JILPT 資料シリーズ No.
7 年 月
労災保険の財政方式
独立行政法人 労働政策研究・研修機構
The Japan Institute for Labour Policy and Training
ま え
厚 生 労 働 省 2004 年 度 に 設 置 ・ 開 催 し た 社 会 保 障 ・ 保 険 ・ 経 済 等 を 専 門 分 野 と す る 学 識
経 験 者 ら な る 労 災 保 険 料 率 の 設 定 に 関 す る 検 討 会 に お い て 労 災 保 険 率 設 定 の 具 体 的
な 方 法 等 に つ い て 近 年 の 産 業 構 造 や 就 業 実 態 の 変 化 等 を 踏 ま え た 検 討 行 わ れ 2005 年 1
月 に 同 検 討 会 の 報 告 書 と り ま と め ら れ た 。 そ の 後 そ の 検 討 結 果 を 踏 ま え 労 災 保 険 率 の
設 定 手 続 き の 透 明 化 を 図 る た め 厚 生 労 働 省 労 災 保 険 率 の 設 定 に 関 す る 基 本 方 針 を 2005
年 3 月 に 定 め そ の 基 本 方 針 に 沿 て 改 正 さ れ た 労 災 保 険 率 2006 年 4 月 1 日 よ り 施 行 さ
れ た 。
こ の 検 討 会 に お い て 現 行 の 労 災 保 険 の 財 政 方 式 を 中 心 と し て 業 種 区 分 の あ り 方 ・ メ
リ ッ ト 制 の あ り 方 に つ い て 併 せ て 検 討 行 わ れ そ の 際 数 多 く の 関 連 資 料 提 出 さ れ た 。
こ こ 今 後 の 労 災 保 険 財 政 に 関 す る 行 政 施 策 に 資 す る た め 労 災 保 険 財 政 に 関 し て
1989 年 度 に ま と め ら れ た 岡 山 茂 ・ 浜 民 夫 著 新 ・労 災 保 険 財 政 の 仕 組 と 理 論 1989
上 記 の 検 討 会 に 提 出 さ れ た 資 料 な を 基 に 労 災 保 険 の 財 政 方 式 ・ 業 種 区 分 ・ メ リ ッ ト 制 等
に つ い て 1989 年 度 以 降 に お け る 制 度 等 の 改 正 経 緯 を 含 め て 資 料 整 理 を 行 た の あ る 。
資 料 整 理 に あ た り 多 大 な 協 力 を 頂 い た 厚 生 労 働 省 労 働 基 準 局 労 災 補 償 部 労 災 保 険 財 政
数 理 室 に 感 謝 を 申 し 上 た い 。
こ の 資 料 労 災 保 険 財 政 に 関 わ る 方 々 に と て 役 に 立 つ と こ ろ あ れ 幸 い あ る 。
2 7 年 月
独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 ・研 修 機 構
理 事 長 小 野 旭
執 筆 担 当 者
氏 所 属
南
な
和
ず
男
お
独 立 行 政 法 人 労 働 政 策 研 究 ・ 研 修 機 構 情 報 解 析 部 長
目 次
第 1 章 労 災 保 険 制 度 と 保 険 財 政
1 労 災 保 険 制 度 ... ...
労 災 保 険 制 度 の 概 要
... ...
2 保 険 給 付 の 種 類 ... ...
労 働 福 祉 事 業 ... ...
労 災 保 険 の 収 支 状 況
... ...
労 災 保 険 に お け る 給 付 と 労 働 基 準 法 上 の 災 害 補 償 の 比 較 ...
労 災 保 険 率 設 定 の 基 本 的 考 え 方 ... ....
労 災 保 険 の 特 徴
... ...
2 労 災 保 険 率 の 関 係 法 令 ... ...
短 期 給 付 の 財 政 方 式 ... ...
長 期 給 付 の 財 政 方 式
... ...
過 去 債 務 分 の 費 用 負 担 ... ...
2
非 業 務 災 害 分 の 費 用 負 担 ... ...
7 労 働 福 祉 事 業 及 び 事 務 費 の 費 用 負 担
...
具 体 的 な 労 災 保 険 率 の 算 定 手 順 に つ い て ...
7
賃 金 総 額 の 計 算 ... ...
7
2 業 務 災 害 分 の 計 算
... ...
7
非 業 務 災 害 分 の 計 算
... ...
労 働 福 祉 事 業 特 別 支 給 金 を 除 く 及 び 事 務 費 ...
第 章 労 災 保 険 率 の 適 用 の 仕 組
1 労 災 保 険 率 の 適 用 原 則 ... ...
22
業 種 の 分 類
... ...
22
2 労 災 保 険 率 の 適 用 原 則
... ...
22
業 種 の 統 合 ・ 分 割 ・ 新 設 年 度 以 降 ...
2
保 険 料 の 算 定 方 法
... ...
2
賃 金 総 額 の 把 握 方 法
... ...
2
2 2 年 度 の 労 務 費 率 の 改 定 ... ...
2
第 章 労 災 保 険 の メ リ ッ ト 制 度
1 メ リ ッ ト 制 度 と ... ...
メ リ ッ ト 制 度 の 目 的
... ...
2 メ リ ッ ト 制 度 の 理 論
... ...
現 行 の メ リ ッ ト 制 度
... ...
現 行 メ リ ッ ト 制 度 ... ...
2 メ リ ッ ト 制 度 の 改 正 経 緯 年 度 以 降 ...
2
第 章 労 災 保 険 の ス メ イ チ 制
1 ス メ イ チ 制 の 仕 組 ... ...
7
ス メ イ チ 制 度 の 目 的 ・ 効 果 等
...
7
2 現 行 ス メ イ チ 制 度 ... ...
