1.は じ め に
「学生時代から現在に至る研究生活において,専門分 野における現在の自分の研究テーマや研究コミュニティ での立ち位置,研究の最終目的などを振り返ると,実に 多様な変遷を経て今に至っていることが実感されるので はないだろうか.思い返せば,変遷の節々に同僚や恩師, 研究仲間や,さまざまなイベントでの人との出会いが大 きく関わってはいないか.そして,トップランナー研究 者達にとっては,特にこの「つながりの変遷」が,現在 の立ち位置を築き,さまざまなイノベーションを創発さ せた大きな原動力の一つになっているのではないだろう か……」として,Vol. 30 No. 3(2015 年 5 月)から開 始されたこのレクチャーシリーズも今回で最終回となっ た.これまでに,以下にあげる人工知能研究に関連する さまざまな分野から 18 名のトップランナーの方々にご 寄稿いただいた.そして,今号で最後にドワンゴ人工知 能研究所の山川 宏氏と,栗原にて書かせていただき,全 20編からなる特集となった. ● 聞き分ける技術の水平展開(奥乃 博氏) ● 人と関わるロボットの研究(石黒 浩氏) ● 物理エソロジーの道すがら(中垣俊之氏) ● システムの研究に魅せられて─分散 OS からユビキ タスコンピューティングシステムへ─(徳田英幸氏) ● それも一つの研究者人生(丸山 宏氏) ● インタラクションメディアの研究(角 康之氏) ● ぼくは,こうして [ 空 ] と [ 実 ] をつなぐ(末吉隆彦氏) ● グランドチャレンジの彼方へ(北野宏明氏) ● ビッグデータ解析におけるビジネスと研究の架け橋 (内山幸樹氏) ● 研究のネットワークがつながるとき(寺野隆雄氏) ● 早く動かす,長く動かす(野田五十樹氏) ● 私は何がしたかったのか,そしてどのように進んで きたのか(湊 真一氏) ● 研究の個人史─言語処理,言語理解,人工知能─(辻 井潤一氏) ● 大規模並列分散システムにおけるビッグデータ解析 と社会シミュレーションの研究(鈴村豊太郎氏) ● 徒然なるままに,人工知能を語る─人工知能の発達 の歴史と私のたどった道─(瀧 寛和氏) ● 自然言語処理で人と人の交流を読み解く─ディス カッションからソーシャルメディアまで─(村上明 子氏) ● ロボットから幸せへ(前野隆司氏) ● コミュニケーション科学と人工知能(前田英作氏) 情報系というくくりにしても,この 18 名の専門分野 は広範囲にわたる.どのように選定したのかというと, 同じくさまざまな専門分野の研究者で編成されている編 集委員会にて執筆者の推薦を募ったわけではなく,実は 単に著者と直接知り合いの関係にある方々なのである. 著者は大学卒業後,企業の研究所と二つの大学を渡り歩 いている.著者の「人のような知性をもつ機械をつくり たい」という野望を原動力に,さまざまな角度から研究 に取り組む過程で,所属組織や学会活動にて議論などさ せていただき,人的ネットワーク化された方々である. それぞれの専門分野を牽引されているトップランナーで あり,著者の研究・教育活動に対していろいろ影響を与 えていただいている. そして,いよいよこのレクチャーシリーズを終結させ るときが来たのであるが,最後はこのシリーズを開始し た著者にて締めくくるとして,このレクチャーシリーズ では各号において基本 2 名の方々にご寄稿いただいてお り,本号においても,もう一人の著者が必要となる.ド ワンゴ人工知能研究所の山川 宏所長にお願いしたわけ であるが,実は,この人選はシリーズを開始する段階で 決めていた.山川氏とは普段からいろいろ議論する仲で あり,山川氏もさまざまなつながりを経て,現在のポジ ションにて全脳アーキテクチャ研究コミュニティを牽引 するに至っており,実際に期待どおりの読み応えのある 内容となっている. 計 19 名のトップランナーの現在に至る流れを通して, 「つながりが創発するイノベーション」〔第 12 回〕つながりこそがイノベーションを生み出す
Network Is Answer of What Brings Innovation
栗原 聡
電気通信大学,人工知能先端研究センターSatoshi Kurihara The University of Electro-Communications./ Artificial Intelligence eXploration Research Center. [email protected], http://www.ics.lab.uec.ac.jp/, http://aix.uec.ac.jp/
Keywords:
network, interaction, collective intelligence, multi agent.読者においてこれからの研究・開発・教育において,何 か行動への変化や,またはつながりの不思議に気付き, 不思議さを実感される瞬間があれば嬉しい限りである. 以下,本シリーズの最後として,著者の現在までの変遷 についても簡単に紹介させていただき,そして多少なり とも参考になれば幸いである.
