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経済学 第1回 2010年4月7日

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(1)

経済学

第11回 井上智弘

(2)

注意事項

 復習用に,講義で使ったスライドをホームページにアップし

ている.

(3)

前回の復習

 企業の生産量は投入量に依存し,投入量と生産量の関 係は,生産関数として表される.  投入量が固定される投入物のことを固定投入物と呼ぶ.  投入量を調整できる投入物のことを可変投入物と呼ぶ.  長期的にみれば,どんな投入物でも投入量を調整できる ため,固定投入物は短期の状況においてのみ存在する.

(4)

 固定投入物の数量を一定とすれば,可変投入物の投入量 と財・サービスの生産量の関係は,企業の生産関数となる. 労働投入量 L 米の生産量 Q 労働の 限界生産物 0 0 19 17 15 13 11 9 7 5 1 19 2 36 3 51 4 64 5 75 6 84 7 91 8 96 100 80 60 40 20 0 1 2 3 4 5 6 7 8 米の生産量Q 総生産曲線

(5)

前回の復習

 総生産曲線は全体として右上がりだが,投入物の投入量 が増えるほど,傾きは緩やかになっている. → 投入量を増やすと限界生産物は減少していく. » 限界生産物は,追加的に1単位投入物を増やしたときの生産量 の増加分.  一般に,他の投入物の投入量を一定にしておいて,ある 投入物を増やしていくと限界生産物が減少する場合,そ の投入物の収穫逓減があるという.

(6)

前回の復習

19 15 11 7 5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 労働の限界 生産物 限界生産物曲線 17 13 9 3 1

(7)

前回の復習

 経済学では,企業は財・サービスを生産し販売することで 得られる利潤を最大にしようとすると仮定する.  収入から総費用を引いたものが利潤となるため,投入物 の数量と生産量の関係(生産関数)を生産量と費用の関 係に変換する.

(8)

前回の復習

 固定投入物の費用は固定費用(FC)と呼ばれ,固定費用 は生産量に関係なく一定である.  可変投入物の費用は生産量に応じて変化する可変費用( VC)と呼ばれる.  固定費用と可変費用の合計が総費用(TC)となる. TC = FC + VC

(9)

前回の復習

点 労働投入量 L(人数) 米の生産量 Q(kg) 可変費用 VC(万円) 固定費用 FC(万円) 総費用 TC(万円) A 0 0 0 4 4 B 1 19 2 4 6 C 2 36 4 4 8 D 3 51 6 4 10 E 4 64 8 4 12 F 5 75 10 4 14 G 6 84 12 4 16 H 7 91 14 4 18 I 8 96 16 4 20

(10)

前回の復習

20 16 12 8 4 0 19 36 51 64 75 84 91 96 総費用 米の生産量 A B C D E F G H I 総費用曲線

(11)

前回の復習

 総費用と生産量の関係を,縦軸に総費用,横軸に米の生 産をとってグラフにしたものが総費用曲線である.  総費用曲線は右上がりになる. » 可変費用があるため,生産量が増えると総費用も増える.  総費用曲線の傾きは生産量が増えるにつれて急になる.

(12)

本日の内容

(13)

限界費用

 限界費用(MC)とは,追加的に1単位生産量を増やすとき の総費用の増加分のこと.  生産量を1単位ずつ増やしたときに総費用がどのように増 えていくかというデータがあれば,限界費用を測定できる.  自動車製造工場で,自動車を製造するのにかかる費用を 考える. » 機械(固定投入物)と労働力(可変投入物)を使って生産を行う とする.

(14)

限界費用

自動車の 台数(台) 固定費用 FC(千円) 可変費用 VC(千円) 総費用 TC(千円) 限界費用 MC(千円) 0 108 0 108 12 36 60 84 108 132 156 180 204 228 1 108 12 120 2 108 48 156 3 108 108 216 4 108 192 300 5 108 300 408 6 108 432 540 7 108 588 696 8 108 768 876 9 108 972 1,080 10 108 1,200 1,308

(15)

限界費用

 なぜ,総費用曲線は右に行くほど急になるのか? → 限界費用が右上がりだから.  なぜ,限界費用は右上がりなのか? → 投入物の収穫逓減のため. » 生産量が大きくなるほど,限界生産物は減少する. » つまり,生産量が大きくなるほど,もう1単位生産するために必要 な投入量は大きくなる. » したがって,可変投入物に対価を支払うため(可変費用),生産 量が大きくなるほど,もう1単位生産するためにかかる費用は増 加する.

(16)

限界費用

 可変投入物の限界生産物が生産量の拡大とともに減少

» 生産量が増大すると総生産曲線の傾きが緩やかになる.

 生産の限界費用が生産量の拡大とともに増加

(17)

平均費用

 平均費用(AC)とは,生産物1単位当たりの費用であり, という式で算出される.  平均費用は,これまで生産した生産物1単位につき生産 費用がいくらかかっているかを表すもの.  限界費用は,さらにもう1単位生産するのに生産費用がい くらかかるのかを表すもの.

