 カ レ ッ ジ の 創 造 第1節 淡海生涯カレッジの誕生と理念 第2節 淡海生涯カレッジの出発 (1)問題発見講座と逢坂公民館

(

2

)実験実習講座の出発当時の思い出 (3 )教育機関を結んで一教育行政の立場から 第2章 淡 海 生 涯 カ レ ッ ジ の 実 践 第1節 地域での淡海生涯カレッジ (1)学びを生かす淡海生涯カレッジの実践(大津校) (2 )健康を考えられる地域社会(彦根校)

(

3

)

バイオから地球環境まで(長浜校) (4) 環境文化の創造(草津校) (5 )地域学のすすめを掲げて挑戦した八日市校 第2節 地域の実践を繋ぎ・支える(滋賀県の役割) 第3章 淡 海 生 涯 カ レ ッ ジ の 評 価 第

4

章 生かされる淡海生涯カレッジの学び 第1節 広がる学びの成果一滋賀県の修了生調査から 第2節 学びを生かす実践一修了生のその後 終 章 新 た な 学 び の 機 会 一「環境学習支援士J養成プログラムー 住 岡 英 毅 住 岡 英 毅 藤井真千子 宮 嶋 克 幸 三田村治夫 山口 剛 安 居 勉 長浜校実行委員会 山 岡 道 子 織 田 直 文 三 木 忠 行 神 部 純 一 三 木 忠 行 修 了 生 梅田 修 資 料 1.淡海生涯カレッジ・ 10年の記録 2.受講希望者数と修了状況 3.淡海生涯カレッジ関連の論文・報告書 4 A 司 i

(7)

2.記念講演会の開催 滋賀大学での理論学習講座(大津校・草津校)の最終講義としても位置づけて、次のような記念 講演会を実施しました。修了生や現受講生をふくめて、約200人が参加しました。 !ア. 日時 2006年1月28日(土)午後1時'"'-'3時 ;イ.講演 宮本憲一(前・滋賀大学長)

r

環境再生の課題J ここでは、宮本先生の講演内容を伝える意味で、講義資料をそのまま掲載します。 環境再生の課題一環境政策と地域開発の歴史的転換一 2006.1.28 宮 本 憲 一 1.環境再生は世界の潮流 20世紀は戦争と環境破壊の歴史であったといってよい。 21世紀もいまなおそれがつづいてい る。しかし市民は環境破壊をとめるとともに、健康で安全な地域、多様な生態系が回復・保全さ れ、美しい景観や歴史的遺産を維持・保全するような環境の保全と再生を求めて動き始めている。 環境再生の運動は世界的に広がっている。 1985年にイタリアで世界最初の景観保全法が施行さ れ、海・湖沼・河川の岸 300メートル以内の開発禁止や山岳の1200メートル以上の地域の開発 制限がされた。またアメリカのカリフォルニ ア州では開発すれば同規模の海岸の再生が義

淡海生涯カレッジ

1

0

周年記念集会

務づけられている。日本では市民運動によっ て水辺環境を守る運動がすすめられていたが、 2004年ようやく景観法ができた。しかし洪水 防止を目的に掲げてダムがつくられ、都市再 生の名の下に依然として埋めたてがすすめら れ、景観破壊があとをたたない。この講演で は欧米や日本の環境再生についての先例をあ げ、そこから教訓を学びたい。 2.欧米の先進例 (1)自然再生ーとくにパルコ一自然と生産・生活の共生 第 lの例は1988年イタリアのポーデルタ・パルコの設立。ポ一川流域の干拓地6万ヘクター ル の 一 部 を 湿 地 に も ど し 、 地 域 再 生 を す る 。 こ の 南 の 地 域 に は コ ン ビ ナ ー ト 公 害 の 町 と し て 1960年代に有名だ、ったラベンナ市が干拓地の復元、芸術と工芸の街としての再生をすすめ成功 している。北の地域はイタリアの穀倉地帯であったが、農薬と化学肥料によって環境が汚染され たために土壌汚染だけでなく河川・海の汚染が進んだために、自然復元とエコツーリズムの導入 でパルコ計画を進めている。 第2の例はミラノの森である。これは荒廃して放棄されていた35ヘクタールの農地をイタリア ノストラがかりうけ、ここに植林をして、子供たちを含む市民の環境教育の場とした。 一部は市 民の農園となっている。この森の育成は成功し、野生動物もかえってきている。現在では 500ヘ クタールまでこの市民の森はひろがっている。これは市民組織による自然再生だが、市当局も北 R U 月 i

(8)