7
ス メ イ チ 制 度 の 改 正 経 緯 年 度 以 降 ...
年 金 給 付 に 係 る ス メ イ チ 制 度 年 度 改 正
...
2 休 業 補 償 給 付 に 係 る ス メ イ チ 制 度 ...
参 考 1 保 険 の 原 理 及 び 財 政 方 式
1 保 険 の 原 理 ・ 原 則 ... ...
財 政 方 式 の 種 類 ... ...
2
純 賦 課 方 式
... ...
2
2 充 足 賦 課 方 式 ... ...
積 立 方 式 ... ...
修 正 積 立 方 式
... ...
修 正 賦 課 方 式
... ...
段 階 的 保 険 料 調 達 方 式 ... ...
参 考 労 災 保 険 料 率 の 設 定 に 関 す る 検 討 会 に つ い て
1 検 討 会 の 開 催 経 緯 ... ...
7
検 討 会 の 開 催 概 要
... ...
7
報 告 書
... ...
労 災 保 険 率 設 定 の 基 本 方 針 ... ...
7
労 災 保 険 に 関 す る 統 計 集
... ...
77
-1-
第 1 章 労 災 保 険 制 度 と 保 険 財 政
1 労 災 保 険 制 度
1 労 災 保 険 制 度 の 概 要 図 表 1 - 1
労 働 者 災 害 補 償 保 険 以 労 災 保 険 と い う 。 業 務 上 又 通 勤 途 上 に
お い て 災 害 以 労 働 災 害 と い う 。 に 遭 わ れ た 労 働 者 被 た 損 害 に 対 し て 迅
つ 公 正 な 保 護 を す る た め に 保 険 給 付 を 行 い 併 せ て 被 災 労 働 者 の 社 会 復 帰 の
進・被 災 労 働 者 及 び そ の 遺 族 の 援 護・適 正 な 労 働 条 件 の 確 保 等 を 図 る こ と に よ り 労
働 者 の 福 祉 の 増 進 に 寄 す る こ と を 目 的 と し て 運 営 さ れ て い る 。
労 働 者 の 業 務 上 の 災 害 に つ い て 使 用 者 労 働 基 準 法 に 基 く 災 害 補 償 責 任 を 負
て い る 労 働 基 準 法 上 の 災 害 補 償 に 相 当 す る 労 災 保 険 給 付 行 わ れ る 場 合 に
労 働 基 準 法 上 の 災 害 補 償 責 任 免 除 さ れ る こ と と な て お り 労 働 基 準 法 第 条
労 災 保 険 実 質 的 に 使 用 者 の 災 害 補 償 責 任 を 担 保 す る 役 割 を 果 た し て い る 。
労 災 保 険 労 働 者 を 人 使 用 す る す て の 事 業 適 用 除 外 国 家 公 務 員
地 方 公 務 員 現 業 の 非 常 勤 職 員 を 除 く 。 及 び 船 員 あ る 。 適 用 さ れ て お り 2
年 度 曒 現 在 適 用 事 業 場 数 2 万 事 業 場 ・ 適 用 労 働 者 数 万 人 と な て い る 。
ま た 労 働 者 以 外 の 者 業 務 の 実 態・労 働 災 害 の 発 生 状 況 な ら て 労 働 者
に 準 じ て 労 災 保 険 に よ り 保 護 す る に さ わ し い 者 中 小 事 業 主 及 び そ の 家 族 従 業 者 ・
一 人 親 方・特 定 作 業 従 事 者・海 外 派 遣 者 等 に 対 し 特 別 の 手 続 に よ り 労 災 保 険 制 度
へ の 加 入 を 認 め そ の 業 務 災 害 及 び 通 勤 災 害 に つ い て 保 護 を え る 特 別 加 入 制 度
あ り 労 災 保 険 法 上 の 労 働 者 と 同 様 の 補 償 内 容 と な て い る 。 労 災 保 険 法 第
条
保 険 給 付 の 種 類
労 災 保 険 に お け る 給 付 の 種 類 を る と 大 き く つ の 場 合 に 分 け る こ と き る 。
一 つ 労 働 災 害 に よ る 療 養 の た め に 休 業 す る 場 合 こ の 場 合 療 養 の た め に
支 払 わ れ る 療 養 補 償 給 付 及 び 会 社 を 休 業 す る 時 の 休 業 補 償 給 付 あ り ま た
療 養 を 開 始 し て 年 ヶ 月 を 経 過 し て 治 ら ず そ の 傷 病 い 場 合 に 傷 病 補 償
年 金 支 払 わ れ る 。 労 災 保 険 法 第 条 第 条 第 条 第 22 条 第 22 条 の 2
第 2 条
つ 療 養 後 に 被 災 労 働 者 に 一 定 の 障 害 た 場 合 そ の 障 害 の 程 度 に 応 じ
て 障 害 補 償 年 金 あ る い 障 害 補 償 一 時 金 支 払 わ れ る 。 同 第 条 第 22
条 の
つ に 被 災 労 働 者 死 亡 し た 場 合 こ の 場 合 遺 族 に 対 し て 遺 族 補 償
年 金 あ る い 遺 族 補 償 一 時 金 支 払 わ れ る 。こ れ 被 災 労 働 者 と 遺 族 と の 関 係 度
合 い に よ て 分 れ て い る 。 ま た 葬 祭 料 葬 祭 給 付 に つ い て 遺 族 に 支 払 わ れ る 。
図表 - 労働者災害補償保険制度の概要 2 年度
保険料収入
労 災 保 険
源
保険料(賃金総額×保険料率)
労災保険率
事業の種類
4.5/1,000~118/1,000
全額事業主 担
一部国庫補助
保険給付等
療 養 の た 休 業
場合
常 時 又 随 時 介 護
