1
医
薬 品
製 造
者
責 任
の
展
開 (
三
一
完 )
ア メ リ カ に お け る
製 造者
責
任
の法 的構
成
を中
心 と して浦
泉
The
Developments
ofEthical
Drug
Manufacturer
’
sLiability
(
3
)
.
With
special reference 七〇legal
construction ofmanufacturer ’
s
liability
in
the
United
States
Izumi
Mi
’
ura 目 次 工 は じめ にll
序 説 皿 製造者 責任における過失理論の展 開 ノ 囚 Winterbottom v.
Wright
(1848) 事 件 〔B)Thomas
v.
Winchester
(1852) 事 件〔◎
MacPherson v
.
Buick MoterCo .
(1916)事
件 IV 医 薬 品 製 造 者の過失 責 任 1.
ネ グ リジェ ン スと は 過 失の要 件 (1) 医薬 品 製 造 者の注 意 義 務 凶 開 発 上の注 意 義 務 回 製 造 上の注 意 義 務 警 告上の注 意 義 務・
(a) 警 告の方 法 {B) 過 失の立 証 責 任 (m
情 況 証 拠.
レスノ イプサ・
ロ クィ’
トゥー
ル原 則 法 律 違反 即過 失 自体 (以上 本 学 紀 要第 5号 に掲 載)V
判例一
つ :Hoffman
v.
Sterling
DrUg
Inc.
(485F
2d
132
(3d
Cir
1973》事件
(
1
) 事実の概 要事件の争点と分 析
VI
製 造 者 責 任にお ける保 証理論の展 開Mazetpi
v.
Armour
&Co ,
(1931
)事 件NII-Electronic Library Service
2
三 浦 泉{c) Henningsen v
.
Bloomfield
MQters
,Inc.
(1960) 事 件V
皿 医 薬 品 製 造 者の保 証責 任L
保 証 責 任と は囚 明示 保 証 責 任
(B) 黙 示 保 証責任 (以 上本学 紀要第 6 号に掲 載 )
顎 判例
一
つ :Gottsdanker
v.
Cutter
Laboratories
事 件 (1960年 ) (182Cal .
App .2d
602,
6Cal.
RPTr .320
(1960
))(
1
) 事 実の概 要事 件の争点と分析
IX 製 造 者 責 任にお ける厳 格理 論の展 開
囚
Escola
v.
Coca
Cola
Bottling
Co .
ofFresco
(1944)事 件{B)
Chapman
Chemical
Co .
v.
Taylor
(1949) 事件〔C)
Greenman
v.
Yuba
Power
Prod .
ucts,
Inc.
(1962) 事件X
医 薬 品製 造 者の 厳格責 任 1.
厳格責 任とは 囚 欠 陥の概念 (d) 製造 上の欠 陥In
) 開 発 上あ欠
陥.
囚 警 告 上の欠 陥 【B} 第二次 不 法 行 為 リス テイ ト メン トの厳格責 任皿
判例
一
つ :Reyes
v.
Wyeth
Laboratories
事件 (1974
年 ) (498 F.
2d
1264
(5th
Cir
1974
》(
1
) 事実の概 要事 件の争点と分析
皿 む す び (以 上 本 号 )
Vm
判 例 一
つ :Gottsdanker
v.
Cutter
Laboratories
事 件 (
1960
年)
(
182Ca
ユ.
App
.
2d
602
;
』
6Cal
.
RPTr
.320 (
1960
)
)
前 稿に おい て , 医薬 品 製 造 者の保 証 責 任に関
する法理論 的展開を分析
し た。 そこ で本
稿で は, それ らの分 析に従いつ つ , 判 例 を一
つ 紹 介 し検 討 すること と した。こ の判 例 は, 事 実 審 裁 判 所におい て, 原 告 (
Gottsdanker
)に対
し黙
示の保 証 違 反を 理 由と して指
示 評決
し たもの で あ り,被告
(Cutter
Lab .社
)が不 服と して控 訴 した もの である。 そ れは ソー
クワク チ ン (小
児麻痺
ワ ク チン)
を二人の子供
に予 防 接 種 した結果
, 灰 白 髄 炎 (polio−
myelities )に罹 患 した とい う もの であり,
原 告が損 害 賠 償 を 請求
した事 件で ある。 {1
) 事 実 の 概 要この
事件
は,
二 人の子 供 が被告
の製
造し たソー
クワク チ ン (Salk
Vagcine
) を 予 防 接 種 し た 後, す ぐ灰 白髄 炎に罹患
し た という もの で ある。勿
論, ワ ク チンは ポ リォを 予 防 する た めに意 図されて い たもの であ り, 二人の子 供に注 射 され たワ クチ ン は,
シー
ル さ れ た瓶
又はアン プル で薬局
か ら医 師 が購
入 し,一
人の 子 供には,
医 師が それ を皮
下 注 射 を し,
他の子 供に は,医師
.
