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は じ め に 2014 年 の 原 油 (ドバイ) 価 格 は 年 初 から1バレル105ドル 程 度 で 半 年 ほど 推 移 した 後 6 月 に 中 東 情 勢 の 緊 迫 化 で 一 時 110ドル 台 まで 上 昇 したものの その 後 は 欧 州 や 中 国 の 景 気 後 退 米 国

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は じ め に

2014年の原油(ドバイ)価格は、年初から1バレル105ドル 程度で半年ほど推移した後、6月に中東情勢の緊迫化で一時 110ドル台まで上昇したものの、その後は欧州や中国の景気 後退、米国のシェールオイル増産による供給増等により下がり 続け、11月末のOPEC総会において生産量維持の決定がされ ると下げ足を早め、年末には50ドル台前半と半年で半額以下 に下落しました。この結果、2014年のわが国の原油輸入価格 (CIF)の年平均価格は、約105ドル/バレルとなり、前年より約5 ドル下落したものの、約8円の円安となったことから円ベース では約69円/

と前年より約2円/ℓ高い価格となりました。 また、2014年の国内の石油需要については、燃費の改善が 進むなど構造的要因からガソリンをはじめとした主要油種の 減少傾向に加え、火力発電の燃料が石油から天然ガス・石炭 等にシフトし、電力向け重油の需要も減少、燃料油計でも前年 を下回りました。 4年前の東日本大震災を契機に、石油の重要性と自立・分散 型エネルギーとしての強みが再認識され、石油業界では製油 所から給油所までのサプライチェーンの災害対応力強化を順 次進めています。2014年4月に閣議決定された国の新しいエ ネルギー基本計画(第四次計画)でも、石油は「今後とも活用し ていく重要なエネルギー源」と位置付けられ、「災害時にはエ ネルギー供給の最後の砦」と評価されました。 石油の需要が年々減少していく中、石油各社は2014年3月 末にエネルギー供給構造高度化法に基づき原油処理能力の 削減を行いましたが、同年7月には新しい判断基準が提示さ れ、生産設備の更なる見直しが求められています。一方、需要 の減少は特に地方において給油所数の減少を招き「給油所過 疎地の問題」が顕在化しつつあることから、石油業界では国や 地方自治体と一体となって問題解決に取り組むこととしてい ます。 石油各社は、石油に限らず需要拡大が期待できる他の分 野を取り込むことにより、企業体質の強化を図り、石油の安 定供給というエネルギー供給者としての責務を全うするた め、「総合エネルギー産業化」を目指しています。そうした一 連の石油業界の取り組みは国の重点政策である産業競争力 強化や国土強靭化にも資するものと考えます。 このパンフレットはこうした石油産業の現状や取り組みにつ いて、消費者をはじめ関係の皆様に正しい理解をいただくた めに作成したものです。石油および石油産業に対する正しい 理解の一助となれば幸いです。 2015年4月 1

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C

O N T E N T S

はじめに 1〜 2 国際石油情勢 3〜 8 国内石油需給動向 9〜 14 わが国のエネルギー政策 15〜 20 石油備蓄と新たな緊急時対策 21〜 26 わが国の石油開発 27〜 28 規制改革と石油産業 29〜 34 石油製品の流通・販売 35〜 38 石油諸税の抜本的見直しに向けて 39〜 42 企業体質の改善・強化 43〜 44 二重、三重の安全対策 45〜 46 大規模な流出油事故に備えて 47〜 48 石油精製部門の環境対策 49〜 50 自動車燃料等の品質向上に向けて 51〜 52 地球温暖化問題と石油 53〜 58 バイオマス燃料への取り組み 59〜 62 石油の有効利用 63〜 66 技術開発に関する取り組み 67〜 70 災害時を含めた最終消費者までの 石油安定供給 71〜 72 石油関連日誌/製油所の所在地と 原油処理能力/石油産業の規模 73〜 74

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国際石油情勢

国際石油需給

IEA(国際エネルギー機関)が2014年12月に発表したレポートに よれば、14年の世界の石油需要は13年に比べ約0.7%増加し、 92.4百万バレル/日と前年の実績を上回る見込みです。これは、非 OECD諸国の石油需要が増加することによります。具体的には、中 国、その他のアジア地域、ラテンアメリカがそれぞれ20万バレル/ 日程度増加し、非OECD全体としては60万バレル/日の増加となる 見込みです。 これに対して14年の石油供給は、北アメリカが13年よりも160 万バレル/日の大幅増加となることなどから非OPEC諸国の供給が 14年よりも190万バレル/日増加すると見込まれています。 中期的には世界の石油需要は、中国やアジアを中心とする非 OECD諸国の経済成長に伴って増加すると想定され、IEAの見通し (14年12月)によれば、19年の需要は14年に対して約7%、6.3 百万バレル/日増加して、99.1百万バレル/日に達するものと見込 まれています。 これに対して供給面では、非OPEC諸国の供給は19年には14年 の56.1百万バレル/日から約9%、5百万バレル/日の増加が見込ま れていますが、その増加幅は世界の石油需要の増加幅を下回りま す。このため、今後、OPEC諸国への依存度が高まることとなります。 石油需要は特に新興国における増加が見込まれる一方、一部の 産油国における外資の参入規制といった資源ナショナリズムの高ま りや、政情不安といった供給サイドの問題は解決されていません。 これらにより石油需給が逼迫する懸念が徐々に顕在化する恐れの あることを課題として認識しておく必要があります。特に、産油国が 多い中東・アフリカ諸国における政情不安は短期的にも影響が大き く、11年にはチュニジアを発端とした民主化の動きである「アラブ の春」が中東・アフリカ諸国へ拡大する中、リビアにおいては一時原 油輸出が停止し、その後13年においても原油の生産、輸出が大幅 に減少し、原油価格に影響を与えました。14年以降、現在のところ 原油供給に直接影響ないもののイラク・シリアにまたがる過激派組 織IS(イスラミック・ステイツ)を巡る緊迫が続いています。    

原油価格の動向

世界の原油価格は、大きく分けて3つの市場で形成されていま す。アメリカのNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)で取 引されるWTI(ウェスト・テキサス・インターミディエート)原油の市 場、欧州のICE(インターコンチネンタル取引所)で取引されるブレ ント原油の市場、そして東京工業品取引所などで取引されるアジア のドバイ原油の市場です。 14年のWTI原油価格は、ロシア・ウクライナ情勢の緊張を背景と して3月以降、100ドル/バレル前後で推移しました。6月13日に は、イラクでイスラム武装組織による攻撃が拡大し、内戦の懸念が あるとして106.91ドル/バレルまで上昇し、14年の最高値となり ました。その後、米国の原油在庫の増減等で一進一退するものの、 100ドル/バレル前後で推移しました。7月に入るとイラクにおいて 「イスラム国」を巡る緊迫が続いているものの、イラクからの原油輸 出は減少していないことに加え、リビアの反政府勢力が、閉鎖して いた港を開放する等により同国の原油生産が回復し始めたことな ど、地政学リスクに対する懸念が後退し始めました。8月に入ると、 中国や欧州における景気減速、IEAが原油需要の鈍化を示唆したこ となどから原油価格は100ドル/バレルを下回り、10月以降、急激 に下落し始めました。さらに11月28日のOPEC総会において生産 量の据え置きが決定されると、12月には09年度以来の低水準とな る60ドル/バレルを割り込み、12月31日には14年の最安値であ る53.27ドル/バレルで取引を終えました。 このように14年後半には中国、欧州経済の減速により需要は減 少している一方で、供給は米国におけるシェールオイルの増産や、 リビアにおいても原油生産が回復していることなどから、原油需給 は緩和しました。 すでに新規の開発投資を抑制する動きが始まっており、今後生産 コストの高い非在来型石油は、原油価格の水準によっては開発が停 滞する可能性もあります。今後、アジア、中東など新興地域での需要 増加が見込まれる中、原油開発投資が低迷した場合には石油需給が タイト化し、さらにOPEC依存度が高まることも考えられます。今後も 円滑な投資が継続できる安定的な原油価格の推移が期待されます。  