を要 場合
脳・心臓疾患 関連
異常所見
療養費の全額
休業 4 日目 休業 1 日 休業給付基礎日額の 60%
療養開始後 1 年 6 ヶ月経過 て 治 その傷病 重い
場合 年金給付基礎日額の 313 日分 1 級 ~245 日分 3
級 の年金
年金給付基礎日額の 313 日分 1 級 ~131 日分 7 級
の年金
又
給 付基礎 日額の 503 日 分 8 級 ~ 56 日分 14 級 の
一時金
遺族数 応 年金給付基礎日額の 153 日分~245 日分の
年金
又
遺族補償年金受給資格者 い い場合 その他の遺族
対 給付基礎日額の 1,000 日分の一時金
315,000 円+給付基礎日額の 30 日分 低保障額 給付
基礎日額の 60 日分
1 月当た 常時介護 104,590 円 随時介護 52,300 円
を上限
脳血管及び心臓の状態を把握 た の 次健康診断及
び医師等 特定保健指導
被 災 労 働 者 死 亡
た場合
社 会 復 帰 促 進 事 業 義肢等の支給 アフタ ケアの実施等
被災労働者等援護事業 労災就学等援護費の支給等
安 全 衛 生 確 保 事 業 労働災害防止対策の実施 産業医学の振興等
労 働 条 件 確 保 事 業 未払賃金の立 払事業等
労働福祉事業
次 健 康 診 断 等 給 付
療 養 補 償 給 付
休 業 補 償 給 付
傷 病 補 償 年 金
介 護 補 償 給 付
葬 祭 料 葬 祭 給 付
障 害 補 償 給 付
遺 族 補 償 給 付
障害 残 た場合
その程度 応
適用
労働者を使用 全ての事業
-2-
-年-
同 第 条 第 7 条 第 22 条 の 第 22 条 の
四 つ に 傷 病 の 状 況 に 応 じ て 被 災 労 働 者 常 時 又 時 護 を 要 す る 場 合 に
護 補償 給付として一定額 支払われる。 同第 2 条の 第 条の 2 第 2 条
つ に 会 社 に お け る 定 期 健 康 診 断 等 に お い て 脳・心 臓 疾 患 に 関 す る 異 常 所 見
あ た 場 合 次 健 康 診 断 等 給 付 と し て 脳 血 管 及 び 心 臓 の 状 態 を 把 握 す る た め の
次 健 康 診 断 及 び 師 等 に よ る 特 定 の 保 健 指 導 に 係 る 費 用 に つ い て 給 付 な さ れ て
い る 。 同 第 2 条
以 上 労 災 保 険 法 規 定 さ れ て い る 保 険 給 付 あ る こ の よ う な 保 険 給 付 に 併
せ て 特 別 支 給 金 制 度 労 災 保 険 に 設 け ら れ て い る 。制 度 上 労 働 福 祉 事 業 の 被
災 労 働 者 及 び そ の 遺 族 の 援 護 を 図 る た め に 必 要 な 事 業 の 中 に 位 置 け ら れ て お り
本 体 の 保 険 給 付 に 上 乗 せ す る 形 支 払 わ れ る の 特 別 支 給 一 時 金 と ピ ー ヂ
ス 特 別 支 給 金 あ る 。
労 働 福 祉 事 業
労 災 保 険 労 働 災 害 発 生 し た 後 の 補 償 と し て 保 険 給 付 を 行 う け な く
よ り 積 極 的 に 被 災 労 働 者 を 職 場 や 社 会 に 復 帰 さ せ る た め の 事 業 労 働 災 害 に よ る 被 災
者 を 出 さ な い よ う に す る た め 各 種 労 働 災 害 防 止 団 体 へ の 補 な 労 働 者 の 福 祉 の 増
進 に 寄 す る こ と を 目 的 と し て
被 災 労 働 者 の 社 会 復 帰 を 進 す る た め の 事 業
被 災 労 働 者 又 そ の 遺 家 族 に 対 す る 援 護 の た め の 事 業
安 全 衛 生 の 確 保 の た め の 事 業
曑 払 い 賃 金 の 立 暶 払 事 業 を 中 心 と す る 適 正 な 労 働 条 件 の 確 保 の た め の 事 業
の 分 野 に 分 れ た 労 働 福 祉 事 業 行 わ れ て い る 。
労 災 保 険 の 収 支 状 況 図 表 1 -
最 近 に お け る 労 災 保 険 の 収 支 状 況 を る と 2 年 度 の 収 入 億 円
そ の と ん 保 険 料 収 納 額 あ る 。2 年 度 の 支 出 2 億 円 近 年 漸
減 傾 向 あ り そ の 支 出 の と ん 保 険 給 付 費 等 と し て 約 億 円 の 給 付 行 わ
れ て い る 。
決 算 上 の 剰 余 又 不 足 を る と 2 年 度 7 7 億 円 決 算 上 の 剰 余 と な
て お り こ の 剰 余 金 積 立 金 に 積 立 て ら れ 2 年 度 曒 現 在 の 積 立 金 計 額 7
億 円 と な て い る 。 こ の 労 災 保 険 の 積 立 金 労 災 保 険 の 年 金 給 者 へ の 将
来 に わ た る 年 金 給 付 等 の 費 用 に 充 て る 原 資 と し て 積 立 て ら れ て い る の あ り 剰
余 金 と い う 性 の の 決 し て な い 。
図 表 1 - 労 災 保 険 の 収 支 状 況 の 推 移
単位:億円
平000年度 平001年度 平00平年度 平00年年度 平004年度
収 入 15ん4平5 14ん605 1年ん89平 11ん900 11ん9年4
1年ん年01
1平ん7平9 1平ん185 10ん407 10ん44平
1ん8年6