36
N工 工一
Eleotronio Library医薬 品製造 者責任の 展開 (三) 3 の指 導の
下
に看 護 婦 が な した もの である。 これ が 当判 例 集による事 実の概 要であ り, こ の よう に簡 単に説明 さ れて い る にすぎ ない。 そ こ で, では被 告 医 薬 品 製 造 者が当 該ワクチ ン をどのよ うな状 態の下に置いてい た か を, 文 c129)献
の説
明か ら理解し たい。1955
年春,
被 告は,
活 性 小児麻
痺ウ イル ス を含有
し た 六種 類の ソー
ク反 ポ リオ ワ ク チ ン を 販売
して いた。 こ の ワク チンの製 造 過 程は,
ワ クチン の製法中
に用い られ た活
性ウ イル ス を不活
化にすることが 期 待 さ れ ていた が,
し か し実 際は不 活 化 されて いな かっ たのである。 被 告は,
安
全 テス ト に おい て ウ イル ス が完
全に弱 っ て い た た め, 六種
の ウ イル スを不 活化
さ せ ること まではで き な かっ たのである。 しか しながら,
これ らのテス トは,
当 時の出来 得る限 りの知 識 と経
験に基づい て適切 に完
全 に行
なわれ た。 そ れ らは指導
的科
学者
に よ っ て認
め られて いたも の で あ り,
被 告の 競 争 会社
において は成 功 して用い られて いたの であ る。 ウイル ス の不 活化
の存否
は テス5
が終 了す
る ま で疑わ れ な か っ たの である。 (2
}事件
の争
点 と 分析 前 述の事実
に基づき,
高 等 裁 判 所 (カリフ ォル ニ ア州
,Alameda
裁判所)
において, 以下
の ような判 決が な さ れ た。 訴 訟 の 訴 因訴 訟 は第
一
に過 失, 第二 に商 品 性の 黙 示 保 証 違 反,
第三 に特
定 昌 的へ の適 合 性の黙 示 保 証 違反
を 理由
と して提 起さ れ た。
これに対 して陪 審の意 見 は,
要 約 す れ ば 次の通 りで ある。 第一
の 過 失 訴 因に関 して は,
“ 状 況 証拠
の優位性
か ら,被告
に対
して,直接
的にも
ま た推論
に よ っ ても
, 過失
な し ” と結論付
け た。 な ぜ な ら ば, 被告 がワク チ ンを市 販 し, 原 告に投与 さ れ た時,
その 原 告が灰 白髄炎に 罹患 し たこ とが原 因であ り, それ らは被 告の保 証違
反に よ っ て生じ たものである と し た。 陪審
は第
二 の商 品 性の黙 示 保 証 違 反,
第三の 特 定 目 的へ の適 合 性の黙 示 保 証 違 反の点で原 告 を 支 持 し, 過失
に関
して は被告
を支
持し た。 こ の決定
に対して 被 告は(1
)C2
)(3
)に関して 疑 問 ありとし,
また 原告
は, 過失の訴
因に関
して不 服である と して, そ れ ぞれが カ リフ ォ ル ニ ア州 地方
裁 判 所に上 訴 した もの であ る。 そこ で 陪審 評 決 は,
被 告に対 し, 原 告 側の二人の子 供に13
,900
ドル , その 両親
に特別損害賠償
金と し て8
,
300
ドル の支払
を 指 示 した。では, そ の際, 当該 裁 判 所はいか なる論 拠によ っ 七こ の ような判 断 を 示し たの であ ろ うか。
、
以下
, 筆者
な りに,
当譲
裁 判 所にお ける判
決の要旨
の法 律 的 問 題 点 を 分 析 したい。 こ の事 件の基 本 的 問 題は, 被 告 (医 薬 品 製造者 )が原 告に対 して, 直 接 販 売 する製 品の 欠陥 につ い て黙 示 保 証 上の責
任を負 うか ど うかで ある。 こ の問題
を論ず
る た め,筆者
は当判例
か ら 四つ の論 点 を 要 約 し,
論述
したい。 第一
の 論 点さ て, ま
ず契約関
係の問 題 が提示
さ れる。 アメ リカ の裁 判 所においては, 歴 史 的に黙 示 保 証 責 任に対 して, 契 約 関 係 (被 告 か ら原 告へ の 直 販 )が必 要であ る と判 断 きれて きた。 し か し, こ の原 則は, 現 代社会
の傾向
か らこ うし た要請
の厳 格 性 を修 正せざるを 得 ず,
カ リフォ ル ニ ァNII-Electronic Library Service 4 三 浦 泉 州において もこれ に
従
わざるを 得 ない と した。
製 品が人間
の消費物
と して の食 品であること か ら, 少 数の裁 判 所 は契 約 関係
の排除
を認めて きて い る』 しか し,15
ない し18
の州において は,
製 造 者又 は最 初の販売者が, 卸 売 商によっ て直 接販売さ れ た製品 につ い てさ え, 最 終 消 費 者に 対 して責 任 を負
担す
るとい う原 則 を支持
して いる。 ところ で, カ リフ ォ ル ニ ア州
は,1939
年に 契 約 関係の 排 除 を 認めて い る ので あ る。さ て,
食品
と薬品
のケー
ス に おいて, その 契 約 関 係 問 題につ き,
当 該裁判所
はどの よう
な判
断を 示 して い るの か。
食 品の ケ
ー
ス に おい て問 題になるの は,
人 間に消費
さ れ る物
品である ということで ある。食
品は, 人 体に直 接入 り消 化さ れ るもの で あ り, 生 命・
健 康に大 きな影 響 力 を 持つ こ と勿 論で あ (13e)る。 した がっ て
,
第一
の強 調 点 と して,Klein
v.
Duckness
Sandwich
Co
.
事 件の 判 例 が 引 用さ れ,
.
「安全 な食
品は,
人間
の消費
の ため に販
売さ れ る が ゆ えに,
公序良
俗 (Public
policy )」 に関 すると 主張が な されてい るので あ る。
こ の意 味す る ところ は,
食 品の よ うに他の製 造物
(人体
に直接
入 らない) と は異な り, 公 共 的 政 策 的な強
い影
響 力を持
っ て いる製 品に関 しては, 販 売 者 (製 造 者 )か ら,
直 接の購 買 者との間の契 約 関 係 を排 除 すべ きで ある,
との考
え方が前 面 に押し出
さ れて い るの で あ ろ う か。 しか る に 当該裁
判所 は,
食品の 場 合,
黙示 保証責
任 につ い ては.
