インド生薬由来ベルゲニン類の機能性開発に関する研究
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(2) 学位論文審査結果の報告書 氏. 鹿島. 名. 生年月日. φ召王か・平成. 本籍(国籍) 学位の種類. 生. 印年7月20日. 京都府. 博. 士(. 工学). 工第200 号. 学iイ立言己番、号・ 学位授与の条件. イ女 JLL、. 学位規程第5条該当. (博士の学位). 論文題目. Study on Bi010gical Functionalities 0f. Bergenins from lndian Medicinal plants. (インド生薬由来ベルゲニン類の機育獣生開発に関する研究). 審査委員 河1をJ I"、. (主査). 宮澤三雄. (副主査). 藤原尚. (副主査). 武隈. \ J. 盲一 "ー゛、、. (副査). ⑳. (副査). ⑳. 31.
(3) 言△. 文内. J'マ. ^. の. 本研究は、インド生薬由来ベルゲニン類を利用した機盲且性開発を目的として、以下二章から. なる研究を行った。一章では、 5 種のインド生薬から得た各揮発性油の揮発性化合物を解明し、 また認知症ヘの予防・改善の観点からこれらの抗酸化活性およびアセチルコリンエステラーゼ. 阻害活性の検討を行った。第二章では、インド生薬であるパシャンベから得られるベルゲニン およびその誘導体の機育昌性開発を目的に、抗酸化活性を手始めとして認知症の予防・改善に期 待できる BACE1 阻害活性、チロシナーゼ阻害1舌性およびαーグルコシダーゼ阻害活性にっい て精査を行い、その有効性を見出した。さらにベルゲニン骨格をもつ化合物についての生体内 での代謝研究および新規有用性物質の生産を目的としてハスモンヨトウ(S. m卯ωを用いた生 物変換について検討した。. 第一章インド生薬の揮発性物質とその機能性. 本章では、インド生薬であるパシャンベ(召erg師放 hgWωω,ストーンフラワー(円の形elia Per1αta),スガントノ\ノくラ(Pαν0πia odorata),アサガオガラクサ(五ν01ν1ι11ιS alsiπoides),およてド無 憂樹(Sωam 加diCωの 5 種の揮発性化合物の分野においてその解明および機官身性を見出すべ く、初めにこれら植物から揮発性油をそれぞれ採取し、構成分子について検討した。その結果、 各揮発性油の主要構成分子 はノ弌シャンベでは. (+)・(6め・P笹asorbic acid である ことが確認され、ストーンフ. ラワ一はオリベトール類似. イ本の monomethyl olivet01 で. OMe. 0。,。』》_ (+)・(6S)・paras0巾ic acid. monomethyl olivet01. :::工n ""戸'・、ーミ。,. あることを明らかにした。ま ageratochromene. Cis一α・necrod01. Palmjtic acid. た、スガントノソミラはクロメ. ン美頁の ageratochromene カミ. Fig. Main compounds of essential oils from Ayurveda herbal medicines. 主要化合物であり、アサガオガラクサでは Cis、α、necrod01 といったイレギュラーモノテノレペン、. さらには無憂樹において C5イ)】8 の脂肪酸が含まれていることを明らかにすることにより、イン ド生薬の揮発性油は極めて特異的な物質が主要構成分子として含有していることを見出した。. さらに、これら揮発性油の機育Ξ性を開発すべく抗酸化活性の評価を行った。その結果、 4 種の. - 32 -.