1ん609 1ん410 1ん平平9 1ん097
1年
1年 1年 1年 1年
支 出 1平ん406 1平ん年41 11ん979 11ん5年0 11ん平64
9ん479
9ん45平 9ん185 9ん096 8ん965
4ん917
4ん885 4ん6年0 4ん558 4ん470
4ん56平
4ん567 4ん55平 4ん5年5 4ん490
-
1 年 4 4
平ん年平8
平ん平81 平ん平44 平ん195 平ん146
平ん平81
平ん平44 平ん195 平ん146 平ん108
年ん066
平ん年00 1ん961 419 707
71ん60平
7年ん90平 75ん86年 76ん平8年 76ん990
注
1 支出額中の短期給付および長期給付に 特別支給金 含まれる。
積立金 計額 各年度の積立金明細表における積立金に当該年度の決算上の剰余金を加えた の ある。
労災保険の積立金 労災年金 給者への将来にわたる労災年金給付費用に充てる原資 ある。
計数 それ れ四捨 入によ ているの 端数において 合計と一 していない の ある。
短 期 給 付
次 健 康 診 断 等 給 付
長 期 給 付
う ち 利 子 収 入
積 立 金 計 額
う ち 国 庫 補
区 分
前 年 度 よ り 入 支 払 備 金 等
翌 年 度 へ の 繰 越 支 払 備 金 等
決算上の剰余又 不足
- + -
う ち 保 険 料 収 納 額
保 険 給 付 費 等
労 災 保 険 に お け る 給 付 と 労 働 基 準 法 上 の 災 害 補 償 の 比 較
図 表 1 - 労 災 保 険 に お け る 給 付 と 労 働 基 準 法 上 の 災 害 補 償 の 比 較 労 災 保
険 の 保 険 給 付 と 労 働 基 準 法 の 災 害 補 償 の 規 定 を 対 比 し た の あ る 。労 災 保 険 に
お け る 給 付 水 準 を 見 る と 労 働 基 準 法 の 災 害 補 償 の 基 準 を 上 回 る 内 容 定 め ら れ て
い る 場 合 多 く 併 せ て 特 別 支 給 金 付 加 的 に 支 給 さ れ て い る 。例 え 休 業 補 償
給 付 労 働 基 準 法 上 均 賃 金 の % と な て い る 労 災 保 険 本 体 の 保
険 給 付 と し て 給 付 基 礎 日 額 の % 相 当 額 に 加 え て 特 別 支 給 金 と し て 2 % 相 当 額
付 加 さ れ 合 計 給 付 基 礎 日 額 の % 支 給 さ れ る こ と と な て い る 。ま た 障 害 補
償 ・ 遺 族 補 償 に つ い て 労 働 基 準 法 上 全 て 一 時 金 の 規 定 あ る 労 災 保 険
障 害 の 程 度 い 場 合 の 障 害 補 償 給 付 と 遺 族 に 対 す る 給 付 原 則 と し て 年 金 に よ
る 支 給 と な て い る 。
な お 均 賃 金 と 給 付 基 礎 日 額 に つ い て 図 表 の 注 に あ る よ う に 定 義
同 じ あ り 給 付 基 礎 日 額 に 最 低 保 障 額 2 年 月 日 以 降 円
定 め ら れ て い る 。
-5-
図表1- 労災保険における給付と労働基準法上の災害補償の比較
労 災 保 険 に お け
る 給 付 の 種 類
支 給 事 保険給付の内容 特別支給金の内容 労働基準法上の災害補償
空欄 規定なし
業務災害又 通勤災害による傷
病により療養するとき 労災病
院や労災指定 療機関等 療養
を けるとき 。
必要な療養の給付
療 養 補 償 給 付
療 養 給 付
業務災害又 通勤災害による傷
病により療養するとき 労災病
院や労災指定 療機関等以外
療養を けるとき 。
必要な療養費の全額
療養補償
労働者の業務上の傷病に対し 使用者 その費用 必要な療養
を行う 必要な療養の費用を負担しなけれ ならない。
労働基準法第 7 条
休 業 補 償 給 付
休 業 給 付
業務災害又 通勤災害による傷
病の療養のため労働すること
きず 賃金を けられないと
き。
休業 日目 ら 休業
日につき給付基礎日
額の %相当額
休業 日目 ら 休業
日につき給付基礎日
額の 2 %相当額
休業補償
労働者 業務上の傷病の療養のため休業し賃金を けないと
き 使用者 療養中 均賃金の %の休業補償を行わな
けれ ならない。
同第 7 条
障 害 補 償 年 金
障 害 年 金
業務災害又 通勤災害による傷
病 治 た後に障害等 第
ら第 7 ま に該当する障害
たとき。
障害の程度に応じ 給
付基礎日額の 日分
ら 日分の年金
障害特別支給金
障 害 の 程 度 に 応 じ
2 万円 ら 万円
ま の一時金
障害特別年金
障害の程度に応じ 算
定基礎日額の 日分
ら 日分の年金
障
害
補
償
給
付
障 害 補 償 一 時
金
障 害 一 時 金
業務災害又 通勤災害による傷
病 治 た後に障害等 第
ら第 ま に該当する障
害 たとき。
障害の程度に応じ 給
付基礎日額の 日分
ら 日分の一時金
障害特別支給金
障害の程度に応じ
万円 ら 万円ま の
一時金
障害特別一時金
障害の程度に応じ 算
定基礎日額の 日分
ら 日分の一時金
障害補償
労働者の業務上の傷病 治 た後に身体に障害 第 ら第
たとき 使用者 その障害の程度に応じて
均賃金に 日 ら 日の日数を乗じて得た金額の障害補償
を行わなけれ ならない。
同第 77 条
-5-
労 災 保 険 に お け
る 給 付 の 種 類
支 給 事 保険給付の内容 特別支給金の内容 労働基準法上の災害補償