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国際石油情勢

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 出所:各種資料より石油連盟が作成 12 13 15 11 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 88 87 86 85 84 83 82 81 80 79 78 77 76 75 74 73 1972 年 14 単位:ドル/バレル

■原油価格の推移(月平均)

ドバイ スポット価格 イラン・イラク 戦争勃発(9月) イラン革命(2月) OPEC・非OPEC の減産 イラクの クウェート 侵攻(8月) 同時多発テロの発生 イラン停戦受諾 標準原油廃止 第二次 オイルショック 第一次 オイルショック イラク戦争勃発 アラブの春 OPEC生産 水準を維持 ハリケーン「カトリーナ」 サブプライムローン問題顕在化 リーマンショック 第四次 中東戦争 (10月) サウジアラビア、 ネットバック販売開始 アラビアンライト ネットバック価格 アジアの 経済危機 OPEC増産 アラビアンライト スポット価格 アラビアンライト 公式販売価格 12月 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 単位:ドル/バレル

■主要原油価格の推移(月平均)

出所:NYMEX、OPEC、ICE

2013

2014

年 ・ OPECが基準に用いている原油価格で 加盟国代表油種である次の12油種の平均値 サハラブレンド、ジラソル、オリエンテ、イラニアンヘビー、バスラライト、 クウェートエクスポート、エスシダ、ボニーライト、カタールマリン、 アラビアンライト、マーバン、メレー OPECバスケット

米国産原油で米国市場の基準銘柄であるWest Texas Intermediate WTI 北海産原油で欧州市場の基準銘柄 ブレント 112.3 109.3 94.8 59.3 59.5 103.3 101.0 95.8 110.7 107.7 97.9 112.0 63.3 107.9 105.2

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変化するOPECの影響力

OPEC(石油輸出国機構)は、1960年にイラクの呼びかけにより、 サウジアラビア、クウェート、イラン、ベネズエラの5ヵ国で結成され ました。73年の第四次中東戦争の際、OPECはイスラエル支持の 先進諸国に対し、原油供給を削減して原油価格を約4倍にする、い わゆる「オイルショック」を引き起こし、その存在感を全世界に示しま した。 OPECは、70年代の最盛期には、世界全体の原油生産の約53% を占めていました。しかしその後、油田開発生産技術の革新により 原油生産コストは著しく低下し、北海などの非OPEC諸国の原油が 増産され、OPECのシェアは約29%まで低下しました。また、先物市 場の登場など石油市場の構造変化も加わり、OPECの価格支配力 は、86年以降大幅に低下しました。 2000年以降は、非OPEC産油国の協力を得て、プライスバンド制 (OPECバスケット価格で22〜28ドル/バレルの価格帯上下限を超 えると自動的に生産調整するメカニズム)を導入することにより、一 時的な価格コントロールに成功していましたが、その後原油価格が OPECプライスバンドの上限を大きく超える水準まで上昇する中、 05年1月にプライスバンドの一時停止を決定しています。 以降、OPECの原油価格に対する影響力は限定的なものとなり、 08年の原油価格の暴騰と暴落、また、09年から10年にかけての価 格上昇に対しても有効な対応策を講じることはできず、市場に翻弄 される結果となっています。1998年以降イラクはOPEC生産枠の 対象から外れていましたが、今後のOPEC諸国からの原油増産は主 にイラクによるものと見込まれており、12年6月に開催された総会 では、イラクを含む12ヵ国の生産量を3,000万バレル/日としまし た。14年11月に開催された総会では、70ドル/バレルを下回る中、 生産量を据え置くことを決定し、原油価格は一段と下落することに なりました。総会以降も、サウジアラビア、UAE等は減産しないとの 発言をし、これを受けて原油価格がさらに下落するなどその動向に 注目が集まっています。 OPECは、必ずしも一枚岩としての行動が容易ではない構造的問 題を抱えていますが、サウジアラビアを中心とする穏健派の加盟諸 国は極端な価格の乱高下には消費国と同様の危機感を持っており、 持続的に新たな原油の開発が可能なレベルでの原油価格の安定が

■OPEC加盟国の概要

国 名       項 目 政治体制 人口 (2013年) 面積 国民1人当たり 総生産 (2013年) 原油生産量 (2014年平均) (2014年12月)原油生産能力 (2013年)原油輸出量 万人 千km2 米ドル 万バレル/日 % 万バレル/日 千バレル/日 イ ラ ン イスラム共和制 7,710 1,648 4,751 281 9.3 290 1,215 イ ラ ク 共 和 制 3,510 438 6,534 333 11.0 360 2,390 クウェート 首 長 制 396 18 46,527 280 9.2 285 2,058 サウジアラビア 君 主 制 2,999 2,150 24,847 973 32.1 1,240 7,571 ベネズエラ 大 統 領 制 2,999 916 12,472 246 8.1 260 1,937 カタール 首 長 制 201 12 100,829 71 2.3 73 599 リ ビ ア 共 和 制 630 1,760 11,711 46 1.5 85 589 アラブ首長国連邦 7首長国の連邦制 846 84 46,833 275 9.1 290 2,701 アルジェリア 共 和 制 3,830 2,382 5,845 112 3.7 117 744 ナイジェリア 共 和 制 17,229 924 2,994 191 6.3 200 2,193 アンゴラ 共 和 制 1,918 1,248 6,282 166 5.5 180 1,669 エクアドル 共 和 制 1,578 284 5,932 55 1.8 57 388 OPEC計 (12ヵ国) 43,844 11,862 8,039 3,028 100.0 3,437 24,054 出所:OPEC統計(2013年)、原油生産量および原油生産能力はIEA(2015年1月号) アブカイク Petro Line TAP Line IPSA ルマイラ ガワール ベリー ムバラス カフジ ウムシャイフ ザクム キルクーク ブルガン ドウハン サファニア サウジアラビア UAE オマーン カタール クウェート イラク イラン サウジアラビア UAE オマーン カタール バーレーン バーレーン クウェート イラク イスファハン イラン シーラーズ ホルムズ海峡 ペルシャ湾 カスピ海 オマーン湾 アラビア海 紅海 ドバイ フジャイラ ハブシャン アブダビ原油パイプライン アブダビ ドーハ ルワイス マスカット アバダン バグダッド ヤンブー ジェッダ ラスタヌラ バスラ ミナ・アル・ファハル リヤド カーグ島 テヘラン 油    田 パイプライン 油   田   名 凡 例 ガワール (注) : 四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある

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国際石油情勢

重要であるとの認識を持ち、消費国も産油国も受け入れ可能な価格 レベルでの継続的な取引の実現を望んでいるとされています。

中長期的な国際石油市場の見通し

今後の国際石油市場を中長期的に展望する上で、アジアや中東を 中心とする発展途上国の需給動向が非常に重要な要素となっていま す。IEAは、14年版の世界エネルギー見通しの新政策シナリオにおい て、2040年の世界の石油需要が、13年/40年の年率ベースで0.5% 増の103.9百万バレル/日となる中で、中国は同1.8%増の15.7百万 バレル/日、インドが3.5%増の9.2百万バレル/日、中東が1.5%増の 11.3百万バレル/日となるとの見通しを発表しています。2030年代 前半には、中国が世界最大の石油消費国へ浮上する一方、この頃ま でには需要の牽引役はインド、東南アジア、中東、サハラ以南に代わ ることとなります。同シナリオでは、米国のシェールオイル生産量は 2020年代後半に減少をはじめ、供給量全体に占める非OPEC諸国 の割合は13年の56%から減少し、40年には49%になる一方、OPEC 諸国、特にイラクの大幅な供給増加が見込まれており、OPEC諸国の 動向を注視しなければなりません。 一方、主要中東産油国などは従来から石油産業への外資参入を排 除してきましたが、今世紀に入ってからの原油価格高騰時において は、ロシア、カザフスタンおよびベネズエラなど一部産油国では、サ ハリンプロジェクト、カシャガン油田およびオリノコ流域石油開発など において、自国の国営企業の権益拡大・メジャーズ等の権益縮小を図 る、いわゆる資源ナショナリズム的な現象が見られました。 資源保有国が自国資源に対する支配力を強化している状況は当面 続くものと思われます。しかし有力油田における国営企業の支配力強 化は、資金および技術力を保有するメジャーズ等の経営資源が、新規 油田開発に投入されることを阻害する要因となり、中長期的には原油 供給能力の安定的な増加を妨げることになることも懸念されます。