販 売 者 か ら直 接 購 買 者に対 してのみ責 任 を 否 定 している。さて食 品のケ
ー
ス につ い ては前 述のごとく考え られ るの で あ る が, 当事
件の薬 品のケー
ス に おいて はど うで あ ろ うか。まず
純
良に して安
全な薬
品と食 品は, 公 的考
慮か らして区 別す
ること は ない と 述べ , 両 製 品 に関 しては,
契 約を排 除 する 立場に立つ 前 述 判 決 (Klein
事 件 )に 当該 裁 判所も従
う,
と判 示 して い るの で あ る。 な ぜ な ら ば, 当ワ ク チン は, 食 品と同様
に人間の体内に注入 さ れ る よ う に 意 図 されてお り, さらに注 射 という方 法 を 持っ て入 間の組織
体に 入 るの である か ら, 食 品よ り も直 接 的に摂 取 されるとい うことである。 実 質 的には,
経□ で 投 与 され た 毒 性 混 合 物 は,
その 作用的
の 面か ら見れば,
皮 下 注射
によっ て体
内に注 入された有 害な物 質よ りも,
よ り最 少に止 ま り,害
が少ない と考え られる。
ところで薬 品は,
経口 また は注 射の 方 法によっ て 使 用される もの で あ る から, 食 品よ り も影 響力 は大きい と考え るのが自然であ ろ う。
であ る か ら,
食 品ic
「
おい て 契 約 関 係が排 除されるな ら,
薬 品におい て もまた排 除さ れ るべ き もの と考え る。 当 該 裁判所 も
そ う判断
してい る。 こ の判 断に対 して, 被 告の主 張は,
次の よ うに主 張 した。(a) 同主張は , かつ て の他の裁 判 所に おける
判
決例
を引
用 (血液
又は薬
品ケー
ス に おい て) して, 黙 示 保 証 責 任におい て は, 例 外な しに契 約 関係が要 請さ れて い たの で ある か ら, 当事例
に おい て も採 用す
べ きである と説
いた。〔b ) っ ぎに, た と え契 約 関 係が要 請さ れ ない と して も
,
原 告が購 買 者 自身であ れば,
訴 訟の対 象と なり うる黙 示
保
証 とな る。〔c) 医
薬
品の販
売 上め欠 陥に おいて,原告
に よっ て購
買 された にせよ,
医薬
品 製 造 者の負
う黙示 保 証 責 任の伝 達方 法が ない。 (こ の理 由 と して判例を引用 して
,
病 院は血 液供 給の件 につ い て
黙示
保 証の責任
を負
わ ない とす
る。 なぜな ら血 液 は 販 売 晶ではない か ら であろ う。)38
N工 工一
Eleotronio Library医薬 品製造者責 任の展開 (三 )
5
第 二 の 論 点つ ぎに医 薬 品にお ける売 買と は何であ る か
。
被 告と原 告との間
に おける製
品の売
買と は どの よ う なものを指
すので あ ろうか。 判 決 を要約
する と,特 定 目的 及び商 品 性の黙 示 保 証は
,
販 売 者に対 して の み有
効であるという理論か ら,
問 題 化 して くると考 え られる。 言いか え れ ば,
製 造 者 は 黙 示 保 証 責 任 を 負 わ ないとい うこと に な る。 そこで販売者と最 終 消費
者との関 係が問 題に な るの で あ る。
被 告が,
医師と原 告との 間の商 取 引は販売
で は ない と主 張す
る点
につ い てで ある が,当該裁判
所は,一
応 予防
接 種 を さ れ , 又は監
督 した 医師
へ のワ ク チンの販
売は,販売
で は ない であろう
, と確 認 した。 とも
か くも
, こ の ケー
ス の こ の処理 に同 意で きない とし てい る。 それは こうし た 理由に よ るの であ ろ う。食 品ケ
ー
ス においては, いかな る消費者
にも保 証 は拡大
さ れるとし た判例
があ り,契約
な くして も保 証 責 任を認 容して い る。(
b
) ワク チ ンは, 小 児 麻 痺のた あ,
予 防 接 種 を求め る人に注 射 されるの で あ り,
注射
するの・
は医 師で あり, その 目 的のた めに製 造さ れ た もの で ある。 明 らかに ワ ク チ ン の最 終 消 費 者
は医 師で は な く患 者で ある。 だ が 医 薬 品の場 合, 売 買 は 黙 示 保 証の下で責 任 を 課
す
のが 本質で あるか ぎり
,
卸 売 業者又
は小
売 商へ の最 初の売 買が製 造 者の意図
し た人, ま た消費者
となっ た人の 利 益の ために黙示保証 を 果 たす 責 任 を 製 造 者に課 すことで十 分で あ る と し た。
これ は
す
な わち, 医師
と卸売商
, 小売商
との 間の売
買が成
立す
れば 要 件が満たさ れる ということで あ り
,製
造 者 は 医 師 (患 者の代 理 と して)に黙 示保 証の責 任 を負 担 するとい うこ と であろ う か。 第 三 の 論 点つ ぎに
法律
とめ関
係につ いて,当判決
が指 摘 し ていることを 検 討 して み たい 。ま ず 判 旨は
,
「特 定 目 的の 適 合 及 び商品
性の 黙 示 保 証 責 任は,
販 売 者に対 して のみ実
施せ ら れ,
こ う した 保 証 責 任 は,
統一
販 売 法の一
部 と して 採 用 さ れ た法 典 (カ リフ ォ ル ニ ア州 民 法 典 (Civ
.
CQde
第 1735条)
に基 づ く」と して い るのである。保
証責任
に おい ては, 人 間の体 内
に注 入さ れ, ま た意図
された商品
に関して は,製
造者
か ら消費者
へ という販売経路
を た ど る必 要 は ない。 さ らに被 告 は, ワ ク チ ンの供 給 が, 健 康 安 全 法 (カリフォ ル ニ ア州のhealth
&Safty
Code
)の第1623
条に従えば,
販 売 品と は考え られない と しているが, こ の条 項の 内容
は,
「人 聞の体
内に注 射又 は輸 血の 目 的の ために, 血 液,
血漿
,
血 液 製 品と血 液 誘 導剤
の 処理, 製 法,
供 給又 は利用が,
その 会 社に関 与 して い る商 社 あるい は会 社に関 与 して い る個 人 及 び 会 社 ある い は会 社に 関与して い る法人 に よっ て サー
ビス 品の交付
であり及 び 供用物
に な る ように組
合わ されている な らば,
いか なる目 的に して も販 売 品で ある ように組 合 わせ られ ない し,
かつ 販 売 品 と して は表 明されない」 (こ の規
定は1955
年に議 会で採 択 され た )。 本 件の事 例におい て , こ の規 定 がワ クチン に適 用される か否 かを論じて い る の で あ るが, 特 に論 議の対象
と な っ て いるの は, 生 物 学 的 製 剤が1623
条に適用 される か否か で あ る。 判旨
は,
被 告 が救
済 さ れる法 条 項 と して は, 第1601
条があ り, その定 義に よれ ば,
「Serum
ワク チン,
Iive、
ワ ク チ ン,Killed
ワク チ ン, tissue ワ ク.
