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フォーラム・ノン・コンビニエンスその後 一一英国の最近の判例から一一

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41一一『奈良法学会雑誌』第5巻 2号 (1992年9月〉 八 論 説

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フォーラム

スその後

一 は じ め に 二一九六八年 EC 条約とフォーラム・ノン・コンビニエンス適用 ( 1 ) 従来の学説の立場 ( 2 ) ベリスフォード判決 ( 3 ﹀ ア iクライト判決 ( 4 ) ハロッズ判決 三 フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ビ ニ エ ン ス 再 考 ( 1 ﹀ 判 例 に み る 裁 判 所 の 姿 勢 ( 2 ) フォーラム・ノン・コンビニエンスの役割 四 お わ り に

(2)

第5巻2号一一42 は じ め に つまり、裁判所がある事件に対して直接管轄を有する場合においても、 裁判所の裁量により、その事件の審理を当該裁判所で行うのが適切でないとして審理を拒否するという法理は、イン 一九七三年のアトランティックスタ I 判決から一九八六年のスピリアダ判決までの一連の判決 フォーラム・ノン・コンぜニエンスの法理、 グ ラ ン ド に お い て は 、 により確定されたが、今ゃ、 イングランドのコモン・ロ I 上すっかり定着した観がある。この法理の採用は、それま 示 す も の で 、 フォーラム・ショッピングをも黙認するという姿勢の大転換を コ モ ン ・ ロ l 上の国際裁判管轄規則の再編成にもつながる大きな変化であった。 でイングランドがとってきた、広い直接管轄を認め、 他方、これと時期をほぼ同じくして、連合王国は、 一九六八年の﹁民事及び商事に関する裁判管轄権及び判決の執 行に関する

EC

条 約 ﹂ ( 以 下 、 一 九 六 八 年

EC

条約)を締結・批准し、一九八三年、 一九八二年法)により国内法化している。同条約は

EC

諸国を対象とするものである ﹄ Z 円 目 的 広 山 口 昨 日 CD 出口仏 、 H ,F 開 門 戸 J ] ﹄ ロ ︽ ︼ m g m H M Z ﹀ 円 昨 ︼ 也 ∞ N ( 以 下 、 が、国際裁判管轄に関しては、フォーラム・ノン・コンビニエンスを原則として認めないという立場をとる。この立 場は、同条約の規則に基づいて管轄権を有する裁判所は、その管轄権を行使し事件を審理することが義務づけられて いるのであって、他の法廷地が事件の審理により適切であるという理由で、裁判所が自己の管轄権を拒否する裁量は 認めないという、条約の基本姿勢からくるものであお山フォーラム・ノン・コンビニエンスのこの扱いについては、 連合王国が一九六八年

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条約を締結する際に、条文を改正するかどうかが問題とされた。しかし、 フォーラム・ノ ン・コンビニエンスを認める条文を組み込むことについては大陸法系諸国の代表からの批判が強く、連合王国の代表 も、そのような状況の中でこの点について特に強く固執しなかった。そして結局、 一九七八年の改正条約には、この

(3)

ハ 4 ﹀ 点についての改正は組み込まれなかったという経緯がある。その結果、 イングランド裁判所は、 コモン・ロ i 上の管 一九六八年

EC

条約の管轄規則に基づ く場合には、同法理が適用できないという二重一構造を抱えることを余儀なくされる状態になっていた。 轄規則に基づく場合にはフォーラム・ノン・コンビニエンス法理が適用でき、 しかし連合王国は、 一九八二年法制定に際して、 ﹁ 同 法 は

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条約に矛盾しない限り、連合王国の裁判所がフォ I ラム・ノン・コンビニエンスの理由に基づいて訴訟中止をしたり却下したりすることを妨げない﹂宮市

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と い フォーラム・ノン・コンビニエンス法理適用の可能性を 含まぜたこの条文の解釈をめぐって、後に述べるように学者の意見は分かれたが、同条文そのものを争点とした判決 も出ていない段階では、裁判所の態度も明かではなく、机上の論議の域を出ていなかった。ところが最近、この間題 う条文を組み入れた。 一九六八年

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条約のもとでもなお、 43一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ピ ニ エ ン ス そ の 後 に関する判決が相次いで出され、ここに裁判所の態度が一部ではあるが示されたと見られる。本稿ではこれらの判決 を分析し、そこから国際裁判管轄規則におけるフォーラム・ノン・コンビニエンスの役割を再考察したい。 ( 1 ) この間の経緯については、岡野﹁イギリスにおけるフォーラム・ノン・コンビニエンス﹂阪大法学第三九巻第二号九三頁 参 照 。 ( 2 ) 一 九 六 八 年

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条 約 、 、 ロ 話 回 目 。

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-同条約は一九七八年、連合王国、デンマーク、アイルランドの加盟のため、 H ,

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により改正されている。この改正された条約の翻訳、紹介については、岡本﹁一九七八 年﹃拡大