■国際石油需要の見通し

百万バレル/日 国・地域       年 1990 2013 2020 2025 2030 2035 2040 2013-2040(注1) OECD諸国 38.9 41.5 40.2 38.1 35.4 33.4 31.3 -1.0% 米州 19.4 21.9 22.2 21.2 19.7 18.6 17.6 -0.8%  アメリカ 16.0 17.5 17.8 16.8 15.4 14.4 13.4 -1.0% 欧州 12.6 12.0 11.2 10.5 9.7 9.0 8.3 -1.3% アジア大洋州 6.9 7.7 6.8 6.4 6.0 5.7 5.4 -1.3%  日本 5.1 4.4 3.7 3.3 3.0 2.8 2.6 -1.9% 非OECD諸国 23.4 41.6 48.2 53.1 57.3 60.4 63.1 1.6% 東欧州/ユーラシア 9.3 4.9 5.1 5.2 5.2 5.3 5.2 0.2%  ロシア 5.2 3.2 3.2 3.2 3.2 3.2 3.2 0.0% アジア 6.3 19.7 23.9 27.1 30.0 32.0 33.5 2.0%  中国 2.4 9.8 12.0 13.9 15.1 15.6 15.7 1.8%  インド 1.2 3.7 4.9 5.8 7.0 8.2 9.2 3.5% 中東 2.8 7.6 8.7 9.6 10.2 10.7 11.3 1.5% アフリカ 1.9 3.6 4.3 4.7 5.1 5.6 6.2 2.0% 中南米 3.1 5.7 6.1 6.5 6.8 6.9 7.0 0.7%  ブラジル 1.2 2.5 2.7 3.0 3.3 3.5 3.5 1.3% 国際船舶向け需要(注2) 3.9 7.0 7.6 8.1 8.6 9.0 9.5 1.2% 世界合計 66.1 90.1 96.0 99.2 101.3 102.8 103.9 0.5%  EU 12.4 11.0 10.1 9.4 8.5 7.8 7.2 -1.6% バイオ燃料需要(注3) 0.1 1.3 2.2 2.8 3.4 4.1 4.6 4.7% (注) : 1. 期間平均 出所:IEA「World Energy Outlook 2014」(世界エネルギー見通し) 2. 国際船舶・航空用燃料を含む 3. ガソリン・軽油換算

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石油の埋蔵量と可採年数について

地下に存在するすべての石油の量は「資源量(Resources)」とい い、この資源量のうち、既発見であり、かつ経済的・技術的に回収(採 取)可能な量を「埋蔵量(Reserves)」といいます。また、「可採年数(R/ P)」は現在の技術と価格の下で採掘可能であると考えられる石油埋 蔵量(R)をその年の石油生産量(P)で割ったものをいいます。かつて 可採年数は約30年と算出された時期もありましたが、最近の可採年 数はOGJ誌で59年、BP統計で53年(カナダのオイルサンド、ベネズ エラのオリノコタール、米国のシェールオイルを含む)とむしろ伸び る状況にあります。これは、技術革新による新規油田の発見や採掘技 術の進歩、原油価格上昇に伴う採算性の向上などによって、生産量を 上回るペースで石油埋蔵量が増加を続けてきた結果です。 また、世界的には、オイルサンド、オイルシェール、オリノコタール 等の「非在来型石油」が豊富に存在しています。オイルサンドは大部 分がカナダに、次いでナイジェリア、マダガスカル、アメリカなどに賦 存しており、オイルシェール(油母頁岩)はアメリカ、ブラジル、中国、 カナダ、ロシア、コンゴなど世界各地に分布しています。また、オリノ コタールはベネズエラのオリノコ川流域を中心に存在する超重質油 ですが、すでに発電用燃料として利用されています。このように、非 在来型石油資源の開発が進んだことを受けて、石油の埋蔵量は飛躍 的に増加しています。また、2013年にIEAが発表した世界エネル ギー見通しにおいては、石油系資源の残存年数は200年以上と見込 まれています。石油の探鉱・開発技術の進歩と非在来型石油の開発 は、中長期的な石油資源の枯渇リスクを低減させています。

石油の探鉱・開発技術の発達

探鉱・開発技術の発達により近年の埋蔵量は増加しています。 【技術の発達の例】 (1)水平掘削技術……水平方向に10km以上も掘削できるため、1つ の油田から出る石油生産量は増加します。 (2)三次元(3-D)地震探査システム……高密度な地質データを処理 することにより、複雑な地下構造を立体的に把握することが可能 になります。 (3)人工衛星と地上波を複合活用した測位システム……人工衛星と 地上局からの電波を組み合わせて、海上と海底の正確な位置を 測定できます。 (4)大水深海洋石油開発システム……水深300メートル以上の大水 深にある海底油田からの生産が可能となっています。

「シェール革命」

近年、国際エネルギー市場において、米国を中心とするシェールガ ス・ シェールオイルの開発・増産が注目されています。 シェールガス・シェールオイルとは、頁岩(シェール)層に封じ込まれ ているガス・石油で、従来、その生産はコスト的に見合わないものとさ れてきましたが、近年の開発技術の発達・普及とガス・石油価格の上 昇によって、急速に実用化されました。水平掘削技術を活用し、頁岩層 に水圧でヒビを入れて、ガス・石油を回収するというもので、北米のみ ならず、中国や欧州等にも豊富に存在していると見られています。 シェールガス・シェールオイルは中長期的に、エネルギーセキュリ ティの向上、原油価格の抑制に繋がるものとして期待されており、国 際エネルギー市場を変える可能性があるといわれ、近年では生産が 増加しつつありましたが、2014年後半に原油価格が急落したことか ら新規開発の中止等が一部で見られるようになっています。 なおIEAでは、「シェールオイル」について「オイルシェール(油母 頁岩)」と混同を避けるため、「タイトオイル」と表記しています。 頁岩に水圧でヒビを入れ、 中の石油・ガスを取り出す けつがん 頁岩(シェール)層 石油・ガスが作られる 典型的な根源岩 けつがん 硬い岩盤 石油・ガスは長い年月をかけて 移動し、硬い岩盤の下にたまる 石油・ガス

■シェールオイル・シェールガス掘削の仕組み

石油・ガス 2000 4000メートル くっ さく 井戸を掘り、自噴する ガスを集める 在来型石油・ガス シェールオイル・シェールガス 石油貯留岩 石油根源岩 水平掘削技術・水圧破砕技術

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国際石油情勢

■世界の原油生産量・原油確認埋蔵量・可採年数(2014年末現在)

出所:OGJ誌(2014年末号) 2014年末の世界の原油確認埋蔵量は約1兆6,559億バレル、可採年数は59年となっており、 確認埋蔵量の72.8%をOPEC諸国が、また48.5%を中東諸国が占めている。

原油生産量

単位:千バレル/日

原油生産量

単位:千バレル/日

可採年数

59

確認埋蔵量

単位:百万バレル

確認埋蔵量

単位:百万バレル 確認埋蔵量

世界合計

1,655,925

(100%) 原油生産量

世界合計

76,267

(100%)

OPEC合計

確認埋蔵量:

1,206,170(72.8%)

非OPEC合計

確認埋蔵量:

449,755(27.2%)

