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はじめに 交通事故統計年報によると 交通事故発生件数及び死傷者数は年々減少傾向にあるが 自動車保険統計による保険金支払額は同様には減少していない 現在の交通事故対策は 警察統計による交通事故発生件数や死傷者数等の量的な値で評価し その値を減少させることを目的に行われているが 現状ではこの比較手法が必

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平成28 年度

自動車保険データからみる

交通事故発生状況の推移に関する研究

A Study on the Transition of Traffic Accident Situations by Automobile Insurance Data

指導教授 安 井 一 彦 池 田 隆 博

3077 白 田 陸

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はじめに 交通事故統計年報によると、交通事故発生件数及び死傷者数は年々減少傾向にあるが、自動車保 険統計による保険金支払額は同様には減少していない。現在の交通事故対策は、警察統計による交 通事故発生件数や死傷者数等の量的な値で評価し、その値を減少させることを目的に行われている が、現状ではこの比較手法が必ずしも合理的であるとはいえない。 そこで本研究では、交通事故発生状況と自動車保険支払状況の推移について関係を明らかにし、 今後の交通事故対策の在り方を検討することを目的とする。

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目次 頁 はじめに 第1章 序論 ... 1 1-1 研究の背景と目的 ... 1 1-2 論文の構成 ... 2 第2章 分析に用いる統計データ ... 3 2-1 交通事故統計データ ... 3 2-1-1 交通事故発生状況の推移に関するデータ ... 3 2-1-2 交通事故統計に関する用語説明 ... 3 2-2 自動車保険統計データ ... 4 2-2-1 自動車保険支払状況の推移に関するデータ ... 4 2-2-2 自動車保険の概要 ... 4 2-2-3 自動車保険に関する用語説明 ... 6 2-3 本研究における用語の説明 ... 7 第3章 交通事故発生状況と自動車保険の支払状況の推移 ... 8 3-1 交通事故発生状況の推移 ... 8 3-1-1 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移 ... 8 3-1-2 警察庁統計(24 時間統計・30 日以内統計)と厚生統計の死者数の推移 ... 9 3-2 自動車保険金支払状況の推移 ... 10 3-2-1 人身・物損事故に対する保険金支払状況の推移 ... 10 3-2-2 人身・物損事故1件当たりの保険金支払額の推移 ... 12 3-2-3 人身事故に対する保険金支払状況(死亡・後遺障害・傷害別)の推移 ... 13 第4章 警察統計と自動車保険統計から見る交通事故発生状況の変化 ... 15 4-1 分析手法 ... 15 4-2 警察庁統計から見る交通事故発生状況の変化 ... 16 4-2-1 事故類型別死亡事故発生件数の推移 ... 16 4-2-2 事故類型別負傷事故発生状況の推移 ... 17 4-3 自動車保険統計から見る事故類型別被害状況の変化 ... 18 4-3-1 死亡に対する事故類型別保険金支払状況の推移 ... 18 4-3-2 後遺障害に対する事故類型別保険金支払状況の推移 ... 20 4-3-3 傷害に対する事故類型別保険金支払状況の推移 ... 22 4-3-4 負傷に対する事故類型別保険金支払件数の推移 ... 24 4-4 現在の交通事故対策の評価 ... 26

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第5章 今後の交通事故対策の方向性の検討 ... 27 5-1 検討手法 ... 27 5-2 交通事故発生件数と保険金支払状況の相関分析 ... 27 5-2-1 死亡事故発生件数と保険金支払額の相関分析 ... 27 5-2-2 負傷事故発生件数と保険金支払状況の関係分析 ... 28 5-3 今後の交通事故対策の方向性 ... 29 第6章 結論と今後の課題 ... 30 6-1 結論 ... 30 6-2 今後の課題 ... 30 参考文献 ... 31 おわりに

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1 第1章 序論 1-1 研究の背景と目的 交通事故総合分析センター1)が公開している交通事故統計年報によると、交通事故発生件数と、 交通事故による死傷者は減少傾向にあり、平成17 年では合計で 933,698 件発生していたが、最新の 平成26 年の統計によると 665,066 件であり、約 30%減少している。一方、損害保険料率算出機構 2)が公開している損害保険料率算出機構統計集によると、自動車保険金支払額は平成17 年から平成 26 年に至るまで、多少の増減はあるものの約3兆円を推移しており、金銭的指標による被害は減少 していない。 現在の交通事故対策は、交通事故発生件数や死傷者等の量的な値で評価し、これらの値が大きい 順に対策を行うことで、値そのものを減らすことが目的となっている。しかし、交通事故はそれぞ れ1件ごとの被害程度は異なり、現状から見てもこの評価方法が合理的であるとはいえない。 自動車保険に関する既往研究として、篠崎3)が行った交通事故件数と損失額からみた都道府県別 被害特性に関する研究が行われている。篠崎は、警察統計のみでなく、自動車保険統計を評価に加 えて都道府県別の事故特性の違いを明らかにし、事故要因に対して今後取り組むべき具体的な対策 の方向性を示した。しかし、交通事故発生件数が減少傾向にあるのに対して、なぜ自動車保険金支 払額が減少していないか明らかにする研究は行われていない。 そこで本研究においては、交通事故発生状況と自動車保険データの推移について関係を明らかに し、交通事故発生状況の推移を把握する。そして、その結果から今後の交通事故対策指標の在り方 を検討することを目的とする。

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2 1-2 論文の構成 本研究では6章で構成されている。各章の概説を以下に示す。 第1章 「序論」では本研究を行う背景と目的、構成について述べるとともに、既存研究との位 置づけや研究の流れを整理することで、研究を行う上での着眼点、目的を明確にする。 第2章 「分析に用いる統計データ」では、用いる統計の出典を示し、基本的な用語の定義など について述べる。 第3章 「交通事故発生状況と自動車保険の支払状況の推移」では、現在の交通事故統計および 自動車保険統計を用いて経年変化から被害の状況を述べる。 第4章 「警察統計と自動車保険統計から見る交通事故発生状況の変化」では、交通事故統計と 自動車保険統計を用いて、事故類型別や被害程度などの項目別の推移を細かく分析し、発生状況と 被害状況の変化を明らかにし、現在の交通事故対策について評価を行う。 第5章 「今後の交通事故対策の方向性」では、警察統計と自動車保険統計の関係を明らかにし、 今後の交通事故対策に用いる指標の在り方と今後の交通事故対策の方向性を述べる。 第6章 「結論と今後の課題」では、研究の成果をまとめると同時に、今後の課題について述べ る。 本研究の構成とフローを図1-1に示す。 図1-1 本研究の構成 1.序論 2.分析に用いる統計データ 3.交通事故発生状況と 自動車保険の支払状況の推移 4.警察統計と自動車保険統計から見る 交通事故発生状況の変化 5.今後の交通事故対策の方向性の検討 6.結論と今後の課題