2.始まりはオブジェクト指向
実は卒業論文での研究テーマは人工知能ではなく, GC(ガーベジコレクション)であった.JAVA の前 身であるオブジェクト指向言語 Smalltalk を高速実 行するために,Smalltalk を C 言語環境に移植する研 究プロジェクトにおいて,Smalltalk の VM(Virtual Machine)での GC の移植に関わったのが,研究の第一 歩であった.富士ゼロックスの安松一樹氏との共同研究 であり [安松 93],この研究を通してオブジェクト指向 の面白さを知ることになった.修士論文では HPS(High Performance Smalltalk)を,オムロンの並列計算機 Luna88k上で並列実行させるべく,並列 GC の開発が 研究テーマであった [緒方 94].GC を並列実行させるこ とから,オブジェクト同士の参照関係を解析するといっ た処理が必要となり,動作説明のためのポンチ絵として は,オブジェクトをノード,参照関係を辺とするネット ワークとなるのであるが,まさにオブジェクト同士が協 調する構図であった.ちょうどその頃,著者が所属した 土居範久研究室は計算機科学専攻に所属し,あの安西祐 一郎研究室と所真理雄研究室があり,エージェント研究 の黎明期にあった.その頃から人の認知機構に漠然とし た興味をもっていたこともあり,オブジェクトというモ ノの概念に自律性が付加された「エージェント」という 考え方に大きな魅力を感じた.決定的な影響を受けたの はミンスキーの「心の社会」である [安西 90].そして, 複数エージェント同士の協調をテーマとするマルチエー ジェント計算パラダイムに関する研究に従事したいとい う考えにて,博士課程への進学を考えていた矢先,幸い にも NTT 基礎研究所情報科学研究部を個人的に見学す る機会を得,竹内郁雄氏,尾内理紀夫氏,奥乃 博氏,斉 藤康己氏という,これ以上の贅沢はないという第一線研 究者と議論させていただく場を経験し,それが契機とな り,博士課程進学から進路を変更し,NTT 基礎研究所(基 礎研)への入所となった.そして,衝撃的な経験をする ことになる.3.コネクティクス
「三つ子の魂百まで」とあるが,まさにそれである. 基礎研に入所し,竹内郁雄氏が創出された「コネクティ クス」という計算パラダイムに触れてから,もちろん, 著者とて現在に至るまでに興味本位でさまざまな研究を 展開させてきてはいるのであるが,常にコネクティクス が頭の片隅にあった(現在も!).コネクティクスの詳 細は [竹内 91] を参照いただくとして,実社会を記述す るための計算パラダイムであり,社会とは「動的」で 「非均質な大規模複雑構造」であり,そこには単純な階 層構造もない.そして「自己組織性」をもつ,といった 定義であった.これをどのように工学のまな板で料理す るのか,当時は漠然としていたが,現在に至る研究の流 れは,今にして思えば,そのときの漠然としたものを自 分なりにはっきりさせたいがための道であったように思 える.また,当時,竹内研究グループでは,NUE(New Unified Environment Research Project)を展開してお り,そのロゴが鵺 [竹内 91] であった.図 1 のロゴが印 象的である.ノート PC に貼るステッカーなどもあり, 数枚保有しているが,今や貴重にて早々貼ることができ ない. とにもかくにも基礎研は人材の宝庫であった.ここで その全員の名前をあげてはきりがないが,アフォーダン スや環境知能という考え方で大きな影響を受けたのが岡 田美智男氏であった.現在も豊橋技術科学大学にて「弱 いロボット研究」で精力的に研究を展開されている.そ して著者がマルチエージェント研究を軸とすることにな るに最も影響を受けたのが現在早稲田大学におられる菅 原俊治氏である.研究所に派閥などはないが,菅原研究 グループには,高田敏弘氏や廣津登志夫氏,福田健介氏 などこれまた個性的研究者が集結しており,著者は菅原 組などと勝手に呼称していた.4.SIG-MACC