OPEC合計

原油生産量:

30,586(40.1%)

非OPEC合計

原油生産量:

45,681(59.9%)

確認埋蔵量:油層内に存在する油の総量(原始埋蔵量)のう ち、技術的・経済的に生産可能なものを「可採埋蔵量」といい、通 常「原始埋蔵量」の20∼30%程度といわれている。可採埋蔵量 のうち、最も信頼性の高いものを「確認埋蔵量」としている。 可採年数:ある年の年末の確認埋蔵量をその年の生産量で 除した数値。例えば、「可採年数50年」とあっても、今後、石油 探査や掘削をはじめ、回収技術の進歩により既存油田の埋蔵 量が増えたり、新油田の発見などがあるため、その年数で石油 が掘り尽くされるということではない。 O P E C 25 46 30,043 (1.8%) 3,285 (4.3%) 97 25,244 (1.5%) 713 (0.9%) 37,070 (2.2%) 2,200 (2.9%) 288 74 48,363 (2.9%) 460 (0.6%) 265,789 (16.1%) 9,848 (12.9%) 154 157,800 (9.5%) 2,808 (3.7%) 100 101,500 (6.1%) 2,789 (3.7%) 332 U A E 96 97,800 (5.9%) 2,778 (3.6%) 122 144,211 (8.7%) 3,240 (4.2%) 21 80,000 (4.8%) 10,490 (13.8%) 134 172,481 (10.4%) 3,530 (4.6%) 16 24,649 (1.5%) 4,185 (5.5%) 12 37,912 (2.3%) 8,580 (11.2%) O P E C 23 116,421 (7.0%) 14,097 (18.5%) 11 9,812 (0.6%) 2,460 (3.2%) 10 8,479 (0.5%) 2,339 (3.1%) 298,350 (18.0%) 2,465 (3.2%) (注): 1. 分割地帯はそれぞれサウジアラビア、クウェートに含まれる 2. UAEはアラブ首長国連邦の略称 3. 四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある 可採年数:

27

可採年数:

108

■石油系資源の可採資源量と生産コスト

120 100 80 60 40 20 0 4.4兆 7.6兆

100年

200年

100年

200年

1兆バレル 2兆バレル 3兆バレル 4兆バレル 5兆バレル 6兆バレル 7兆バレル 8兆バレル 1兆バレル 2兆バレル 3兆バレル 4兆バレル 5兆バレル 6兆バレル 7兆バレル 8兆バレル 技術的に回収可能な残存石油資源量 〈試算〉 2013年生産量に 対する残存資源年数 生 産 コ ス ト ︵ バ レ ル 当 た り ド ル 、       年 価 格 ︶ 2 0 1 2 注1:IEA(World Energy Outlook,2013)を もとに作成 注2:残存資源年数は、 IEA(Oil Market Report, jun 2014) の2013年石油供 給量より、プロセッ シングゲインとバイ オ燃料を控除した 87.4百万バレル/日 (320億バレル/年) から試算

他の地域

の石油

超重質油・

アスファルト

油母頁岩

(オイル

シェール)

生産済み石油 中東・北アフリカの石油 CO2による増進石油回収 通常の増進石油回収 北極海域油田 超深海底油田 ガス液化燃料 (GTL) タイトオイル(シェールオイル) 石炭液化燃料 (CTL) 生産済み石油 中東・北アフリカの石油 CO2による増進石油回収 通常の増進石油回収 北極海域油田 超深海底油田 ガス液化燃料 (GTL) タイトオイル(シェールオイル) 石炭液化燃料 (CTL)

(10)

国内石油需給動向

構造的な石油需要の減少

2013年度の石油需要は燃料油合計で約1億9,352万Sと前年度実 績比2.1%減になりました。1988年度に石油需要が燃料油合計で2 億Sを超えましたが、09年度以降は2億Sの大台を割っています。石 化品の輸出が増加したことによる需要増加があったナフサ、羽田空 港の発着枠が増加したことによる需要増加があったジェット燃料油、 復興需要などのあった軽油は前年度比で増加しましたが、それ以外 の油種は前年度実績を下回る結果となりました。  ガソリンからC重油までの、いわゆる燃料油の需要は、戦後、第二次 石油ショック後の1980年代こそ産業用燃料・原料であるC重油とナ フサ需要の大幅な減少によって2億Sを下回る水準で低迷しました が、その他の油種は一貫して増加を続けました。その増加トレンドに 転機が生じたのが2000年でした。燃料油合計の需要量は99年度に 2億4,597万Sをピークに2000年度以降は減少傾向が続いていま す。軽油は全油種の中で最も需要のピークが早く、96年度(4,606万 S)にピークを迎えましたが、ガソリンについては04年度の6,148万 S、灯油は02年度の3,062万Sが需要のピークとなっています。ち なみにBC重油の需要のピークは73年度の1億1,100万Sです。  こうした石油需要減少の構造的要因として、わが国における①脱石 油政策の展開、②社会構造の変化③地球温暖化対策が挙げられます。 ①脱石油政策の展開 2度の石油ショックを受けて、わが国では石油依存度の低減を図 るため、エネルギー政策の柱として「脱石油」が掲げられてきました。 とりわけ発電用や産業用のBC重油については原子力の推進・重油 火力発電の新設禁止や天然ガスの政策優遇など、強力な施策展開が 図られ、産業分野、民生・業務分野で石油から石炭や天然ガスへの燃 料転換が進展しました。 ②社会構造の変化 現在も進む少子高齢化、人口の減少という社会構造の変化により、 ガソリンや灯油などの油種は直接的な需要家の減少に直面する一 方、軽油やA重油については物資の輸送量そのものの低迷に加え、輸 送体制の合理化・効率化等により燃料消費の削減が図られてきまし た。また、自動車燃料であるガソリン需要の減少に関しては、都市部を 中心とした若年層の車離れが影響しているといわれています。 ③地球温暖化対策 二酸化炭素の削減が世界的な課題となって以来、化石燃料である 石油は、その消費削減が求められており、よりCO2排出量の少ないエ ネルギーへの転換や自動車燃費の改善など、エネルギー消費効率の 向上による石油の消費量の削減が図られています。 14年度の上期(4月〜9月)の需要実績については、燃料油合計で 8,288万Sと13年度同期の実績(8,911万S)を7%下回り、ジェット 燃料油以外の全油種で減少となりました。特にBC重油については、 10電力会社の重油受入量が前年同期に比べて22.3%減となったこ とから、前年同期に比べて17%減少と減少幅が大きく、830万Sとな りました。電力用需要については、今後の原子力発電の設備利用に よって大きく需要が変化すると考えられます。 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 2007 2008 2009 2010 2011 20122013年度 2006 2005 2000 1995 1990 1985 1980 1975 1973 60 50 90 100 70 80 単位:千バレル/日 単位:%

■原油処理能力と設計能力稼働率の推移

出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」、石油連盟 設 計 能 力 稼 働 率︵ % ︶ 年 度 平 均 処 理 能 力 5,274 79.2 4,856 82.7 4,895 78.9 4,846 74.5 4,627 77.7 4,559 74.2 4,391 78.5 4,478 75.9 4,796 82.9 4,767 87.2 5,221 79.4 4,552 77.3 4,973 62.3 5,940 66.0 5,940 70.7 5,410 85.2

(11)

