• 検索結果がありません。

血の道症に対し,女神散が有効と考えられた10症例の臨床的検討

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "血の道症に対し,女神散が有効と考えられた10症例の臨床的検討"

Copied!
6
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2. 121-126, 2020. 121. 臨床報告. 血の道症に対し,女神散が有効と考えられた 症例の臨床的検討 森. 瑛子. 及川 花輪. 哲郎 壽彦. 北里大学東洋医学総合研究所漢方診療部,東京,〒. 小田口 ‐. 浩. 港区白金 丁目 番 号. A Case-series Study of 10 Patients Successfully Treated for Chi-no-michi Syndrome with Nyoshinsan Eiko MORI. Tetsuro OIKAWA Hiroshi ODAGUCHI Toshihiko HANAWA. Kitasato University Oriental Medicine Research Center, 5-9-1 Shirokane, Minato-ku, Tokyo 108-8642, Japan. Abstract Nyoshinsan is one of the Kampo formulations for the treatment of hot flash or dizziness, which are typically seen in chi-no-michi syndrome (characterized by physical and/or mental symptoms related to female hormone variation). But nyoshinsan is less frequently prescribed than three major formulas in gynecological field including tokisyakuyakusan, kamishoyosan and keisibukuryogan. Furthermore, few case series study of nyoshinsan has been reported so far. To elucidate clinically useful indication sho of nyoshinsan, we retrospectively analyzed medical records of the patients prescribed nyoshinsan for past 5 years in our institute. In consequence, majority of patients prescribed nyoshinsan had both blood stasis and qi-abnormality including qideficiency, qi-stagnation and qi-counterflow due to physical or mental stresses. On the other hand, they rarely had signs of fluid retention. These findings may be useful for more effective clinical application of nyoshinsan. Key words : nyoshinsan, chi-no-michi syndrome 要旨 女神散は「血の道症」に対して使用される処方であるが,婦人科三大処方と呼ばれる当帰芍薬散,加味逍遙散, 桂枝茯苓丸と比較すると使用頻度は低く,多数例における使用経験をまとめた報告は少ない。そこで今回女神散の 臨床応用に役立つ使用目標を明らかにするため,当施設で過去 年間に女神散を処方された症例のカルテを後方視 的に検討した。その結果,女神散が有効な患者は身体的・精神的ストレスを背景とする気の異常と瘀血を伴う一方, 水滞の兆候は認めないことが多かった。これらの所見は,女神散の効果的運用に役立つと考えられた。. キーワード:女神散,血の道症. 緒言. 検討対象. 女神散はのぼせとめまいを目標とし, 「血の道症」 ). 年. 月から. 年. 月の間に当施設を受診し,. に対して使用される処方である 。しかしながら,. 初診時に女神散料を処方された患者のうち有効症例. 多数例における女神散の使用経験をまとめた報告は. を検討対象とした。当施設では原則煎じ薬で治療を. 少ない。また,いわゆる婦人科三大処方と呼ばれる. 行っており,処方した女神散料の構成生薬及び分量. 当帰芍薬散,加味逍遙散,桂枝茯苓丸と比較すると. は,当帰 . g,川芎 . g,桂皮 . g,白朮 . g,. 女神散の使用頻度は低いが,その理由として使用目. 木香 . g,黄. 標が今ひとつ明らかでないことが考えられる。そこ. 草 . g,香附子 . g,檳榔子 . g,丁子 . g,大. で今回,当施設で女神散を処方された症例に関して,. 黄適宜加減である。なお,血圧や排便の状況により. 患者素因と効果の関係を検討したので報告する。. 炙甘草や大黄の量を調整した症例も含めて検討した。. 対象と方法 受付:. 年. 月. ! . g,黄連 . g,人参 . g,炙甘. 検討した漢方医学所見について 日,受理:. 年. 月 日.