チ ン,
autogenous ワ ク チ ン,live
ウ イル ス,Killed
ウイル ス (等 他 を含 む,
全 血液
, 血 液誘
導 剤 )」 と さ れて い る が, 第1623
条の販
売 行 為 の適 用につ い て,
血液と 血液血漿の供 給は販 売では ないと規 定して い ること か ら,
こ の 規 定にNII-Electronic Library Service
6
三 浦 泉 該 当し ない と し, 当 該ワ ク チ ン も また こ の条 項に適 用 さ れないと して い る。 保 証 責 任は前 述し た ご とく法 (統一
商 法 典 (前 稿 第6
号31
頁〜32
頁 ) , 販 売 法 )に よっ て課せ られ るもの であ り, そ の一
部であ る健 康 安 全 法の 第 1623 条の 規 定に該 当 (生物学
的製剤
)する と し た被 告の主張に 対 して,
判 決はこれ を 認めず
, 第1623
条の黙示
保証違 反で あ る,
と したの であ る。
さて,
本 件で 問 題になっ て い る保 証 責 任にお け る免 責 約 款につ い て論 じて みたい。
(131)免
責約
款 と は,
「基本
的 には完全 に契 約 上の概
念である」 と説か れ, 「その理論 的基礎は 契約
“32)の 自由に求め られ る」と さ れて い る。 す な わ ち 被 告 医 薬 品 製 造 者における保 証 責 任 は, 免 責 約 款に よ っ て排 除されるという もので あ り
,
被 告が その 医 薬 品の保証 につ いて, ま っ た く保証 し な いか, あ るい は一
定の結
果につ い ての み保証する と か, あ るい は医 薬品製 造者の 責 任におい (133) て,
医薬
品の交換
が な さ れ た場合
は,免責
を認め よ うとするもの である。 しか しな が ら一
般の 製 造 物の保 証 責 任 論において は, 免 責約
款が認め られてい る例 もあ り,統一商法
典に おい て も 承 認 さ れて い る ところ である が,医
薬 品に関 し て は, そ れ を 認 め た判例
が ほ と ん ど皆 無であ る と指 摘 されてYD
る。さて , 以
上
の概
略を踏
ま えて,本
件の ワ ク チンの場合
は ど う で あ ろ う か。 まず 結 論 か ら述べ れ ば , 判 決 は 否 定に解 して い る。 そ こ で まず, 被 告の立 場 か ら概 観 しよう。 被 告は,
当 ワク チ ン の箱に印刷 じ た指
示が, い か な る黙示保証を も否 定 する旨
表 示 してい る と 主張してい る。 し か し, こ の 明 示の保
証 が合
理的で矛盾
して い ない以 上,.
こ うした黙 示の保
証 もすで に存 在して いた (Civ
.
Code
第1735
条 )と認めて よ い で あ ろう。 さらに当 該 裁 判 所は, 被 告が,
特 定 目的 及 び 商 品 性の 黙 示 保 証にお ける指 示 が矛 盾 して い る こと を見っ け 出 さなかった
.
と述べ て い るの である。 被 告はこの ワクチンがNatienal
institutes
ofhealth
of theU .
S.
Public
Health
Service
の基準に従っ て製 造さ れ, さらに こ の薬を用いる場 合には局 部 的かつ不都 合な反 応が, 非 常に少ない という指 示の記 述 を 信 頼 する か く実 際の記 述 は, ウ イル ス がホル ム アル デヒ ド で不 活 化さ れ る と して い る が)
,
こ の指示の 内 容で は, ワ クチ ンが特
定 目的 及び商 品 性に適合 する とい う免 責 約款
を見つ けるこ と は 不 可能であ る と し た。
すな わ ち 「局部的 かつ 不都
合な反応」とい う文言
で は, 活 性ポ リオ ウ イル ス の存在
を示 唆す
る に は十
分で は な く, 生 ポ リオウ イル ス の存 在 を示 した ことに は な ら ないとし た。 した がっ て それは免 責 約 款に は な ら ないと判 示 し てい るの で ある。 さ ら に付
け加え て,被
告の 指 示は,
ワク チ ンが安 全で あ り,
活 性ウ イル スが遊 離 したと して黙 示 保 証 を 否 定 したことに対して結 論 を見い出 さないと し, また指
示 が, いか な る効 果を原 告 もしくは両
親 又は医師
に伝 達し た か とい う結
論付
けは な し え ない。 原 告は, ワ ク チンが灰 白髄 炎 (小 児 麻 痺 ) を 引 き起 こすの を防
が な かっ た とい うの で は な く, ワ ク チ ン自
体が病 気 を 発 生せ し めたと主 張 して い る の である。 第 四 の 論 点最 後に, 裁 判 所 が 被 告に
対
して公序
良 俗 論 を 根 極とする責 任 を 否 定 した点につ いて論 述 した い。 公 序 良 俗 とは何 か。 ア メ リ カの 民 事 裁 判に現 わ れて い る一
つ の論 点 は, 公 序 良 俗の問 題で あ る。 公序 良 俗につ き, 「社 会の福 祉のた
め, こ の原理 に基 づい て法律
は契 約及び私
的取
引の自
(134) 由を制
限 する」と説か れ, さらに 「明 らかに公衆衛
生, 公の道徳
,司法
に対
する公 衆の信頼
を 侵害
し, 又は市
民の享有
する個人的権利
に関す
る保障
を 害 する虞の ある如 き場 合には,
か かる 40 N工 工一
Eleotronio Library医薬 品 製 造者 責 任の 展 開 (三 )
7
(Is5)行為若
しくは契約
は,Public
policy
に反 するもの と して無
効なりと さ れ る」と説かれる。 そ し てすなわち 医 薬 品の 場 合に』
は,
この 公衆
衛 生の 分野に該 当 するので あろ う か。 言い か え れば,
それ が 公 衆 衛 生に貢 献 するもので あれ ば,
公 序 良 俗に照 ら して認め られて もよい と考え られる の で あ ろ うか。 医 薬 品は 公共 性 と有 害性
の 表 裏 的に合わ せ もっ た物 質で ある ことか らして,
複 雑 な 問 題 を提 起 すると思 わ れる。
こ の点にっ いて は,
それ が 本 件の判 決 中に被
告の主 張 と して 取 り上げ
られて い るの で,
記 述に従っ て論じて みたい。結論
か ら述べ れ ば,