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3 第2章 分析に用いる統計データ 本研究で使用する交通事故統計データと自動車保険データに用いられている基本的な用語の説 明を以下に示す。 2-1 交通事故統計データ 2-1-1 交通事故発生状況の推移に関するデータ 日本国内における交通事故発生状況の推移に関するデータは、平成17 年から平成 26 年までの警 察庁の交通事故統計データと交通事故総合センターの交通事故統計年報を用いる。なお、交通事故 発生件数と自動車保険支払状況の変化に関する分析については、本研究で対象とする平成 17 年か ら平成24 年までの交通事故統計年報のデータを用いる。 2-1-2 交通事故統計に関する用語説明 (1) 交通事故 道路交通法第2条第1号に規定する道路において、車両等および列車の交通によって発生した事 故で、人の死亡または負傷を伴うもの。 (2) 死者数 交通事故発生から24 時間以内に死亡した人数。 (3) 負傷者 重傷者と軽傷者の合計をいう。なお、重傷者とは、交通事故によって負傷し1ヶ月(30 日)以上 の治療を要する場合の人数を指し、軽傷者とは、交通事故によって1ヶ月(30 日)未満の治療を要 する場合の人数をいう。 (4) 自動車保有台数 自動車保有車両数は乗用車、貨物車、乗合車、特殊車、二輪車の合計値をいう。 (5) 人口 総務省統計資料4)による人口推計は国勢調査によるものであり、国勢調査における人口は「常住 人口」である。常住人口とは、調査時に調査の地域に常住している者をいう。 (6) 被害者 事故によって死亡、後遺障害、障害を被った者。歩行者(自転車乗用中を含む)、相手車両の運転 者、自車両・相手車両の同乗者などをいう。過失の程度が加害者より多くても損害賠償を受けた者 は被害者という扱いになる。自車両(保険契約車両)の運転者は対象外である。

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4 2-2 自動車保険統計データ 2-2-1 自動車保険支払状況の推移に関するデータ 日本国内における自動車保険支払状況の推移に関するデータは、平成17 年から平成 26 年までの 損害保険料率算出機構統計年報を用いる。なお、交通事故発生件数と自動車保険支払状況の変化に 関する分析については、本研究で対象とする平成17 年から平成 24 年までの日本損害保険協会5) 交通事故実態報告書の人身事故に対する保険金支払額を用いる。 2-2-2 自動車保険の概要 自動車に関する保険は、自動車損害賠償保障法(昭和30 年法律第 97 号)に基づいて加入が義務 付けられている強制保険「自動車賠償責任保険(以下、自賠責保険)」と、法律に基づく強制を受け ない「任意自動車保険(以下、任意保険)」に大別される。自動車損害賠償保障法により、自動車の 保有者は自賠責保険に加入していなければ自動車を運転することが出来ない。 自動車事故によって死傷した被害者は、その損害について自賠責保険により基本的な補償を受け られる。加害者が任意保険に加入しており、被害者の損害が自賠責保険では補償しきれない場合に は、任意保険から上乗せして支払うシステムになっている。 自賠責保険および任意自動車保険の補償内容の種類を図2-1に示す。また、その説明を示す。 図2-1 自動車保険の種類 自動車保険 (1) 強制保険(自賠責保険) (対人のみ) (2) 任意保険 1) 対人賠償責任保険 (対人のみ) 2) 対物賠償責任保険 (他人の対物のみ) 3) 搭乗者傷害保険 (運転者および搭乗者等) 4) 車両保険 (契約車両のみ) 5) 人身傷害補償保険 (契約者のみ) 6) 自損事故保険 (運転者および搭乗者) 7) 無保険車傷害保険 (対人のみ)

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5 (1) 強制保険(自賠責保険) 「自動車損害賠償保障法」によって定められた保険。自動車の保有者は原則自賠責保険に加入し なければ自動車を運転することが出来ない。 自賠責保険とは、自動車の運行によって、歩行者、同乗者、他の車の搭乗者等の他人を死傷させ て、法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険金が支払われる保険である。支払われる保険金の 限度である保険金額は、あらかじめ政令によって定められており、他人の財物に損害を与えた場合 は対象とならない。現在の限度額は、死亡3,000 万円、障害 120 万円、後遺障害 75 万から 4,000 万 円となる。 (2) 任意自動車保険(任意保険) 各個人の任意によって加入する保険。加害者が自動車保険を付けていて被害者の損害が自賠責で は保証しきれない場合には、任意自動車保険からこれに上乗せして支払うというシステムになって いる。本研究で取り扱う自動車保険データは、以下の1)から7)に示す保険によって支払われた 合計金額である。 1) 対人賠償責任保険 自動車事故によって、歩行者、同乗者、他の車両等の他人を死傷させて法律上の損害賠償責任を 負った場合に、自賠責保険の補償額を越える部分に対して保険金が支払われる。 2) 対物賠償責任保険 自動車事故によって、他人の財物に損害を与えて、法律上の損害賠償責任を負った場合に、保険 金が支払われる。 3) 搭乗者傷害保険 自動車事故によって、契約した自動車に搭乗中の運転者および同乗者が死傷した場合に、保険金 が支払われる。 4) 車両保険 契約した自動車自体が、偶然な事故によって損害を被った場合に、保険金が支払われる。 5) 人身傷害補償保険 契約した自動車乗車中や歩行中に自動車事故で死傷した場合に、自己の過失による障害を含めて 保険金が支払われる。 6) 自損事故保険 自動車事故によって、契約した自動車の保有者、運転者または搭乗者が死傷し、この損害が自賠 責保険の補償の対象とならない場合に保険金が支払われる。 7) 無保険車障害保険 契約した自動車に搭乗中の者等が、他の自動車との事故で死亡または後遺障害を被り、相手に損 害賠償を請求できる場合で、他の自動車が対人賠償責任保険を付けていない無保険車等のため十分 な補償を受けられない時に保険金が支払われる。

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6 2-2-3 自動車保険に関する用語説明 (1) 保険金支払件数 被害者に対して支払われた件数。ただし、自車両(保険契約車両)の運転者は対象外(運転者以 外の第三者に対する賠償のデータのため)となる。 (2) 損害物数 事故によって損傷を受けた車両(自車両、相手車両)および構築物等(家屋、ガードレール等) の数で、物損事故件数とは一致しない。 (3) 人身事故に対する支払額 被害者の治療関係費、慰謝料、休業損害、逸失利益等の合計をいう。過失等による減額を考慮す る前の損害認定実額で、保険金の支払額とは必ずしも一致しない。 (4) 物損事故に対する支払額 車両(自車両、相手車両)、構築物等の損傷復旧費用等の合計をいう。過失等による減額を考慮す る前の損害認定実額で、保険金の支払額とは必ずしも一致しない。 (5) 人身事故1件当たりの保険金支払額 人身事故1件当たりの保険金支払額(人身損失額)の平均値。 (6) 物損事故1件当たりの保険金支払額 物損事故1件当たりの保険金支払額(物的損失額)の平均値。

