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VOL. 20 2017 学校メンタルヘルス,Vol. 20, No. 2:197 - 203, 2017〈ショートレポート〉
親子間での担任教師に関するコミュニケーションと
高校生の教師に対する信頼感および
登校回避感情との関連
板 倉 憲 政
1) 【問題と目的】本研究の目的は,親子間での担任教師に関するコミュニケーションと高校生の教師に対する信頼感および登校 回避感情との関連を検討することであった。 【方法】インターネット調査会社MELLINKSに登録している対象者の中で,本調査への協力同意が得られた高校生250名(男 子125名,女子125名)を対象に質問紙調査を実施した。調査内容は,親子間での担任教師に関するコミュニケーション, 教師に対する信頼感,登校回避感情であった。 【結果】親子間での担任教師に関する肯定的コミュニケーションと生徒の教師に対する安心感および役割遂行評価の間に正の 関連が示された。また,親子間での担任教師に関する否定的コミュニケーションと生徒の教師に対する不信および登校回避 感情の間に正の関連が示された。 【考察】本研究の結果から,生徒の認知する保護者の教師に対する信頼感が,生徒の教師に対する信頼感の規定要因になって いる可能性が示唆された。高校における不登校支援では,母親の担任教師への評価を肯定的に変化させる支援が有効である と考えられる。 【キーワード】親子間での担任教師に関するコミュニケーション,信頼感,登校回避感情Ⅰ.問題・目的
わが国の高校における不登校者数は,依然として5万 人を超えており,その数は大きな減少はせずに推移して いる1)。高校生の不登校に関しては,小・中学校ほど問 題視されていないため,高校生が一度学校を離れてしま うと支援を受ける機会が格段に減ってしまう2)。内閣 府3)は,ひきこもりになった年齢は15∼19歳が25.4%と 最も大きいことを指摘している。つまり,高校の退学を 契機にひきこもりへと移行してしまう可能性があり,高 校の時期における不登校支援体制の充実が急務といえ る。不登校支援では,不登校となった子どもへの対応に 加え,保護者が役割を適切に果たすよう,家庭への適切 な働きかけや保護者支援の必要性が指摘されている4)。 実際,保護者への支援やカウンセリングはその有用性が 報告されている5, 6)。 しかし,不登校の問題に直面したときに,保護者が積 極的に援助を求めるケースばかりではない。家庭訪問を したものの子どもにも会えず保護者の協力を得ることが 難しかった事例が報告されている7)。また,調査研究で は,現在の学校では家庭支援に苦慮している状況が明ら かにされている8)。このように,保護者が支援を求めず 学校側との関わりを避けているような場合には,家庭への継続的関わりが必要となる。Itakura & Kato 9)は,小
学校・中学校・高校の学校職員を対象に,担任教師の関 与度と保護者の関与度および児童生徒の登校意欲の関連 を調査した結果,不登校の支援開始中期から長期にわ たった担任教師の関与度の高さが,支援中期の親の関与 度の高さや支援後期の子どもの登校意欲の高さと関連が あることが明らかにしている。その他にも教師と生徒の 関係性は子どもの退学の予防において強い影響力を持っ ていることが報告されており10),教師からのソーシャル サポートは生徒の教師に対する信頼感を規定することが 示されている11)。特に,生徒の教師に対する信頼感のう ち安心感と役割遂行評価が中学生の学校適応感に良い影 響を与えていることも明らかにされている12)。以上のこ とから,生徒と担任教師の関係性は,生徒の教師に対す 1) 岐阜大学教育学部 〒501-1193 岐阜県岐阜市柳戸 1 番 1 [email protected]
されている13)。中井・庄司11)は,生徒の認知する保護 者の教師に対する信頼感が,生徒の教師に対する信頼感 の規定要因になっていることを明らかにしている。ま た,教師の高い管理意識は生徒の登校回避感情を高めて しまうことが示されている14)。さらに,中井・庄司15) は,中学生を対象にした調査ではあるが,生徒の教師に 対する信頼感と不登校傾向との関連性を検討した結果, 男女ともに生徒の教師への不信と不登校傾向との間に正 の関連を示している。これらの知見から,学校現場にお いても,親子間での担任教師の評価を含んだ肯定的もし くは否定的なコミュニケーションが,実際の担任教師と 生徒との信頼感形成に大きく関与し,さらには登校回避 感情に影響を与える可能性がある。