と南に壮大なパルコをつくっている。これは日本とことなり市民生活と自然・歴史的景観が共存 するような壮大な公園である。 (2 )都市再生

1

9

8

5

EU

は、『ヨーロッパ地方自治憲章』を発表した。これは内政の権限と財源を市町村に 移譲し、それを州・県が補完するという地方自治の画期的前進を行った。これに基づいて、

1

9

9

0

年代には都市再生の目標として

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Program

がつくられた。これは足元か ら完全循環社会を創る雄大な試みである。それは4つの原則からなっている。 (A)都市の自然資源を保全再生し、自然エネルギーの利用、リサイクリングによって完全循環 都市をつくる。 (B)環境基準を強化し、環境税や補助金を使い環境産業を発展させる。 ( C) 自動車交通を抑制し、公共交通体系を整備して維持可能な交通体系をつくり、職住近接に よって交通を節約する。 (D)都市はコンパクトにして郊外化を抑制し、農地や森林を保全し、都市と農村の共存を図る。 すでに

1

9

7

0

年代から歴史的景観と現代市民生活を共存させ、衰退しいていた都心を再生させ、 職人産業を中心に世界的に有名になったイタリアのボローニア市。 軍事基地の解放を機会にエコ・シティをつくったフライブルグ市。 ライト・トレインによる市電の復活と都心再生に成功したポートランド市やストラスブルグ 市。 イギリスのグランド・トラストによる鉱山や古い工業都市マンチェスターやリバプールなどの 再生のための事業や環境教育。 韓国のソウルでは高速道路を撤去してもとの清渓川(チョンゲチョン)に復元した。 3. 日本の水辺環境再生の運動 日本の自然再生運動は、里山の回復や水辺環境の回復としておこなわれている。最も早くから始 まったのは中之島の水辺環境の保全である。そのきっかけは中之島の

4

つの建物(日銀、市役所、 図書館、公会堂)の保存運動から始まった。市民の参加をもとめ、 30年以上にわたる手作りの中之 島祭りや大阪都市環境会議(大阪をあんじようする会)などの市民運動の成果として今日のように 中之島の景観はまもられた。 この過程で水都・水郷の再生の運動が始まった。最も激しい政治的争いになったのは小樽運河で ある。 12年の市民の運動の成果として、運河の半分はのこり、いまではこの周辺の石造りの倉庫群 が観光の名所になり、小樽の衰退をとめている。 同じ時期に福岡県柳川市の掘割の保全が市民の協力で成功した。当時市は掘割を埋めて下水道を 引く計画であったが、担当者の広松伝さんが埋め立てに疑問を持ち、補助金を返上して市民の協力 をえて、どぶ川を浄化して水郷の保全に成功した。これは高畑=宮崎のコンビによる映画で国際的 にも有名になったが、観光の名所として都市の再生にもなった。 2つの例は景観保全から始まっているが、水質の保全を中心にした運動で、最も成果を挙げたの が、琵琶湖の運動である。中性洗剤使用禁止 石鹸運動、富栄養化規制条例から始まり、ついに湖 沼法を政府に作らせ、さらに国際的に湖沼の保全のための研究や提案をする会議をつくった。併し 琵琶湖の浄化のためには、内湖再生・森林などの自然環境再生、ダムなどの公共工事の見直し、景 観・自然保全の都市づくりが必要である。 ハ h u 勺 t

(9)

成功例がでてきてはいるが多くの都市ではこれまで緑や水辺の保全に失敗している。 それは日本の公共事業が環境の保全を無視して進められたためである。中海・宍道湖の干拓の中止 はその意味で大きく、今後ダムの建設中止も進むであろう。

4

.

環境再生へ 大阪の西淀川公害裁判の原告が、和解によって得た補償金の中から

1

5

億円を寄付して、環境再生 事業のためにあおぞら財団を作るなどの活動を始めた。この崇高な行為は社会的に影響を与え、そ の後公害裁判で勝利した原告が環境再生運動をはじめている。川崎、名古屋南部、尼崎、水島など である。いまのところ欧米にくらべて自治体の協力が十分でない。むしろ東京のように都市再生と いうのは環境破壊となっている。 滋賀県環境生活協同組合がはじめた「菜の花エコプロジェクトJは、完全循環社会を足元から創 る運動として注目される。琵琶湖流域の河川浄化、産業廃棄物処理場の浄化、都市や工場地域の無 原則な拡大の防止、観光開発政策の検討など環境先進県といわれる滋賀県には課題が多い。日本は 欧米にくらべて、環境再生の事業はまだまだこれからである。しかし、足元から維持可能な社会

(

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)

を作っていく市民の挑戦に地球の未来をみたいのである。

0

参考文献 永井進ほか編『環境再生~ (有斐閣) 藤井絢子『菜の花エコ革命~ (創森社) 宮本憲一 『都市政策の思想と現実~ (有斐閣) 宮本憲一『環境経済学~ (岩波書店) 宮本憲一『都市をどう生きるのか~ (小学館ライブラリー)

3

.