空欄 規定なし
遺 族 補 償 年 金
遺 族 年 金
業務災害又 通勤災害により死
亡したとき。
遺族の人数等に応じ
給付基礎日額の 2 日
分 ら 日分の年金
遺族特別支給金
遺 族 の 人 数 に わ
らず 一 万円
遺族特別年金
遺族の人数に応じ 算
定基礎日額の 2 日分
ら 日分の年金
遺
族
補
償
給
付
遺 族 補 償 一 時 金
遺 族 一 時 金
遺族 補償 年金を け得
る遺族 ないとき。
2 遺族 補償 年金を けて
いる方 失権し つ 他に
遺族 補償 年金を け得る
者 ない場合 あ て す
に支給された年金の合計額
給付基礎日額の 日分に
満たないとき。
給 付 基 礎 日 額 の
日分の一時金 た し
2 の場合 す に支
給 し た 年 金 の 合 計 額
を差し引いた額
遺族特別支給金
遺 族 の 人 数 に わ
らず 一 万円
遺族特別一時金
算 定 基 礎 日 額 の
日分の一時金 た し
2 の場合 す に支
給 し た 特 別 年 金 の 合
計額を差し引いた額
遺族補償
労働者 業務上死亡したとき 使用者 遺族に対して 均
賃金の 日分の遺族補償を行わなけれ ならない。
同第 7 条
葬 祭 料
葬 祭 給 付
業務災害又 通勤災害により死
亡した方の葬祭を行うとき。
円 に 給 付 基 礎
日額の 日分を加え
た額 その額 給付基
礎日額の 日分に満
たない場合 給付基
礎日額の 日分
葬祭料
労働者 業務上死亡したとき 使用者 葬祭を行う者に対
して 均賃金の 日分の葬祭料を支払わなけれ ならない。
同第 条
傷 病 補 償 年 金
傷 病 年 金
業務災害又 通勤災害による傷
病 療養開始後 年 ヶ月を経
過した日又 同日後において次
の各号のいずれに 該当するこ
ととな たとき。
傷病 治 ていないこと。
2 傷病による障害の程度 傷
病等 に該当すること。
障害の程度に応じ 給
付基礎日額の 日分
ら 2 日分の年金
傷病特別支給金
障害の程度により
万円 ら 万円ま
の一時金
傷病特別年金
障 害 の 程 度 に よ り 算
定基礎日額の 日分
ら 2 日分の年金
-6-
-7-
労 災 保 険 に お け
る 給 付 の 種 類
支 給 事 保険給付の内容 特別支給金の内容 労働基準法上の災害補償
空欄 規定なし
護 補 償 給 付
護 給 付
障害 補償 年金又 傷病 補
償 年金 給者のうち第 の
者又 第 2 の者 精神神経の
障 害 及 び 胸 腹 部 臓 器 の 障 害 の
者 あ て 現に 護を け
ているとき。
常時 護の場合
護 の 費 用 と し て 支 出
し た 額 円 を
上限とする 。
た し 親族等により
護 を け て お り
護 費 用 を 支 出 し て い
ない 支出した額
7 円を 回る場合
7 円。
時 護の場合
護 の 費 用 と し て 支 出
した額 2 円を上
限とする 。
た し 親族等により
護 を け て お り
護 費 用 を 支 出 し て い
ない 支出した額
2 円を 回る場合
2 円。
次健康診断等
給 付
事業主 実施する定期健康診断
等の結果 脳・心臓疾患に関連
する一定の 目 血 血中脂
質 血糖 肥満度 のす てに
ついて異常の所見 あると認め
られたとき。
次健康診断
年度内に 回に限
る。
2 特定保健指導
次健診 回につき
回に限る。
注1 保険給付の種類 欄の上段 業務災害 段 通勤災害に係る の。
注 表中の金額等 2 年 月 日現在。
注 給付基礎日額と 均賃金 注 に相当する額 ある。た し 最低保障額 2 年 月
日より 円 定められている。
注 算定基礎日額と ピーヂス等特別給 の一定額を 除した額 ある。
打 補償
療養補償を ける労働者の傷病 療養開始後 年を経過して
治らないとき 使用者 均賃金の 2 日分の打 補償
を行え 以後 労働基準法に基 く補償不要。
同第 条
注 均賃金と 原則として被災前直前 ィ月間の賃金総額 臨時に支払われた賃金な 除く をその期間の暦日数 除した額 ある。
資料出所:厚生労働省 労災保険料率の設定に関する検討会 第 回 提出資料 表中の金額 最新時点に改めた
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労 災 保 険 率 設 定 の 基 本 的 考 え 方
1 労 災 保 険 の 特 徴
ア 損 害 保 険 と し て の 性
労 災 保 険 不 幸 に 労 働 災 害 に 遭 わ れ た 労 働 者 被 た 損 害 を 補 償 す る こ と ら
損 害 保 険 と し て の 性 あ り 労 働 基 準 法 規 定 さ れ て い る 個 別 使 用 者 の 無 過 失 賠 償
責 任 を 基 礎 と し て 被 災 労 働 者 に 対 す る 補 償 を 保 険 の ク ス テ ム 行 う の あ る 。
一 般 の 損 害 保 険 の 場 合 を る と 例 え 火 災 保 険 保 険 料 前 払 い 契 約 期 間
中 の 事 故 に 対 し て 一 時 金 の 形 給 付 金 支 給 さ れ る 。 労 災 保 険 遺 族 補 償 と 度 の
障 害 ・ 傷 病 の 場 合 に 年 金 の 形 支 給 さ れ て い る 後 述 す る よ う に 将 来 に わ た る 年
金 支 給 の た め の 費 用 支 給 事 発 生 し た 時 点 全 額 賦 課 す る 考 え 方 取 ら れ て い る 。