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判 決 執 行 条 約 ﹄ ︿ 1 ) ( 2 ) ﹂ 同 法 三 一 巻 二 号 八 一 一 具 、 三 号 一 二 九 頁 参 照 。 ま た さ ら に 一 九 八 九 年 、 ス ペ イ ン 、 ポ ル ト ガ ル の 加 盟 の た め 、 。 。 口 語 口 昨 日 。 ロ 。 ロ 吾 叩 ﹀

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第5巻 2号一一44 再 度 改 定 さ れ て い る 。 連 合 王 国 は 、 サ ン ・ セ パ ス チ ャ ン 条 約 を 一 九 九 一 年 九 月 に 批 准 し 、 、 同 ,

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・ N 日包によって一九八二年法を改正するという形で同条 約 を 国 内 法 化 し た 。 一 九 八 二 年 改 正 法 は 、 一 九 九 一 年 一 二 月 よ り 発 効 し て い る 。 な お 本 稿 後 述 六 六 頁 参 照 。 ハ 3 ) ω n F 2 2 2 河 冊 目 V C 円 円 ︹ H U J 刊 m E ︺ 。 ・ ﹄

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・ m m w ¥ 己 主 ℃ 刊 ロ - m w 印 ・ 日 可 申 l 叶 ∞ ・ ( 4 ﹀ 旬 、 ・ 白 仲 買 ロ ・ 白 ・ 叶 ∞ ・ ( 5 ﹀ 後 述 四 四 頁 以 下 参 照 。 な お 岡 野 前 掲 注 ( 1 ﹀ 一 一 一 一 頁 以 下 参 照 。

EC

条 約 と フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ビ ニ エ ン ス 適 用

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従来の学説の立場 ひとくちに一九六八年

EC

条約のもとでのフォーラム・ノン・コ γ ピニエンス法理適用の可能性といっても、現実 にそれが問題点として論じられる状況は数多く考えられ、それらに対して様々な意見が出されたが、論議の対象とな ったのは、狭義のフォーラム・ノン・コンビニエンス法理の適用というよりは、より広く、裁判所の裁量による管轄 拒否の可否についてであっおこれらの意見は、次に挙げるようにいくつかに類別できるように思える。 まず第一は、シュロッサ l リポートに代表されるように、裁判所の裁量は原則として認められないという立場であ る。シュロ?サ I 及びチェシャイヤ I & ノ l スは、条約の管轄規則は原則として強制的合豆町三ミ可・

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弓)な ハ 7 ﹀ ものであるという立場をとる。モ I ガンもまた、一九六八年

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条約には綿密な管轄規則が定められているため、裁 ( 8 ﹀ 判所のいかなる裁量の入り込む余地もないとして、全面的に裁量権の行使を否定する。 第二の立場は、これとは対照的に、裁判所の裁量権を全面的に認めるものである。この立場に立つハ l ト リ ィ は 、

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一九六八年

EC

条約の管轄規則は全て任意的なものであり、その全てにわたって裁判所は裁量により管轄拒否ができ る と 考 え る 。 ハートリィはその理由として、 一 九 六 八 年

EC

条約の目的は、他の締約国にドミサイルを持つ人に対し、 裁判所の(過剰な)管轄を制限することによって、判決の自動的な承認を可能にすることにあるため、条約の第二章 第二節から第六節(特別管轄・合意管轄・専属管轄の規定)に示されている管轄規則は、その最大の限界を示すもの であり、従って、裁判所がそれ以上に管轄を制限したいと思えばそうすることは許されると説明する。 第三に、これら両者の中間的な立場として、条約の管轄規則を原則として強制的なものとしながらも、特定の場合 コ リ ン ズ 、 ヵ ィ ェ 、 ストーン、ダイシl&モリス、 オマリ l には裁判所の裁量を認めていこうという考え方がある。 &レイトンなど多数がこの立場に立つ。彼らは共に、その﹁特定の場合﹂に、非締約国が関係する場合を挙げている。 45一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ピ ニ ェγスその後 挙げられた具体的な例は論者によって多少異なるものの、大体において共通しているのは、①当事者が非締約国に管 轄合意をしている場合と、②非締約国との聞で訴訟競合の状態になっている場合であり、さらにカイエはこれより広 く、右の①②の事由がなくとも、 一般的に非締約国が﹁より適切な法廷地﹂として被告から示された場合にも裁判所 の裁量により訴訟中止することを認める立場をとる。 一 九 六 八 年

EC

条約のもとで全面的に裁判所の裁量を認めるハ ートリィは、当然のことながら、このように非締約国がかかわる場合における裁判所の裁量権行使には賛成の立場を 示 す 。 この第三の立場は、訴訟中止を求める被告側がその代替として提示する法廷地が、どこに所在するのかという点に 着目したものである。外国管轄の合意があることや、外国裁判所との聞で訴訟競合が生じていることを理由に訴訟中 止を求める被告は、当然それらの外国が﹁より適切な法廷地﹂であることを前提として、訴訟中止の申立をするわけ である。しかしそれらの理由以外に、さらにもっと一般的に、審理に﹁より適切な法廷地﹂があることを理由に訴訟