Q

TC

生産量

総費用

AC

=

=

(18)

平均費用

自動車の台数 Q(台) 総費用 TC(千円) 平均費用 AC=TC/Q(千円) 1 120 120.0 2 156 78.0 3 216 72.0 4 300 75.0 5 408 81.6 6 540 90.0 7 696 99.4 8 876 109.5 9 1,080 120.0 10 1,308 130.8

(19)

平均費用

 生産量を増やしていくと,平均費用は,はじめのうちは低下 し,その後上昇していく. → 通常は,このU字型の平均費用曲線となる.  平均費用曲線がU字型になる理由を考えるために,平均 費用を平均固定費用(AFC)と平均可変費用(AVC)に分 割する. AVC AFC AC VC 可変費用 AVC Q FC 生産量 固定費用 AFC + =      = = = = 

(20)

平均費用

自動車の 台数 Q 総費用 TC 平均費用 AC=TC/Q 平均固定費用 AFC=FC/Q 平均可変費用 AVC=VC/Q 1 120 120.0 108.0 12.0 2 156 78.0 54.0 24.0 3 216 72.0 36.0 36.0 4 300 75.0 27.0 48.0 5 408 81.6 21.6 60.0 6 540 90.0 18.0 72.0 7 696 99.4 15.4 84.0 8 876 109.5 13.5 96.0 9 1,080 120.0 12.0 108.0 10 1,308 130.8 10.8 120.0

(21)

平均費用

 平均固定費用は生産量が増えると減少していく. » 固定費用は生産量にかかわらず一定であるため,生産量が多く なるほど生産物1単位あたりの固定費用である平均固定費用は 減少する. → 拡散効果  平均可変費用は生産量が増えると増加していく. » 可変投入物の収穫逓減があるので,生産量を増やすごとに,追 加的な1単位の生産にかかる費用は大きくなる.その結果,平均 可変費用は増加する. → 収穫逓減効果

(22)

 生産量が少ないとき,少し生産量を増やしただけでも平均 固定費用が大きく減少するため,拡散効果が大きい.  生産量が少ないときには,「拡散効果>収穫逓減効果」と なり,平均費用曲線を右下がりにする.  生産量が多いときには,平均固定費用はすでに小さな値 になっているので拡散効果は小さいが,一方で,収穫逓減 効果は生産量を増やすにつれて大きくなる.  生産量が多いときには,「拡散効果<収穫逓減効果」とな り,平均費用曲線を右上がりにする.

(23)

平均費用

 平均費用曲線は,拡散効果と収穫逓減効果がちょうど打

ち消しあうところ(最小費用生産量)で最も小さくなる,U字 型の曲線となる.

(24)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 100 150 200 250 50 自動車の費用 自動車の生産量 MC AC AVC AFC 最小費用生産量 M

(25)

平均費用

 限界費用曲線と平均可変費用曲線は右上がり. » ただし,平均可変費用曲線の方が傾きが緩やか. » もう1単位の追加生産にかかる費用は,それまでの追加1単位の 生産にかかってきた費用の平均よりも大きいため.  固定費用曲線は右下がり.  限界費用曲線は平均費用曲線を下から通過する(点M). » 点 M は平均費用が一番低い点になっている.

(26)

限界費用と平均費用

 平均費用が最小になる生産量を最小費用生産量という.  最小費用生産量では,限界費用曲線が平均費用曲線を 下から通過する.  最小費用生産量の点では,「限界費用=平均費用」.  最小費用生産量よりも少ない生産量のとき,「限界費用< 平均費用」であり,平均費用は減少していく.  最小平均生産量よりも多い生産量のとき,「限界費用> 平均費用」であり,平均費用は増加していく.

(27)

 例) 5科目の平均点と英語の点数  期末試験で,英・国・数・理・社のテストを受けた.  返ってきた4科目の結果は,英:80点,国:70点,数:60 点,理:70点だった.  したがって,4科目の平均点は70点. » (80+70+60+70)/4 = 280/4 = 70.  最後に返ってくる社会の結果が, » 80点(>4科目の平均) → 5科目の平均は72点(>70点). » 70点(=4科目の平均) → 5科目の平均は70点(=70点). » 60点(<4科目の平均) → 5科目の平均は68点(<70点).  つまり,もう1科目の点数がそれまでの平均よりも高ければ 平均は上がり,低ければ平均は下がる.

(28)

限界費用と平均費用

AC MC M AC>MC のとき,AC は 生産拡大とともに減少する. AC<MC のとき,AC は 生産拡大とともに増加する.

(29)

より現実的な費用曲線

 これまで投入物の収穫逓減から,限界費用曲線が右上が りになるとしてきた.  しかし,労働などの可変投入物をゼロから増やしていくと, 分業を行い,それぞれが1つの工程に特化できるようにな るため,はじめのうちは収穫逓増となる.  実際には,生産量が低い水準のときには限界費用曲線は 右下がりになっていて,生産量をある水準以上に増やすと 限界費用曲線は右上がりになると考えられる.

(30)

より現実的な費用曲線

 作業の特化は,はじめのうちは収穫逓増をもたらし,限界 費用曲線を右下がりにする.  そして,可変投入物の数量が作業の特化に十分なほど多 くなると,収穫逓減が働きはじめる.  したがって,限界費用曲線は,はじめのうちは右下がりとな るU字型をしている.  平均可変費用曲線も同じ理由でU字型となる.

(31)

より現実的な費用曲線

MC AC

AVC

(32)

より現実的な費用曲線

 ただし,これまで見てきた費用曲線の主要な特徴は変わ らない. » 平均費用曲線はU字型. » 平均費用が最小となる点で限界費用曲線が平均費用曲線を下 から通過する. » また,平均可変費用曲線についても,平均可変費用が最小とな る点で,限界費用曲線が下から通過する.

(33)

ここまでのまとめ

 限界費用はもう1単位追加的に生産することの費用.  平均費用は総費用をそれまでの生産量で割ったもので, 生産物1単位当たりの総費用.  平均費用曲線がU字型をしているのは,生産量の拡大とと もに低下していく平均固定費用と,生産量の拡大とともに 増大していく平均可変費用の影響である.  平均費用曲線のU字の底の生産量は最小費用生産量と 呼ばれる.

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