そして,エージェント研究に本格的に着手し,初めて の学会活動が日本ソフトウェア科学会マルチエージェン トと協調計算ワークショップ(MACC)への参加であり [栗原 94],そこで,現在も交流がある強力な研究者達と 図 1 妖怪鵺(外山芳人氏:東北大学 電気通信研究所デザイン)つながることになった.中島秀之氏,松原 仁氏,橋田浩 一氏,野田五十樹氏,大沢英一氏などである.年 1 回の 2泊 3 日の合宿形式の研究会で,深夜まで議論が続く名 物イベントで,とにかく疲れるものの得るものはとても 大きかった.当時は,「創発計算とは?」というお題で ひたすら激論が展開されたことを思い出す.そして,そ の頃はマルチエージェントであることの利点である拡張 性やロバスト性に着目した「マルチエージェントプラン ニング」や「マルチエージェント強化学習」に関するア ルゴリズムの提案が主たる研究テーマであり,エージェ ントをどのようにつくり込むのか,そして協調メカニズ ムをどのように設計するのかが主眼にあった.一方,個々 のエージェントの目的と,マルチエージェント系のもつ 全体的な目的という捉え方から,自己組織化や創発とい う考え方にも強く惹かれるようになり,清水 博氏の書籍 「生命と場所」には大きな影響を受けた [清水 99].そし て,菅原研究グループの福田健介氏から複雑ネットワー クの面白さについての影響を受け,「群れることで創発 する知能」,そして群れ方としての「ネットワーク構造」 が重要である,という考え方に傾倒するようになる.
5.ネットワークが創発する知能
縁あって,ダンカン・ワッツ(著)の「スモールワー ルド」を翻訳する機会に恵まれ [栗原 06],当時は複雑ネッ トワークを主テーマとする国内コミュニティもなかった ことから,ネットワークが創発する知能研究会を日本ソ フトウェア科学会に設立させた [JSSST SIG-EIN].こ の研究会での招待講演者を招聘する過程で,今回のレク チャーシリーズに寄稿いただいた研究者も数名おられ る.複雑ネットワーク科学は情報系のみならず,経済学 や社会科学など,異分野に横串を通す性格であったこと から,この研究会での活動にて多くの異分野研究者との 人的ネットワークを構築することができた.無論,研究 会は現在も活動中で人的ネットワークも拡大中である. 残念ながら寄稿いただくには至らなかったのであるが, 招待講演いただいた下條信輔氏の著書「サブリミナル・ マインド」[下條 96] と,翻訳「マインド・タイム」[下條 05]は著者にとって大きな衝撃であった.我々が普段意 識して行っているはずの行動が実はそうではなく,意識 するよりも先に行動が開始されているのである.しかし, 意識はモニタに過ぎないという事実は,逆に創発シス テムとしての脳という考え方をより強くすることになっ た.6.大阪大学産業科学研究所