こ れ 損 害 補 償 を 年 金 払 い し て い る と 理 解 す れ 損 害 保 険 と し て の 性 を 失 う
の な い 。
イ 費 用 の 負 担
労 災 保 険 個 別 使 用 者 の 無 過 失 賠 償 責 任 を 基 礎 と す る 損 害 保 険 と し て の 性 ら
国 際 的 に 見 て 保 険 料 の 負 担 者 伝 統 的 に 使 用 者 あ る こ と 労 災 保 険 の 特 徴 あ る 。
ま た 労 災 保 険 の 給 付 対 象 と な る 支 給 事 一 般 の 社 会 保 険 の よ う な 必 然 的 に
生 ず る 事 例 え あ る 年 齢 に 到 達 し た こ と に よ る 老 齢 給 付 な と 異 な り 偶
発 的 ・ 突 発 的 に 生 ず る の あ る た め 労 災 保 険 の 支 給 事 の 発 生 状 況 及 び 保 険 給 付
の 水 準 保 険 加 入 期 間 の 長 さ に 関 係 し な い 。 し た て 給 付 費 用 に つ い て 長 期 に
わ た る 積 立 て 行 わ れ な い の 晘 通 あ る 。
ウ 短 期 給 付 と 長 期 給 付
労 災 保 険 労 働 災 害 に よ る 労 働 者 の 負 傷 ・ 疾 病 ・ 障 害 又 死 亡 等 に 対 し て 次
の よ う な 保 険 給 付 必 要 な 期 間 行 わ れ て い る 。
療 養 補 償 給 付 休 業 補 償 給 付
障 害 補 償 給 付 遺 族 補 償 給 付
葬 祭 料 傷 病 補 償 給 付
護 補 償 給 付 次 健 康 診 断 等 給 付
こ れ ら の 給 付 を 支 給 形 態 分 け て る と そ れ れ 療 養 ・ 休 業 ・
護・ 次 健 康 診 断 等 の 支 給 事 発 生 す る と に 行 わ れ る 申 請 に 応 じ て 支 給 さ れ る
の あ り の う ち 障 害 等 ~ に 該 当 す る 給 付 と の う ち 遺 族 補 償 年 金 を
け る 権 利 を 有 す る 遺 族 な い と き に 支 給 さ れ る 遺 族 補 償 一 時 金 及 び に つ い て 支
1 に つ い て 岡 山 茂・浜 民 夫 新 ・労 災 保 険 財 政 の 仕 組 と 理 論 P ~ P を 参 考 と し 筆
者 加 筆 修 正 し た 。
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給 事 と に 一 度 け 支 給 さ れ る の あ る 。以 上 の 給 付 支 給 申 請 に 応 じ て 一 時
金 の 形 支 給 さ れ る こ と ら 短 期 給 付 と れ て い る 。他 の 給 付 に つ い て
給 者 の 死 亡 等 に よ る 給 権 の 喪 失 な い 限 り 年 金 等 の 形 支 給 続 け ら れ る の
こ れ ら 長 期 給 付 と れ て い る 。
こ の よ う に 労 災 保 険 の 給 付 を 支 給 さ れ る 形 態 に よ て 大 別 す る と 短 期 給 付 と
長 期 給 付 の 2 種 類 に 整 理 さ れ て お り 保 険 料 を 算 定 す る た め の 財 政 方 式 両 者
異 な る 方 式 採 用 さ れ て い る 。
゠ 業 種 別 の 保 険 率 設 定
労 働 災 害 の 発 生 状 況 を 見 る と 事 業 の 種 類 以 業 種 と い う 。 の 作 業 態 様
等 の い に よ り 災 害 の 種 類 ・ 災 害 の 発 生 率 に 差 異 見 ら れ て い る 。 そ の た め 労
働 災 害 の 発 生 状 況 高 い 業 種 に お い て 災 害 防 止 を よ り 一 層 進 め る こ と 求 め ら れ
る 災 害 防 止 に よ り 災 害 減 少 す れ 保 険 率 減 少 す る と い う 仕 組 を 保 険 制 度 の
中 に 組 込 む こ と に よ り 労 働 災 害 防 止 に 対 す る 事 業 主 の イ ン セ ン テ ゛ ノ を 高 め る こ
と 期 待 き る 。
そ の た め 労 災 保 険 に お い て 業 種 別 に お け る 労 働 災 害 の 発 生 状 況 の い を 踏 ま
え て 作 業 態 様 や 災 害 の 種 類 の 類 似 性 の あ る エ ル ー プ 業 種 別 に 保 険 率 設 定 さ れ
て い る 。
ア 労 働 福 祉 事 業 と 事 務 費
労 災 保 険 被 災 労 働 者 等 へ の 保 険 給 付 以 外 に の 述 た 労 働 福 祉 事 業
行 わ れ て い る と と に 労 災 保 険 制 度 の 運 営 に 当 た り 保 険 料 の 徴 収 及 び 保 険 給 付
な の 事 務 適 正 に 行 わ れ る 必 要 あ る こ と ら こ れ ら の 労 働 福 祉 事 業 の 実 施 及 び
保 険 事 務 の 執 行 に 要 す る た め の 費 用 必 要 あ る 。
労 災 保 険 率 の 関 係 法 令
労 災 保 険 率 に 関 す る 法 令 を る と 労 災 保 険 事 業 の 保 険 料 に つ い て 労 働 保 険 の
保 険 料 の 徴 収 等 に 関 す る 法 以 徴 収 法 と い う 。 の 定 め る と こ ろ に よ る と さ
れ て お り 徴 収 法 第 2 条 に お い て 労 災 保 険 率 将 来 に わ た て 労 災 保 険 事 業 の 財 政