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7 2-3 本研究における用語の説明 本研究の分析に用いる用語の説明を以下に示す。 (1)警察統計 交通事故総合分析センターが発行する交通事故統計年報を示す。 (2)自動車保険統計 3章の人身・物損事故に対する保険金支払額については、損害保険料率算出機構統計集を示す。 また、3章の人身事故(死亡・後遺障害・傷害別)に対する支払額及び4章、5章においては、日 本損害保険協会が発行する交通事故実態報告書を示す。 (3)交通事故発生状況 警察統計あるいは自動車保険統計、もしくはその両方から総合的に評価した交通事故の多少を示 す場合に用いる。なお、評価する指標となる統計資料についてはその都度示す。多いほど交通事故 発生状況は悪く、少ないほど良い傾向にあるという。また、減少傾向にあればこれが改善されてい ると表記する。 (4)保険金支払状況 自動車保険統計による保険金の支払件数と支払額の総称を示す。 (5)交通事故発生件数 警察統計に記載されている全交通事故の発生件数を示す。なお、項目別に交通事故発生件数を示 す場合の項目についてはその都度示す。 (6)死亡事故 警察統計に記載されている交通事故のうち、死亡を伴う事故のみを示す。なお、項目別に発生件 数を示す場合の項目についてはその都度示す。 (7)負傷事故 警察統計に記載されている交通事故のうち、死亡事故を除いた事故を示す。自動車保険統計にお いては、後遺障害と傷害に対する支払状況の総称として用いる。なお、項目別に発生件数を示す場 合の項目についてはその都度示す。 (8)事故類型 人対車両・車両相互・車両単独の3種類の総称を示す。各事故類型について示す場合は、それぞ れの名称を用いる。

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8 第3章 交通事故発生状況と自動車保険の支払状況の推移 本章では警察庁の交通事故統計及び、自動車保険統計から交通事故発生状況を把握するため、交 通事故発生状況について述べる。 3-1 交通事故発生状況の推移 全国での交通事故発生件数や死傷者数の推移を示す。 3-1-1 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移 全国の交通事故発生件数および、その事故に伴った死傷者数の平成17 年から平成 26 年までの 10 年間の推移を図3-1に示す。また、プロットの数値は平成17 年の交通事故発生件数、負傷者数、 死者数の数値を100 として算出した指数である。 図3-1 交通事故発生件数・死者数・負傷者数の推移 図3-1より、交通事故発生件数および死傷者数は減少傾向にあり、平成17 年比で平成 26 年に おいては、いずれも約40%減少している。その中でも、特に死者数はより高い割合で減少している ことから、全事故における死亡事故割合が減少していることがわかる。 交通事故発生件数および死傷者数の全項目において減少傾向にあるものの、依然として多くの犠 牲者が出ており、交通事故被害が深刻な問題であることに変わりはない。 100.0 95.0 89.1 82.0 78.9 77.7 74.1 71.2 67.3 61.4 100.0 94.9 89.4 81.7 78.7 77.5 73.9 71.3 67.5 61.5 100.0 92.4 83.5 75.0 71.7 71.1 67.3 63.7 63.1 59.4 0 2 4 6 8 10 12 14 0 20 40 60 80 100 120 140 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 交通事故発生件数 負傷者数 死者数 交通事故発生件数( 万 件) ・ 負 傷者数 ( 万 人) 死者数 ( 千人 ) 年度(平成)

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9 3-1-2 警察庁統計(24 時間統計・30 日以内統計)と厚生統計の死者数の推移 全国の警察庁統計による24 時間統計・30 日以内統計の死者数と厚生統計による死者数を把握す るため、平成17 年から平成 26 年までの 10 年間の推移を図3-2に示す。なお、各プロットの数 値は平成17 年の各死者数の値を 100 として算出した指数である。また、厚生統計による死者と 24 時間統計による死者、30 日以内統計による死者の定義を以下に示す。 (1) 24 時間死者 警察庁統計の「24 時間死者」とは、道路交通法第2条1項第1号に規定する道路上において、車 両等および列車の交通によって発生した事故により、24 時間以内に死亡したものをいう。 (2) 30 日以内死者 警察庁統計の「30 日以内死者」とは、道路交通法第2条1項第1号に規定する道路上において、 車両等および列車の交通によって発生した事故により30 日以内に死亡したものをいう。 (3) 厚生統計の死者 厚生統計の死者は、厚生労働省統計資料「人口動態統計」6)による。この場合の交通事故死者数 は、当該年に死亡した者のうち原死因が交通事故によるもの(事故発生後1年を超えて死亡した者 および後遺症により死亡した者を除く)をいう。 図3-2 警察庁統計(24 時間統計・30 日以内統計)と厚生統計の死者数の推移 図3-2より、平成 17 年における厚生統計の死者数は、一般的に交通事故死者数として公開さ れている24 時間統計より約 3,100 人多くなっているが、平成 26 年には 1,600 人であり、その差は 小さくなっている。減少割合はほぼ同様であり、平成17 年比で平成 26 年においては約 40%減少し ている。 100.0 92.4 83.5 75.0 71.7 71.1 67.3 63.7 63.1 59.4 100.0 91.7 83.6 75.9 73.0 72.7 68.9 65.5 64.5 60.6 100.0 90.2 82.4 74.8 72.9 71.2 67.2 64.0 60.4 57.0 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 24時間死者 警察庁(30日) 厚生統計 死者数 ( 人) 年度(平成)

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10 3-2 自動車保険金支払状況の推移 日本国内の項目別保険金支払状況の推移を示す。 3-2-1 人身・物損事故に対する保険金支払状況の推移 (1)人身・物損事故に対する保険金支払件数の推移 平成17 年から平成 26 年における全国の人身・物損事故に対する保険金支払件数と、その合計支 払件数の推移をそれぞれ図3-3に示す。なお、各プロットに示した数値は、平成 17 年の人身・ 物損事故に対する保険金支払件数と合計支払件数の値を100 として算出した指数である。 図3-3 人身・物損事故に対する保険金支払状況の推移 図3-3より、人身事故に対する支払件数の 10 年間の推移はほぼ横ばい傾向にあるが、物損事 故に対する支払件数は平成23 年までに3%増加したのち、平成 26 年には約 19%減少している。全 体における物的事故に対する支払件数の割合が多いため、それに伴って全体の支払件数も物損事故 に対する支払件数とほぼ同様の傾向を示している。 図3-1、図3-2より、交通事故発生件数および死傷者数は減少傾向にあるのに対して、人身 事故に対する支払件数は減少傾向になく、警察統計と自動車保険統計には大きな乖離があるといえ る。 100.0 99.2 103.5 102.9 101.8 102.5 100.7 99.8 100.2 99.6 100.0 99.0 98.4 97.8 98.9 103.3 103.7 101.5 88.1 81.1 100.0 99.1 99.6 99.1 99.6 103.1 103.0 101.1 91.1 85.6 0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 人身・ 物損事故に 対す る 保険金支 払件数( 万 件) 年数(平成) 人身事故 物損事故 合計

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11 (2)人身・物損事故に対する保険金支払額の推移 平成17 年から平成 26 年における全国の人身・物損事故に対する保険金支払額と、その合計支払 額の推移をそれぞれ図3-4に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の人身・物損事 故に対する保険金支払額と合計支払額の値を100 として算出した指数である。 図3-4 人身・物損事故に対する支払状況の推移 図3-4より、人身事故に対する支払額はわずかな減少傾向にあるものの、全体的に見ると10 年 間の推移はほぼ横ばい状態である。平成 17 年比で平成 26 年において人身事故に対する支払額は 7.9%減少しているものの、減少傾向にあるとはいえない。図3-1、図3-2のように交通事故発 生件数および負傷者数は減少傾向にあるのに対して、人的・物損事故に対する支払額は減少してお らず、支払件数と同様に改善されていないことがわかる。 100.0 98.3 100.6 98.6 96.6 94.9 94.2 92.4 92.5 92.1 100.0 98.9 98.0 98.3 100.0 104.8 107.1 108.1 101.3 100.4 100.0 98.6 99.2 98.4 98.4 100.1 100.9 100.6 97.1 96.5 0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 人身・ 物損事故に 対す る 保険金支 払額( 億円) 年数(平成) 人身事故 物損事故 合計