国内石油需給動向

0 50,000 100,000 150,000 200,000 250,000 単位:千S

■わが国の石油製品別(燃料油)需要の推移

出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」 (注):四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある 燃料油計 234,138 212,639 209,219 218,012 243,218 ナフサ 灯油 軽油 BC重油 A重油 ジェット燃料油 1,673 2,059 2,967 3,739 4,611 ガソリン 36,240 21,930 16,759 111,007 19,306 27,223 32,031 21,663 15,997 92,903 18,992 28,995 26,297 23,566 21,564 79,199 21,083 34,543 31,423 26,701 37,680 46,623 27,066 44,783 47,686 29,924 41,745 31,364 29,516 58,372 245,405 4,849 43,988 30,017 45,452 40,675 28,796 51,628 236,109 5,129 49,388 28,265 37,116 27,009 27,780 61,421 196,019 5,153 46,699 20,349 32,891 17,343 15,425 58,159 180,931 3,056 24,613 25,307 25,808 45,133 20,315 36,698 2000年度 2005年度 2010年度 193,520 5,053 45,748 17,894 34,079 21,890 13,438 55,419 2013年度 197,770 3,974 43,172 18,884 33,391 28,382 13,759 56,207 2012年度 1990年度 1995年度 1980年度 1985年度 1975年度 1973年度

■石油製品の用途別国内需要(2013年度)

単位:千S 用途      製品 ガソリン ナフサ ジェット燃料油 灯 油 軽 油 重 油 原 油 LPガス 潤滑油 合 計 自   動   車 55,326 33,088 2,140 573 91,128 航   空   機 4 5,053 5,057 運 輸 ・ 船 舶 3,652 93 3,745 農 林 ・ 水 産 1,660 552 2,960 5,173 鉱   工   業 88 3,284 22 10,130 5,522 864 19,911 都 市 ガ ス 1,987 1,987 電       力 212 14,630 11,293 1,187 27,323 家 庭 ・ 業 務 12,949 3,956 12,056 28,962 化 学 用 原 料 45,748 205 439 5,358 51,749 合       計 55,419 45,748 5,053 17,894 34,079 35,328 11,732 28,251 1,531 235,034 (注) : 1. 記入用途例は、産業活動および国民生活のうち「身近なもの」の一例 出所:石油連盟 2. 四捨五入の関係により合計が一致しない場合がある

■石油需給バランス

単位:千S 項目          年度 2011年度 2012年度 2013年度 13/12年度比(%) 原 油 輸  入 209,173 211,026 210,345 99.7 処  理 196,720 197,359 200,148 101.4 製 品 (燃料油) 期初在庫 10,483 10,108 11,044 109.3 生  産 185,440 185,283 188,487 101.7 輸  入 37,368 39,512 35,661 90.3 供 給 計 222,808 224,795 224,148 99.7 内  需 196,044 197,770 193,520 97.9 輸  出 25,347 24,735 29,998 121.3 需 要 計 221,391 222,505 223,518 100.5 期末在庫 10,108 11,044 9,118 82.6 (注): バランスは品種振替、ロス、その他で一致しない   出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」

(12)

今後のわが国の石油製品需要は、原油価格の急激な変動などによ る一時的な変動を除いて、構造的な減少要因に本質的な変化はない ことが想定されていますが、東日本大震災において石油の果たした 役割を踏まえ、今後も石油のサプライチェーンを維持するためには、 安定需要の確保とサプライチェーンの効率化が必要となっています。

わが国の石油供給体制

13年度に国内で産出した原油は67万Sと、精製業者の原油処理 量の2億15万Sの0.3%、およそ1日分に相当する量に過ぎず、国内 で消費される石油製品需要を賄うため、わが国は原油および石油製 品のほぼすべてを海外から輸入しています。国内の石油製品需要を 賄うには、石油製品を輸入する方法と原油を輸入して国内で石油製品 に精製する方法がありますが、わが国は原油の輸入と国内での精製と いう後者の方式を採用しています。国内で石油製品を精製する方式は 「消費地精製方式」と呼ばれています。消費地精製方式は、大型の原 油タンカーで大量に原油を輸送することによるコスト低減、国内の需 要構造に合わせて石油製品の生産割合を一定の範囲で調整できる こと、国内の環境基準等に適合した品質の調整が容易であること、緊 急時への対応に優位性があることなど多くのメリットを有しており、 わが国の石油供給体制の根幹となっています。 一方、国内の石油需要は、東日本大震災後に原子力発電所の稼働 が低下したことに伴いBC重油の需要が一時的に増加していました が、ここ30年の間、ほぼ一貫して重油需要の減少とガソリンやナフサ、 灯油などのいわゆる「白油」と呼ばれる製品が増加したため、石油会社 では、重油を分解して「白油」を増産するための設備を建設し、需要と 供給のバランス維持に努めてきました。近年はマーケットの国際化が 進展したこともあり、製品の輸出入について、より戦略的な観点から 国内外のマーケットを睨みながら機動的な活用が図られています。

原油の輸入

13年度の原油輸入について地域別に見ると、中東地域が83.6% を占めています。中東地域への石油依存度は、石油危機後の87年度 には一旦68%まで低下しましたが、96年度には24年ぶりに80%を上 回り、以降80%台で推移しています。 原油の輸入国を国別に見ると、サウジアラビア(全輸入量の 30.7%)、アラブ首長国連邦(同22.7%)、カタール(同13.0%)、ク ウェート(同7.2%)の順となっており、この4ヵ国で全輸入量のおよそ7 割を占めていることがわかります。 こうした中東の国々との良好な関係の維持・発展が極めて重要と なりますが、必ずしも国内の政情や国際社会との関係に問題のない 国ばかりではなく、わが国の石油供給体制は依然として脆弱な面を有 していると言わざるを得ません。

製品輸入と製品輸出

消費地精製方式を採用するわが国において、製品輸入は補完的な 石油の供給手段ですが、ナフサについては例外で、国内需要の約6割 を輸入製品で賄っています。これは、石油化学会社が独自に石油化 学原料であるナフサを輸入しているためです。また、外国航路を行き 来する船舶に日本で生産した燃料を供給した場合は輸出とみなされ るため、このような輸出がBC重油の供給量のうち大きな割合を占め ています。同様にジェット燃料油についても、海外を往復する航空機 燃料としての供給は輸出とみなされるため、国内需要の2倍程度が 輸出量として計上されています。 単位:%

■わが国の主要石油製品の国別輸入・輸出構成比

出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」 ナフサ 72.7 ジェット燃料油 34.9 軽油 34.7 重油 22.0 ガソリン 5.8 灯油 2.6 重油 19.2 ガソリン 4.7 軽油 0.7 ナフサ 0.1 ジェット燃料油 0.2 灯油 2.5 韓国 97.4 韓国 11.4

■わが国の石油製品別輸入・輸出構成比(2013年度)

(注):四捨五入の関係により100%にならない場合がある ボンド=外航船舶向け供給分 輸 入 35,661千S 輸 出 29,998千S 輸 入 1,659千S 911千S輸 入 253千S輸 入 6,835千S輸 入 輸 出 1,748千S 760千S輸 出 10,405千S輸 出 6,611千S輸 出 ニュージーランド 7.7 シンガポール 62.3 韓国 100.0 アメリカ 11.3 韓国 85.3 韓国 10.1 韓国 92.2 シンガポール 23.7 オーストラリア 35.1 香港 13.4 マレーシア 57.7 韓国 26.6 ボンド 60.8 中国 7.5 香港 9.2 シンガポール 15.4 ガ ソ リ ン 灯  油 軽  油 重  油 アメリカ 0.0 スウェーデン 0.0 台湾 2.6 アメリカ 0.0 シンガポール 2.6 中国 5.2 パプアニューギニア 1.2ロシア 1.9 インドネシア 7.4 シンガポール 1.1 中国 1.0 その他 3.0 韓国 6.1 マレーシア 1.1 インドネシア 1.3 アメリカ 1.2 米軍 1.1 中国 1.0 その他 3.0 ボンド 2.4 マレーシア 3.2 オランダ 4.4 オランダ 1.3 シンガポール 2.1 米軍 0.0 グアム 1.6 フィリピン 1.8 インドネシア 2.4 マレーシア 2.7 米軍 3.5 アメリカ 4.2 タイ 0.9 香港 0.7 中国 0.4 パラオ 0.3

(13)

