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新生子豚の尿酸結石症の病因に関する基礎的研究

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Academic year: 2021

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Title

新生子豚の尿酸結石症の病因に関する基礎的研究( 内容の要

旨 )

Author(s)

柿野, 淳

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 甲第057号

Issue Date

1998-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2111

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏 名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及 び専攻 研究指導を受けた大学 学 位 論 文 題 目 審 査 委 旦 柿 野 淳'(秋田県) 博士(獣医学) 獣医博甲第57号 平成10年3月13日 学位規則第4条第1項該当 連合獣医学研究科 獣医学専攻 岩手大学 新生子豚の尿酸結石症の病因に関する基礎的研究 主査 岩 手 大 学 教 授 内 藤 幸 久 副査 帯広畜産大学 教 授 山 田 明 夫 副査 東京農工大学 救 援 金 田 宏 副査 岐 阜 大 学 教 授 佐々木 乗 美 副査 岩 手 大 学 教 授 松 坂 尚 典 論 文 の 内 容 の 新生子豚の尿酸結石症は出生後2週間以内の子豚の腎臓あるいは尿路系に尿酸結 石が出現する疾病である。現在まで多くの病因が提起されているが、その病因は未 だ確定されていない。よって、本論文は尿酸結石症の発生状況調査と実験的発症試 験を行い、その病因を基礎的に明らかにしようとしたものである。 第1章では、新生子豚の尿酸結石症の発生状況を明らかにした。すなわち、0∼18日齢 の新生子豚269頭について尿酸結石症の発生状況を検討した。その結果、結石は269頭中45 頭(16.7%)に認められた。これらのことから、野外においては本症は希な疾病ではなく、 飢餓、低体重及び寒冷感作がその発症に関与していると考えられた。 第2章では、発症子豚について臨床、血液生化学的検査成漬について検討し尿酸結石の 発生との関連性について検討した。その結果、本症の発生には肝機能と腎棟能の低下、ウ リカーゼ活性の低下、飢鮫に伴う乳酸アシドーシスと体蛋白の異化完進が関与していると 考えられた。 第3章では、新生子豚の尿酸結石症とプリン異化代謝産物との関連性を検討するため、 新生子豚32頭を用いて実験的な尿酸結石症の発症試験を行った。すなわち、低体重子豚(L 群)と正常体重子豚(N群)を用い、これらを飢餓処置(処置W)、正常栄養処置(処置M) および尿結石発症予防処置(処置A)し、出生後60時間観察した。剖検の結果、尿酸結石の 発生率はL群とN群との群間に有意差はなく、両群ともにその発生率は処置Wが処置M、処

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-196-置Aに比べ高かった0また、L群において血兼中キサンチン、ヒポキサンチンおよび尿酸濃 度は処置Wが処置Mに比べ顕著に増加した。これらの結果、新生子豚の尿酸結石症の発生は 出生後の飢餓によるプリン異化代謝産物の勒加瀾与していることが考えられた。.また、 新生子豚の尿酸結石症の腎障害は出生時の体重差には関連性はなく、尿酸結石の梗塞によ る圧迫が主要なものと考えられた。 第4章では、飢飲が尿酸結石の析出要因(尿酸濃度、尿pH、乳酸濃度、尿量および尿浸透 圧)に及ぼす影響ついて前回と同様の方法により検討した。その結果、飢軌こよるプリン代謝 の克進は尿酸の尿中排泄量と濃度とを増加させ、その増加は尿pRの低下に影響していること が考えられた。 以上、新生子豚の尿酸結石症は飢餓によりプリン代謝(尿酸代謝)が完進し、尿中へ㌻ 尿酸分泌が増加することにより発生することを、本論文は明らかにした。 審 査 結 果 の 申請者柿野 淳氏の学位論文の内容は、新生子豚の尿酸結石症の病因に関する 研究である0その病因については、現在までいくつかの説が提起されているが、未 だ明確な結論を出すには至っていない0よって、本論文は、新生子豚の尿酸結石症