(2) 日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2, 2020. 122. 表. 表. 症例の背景. 漢方医学的自覚症状. 診療録の記載をもとに,年齢,性別,BMI(Body. 以上の受診歴があり,服用を開始したことによって. Mass Index) ,月経の状態,主訴,前 医(も し く は. ほてりや抑うつ,頭痛が改善したなど,初診時に訴. 薬局)で処方されていた漢方薬,有効性の判定,漢. えた症状に対し患者本人が改善があったと再診時に. 方医学的所見,一部問診所見の項目を後方視的に検. 発言した記載のあるものを有効とした。. 討した。特に,女神散はのぼせやめまいを伴う神経 症に用いられることが一般的に知られているため, 当施設で使用している問診票のうち,これらに関連. 研究倫理審査について 今回の研究は,当大学倫理委員会承認のもとに施 行した。(受付番号. ). すると考えられる項目(のぼせ・ほてり,めまい・. 結果. 立ちくらみ,精神症状,発汗など)を中心に検討し. 上記の期間に初診時に女神散料を処方された症例. た。さらに,女神散の原典では構成生薬に大黄を含. は全. むため,便秘の有無についても検討した。. 例が有効と判断され,これらを今回の検討対象とし. 有効性の判定基準 効果判定については,診療録の記載をもとに. 症例で,全て女性であった。. 症例中,. 症. た。検討対象に関して年齢の順に症例番号を付し, 回. 症例の背景(表. ),漢方医学的自覚症状(表. ),.

(3) 日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2, 2020. 表. 表. 漢方医学的他覚所見(表. 漢方医学的他覚所見. 症例の経過と服用期間. ) ,症例の経過と服用期. 間(表 )についてまとめた。. 後が. 症例であった。問診票の項目においては,の. ぼせ・ほてりは. .症例の背景 年齢は. らみは. 歳から. BMI は .から. 123. 歳までの範囲で平均. .歳,. .の範囲で平均 .で あ っ た。. 主訴は,抑うつとホットフラッシュが各々. 症例で. 症例に認められ,めまい・立ちく. 症例に認められた。また,発汗は. 認められ,冷えは. 症例に. 症例に認められた。精神症状で. は,抑うつもしくはイライラ・感情の起伏が激しい といった気の異常を伺わせる徴候は全. 症例に認め,. あり,のぼせ,月経前症候群,めまい,頭痛が,重. 不妊,育児,子供の受験,乳がんなど身体的・精神. 複を含め各々. 的ストレスが背景にある症例も認めた。便秘に関し. 症例ずつであった。また,初診時す. でに何らかの漢方薬を服用していた症例は. 症例あ. ては. 症例に認められた。また,その他の症状とし. り,処方名が確認できたものは,重複も含めると,. ては,気逆を伺わせる鼻出血や,血虚を伺わせるよ. 加味逍遙散. うな皮膚の乾燥や,爪がもろい,こむら返りといっ. 症例,桂枝茯苓丸. 症例,当帰芍薬散. 症例であった。. た症状の自覚が認められた。. .症例の漢方医学的自覚症状 月経に関しては,整が ルモン治療中が. 症例,不順が. .症例の漢方医学的他覚所見 症例,ホ. 症例,子宮全摘術後を含めた閉経. 脈診では,沈・やや沈,あるいは虚・やや虚の所 見が全. 症例に認められた。舌診では全症例が乾湿.