(4) 揮発性油において一般的な抗酸化剤であるBHTと同等以上の活性を確認した。特に、パシャン べおよびストーンフラワ一の揮発性油に強い活性があることを明らかにした。また、各揮発性 油を用いてアセチルコリンエステラーゼ阻害を検討した結果、パシャンベの揮発性油に阻害効 果があることを見出した。さらには、その活性の根源を明らかにすべく、その主要構成分子に おいても同様の試験を検討することにより、パラメンタン骨格をもつモノテルペンに強い阻害 効果を確認した。との結果からとれらモノテルペンがパシャンベ揮発性油の阻害活性の根源で あることを示唆した。以上、これら有用性に関する検討の結果、インド生薬揮発性油の機能性 を見出した。. 第二章ベルゲニン誘導体の機能性評価 本章では、ベルゲニン類の有用性を見出すべく、高齢化社会において著しく増加し、社会問 題となっている認知症に対する予防および改善の観点から、抗酸化活性、アノレツハイマー病の ターゲット酵素であるBAC動阻害活性を検討した。その結果、ベルゲニン類の中で数種のベル ゲニン安息、香酸エステル類において、高い抗酸化能を確認した。特に安息、香酸のパラ位に水酸. 基をもつ 3,5,フ,20および 22 に強い抗酸化活性があることを明らかにした。ベルゲニンおよび 一連の安息、香酸類に関して、どれもそのベルゲニン誘導体より活性が劣ったことから、ベルゲ ニン誘導体の結合部、また安息、香酸のパラ位に位置する水酸基の存在が抗酸化能に大きく影響. を及ぼしていることを明らかした。さらに、 BACE1 阻害活性については、 4 種のベルゲニン 類(5、S)において特に阻害活性値が高いことを明らかにした。また、それらの阻害形式につい て検討した結果、これら化合物は桔抗阻害であることを確認した。さらに、最も阻害活性が強. かった 11-0・protocatechuoylbergenin(5)(1C北= 0.6 μM)に対して BACE1 におけるドツキングシ ユミレーションを行った。その結果、活性音剛立のアスパラギン酸 228 と化合物5 の 3 および. 4 位の水酸基、ならびにカテコール構造部分の水酸基とりシン 107 がそれぞれ水素結合し、ベ ルゲニン骨格がその周りの疎水性場と疎水性相互作用したかたちで取り込まれ、BAC副を阻害 していることを示唆した。. さらに、認知症の原因のーつであるパーキンソン病の改善ヘの応用の観点からその夕ーゲット 酵素でもあるチロシナーゼ阻害活性を検討した。その結果、化合物 5(1C北=17.5μM)および. 20(1C5。=9.1μM)において比較物質として用いたアノレブチンσC50=217.0μM)を遥かに凌ぐ阻 害活性があることを見出した。また、構造活性相関については、化合物 3,5,8,玲,20 および 23 を安息、香酸の置換基構造間でそれぞれ対比すると、8 および 10 位にメトキシ基を有する構造. - 33 -.
(5) が強い阻害効果を確認したことから、そのメトキシ基の存在はその阻害活性に影響を及ぽして いることを見出した。 '明畄の糖尿病"とも呼ばれるアルツハイマー病型認知症において、その危険因子である糖尿病の. 予防および改善に期待できるα・グルコシダーゼ阻害評価においては数種の 8,10、dihydroxy ベル ゲニン誘導体が比較物質であるアカルボースの阻害活性と同等以上の効果をもつことを確認し. た。特に化合物6 において強い阻害活性を有しており、 DiX伽Plot 法により非桔抗阻害である ととを明らかにした。構造活性相関の観点からは、ベルゲニン類の安息、香酸部分構造のメタ位 のメトキシ基が飛躍的にその阻害能を向上させる傾向を明らかにし、さらには8,10、dihydroxy 類 のみに強い活性を確認したことから、8 および10 位の水酸基がその活性に最も影響を与えてい ることを見出した。. これらベルゲニン骨格の有用性だけでなく新規有用性物質の生産を目的に昆虫個卯d叩たル m卯ωを用いた生物変換について検言寸した。化合物 1 および 16 に対して生物変換を行った結 果、化合物 16 のみに変換反応が進行するととを明らかにし、生成物は 16 の 9位を選択的に. 脱メチノレ化が進行した、新規化合物である 9・hydroxy・tri・0・methylnorberg伽in (26)であることを 明らかにした。さらに、その新規化合物の有用性を見出すべく抗酸化試験を行った。その結果、 基質として用いた 16 と対比して著しく抗酸化能が向上することを確認し、新規有用性物質の 生産に成功した。 0H OMeo. Meo Meo. 0H. : OH. ・リ \.、'OH ーノ 0. OMeo. __」皇型竺_ー. HO Meo. 0. ' OH. .リ. \.,'りOH ゛/ 0 0. 16. 26. 以上、本論文において、インド生薬の揮発性化合物の解明およびその認知症を含めた種々の疾 患における有用性を見出し、これらの揮発性油を用いることにとって非侵襲的な認知機能の改 善の効果が期待でき、インド生薬の新しい機能陛を明らかにした。また、インド生薬由来のべ ルゲニンとその誘導体を用いた認知症予防・改善の観点から抗酸化活性、 BAC動阻害活性、チ ロシナーゼ阻害活性およびα・グルコシダーゼ阻害活性を精査し、その特異性、重要性ならびに 構造活性相関を明らかにした。これら一連の活性を有するベルゲニン類を利用することで極め て有効な認知症ヘの予防・改善ヘの発展に貢献できる可能性を見出した。. - 34 -.