被告
は,
公 序 良俗
に照ら し て , 新 薬の保 証につ いての損 害 賠 償 を否 定す
ること がで き る と強
く主 張し た が, 当 該 裁 判所
はこ の被
告の主張を拒 否 してい るの で ある。 そ の被 告の議 論 はこ うで ある。 「公 序 良 俗で は,
新 薬の保 証の点で損 害 回 復 を否 定 すること に よっ て 償わ れ る ことになる で あろ う。 もし医薬
品製
造
者
が,
それらの欠 陥のゆ えに巖
格責
任を負う べ きであ
る とする な らば,
医薬
品の開 発が 遅滞 するで あ ろ う。
もし内在 する保証 が , 治療薬
又 は予
防ワ ク チンの単な る欠 如 と関 連炉
あっ た なら ば,
こ の議 論 も説 得 力 を もっ た と考 えて も よ い が, その保
証は,製品
が それを防
ぐように意
図さ れ た病気
を積極的
に引
き起
こ さ ない という 確 言に限
定 さ れてい る場 合には,
その重要性
は わ ず かにす ぎ ない と思 う」 さら
に被告
の主 張 は,
前述の健康
安全法 第1623
条に血液と 血液血漿の供給
は販 売で は ない と規 定さ れて い る法 規か らノ
十
分に窺えると指 摘し た が, 当 該 裁 判 所は, 健 全な公 序 良 俗 論が一
般に生 物 学 的製 剤 又は特 殊 なワ ク チ ンへ の例 外 を 拡 張 するよう要 求す
る な らば,
適1
ξ
な議 論が, 立 法 府におい て な される べ き もの で ある,
と判 示 した。
以 上の 判 決 文の要 点 を 列 挙し
,筆
者な りに検 討 し たの である が,
結 論 として判 決は 以下の よ う に結
ん でい る。
「被告
の ワク チ ン は,
活 性ポ リオウイル ス を含
ん でいた ゆ え に本件
の ワ ク チ ン は安 全なもの で は ない , そ れ に商
品 性 又は 意図さ れ た目 的に適 し たもの で は な か っ た。・
陪
審 は明ら か にこ の ウ クチン を原 告 が 予 防 接 種 したことに よ りポ リ オを 罹 患 したこと を認 定 した
。 (1S’
fi) こ の事 実 認 定は証明
さ れ る と し たの である。」 な お,
こ の件に関しては, 上 訴は棄 却 され, 原 判 決を確認 された。〔
12
窃Note
:The
cutter polio vaccineincident
:Acase study of Manufaqturer,
sLiability
with−
out
fault
五n tort and warran 嚇,
65
Yale.
L.
JNov ,
1955, July.
1956, at 262.
{130
)14Cal .2d
272,93
p .2d
799g
{13D
黒田喜重,
「製造物責 任 と免責約款一
米法上の製造物責任の一
考察一
」,20,
法学 研究 (愛学大 ),
2,
1976,
93頁 参照。
(13Z
黒 田・
前掲 論文,94
頁参照。 α謝 小林 秀文。
前 稿掲載論 文囲,
55頁を参照 し ながら医
薬品に当てはめ て論じた。 {1
鋤 高 柳 賢三,末
延 三次・前稿掲 載書β , 389頁 参照。 な おPublic
policy
をわ が国で は, 公 的政 策, 公共 政 策, 公 益, 等々 と訳 されてい るが
,
本 文で は 「公 序 良俗」 を 用い た。U3S
高 柳,
末 延・
前 掲 書,
389頁 参 照。 〔1
蹲 こ の箇 所に関しては, 植木 哲・
前 稿 掲 載 論 文U4
, 50頁〜
57頁に引用さ れて い る訳 文を参 考にさ せて い た だ い た。IX
製 造者 責
任
にお け
る厳格
理論
の 展 開 前 稿の過 失 理 論, 保 証 理 論の展 開において製 造者
の法 的理論
の内 容にっ い て論 述 した が,
そNII-Electronic Library Service
8
三 浦 泉 の基本的
立場
は,製
造者
にい か に厳
しい責 任 を追 求 しうる かの模 索の結 果である。 いわ ゆる過 失 責 任 論におい て,被害
者の立証の困 難 性を除 去し よ うとする 理 論 構 成の展開が, 保証理論に おい て帰 結せ し め ようど し, 保 証理論におい ては,
契 約 法 的 売 買 法の伝 統 的 構 成 か らより厳 格 な 製 造 者へ の責任
問 題に対
して契約関係
を完
全 に排除
し , さらに過失
の立証 を除去
しようと し た厳格
責 任 論を構 成 して き た, と言え るの で ある。 (!37 )さて
,
現 在ア メ リ カの裁 判 所に おい ては,約
44
州 が厳格
責任
法を採用 してい る と言わ れて い る。 そ れ は19 世紀の 経 済 的 自 由主義の全 盛 期 後 現 出して きた 企業 責 任へ の社 会 的 要 請お よ び20
(13s) 世 紀の社
会 的 経 済 的考
え方を表わす もの で あ り, 特に製造者 又は販 売 者の製 品か ら惹 起 する人 体へ の傷 害,
財 産へ の損 害に対 して,
消 費 者より も当 然 資 本 的 有 利な立 場にある製 造 者 (企業
) に負 担せ しめ よ うとする社
会 的 概 念に基づい てい る と言わ れ ている。
こ の ことを 法 的
側
面か ら観れば,
かっ て コ モ ン ・ ロー
にお ける古 典 的 態 度 が,
最 終 消 費 者こ {139) そ欠 陥 品の 危 険 を負
担し なければな ら ない と定 義付
け られ てい た こと を考
え合
わ せ る と き)一
い L か にも社 会 的 意 識の変 化 を顕 著に示 して い る と言 えるであ ろ う。 こ う した社 会 状 況の麥
化が, ア メ リ カ法の急 速な新展開を な さ し めて い るこ と に注 目し な け れ ば ならない。さて, こ のよ うな 法 理 論 的 展 開の な か か ら厳
格
責任論
は 提 示 されて き た わ けであるが,
厳 格 責 任 論が どの よ うな 理論 構 成 を な して い るもので あるか, 以 下の判 例の展 開 を 通 して分 析 して “40) みたい と考える。 言 うまで もな く,判
例の展 開は, ア メ リカ の学
者の著 書に紹介列挙
さ れ た も の を参照 し,
原 判 例 集に よっ たもの で あ る。
(141)(
A
)Escola
v.