これもつながりがもたらした転機であったが,13 年 勤務した NTT 研究所から大阪大学産業科学研究所(産 研)に准教授として転身することとなった.それまで関 東圏で生活していた著者が,唐突に関西に移動というこ とで,「なぜ箱根の峠を?」とよく言われた.沼尾正行 氏と学会にてつながったことが契機であり,産研所属の 著名な人工知能研究者,諸先輩方と出会ったことが著者 と人工知能研究者として本学会とのつながりをより強く することになった.元田 浩氏,溝口理一郎氏,鷲尾 隆 氏である.人工知能研究の第一人者がそろって一つの組 織に在籍していたこと自体驚きであった.ここでのつな がりから,本学会編集委員を担当させていただくことに なる.このレクチャーシリーズトップバッターの,アン ドロイド研究第一人者の石黒 浩氏や,ロボカップを立 ち上げられ,認知ロボティクス研究で有名な浅田 稔氏と も大阪大学時代に知り合うこととなった.現在がつまら ないということではないが,阪大時代は充実した 9 年間 であった.研究において共同研究の機会が多く生まれ, GCOE(グローバル COE プログラム)などにも関わる ことができた.一方,最も印象に残るものの一つが産研 教授会スキーである! 溝口氏をリーダーとするスキー 同好会であり,2 泊 3 日の合宿にてひたすらガンガン滑 るのである.平均年齢 60 歳程度と思われる 7 ~ 8 名が ガンガン滑り,食べる! 一流研究者は体力もすごかっ た.スキーは大学生時代からの趣味でもあり,研究室ス キー合宿は現在も重要なイベントである.ちなみに,毎 年 3 月に北海道にて開催している,情報系 4 学会に所属 する 6 研究会合同イベントである,かれこれ 10 年以上 継続されているワークショップ WSSIT(Workshop of Social System and Information Technology)シリーズ の開催場所は,ルスツかニセコとなっている.7.人 工 知 能 学 会
やはり現在の著者があるのはこの学会のお陰であると いうくらい大きな存在である.2002 年から編集委員を 担当し始めてから,石塚 満氏,溝口理一郎氏,堀 浩一 氏,西田豊明氏,山口高平氏,松原 仁氏というなんと も豪華な編集長率いる編集委員会で編集委員を,そして 松尾 豊編集長時代において副編集長を務め,2014 ~ 15 年と著者自身が編集長という重責を担当させていただい た.この間,編集委員会を介して多くのアクティブな人 工知能研究者と交流できたのが最大の財産である.そし て,やはり松尾編集長時代からの大きな変革が刺激的で あった.ご存じ表紙問題を皮切りに,それまでの地味な 学会誌の表紙を根本的に変えてしまった.この流れが現 在の山川 宏氏率いる編集委員会でもさらに進化しつつ 継続されている.学会誌の改革において,松尾氏曰く「自 分がホップ,栗原さんがステップ,山川さんでジャンプ ! !」などとよく話したことを思い出す.山川氏がどのよ うにジャンプするのか楽しみである.コンテンツ自体の 改革に加え,表紙においても三宅陽一郎氏主導でさらに 充実した内容に進化している.さて,この 10 年以上にわたる編集委員会での経験は, 人工知能研究全体を俯瞰的に見る機会でもあった.また, 編集委員の担当は投稿論文の担当編集委員に加え,主た る任務は学会誌の編集作業であり,特に特集の編集は 刺激的であった.特集テーマにおける第一線研究者達に 堂々と寄稿依頼のためコンタクトでき,人的ネットワー クを構築することができたのも大きな財産である.また, 著者が編集長のときに学会創設 30 周年記念特集号を編 集できたことは幸運であった.研究拠点紹介や学会誌に 小説を掲載するなど,新鮮みのある企画を盛り込むこと ができた.
