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国内石油需給動向

技術開発に関する取り組み

■燃料電池の普及に向けて

東日本大震災を機に、災害時の停電への備えや節電対策に対する 社会的な関心やニーズは高まっており、これらに応えるためにも石油 業界は積極的に燃料電池の普及促進に取り組んでいます。

●技術開発……従来の固体高分子形(PEFC型)を上回る、定格発電 効率45%を実現した固体酸化物形(SOFC型)家庭用燃料電池の 販売を2011年10月より開始しました。

引き続き災害に強い石油系燃料の特徴を活かした災害対応型燃料 電池システムの開発を進めています。

●実証試験……技術開発の成果を反映させつつ、一般家庭や業務用 施設における石油系燃料を用いる燃料電池システムの実証試験を 積極的に進めています。

●普及基盤整備……規制緩和要望、JIS基準・国際基準の策定、そ の他各種基準の作成を進めます。

燃料電池車への水素供給

石油業界では、水素と空気中の酸素を反応させて作った電気で モーターを回して走る、地球にやさしい燃料電池車の普及に向け て、燃料電池車向けの水素製造技術を開発するとともに、燃料の水 素供給インフラである水素ステーションの実証および運用の拡大を 進めています。

石油各社は、JHFC/NEDOプロジェクトや水素供給・利用技術 研究組合(HySUT)への参加を通じて、国の実証事業として各種タイ プの水素ステーションを運用してきました。2011年1月には石油各 社、自動車各社、ガス各社の計13社が燃料電池車の15年国内市場

導入※1と水素供給インフラ整備に向けた声明を共同で出しました。

石油各社は水素供給事業者として、15年を目処に100ヵ所程度 の水素ステーションの建設を行うことを目標とし、水素供給インフラ の先行整備に取り組んでいます。また、自動車各社、ガス各社と共同 で燃料電池車の普及拡大、供給インフラ網整備に取り組むととも に、これらの実現に向け、普及支援策や社会受容性向上策等を含む 普及戦略について官民共同で構築することを政府に要望する等、積 極的な取り組みを進めています。

また、SSで灯油から水素を製造・供給する設備の技術開発※2も 行っています。08年度からは、灯油を原料とする膜型反応分離プロ セスを用いた水素製造技術開発を実施しています。

※1 当初の見通しより早く、14年に国内市場への導入開始。

※2 (一財)石油エネルギー技術センターが実施する将来型燃料高度利用研究開発事業の 一環として実施。

■水素供給インフラの  先行整備のイメージ図

高速道路への配備

4大都市圏への先行配備

※導入以降、全国的な  FCV導入拡大と  水素供給インフラの  整備に取組む

水素ステーション

石油関連技術への取り組み

より高効率な石油利用技術や、より高品質な石油製品の開発など、

石油業界の共通技術課題に取り組むため、石油連盟加盟会社は、

1990年12月に(株)石油産業技術研究所(石油技研)を設立し、自動 車用燃料、業務・家庭用燃料、石油システム・機器および石油精製・

貯油設備の保安管理に係わる調査・研究等に取り組んでいます。

また、1991年度には千葉市に同社土気研究所(千葉市緑区大野 台)を建設し、(一財)石油エネルギー技術センター(JPEC)の石油基 盤技術研究所と協力して、各種の試験研究を実施しています。

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自動車用燃料に係わる調査・研究

環境問題等の社会的ニーズに応えるには、自動車の省燃費性向上 と排出ガス低減に寄与する燃料品質の方向性を見極めることが重要 となっています。

石油業界は国の支援を得て、自動車業界との共同研究として「大気 改善のための自動車排出ガス浄化技術の研究(JCAPⅠおよびJCAP

Ⅱ)1」を実施しました。そのひとつの成果として、ガソリン、軽油の低硫 黄化による排出ガスのクリーン化および燃費向上効果を確認し、石油 業界はその結果を踏まえ、世界に先駆け、サルファーフリーガソリン・

軽油の供給を実現しました。

また、2007年度からは、大気環境保全とさらには地球温暖化、エ ネルギーセキュリティ対応を視野に入れ、「CO2削減」、「バイオマス等 燃料多様化」、「排出ガス低減」という3つの課題を同時に解決する最 適な自動車・燃料利用技術の確立を目指した新しいプロジェクト

(JATOP2)を実施しました。主な成果としては、

①バイオマス燃料利用に関する影響評価:国内石油業界によるバ イオETBE配合ガソリン(バイオガソリン)の導入(2010年度に原油換 算21万S/年のバイオマス利用)のためのデータベースとしての活用

②将来のディーゼル燃料に関する研究:今後導入が見込まれる非

在来型石油や分解系軽油留分などの各種軽油用基材を利用した燃 料について、ディーゼル車の各種性能に及ぼす影響と課題の検討な どが挙げられ、各取り組みに反映されています。

さらに、2012年度から2014年度までは、JATOPで得られた成 果を踏まえて、原油から得られる各留分を余すところなく活用するこ とにより、原油処理を最適化し、原油処理量の削減、CO2排出量の削 減を実現することを目的にしたプロジェクト(JATOPⅡ)を実施しまし た。この研究では、石油精製における残油の分解等で得られる留分に ついて、自動車燃料としての利用等を想定し、環境面・安全面で問題 なく使用できるよう、自動車を用いて燃費・運転性に与える影響の評 価、排出ガス等による環境負荷の影響評価等を行いました。2015年 度以降も引き続き、これらの課題の検討に取り組んでいきます。

※1 : Japan Clean Air Program、JCAPⅠ:1997〜2001年度、JCAPⅡ:2002〜2006年度

※2 : Japan Auto-Oil Program、JATOP:2007〜2011年度

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石油システム・機器に係わる調査・研究

石油連盟では、民生・業務分野における石油利用システム・機器 の本格普及、消費者の灯油使用に係る利便性向上に資する調査・研 究に取り組んでいます。

石油技研ではこのための実証データ取得や、各種の調査・研究に より、「ホット住まいる(石油セントラル暖房・給湯システム)」などの性 能や快適性を評価し、普及促進に活用しています。

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石油精製・貯油設備の保安管理に係わる調査・研究 石油業界は自主保安の推進を目指しています。

そのために石油精製設備や貯油設備の非破壊検査技術など効率 的な設備保全技術の導入に関する調査研究を行っています。

使用中の設備に関しては、検査で得られたデータに基づき、その設 備が現在保有している強度や余寿命を判断する供用適性評価基準に ついてAPI(全米石油協会)やASME(米国機械工学会)と連携をと りながら取りまとめを進めています。

また、わが国が地震国であることに鑑み、長周期の地震動が貯油 設備に与える影響について地道にデータを取得し、将来の貯油設備 の安全管理に資するための調査研究を進めています。

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製造技術に関わる研究開発

原油の重質化や非在来型原油等、供給源の多様化が予想される一 方で、国内石油製品需要の減少、特に重油需要の更なる減少が見込 まれています。

このような状況に対応するため、原油および原料油(重質油等)を 性質・構造に則して分画し、分子レベルの詳細構造や、石油精製等に 関係する複雑な反応を解析する技術(ペトロリオミクス技術)を確立 し、石油精製業界の国際競争力強化に資する研究開発に利用する取 り組みを2011年度からJPECを中心に実施しています。

(株)石油産業技術研究所・土気研究所

技術開発に関する取り組み

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