国内石油需給動向

■わが国の国別原油輸入比率の推移

単位:% 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」 OPEC 86.2 非OPEC 13.8 249,199千S 238,480千S 254,604千S アラブ首長国連邦 14.7 サウジアラビア 33.0 カタール 3.5 インドネシア 15.0 オマーン3.5 その他5.7 クウェート 3.5 中国 3.8 イラン 2.3 イラク5.5 分割地帯 6.1 その他 3.3 メキシコ 0.8 アラブ首長国連邦 21.4 サウジアラビア 19.5 カタール6.0 イラン10.7 インドネシア12.6 オマーン6.4 オマーン 8.9 メキシコ 3.7 中国 6.5 その他5.4 OPEC 78.0 OPEC 87.5 非OPEC 22.0 OPEC 71.6 非OPEC 28.4 非OPEC 12.5 OPEC 90.0 非OPEC 10.0 その他 0.5 イラク 2.0 ベトナム 1.1 クウェート 1.9 その他 0.2 オーストラリア 1.4 マレーシア 3.8 マレーシア 2.1 ベトナム 1.9 その他 0.6 アラブ首長国連邦 25.6 サウジアラビア 21.6 イラン11.5 クウェート7.4 オマーン4.5 中国2.2 その他3.3 その他 0.8 イラク 1.4 インドネシア 4.8 カタール 9.6 分割地帯 5.4 197,261千S アラブ首長国連邦 22.2 サウジアラビア 13.5 クウェート 1.7 カタール 6.3 メキシコ4.9 その他 0.3 中国 6.5 イラン 6.9 インドネシア11.4 その他4.4 イラク 3.2 OPEC 89.2 非OPEC 10.8 262,785千S アラブ首長国連邦 10.3 サウジアラビア 27.2 イラン22.3 インドネシア11.2 イラク2.3 オマーン2.9 その他 1.1 分割地帯 4.9 中国 3.6 クウェート 8.3 その他2.7 ブルネイ 3.3 OPEC 92.9 非OPEC 7.1 288,609千S アラブ首長国連邦 10.8 サウジアラビア 19.9 イラン31.0 インドネシア14.7 オマーン1.9 その他 0.8 ブルネイ 3.5 ナイジェリア 1.9 クウェート 8.2 分割地帯5.3 その他 1.1 中国 0.6 イラク 0.3 分割地帯 3.5 265,526千S アラブ首長国連邦 26.7 サウジアラビア 19.2 カタール6.3 イラン8.7 クウェート5.0 インドネシア7.9 分割地帯5.4 オマーン6.1 中国5.0 その他4.9 OPEC 79.9 非OPEC 20.1 (注): 四捨五入の関係により100%にならない場合がある 分割地帯 5.4 249,010千S ベトナム 0.8 イラク 0.7 オーストラリア 0.9 スーダン 2.6 分割地帯 2.0 アラブ首長国連邦 24.5 サウジアラビア 29.2 カタール9.4 イラン13.0 クウェート7.2 インドネシア3.1 オマーン2.6 その他3.1 OPEC 83.0 非OPEC 17.0 210,345千S ロシア 7.2 インドネシア3.2 アラブ首長国連邦 22.7 サウジアラビア 30.7 イラン4.6クウェート7.2 ベトナム 1.5 オマーン 2.1 その他 3.0 イラク 1.6 その他 1.5 分割地帯 1.6 カタール 13.0 2013 OPEC 81.9 非OPEC 18.1 211,026千S ロシア 5.3 インドネシア3.6 アラブ首長国連邦 22.1 サウジアラビア 30.4 イラン4.8 クウェート7.4 ベトナム 2.0 オマーン 2.8 その他 4.5 イラク 2.1 その他 1.6 分割地帯 2.1 カタール 11.4 2012 OPEC 84.0 非OPEC 16.0 214,357千S ロシア 7.1 アラブ首長国連邦 20.9 サウジアラビア 29.2 イラン9.8 クウェート7.0 インドネシア 2.4 オマーン 2.7 その他 3.8 イラク 3.3 その他 0.4 分割地帯 1.9 カタール 11.6 2010 2000 1990 1980 2005 1995 1985 1975 1973 年度 出所:経済産業省「石油輸入調査」

■わが国の供給者別原油輸入比率の推移

単位:% 262,785千S 249,199千S 238,480千S 254,604千S 70.0 7.7 14.3 8.0 44.5 44.4 7.8 61.3 9.0 27.8 22.2 67.3 8.3 (注):四捨五入の関係により100%にならない場合がある 3.3 1.9 2.2 288,609千S メジャーズ 74.1 8.5 9.2 8.3 邦系石油開発会社 独立会社 産油国政府 214,357千S 17.8 3.1 74.4 4.7 2010 210,345千S 8.6 6.5 80.8 4.1 2013 211,026千S 16.5 6.3 73.0 4.2 2012 2000 1990 1980 1975 1973 年度

(14)

0 50 100 150 200 250 300 60 70 80 90 100 08 09 10111213 07 06 05 04 03 02 01 2000 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 88 87 86 85 84 83 82 81 80 79 78 77 76 75 1973 年度

■わが国の原油輸入量とOPEC依存度・中東依存度の推移

単位:折線グラフは%、棒グラフは百万S 出所:経済産業省「資源・エネルギー統計」 (百万S) (%) 77.578.2 71.4 68.8 71.5 78.6 87.1 84.0

中東依存度

OPEC依存度

289 263 249 197 238 266 255 214 92.9 89.2 86.2 71.6 78.0 79.9 87.6 86.6 83.0 210 83.6 89.1 249 90.0

原油輸入量

■わが国の石油輸入金額の推移

出所:財務省「貿易統計」、経済産業省「石油輸入調査」 年度 項目 1973 4.75 8,329 278.57 1.35 33.67 1975 12.05 22,654 298.91 1.36 33.89 1980 34.62 47,508 218.23 1.43 34.41 1985 27.30 38,282 222.90 1.25 35.06 1990 23.34 20,296 138.23 1.20 35.51 1995 18.27 11,057 96.23 1.33 35.10 2000 28.37 19,617 109.95 1.49 35.09 2005 55.81 39,735 113.19 1.44 35.66 2008 90.52 58,542 102.82 1.49 35.54 2010 84.16 45,373 85.72 1.46 35.94 2013 110.01 69,222 100.04 1.39 36.45 2012 113.89 59,357 82.86 1.41 36.00 ドル/バレル 円/S 原油CIF価格 為替レート 平均硫黄分 A P I 度 (円/ドル) (wt%) 0 5000 10000 15000 20000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1973 2,784 22.51 1975 6,631 38.12 1980 13,642 43.34 1985 9,491 32.63 1990 6,624 19.39 1995 3,846 11.67 2000 6,495 15.30 2005 12,456 20.58 2008 16,632 23.13 2010 12,290 19.68 2012 16,193 22.46 2013年度 18,655 22.05 総輸入金額に 占める石 油 輸 入金額の割合 (%:右軸) 石油輸入金額 (10億円:左軸)

(15)

国内石油需給動向

23.8 32.3 154.5 45.6 24.7 72.9 28.7 16.5 53.5 26.8 52.6 83.8 102.6 74.1 295.0 25.0 164.2 63.3 161.8 53.0 29.4 18.7 56.9 38.5 24.4 19.5 19.1 17.4 227.2 30.7 31.5 18.2 124.6 100.1 31.5 出所:BP「世界エネルギー統計」(2014年版)

■世界の石油貿易量(2013年)

単位:百万t アメリカ カナダ メキシコ 中・南米 ヨーロッパ&ユーラシア 中東 アフリカ アジア・太平洋 単位:原油換算百万t、%

■主要消費国の一次エネルギー消費構成比(2013年)

出所:BP「世界エネルギー統計」(2014年版)