しかしながら,親子 間における担任教師に関するコミュニケーションが,生 徒の担任教師に対する信頼感や生徒の登校回避感情に与 える影響に関しては実証的な検討がなされてはいない。 そこで本研究では,親と生徒の間で担任教師に関して どのように語るかという親子間での担任に関する肯定 的・否定的コミュニケーションに着目し,生徒の教師に 対する信頼感および生徒の登校回避感情との関連につい て以下の仮説を中心に検討する。 仮説1: 親子間での担任教師に関する肯定的コミュニ ケーションと生徒の担任教師への安心感や役割 遂行評価には正の関連があるであろう。 仮説2: 親子間での担任教師に関する否定的コミュニ ケーションと生徒の担任教師への不信や生徒の 登校回避感情には正の関連があるであろう。 本研究の知見は,臨床事例において,生徒が教師に対 して不信感を抱いているような不登校の子どもを持つ家 族に対して有用な介入法の考案に繋がると考えられる。 つまり,教師の生徒への直接的な働きかけを変化させる だけでなく,母親が媒介者となって,子どもに担任教師 の気持ちや肯定的な教師像を伝えるという介入を通し て,教師と生徒の関係が改善し,不登校の改善やひきこ もりの防止にも役立つ可能性があることから取り組む意 義は大きいといえる。 ら,地域,性別,年齢の偏りを防ぐように,高校の学年, 地域について可能な限り均等割り付けをおこない対象者 の選別をおこなったうえで,本調査への協力同意が得ら れ た 北 海 道 地 方9名(3.6%), 東 北 地 方17名(6.8%), 関東地方99名(39.6%),中部地方43名(17.2%),近畿 地方49名(19.6%),中国地方7名(2.8%),四国地方2 名(0.8%), 九 州 地 方24名(9.6%)の 計250名(男 子 125名,女子125名)の高校生を対象に質問紙調査を実 施した。平均年齢は16.81歳(SD=.89)であり,高校1 年生が91名,高校2年生が76名,高校3年生が83名で あった。調査の手続きとしては,調査会社に登録してい る高校生に電子メールが送られ,参加に同意した高校生 は,電子メールに掲示されているリンク先をクリックし て,IDを入力した後に電子媒体上で質問項目に回答す るように求めた。 2.調査内容 親子間での担任教師に関するコミュニケーションに関 しては,先行研究において構成概念を反映した適切な尺 度が存在しない。それゆえ,板倉16)が作成した母子間 で「父親の考えていることについて話す」といった親子 間での間接的コミュニケーションに関する尺度や狐塚17) が作成した「父を信頼していることを,母から聞くこと がある」といった父親についての肯定的な媒介伝達尺度 を参考に,親子間での担任教師に関する肯定的・否定的 コミュニケーションの項目を作成する試みをおこなっ た。参考にした2つの尺度の選定理由については,とも に父親・母親・子どもの三者間の中で,例えば,母子間 での父親の事柄に関するコミュニケーションといったよ うに第三者の事柄に関するコミュニケーションを扱って いる尺度であり,因子分析や信頼性分析の結果から妥当 性や信頼性が示されているためである。その2つの尺度 の構成概念を参考に,「担任は良い先生であるというこ とを,親から聞くことがある」というような肯定的コ ミュニケーションを想定して項目を作成した。反対に, 「担任に対する苛立ちを,親から聞くことがある」とい うような否定的コミュニケーションを想定して項目を作 成した。さらに,心理学専門の大学教員1名,心理学を 専攻する大学院生3名により,内容的妥当性の検討を行 い,最終的に肯定的コミュニケーション6項目,否定的 コミュニケーション6項目から成る,合計12項目の原尺
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VOL. 20 2017 度 が 作 成 さ れ た。 本 尺 度 は, 全 く あ て は ま ら な い (1点)からすごく当てはまる(5点)までの5件法で構 成されている。生徒の教師に対する信頼感の測定に関し ては,中井・庄司12)の作成した生徒の教師に対する信頼感尺度(Students’ Trust in Teachers: STT尺度)を使用 した。生徒の登校意欲に関する項目では,高校生を対象 に用いた登校回避感情尺度18)を用いた。 3.倫理的配慮 今回の研究の趣旨をインターネット上に文章にて説明 し,研究に対する理解を求め同意を得た。対象には文章 にて研究の目的と方法,匿名性の保証,データは統計的 に処理し本研究の目的以外には使用しないこと,参加お よび中止は自由であり,参加の拒否やそのことによる不 利益が一切ないことを説明し,調査の協力をもって研究 参加の同意とした。