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12 3-2-2 人身・物損事故1件当たりの保険金支払額の推移 平成17 年から平成 26 年の全国の人身・物損事故1件当たりの保険金支払額推移を図3-5に示 す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の人身・物損事故1件当たりの保険金支払額の値 を100 として算出した指数である。 図3-5 人身・物損事故1件当たりの保険金支払額の推移 図3-5より、人身事故1件当たりの支払額はわずかな減少傾向にあるもののほぼ横ばい状態に あるほか、物損事故1件当たりの支払額においては平成20 年以降増加傾向にある。 人身事故1件当たりの支払額は平成26 年においては平成 17 年比で 7.5%減少しているが、物損 事故1件当たりの支払額においては23.9%増加しており、被害は深刻化している。 図3-1や図3-2の交通事故発生件数や死傷者数が減少傾向にあるのと比較して、人身・物損 事故1件当たりの保険金支払額は減少しておらず、被害状況は改善されていないばかりか物損事故 においては1件当たりの被害がより深刻化している傾向がみられる。 100.0 99.0 97.2 95.8 94.9 92.7 93.5 92.5 92.3 92.5 100.0 99.9 99.6 100.5 101.0 101.4 103.3 106.5 115.0 123.9 0 10 20 30 40 50 60 70 80 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 人身 ・ 物損 事故 1 件当 た り の保 険金 支払 額( 万円 ) 年数(平成) 人身事故 物損事故

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13 3-2-3 人身事故に対する保険金支払状況(死亡・後遺障害・傷害別)の推移 (1)人身事故に対する保険金支払件数(死亡・後遺障害・傷害別)の推移 平成17 年から平成 24 年の人身事故に対する保険金支払件数の死亡・後遺障害・傷害別推移を図 3-6に示す。なお、本データは日本損害保険協会の報告資料を用いる。また、各プロットに示し た数値は平成 17 年の人身事故に対する保険金支払件数(死亡・後遺障害・傷害)の値を 100 とし て算出した指数である。 図3-6 人身事故に対する保険金支払件数(死亡・後遺障害・傷害別)の推移 図3-7 人身事故に対する保険金支払件数(死亡・後遺障害・傷害別)の構成率の推移 図3-6より、死亡に対する支払件数は年々減少傾向にあり、平成17 年比で平成 26 年において は約30%減少している。一方で傷害についてはほぼ横ばい状態であるほか、後遺障害については平 成18 年以降やや増加しており、平成 17 年比で平成 24 年においては 9.5%増加している。図3-1 や図3-2における交通事故発生件数や死傷者数が減少傾向にある一方で、自動車保険統計におい ては、死亡に対する支払件数は減少しているが、負傷事故の支払件数については減少していないた め、警察統計との乖離があるといえる。 100.0 91.5 88.9 83.7 77.8 75.5 74.6 70.1 100.0 96.2 102.2 109.8 112.3 109.9 112.5 109.5 100.0 96.2 98.0 95.7 94.6 96.1 97.7 97.7 100.0 96.1 98.1 96.2 95.3 96.6 98.3 98.1 0 30 60 90 120 150 180 0 2 4 6 8 10 12 17 18 19 20 21 22 23 24 傷害に 対す る 支払件数( 万 件) 死 亡 ・ 後 遺 障 害 に 対 す る 支 払 件 数 ( 万 件 ) 年数(平成) 死亡 後遺障害 傷害 合計 0.5 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 4.4 4.4 4.6 5.0 5.2 5.0 5.0 4.9 95.1 95.1 95.0 94.6 94.4 94.6 94.6 94.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡・後遺障害・傷害別支払件数の構成率 年数(平成) 死亡 後遺障害 傷害

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14 (2)人身事故に対する保険金支払額(死亡・後遺障害・傷害)の推移 平成17 年から平成 24 年の人身事故に対する保険金支払額の死亡・後遺障害・傷害別推移を図3 -7に示す。なお、各プロットに示した数値は平成17 年の人身事故に対する保険金支払額(死亡・ 後遺障害・傷害)の値を100 として算出した指数である。 図3-8 死亡・後遺障害・傷害別支払額の推移 図3-9 人身事故に対する保険金支払額(死亡・後遺障害・傷害別)の構成率の推移 図3-8より、死亡に対する支払額は支払件数とほぼ同様の減少傾向を示しており、平成 17 年 比で平成24 年においては 33%減少している。一方で、後遺障害と傷害は多少の増減はあるが、ほ ぼ横ばい傾向にあり、変化が見られない。図3-9より、構成率については死亡に対する支払額が 減少と同時に割合も減少しているが、後遺障害と傷害に対する支払額が減少していないことから、 これらの割合は増加傾向にある。 100.0 91.5 88.7 82.3 74.4 71.8 70.5 67.0 100.0 96.4 102.6 105.6 106.9 103.1 102.5 97.4 100.0 96.0 98.1 96.9 94.8 95.5 98.5 99.5 100.0 95.5 98.4 97.9 96.2 94.9 96.0 94.2 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡 ・後遺 障害 ・障害 に 対す る 支払 額(億円) 年数(平成) 死亡 後遺障害 傷害 合計 14.0 13.4 12.7 11.8 10.8 10.6 10.3 10.0 35.0 35.4 36.5 37.8 38.9 38.1 37.4 36.2 51.0 51.2 50.8 50.4 50.2 51.3 52.3 53.8 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡・後遺障害・傷害別支払額の構成率 年数(平成) 死亡 後遺障害 傷害

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15 第4章 警察統計と自動車保険統計から見る交通事故発生状況の変化 本章では、警察統計による交通事故発生件数と自動車保険の支払状況の交通事故発生状況の変化 を明らかにするため、手法と結果について述べる。 4-1 分析手法 図3-1に示したような交通事故発生件数と図3-6、図3-8に示したような保険金支払状況 の推移から、警察庁統計による交通事故発生件数は減少しているものの、現状では特に人身事故に 対する保険金支払額は減少しているとはいえない状況にある。この状況から、全事故類型の交通事 故が均等に減少しているわけではなく、交通事故の発生傾向に変化があると推測し、これを明らか にする。 本章においては、警察庁統計の交通事故発生件数と、自動車保険データによる支払状況を、それ ぞれ死亡事故と負傷事故、さらには人対車両・車両相互・車両単独の主な3つの事故類型別にその 件数の変化と構成率を算出し、その傾向を分析する。なお、分析には平成17 年から平成 24 年まで の交通事故統計年報と日本損害保険協会の報告資料を使用する。分析の流れについて図4-1に示 す。 図4-1 分析の流れ 死亡事故発生件数の推移 負傷事故発生件数の推移 死亡事故に対する 支払状況の推移 負傷事故に対する 支払状況の推移 警察統計 自動車保険 統計 死亡事故発生状況の 傾向の変化を把握 負傷事故発生状況の 傾向の変化を把握

