東京:女讐學會第四同糟會旧事 139
36・胃部分的切除後に於ける画像に就て
東京女子讐學專門學校病理學教室鬼頭阿佐夫
貧血に罪する研究は既に多くの學者により研究せられ潰化器系統殊に胃及腸管の機 能が造血臓器に於ける血液再生機能との闇に密接なる關係あることは多数の研究者に より報告せられたる所なり。殊に中村及今村氏は125例の胃一切除後に於ける貧血の統 計的観察に曾て報告せられ叉河野氏は胃物別出によりて生する血液の形態學的攣化を 實験的に研究せり。Hunter, Grawitz氏は悪性貧血に封し腸管を適當に管理する事に より大に軽快するものなりと穂せり。殊に最近に至19内臓外科の進歩に件ひ各種胃疾 患の手術的治療の目的にて廣汎なる切除或は杢別出等の施行せらるNに際し術後消 化管の消化分泌機能に障碍を惹起し野冊なる貧血,時には悪性貧血しとも見倣さるべき 血像を呈するものあり,叉悪性貧血患者の大多数に於て胃液鋏乏二叉は胃酸減少症を 現はすものあり。故に貧血と胃の機能鋏損とは密接なる關係を有するものにして之が 亦造血臓器に重大なる影響を及ぼすものならんと思考し余は佐藤教授指導の下に胃の 部分的切除後に於ける貧血の病理を研究する爲め犬の胃に於て其の2/3を切除し術後其 の血液所見を観察し次の如き結論を得たるを以て之を藪に報告せんとず。 (1)實験動物犬に於て六例中四例ぱ術後時の経過と共に著明なる貧血の像を呈し 104−133日に「して発れ,他の二例は術後輕度の貧血を招來せるも漸次恢復し一定期間 の後には全く術前に復せり(第一表)。 (2)正常犬の赤血球数は471.2萬一783.2萬にして術後80日頃迄は減少著明ならざ るも90日頃より急澱に減少して術前の約1/2−4/5を失ぴて138・6萬一3552萬となる,殊 に艶死したる例に於て著明なる減少を示すものなり(第二表)。 (3)術前の血色素量は42−75(nach Sahli)icして術後急激に或は徐々に減少し て術前の1/1一1/218.5−33)に低下せり(第三表)。 (4)血液中の鐵含有量は正常に嘗ては26−52m9にして術後赤血球並に血色素量 の減少に俘ぴて11−24mgに減少し特に発死せるものに於’zは其の50%に於て正常値 の約113に減少せ})(第四表)。 〔5)赤血球抵抗は正常犬に於ては最小抵抗0.43%一〇・49%,最大抵抗O.28%一〇・36 %にして術後著攣を認めす(第五表)。 (6)赤血球沈降速度(佐藤式微量赤血球沈降速度計による)は1時間1−11mmにし 一鞭 7 巷463一140 東京女醤學會第四同糖會記事 て貧血の三生と共に著しく促進せられ殊に末期に於て甚しく30mm以上に達せり(第 六表)。 (7)正常犬の血液凝固時下は揖氏250Cに干て2−9分にして術後丁々不規則なる も全経遍を槻察するに著しく延長し10一ユ8分に及べり(第七表)。 (8)白血球敷は9720−28640にして術後著攣を示さM“るも末期に至りては實験例 中其の牛敷に干て著明なる白血球塘加を回し三三に於ては二度の減少を回せり。 (9)白血球の血態塑的弓化に就ては術前約50−60を占むる中性嗜好細胞は術後時 の経過と共に著しく増加して79−87%となり主として多・形核細胞の増加による。「エオ ジン」嗜好細胞は術後著しく減少す。旧基嗜好性細胞には三三なし。淋巴球は16−36 %にして術後次第に減少して5−8%となる。「モノチ・・テン」に就ては中性嗜好細胞増 加に俘ひて精々増加するが如きも一定の關係を認め難し(第八表)。 追 加 三 藤 寛 し う 胃部分的切除といふ潰題からして羅者が胃の切除術全般に封ずる疑義を生じては不 可であると考へ,本研究の目的が大部分胃切除後の血液乳化と解せられたき瓢を附言 した。