記念レセプション 記念レセプションは、会場を生協食堂に移して行われました。県下から、修了生・現受講生をふ くめ、約

1

0

0

名の参加がありました。参加者からは、淡海生涯カレッジ終了後の活動や環境問題に 対する現在の思いなどの発言があり、なごやかな雰囲気の中で貴重な交流ができたと思います。 (4)フォーラム「生涯学習の現代的課題」の開催 毎年、滋賀県生涯学習推進本部・滋賀県教育委員会・滋賀大学生涯学習教育研究センターが共催 で開催していますが、今年度は次の要領で実施しました。行政職員を中心に、約

200

名ほどの参加 があり、スポーツを通した地域づくりの意義と見通しについて活発に議論されました。なお、報告 書は 3月に発刊します。

1

.

日時・場所

2005

1

1

24

日(木)

10: 3

0

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1

6

:

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0

/

滋賀県庁新館

7

階大会議室

2

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テーマ「今、スポーツからまちづくりがみえてきた」 近年、都市化、利便化などによる生活環境の変化にともない、県民の身体的活動の機会が減少 し、体力低下や精神的ストレスの増大といった健康への影響が生じています。また、少子高齢化、 核家族化によって人間関係が希薄になり、地域コミュニティの弱体化が指摘されています。した がって、県民の健康を保持・増進していくためには、個々の好みや能力、目的にあった適切な運 動を定期的・継続的に日常の中で行う必要があります。また、このような運動を、身近な地域に

(10)

77-おいて、子どもから高齢者まで世代を越えてともに楽しむことにより、それがコミュニケーショ ンの場になり、地域教育力の再生(青少年の心と体に対する問題への対応、地域コミュニティの 再生、子どもの居場所づくり等)につながることが期待できます。 そこで、生涯にわたるスポーツ活動への参加の重要性と、スポーツを通じた人づくりやまちづ くりの推進について、先進的取組をもとに、『今、スポーツからまちづくりがみえてきた』をテ ーマに探ることにします。

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基調講演 「生涯スポーツ社会の実現と地域づくり一総合型地域スポーツクラブを通してJ 南木 恵一(富山県広域スポーツセンター専任指導者) 4.パネルデイスカッション コーディネーター 海老島 均(びわこ成践スポーツ大学助教授) パネリスト 饗場善秀(虎姫町体育指導員) 小林忠道(ジョイスポ・はたしよう) 山形範子(湖南スポレク Jrクラブ) ここでは、南木先生の講演内容を伝える意味で、講義資料をそのまま掲載します。 生涯スポーツ社会の実現と地域づくり一総合型地場スポーツクラブを通して 南木 恵一(富山県広域スポーツセンター専任指導者) 1.生涯スポーツ社会とは

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国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでもスポ ーツ活動を行うことができる社会J (文部科学省スポーツ振興計画より)

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県民のそれぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、だれもが、いつでも、どこでも、 いつまでも生涯を通じてスポーツを楽しめる環境づくりを目指しますJ (滋賀のスポーツデザイ

2010より) これまで我が国では「学校体育」に対する「社会体育」概念や「競技スポーツ以外のスポーツJ という狭い意味での「生涯スポーツ」概念としての理解が為されていたのではないだろうか。 生涯スポーツ社会の実現とは、競技スポーツも含めた、一生涯スポーツができる社会環境を創る ことではないでしょうか。 2.総合型地域スポーツクラブとは わが国のスポーツ環境の充実を図るための有力な方策として打ち出されたのが、総合型地域スポ ーツクラブ。 この総合型地域スポーツクラブ構想のモデルとなったのが、 1994年5月にスポーツ議員連盟プ ロジェクトチームから発表された「スポーツ振興政策(スポーツの構造改革一生活に潤い、メダル に挑戦)J です。その後、 2000年9月に策定された「スポーツ振興基本計画J の具体的施策として 「総合型地域スポーツクラブの全国展開」が挙げられている。 この総合型地域スポーツクラブは欧州のクラブをモデルとして、幅広い世代が多様なスポーツを 楽しみ、交流を深めるのが特徴。

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-78-3.総合型地域スポーツクラブが地域に果たす役割

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スポーツあふれる街づくり 総合型地域スポーツクラブの最大の売りは、その母体となる団体の活性化はもとより、これま でスポーツをする機会の逸してきた地域住民をいかに発掘し、取り込めるかとい う点にある

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組織変革の必要性 これまでの学校や企業への依存体質、既存の団体や組織の閉鎖性、画一的なスポーツ 振興策 を見直し、地域を舞台にスポーツの自立したシステムを創り出す、その具現化し たものが総合 型地域スポーツクラブであり、時代の要請と考えてもいいだろう。

