はじめに v
はじめに
大手通信事業者として,我々のビジネスは製品とサービスの複雑な組合せからな っている。それらは数十年前からあるものから,今まさに登場したものまでさまざ まである。我々のビジネス分野の 1 つである移動通信では,多種多様な技術や規格 に準拠するモバイル端末を用いて,顧客は優れたビジネスプロセスにアクセスする。 移動通信は,10 年前には姿かたちもなかった競合が現れている新たな分野であり, 我々は挑戦し続けなければならない。 規制の枠組みの変化,激烈な競争,M&A の数十年を通して,顧客にサービスを 提供する IT システムは構築されている。この IT システムにより,事業に必須の ネットワーク管理,決済,顧客サービスが実現されている。 IT は本質的に複雑であるにもかかわらず,株主はサービス品質の不断の改善だ けでなく,同時にコスト削減も期待している。長年の間,このことは我々の業界で 重要な課題であり,我々の組織でも事業の重要課題である。このことに取り組むた めに重視してきたことは,ソフトウェアの開発生産性と品質を測定することである。 CIO として私は,ソフトウェアアプリケーションを含めて情報技術部門と情報技 術基盤を担当している。つきつめれば,ミッションクリティカルなプロセスを自動 化するソフトウェアにビジネスの核となる業務知識が実装されているといえる。タ イムツーマーケット,リスクプロファイル,コスト構造を根本から駆動するのは, それらのソフトウェアである。 ソフトウェアの生産性を測定することで,適正なリソース配分と投資を説明でき るトレードオフが可能となっている。サービス提供スピード,ビジネスリスク,技 術的負債(提供するソリューションを維持強化するための長期的なコスト)の間の 適正なトレードオフができるように,機能レベルだけでなく構造レベルでもソフト ウェア品質を測定している。 数年前から,開発プロジェクトの品質測定は好結果となっていて,SLA(品質保 証契約)に品質尺度を含めている。現在,品質測定とともに生産性測定を全体にまvi はじめに で広めることを開始し,そのことにより現在提供しているサービスを柔軟に見据え, 将来のビジネスをより鮮明に描くことが柔軟にできるであろう。 本書は,実践的であること,データに基づいていること,および我々のビジネス にとって重要なソフトウェア品質の 1 要素である構造的品質を管理する方法を具体 的に示していることで,画期的である。核となるアプリケーションソフトウェアを 積極的に管理するためにエンタープライズアーキテクチャに投資しているが,これ らのアプリケーションを構造レベルで分析し,測定することに焦点を絞っている。 このような測定を行うことで,我々の組織はビジネスのよりよい将来を築くための 積極的な姿勢を取ることができ,私もまた,株主の期待に応えるために経営的基盤 を緻密に管理することができる。 固定網,移動通信,データおよびオンデマンドの製品とサービスの急成長を期待 しているが,私とマネジメントチームは本書を確実に手元に置いていることだろう。 ── Thaddeus Arroyo CIO, AT&T Services, Inc. ─────────────────
F. Thaddeus Arroyo は CIO として,AT&T の情報技術を担当している。彼は現 在 の 地 位 に 2007 年 1 月 に 指 名 さ れ た が, そ の 年 の 終 わ り ま で に,AT&T, BellSouth,Cingular の合併は終結した。彼は,イントラネットとインターネット を含む社内情報技術部門とその基盤,および消費者と移動通信間,企業間,社内間 のアプリケーションシステムの開発を統括している。また,AT&T 企業データセ ンターも監理している。