の 均 衡 を 保 つ こ と き 過 去 年 間 の 業 務 災 害 ・ 通 勤 災 害 に 係 る 災 害 率 並 び に 次
健 康 診 断 等 給 付 に 要 す る 費 用 ・ 労 働 福 祉 事 業 の 種 類 及 び 内 容 そ の 他 の 事 情 を 考 慮 し て
定 め る こ と と な て お り よ り 具 体 的 に 徴 収 法 施 行 令 第 2 条 業 種 と に 過 去
年 間 に 発 生 し た 災 害 に 係 る 給 者 数 ・ 均 給 期 間 等 に 基 き 算 定 さ れ た 保 険 給 付
に 要 す る 費 用 の 予 想 額 を 基 礎 と し 過 去 年 間 の 災 害 率 ・ 労 働 福 祉 事 業 の 種 類 及 び 内
容 ・ 労 災 保 険 事 業 の 事 務 の 執 行 に 要 す る 費 用 の 予 想 額 そ の 他 の 事 情 を 考 慮 し て 定 め る
図表1- 労災保険率に関する関係法令
労災保険法
保険料
第 条 労働者災害補償保険事業に要する費用にあてるため政府 徴収する保険料について 徴収法の定めるところによる。
徴収法
労働保険料
第 条 政府 労働保険の事業に要する費用にあてるため保険料を徴収する。
前 の規定により徴収する保険料 以 労働保険料 という。 次のとおりとする。
一般保険料
以 略
一般保険料に係る保険料率
第 2 条 一般保険料に係る保険料率 次のとおりとする。
労災保険及び 用保険に係る保険関係 成立している事業にあつて 労災保険率と 用保険率とを加えた率
労災保険に係る保険関係の 成立している事業にあつて 労災保険率
用保険に係る保険関係の 成立している事業にあつて 用保険率
労災保険率 労災保険法の規定による保険給付及び労働福祉事業に要する費用の予想額に照らし 将来にわたつて 労災保険の事業に係る財政の
均衡を保つこと きる の なけれ ならない のとし 政令 定めるところにより 労災保険法の適用を けるす ての事業の過去 年間の業務
災害 労災保険法第 7 条第 第1号の業務災害をいう。以 同じ。 及び通勤災害 同 第 2 号の通勤災害をいう。以 同じ。 に係る災害率並びに
次健康診断等給付 同 第 号の 次健康診断等給付をいう。次 及び第 条において同じ。 に要した費用の額 労働福祉事業として行う事業の
種類及び内容その他の事情を考慮して厚生労働大臣 定める。
以 略
徴収法施行規則
労災保険率等
第 条 労災保険率 別表第 のとおりとし その細目
厚生労働大臣 別に定めて告示する。
法第 2 条第 の非業務災害率 分の . とする。
徴収法施行令
労災保険率
第 条 法第 2 条第 2 の労災保険率 厚生労働省令 定める事業の種類 とに 過去 年間
に発生した労働者災害補償保険法 昭和 22 年法 第 号 第 7 条第 第 号の業務災害 以
この条において 業務災害 という 。 及び同 第 2 号の通勤災害 以 この条において 通
勤災害 という 。 に係る同法の規定による保険給付の種類 との 給者数及び 均 給期間
過去 年間の同 第 号の 次健康診断等給付 以 この条において 次健康診断等給付
という 。 の 給者数その他の事 に基 き算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎と
し 労災保険に係る保険関係 成立しているす ての事業の過去 年間の業務災害及び通勤災
害に係る災害率並びに 次健康診断等給付に要した費用の額 同法第 2 条第 の労働福祉事
業として行う事業の種類及び内容 労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用の予想
額その他の事情を考慮して定める のとする。
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こ と に な て い る 。 図 表 1 - 参 照
短 期 給 付 の 財 政 方 式
短 期 給 付 療 養 補 償 給 付 ・ 休 業 補 償 給 付 の よ う に 支 給 事 生 じ る 都 度 に 行 わ れ
る 請 求 に 応 じ て 支 給 さ れ る 遺 族 補 償 一 時 金 ・ 葬 祭 料 の よ う に 一 時 金 と し て 支 給 さ れ
る な 支 給 事 発 生 し て ら 支 給 さ れ る ま の 期 間 一 般 的 に 短 い こ と ら 短
期 給 付 の 財 政 方 式 と し て 一 定 期 間 の 短 期 給 付 の 支 給 に 要 す る 費 用 を 同 じ 期 間 の 保
険 料 充 て る 純 賦 課 方 式 採 用 さ れ て い る 。
具 体 的 に 業 種 別 に 過 去 年 間 の 給 付 実 績 を 基 に し て 今 後 年 間 の 短 期 給 付 の 見
込 額 を 予 想 し そ の 見 込 額 を 同 じ 今 後 年 間 え る よ う に 保 険 料 を 設 定 す る 方 式
採 用 さ れ て い る 。 す な わ ち 保 険 率 の 算 定 期 間 年 間 中 に 発 生 す る 保 険 給 付 に
要 す る 費 用 そ の 期 間 中 の 保 険 料 お う と い う 考 え 方 あ る 。
た し す て の 短 期 給 付 の 費 用 に つ い て 業 種 別 に 算 定 す る の な く 災 害 発 生
ら 年 以 上 を 経 て 支 給 さ れ る 短 期 給 付 の 費 用 に つ い て 業 種 全 体 負 担 す る こ と と