世界計

12,730.4百万t

石 炭 30.1 天然ガス 23.7 石 油 32.9 水力 6.7 再生可能エネルギー 2.2 原子力 4.4 474.0百万t 石油 44.1 34.9 32.3 34.5 21.9 17.8 67.5 5.1 13.4 53.2 5.6 25.0 23.2 6.8 15.5 38.6 石炭 27.1 18.3 天然ガス 22.2 32.9 原子力 0.7 200.0百万t 248.4百万t 325.0百万t 699.0百万t 2,852.4百万t 2,265.8百万t 水力 3.9 再生可能 エネルギー 2.0 石油 36.7 石炭 20.1 天然ガス 29.6 原子力 8.3 水力 2.7 再生可能エネルギー 2.6 5.5 8.0 0.6 2.4 6.2 4.9 9.1 0.0 1.4 5.9 0.9 1.5 7.2 アメリカ 中国 ロシア ドイツ フランス イギリス 日本

(16)

国内石油需給動向

わが国のエネルギー政策

エネルギー政策基本法の制定

わが国のエネルギー政策はその時代のさまざまな要請に従って 変化してきました。1973年の第一次石油危機から40年あまりが経 過し、エネルギーの安定供給に加えて地球規模での環境問題への 配慮、さらには規制改革等を通じた公正な競争の促進、自由化、効 率の向上も求められています。 このようなエネルギーを取り巻く情勢を踏まえ、2002年6月、エ ネルギー政策の大きな方向性を示し、さまざまな施策を総合的・整 合的に進めていくことを目的としてエネルギー政策基本法が制定 されました。同法では「安定供給の確保(Energy security)」、「環境 への適合(Environment)」、およびこれらを十分考慮した上での 「市場原理の活用(Economic, Efficiency)」のエネルギー政策の3 つの基本方針(3E)が示されるとともに、国および地方公共団体等 の役割分担が明記されています。また、同法の下で、3Eの基本方針 にのっとり、10年程度を見通して、エネルギーの需給全体に関する 施策の基本的な方向性を安定的に示すものとして、「エネルギー基 本計画」の策定が定められています。

21世紀も石油は重要なエネルギー

石油業界は、エネルギー政策の3つの基本方針(3E)の同時達成 のためには、①各エネルギーの特性を客観的・公平に評価し、わが 国に相応しい「エネルギーのベストミックス」を達成すること、②一 次エネルギー供給の最大シェアを占める石油の有効活用・効率的 利用を進めること、③原子力やバイオ等の新エネルギーの導入に ついては、実現可能性を重視すること、④「エネルギーのベストミッ クス」を達成するためには、各エネルギーの税制や備蓄等の競争条 件をイコールフッティングさせることが必要であることなどを主張 してきました。新しいエネルギー基本計画の策定にあたっては、東 日本大震災の教訓などを踏まえ、これらに加えて、⑤エネルギー産 業の国際競争力を強化し、「成長産業」に発展させていくこと、⑥災 害対応力を強化し、緊急時のエネルギーセキュリティに万全を期す こと、などもあわせて主張してきました。 この結果、14年4月に策定された新しいエネルギー基本計画では、 「石油は今後とも活用していく重要なエネルギー源」であり、災害時 における「エネルギー供給の『最後の砦』」と位置付けられ、供給網 の一層の強靭化と石油産業の経営基盤の強化に向けた取り組みが 必要とされました。

エネルギー供給構造の高度化に向けて

08年に開催された北海道洞爺湖サミットなどを経て、低炭素社 会の構築へ向けて日本国内の議論も進められています。地球環境 問題への対応を巡り各国の動きは活発化し、これらによって、エネ ルギー業界にも大きな変革が迫られています。今後のエネルギー 政策は、近年の原油価格の乱高下に伴って求められてきたエネル ギー安全保障の確保の観点に加えて、地球温暖化問題の解決を同 時に図ることが求められています。 こうした中で、08年10月より、経済産業省は代エネ施策の見直し と非化石エネルギーの導入拡大に向けた検討を開始しました。そこ では、08年は石油のみならず化石燃料全般の価格が高騰したもの の、秋以降は世界的な金融不安の影響を受けて価格が下落すると いった不安定な状態が続く中で、エネルギーの太宗を海外に依存 し、化石燃料への依存度は80%を超える日本のエネルギー供給構 造の脆弱性が指摘されました。さらに、地球温暖化問題への対応、 低炭素社会の構築といった中長期的な対応の重要性、エネルギー 政策基本法の基本理念(3Eの一体的解決)を踏まえたエネルギー 政策見直しの必要性が提言されました。 審議会の議論を通じて、石油業界としては、①2030年も石油は 一次エネルギーの約4割を占める主要なエネルギーであり、政策の バッファーではなく基幹エネルギーとして位置付けること、②石油 資源の安定供給確保、クリーンかつ効率的な利用に取り組むため、 代エネ法を廃止して全エネルギーを対象とした革新的技術による 高度利用を実現するための法体系を新設すること、③エネルギー のベストミックスを達成するため、税や支援制度など競争条件の公 平化を図ること、を要望してきました。その結果、09年1月に取りま とめられた報告書には、わが国として「低炭素社会」を実現させるた めの基本方針として、①石油を単に抑制することを目的とした代エ ネ政策の見直し、②エネルギー政策基本法の基本理念に基づき各 エネルギーの特性を客観的に評価し、これに応じた供給構造の高度 化を進めること、③エネルギー間の競争条件の公平性に配慮するこ となどが指摘されており、石油業界としても極めて有意義なものと して評価しています。 取りまとめを受けて、09年7月、石油依存度の低減のみを目的と した代エネ施策を見直して代エネ法の「石油代替」概念を撤廃し(代 エネ法の改正)、エネルギー供給事業者に対する誘導的規制により ①革新的エネルギー技術、非在来型資源開発等の推進、②非化石 エネルギー(原子力、水力、地熱、新エネルギー等)の導入拡大、③

(17)

わが国のエネルギー政策

化石資源(原油、天然ガス、石炭等)の高度利用・有効利用の推進、と いった取り組みを規定する新法(エネルギー供給構造高度化法)が 成立しました。これは、エネルギー供給事業者(電気、ガス、石油事業 者)に対して、非化石エネルギー源の利用を拡大するとともに、化石 エネルギー原料の有効利用を促進することを目的としています。具 体的には、エネルギー供給事業者が取り組むべき事項について、10 年7月、化石エネルギー原料の有効利用の促進に関する判断基準 が告示されました。わが国の重質油分解装置の装備率(10年当時 は10%程度)を13年度までに13%程度まで引き上げることを目標 として、石油精製各社は、現状の装備率に応じた、3段階の改善率を 達成することが義務付けられました。これにより、石油精製各社は重 質油分解装置の装備率向上のため、同装置の新設・増設、または常 圧蒸留装置の削減が求められることとなり、これに加えて設備の運 転面の改善等、技術開発等について取り組むこととなりました。 14年7月には、その後の原油調達、国内の石油需要、各社の成長 戦略の変化を踏まえた、新しい判断基準が告示されました。新しい 判断基準では、目標指標である装備率の定義を従来の重質油分解 装置に、重油直接脱硫装置、流動接触分解装置、溶剤脱れき装置を 加えた残油処理装置装備率とし、この装備率(現在は45%程度)を 16年度までに50%まで引き上げることが目標とされています。石 油精製各社は現状の装備率に応じた、3段階の改善率を達成するこ とが義務付けられました。新しい判断基準では、目標達成の手段と して製油所間の連携や事業再編による設備能力の融通も認められ ることとなりました。また、石油精製各社は目標達成のための具体 的計画において、設備最適化の基盤となる事業再編の方針もあわ せて示し、その取組状況を定期的に報告することとされました。

エネルギー政策の再構築

〜東日本大震災以降のエネルギー政策について〜 近年は、世界のエネルギー情勢は厳しさを増し、アジア諸国を中 心としたエネルギー需要の増大、資源国における資源ナショナリズ ムの高まりなど大きな構造変化が起きています。加えて、地震やハ リケーンなど自然災害、原子力発電所事故によるエネルギーの安 全性の見直し、投機的な資金の流入、テロの懸念、イランの核問題