Ⅲ.結果
1.因子分析の結果 親子間での担任教師に関するコミュニケーション尺度 12項目に対して,主因子法,プロマックス回転による 探索的因子分析を行った。その結果,共通性が低い項目 および多重負荷のみられた項目の計3項目を削除した 後,再度因子分析を行った結果,スクリープロットより 2因子構造が妥当であると判断した(Table 1)。因子分 析によって抽出された2因子を,親子間での担任教師に 関する肯定的コミュニケーションと,親子間での担任教 師に関する否定的コミュニケーションと命名した。ま た,STT尺度を主因子法,プロマックス回転における因 子分析を実施した結果,先行研究12)と同様に,安心感 (α=.92),不信(α=.88),役割遂行評価(α=.86)の 3因子に分類された。また,登校回避感情尺度は,先行 研究18)と同様に1因子(α=.82)として用いた。 2.各尺度の基礎統計量と単相関係数 すべての変数とその下位尺度の記述統計量を示し,親 子間での担任に関する肯定的・否定的コミュニケーショ ンと,STTの下位因子(安心感,不信,役割遂行評価), 登校回避感情の単相関係数を算出した(Table 2)。その 結果,親子間での担任に関する肯定的コミュニケーショ ンと安心感と役割遂行評価の間に正の関連が示された (r=.28∼.46, p<.01)。また,親子間での担任に関する 否定的コミュニケーションと不信と登校回避感情の間に 正の関連が示された(r=.13∼.51, p<.01∼.05)。一方, 親子間での担任に関する否定的コミュニケーションと安 心感と役割遂行評価の間に負の関連が示された(r= −.15∼−.23, p<.01∼.05)。 3.クラスター分析 本研究では,親子間での担任に関する肯定的・否定的 コミュニケーションと,STTと登校回避感情の単相関係 数による線形関係のみに着目するだけでなく,親子間で の担任に関する肯定的・否定的コミュニケーションの偏 りを含んだタイプにも着目してSTTと登校回避感情と の関連性について検討をおこなった。そのため,まずは 親子間での担任教師に関するコミュニケーションについ て類型化をするために,階層的クラスター分析(Ward 法,平均ユーグリッド距離)をおこなった。その結果, クラスターの解釈可能性の観点から,3クラスターを採 択した(Figure 1参照)。第1クラスターは,親子間での Table 1. 親子間での担任教師に関するコミュニケーション尺度の因子分析結果(主因子法,プロマックス回転) Ⅰ Ⅱ M SD Ⅰ.親子間での担任教師に関する肯定的コミュニケーション(α=.94) 担任は良い先生であるということを,親から聞くことがある。 .89 − .11 2.65 1.29 担任に対して満足している点を,親から聞くことがある。 .89 .00 2.65 1.23 担任のことを信頼していると,親から聞くことがある。 .85 − .02 2.59 1.23 担任の考えに賛成していることを,親から聞くことがある。 .84 .02 2.58 1.20 担任の長所や良い点を,親から聞くことがある。 .79 .05 2.42 1.20 担任は頑張ってくれているということを,親から聞くことがある。 .78 .09 2.60 1.26 Ⅱ.親子間での担任教師に関する否定的コミュニケーション(α=.86) 担任に対する苛立ちを,親から聞くことがある。 − .02 .93 2.21 1.11 担任が決めたことに不満があることを,親から聞くことがある。 − .06 .85 2.18 1.17 担任の欠点や短所を,親から聞くことがある。 .11 .74 2.19 1.12 因子相関 .24担任教師に関する肯定・否定コミュニケーションが共に 低い頻度で行われていることから,「全低群(N=94)」 と名づけた。第2クラスターは,親子間での担任教師に 関する肯定的コミュニケーションが,否定的コミュニ ケーションより優位に行われていることから,「肯定優 位群(N=79)」と名づけた。第3クラスターは,親子間 での担任教師に関する否定的コミュニケーションが,肯 定的コミュニケーションより優位に行われていることか ら,「否定優位群(N=77)」と名づけた。 4.クラスター間の比較 次に,クラスター分析によって明らかにされた3つの クラスターを独立変数,STTおよび登校回避感情得点を 従属変数とした一元配置分散分析をおこなった(Ta-ble 3)。