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六員環のアリール部位を有するジアリールエテン誘導体の合成と物性評価

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Academic year: 2021

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(1)六員環のアリール部位を有するジアリールエテン誘導体の合成と物性評価            教科・領域教育学専攻             自然系(理科)コース.            M 1 0 1 8 7 J            上  端  勇  介 1.諸言. 2.結果と考察.  分子構造が2つのアリール部位と、アリール部.  市販材料を原料に、1a−4aの合成を行った。化. 位を結ぶエテン部位から構成されているジアリ. 合物の構造は、玉H NMR、質量分析、元素分析及. ールエテン誘導体は、可視光と紫外光の照射によ. びX線結晶構造解析法により確認した。溶液中で. って開環体と閉環体が可逆に生成することが知. 開環体1a−4aは、313nm光を照射することにより. られている。アリール部位に導入する環はチオフ. 着色した構造が得られた。分光光度計で調べると. ェン環のようなヘテロ原子を含む五員環の化合. ナフチル置換した場合と、フェノール置換した場. 物が用いられており、2つのアリール部位として. 合で大きな差があることが分かった。. このような五員環構造をもつと、開環体と閉環体. の間で生成熱のエネルギー差の少ない化合物が 得られ、熱安性に優れた化合物になると考えられ ていた。最近の研究で、アリール部位の一つが六. 員環のフェニル基に置換した80℃においても熱. 2.1ナフチル置換した1aのフォトクロミック反  応.  1aは、ヘキサン溶液中で313nmの紫外光を照 射すると、516nmに吸収極大を持つ閉環体1bが 得られた。しかし、516nmの吸光度の経時変化. 安定性のあるジアリールエテンが報告された。.  本研究では、この熱安定のある六員環のフェニ ル基に置換したジアリールエテンの研究を発展さ せる目的で、フェニル基をナフチル基に置換した 化合物(1a)と、フェニル基の代わりに、フェノ ール基を置換した化合物(2a−4a)を合成し、溶媒. 中におけるフォトクロミック反応性の検討と、熱. を室温で調べると、約9.2分で1bの濃度が半減 した。1bは、室温条件下、短時間でもとの1aへ 熱戻り反応をすることが明らかになった。これは、. アリール部位として置換されたナフタレン環の 芳香族安定性がベンゼン環よりも大きいためで あると考えられる。可視光を照射することによっ ても1aへ戻ることも確認した。. 安定性について検討を行った(図1)。. 2.2フェノール置換した2a−4aのフォトクロミッ. ふ去㌫.  ク反応.  フェノール置換した2a−4aは、メタノール溶液.       ^1・」,ム   1目                  「b. ぺ∵ベト合  2目               2b               2k. 中で紫外光を照射すると着色体が生成した。着色. 体は、313nmの紫外光照射直後、吸収極大波長 は520・530nm付近に現れるが、紫外光を照射せ.          ^一. ずに1O分間放置すると、511nm−512nmに吸収. 、∴↓1ぺ1. 極大波長がシフトし、吸光度が1,2−1.5倍程度増. ↓、々.          ’〃 3a=R=CH3            3b1R=CH雪             3k=R=CHヨ. 4目1R,CH0            4b=R=CH0             4k1R三CHO. 大し吸収スペクトルが固定化することが明らか になった。着色したものは、1aと比べて室温で熱 安定性があった。可視光照射によって、それぞれ. 図1.ジアリ㎞ルエテン1−4のフォトクロミズム. 0338一.

(2) もとの無色体へと戻った。一例として、3aの吸収. スペクトルを図2に示す。紫外光を7分間照射す ると、吸収スペクトルは実線に示すように現れる が、そのあと、破線に示すように吸収極大波長は. 512nmへとシフトし、吸光度が増大した。 O.146nm. m O.8.    O.150㎜. 図3.3kの0RTEP図 8 0.6. 異性体のモル吸光係数と、光閉環反応量子収率、. 量. { 畠. 光反応量子収率をまとめたものを表1に示す。閉. グー!. 一 0.4 <. 環体の吸光係数は比較的大きな値である。量子収. 、. O.2. \!    ノ. 率から、全て紫外光照射によって光閉環しやすく、. 、          一    一㌔. \_  ノ. 光開環しにくい様子が明らかになる。熱安定性は.     300    400    500    600    700. 2kと4kは70℃の封管メタノール中で安定性が.          Wavel㎝軸ノnm. あるが、3kは同一条件では若干熱安定性に欠けた。. 図2.メタノール中における3の吸収スペクトル;  3a(一・)、紫外光7分照射(一)、紫外光7分. 表1.2−4のフォトクロミック反応性.   照射後10分暗所静置(一I’)、3k(一). ε∫1o3d皿L3皿」ol−l c皿i’1        QuantuI皿yiold.  2a−4aの着色体はどのような構造をしている. Compound. か、511・512nmで着色している化学種の構造を.    Cyc工iz目tion  Cyc五〇reversion k    (313nI皿〕     (517nエロ〕.     8,75       8,46 2    (259−1エロ)   (511nエn). 明らかにするため、生成した着色体について.     9,25      6,70. HPLCを用いて分取を行った。3aに紫外光を照. 3    (227nエn〕   (512n■皿). 射して着色した単結晶についてX線結晶構造解.     20.O      1O.7 4    (255n口1)  (511]m). 析を行うと、図3のORTEP図に示すように、3k. O.45     1.6xIOI筥. O.45        0.13. O.25     2.2X1OI宮. に示した構造であることが明らかになった。これ. 3.結論. は、閉環体のフェノール部位が、ケト型構造をし.  従来のジアリールエテン誘導体の2つあるアリ. ているものである。ケト型になることで、閉環し. ール部位の1つを、ナフチル置換した1a、フェノ. た分子全体に安定な共役構造がもたらされるこ. ール置換した2a−4aの化合物を合成し、フォトク. とを示している。そして、3kの1H NMRの構造. ロミック反応について検討を行った。1aは、通常. 解析の結果から、2aや4aについても2kや4kが. のジアリールエテンで起こるような開環、閉環反. 生成していることを1H NMRにより確認するこ. 応性を示した。2a−4aは、メタノール溶液中、通. とができた。つまり、この反応系は、図1の下段. 常とは異なる閉環体の吸収スペクトル挙動を示. に示すように、開環体、閉環体といったような2. した。安定構造の閉環体はケト型構造2k−4kをと. つの構造だけ生成するものではなく、途中に化学. ることが明らかになった。2a−4aと2k−4kの間の. 的安定性の乏しい中間体の構造2b−4bが生成し、. 光反応性や、2k−4kの熱安定性について詳細な検. そのあと、化学的に安定な2k−4kに示すような構. 討を行った。. 造が生成することが明らかになった。.         主任指導教員  尾關  徹.  2a−4a,2k−4kのメタノール溶液中における各.         指導教員 山口忠承. 一339一.

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