COca
Cola
Bottling
Co
ofFresco
事 件 (・
1944
年 )厳
格責任
の法理論が登場
し たのが, こ の事件
であ る と言
わ れて い る。 し か し な が ら同 責 任 法 理 は判 例 上 垣 間 見 られたにす ぎず,
リー
デ ン グ・
ケー
ス が現 れる には, 後 述〔C
)の判 例 を 待た ね ば な ら な か っ た。 したが っ て 本件判 決は, 理論 的展開の 先 駆的な もの と して 重要 視さ れてい る もの で ある。’
さて,
事 実の 概 要 を 簡 単に述べ,
こ の 判 例 が 指 摘 してい る点の 要 約 を 記 してみたい。
本 件は
,
原 告 (レ ス ト ランのウエ イ トレ ス)の手にCoca
Cola
の瓶が破 裂 し, 同 人が傷 害を「
蒙っ たという事 実 か らはじまる。 原 告は被 告に対 して,
ガス が過 度 な圧 力 (excessivePressure
) で加え られ, 瓶la
ある種の欠 陥があっ た た め, 飲料
が 入 っ て い る瓶
が危
険な もの と な り, ま た 爆 発 しそ うな状 態にあっ た とし, これ を 販 売 した ことに過 失があっ た と 主張し た。 こ の主張に 対 して陪審
は 証拠 等か ら判 断 して原 告支
持に評 決 したもの で ある。こ の事 件の 法
律
的 争 点は, 原 告の行 為が, ア メ リカ不 法行為
法の 法理論
の一
っ で あ る 過失の 立証責
任の要件
, レス ノ イプサ ・ ロ クィ トゥー
ル原 則 (前
穗一
1
−・
IV
−
(B )一
(ロ))に該 当 するか否 か とい う点で あ り,
被 告に過 失があっ たか 否か が論 争 点で あっ た。 さて , こうし た論 点を要 約して みれ ば, ま ず 原 告は, レ ス ノイ プサ・
ロ クィ トゥー
ル 原 則の 適 用 を 主 張 するに必 要 な 事 実 関 係の証 明 を 行 わ な け れ ば な らない。 (その立 証 と して, 原 告の瓶 のぎ ざ ぎ ざの一
片が破 裂し,
彼 女の手の ひらの血 管 を 切 り, 親 指の神 経と筋 肉に傷 害 を与え た と して破 片 を 示 し,破
裂の割
れ 目の部 分 を 証拠
と して提出
し た)
。被告
は当
然の こと と して, こ う した証 拠で は, こ の裁 判を維 持 する に は十 分で は ない と 主 張 し た。
こ の原 則におい て要請さ れて い るのは,被
告 が 傷害
を 惹 起す
る物
の排他
的支
配 を有 してい た か 否 かであ り,
その前 提 と42
N工 工一
Elebtronio Library医薬品 製造者 責 任の展 開 (三)
9
して過 失の行
為 がなけ れ ば 起こ ら なかっ た で あろう ということが 必 要で ある。要す
る に原告
は, 原 告が傷
害を蒙っ た瓶
が被 告の所 有 を 離 れた後におい て も変化
し な か っ た か とい う立 証を求
め ら れてい るので あ る。言
い か え れば, 原 告は,自
らが 当該 瓶 を 注 意 深 く扱っ た とい うこ と を要 請 さ れてい るの である。 ところで 当該 裁 判 所 は, これ らの立 証に おい ては 第三者の合 理 的 推 論 を 認 める 証拠があれば十 分で ある, と見てい る。さて
,陪審
は, 次の よ うな 理由で被 告の過失
を認め た。す
な わち,被告
は炭酸
飲料水
が安
全 な圧 力で瓶に入っ て い る ことに責 任があるの で あ り, し た が っ て被 告の懈怠によ る欠 陥 瓶か ら 傷害
が生じ る な らば被告
に責任
がある と し たので あ る。 ところ で被告
の 過失
の推定
は, 被 告が 欠 陥 瓶 を 見っ け 出 さな か っ た という懈 怠 か らで き得る と したの である。 こ の点 を もっ と具 体 的 に云 え ば 被 告 が 適 切 な検 査 を 行 わな か っ た とい うことから推 定できるということ である。以 上, 事
件
の あ らま しを 論 じたのであるが, こ の判 例 は, そ の後の厳 格 責 任 論に影 響 する理 論 を 提 示してb
ると一
般 的に述べ ら れてい る。 で は,
それはなにを根 拠と して いるの であろ う か。 そ れ は当判決
の補
足意見と してTraynor
裁 判官
が論じ た な かに含
ま れて い る の で ある。 (142) この点 は,
わが国の研 究 論 文にもすで に 引 用されて い る箇 所であるの で,
ここで は その 要 点 を 紹介
するに留め たい と思うbt
指摘す
る ま でもな く,
そ こで は, かの レ ス ノ イ プ サ・
ロ クィ トゥー
ル原則の適 用の可否
を め ぐる事
件が基 礎にな っ て いるの で あ っ て, こ の 問題を前提 と して論じ ら れ たの で あ る。「私はこ の判 決に
同
意 する が,
しか し私
は,
製 造 者の 過失は,
こ の よ う なケー
ス におい て 損 害 回 復のた めに原 告の権
利の基礎と して,
もは や 選択 すべ きで ない と信 じ る。 私の意 見 は,
製 造 者が製 品 を 市 場に置 く時,
検 査 なしに使 用 さ れることを 知っ て い るの で あ り,
人 間ic
傷 害 を 引き起 こす
欠 陥 を 持つ ことを 立証 さ れ る時
に,製
造者
は絶対責任
を招
くこ と を 認識 すべ きで あ る」とQ’
(143)(B}
Chapman
Chemical
Co .
v.