さ れ て い る 。
こ れ 労 働 基 準 法 第 条 に お い て 被 災 後 年 を 超 え て 傷 病 治 ゆ し な い 労
働 者 に 対 し て 年 経 過 時 点 打 補 償 を 行 う こ と に よ り 当 該 事 業 主 そ れ 以 後 補
償 を 行 わ な く て よ い と さ れ て い る こ と ら 災 害 発 生 ら 年 以 上 を 経 た 給 付 に つ
い て 労 働 基 準 法 上 事 業 主 責 任 無 く な る た め 当 該 事 業 主 属 す る 業 種 け に
責 任 を 負 わ す こ と 適 当 な い 被 災 労 働 者 を 保 護 す る 観 点 及 び 産 業 間 相 互 扶 の
観 点 ら 業 種 全 体 負 担 す る こ と と さ れ て い る 。
長 期 給 付 の 財 政 方 式
年 金 等 の 長 期 給 付 一 般 的 に 長 期 給 付 の 支 給 事 発 生 し て ら 2 ~ 年 以 上 に
わ た り 支 給 さ れ て い る 。そ の 費 用 の 徴 収 方 法 に つ い て 検 討 す る と ま ず 短 期 給 付
と 同 じ よ う に 各 年 度 の 給 付 に 必 要 な 費 用 を そ の 年 度 に 徴 収 す る 純 賦 課 方 式 考 え ら
れ る こ れ 2 ~ 年 以 上 前 に 起 き た 労 働 災 害 に つ い て の 保 険 給 付 に 要 す る 費
用 を 過 去 の 労 働 災 害 に 全 く 責 任 の な い 後 世 の 事 業 主 に 負 担 を 求 め る こ と と な り
事 業 主 の 労 働 災 害 防 止 に 対 す る イ ン セ ン テ ゛ ノ を 損 な う こ と に な り な い 。労 働 災
害 事 業 主 の 災 害 防 止 力 に よ て 減 ら す こ と の き る の あ る こ と ら 労 災 保
険 に お い て 労 働 災 害 防 止 の イ ン セ ン テ ゛ ノ を 損 な う よ う な 費 用 負 担 方 式 を 採 る こ と
適 当 な い と さ れ て い る 。
そ の た め 長 期 給 付 の 財 政 方 式 と し て 労 働 災 害 を 起 こ し た 責 任 労 働 災 害 を 発 生
さ せ た 時 点 の 事 業 主 集 団 負 う き あ る と い う 観 点 ら 将 来 に わ た て 年 金 等 を
支 給 す る た め に 必 要 な 費 用 労 働 災 害 発 生 時 点 の 事 業 主 集 団 ら 徴 収 す る と い う
充 足 賦 課 方 式 採 用 さ れ て い る 。 な お こ の 方 式 に よ る 労 災 保 険 率 の 算 定
成 元 年 度 以 降 あ る 。
す な わ ち 保 険 率 の 算 定 期 間 あ る 今 後 年 間 の 長 期 給 付 の 新 規 給 者 数 を 予 想 し
そ れ ら 新 規 給 者 に 対 す る 将 来 に わ た る 保 険 給 付 に 要 す る 費 用 を そ の 期 間 中 の 保 険
料 お う と い う 考 え 方 あ る 。
図 表 1 - 労 災 保 険 に お け る 年 金 種 類 別 の 均 年 金 給 期 間
単 位 :年
傷 病 補 償 年 金 障 害 補 償 年 金
推 計 年
じ ん 肺 せ き 損 そ の 他 障 害 ~ 障 害 ~ 7
遺 族 補 償
年 金
年
年
2 年
2 年
.
2.
.
.
.
.
.
.
.
.7
.
. 2
22.
2 .2
2 . 2
2 .
2.
2.
2. 2
2.
. 2
. 7
. 7
.
資 料 出 所 : 厚 生 労 働 省 労 働 基 準 局 労 災 管 理 課 労 災 保 険 財 政 数 理 室 推 計
た し 基 本 的 に 業 種 別 に 保 険 率 を 算 定 す る こ と と さ れ て い る 災 害 発 生 ら 7
年 を 超 え て ら 支 給 開 始 さ れ る 給 付 分 に つ い て 業 種 別 に 算 定 す る の な く 業 種
全 体 の 負 担 と し て 算 定 さ れ て い る 。
こ れ 労 働 基 準 法 に お い て 概 傷 病 の 治 ゆ 後 労 災 保 険 法 の 年 金 年 相 当 分
の 給 付
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を 事 業 主 責 任 と し て お り 短 期 給 付 に 係 る 事 業 主 責 任 被 災 後 年 間 と 合 算
し て 災 害 発 生 ら 最 高 7 年 相 当 分 の 給 付 労 働 基 準 法 定 め ら れ た 事 業 主 責 任 の 最
高 額 と 考 え る こ と 妥 当 と さ れ て い る 。こ の こ と ら 災 害 発 生 日 ら 7 年 を 超 え て
支 給 開 始 さ れ る 長 期 給 付 の 費 用 当 該 事 業 主 の 業 種 け に 責 任 を 負 わ せ る こ と 適
当 な い 被 災 労 働 者 保 護 の 観 点 及 び 産 業 間 相 互 扶 の 観 点 ら 業 種 全 体 負 担
す る こ と と さ れ て い る 。
過 去 債 務 分 の 費 用 負 担
長 期 給 付 の 財 政 方 式 と し て 充 足 賦 課 方 式 採 用 さ れ た 成 元 年 度 以 前 に お い て
2