Title
前立腺特異抗原免疫染色による前立腺癌微小リンパ節転移
の検出( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
伊藤, 慎一
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1156号
Issue Date
1998-03-04
Type
博士論文
Version
publisher
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15114
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 伊 藤 慎 一(愛知県)
博
士(医学) 乙第 1156 号 平成10 年 3 月 4 日学位規則第4条第2項該当
前立腺特異抗原免疫染色による前立腺癌微小リンパ節転移の検出
(主査)教授 河 田 幸 道 (副査)教授森
秀
樹
教授 佐 治 重畳
論文内容の要旨 前立腺癌に対する治療としては従来より内分泌簾法が広く行われてきたが,ホルモン剤に対する不応性の出現 の問題もあり,限局性前立癌に対しては積極的に前立腺全損除術が施行されるようになってきた。しかしながら リンパ節転移を認めない症例においても再発を認めることがありt これらの症例の中には従来の病理組織診断で は確認することの出来ない微′ぃなリンパ節転移が含まれている可能性がある。今回.申請者は,前立腺全掃除術 を施行した症例の郭清した所属リン′ヾ節において.抗PSA抗体を用いた免疫組織化学染色を行うことにより.通 常の病理組織診断に剛、られているへマトキシー」ン・エオジン(H&E)染色では検出が困難であると考えられ る微′ぃな前立腺癌リンパ節転移の検出を試みた。 <研究方法> 対象は岐阜市民病院泌尿器科において遠隔転移を認めない限局性前立腺癌と診断され前立腺全摘除術および 骨盤内リンパ節郭清術を施行された48症例から得られた検体を対象とした。1症例につき1個から29個(平均10・0 個)のリンパ節が存在し,48症例で合計482個のリンパ節について検討した。 標本はホルマリン固定パラフィン包哩切片を使用した。これらの標本をH&E染色およびPSA免疫染色を行い, H&E染色によるリンパ節転移とPSA免疫染色によるリンパ節転移との比較を行った。 PSA免疫染色は.ストレプトアピジン・ビオチン法を用い,一次抗体にはラビIyトポリクローナル抗ヒトPSA 抗体を用いた。 H&E染色で検出されず.PSA免疫染色にてPSA陽性細胞を認めた場合に,リンパ節微小転移とした。 <研究結果> 1)前立腺全摘除術施行例48症例,合計482リンパ節のうち,H&E染色では13症例(2.7%),22個(4・6%)のリ ンパ節に転移を認め,PSA免疫染色では15症例(3.1%),32個(6.6%)のリンパ節に転移を認めた。H&E染色 でリンパ節転移を認めなかった35症例のうち2症例(5.7%)にPSA免疫染色により微小転移を認めた。 2)pTlの12症例ではH&E染色およびPSA免疫染色のどちらにおいても,リンパ節転移を認めなかった。pT2●の 14症例中1例に,H&E染色にてリンパ節転移を認めたが,それ以外でPSA免疫染色により新たなリンパ節微小転 移を認めなかった。pT3の19症例のうち,H&E染色標本にてpNl∼2の症例9例のうち3例に,PSA免疫染色によ り新たに5個のリンパ節において微小転移を認めた。H&E染色標本においてpT3pNOと診断された10症例のうち2 例で3個のリンパ節に微小転移を認めた。pT4症例3例では,H&E染色でリンパ節転移を認めたが,そのうち2例 において,PSA免疫染色により新たに2偶の微小転移を認めた。 3)局所進行癌ですでにH&E染色でリンパ節転移を認めるpT3∼4,pNl∼2の症例では検出されたリンパ節以外 にも微小なリンパ節転移が存在することが示されたが,通常の病理組織検査にてリンパ節転移を認めないpNO症ー177-例でも5.7%(35例中2例)に微′ト転移を認めた0 4)以上より.PSA免疫染色を用いることにより・従来のH&E染色では診断が不可能であった微小リンパ節転移 を見つけだすことが可能であり,より正確な病期診断が可能になると思われt術後の適切な治療法の選択により・ 前立腺癌患者の予後の改善に寄与するものと期待された○