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16 4-2 警察庁統計から見る交通事故発生状況の変化 4-2-1 事故類型別死亡事故発生件数の推移 警察統計による事故類型別死亡事故発生件数の推移を図4-2に示す。またその構成率を図4- 3に示す。なお、各プロットに示した数値は平成17 年の各事故類型別死亡事故発生件数を 100 と して算出した数値である。 図4-2 事故類型別死亡事故発生件数の推移 図4-3 事故類型別死亡事故件数の構成率の推移 図4-2より、死亡事故においてもいずれの事故類型においても減少傾向を示しており、特に車 両相互と車両単独においては、それぞれ約 43%、約 39%の大幅な減少傾向にある。一方で、特に 被害が大きくなりやすいと考えられる人対車両においては、他の2つと比較して減少率が低く、平 成17 年比で平成 24 年においては約 22%減少にとどまっており、図4-3に示されているように 人対車両の死亡事故の構成率は増加傾向にある。 100.0 99.2 93.9 84.3 82.7 83.0 80.9 78.1 100.0 90.1 80.5 74.1 64.2 65.4 62.2 57.4 100.0 90.5 80.2 68.0 68.1 68.5 57.7 60.6 100.0 93.0 84.5 75.9 70.7 71.5 66.9 64.4 0 1 2 3 4 5 6 7 17 18 19 20 21 22 23 24 事故類型別死亡事故件数(千件) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 30.5 32.6 33.9 33.9 35.7 35.5 36.9 37.0 47.4 46.0 45.2 46.3 43.1 43.4 44.1 42.3 22.0 21.4 20.9 19.8 21.2 21.1 19.0 20.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 事故類型別死亡事故発生 件数の 構成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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17 4-2-2 事故類型別負傷事故発生状況の推移 警察統計による事故類型別負傷事故発生件数の推移を図4-4に示す。またその構成率を図4- 5に示す。なお、各プロットに示した数値は平成17 年の各事故類型別負傷事故発生件数を 100 と して算出した値である。 図4-4 事故類型別負傷事故発生件数の推移 図4-5 事故類型別負傷事故発生件数の構成率の推移 図4-4より、いずれの事故類型においても大幅な減少傾向にあり、特に車両単独においては、 平成17 年比で平成 26 年においては約 50%減少しており、人対車両においては約 20%、車両相互 においては約29%減少している。図4-5より、構成率については、最新の平成 24 年においては 交通事故発生件数のうち約 87%を車両相互が占めており、人対車両と車両単独の構成率はそれぞ れ9.4%、3.8%であり、車両相互事故が最も多いことがわかる。 100.0 96.8 91.5 88.6 85.9 86.0 81.5 79.5 100.0 94.9 89.3 81.9 79.0 77.9 74.6 71.8 100.0 93.5 83.2 74.8 68.9 62.7 55.8 49.6 100.0 95.0 89.2 82.1 79.0 77.8 74.2 71.3 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 17 18 19 20 21 22 23 24 事故類型別負傷事故件数(万件) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 8.4 8.6 8.6 9.1 9.1 9.3 9.2 9.4 86.2 86.1 86.3 86.0 86.1 86.3 86.7 86.8 5.4 5.4 5.1 5.0 4.7 4.4 4.1 3.8 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 事故類型別負傷事故発生 件数の 構成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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18 4-3 自動車保険統計から見る事故類型別被害状況の変化 4-3-1 死亡に対する事故類型別保険金支払状況の推移 (1)死亡に対する事故類型別保険金支払件数の推移 自動車保険統計による死亡に対する事故類型別保険金支払件数の推移を図4-6に示す。またそ の構成率を図4-7に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の死亡に対する各事故類 型別保険金支払件数を100 として算出した数値である。 図4-6 事故類型別保険金支払件数(死亡)の推移 図4-7 事故類型別保険金支払件数(死亡)の構成率の推移 図4-6より、平成 17 年以降全類型において死亡に対する支払件数は減少傾向にある。特に、 車両相互事故に対する支払件数は約 45%減少しており、車両の安全性能や運転支援システムなど の効果が大きいものであると考えられる。また、図4-7に示した構成率については、車両相互と 車両単独の構成率が減少する一方で、人対車両の構成率は増加を続けており、平成 17 年において も約61%を占めていたが、その割合は平成 24 年においては 6.6%増加している。 100.0 92.3 93.2 87.0 83.5 81.5 82.6 77.7 100.0 89.3 81.8 76.9 68.8 63.5 60.1 55.5 100.0 103.4 89.4 97.0 70.3 89.8 83.1 86.4 100.0 91.6 89.0 83.8 77.8 75.5 74.6 70.2 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡に 対す る 保険金支払件数(件) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 60.7 61.2 63.6 63.1 65.2 65.6 67.2 67.3 35.5 34.6 32.6 32.6 31.4 29.9 28.6 28.0 3.8 4.3 3.8 4.4 3.4 4.5 4.2 4.7 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡に 対す る 支払件数の構成 率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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19 (2)死亡に対する事故類型別保険金支払額の推移 自動車保険統計による死亡に対する事故類型別保険金額の推移を図4-8に示す。またその構成 率を図4-9に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の死亡に対する各事故類型別保 険金額を100 として算出した数値である。 図4-8 事故類型別保険金支払額(死亡)の推移 図4-9 事故類型別保険金支払額(死亡)の構成率の推移 図4-8より、図4-6に示した支払件数とほぼ同様の傾向を示していることから、死亡につい ては支払件数によって支払額の多少と関係がある傾向ある。図4-9に示した構成率も、支払件数 と同様に人対車両の構成率は年々増加傾向にあり、平成17 年比で平成 24 年においては 8.8%増加 しており、減少率が高い車両相互については9.2%減少している。 100.0 92.4 94.4 85.1 81.0 79.7 79.0 77.5 100.0 89.7 81.2 78.0 66.7 60.3 58.3 51.6 100.0 101.4 88.6 88.6 60.0 75.7 74.3 74.3 100.0 91.7 88.9 82.4 74.5 71.8 70.6 67.1 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡に 対す る 保険金支払額(億円) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 56.3 56.8 59.8 58.2 61.2 62.5 63.0 65.1 39.8 38.9 36.4 37.7 35.6 33.4 32.9 30.6 3.9 4.3 3.9 4.2 3.1 4.1 4.1 4.3 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 死亡事故に 対す る 支払額の構 成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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20 4-3-2 後遺障害に対する事故類型別保険金支払状況の推移 (1)後遺障害に対する事故類型別保険金支払件数の推移 自動車保険統計による後遺障害に対する事故類型別保険金支払件数の推移を図4-10 に示す。 またその構成率を図4-11 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の後遺障害に対す る各事故類型別保険金支払件数を100 として算出した数値である。 図4-10 事故類型別保険金支払件数(後遺障害)の推移 図4-11 事故類型別保険金支払件数(後遺障害)の構成率の推移 図4-10 より、平成 18 年以降は全類型において後遺障害に対する支払件数は増加傾向にあり、 近年においては支払件数の合計は概ね平成 17 年比で 110%前後を推移している。車両相互につい ては、平成17 年比で平成 24 年においては約 16%増加しており、図4-6に示した車両相互の死亡 事故に対する支払件数の推移傾向と異なることから、死亡事故に至らない車両相互事故が増加して いるといえる。また、図4-11 に示したように車両相互に対する支払件数が増加していることから、 構成率は、車両相互が平成24 年においては 3.8%増加して 67%となっている。 100.0 96.4 100.4 105.1 105.3 102.6 102.3 97.8 100.0 95.9 103.1 112.4 116.0 114.1 117.8 116.2 100.0 98.6 104.0 111.5 115.0 105.5 115.8 102.4 100.0 96.2 102.2 109.9 112.3 109.9 112.5 109.6 0 1 2 3 4 5 6 7 17 18 19 20 21 22 23 24 後 遺 障 害 に 対 す る 保 険 金 支 払 件 数 (万 件 ) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 34.2 34.3 33.6 32.7 32.1 31.9 31.1 30.5 63.2 63.0 63.7 64.6 65.3 65.6 66.2 67.0 2.6 2.7 2.7 2.7 2.7 2.5 2.7 2.4 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 後遺障害に 対す る 支払件数の構成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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21 (2)後遺障害に対する事故類型別保険金支払額の推移 自動車保険統計による後遺障害に対する事故類型別保険金支払額の推移を図4-12 に示す。ま たその構成率を図4-13 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の後遺障害に対する 各事故類型別保険金支払額を100 として算出した数値である。 図4-12 事故類型別保険金支払額(後遺障害)の推移図 4-13 事故類型別保険金支払額(後遺障害)の構成率の推移 図4-12 より、車両単独においては平成 17 年比で平成 24 年においては約 11%減少しているが、 人対車両と後遺障害については、多少の増減はあるもののほぼ横ばい傾向にある。構成率の推移に ついては図4-13 に示したように大きな変化は見られない。また、車両相互については件数につい ては増加傾向にあるものの、支払額は横ばい傾向であるため、車両相互の後遺障害事故1件当たり の支払額は平成17 年と比較して減少していることがわかる。 100.0 98.4 104.1 107.9 108.2 106.2 106.2 98.5 100.0 91.2 101.7 104.3 106.4 101.9 100.1 97.0 100.0 100.7 100.0 99.3 98.6 85.4 98.6 88.2 100.0 94.4 102.6 105.6 106.9 103.1 102.5 97.3 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 17 18 19 20 21 22 23 24 後遺障害に 対す る 保険金支払額 (億円 ) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 40.6 42.3 41.2 41.5 41.1 41.8 42.1 41.1 56.2 54.3 55.7 55.5 55.9 55.5 54.9 56.0 3.2 3.4 3.1 3.0 2.9 2.6 3.1 2.9 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 後遺 障害 に 対す る 支払 額の 構 成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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22 4-3-3 傷害に対する事故類型別保険金支払状況の推移 (1)傷害に対する事故類型別保険金支払件数の推移 自動車保険統計による傷害に対する事故類型別保険金支払件数の推移を図4-14 に示す。また その構成率を図4-15 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の傷害に対する各事故 類型別保険金支払件数を100 として算出した数値である。 図4-14 事故類型別保険金支払件数(傷害)の推移 図4-15 事故類型別保険金支払件数(傷害)の構成率の推移 図4-14 より、人対車両、車両相互の傷害事故に対する支払件数においても横ばい傾向にあり、 大きな変化は見られない。車両単独の傷害事故は全体的に見て件数は非常に少ないが、増加傾向に あり平成17 年比で平成 24 年においては約 31%増加している。構成率の推移は図4-15 に示した ように、車両相互が約78%を占めている。また、全体的に構成率の推移に変化は見られず、被害発 生件数については改善されていないことがわかる。 100.0 95.9 98.4 98.0 98.1 97.4 97.8 93.3 100.0 96.1 97.7 94.7 93.2 95.3 97.2 98.2 100.0 101.5 107.2 114.3 118.2 123.3 127.6 131.4 100.0 96.2 98.0 95.7 94.6 96.1 97.7 97.7 0 20 40 60 80 100 120 140 17 18 19 20 21 22 23 24 傷害に 対す る 保険金支払件数 ( 万 件) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 20.2 20.2 20.3 20.7 21.0 20.5 20.3 19.3 78.4 78.3 78.1 77.6 77.3 77.7 77.9 78.8 1.4 1.5 1.5 1.7 1.7 1.8 1.8 1.9 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 傷害 に 対す る 支払 件数 の構 成 率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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23 (2)傷害に対する事故類型別保険金支払額の推移 自動車保険統計による傷害に対する事故類型別保険金支払額の推移を図4-16 に示す。またそ の構成率を図4-17 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の傷害に対する各事故類 型別保険金支払額を100 として算出した数値である。 図4-16 事故類型別保険金支払額(傷害)の推移 図4-17 事故類型別保険金支払額(傷害)の構成率 図4-16 より、車両単独の傷害事故に対する支払額は平成 17 年比で平成 24 年においては約 11% 増加しているが、全体的にほぼ横ばい傾向にある。構成率の推移については図4-17 より、平成 24 年においては約78%を占めており、平成 17 年からほぼ変化が見られない。 100.0 95.5 98.4 97.5 96.4 94.9 96.2 93.6 100.0 96.1 97.9 96.6 94.2 95.6 99.0 101.0 100.0 98.9 101.1 102.2 102.2 106.7 110.0 111.1 100.0 96.0 98.1 96.9 94.8 95.6 98.5 99.5 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 17 18 19 20 21 22 23 24 傷害に 対す る 保険金支払額( 億円 ) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 21.4 21.3 21.4 21.5 21.7 21.2 20.9 20.1 77.3 77.3 77.2 77.0 76.8 77.3 77.6 78.4 1.4 1.4 1.4 1.4 1.5 1.5 1.5 1.5 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 傷害に 対す る 支払額の構成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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24 4-3-4 負傷に対する事故類型別保険金支払件数の推移 (1)負傷に対する事故類型別保険金支払件数の推移 自動車保険統計による負傷に対する事故類型別保険金支払件数の推移を図4-18 に示す。また その構成率を図4-19 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の負傷に対する各事故 類型別保険金支払件数を100 として算出した数値である。 図4-18 事故類型別保険金支払件数(負傷)の推移 図4-19 事故類型別保険金支払件数(負傷)の構成率 図4-18 より、後遺障害と傷害のみと同様に全体的に横ばい傾向であり、支払件数の推移にほと んど変化は見られない。また、図4-19 に示した構成率についても同様に車両相互が最も高い割合 を占めており、約78%を推移している。 100.0 95.9 98.6 98.5 98.6 97.7 98.1 93.6 100.0 96.1 97.9 95.3 94.0 96.0 97.9 98.9 100.0 101.3 106.9 114.1 117.9 121.9 126.7 129.1 100.0 96.2 98.2 96.3 95.3 96.7 98.4 98.2 0 20 40 60 80 100 120 140 17 18 19 20 21 22 23 24 負傷 に対す る 保険 金支 払件 数( 万件 ) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 20.9 20.8 20.9 21.3 21.6 21.1 20.8 19.9 77.7 77.7 77.5 76.9 76.6 77.1 77.3 78.2 1.5 1.5 1.6 1.7 1.8 1.8 1.9 1.9 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 負傷に 対す る 支払件数の構成 率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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25 (2)負傷に対する事故類型別保険金支払額の推移 自動車保険統計による負傷に対する事故類型別保険金支払額の推移を図4-20 に示す。またそ の構成率を図4-21 に示す。なお、各プロットに示した数値は平成 17 年の負傷に対する各事故類 型別交通事故支払額を100 として算出した数値である。 図4-20 事故類型別保険金支払額(負傷)の構成率 図4-21 事故類型別保険金支払額(負傷)の構成率 図4-20 より、後遺障害、傷害のみと同様に全体的に横ばい傾向にあり、自動車保険統計では被 害の減少が見られないといえる。また、図4-21 に示した構成率についても、人対車両が 20%、車 両相互が約69%であり、支払件数とは多少異なるものの、被害程度の差を考慮すると大きな差は見 られない。 100.0 97.2 101.6 103.4 103.1 101.3 101.9 96.3 100.0 94.4 99.2 99.2 98.3 97.7 99.4 99.7 100.0 100.0 100.4 100.4 100.0 93.6 103.0 97.0 100.0 95.3 99.9 100.4 99.7 98.6 100.2 98.6 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 17 18 19 20 21 22 23 24 負傷に 対す る 保険金支払額(億円) 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独 合計 29.2 29.8 29.7 30.1 30.2 30.0 29.7 28.5 68.7 68.0 68.2 67.8 67.7 68.0 68.1 69.4 2.1 2.2 2.1 2.1 2.1 2.0 2.2 2.1 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 17 18 19 20 21 22 23 24 負傷に 対す る 支払額の構成率 年数(平成) 人対車両 車両相互 車両単独

