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規制改革による物流の合理化・効率化

石油製品は、内航タンカー、タンクローリー、タンク車(鉄道)およ びパイプラインといった輸送手段を利用して、油槽所や給油所(SS)

を経由し消費者に届けられています。このうち、タンクローリーと内 航タンカーで輸送量全体の大半を占めています。

石油産業は、1996年3月末の特石法廃止以降における経営環境 の変化に対処するため、各種の物流手段・施設を効率的に配置・

統合するとともに、会社間における製品の相互融通の拡大、輸送手 段や油槽所の共同化を進めています。特に、99年以降は、企業の枠 組みを超えた精製から物流部門におよぶ業務提携等の動きが活発 化し、精製・流通基地の統廃合や物流情報のシステム化など、物流 の効率化、コスト削減が図られてきました。

一方、物流効率化推進の観点から、内航・陸運に係わる規制改革 も行われてきました。

例えば、陸上輸送では、車両の全長・車軸間隔・輪荷重により積 載量を制限する車両制限令などが93年11月に改正され、26 〜 28S級の大型タンクローリーの導入が推進され、さらに03年10月 の同令および保安基準の一部緩和を受け、コンパクトな超短尺 24Sローリーが開発されたことや、30S級のローリーの開発等、

ローリーの大型化が推進されました。99年4月以降は、石油製品輸 送の効率化と安全管理対策の向上を図る目的から、必要な安全対 策設備を講じることを条件にSSにおけるタンクローリー運転者単 独での荷卸し作業が許可され、05年10月には、これが灯油配送セ ンターや需要家等の地下タンクまで適用の拡大が図られました。

単独荷卸しの適切な活用は安全性向上、物流コストの削減、SSや 需要家の利便性向上などに繋がると期待されています。

自動車用燃料課税に係わる諸問題への対応 石油製品の輸入自由化を契機として、軽油引取税の脱税を目的と した悪質な不正軽油の輸入、流通段階における不正混和(灯油やA重 油等を混和)、A重油などの不正使用が急増する一方、不正な脱税軽 油の製造過程で生成される硫酸ピッチの不法投棄が社会問題化しま した。このような問題は、安価な軽油が出回ることによって市場にお ける公正・公平な競争条件が歪められるばかりでなく、自動車用燃料 として不適切な品質の燃料が使用されることによる環境面での悪影 響が懸念されます。硫酸ピッチの不法投棄は土壌汚染などの環境問 題に加え、近隣住民の健康被害まで引き起こす事態になっています。

石油連盟では、販売業界等と連携して軽油引取税脱税防止に関 する抜本的対策を実施すること等を要望してきましたが、2004年6 月、不正軽油の製造・流通防止を目的として地方税法が改正され、

軽油引取税の脱税に関する罰金の引き上げ、混和等の承認を受け る義務に違反した場合の罪の創設など脱税行為への罰則が強化さ れました。

一方で、不正軽油の撲滅に向けて取り組む東京都および軽油引 取税全国協議会から、03年秋と04年春の2度にわたり、不正軽油の 原材料に使用されている灯油・A重油等の出荷の取り扱いに関す る要請が石油元売会社に対して行われました。これを受けて、石油 連盟としては、04年12月に「軽油引取税脱税防止ガイドライン」を 策定し、石油精製・元売業界の指針として本社・支店・製油所等の 各事業所に周知徹底を図っています。

また、06年6月より、都道府県知事の承認を受けないで軽油を製 造する者に事情を知りながら原材料や薬品、設備等を提供した者等 に対する罰則の創設等、軽油引取税の脱税防止対策がさらに強化 されました。今後も、軽油引取税の脱税防止に向けた取り組みの強 化とともに、自動車燃料に対する課税の公平性の確保が必要です。

SSを巡る経営環境の変化

2001年12月に石油業法が廃止され、石油産業は本格的な国際 化・自由化時代に入り、国内石油市場は国際市場とリンクしたもの となりました。また今後は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッ ド車(PHV)などの次世代自動車の増加が見込まれています。

こうした環境変化に対処するため、精製・元売会社、販売業界が 一体となって、付加価値販売の強化と経営の効率化に向け、適正な 流通市場構築に取り組むことや、SSでの新たな付加サービスを創 出することが喫緊の課題となっています。

■セルフSSの急増

98年4月以降、ドライバーの給油作業を一定の有資格者が監視す る有人セルフ方式のSSが導入されて以来、その数は13年度末に 9,275ヵ所となり、SS全体に占める普及率が約27%になっています。