(4) 日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2, 2020. 124. 中間で,薄白苔. 症例,中白苔. 症例,厚白苔. 症. 能性は考えられる。また,例えば症例. は TAM (ta-. 例であった。また,舌診もしくは腹診で,暗紅舌,. moxifen)治療中であり,これによって血管運動神. 舌下の静脈怒張,右胸脇苦満,下腹部の圧痛などの. 経症状が誘発されていたと考えられ,一方で症例. 瘀血を疑わせる所見が. は OC(oral contraceptives)内 服 中 で あ り,こ れ に. 症例に認められた。一方で,. 湿舌,胖大舌,歯痕舌,胃内停水などの水滞を疑わ. よって血管運動神経症状が抑制されていたと考えら. せる所見は認められなかった。. れる。これらの. .症例の経過と服用期間. り,ホルモン製剤と併用することによって,その副. 初診時にのぼせやほてり,発汗を主訴で挙げた 症例においては,全. 症例は,ともに女神散が有効であ. 作用を軽減したり,ホルモン製剤のみでは解決でき. 症例で女神散服用によりその. ない症状を軽減することができるのではないかと考. いずれかの症状の改善が認められた。また,抑うつ. えられた。女神散の使用目標に関して,花輪壽彦ら. を主訴とし受診した. 症例も女神散服用により改善. は『漢方の臨床』で次のような提案をしている。す. が認められた。その他,初診時には主訴として特に. なわち,のぼせやめまいを伴う血の道症という従来. 挙げていなかった便秘や頭痛,胸苦しさ,不眠など. からの使用目標を拡大し,①背景因子としての発症. の症状が女神散服用後に改善したと話した症例も認. に関わる身体的・精神的 trigger②比較的固定的症状. められた。一方で,症例. のように,身体症状は改. としての循環器症状③心身症的症状,などが考慮さ. 善したが妊娠には至らない症例も認められた。服用. れるべきであると述べている )。ここで挙げられて. 期間については,当院で処方継続した症例では,. いる②の循環器症状は,上記の血管運動神経症状と. ヵ月から. ほぼ同意であると考えられる。. 年. ヵ月で平均 .ヵ月であったが,. 年以内の症例が全 症例中 月以内の症例が. 症例であり,特に. ヵ. 症例であった。. 女神散の原典は浅田宗伯の『勿誤薬室方函』とさ れ,「血証,上衝,眩暈を治す。及び産前産後通治. 考察. の剤 )」とある。また,『勿誤薬室方函口訣』には「此. 婦人にみられる特有の生理現象,すなわち月経や. の方は,元,安栄湯と名づけて軍中七気を治する方. 妊娠・出産・産褥あるいは更年期に関連する精神神. 也。余が家,婦人血症に用いて特験あるを以て今の. 経症状を基調とする様々な症状を「血の道症」と呼. 名とす。世に称する実母散,婦王湯,清心湯,皆一. ). 『産婦人科診療ガイド ぶ 。これらの病態に対して,. 類の薬なり )」とある。軍中七気とは戦場での感情. ライン(婦人科編. (七情の気,喜怒悲思憂恐驚)であり,元来戦時中. ) 』には「証」に基づいた漢 ). 方処方を行う必要がある としながらも女神散が選. に心身の障害に対して用いられていたものが,浅田. 択される頻度は少なく,特に「更年期障害に対して. 家で婦人の血の道症に応用され,以後女性に広く用. は当帰芍薬散,加味逍遙散,桂枝茯苓丸などを中心. いられるようになったとされている。また小山誠次. ). に用いる 」との記載に留まっている。女神散の使. によれば,女神散の原法は. 用頻度が少ない背景として,これらの三大処方と比. 方された山田の振薬であり, 「血の道」も元来金瘡. 較すると十分な研究がなされておらず,さらに構成. を意味していたものが産後の出血に拡大し,江戸時. 生薬が複雑であり使用目標となる「女神散証」が分. 代になって女性の血症・気病を表すものとなり,今. かりにくいためではないかと考えた。そこで今回,. 日の女神散の適応となる「血の道症」へと変遷した. 当施設初診時に女神散を処方された患者を対象とし. としている )。いずれにせよ戦国時代は男性に対し. 検討を行った。その結果,女神散の有効症例は月経. て処方されていたものであるから,現代でも男性に. 不順や閉経の傾向にあり,漢方医学的には気の異常. も有効であろうと予想されるが,浅田家の影響のた. に瘀血を伴い,かつ他覚的には水滞の徴候を伴わな. めか,あるいは血の道症の変遷のためか,現代では. い傾向にあることが明らかとなった。. 女性に処方されることが多く当研究所で処方されて. 具体的には,女神散有効症例の平均年齢は .歳. 年前後に金瘡用に立. いたのも全症例が女性であった。我々は以前, 『漢. であった。そのため,月経が停止もしくは不順であ. 方の臨床』で抑うつ症状に女神散が有効であった. り,さらに自覚症状として,のぼせやほてり,発汗. 症例を報告した際,エストロゲンが急激に減少しホ. などの血管運動神経症状を訴えた症例が多かった可. ルモンバランスの乱れによってストレスに弱くなっ.

