Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№11:舌切除症例における320列面検出器型CT を用
いた嚥下時の中咽頭の動態解析
Author(s)
石井, 悠佳里; 中島, 純子; 石崎, 憲; 竜正 大; 中澤,
和真; 大金, 覚; 河地, 誉; 齋藤, 寛一; 髙野, 伸夫;
野村, 武史; 上田, 貴之
Journal
歯科学報, 120(2): 207-207
URL
http://hdl.handle.net/10130/5162
Right
Description
目的:舌癌に対する外科的切除後には,筋肉の切除 や瘢痕拘縮による左右非対称性の舌の運動障害を呈 し,主に口腔期を中心とした嚥下障害が生じる。更 に,頸部郭清術を施行した場合には,患側と健側に 残存する筋肉が異なることから,咽頭期の嚥下動態 にも左右差が生じる可能性がある。そこで我々は, 舌半側切除症例の口腔期から咽頭期にかけての嚥下 時の中咽頭の動態に着目した。 本研究では,320列面検出器型 CT(320−ADCT) を用いて嚥下時における中咽頭の動態の定性的な観 察を行った。更に,定量的な解析を行い,手術前後 の健側と患側各々の咽頭収縮,舌および咽頭壁の動 態の変化を明らかにすることを目的とした。 方法:対象者は市川総合病院口腔がんセンターにて 可動部舌半側切除,皮弁再建術,片側頸部郭清術, 気管切開術を施行した症例7名(男性5名,女性2 名)で,320−ADCT を用いて手術1週間前,手術 1か月後に嚥下動態の評価を行った。得られた4次 元 CT 画像から MPR 構成を行い正中矢状断面像, 患側矢状断面像,健側矢状断面像(正中矢状断面に 並行で各々10mm 側方の断面),および前頭断面像 を作成した。術前および術後の3つの矢状断面にお ける安静時および咽頭収縮時の中咽頭腔面積の変 化,咽頭壁の突出量,舌根部の後方移動量を計測し た。更に,舌根部の後方移動量の変化率と咽頭壁の 突出量の変化率を Spearman の順位相関係数を用 いて検討し(α=0.05),手術前後の中咽頭動態に ついて考察を行った(東京歯科大学市川総合病院倫 理審査委員会承認番号:I17−56)。 結果:術前の咽頭収縮時には,おおよそ左右同等に 中咽頭腔面積の消失が認められた。術後,術前と同 様に中咽頭腔面積の消失が認められた者が4名,患 側矢状断面で消失が認められなかった者が3名で あった。舌根部の後方移動量の変化率と咽頭後壁の 突出量の変化率には有意な相関関係を認めなかっ た。 考察:本研究では,咽頭後壁の前方突出量の増加に より舌根と咽頭壁の接触を獲得するという代償機能 は確認されなかった。一方で,術後に皮弁体積に よって安静時の中咽頭腔面積が縮小している症例 や,咽頭側壁の運動が増加している症例を認めた。 以上より,本研究で対象とした舌半側切除症例で は,咽頭後壁の代償機能よりも,皮弁体積や咽頭側 壁が術後の嚥下機能の維持に関与している可能性が 示唆された。 目的:近年,ビスフォスフォネート(以下 BP)製 剤やデノスマブなどの骨吸収抑制剤投与患者におけ る 顎 骨 壊 死(以 下 MRONJ:MedicationRelated Osteonecrosis of the Jaw)の発症が問題となって おり,その症例数も増加傾向にある。しかし,その 病態に関しては不明な点が多く,特に BP 製剤とデ ノスマブによる顎骨壊死の病理組織学的な特徴は十 分に理解されていない。そこで,本研究では BP 製 剤関連顎骨壊死(以下 BRONJ)とデノスマブ関連 顎骨壊死(以下 DRONJ)との形態学的な特徴につ いて壊死骨を中心として解析し,各々の病理学的特 徴を明らかにすることを目的とした。 方法:試料は東京都立墨東病院歯科口腔外科,東京 歯科大学口腔顎顔面外科学講座,東京歯科大学オー ラルメディシン口腔外科学講座で MRONJ の診断 のもと施行された手術の顎骨腐骨部の検体を使用し た(東京都立墨東病院倫理委員会:許可番号29− 64,東京歯科大学水道橋病院倫理委員会:許可番号 850,東京歯科大学市川総合病院倫理委員会:許可 番号Ⅰ19−59)。採取した腐骨はいずれも15%中性 緩衝ホルマリンで固定した後,EDTA で脱灰し, パラフィンに包埋して薄切標本を作製した。その 後,ヘマトキシリン−エオジン染色標本を観察し, 各標本の骨面,ハウシップ窩の数,長さについては 骨形態計測的に解析した。 結果および考察:症例数はBRONJが10症例,DRONJ が10症例。また,対照群として,BP もしくはデノ スマブの投与歴がなく,放射線治療歴もない細菌性 の化膿性顎骨骨髄炎症例10例を用いた。BRONJ, DRONJ 症例では腐骨部より検体を採取したため, 病理組織学的には骨小腔内に骨細胞を認めない壊死 骨がほとんどの部位を占めていた。BRONJ 群では 腐骨部分に多数のハウシップ窩が確認されたが, DRONJ 群ではハウシップ窩は目立たなかった。骨 形態計測では,骨面に対するハウシップ窩の数,ハ ウ シ ッ プ 窩 の 長 さ と も に,BRONJ 群 は DRONJ 群,化膿性骨髄炎群に比べて有意に上昇していた。 一方,DRONJ 群と化膿性骨髄炎群では有意差は認 めなかった。以上の所見より,BRONJ と DRONJ とは臨床的には類似しているが,病理組織学的には BRONJ では DRONJ,化膿性骨髄炎に比べて腐骨 部の骨吸収が有意に亢進していることが明らかと なった。この特徴は,BRONJ と他の顎骨壊死の病 理組織学的鑑別点として重要と考えられた。また, これらの差異は BP とデノスマブの骨吸収抑制メカ ニズムに起因している可能性が示唆された。