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用

及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律

(エネルギー供給構造高度化法)

エネルギー供給事業者による取組の促進の必要性 エネルギー供給事業者(電気、石油、ガス事業者)による、 ①非化石エネルギー源の利用、②化石エネルギー原料の有効な利用を促進する。 ・ 太陽光、原子力等の非化石電源を2020年までに50%以上とする等、 非化石電源の利用を拡大することを義務付け (電気事業者) ・ 太陽光発電による電気の利用に係る適正な対価での買取りの義務付け (電気事業者) ・ バイオ燃料・バイオガスの利用を義務付け (石油事業者、ガス事業者) ・ 原油や天然ガスの有効な利用を義務付け (石油事業者、ガス事業者) 技術開発の促進の必要性 (例) ・ 水素社会構築に向けた、水素の製造や貯蔵、燃料電池に関する技術開発 ・ 非在来型資源(メタンハイドレートやオイルサンド)に関する技術開発 ・ 石油残渣を高効率に分解するための技術開発 ・ ガス化複合発電(IGCC)に関する技術開発 ・ 木質等、セルロース系バイオマスの活用に関する技術開発

基本方針

(経済産業大臣が策定) 判断基準 (特定のエネルギー供給事業者へ ①、②を義務付け) 計画作成・提出 (一定規模以上のエネルギー供給事業者が対象) 勧告・命令※ ※判断基準に照らして取組の状況が 著しく不十分な場合に措置

石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律(代エネ法)等の一部を改正する法律

石油代替政策を見直し、開発・導入を促進する対象を 「石油代替エネルギー」から「非化石エネルギー」(新エネ、原子力等)に変更する。 具体的な措置の例 工場または事業場において導入すべき非化石エネルギーについて、事業者に対する導入の指針を定め、公表する。 (例) ・ 事業者と地方公共団体が連携して、大規模太陽光発電(メガ・ソーラー)の建設を促進すること。 ・ 港湾、鉄道、空港などの公的施設において、太陽光発電等新エネルギーの導入をより一層促進すること。

(18)

といった中東諸国を取り巻く不安定要因による影響も深刻化し、エ ネルギー価格は大きく変動しました。その中で、エネルギー安全保 障への関心が世界的に高まり、各国ではエネルギー安全保障を主 軸としたエネルギー国家戦略の再構築を進めています。 こうした状況を背景として、わが国は、10年6月に第二次改定が 行われたエネルギー基本計画の下でエネルギー政策を推進する一 方、11年3月11日に発生した東日本大震災や、福島原子力発電所 の事故といったかつてない事態に直面しました。 このような状況下、東日本の復興を支え、震災前からわが国が直 面していた諸課題に対応し、日本の再生に向けた取り組みを再ス タートするために、11年5月17日に、政府は、日本再生の方針を提 示した「政策推進指針〜日本の再生に向けて〜」を閣議決定し、そ の中で、「新成長戦略実現会議」において、電力制約の克服、安全対 策の強化に加え、エネルギーシステムのゆがみ・脆弱性を是正し、 安全・安定供給・効率・環境の要請に応える短期・中期・長期から なる革新的エネルギー・環境戦略を検討することを決定しました。 これを受け、同年6月7日に開催された新成長戦略会議におい て、①原子力発電への依存度を2030年には5割とするとした現行 のエネルギー基本計画を白紙で見直すべき状況にあること、②経 済成長と国民生活の安定を図るためのエネルギーの選択は、常に、 また、どの国でも重要課題であること、③白紙からエネルギー・環 境戦略を見直し、新たな合意形成を急がねばならないこと、の三点 が改めて確認され、国家戦略担当大臣を議長とする「エネルギー・ 環境会議」を設け、省庁横断的に、かつ、聖域なくエネルギー・環境 戦略を練り直すこととなりました。 同会議において、7月に「革新的エネルギー・戦略策定に向けた 中間的な整理」をまとめ、原発への依存度低減のシナリオと、分散型 エネルギーシステムへの転換という大きな方向性を決定しました。 また、示された方向性、基本方針に基づき、グリーン成長戦略、原子 力をはじめとした各電源のコストの検証、新しい「エネルギー基本計 画」(望ましいエネルギーミックス)、温暖化対策、原子力政策に関す る議論を行いました。12月には、それぞれの論点整理等や検討結果 を踏まえ、エネルギー・環境会議として、「基本方針〜エネルギー・ 環境戦略に関する選択肢の提示に向けて〜」を決定し、この方針を 踏襲した形で12月24日に閣議決定された「日本再生の基本戦略に ついて」の中でエネルギー・環境政策の再設計が明記されました。 その後、特に核燃料サイクル政策、エネルギーミックス、温暖化対 策について精力的に検討がなされ、12年6月には、①2030年まで のなるべく早期に原発比率をゼロとするゼロシナリオ、②原発依存 度を着実に下げ2030年に15%程度としつつ、化石燃料依存度の 低減、CO2削減の要請を円滑に実現する15シナリオ、③緩やかに 原発依存度を低減しながら、一定程度維持し、2030年の原発比率 を20 〜25%程度とする20 〜25シナリオが、国民が新たなエネル ギーの選択を議論するために必要な選択肢として提示されました。 同選択肢について、パブリックコメント、意見聴取会、討論型世論調 査等により、短い期間ではあるものの、国民的議論が行われ、これ を踏まえた形で同年9月に、エネルギー・環境会議において、「革新 的エネルギー・環境戦略」が取りまとめられました。同戦略には、① 原発に依存しない社会の一日も早い実現、②グリーンエネルギー 革命の実現、③エネルギー安定供給、④電力システム改革の断行、 ⑤地球温暖化対策の着実な実施といったことが明記されました。ま た、同戦略を受けて、12年末をめどにグリーン政策大綱、電力シス テム改革戦略、地球温暖化対策の計画等について、取りまとめが行 われることとされました。

新しいエネルギー基本計画の策定

その後、12年12月の総選挙後の政権交代を受けて、13年1月に は安倍総理大臣から茂木経済産業大臣に対し、「前政権のエネル ギー・環境戦略をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エ ネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構 築すること」との指示が出されました。これを受け、総合資源エネル ギー調査会基本政策分科会(13年6月までは総合部会)は、計17回 の会議で集中的に議論を行い、同年12月に、原子力発電を基盤と なる重要なベース電源と位置付けるなど(14年2月の閣僚会議では 「重要なベースロード電源」に修正)、前政権が「エネルギー・環境戦 略」で示した、2030年代の原発再稼働ゼロを目指すといった方針 を転換した「エネルギー基本計画に対する意見」を取りまとめまし た。この中では、東日本大震災等によって露呈した、わが国のエネル ギー需給構造が抱える課題を踏まえ、わが国のエネルギー政策の 原則と改革の視点として、従来の3E+S(安全性:Safety)に加え、 国際的視点と経済成長が重要であることや、多層化・多様化した柔 軟なエネルギー需給構造の構築に向けた政策の方向性が示されて います。 具体的には、①原子力政策は、福島の再生、復興に全力で取り組 むとともに、安全性の確保を大前提に引き続き活用していく重要な ベース電源とし、②エネルギーの生産(調達)段階では、安定的な資 源確保の抜本強化とともに、石油、LPガスの危機管理能力の強化な ど国内エネルギー供給網の強靭化を図ること、③さらに需要家の選 択肢を拡大し、市場の垣根を外していく供給構造改革として、電力 システム改革を断行し、ガスシステム改革を推進すること、石油につ いては、市場構造の変化に応じた構造改善によって、石油産業の経 営基盤強化、競争力強化を推進すること、④エネルギーの消費段階 では、需要家の選択肢の拡大を通じた、効率的な供給構造の実現や 省エネ強化、⑤さらに、市場の統合を通じた総合エネルギー企業等 の創出、安定供給と地球温暖化対策に貢献する二次エネルギー構

参照

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