Title
インスリン, グリブライドの血小板凝集能および血小板イノ
シトール燐脂質代謝に対する作用 -- 正常血小板を用いた検
討 --( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
和田, 啓明
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1164号
Issue Date
1998-04-15
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15109
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 和 田 啓 明(岐阜県) 博 士(医学) 乙第1164 号 平成10 年 4 月15 日
学位規則第4条第2項該当
インスリン,グリブライドの血小板凝集能および血小板イノシトール燐脂質 代謝に対する作用 一正常血小板を用いた検討-(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授 北 島 康 雄 教授 清 島 満 論 文 内 容 の 要 旨 糖尿病合併症の進展にほ高血楓 各種蛋白質の糖化 高血圧など多くの要因の関与が指摘されているが.凝固・ 線溶系異常と共に血小板機能異常の関与も重要である。血小板の主な機能は凝集,あるいは粘着および放出反応 である。血/ト板はtトロンビン刺激により血小板膜のイノシトール燐脂質代謝回転が作動し,ジアシルグリセロー ル(DG)が産生され,PKCの活性化が惹起される。これらは血小板凝集の重要なシグナル伝達経路と考えられ ている。これまで,糖尿病患者血小板凝集能およびイノシトール燐脂質代謝に対する食事療法単独,インスリン 治療およびスルフォニールウレア剤(SU剤)治療の影響が検討されてきた。ただこれらのよ几U山0での成績は. 厳密な意味では血糖をはじめとした種々の代謝状況の異なる条件下でなされたものであり,SU剤,インスリン の血小板に対する直接作用を検討するにはわu永和での実験が必要と考えられる。 そこで今回よ几Uよ仁和実験系において,グリプライドおよびインスリンによる血小板凝集能,イノシトール燐脂 質代謝,タンパク質燐酸化反応りこ対する作用を検討した。 対象および方法 空腹時に健常人より採血し,直ちに遠心を行い血小板を採取した。この血′ト板に[:セP]正燐酸を加え標識し た。その胤[:?]標識血小板に最終濃度40〟Mのグリプライドあるいは10nMのインスリンを加え,プレイン キュベーションをおこなった。トロンビンで刺激し10,20,30,60秒にクロロホルム/メタノール/濃塩酸(20: 40‥1.vol/vol)を加え反応を停止した。BlighDyer変法により脂質層を分離,減圧乾固した。イノシトール 燐脂質はt HPTLC法でPhosphatidicacid(PA),Phospholipid(PL),Phosphatidylinositol(PI),Phospha tidylinosito14-mOnOphosphate(PIP).Phosphatidylinosito14,5-bisphosphate(PIP2)の各脂質と・一致する 領域をバイアル瓶にかきとり液体シンチレーションカウンターにより放射活性を測定した。血小板凝集能はBor n's turbidimetric methodにより,アグリゴメーターを使用し測定した。また,標識血小板をトロンビンで刺激 し,反応を停止した後SDS電気泳動によりタンパク質を分離した。ゲルを乾燥させた後オートラジオグラフイー を作成し,47kDaタンパク質の燐酸化を,レーザーデンシトメーターで解析した。 結 果 1.血′ト板凝集能 低濃度トロンビンによる血小板最大凝集率は,コントロールと比較してグリプライド前処置血小板で有意に低 F していた。しかし,より高濃度のトロンビン刺激時の血小板最大凝集率はグリブライド前処置血小板と対照群血 ′ト板とで有意の差を示さなかった。一一方.インスリン前処置1bl小坂では対照群血小板と比較してトロンビン刺激 時の血小板最大凝集率に有意な差は認めなかった。 2.トロンビン刺激時イノシトール燐脂質代謝-59-トロンビン刺激後PIP2・Plの水師反応は・グリブライド前処置血小板で対照群血′H反と比較し抑制されていた。 グリプライド前処置血小板でのトロンビン刺激後PA放射活性の増加率は対照群山小坂と比較して抑制されてい た。インスリン前処置血小板と対照群血小板との比較では有意差は認められなかった。 3.トロンビン,TPA刺激時のタンパク質燐酸化反応 トロンビン・TPA刺激による血小板の47kDaタンパク質燐酸化活性は・対照群血小板に比し,グリプライド前処 置血小板で有意に抑制されていた。インスリン前処馴l小坂との比較では,有意差を認めなかった。 考 察 これまでの成績では・NIDDM患者血小板の凝剰旺低濃度のトロンビン刺激時には.対照群血′ト仮の凝集 能に比して明らかに元進しており,治療法別に検討すると・インスリン治療群およびSU利治療群は.食事療法 のみの群と比較し低滋度のトロンビンによる血小板最大凝集率が有意に抑制されていた○また,インスリン治療 乱SU斉幡療群のトロンビン刺激後のPA増加率が食事療法群と比較して低く.イ/シトル燐脂質の水解反応 はインスリンISU剤治療により抑制されており-インスリン・SU剤が血小板内フ*スフォリパーゼC活性に対 する抑制効果を有する可能性を示唆してきた。また・トロンビン・TPA刺激によるプロテインキナーゼCの基質 である47kDaタンパク質の燐酸化反応は・紗J、血管症を有する糖尿病患者血′ト板では冗進しており抑H、血管症の 発症進展に47kDa蛋白質の燐酸化反応が関与する可能性も示唆してきた○今回のよ乃U山℃の実験結果も,グリプ ライドによる血小板凝集抑制作用とイノシトル側旨質代謝および47kDaタンパク質燐酸化抑制作用が示され, SU剤が血髄降下作用のみならず血小板凝集元進による糖尿病合併症発症の進展予防に寄与している可能性が血 U山℃でも示された。一方,インスリンによる血小板凝集抑制効果は・血uか0実験系では明らかではなかった。 論文審査の結果の要旨 申請者和田啓明は・日常糖尿病診療で使用される代表的スルフォニールウレア剤であるグリプライドの血小 板凝集抑制作用とその機序を解明した。本研究は一概尿病合併症発症機構の理解のみならず実地臨床上糖尿病治 療に対しても貢献するものと思われる。 [主論文公表誌】 インスリン・グリプライドの血小板凝集能および血小板イノシトール燐脂質代謝に対する作用 一正常血小板を用いた検討一 平成10年発行 岐阜大医紀 46:7-13