その結果,すべての従属変数においてクラス ター群での主効果が示されたため,Tukey法による多重 比較をおこなった。 その結果によると,肯定優位群では,全低群や否定優 位群に比べて有意に安心感と役割遂行評価の得点が高 かった(それぞれF(2, 247)=20.93, p<.001 ; F(2, 247)= 15.53, p<.001)。また,否定優位群では,全低群や肯定 優位群に比べて有意に不信の得点が高かった(F(2, 247)=20.67, p<.001)。同様に,否定優位群では,肯定 優位群に比べて有意に登校回避感情の得点が高かった (F(2, 247)=3.15, p<.05)。
Ⅳ.考察
本研究では,親が子どもに担任教師に関してどのよう に語るかという点に着目し,親子間での担任教師に関す る肯定的・否定的コミュニケーションと生徒の教師に対 する信頼感や登校回避感情との関連性について検討し た。その結果,親子間での担任に関する肯定的コミュニ ケーションと教師への安心感と役割遂行評価の間に正の 関連が示された。また,親子間での担任に関するコミュ ニケーションの肯定優位群では,教師への安心感と役割 遂行評価が全低群や否定優位群に比べて有意に得点が高 Ⅲ 安心感 21.54 6.24 Ⅳ 不信 21.30 6.13 Ⅴ 役割遂行評価 23.27 4.77 Ⅵ 登校回避感情 20.36 5.02 *p<.05, **p<.01 注:Co はコミュニケーションの略である. 注: 数値はZ得点を示している. Figure 1. 各クラスターの特徴 Table 3. 各クラスターの教師信頼感および登校回避感情の得点と分散分析結果 1.全低群 2.肯定優位群 3.否定優位群 F値 多重比較 M SD M SD M SD 安心感 19.96 5.61 25.03 6.18 19.88 5.60 20.93*** 2>1, 3 不信 20.41 5.45 19.08 5.74 24.68 5.95 20.67*** 3>1, 2 役割遂行 22.86 4.74 25.47 4.54 21.52 4.21 15.53*** 2>1, 3 登校回避感情 20.50 4.97 19.30 4.84 21.29 5.12 3.15* 3>2 *p<.05, ***p<.001J
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VOL. 20 2017 かった。これらの結果から,仮説1は支持された。一 方,親子間での担任に関する否定的コミュニケーション と教師への不信と登校回避感情の間に正の関連が見ら れ,親子間での担任に関する否定的コミュニケーション と教師への安心感と役割遂行評価の間に負の関連が示さ れた。また,親子間での担任に関するコミュニケーショ ンの否定優位群は,全低群や肯定優位群に比べて教師へ の不信の得点が有意に高く,肯定優位群に比べて有意に 登校回避感情の得点が高いことが明らかにされた。した がって,これらの結果から,仮説2は支持された。 本研究の結果は,生徒の認知する保護者の教師に対す る信頼感が,生徒の教師に対する信頼感の規定要因に なっているという知見11)を支持するものである。つま り,親子間で教師に関する肯定的コミュニケーションが されている場合には,生徒の抱く教師の安心感や役割遂 行評価が高まり,親子間で教師に関する否定的コミュニ ケーションがされている場合には,生徒の抱く教師の不 信感や登校回避感情が高まる可能性が示唆された。 以上の結果から,生徒と教師の直接的な関係性によっ て生徒の教師に対する信頼感を構築しているだけでな く,親子間での担任教師に関するコミュニケーションに よっても生徒の教師に対する信頼感に影響を与えている ことが示された。諸富13)の指摘を踏まえると,親が教 師に対して不信感を抱くと,親は子どもに対して担任を 否定的に語ることになり,担任と子どもの関係も弱める 方向で働きかける可能性が示唆できる。例えば,親が, 「担任の言うことなんか聞かなくていいよ,本当に気の 利かない担任だから」というように否定的に子どもに話 をしたとしたら,子どもは,担任の指示や指導が行き届 かない可能性や不信感が募るあまり不登校に繋がる恐れ がある。若島・生田・末崎・野口・板倉19)は,10代お よび20代の当時の学校適応は,50代に比べて,保護者 と子どもの結びつきや,担任と保護者の結びつきが学級 適応に影響を与えていたことを示した。