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公共的課題の解決に取り組むスポーツ ①現代社会に見られる問題点 ②日本のスポーツ環境の問題点 ③学校運動部活動に見られる問題点 これら問題点・課題を解決する一方策として、総合型地域スポーツクラブの果たす役割は大き しし .スポーツで子供を元気に! ・スポーツで高齢者を元気に 1 .スポーツで学校を元気に! .スポーツで地域を元気に! 4.地域にとって無くてはならない存在 2005年3月現在、全国に1882の総合型地域スポーツクラブが設立、または育成中とカウントさ れている。また、 2004年度より(財)日本体育協会が文部科学省の委託事業として毎年、約 200クラ ブを育成指定し、新たなクラブ育成にその力を発揮している。 この広がりは更に拡大するであろう。設立され、活動している全国のクラブは以下に示すポイン トを押さえ、地域にとって無くてはならない存在へと成長していただきたい。 ①継続性:スポーツは人生の伴走者/②公益性:クラブは地域の共有財産/③自立性:受益者負 担の原則/④多世代:スポーツ文化の継承/⑤自主運営:住民主体の運営/⑥一貫指導/⑦窓口の 一本化/⑧クラブハウス/⑨パートナーシップ/⑩法人格の取得 (黒須. 2005年) 5.今、スポーツからまちづくりがみえてきた 総合型地域スポーツクラブ育成をはじめとした、日本のスポーツは新たなステージへと歩みを進 めています。このことは、ただ単にスポーツ人口の拡大を図るだけではなく、社会教育の基盤とな り、健康づくり、生きがいづくり、そして地域づくり、まちづくりへとその広がりに期待したいと 願っています。 その未来への夢の実現に向けて、まずは第一歩を踏み出だしてみませんか。

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-79-(5 )公開講座・公開授業 2005年度は、滋賀大学公開講座部会と連携しながら、次のような公開講座・公開授業を実施し てきました。 2005年度滋賀大学公開講座一覧(受講生がなかった講座は省いています) No.

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著 座 名 開 言受 日 回数 募 集 受講者 1 私たちの暮らしと「お金」を考える 5.14"'-' 6 .25 6 100 35 2 現代社会とストレス解消 5 .21"'-' 7 .16 5 50 32 3 名筆に学ぶ一鑑賞と実習 5 .21"'-' 6 .18 4 20 15 4 ネット社会の歩き方 9.18"'-'10.2 2 30

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5 「美術」という名の驚き 10.1 "'-'10. 8 2 20 5 6 軽度発達障害の教育、心理、医療 10.8 "'-'10.29 4 100 24 とその支援 7 現代の家族を考える 11.12"'-'12.10 5 30 12 8 彦根の伝統工芸を訪ねて 2 .4"'-' 2 .25 4 15 10 2005年度滋賀大学公開授業一覧(受講生がなかった講座は省いています) No. 手ヰ 目 名 時期 受講者 No. 科 目 名 時期 受講者 1 健康の科学 春 l 17 ランドスケープ論 春 l 2 福祉と教育(子ども論) 春 1 18 音楽史 春 1 3 情報学への招待 春 2 19 国文学史 I 春 2 4 経営学からの問い 春 2 20 中国語I 春 3 5 生活と企業 春 1 21 音楽理論 I 春 l 6 人間と社会 春 1 22 作・編曲法 I 春 1 7 国際化を考える 春 1 23 まちと住まい 秋 l 8 社会と会計 春 3 24 近江の文化 秋 5 9 自然科学への招待 春 l 25 現代の金融 秋 3 10 中等国語科教育法 春 l 26 数学的思考 秋 1

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絵 画 I 春 2 27 人間と心理 秋 3 12 栽 培 学 春 5 28 世界経済の現状 秋 2 13 教育の技術と方法A 春 1 29 現代社会をみる目 秋 2 14 湖沼環境学習論 春 5 30 琵琶湖学特論 秋 15 15 異文化研究 春 1 31 中国語E 秋 3 16 子どもの人権と教育実践 春 1 32 言葉(指導法) 秋 1

図 1 家庭教育・子育て支援を目的とした事業 「家庭教育・子育て支援を目的とした事業」 は 6 1 . 0% の公民館で実施していることが明らか となりました。 具体的には「子育て講座・講演会」の実施の ほか、「親子プレイステーション事業や「子育 てサロン」等が実施されています。 図 2 ボランティア養成講座 「ボランティア養成講座J を実施した公民館は、5.8%にとどまっています。講座の内容としては、「公民館事業にボランティアとしてかかわってもらうための講座Jr子育てサボーター養成講座Jrボランティアガイ

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