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26 4-4 現在の交通事故対策の評価 平成17 年から平成 24 年までの交通事故発生状況と保険金支払状況の傾向から、現在の交通事故 対策に対すて警察統計と自動車保険統計からの評価を行い、表4-1に示す。なお、評価について は平成17 年比で 25%以上減少している場合はA、15%以上減少している場合はB、減少が 15%未 満の場合はCとする。 表4-1 現在の交通事故対策に対する評価 表4-1に示したように、8年間の推移では警察統計から見ると全項目について改善されている 傾向にあり、死亡事故については自動車保険統計においても全体的にほぼ同様の傾向が見られる。 死亡事故の人対車両については、図4-2、図4-3に示したように警察統計による発生件数の 割合は最多ではないが、図4-8、図4-9に示した自動車保険統計による支払額の割合が最も多 い傾向にある。しかし、これの減少傾向が他の事故類型と比較緩やかであることから、被害程度を 考慮した対策が行えているとはいえない。 負傷事故発生状況については、図3-7に示したように、人身事故に対する支払額の90%を占め ているにも関わらず、現在に至るまで減少傾向にないことから、警察統計を指標とした交通事故対 策では自動車保険統計を指標とした被害は改善されていないといえる。 以上より、死亡事故と負傷事故で傾向に差が見られ、今後は被害程度で区別した交通事故対策を 検討していくべきであると考える。 人対 車両 車両 相互 車両 単独 人対 車両 車両 相互 車両 単独 警察統計(事故発生件数) B A A B A A 自動車保険統計(保険金支払額) B A A C C C 死亡事故 負傷事故 評価項目 ※評価の定義 A:H17年比で25%以上減少,B:H17年比で15%以上減少,C:減少傾向なし