Taylor
事 件 (1949
年 )s
本 件は
,
除草剤 (Chemical
dust
) (商品名 厂2−
4− D
」)であ る化学 粉末
剤を散布 し た ところ損害
を蒙
っ た とい う事件
で あり, 被 告 (製造者 (Capman
chemical社
)は危 険 を 内 在 する製 品 を 市販す
る前に,
他の作 物に損 害 を与
え る かど うかを 検 査 (テス ト)す
る義務
がある, と し て厳格
貢 任 を課 し た事例
である。,
事件
の概略
を 述べ れ ば ,原
告 (Taylor
)は, 農作物
(綿花
)を栽培す
る目的で1947
年にMrs
.
V
.
C
.
(農 園 所 有 者 )の所 有の土 地 を賃 借 した。El
皿s社
は2− 4− D
を 使 用 した ところ,
原 告の 農 作 物が損 害を蒙っ たため,
原 告お よび上 記 土 地 所 有 者がElms
社に対 して損 害 賠 償 請 求の 訴 訟 を提 起 した もの である。
2−
4− D
は,
原 告の 農 作 物 から 1マ イル 3/4ee
れ た ところの,Elms 社
が所有
する農
地の米
作物
に散布
された もの であ っ た。
以 上の こと を 前 提 と して論 旨の要 点 を 述べ てみ よ う
。
まず 被 告の主 張 か ら概観
すると, 契約
時
(除
草剤
の品質につ い て, 被 告が出
版し た文 献に警 告が な さ れ, よく知 られて い たこと )に,
綿 花, じや がい も, 野 菜などの植 物に非 常に危
険で あるとい うこ と が, 警 告, 流 布 されていた,
と被告
は述
べ てい る6
しか し , 原告
と反対上訴人
は,被告
とElms
社
が こ の使
用に よ る綿
花 作 物の損 害に対’
して責 任がある と 主張レ
, 裁 判 所は その 主張を 認定した。 多 年にわた っ て 除 草 剤 を用い た経験
の あ る農園者
の 証言
によ れば, 「こ うし た化学物質剤
は,家畜
に危 険なもの であ り,NII-Electronic Library Service ユ
0
三 浦 泉 ま た,
他の様々な植 物IC
も危険
な もの であ る が,
種々な 目的に使用 さ れ るもので あ る。
除 草 剤 の用い方と しては, そ れ が飛 行 機ic
よっ て散 布 され,
適 切に使 用さ れ た な ら,.
そ の範 囲は50
又 は100
フ ィー
ト以 上に流 れた り広が ること は ない」 と 証言 して い る。 問 題’
なの は証 拠に よれ ば,Elms 社
が 不 注 意であっ たこ と, そ して被告
が 知っ て い たこ とを示
さ な かっ た ことであ り,2−
4− D
が飛 行機
で空 中に散
布さ れ る時,1
マ イル は飛 散 して い る とい うこ とであ る。 経 験の ある農 園
主の証言
では, 同剤
が適 切に使 用 され れ ば,50
フ ィー
トか ら150
フ ィー
ト よ り広範
囲の距
離に飛 散 すると述べ て い る。 また反 対 上 訴 者の 綿 花作
物は最 も近い 範 囲で もElms 社
の 米 作 物 か ら1
マ イル 3/4の 距 離IC
あ っ たの であ る。さてつ ぎに, 当 該 製 品 を使 用 した
Elms
社に責 任 が あるか 否 か め 問 題で ある。 当 該 裁 判 所 は, 陪審の事実
確 定か ら評 決 した こと に関して同
意 してい るのであるが,
それはElms
社
が 除草
剤を
購
入し使 用 する前にマ ネー
ジャー
C
.
(7,8
年 前S
七uttgart のRice
Experimental
S
七ation のマ ネ
ー
ジャー
であっ た)に相
談 し,C
は そ の使
用を 正 しい方
法で あ る, と考え た。 陪審
は,Elms 社
が危険
な北
学 薬 品 を使用
した という事
実 が 認定
され た と して も,責任
を 課す
だ け証 拠 は ない と したの で ある。 被 告に対 して は,
製 品の責 任に関 して種々 の テス トを 適 用し なければ な ら ない と し,
危 険な製 品 を販
売し ていた
ことで責任
が あると した。 その理由として は,
製 品 自体の使 用にお ける推 薦,
宣 伝資
料,
頌 布 をコ ン トロー
ル し, 指 示 を 与 えて い たと したの であ る。 さ ら に付 け加 え れ ば,Elms 社
に よっ て1947
年7
月1
日に使 用 され た2− 4− D
除 草 剤 は, その内在
的危険性
が他
人の財 産に損害
を 与え た。 そ れ は テス トが な さ れず被告
に 過失
が あ っ た の である。
また テス トの内 容 と して は,2
▲4− D
の散 布につ き,
、
他の除 草 剤 と同 様に飛
行 機}こ よる散
布が可能
で あるか否か を 確 認すべ きで あ っ た。 さ らにその テ ス トは,
除草
剤の浮 遊 質 (floating
quality
)に関 して な さ れず, その 使用 に有害
な性 状又 は 量の テス トで あり
,
他の 除 草 剤にない2− 4−
D
の 広範
囲 に わ たっ て流 れ る テス ト と知 識を持つ 義 務の 下に あ る とい うこと で ある。 その ことは,2− 4− D
が安 定せず 長い時 間 空 気に浮び, 長い距 離にわた り (10
,15
,30
あ る証 言に よ れば35
マ イル )広が っ て い る とい うこと である。 こ の ことは他
の 類 似の除 草 剤 には存 在 しない のである。 当 該 裁 判 所 はこう した分析
に従
っ て論旨
を結論付
けた。当該裁判所
は 「被 告が販 売して い た除 草 剤の
特殊
頌 布質
(peculiar
carryingquality
)に気づか なか っ た こと を
単
に立 証 する こ とに よっ て責 任 を免
が れ る と は 思 わ ない。
通 常の 注 意と は,販
売 された製 品の 危 険性につ い て知るべ きこ とを 意 味 すると さ れる。 テス トが明 確な指 示によっ て な さ れ る べ きこと を 義 務づけた。 こ のケー
ス は厳 格 責 任の原 則が適用 さ れ るべ き もの の一
つ である 」と 。 (144) (C
)Greenman
v.
Yuba
Power
Products
Inc
.