つまり,現代の 学校現場では,担任と生徒の二者の関係だけでなく,教 師と保護者,保護者と生徒を加えた三者関係の中でシス テミックに関係性を見立てていくことが求められる。そ の点と関連して,本研究の知見から,高校における不登 校支援では,教師の生徒への直接的な働きかけ方を変化 させるだけでなく,母親が媒介者となって,「担任の先 生は,あなたのことを一所懸命考えてくれているみたい だね」といったように子どもに担任教師の気持ちや肯定 的な教師のイメージを伝えるという介入は,子どもの教 師への評価が肯定的に変容し,不登校改善に繋がる可能 性が少なからず示唆されたといえる。 最後に今後の課題として,本研究では,不登校の高校 生を対象にしたものではなく,通常の登校している高校 生を対象に登校回避感情だけを用いた。そのため,本研 究の結果が,実際の不登校生徒への応用可能性ついては 検討の余地が残る。さらに,山本20)は,自己主張や行 動生活上の問題,強迫傾向や身体症状といった不登校の 状態の違いを考慮した支援方法の検討を行っている。こ の点を踏まえると,親子間での教師に関するコミュニ ケーションがどのような状態にある不登校生徒に強く影 響を与えているのかについて,今後より詳細に検討して いく必要がある。また,本研究は,インターネットを使 用した調査のため,自発的に協力が得られた調査対象に 限られている。したがって,サンプルのバイアスが存 在21)しており,結果の一般化可能性には留意する必要 がある。 しかしながら,ひきこもりの家族は,子どもがひきこ もってから状況を打開しようと試行錯誤する中で,二次 的に家族関係が悪化してしまうことや地域との関わりが 閉鎖的になってしまうことが指摘されている22)。このよ うに子どもがひきこもることによって家族がより閉鎖的 になり,支援が行き届かなくなってしまう前の早期の介 入という観点でも,高校段階での生徒およびその家族へ の支援に関する本研究の知見は大きな意義を持つといえ る。 【文献】 1) 文部科学省(2016).平成26年度「児童生徒の問題行動等生 徒指導上の諸問題に関する調査について」 文部科学省 Re-trieved from http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/03/__ icsFiles/afieldfile/2016/03/01/1367737_01_1.pdf(2016年11月 10日) 2) 伊藤 美奈子・小澤 昌之・安田 崇子・星野 千恵子・福 智 直美・近兼 路子・原 聡・鶴岡 舞(2013).不登校経験 者の不登校をめぐる意識とその予後との関連―通信制高校 に通う生徒を対象とした調査から― 慶応義塾大学大学院 社会学研究科紀要 社会学心理学教育学 人間と社会の探 究,75, 15-30. 3) 内閣府(2010).若者の意識に関する調査(ひきこもりに関 する実態調査)報告書 内閣府 Retrieved from http://www8. cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/pdf_index.htm(2016年11 月9日) 4) 文部科学省(2003).不登校問題に関する調査研究協力者会議 報告―今後の不登校の対応の在り方について― 文部科 学 省 Retrieved from http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/ nc/t20030516001/t20030516001.html (2016年11月9日) 5) 岩倉 拓(2003).スクールカウンセラーの訪問相談 不登校 の男子中学生3事例の検討から 心理臨床学研究,20(6), 568-579. 6) 藤田 博康(2008).スクールカウンセリング実践において個 人療法と家族療法をつなぐもの 心理臨床学研究,27(4), 385-396. 7) 竹崎 登喜江(2006).スクールカウンセラーによる定期的な9) Itakura, N., & Kato, M.(2016). Characterizing parents and school staff involvement with student attendance from the perspective of school staff in Japan. The IAFOR Journal of Psychology & the Be-havioral Sciences, 2(2), 16-29.
