Title
Clostridium perfringens菌体由来の活性たんぱく質含有軟膏
(SNK-863軟膏) の薬理学研究, 創傷治癒, 肉芽増殖および細
胞増殖促進作用( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
中野, 万正
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第896号
Issue Date
1994-03-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15368
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氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目
中
野 方正(愛知県)
博
士(医学)
乙第
896号
平成
6 年 3月16
日学位規則第4条第2項該当
CJo5†rJdfump8rfrf叩即5菌体由来の活性たんばく質含有軟ヰ
(SNK-863軟ヰ)の薬理学的研究
創傷治癒.肉芽増殖および細胞増殖促進作用
審 査 委 員 (主査)教授 鶴 見介
登 (副査)教授 佐 治 重 豊 教授森
秀樹
論 文内
容
の 要旨
組織障害とその修復過程は,生体の示す極めて精巧な恒常性維持機構で,生体反応の最も基本的な現象である。 創傷治癒は原因や組織臓器による特異性はなく,生体にとっての普遍的反応であるが,ときには創傷が増悪,治 癒が遅延して患者を苦しめることがある。このような場合,1つの対策として細胞を増殖させ組織修復を促進す る薬物が,創傷治療剤として臨床に用いられている。しかし,充分満足できる薬物は未だなく,より良い創傷治 療薬の開発が要望されている。そこで,嫌気性梓菌であるCわぶけよdよ比mpeげrよ喝e那が細胞増殖促進作用のある たんばく質を含有することから,今回,申請者らは創傷治療を目的とする新規製剤の開発を企図した。すなわち, この生理活性たんばく質を菌休より抽出して,親油性軟膏(SNK-863軟膏)を作製し,その主薬効について検討 評価した。 創傷治療剤の薬効評価では,切創,欠損創および熱傷モデルが繁用されている。創傷の治癒は損傷の程度ある いは状態により,一次治癒と二次治癒に分類されている。一次治癒とは皮膚欠損を伴わない創の治癒であり,切 創の治癒がこれに属し結合組織の再生が治癒の中心となる。二次治癒とは皮膚欠損を伴う別の治癒で,欠損創お よび熱傷がこれに属し,結合組織のみでなく上皮の再生も含まれる。熱傷の壊死組織は治癒の妨げになることか ら,臨床現場では治療開始時に除去(debridement)されることも多く,その場合には壊死組織のない欠損創と同 様な治癒過程をたどるものと推察される。 [研究方法] 1.創傷治癒促進作用 創傷の二次治癒を示し,病態としては皮膚潰瘍に相当し,治癒過程の3要素である組織の収縮,上皮の再生お よび肉芽の増殖を観察することができるラット皮膚全層欠損創モデルを選択し,新規創傷治療剤SNK-863軟膏の 作用を肉眼的,病理組織学的に評価し,市販の創傷治療剤(Reflap軟書,Zildasac軟膏3%,SoIcoseryl軟膏お よびElase軟書)の作用と比較した。 2.肉芽増殖促進作用 創傷治癒の3要素のうち肉芽増殖を特徴的に観察できるラットでの綿球埋め込み法を用いて,SNK-863軟膏の 主成分であるSNK-863原体の肉芽増殖に対する作用を生化学的,病理組織学的に評価した。同時に創傷モデルで 比較した4種の市販の軟書剤の有効成分(1ysozymechloride,bendazac,SOIcoserylおよびelase)の作用と比較検 討した。さらに,SNK-863原体の経日的な作用を評価する目的で,綿球挿入1,3,5,7およぴ14日目に増殖し た肉芽組織を生化学的,病理組織学的に検討し,Reflap軟膏の有効成分1ysozymechlorideと比較した。 3.細胞増殖促進作用 SNK-863軟膏の創傷治癒促進ならびに肉芽増殖促進作用の機序の一つと考えられる線維芽細胞の増殖に対する 影響を,わuよ打℃細胞培養系でヒト皮膚線維芽細胞を用いて試験した。 127[結果および考察] 1.創傷治癒促進作用 SNK-863軟膏5,000U/g[1Uはシリアンハムスターの腎線維芽細胞(BHK-21clone13細胞)を48hr培養すると き,SNK-863原体添加群において,対照群よりも1細胞周期あたり細胞1個を増殖促進させる活性]以上より創 傷治癒促進作用が発現し,10,000∼40,000U/gの軟膏濃度でほぼ同等であった。この作用は,肉眼的および病 理組織学的に上記の4種の同効剤のいずれよりも優れていた。SNK-863軟書は.表皮再生および膠原線推の増生 を伴う肉芽組織形成を促進し,過剰な線維増生は示さなかった。 2.肉芽増殖促進作用 SNK-863原体300-7,500U/pelletの綿球挿入5日目に,肉芽組織の湿重量,肉芽組織中のたんばく,DNA, hemoglobinおよびhydroxyproline量が顕著に増加し,SNK-863原体の用量に依存して,炎症性細胞の浸潤,毛 細血管の新生,線維芽細胞の増殖および膠原線維の増生を高めた。対照の4種の同効剤の有効成分の内ではt lysozymechlorideでわずかに肉芽増殖促進作用を認めたが,SNK-863原体と比較して非常に弱かった。このSNK_ 863原体の肉芽増殖促進作用の経日的な評価では,SNK-863原休1,500U/pelletは肉芽湿重量,肉芽組織中のた んばく,DNA,hemoglobinおよびhydroxyproline圭を,綿球挿入5日目以降でcontrol群に比較して著明に増加 させた0特に綿球挿入5および7日目に,炎症性細胞の浸潤,毛細血管の新生,線推芽細胞の増殖および膠原線 維の増生が著しく高められた0また,膠原線維の増生は,14日目においても高められ,SNK-863原体の肉芽増殖 促進作用は,対照の1ysozyme chlorideに比して著しく強かった。 3.細胞増殖促進作用 SNK-863原体は正常ヒト皮膚線推芽細胞の増殖を,3,750∼60,000U/mlの濃度で有意に促進し,15,000U/ml で作用はplate血に達した。 以上の結果より,SNK-863軟膏の強い創傷治癒促進作用は表皮再生の促進および膠原線維の増生を伴った肉芽 増殖促進によるものであり,また,この肉芽増殖促進作用は治癒過程における組織内の病理組織変化の増強,特 に線維芽細胞から膠原線維の増生への促進によるものであることが明らかとなった。それらは生化学的および細 胞培養評価によっても婁づけられた。したがって,SNKt863軟膏は,臨床上皮膚潰瘍に対して有用性を発拝する ことが示唆される。