(6) 号△. 文. イ. 査. 、. の. ^. 本論文では、インド生薬およびベルゲニン類の認知症改予防・改善を目的として、以下、二章 からなる研究を行っている。. 一章では、 5 種のインド生薬から得た揮発性油に対してその構成化合物を解明し、その有用性 開発を目的に生理活性として、抗酸化試験、さらに認知症予防に期待できるアセチルコリンエ. ステラーゼ阻害試験を行いその有効性について述ベている。二章では、有用性化合物として期 待できるインド生薬パシャンベから得られるベルゲニンとその誘導体を用いて、認知症の原因 疾患であるアルツハイマー病およびパーキンソン病の予防および改善を目的としてそれらの抗 酸化作用、βーセクレターゼ阻害作用、チロシナーゼ阻害作用、αーグルコシダーゼ阻害作用にっ いて精査し、その有効性について述ベている。 第一章では、まず、5 種のインド生薬に含有する揮発性化合物について解明しており、これ. ら植物の主要な揮発性化合物はパシャンベ(召の宮eπiα奴Watωでは(+)・(6め・parasorbicacid、スト ーンフラワー(parme五a perlatωでは monomethyloHvet01、スガントハバラにおいては. a今eratochromene 、また、アサガオガラクサ(五ν01νU1加αIS加oides)の揮発性油では Cis・α・necrod01、無憂樹では Palmitic acid が主要物質であるととを明らかにしており、インド生 薬には他の植物に類の見ない特徴的な物質が含有していることを見出している。さらに、これ. らの揮発性油の機育目陛開発を目的に、抗酸化試験およびアセチルコリンエステラーゼ阻害試験 を行っており、特にパシャンベの揮発性油が認知機能改善に応用できる可育目注について述ベて いる。. 第二章では、認知症にまつわる疾患についてベルゲニン類の有効性の観点から、まず、アル ツハイマー病予防および改善を目的として、抗酸化試験およびBAC動阻害試験、さらにパーキ ンソン病および糖尿病の予防・治療の観点からチロシナーゼ阻害試験およびα、グルコシダーゼ 阻害試験を行っている。一連のベルゲン類に強い抗酸化1舌陛を見出し、そのベルゲニン構造の 重要性および特異性について明らかにしている。これらの抗酸化作用を足がかりとして、BAC副. 阻害活性を検討しており、特に 11-0・protocatechuoylberg飢in(5)が最も強い阻害活性を示し、そ のIC5。値は 0.6μM であることを明らかにしている。また、その作用機序についても検討して おり、BAC動におけるドッキングシュミレーションの結果、活性部位のアスパラギン酸 228 と 3 および 4 位の水酸基、さらにりシン 107 残基とカテコール構造の水酸基がそれぞれ水素結 合し、その周りの疎水性場が 5 と疎水性相互作用した状態で取り込まれ、本酵素を阻害してい. - 35 -.
(7) ることを述ベている。チロシナーゼ阻害活性については 6 種の誘導体に強い阻害効果を確認し ており、構造活性相関の観点からは誘導体の 3'および 4'に水酸基の導入等の安息、香酸部分構 造の置換基が阻害活性に及ぽす影響、また 8 および 10 位のメトキシ基の重要性を明らかにし. ている。さらにα・グルコシダーゼ阻害活性にっいては、数種の 8,10・dihydroxy 誘導体(2-フ,13) において濃度依存的に阻害していることを確認し、比較物質であるアカルボースおよび 1、デオ. キシノジリマイシンと同等以上の阻害能を有していることを見出している。特に 6(1C5。=24.6 μM)が強い阻害効果を示し、その阻害形式は非桔抗型であることを明らかにしている。さらに、 これら一連の化合物はベルゲニンの 8 および 10 位の水酸基の重要性を示唆すると共にベルゲ ニン誘導体とすることでその阻害活性が向上することを見出している。これらの結果から、認 知症の予防および改善に対する機能性および発展の可育目性を述ベている。ベルゲニン類の機能 性だけではなく、新規有用性物質の生産ならびに代謝研究の一環として、昆虫であるハスモン. ヨトウ(spodoptera五tura)を用いた生物変換について検言寸しており、化合物 16 において、脱 メチル化変換反応が進行することを見出している。さらには、この変換生成物 26 の機育目性を. 精査するため、その抗酸化活性を評価しており、基質として用いた 16 と比較して遥かに凌駕 する効果を明らかにしている。また、ベルゲニン a)において変換反応が進行しないことから、 ハスモンヨトウの脱メチル化反応に関与する酵素がベルゲニン骨格の 8 および 10 位のメト キシ基を認識し、代謝している可能性を示している。化合物26 は新規化合物であり、新規有用 性物質の生産に成功している。. これらの研究内容は学術誌 j 冱gric. Food che,π., che万1. Nat. coplpd.,冱rch.円hα加. Res., j. 五πZy1πe 1πhiみ. ued. che形., j oleo sci., che1π. Biodiversi翊および召ioorg ued. che"1.ιetl.で公表 されており、学位論文として高く評価される。. 以上、本論文で述ベられた知見は、多数の独創性と優れた結果を含み、学術的にも工業的に も価値があり、博士(工学)論文として値すると認めた。. - 36 -.
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