10) Rumberger, R. W., & Thomas, S. L.(2000). The distribution of dropout and turnover rates among urban and suburban high schools. Sociology of Education, 73(1), 39-67.
11) 中井 大介・庄司 一子(2006).中学生の教師に対する信頼 感とその規定要因 教育心理学研究,54(4),453-463. 12) 中井 大介・庄司 一子(2008).中学生の教師に対する信頼 感と学校適応感との関連 発達心理学研究,19(1),57-68. 13) 諸富 祥彦(2013).教師の資質 できる教師とダメ教師は何 が違うのか? 朝日新聞出版 14) 佐藤 謙二・河村 茂雄(2000).教師の管理意識が生徒の登 校回避感情に及ぼす影響の研究 日本教育心理学会総会発表 論文集,42, 679. 検討― 家族心理学研究, 25(1),30-44. 18) 金子 一史・本城 秀次・高村 咲子(2003).自己関係づけと 対人恐怖心性・抑うつ・登校拒否傾向との関連 パーソナリ ティ研究,12(1),2-13. 19) 若島 孔文・生田 倫子・末崎 裕康・野口 修司・板倉 憲政 (2013).子どもの視点による学校と家庭の関係構造と学校場 面における対人関係との関連について 東北大学大学院教育 学研究科研究年報,61(2),61-72. 20) 山本 奨(2007).不登校状態に有効な教師による支援方法 教育心理学研究,55(1),60-71. 21) 鈴木 淳子(2011).質問紙デザイン技法 ナカニシヤ出版 22) 齋藤 暢一朗(2012).ひきこもりの支援と家族の再生 日本 家族心理学会(編) 災害支援と家族再生 家族心理学年報, 30(pp. 121-130) 金子書房 (受稿日: 2016年11月4日/受理日: 2017年6月12日)
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VOL. 20 2017〈
Short Report〉
Examining the Correlations between Parent-Adolescent
Communication, High School Students’ Trust
in Teachers, and Feelings of School Avoidance
Norimasa ITAKURA
1)Abstract
[Purpose]
This study examines the correlations between (i) parent-adolescent communication about class teachers,
(ii) high school students’ trust in teachers, and (iii) the feeling of school avoidance.
Methods: For the purpose of this study, a questionnaire was distributed among high school students (
N=
250, 125 boys and 125 girls). The questionnaire was registered with MELLLINKS, an online survey company.
Consent was obtained from the participants.
[Results]
Positive correlations were observed between (i) favorable communication about class teachers between
parents and children, (ii) students’ sense of security with teachers, and (iii) students’ assessment of teachers’
role accomplishment. Positive correlations were also observed between (i) negative communication about class
teachers between parents and adolescents, (ii) students’ distrust of teachers, and (iii) feelings of school
avoid-ance.
[Discussion/Conclusion]
The results suggest that parents’ trust in teachers might enable students to trust their teachers as well.
Ad-ditionally, it is also important to encourage parents to form positive evaluations of teachers in order to
allevi-ate high school students’ feeling of school avoidance.
Key words: Parent-adolescent communication about class teachers, Trust, Feeling of school avoidance
Journal of School Mental Health 2017, Vol.20, No.2 pp. 197-203 1) Faculty of Education, Gifu University 1-1 Yanagito, Gifu-shi, Gifu 501-1193, Japan