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27 第5章 今後の交通事故対策の方向性の検討 本章では、交通事故対策の方向性の検討手法と結果を述べる。 5-1 検討手法 第4章で事故類型別の死亡事故と負傷事故で傾向が異なっており、区別した対策を行っていくべ きであるとした。本章においては、警察統計による事故類型別交通事故発生件数と自動車保険統計 による事故類型別保険金支払額の増減率の相関関係を明らかにし、実際に対策を行うにあたって、 第4章の結果も用いてどちらの統計を用いてどのような事故類型に対して重点的に対策を行って いくべきか検討を行う。また、相関係数の有意性については標本数8(年数)で計算した相関係数 rが5%有意水準のもと0.707 よりも高ければ有意な相関があるとする。 5-2 交通事故発生件数と保険金支払状況の相関分析 5-2-1 死亡事故発生件数と保険金支払額の相関分析 平成17 年から平成 24 年までの事故類型別死亡事故発生件数と、死亡事故に対する事故類型別保 険金支払額との関係について、図5-1、図5-2、図5-3、図5-4に示す。 図5-1 死亡(人対車両)の相関関係 図5-2 死亡(車両相互)の相関関係 図5-3 死亡(車両単独)の相関関係 図5-4 死亡(全体)の相関関係 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = 0.4724x + 41.506 R² = 0.9166 R = 0.9573 0 200 400 600 800 1,000 1,200 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 死亡 事故 ( 人対 車両 ) に 対す る 支払 額( 億 円) 死亡事故(人対車両)発生件数(件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = 0.2543x - 63.504 R² = 0.9637 R = 0.9817 0 100 200 300 400 500 600 700 800 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 死亡事故( 車両相互) に 対す る 支払額( 億 円) 死亡事故(車両相互)発生件数(件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23H24 y = 0.0373x + 17.881 R² = 0.6403 R = 0.80 0 10 20 30 40 50 60 70 80 0 500 1,000 1,500 2,000 死亡事故( 車両単独) に 対す る 支払額( 億 円) 死亡事故(車両単独)発生件数(件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = 0.2464x + 187.52 R² = 0.9628 R = 0.9812 0 400 800 1,200 1,600 2,000 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 死亡事故に 対す る 支払額( 億円) 死亡事故発生件数(件)

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28 図4-2、図4-8に示した死亡事故については交通事故発生件数が減少するほど保険金支払額 も同様に減少している。また、相関については、図5-1、図5-2、図5-3、図5-4のよう に全体的に有意な相関がある。以上より、警察統計を指標とした交通事故対策によって、自動車保 険統計から見ても交通事故発生状況が改善される傾向にあり、今後も同指標での事故対策が有効で あるといえる。 5-2-2 負傷事故発生件数と保険金支払状況の関係分析 平成17 年から平成 24 年まで警察統計による事故類型別負傷事故発生件数と、自動車保険統計に よる負傷事故に対する事故類型別保険金支払額(後遺障害・傷害の合計)との関係について、図5 -5、図5-6、図5-7、図5-8に示す。 図5-5 負傷(人対車両)の相関関係 図5-6 負傷(車両相互)の相関関係 図5-7 負傷(車両単独)の相関関係 図5-8 負傷(全体)の相関関係 図4-4に示した負傷事故発生件数は減少傾向にあるが、図4-20 と図4-21 に示した負傷に 対する保険金支払額は横ばい傾向にある。図5-5、図5-6、図5-7、図5-8に示したよう に、負傷事故発生件数と負傷に対する保険金支払額はいずれもほとんど相関が見られないことから、 事故類型に関係なく、警察統計を指標とした交通事故対策は負傷事故に対する保険金支払額の増減 にはほとんど影響しないといえる。 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = -0.0013x + 3340.4 R² = 0.0074 R = -0.0862 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 0 2 4 6 8 10 負傷 事故 ( 人対 車両 ) に 対す る 支払 額( 億 円) 負傷事故(人対車両)発生件数(万件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = -0.0005x + 7789.2 R² = 0.0733 R = -0.2707 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 9,000 10,000 0 20 40 60 80 100 負傷 事故 ( 車両 相互 ) に 対す る 支払 額( 億 円) 負傷事故(車両相互)発生件数(万件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = 0.0002x + 225.17 R² = 0.07 R = 0.2645 0 50 100 150 200 250 300 0 1 2 3 4 5 6 負傷事故( 車両単独) に 対す る 支払額( 億 円) 負傷事故(車両単独)発生件数(万件) H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 y = -0.0005x + 11342 R² = 0.0636 R = -0.2521 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 0 20 40 60 80 100 負傷 事故 に 対す る 支払 額( 億円 ) 負傷事故発生件数(万件)

