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Title
№46:歯周病学講座ポストグラデュエートコース第
18期生による症例提示−歯列不正を伴う広汎型侵襲性
歯周炎に対し歯肉剥離掻爬術を行った一症例−
Author(s)
喜田, 大智; 今村, 健太郎; 備前島, 崇浩; 齋藤, 淳
Journal
歯科学報, 115(5): 493-493
URL
http://hdl.handle.net/10130/3836
Right
目的:重度広汎型慢性歯周炎において,咬合の再構 成を必要とした症例に対し,歯周形成手術を含む歯 周外科治療と上顎歯列に対してクロスアーチスプリ ントによる口腔機能回復治療を行い,良好な結果を 得た一症例を報告する。 症例(事例):患者は59歳の女性。下顎左側臼歯部 の根尖部歯肉の腫脹を主訴に来院した。現在歯は22 本 で#12,22,28,37,38,4648が 欠 損,#26は 残根状態であった。義歯の使用はなく,咬合平面の 乱れを認めた。全顎的に歯肉の発赤・腫脹があり, プロービングデプ ス(PD)は 平 均4.1mm,PD4 mm 以上の部位56%,プロービング時の出血は52% であった。エックス線写真所見では#35の根尖部に 透過像,全顎的な水平性骨吸収,そして#15には根 尖に至る骨吸収を認めた。口腔清掃状態は PCR83 %であった。重度広汎型慢性歯周炎と診断した。治 療計画は,歯周基本治療として TBI,SRP,#18, 15,26抜歯,#17,11,21,27,35感染根管治療, 上顎プロビジョナルブリッジの装着を行う。再評価 後,歯周外科治療にて歯周ポケットの減少を含めた 歯周環境の改善を行い,口腔機能回復治療(上顎ク ロスアーチスプリント,下顎部分床義歯)を行い, メインテナンス・SPT をすることとした。 成績および考察:歯周基本治療後,#16へフラップ 手術,#23には歯冠延長術を行った。ポンティック 部に歯槽堤の欠損を認めたため,#12,14,15, 22,24部に歯肉増大術を行った。歯周外科治療後の 再評価では,深い歯周ポケットおよび歯槽堤欠損の 改善を確認した。炎症のコントロールと上顎歯列へ のクロスアーチスプリントによる力のコントロール が,歯の欠損や動揺のため不安定であった顎位と歯 周組織の安定に寄与したと考えられる。しかし,歯 槽堤増大術とともに,残存歯の骨形態の確認・改善 や付着歯肉の増大などの大型補綴装置の支台歯への 環境の整備も,長期にわたる治療成果にとっては必 要であったと反省している。また,補綴物のカン トゥアやポンティック形態等にも課題を残してい る。今後の注意深い SPT が重要となる。 目的:本講座におけるポストグラデュエートコース は平成6年度に発足し,歯周療法の専門的知識と臨 床技能を修得することを目的としている。今回,第 18期生修了者の代表症例を提示する。 症例:1.初診時データ 患 者:31歳 女性 初診日:平成24年5月19日 主 訴:朝起きた時,左下奥歯が痛む事がある。 既往歴:特記事項無し 現病歴:平成24年2月に下顎左側第一大臼歯の急性 症状のため近医を受診。その際,全顎的な歯周病の 進行を指摘され,当科を紹介されたため受診。 喫煙歴:無し 2.診査・検査所見 1)口腔内所見 初診時の口腔清掃状態は PCR56%で,全顎的に 歯肉の腫脹・発赤を認めた。プロービングデプスは 平均4.8mm,4mm 以上の部位は52%であった。 歯列は#11,21に唇側傾斜,下顎前歯部に叢生,咬 耗が認められた。 2)エックス線画像所見 全顎的に垂直性骨吸収を認め,#36には3度の根 分岐部病変と根尖部に及ぶ骨吸収を認めた。 3.診断:広汎型侵襲性歯周炎 4.治療計画 1)歯周基本治療:口腔衛生指導,感染根管処置, 齲蝕処置,抜歯,治療用義歯,スケーリング・ルー トプレーニング(SRP),咬合調整 2)再評価 3)歯周外科治療:歯肉剥離掻爬術 4)再評価 5)歯列矯正 6)口腔機能回復治療 7)SPT 5.治療経過 歯周基本治療では,プラークコントロールを徹底 し,PCR は28%になった。#36は感染根管処置を 行うも急性発作を繰り返すため抜歯となった。齲蝕 処置,SRP を行い,再評価後にポケットが残存し た部位に歯肉剥離掻爬術を行った。#27は根尖部に 及ぶ骨吸収を確認したため術中に抜歯を行った。そ の後再評価を行い,病状安定のため,歯列矯正を勧 めるも同意が得られなかった。#27,36の義歯を装 着し,SPT へと移行した。 成績および考察:本症例はプラーク,歯石,咬合性 外傷により歯周組織が破壊されたと考えられる。 SPT6か月後では病状安定を維持できているが, SPT 時のリスクアセスメントでは中 リ ス ク で あ り,歯列不正によりプラークコントロールがしにく い環境は残っているため,SPT を注意深く継続し ていく必要がある。