(5) 日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2, 2020. 125. た結果,感情のコントロールがしにくくなるという. 因であると考えられる。実際,多くの症例が当施設. 更年期や産後の状態が,軍中七気に共通するところ. 初診時すでに他の漢方薬を服用していたが,その内. ). があるのではないかと考察した 。今回の検討でも,. 容はやはり婦人科三大処方が多かった。そのため今. 主訴や自覚症状で月経関連の症状すなわち月経前症. 回の結果を踏まえこれらとの鑑別について考察した. 候群や更年期障害を訴えた症例が多く認められ,前. い。. 回の報告を支持する結果であった。また,矢数道明. まず加味逍遙散との鑑別として, 「来る度に違う. は血の道症を気血水により分類し漢方治療を行った. ことを言うのは加味逍遙散,いつも同じことを言う. 経験を述べたなかで, 「気血剤」として第一に女神. のは女神散」という大塚敬節の口訣は有名である )。. 散を挙げている )。今回の検討でも,女神散の有効. また,神経症で興奮状態が強い場合は加味逍遙散を,. 症例は気の異常に瘀血を伴い他覚的な水滞の徴候を. 抑うつ症状が強い場合は女神散という使い分けを示. 伴わない傾向にあり,矢数の分類と一致した結果と. した報告もある )。今回の検討では,加味逍遙散が. なった。. 無効で女神散が有効と判断された症例が. 女神散の構成生薬は,当帰・川芎・桂皮・白朮・. !. れていた。これらの. 症例含ま. 症例や文献を検討すると,女. 木香・黄 ・黄連・人参・甘草・香附子・檳榔子・. 神散の有効症例に共通しているのは,花輪も述べて. 丁子・大黄(適宜加減)の 味であり,脾胃を補い. いる背景因子としての発症に関わる身体的・精神的. ながら調血・理気・清熱する作用をもつ方剤であ. trigger が存在することであると考えられる。例えば,. ). る 。なかでも檳榔子には,アルカロイドの一種で. 症例. ある arecoline に中枢興奮作用及びムスカリン様副. 今まで経験したことのないライフイベントに直面し,. 交感神経興奮作用を有することが知られており,中. 身体的・精神的ストレスがある一定の閾値を超えた. 枢性情動作用への寄与が推定される他,記憶・学習. ところで女神散証が発症したと考えられる。また症. の増強作用や,血圧降下作用,寄生虫の駆除作用な. 例. ). は夫との関係悪化に加え,子供の受験という. においても,乳がん発病ということが,相当な. どの報告もある 。さらに木香との組み合わせは,. 身体的・精神的ストレスであったであろうと容易に. 女神散の他に十六味流気飲,九味檳榔湯,導水茯苓. 想像がつく。先人の口訣に加え,これらのような背. 湯にもみられるが,いずれも気を巡らし胃腸機能停. 景因子の存在が女神散証を見極める手がかりとなる. 滞を改善する作用が期待された処方であり,実際に. 可能性があると考えられる。. 精神面に有効であったことが報告されている. ) ∼ ). 。. 次に桂枝茯苓丸との鑑別であるが,今回の検討で. 一方で,女神散を構成する生薬は全体として, ‘気’. は,桂枝茯苓丸が無効で女神散が有効と判断された. と‘血’に関わる生薬が多く含まれているのに対し,. ものが. ‘水’に関わる生薬は少ない。これは,今回の検討. 苓丸は桃仁・牡丹皮を含む駆瘀血剤であり,今回の. で女神散が有効と判断された症例には他覚的に水滞. 検討で女神散証も瘀血の徴候を伴うことが多いと示. を伺わせる徴候を認めなかったという結果とも矛盾. 唆されたため,この点のみでは鑑別できない。しか. しないと考えられる。また,冷えを訴えた症例は. しここで,上衝を主治する桂皮と組み合わせられる. 症例認めたが,構成生薬には当帰・桂枝が含まれて. 生薬に着目すると鑑別できると考えられる。すなわ. おり,冷えに対する配慮もなされていると考えられ. ち,桂枝茯苓丸には気逆上衝と水気逆行を降ろす桂. るため,のぼせ・ほてりと同時に冷えを訴える症例. 皮・茯苓の組み合わせが含まれる )のに対し,女神. でも女神散を使用できると考えられた。さらに,便. 散には茯苓が含まれず甘草が含まれており,桂枝・. 秘を認めたのは. 甘草の組み合わせは,専ら上衝急迫する気の異常を. 症例のみであり,便秘は必ずしも. 使用目標とはされていないと推察された。 ところで女神散は,いわゆる婦人科三大処方と呼. 症例含まれていた。言うまでもなく桂枝茯. 治し,精神神経的作用を発揮するとされる )。さら に女神散には,香附子・木香・檳榔子という芳香性. !・黄連という清熱剤が入っているこ. ばれる当帰芍薬散,加味逍遙散,桂枝茯苓丸と比較. 健胃剤や,黄. すると,その処方頻度は極めて少ない。構成生薬が. とも鑑別点となると考えられる。そのため,瘀血徴. 複雑であり使用目標も分かりにくいため,これらの. 候に加え,水と気の上衝と捉えられる動悸やのぼせ. 処方に比べて女神散は第一選択となり難いことが一. などの症状がみられる場合には桂枝茯苓丸がより有.