事 件 (1962
年)当
事件
は, 厳 格 責 任 を 採 用 し た リー
デング・
ケー
ス の判 例 と して重視
さ れ ているもの である 。 これ は, 前述 (A)のTraynor
裁 判官
の意見を踏襲
し た もの で あ・
り,
以後
厳 格 責 任の 判 決の法理的
基礎
と なっ て い るもの で ある。 以 下, そ の法理論 的根
拠を検討
して い き たい。本 件は
,1955
年, 原 告 (greenman
)の 妻が,
「シ ョ ップス ミス (shopsmith )」 (の こぎ り, きり, 木の旋 盤 と して用い られる) とい う動 力 大工道 具 を 被 告 (
Yuba
Power
Product
社 )のノ1
丶売
商
か ら, ク リス マ ス に夫に贈
る た め,一式
を購
入し た。 原 告は,1957年
に, 盃 (chalice )を 作る目 的で, 大き な木
切れ を細工する た め旋盤 と して 「シ ョ ッ プス ミス」の付 属 品を購入 し,使
用し た ところ,
数 回木
片を切 断し た後, 木片が機械
か ら飛 び出
し “ ひ たい”
に重傷
を蒙
っ た44
N工 工一
Eleotronio Library医 薬 品 製造者 責 任の展開 (三 ) 11 の で あ る。 約
10
ケ月 後, 原告
は書 面によ り保 証 責 任 違 反を通 知し, 被 告 (製 造 者 と小 売 商 )に 対 して保 証 違 反 及 び 過 失によ る損 害 賠 償 請求
訴 訟 (陪 審 は, 製 造 者に対 して原 告}e6
,
SOO
ドル の損害
賠償責
任 と して 評 決, 被 告と原 告は控 訴 した もの)を提起 し た事 件で ある。 (i45)さて
,
本 件の論 点 を記 述 し, 厳 格 責 任 論 を考 察 するこ と とし
た。〔
1
) 被 告が 主張 する点で ある が,
原告は合理 的な時 間 内に保証違 反の通知を し な かっ た。 それゆえに保 証 違 反の訴 因は, カ リフ ォ ル ニ ァ州 民 法 典 (civil code
)第 1769条
に よっ て妨
げ られるとし た。 これに対して当 該 裁 判 所は,
原 告が製 造 者に時 宜 をえた 通 知 を 与えな かっ た と し て も
,
被 告の パ ンフ レッ トに あ る表
示に基づいた訴 訟 原 因 を妨 げ
られ ない と し た。 さ らに,
こ の ケー
ス の状 況の下で,
製 造 者に責 任 を 課 すた めには,
原 告には,
民 法 典 第1732
条に規 定されて い る明示
の保 証の 立 証 が 課せち れて い な かっ た。 製 造 者は,
物 品が欠陥
を検索
さ れ ること な く使
用 さ れ る とい うこと を知っ て い て市場
に置 く場合
, 人 間の傷害
を 惹 起 す る欠 陥 が あ ること を 立 証 さ れ た な ら不 法 行 為 法の厳 格 責 任 を 負 う。
〔
3
} かつ ての判例
において厳格責
任は, 通常
,製
造者
か ら原告
へ の 明 示・黙
示保
証に基
づいたけれ ど も, それ ら との間の
契
約の要 請は放棄
さ れ,責任
は合
意 によっ て引受 け られるもの で はな く
,
法に よ っ て課せ られ るこ とが 承 認 さ れてい た。 そ して製 造者
に欠 陥 製 品に対して
自
己 の責任
の範
囲 を限定す
ること を拒否
さ れ, その責任
ec
は, 契約保
証法に よっ て支
配 さ れ るので は な く
,
不法 行 為法の厳格
責
任の 支 配を受け るこ と に な る。四
こ の よ うな
厳
格責
任の 目的は, 欠 陥 製 品か ら生 じ る傷害
の 代価 が, そ・
の 欠 陥か ら身を守る力のない傷
害
者よ りも むし ろ,市 場
に製品
を置 く製 造 者によっ て負
担さ れ るこ と を確
保 する た めである。 売 買の保 証は十 分に この 目 的に奉 任 する。製
造者
の責
任を肯 定す
る た めに
は, 原 告が
r
シ ョ ッ プス ミス 」 を用 途IC
従っ て用い て いる間, デザイン上 及び製 造 上の欠 陥の
結
果 と して傷 害 を 受 け だ もの であ り,
原 告が 「シ ョッ プス ミス 」の 意 図さ れ た使 用
IC
つ い て安
全性
が ない こと を知っ て い な かっ た とい うこ とを 立 証 することで
十分
で ある」。 {137
} ジョー
ジD ,
ビロ ッ ク,
有田喜 十 郎 訳・
前 稿 掲載論 文 駒,117
頁参照。
(
13B
)Ja
皿 esB
;Sales,
The
Marketing
Defect
(Warning
andlnstruction
)in
Strict
Tort Liability,
Kemneth
Ross
,Martin
J
Fuley
,Product
Liability
ofManufacturers
:Prevention
andDe −
fense
1981,
Practising La.
w InstituteJ at 67.
q39
)Ann N.
James,
Warnings and The PharmaceuticalCompanies
:Legal Status of the package insert,Houston
Law
Review ,
Vol .
16 :140,1978, at 157.
{
140
}Dix
W .
Noel ,
Jerry
J
.
Phillips
,P
写oducts Liability,
Cases
andMaterial
『,West
Publishing
Co
, 1976, at 71〜
82.
U41
}24Cal
2d
453, 150.
p.
2d 436,1944.
〔14Z
廣川・
前 稿 掲 載論文UO4
,824〜825
頁参照。
圃 215Ark,
630,
222S.
W.
2d
820,
1949.
〔14459CaL
2d
57
,27
Cal
Rptr.697.377
P ,2d
897
,1963.
.
・
(145〕こ の判 例につ いて, わ が 国の研 究 者の著 書,
論 文に紹 介 されて おり,
筆 者 はつぎの土 井 輝 生,
プロ ダ ク ト・
ラ イァ ビ リ ティー
ア メ リカ欠 陥 製品裁 判 事 例の解 説, 昭和53年7
月10日初 版,
同文 館,
144
頁〜147
頁,
並 びに前稿掲 載書鬮,
「製 造物 責任と賠償 負 担」,189
頁〜
191頁の訳文を参考に検討 させ ていた だいた。
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12 三 浦 泉