わが国でのセルフSSは、当初欧米で経験豊富な外資系企業や中 小元売会社が先行し、02年以降は大手の民族系元売会社も積極的 に出店を開始しました。最近では特約店・販売店も独自にセルフ化 に意欲的に取り組んでいます。一方、セルフSS間での競争の激化に より、閉鎖されるセルフSSも出始めています。

石油製品の流通・販売

■セルフSSの安全対策について

ドライバーが自ら給油を行うセルフSSの増加に伴い、給油中のガ ソリンの吹きこぼれや誤給油が増加しているため、石油連盟などで は正しい給油方法についてホームページ、ポスター等で周知し、注 意喚起を行っています。

また、石油各社はセルフSSにおける安全対策として、給油時の監 視強化や、静電気対策として給油ノズルの導電性の確保、漏洩事故 対策の観点からスプラッシュガードの設置等、安全性向上に向け て、積極的に取り組んでいます。

■次世代自動車の増加

EVやPHVなどの次世代自動車の増加に伴い、SSで提供される サービスも、従来求められていたものから大きく変化する可能性が あり、SSを取り巻く環境の変化に合わせ、太陽光発電、急速充電器 の設置などのインフラの整備や、カーシェアリング等SSにおける新 たな付加サービスを創出することが課題となっています。

■SSを巡る環境問題への対応

従来、石油産業の環境問題への取り組みは製油所を中心に進め られてきましたが、ここ数年は、SSに係わる真剣な取り組みが多くな りました。

具体的には、02年4月からスタ−トしたPRTR法に基づくベンゼン など有害化学物質の排出量の届出、05年1月から世界に先駆けて 開始されたサルファーフリー(硫黄分10ppm以下)ガソリン・軽油 の全国規模での供給などがあります。

また、SSの土壌・地下水汚染問題の重要性を踏まえ、石油連盟で はSSにおける油漏れの未然防止・早期発見を目的に「SS土壌環境 セーフティーブック」を作成しています。

さらに、本問題への取り組みの一環と して、09年8月に合成樹脂配管等の施工 方法に関する通知の一部を改正する通知

(消防危第144号)が消防庁から発出され たことを受け、土壌と接する地下埋設配 管において、腐食等のリスクが低い合成 樹脂配管等の使用を促進する観点から、

地下埋設配管に合成樹脂配管および樹 脂配管用耐火板接続ボックスを用いる際 の標準的な施工方法について、2010年3 月に石連標準仕様を作成しました。

10年6月には、地下タンクからの油漏 れ事故への対策として、危険物の規制に 関する規則の一部が改正され、SS等の地 下に埋設されている鋼製一重殻タンクに ついて11年2月より埋設年数や設計性能 等に応じた漏えい対策を実施することが

義務付けられました。この規制は13年1月末をもって経過措置の期 限を迎えました(東日本大震災被災地においては16年1月末まで)。

石油業界では今後も土壌汚染防止対策を進めていきます。

■SS過疎地問題

石油製品の需要減少に伴う競争の激化により、SS数の減少が続 いていることから、「SS過疎地問題」が懸念されています。SSが閉鎖 されることにより、生活圏内にSSがなくなり、寒冷地では生活必需 品となっている灯油や、農業林業用車両の燃料の供給が難しくなっ ている地域が増加しており、社会問題として取り上げられるように なりました。その背景としては、前段で述べた13年1月末に経過措 置の期限を迎えた経年地下タンクの漏洩防止対策の義務付けを契 機に、設備投資が困難な為、廃止となるSSが増加したことも一因と して挙げられます。

この様な状況は、消費者の利便性を損なうだけでなく、災害時に 営業を停止せざるを得ないSSが発生した場合、地域住民への燃料 供給が極めて不安定化するなど、深刻な事態となることが懸念され ます。

石油業界としては、石油製品の安定供給という社会的責任を果た していくためにも、行政や自治体のリーダーシップの下、地域住民の 方々のニーズを正確に把握した上で、ともにこの問題に取り組んでい くことが重要と考えています。

40,000 35,000 50,000 45,000 60,000 ヵ所 55,000

0 10,000

8,000

6,000

4,000

2,000 30,000

■給油所およびセルフ給油所の推移

出所:経済産業省、石油情報センター

給油所数

セルフ給油所

56,444 58,263 59,615 59,990 60,421

55,172 53,704

52,592 51,29450,067 48,672 47,584

44,057 42,090

34,706 37,743 45,792

2008 2013

 年度末 38,777

2011 2010 40,357

85 191 422 1,353

2,523 3,4234,104

4,956

7,0237,774

8,596 9,275 36,349

2012 8,862

6,162

8,449 8,296

2009 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994

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