(6) 日東医誌 Kampo Med Vol.71 No.2, 2020. 126. 効であり,同じく瘀血徴候に加え,急迫した気の上. 本東洋医学会総会で発表した。今回使用した女神散の. 衝からくる焦燥感や抑うつ症状などの精神神経的症. 構成生薬の各産地は以下の通りである。 当帰(奈良県,和歌山県) ,川芎(北海道) ,桂皮(ベ. 状が際立つ場合には女神散がより有効であると推察. トナム) ,白朮(吉林省,黒竜江省) ,木香(雲南省) ,. される。 最後に当帰芍薬散との鑑別であるが,当施設初診 時すでに当帰芍薬散を服用していたのは れており,. 症例含ま. 症例とも当帰芍薬散が無効で女神散が. 有効と判断された。当帰芍薬散はその構成生薬から, 補血と利水の作用を有するが,気剤の要素は少ない。 前述のように,女神散は気に対する格別の配慮がな された処方である。そのため,一つの鑑別点として は気の異常の程度による使い分けが挙げられる。ま た,今回の検討結果から示唆されたように,女神散. 黄. !(河北省,陝西省,内蒙古自治区),黄連(岐阜. 県,福井県) ,人参(吉林省) ,炙甘草(内蒙古自治区) , 香附子(広西壮族自治区,海南省,広東省) ,檳榔子 (海南省,四川省) ,丁子(ザンジバル,マダガスカ ル) ,大黄(四川省) 本論文に関連し,開示すべき利益相反(COI)状態 にある企業・組織や団体 森瑛子,及川哲郎,小田口浩,花輪壽彦:奨学(奨 励)寄附などの総額(株式会社ツムラ). 証は水滞の徴候を伴わない傾向にあると考えられる ため,この点からも鑑別できると推察される。すな わち,血の道症でめまいや冷えがある場合,当帰芍 薬散も女神散も選択肢となり得るが,気の異常が目 立つ場合は女神散を選択し,水滞の徴候が目立つ場 合には当帰芍薬散を選択するのが良いと考えられる。 今回の検討において女神散は,気の異常に瘀血を 伴う女性で,他覚的には水滞の徴候を伴わない場合 に有効であると考えられた。自覚症状としては,月 経前症候群や更年期障害が多かったが,その背景に は何らかの閾値を超えた身体的・精神的ストレスに よりホルモンバランスが乱れ,感情のコントロール がしにくくなった状態が存在すると考えられた。ま た,今回の検討では全て月経前症候群と記載したが, 近年では月経前症候群のなかで精神的症状が主体の 場合を特に月経前不快気分症候群と呼んでおり,今 回は分けて比較検討しなかったが,女神散は月経前 不快気分症候群にも特に有効であると考えられる。 この点については今後,症例を重ねて改めて検討し たい。 結語 当施設で過去. 年間に女神散を処方された症例に. ついて,有効症例の証を検討した。婦人科三大処方 と比較すると女神散は処方される頻度こそ少ないが, 瘀血徴候に身体的・精神的ストレスを背景とする焦 燥感や抑うつなどの気の異常伴う一方で,水滞徴候 を伴わないことが使用目標になる可能性が示唆され た。 付記. 本論文の論旨は平成 年. 月 日,第 回日. 文献 )花輪壽彦.漢方診療のレッスン.