8. 四 川 の 会
やはりこの話題には触れておかねばらならない.学会 誌に四川料理の話題を書くのは恐らく 2 番目であり,1 番目は鳥海不二夫氏が本誌「編集後記」(Vol. 30, No. 3) に寄稿されている(先を越された).松原氏が編集長の ときに,島根大学医学部の津本周作氏に連れて行ってい ただいたのが最初であり,松尾編集長時代は,編集委員 会の後は有志にて四川料理店で激辛四川料理を食しつ つ,学会誌編集企画や研究などについて語り合う習慣と なった.松尾編集長退任後は,具体的にいつからかは記 憶にないのであるが,松原氏,山川氏,松尾氏,栗原の 4名で時たま四川の会と称して四川料理屋に集まってい る(単に禁断症状という噂もある).9.電 気 通 信 大 学
2013年から,9 年間お世話になった大阪大学から電気 通信大学に異動することになった.そして着任して 4 年 目で学内における大きなプロジェクトに関わる機会を得 た.人工知能先端研究センターの設立である. 現在も過熱ぶりが継続されている AI ブームであるが, その牽引役である Deep Learning 自体への研究過熱状態 は徐々に落ち着きつつあり,Deep Learning を利活用し た高性能なアプリケーションを容易に構築できるように なってきた.この恩恵を受けて,AI 系ベンチャー企業 も極めてアクティブである.これからの AI 研究の中核 となる研究テーマの一つが「汎用人工知能(汎用 AI)」 だ と 考 え て い る.AlphaGo で 時 の 人 と な っ た Deep Mind社 Demis Hssabis 氏も,人工知能研究における著 名国際会議である AAAI 2016 での基調講演において, これからのメインテーマとして「汎用 AI」を掲げている. 従来の AI の多くは用途限定型(弱い AI)であり,真に 人に寄り添うパートナーとしての AI(強い AI)を実現 するためには,高い適応能力と汎用性をもつ AI の構築 が必須となろう.米国においては 2012 年頃から AI 研 究拠点の立上げや買収といった流れが加速しており,日 本においても,米国に追従する形で研究拠点設立が進ん でいる.しかし,これまでに設立された研究拠点におい ては,「汎用 AI」を主軸とする拠点はなく,これに対して, 本学には,庄野 逸氏,長井隆行氏,坂本真樹氏,伊藤毅 志氏,内海 彰氏,髙玉圭樹氏,柏原昭博氏,保木邦仁氏, 南 泰浩氏など,汎用 AI 研究開発に必須な研究者が潤沢 に在籍していた.そこで,本研究センターを,これから の AI 研究の要となる汎用 AI 研究を中核とし,多様な専 門をもつセンター所属メンバの研究融合により,精力的 に汎用 AI 研究を推進させることとし,2016 年 7 月に設 立させるに至った.人工知能先端研究センターについて は,本誌 Vol. 31, No. 4 を参照いただきたい [AIX 16].そして,センター設立に続いてもう一つ大きなプロ ジェクトに関わることができた.この 4 月 1 日にオープ ンとなった図書館に設立されたイノベーション空間であ る Ambient Intelligence Agora の設計である.
図 3 に示すようないわゆるアクティブラーニング空間 である.あちこちに置かれた液晶ディスプレイに加え, 壁だけでなくテーブルに投影する液晶プロジェクタも数 多く設置され,比較的大人数のセミナーから数名でのブ レインストーミング,また個人での勉学など,さまざま な場面での活用が可能な空間となっている.そして,こ の空間はさらなる仕掛けが施されている.手前にインタ ラクション用のロボットも設置されているが(10 台), よくご覧いただくと天井にいろいろデバイスが設置さ れている.センサである.約 950 m2の空間に温度,湿 度,照度,CO2濃度,CCD カメラ,指向性マイクといっ 図 2 研究・議論のエネルギー源
たセンシングデバイスが大量に設置されている(図 4 参 照).現在,大きな話題となっている「働き方改革」の 後押しもあり,オフィス空間を従来のただ机を並べるだ けの空間から,図 3 のようなカフェのような開放感の ある空間とし,コミュニケーションを誘発してイノベー ションを促す試行が増加している.すると,次のフェー ズは本当にその空間が以前よりイノベーションの創出や 業務効率の向上に寄与しているのかを明らかにすること になる.まずは「見える化」であり,そのためには人間 行動センシングが必要となり,このような背景も,AIA のデザインを後押ししている.無論,収集されるビッグ データを処理するため,そしてインタラクティブデバイ スにて人とインタラクションを行うための人工知能研究 のための空間,という位置付けでもあり,サーバ室には 十数台の本格的 Deep Learning 用サーバなども設置さ れている.