の病因としてその関与が示唆された飢餓と尿酸結石症との関連性を明らかにするこ

とを目的として、本症の発生状況と実験的発症試験を基礎としてその病因について 詳細な検討を行ったものである0得られた成漬は、次の4つに大別することが出来 る。 1・調査は8農場を選び、死亡及び予後不良により剖検された0∼18日齢の新生 子豚269頭について尿酸結石症の発生状況を検討した。その結果、結石は269頭中 45頭(16・7%)に認められたeその45検体中9検体の結石の分析を行い、6検体は 尿酸結石、残りの3検体は尿酸カリウム結石であった.)月別発症率では4、5及び11 月が3卜40%と高かった0また7、8及び9月が3、9%と低かった。日齢別の発生 率は0日齢から漸増して4日鈴で最大値(35.3%)を示し、低体重の子豚に発生する 傾向にあった0これらのことから、野外においては本症は希な疾病ではなく、飢餓、

低体重及び寒冷感作がその発症に関与していると考えられた。

2・次いで、発症子豚について臨床、血液生化学的検査成績について検討し尿結 石の発生との関連性について検討した○発症子豚では腎臓に淡橙色顆粒状の結石が 認められた0発症子豚では黄色の下痢がみられ、尿検査では尿pHは低下した。.血 液生化学的検査では正常体重子豚に比べ、血清稔蛋白質、アルブミン及び肝臓中ウ リカーゼ量は低かった0また、血清中トランスアミナーゼ、クレアチニン、尿素態 窒素(BUN)、尿酸、乳酸及び無機リンが高い傾向にあった。これらのことから 本症の発生には肝横能と腎機能の低下、ウリカーゼ活性の低下、飢餓に伴う乳酸ア シドーシスと体蛋白の異化克進が関与していると考えられた。

3・提起された多くの要因の中で飢餓に伴う体蛋白の異化の克進と低体重子豚の

腎臓の障害が重要と考えた。そこで、新生子豚の尿酸結石症とプリン異化代謝産物

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-197-との関連性を検討するため、新生子豚32頭を用いて実験的な尿酸結石症の発症試

験を行った。すなわち、低体重子豚(n=14、L群)と正常体重子豚(n=18、N群)

を用い、これらを水給与処置(飢餓、n=11、処置W)、人工乳給与処置(正常栄

養、n=12、処置M)および水とアロプリノール処置(尿石発症予防、n=9、処置A)

し、出生後60時間観察した。剖検の結果、尿酸結石の発生率はL群とN群との群間 に有意差はなく、両群ともにその発生率は処置Wが処置M、処置Aに比べ高かった。 また、L群において血蒙中キサンチン、ヒポキサンチンおよび尿酸濃度は処置Wが 処置Mに比べ顕著に増加した。また、両群ともに血祭中アラントイン濃度は処置Ⅵ7 が処置Mに比べ高い値で推移した。また、病理組織検査において両群共に処置Wの 子豚の腎臓の遠位尿細管及び髄質部集合管の拡張と上皮の扁平化、変性及び壊死が みられた。これらの結果、新生子豚の尿酸結石症の発生は出生後の飢餓によるプリ ン異化代謝産物の増加が関与していることが考えられた。また、新生子豚の尿酸結 石症の腎障害は出生時の体重差には関連性はなく、尿酸結石の梗塞による圧迫が主 要なものと考えられた。

4.飢餓が尿酸結石の析出要因(尿酸濃度、尿pH、乳酸濃度、尿量及び尿浸透

圧)に及ぼす影響ついて検討するため正常体重子豚10頭を用`いて前回の試験とほ

ぼ同様の方法により行った。尿酸結石症は、飢餓処置(処置Wりでは5頭中4頭に、

正常栄養処置(処置Mりでは5頭中1頭にみられた。処置Wtの尿中尿酸濃度は処置 Mtに比べ顕著な高値を示した。処置Wtの尿pHは6.0以下に低下した。また、処置 W●の尿中乳酸濃度は処置M一に比べ高値を示す傾向にあった。処置Wtの尿量は処置 Mtに比べ増加し、それに伴い処置Wtの浸透圧は低下した。これらのことから、飢 餓によるプリン代謝の克進は尿酸の尿中排泄量と濃度とを増加させ、その増加は尿 pHの低下に影響していることが考えられた。

以上、新生子豚の尿酸結石症は飢餓によりプリン代謝(尿酸代謝)が克進し、

尿中への尿酸分泌が増加することにより発生することを、本論文は明らかにした。

以上について、審査委貞全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究科

の学位論文として十分価値あるものと認めた。

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