増補版,金原出版, 東京 . . )日本産科婦人科学会.産科婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 .杏林舍,東京 . ‐ . )花輪壽彦,丁宗鐵,石野尚吾.女神散の使用経験.漢 方の臨床 ; : ‐ . )浅田宗伯.女神散.勿誤薬室方函巻上.近世漢方医学 書集成 ,大塚敬節,矢数道明編,名著出版,東京 . ‐ . )浅田宗伯.女神散.勿誤薬室方函口訣巻上.近世漢方 医学書集成 ,大塚敬節,矢数道明編,名著出版,東 京 . . )小山誠次.古典に生きるエキス漢方方剤学.メディカ ルユーコン,京都 . ‐ . )森瑛子,及川哲郎,小田口浩,他.抑うつ症状に女神 散 が 有 効 で あ っ た 症 例.漢 方 の 臨 床 ; : ‐ . )矢数道明.血の道症の意義と漢方療法.漢方の臨床 ; : ‐ . )鳥居塚和生.漢方基礎講座 生薬の薬効・薬理シリー ズ ビンロウジ(檳榔子) .漢方研究 ; : ‐ . )矢数道明.十六味流気飲の運用.漢方の臨床 ; : ‐ . )橋口玲子.九味檳榔湯は重い気分を駆動し,逐水通便 効果で心身両面を軽くする(Ⅱ) .漢方研究 ; : ‐ . )早崎知幸,鈴木邦彦,花輪壽彦.導水茯苓湯が有効で あった 症例.漢方の臨床 ; : ‐ . )松田邦夫.症例による漢方治療の実際.創元社,大阪 . . )佐藤泰昌,水野智子,小野木京子,他.めまいを主訴 とする女性患者に対する女神散の効果.産婦人科漢方 研究のあゆみ ; : ‐ . )田畑隆一郎.傷寒論の謎 二味の薬徴.源草社,東京 .‐ ..

(7)

参照

関連したドキュメント

「臨床推論」 という日本語の定義として確立し

F1+2 やTATが上昇する病態としては,DIC および肺塞栓症,深部静脈血栓症などの血栓症 がある.

J CerebBloodFlow Metab 2: 321-335, 1982 Lewis HP, McLaurin RL: Regional cerebral blood flow in in creased intracranial pressure produced by increased cerebrospinal fluid

The method is consisted of the following four steps : 1) Calculation of standard deviation (SD) map 2) Edge detection and removal on SD map 3) Interpolation of the removed

血管が空虚で拡張しているので,植皮片は着床部から

(表2)。J-CAPRAポイントを合計したJ-CAPRA スコアについて,4以上の症例でPFSに有意差

にて優れることが報告された 5, 6) .しかし,同症例の中 でも巨脾症例になると PLS は HALS と比較して有意に

 単一の検査項目では血清CK値と血清乳酸値に