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29 5-3 今後の交通事故対策の方向性 平成17 年から平成 24 年までの交通事故発生状況と保険金支払額の推移傾向による変化と、それ らの相関関係から、今後の交通事故対策の方向性を検討し、表5-1に示す。 表5-1 今後の交通事故対策の方向性 表5-1に示したように、現在の警察統計のみを指標とした対策に加えて自動車保険統計を指標 に交通事故対策を行っていくにあたって、死亡事故については、事故発生割合は最多ではないもの の、保険金支払額の割合が最多である、人対車両に対して重点的な対策を行っていくことが有効で あると考える。 交通事故発生件数と保険金支払額の相関分析の結果から、死亡事故についてはいずれの事故類型 においても発生件数と保険金支払額に有意な相関があることから、現在の警察統計のみを指標とし た対策でも保険金支払額も同様に改善が可能であるといえる。以上より、死亡事故については、全 体的に現在の警察統計を指標とした事故対策を中心に、自動車保険統計によるデータも考慮した上 で、事故類型別に事故対策のウェイトを調整していくべきであると考える。 負傷事故は、図3-8に示したように支払状況にはほとんど変化が見られない他、いずれの事故 類型においてもほとんど発生件数と保険金支払額の相関が見られないことから、警察統計のみを指 標とした対策は保険金支払額の改善は望めないといえる。以上より、負傷事故については、支払額 に変化が見られない自動車保険統計を指標とし、事故類型に関わらず、全体的に抜本的な対策が必 要であると考える。 交通事故傾向の特徴 今後の事故対策の方向性 人対車両 自動車保険統計では最多の割合を占めているが 減少傾向は車両相互と比べて緩やかである 自動車保険統計における支払額の割合を考慮し より重点的な対策を検討 車両相互 警察統計で、最多の割合を占めているがその傾向は改善の傾向にある 現状の対策に加えて、推移状況に応じて自動車保険統計も考慮して対策を検討 車両単独 いずれの統計においても割合は最も低い 人対車両 車両相互 車両単独 事故類型に関わらず自動車保険統計を 指標とした、抜本的な対策が必要 死亡事故 負傷事故 項目 警察統計では全事故類型で減少傾向にあるが 自動車保険統計では減少傾向は見られない

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30 第6章 結論と今後の課題 6-1 結論 本研究では、死亡・負傷(後遺障害・傷害)別と事故類型(人対車両・車両相互・車両単独)別 に分析を行うことで、その傾向の変化を明らかにし、それを基に今後の交通事故対策の方向性の検 討を行った。 交通事故発生状況は、死亡事故については、警察統計による発生件数は最多ではないが、自動車 保険統計による保険金支払額は最多である人対車両の事故発生件数及び保険金支払額の減少が緩 やかであった。また、負傷事故については、警察統計による発生件数は減少傾向にあるものの、全 体の約 90%を占めている保険金支払額が減少傾向にないという2つの傾向があることが明らかに なった。 今後の交通事故対策については、交通事故発生件数と保険金支払額の相関分析において、死亡事 故についてはいずれの事故類型においても発生件数と保険金支払額に有意な相関があることから、 現在の警察統計のみを指標とした対策でも保険金支払額も同様に改善が可能であるといえる。しか し、先にも挙げたように、発生件数と保険金支払額の構成率の多少が異なることから、今後交通事 故対策を行っていくにあたっては自動車保険統計も考慮した対策を検討していくべきであると考 える。負傷事故については、いずれの事故類型においてもほとんど相関が見られないことから、警 察統計のみを指標とした対策は保険金支払額の改善は望めないといえる。そのため、自動車保険統 計による金銭的指標を用いた、抜本的な対策を検討していくべきであると考える。 6-2 今後の課題 本研究では、事故類型別に死亡・負傷別に分析することで、警察統計と自動車保険統計の関係を 明らかにした。しかし、事故類型のみでの分析では、負傷事故に関する今後の事故対策の方向性を 検討することは難しいと考えられる。死亡事故を含め、今後明確な対策を検討するためには、道路 種類や道路形状、年齢別などのより詳細な交通事故発生状況を把握し、より具体的な対応策の立案 や検討を行うことが今後の課題である。

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31 参考文献 1) 交通事故総合分析センター:交通事故統計年報(平成 17 年~26 年度版),2005~2014. 2) 損害保険料率算出機構:損害保険料率算出機構統計集(平成 17 年~26 年度版),2005~2014. 3) 篠崎雅人,安井一彦:交通事故件数と損失額からみた都道府県別被害特性に関する研究,第 31 回交通工学研会論文集,2011. 4) 総務省ホームページ:http://www.soumu.go.jp/,(入手日付2016.12.15). 5) 日本損害保険協会:自動車保険データにみる交通事故の実態(平成 17 年~平成 24 年度版), 2005~2012. 6) 厚生労働省ホームページ:http://www.mhlw.go.jp/,(入手日付2016.12.15).

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おわりに 本研究では、死亡・後遺障害・傷害別事故類型別交通事故発生件数と自動車保険金支払状況の推 移から、傾向の変化を明らかにし、その結果を基に警察統計と自動車保険統計の交通事故対策の指 標としての在り方と、今後の交通事故対策の方向性を提案した。本研究が、今後の交通事故対策に 僅かでも役立つことができれば幸いである。 本研究を終えるにあたり、本研究を細部に渡りご指導、ご教授いただきました日本大学交通シス テム工学科安井一彦準教授並びに池田隆博助教に厚く御礼申し上げます。 さらに、本研究を行うにあたり、自動車保険データを提供していただきました損害保険料率算出 機構の皆様に厚く御礼申し上げます。また、親身になってご相談にのってくださり、ご助言、ご指 導をしてくださった日本大学大学院理工学研究科博士前期課程社会交通工学専攻の神戸雄太氏、研 究生の中村隆文氏には厚く御礼申し上げます。そして、太田洋輔氏、大場長城氏、尾形勇祐氏、佐 藤尭氏並びに、道路交通研究室同期の皆様にも研究を進めるにあたって多くの助言、アドバイスを いただきました。ここに厚く御礼申し上げます。 最後に、道路交通研究室のさらなるご繁栄とご活躍を願って、本論文を締めくくりたいと思いま す。

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