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第5巻2号一一46 コモン・ロI上 中止を求める場合においても、被告はそれが具体的にどこであるかを示さねばならないというのが、 確立されたフォーラム・ノン・コンビニエンス法理の規則である。裁判所は、被告がそれぞれ理由をつけて示した法 廷地と、自己の法廷地との、どちらが審理にとってより適切かを比較衡量するという手順を踏むわけである。被告の 示すこの﹁より適切な法廷地﹂がどこにあるか、 つまり、条約締約国内にあるか、締約国外にあるかは、 し た が っ て 、 一九六八年

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条約の管轄規則のもとで裁判所の裁量権行使の余地があるかどうかを論ずるにあたって、 ひとつの着 眼点となりうるわけである。 一九六八年

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条約が、締約国間に共通の厳格で綿密な管轄規則を定めており、かえその管轄規則が、原則とし て裁判所に管轄拒否の裁量を認めていない以上、例えばイングランド裁判所が、他の締約国内のある裁判所を﹁より 適切な法廷地﹂であるとして、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理に基づき訴訟中止の命令を下せると考えるに は、かなり強力な理由付けが必要となろう。(もっとも、 ハートリィはこの立場をとるのであるが。﹀締約国聞におい てどこが適切な法廷地であるかの判断は、すでに条約の管轄規則に組み込まれていると考えられるからである。これ に対し、被告から提示された代替的法廷地が締約国外にある場合には、越えるべきハードルはより低いかもしれない。 一九六八年

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条約の管轄規則は、当然のことながら締約国のみを対象とするため、条約の管轄規則の予想しない ﹁より適切な法廷地﹂が非締約国に存在する可能性もある。したがって先の場合とは異なり、締約国内の裁判所にも、 自己と非締約園内のある裁判所とを対象に、法廷地としての適切さを比較衡量する裁量権を行使する余地が考えられ 得るからである。 まさにこの点が問題となった判決が、一ニ件、 イングランドで最近相次いで下されている。高等法院で下されたこっ の 判 決 は 、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理適用に否定的であったが、その後に出された控訴院判決は、 フ ォ

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ーラム・ノン・コンビニエンス法理適用を認めている。以下にそれらの判決の内容を順次紹介・考察する。 (日山﹀ ( 1 ) ベリスフォード判決

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-これら一連の判決の先例となったのが、 一九八九年十二月に高等法院で下されたベリスフォード判決である。事案 は保険金支払請求に関するものである。原告の連合王国会社であるベリスフォード社は、世界的な規模で業務を行つ ている貿易会社であるが、被告の米国会社であるニュ 1 ・ハンプシャイヤ l 保険会社と保険契約を締結した。契約は 被告のロンドン支屈を通じて、 ロンドン市場においてなされた。この保険は、原告とその子会社に対し、商品、取引、 製造、資材及びその事業に関して生じるすべての利益をカバーする内容となっており、付随的に、本件の第二原告で 47-一一フォーラム・ノン・コ γ ピニエンスその後 あり、宝石・貴金属の販売を業務とする、原告のニューヨークの子会社を特別にカバーしていた。またこの保険契約 には、イングランド裁判所を管轄とする旨の管轄条項が含まれていた。 事件は、原告のベリスフォード社が、自社のニューヨークの子会社が二年間にわたり、従業員によって宝石・貴金 属を組織的に盗まれていたことが判明し、その損害額が五四

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万ドルを越えるとして、保険契約に基づき保険金の 支払を被告に対して請求してきたことに始まる。被告のニュ I ハンプシャイヤ l 保険会社は、主張された損害額のう ち極わずかの金額についてしか証拠が提示されていないことを理由に、原告の主張する損害額に疑いがあるとして保 険金の支払を拒否した。これに対し原告は、ロンドンで被告に対して保険金支払請求の訴えを提起し、被告は、事件 の審理に適切な法廷地はロンドンではなくニューヨークだとして管轄を争った。 原告はロンドンが審理に適切な法廷地である理由として、①保険契約上の管轄条項はロンドン裁判所の専属管轄を 意味している。②一九六八年

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条約の第ニ条及び第八条によれば、締約国外の法律に基づいて設立された法人であ

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第5巻2号一-48 つでも、締約国内に支庖を持つ場合には、その支庖の業務に関する訴えについては、その締約国内にドミサイルを有 するとみなされ、その締約国内の裁判所の管轄に服さねばならない。従って本件においても被告は連合王国にドミサ イルがあるとみなされ、連合王国内で訴えられねばならず、裁判所は訴訟中止をする裁量権は有しない。という点を 挙げた。これに対し被告側は、①保険契約上の管轄条項は専属管轄を示すものではない。②被告たる自社も、実質的 な原告である第二原告も、連行王国法に基づいて設立された法人ではないため、連合王国にドミサイルはなく、従っ て一九六八年

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条約は適用されず、裁判所は訴訟中止をする裁量権はある。と反論した。以上が本件の概要である。 高等法院判決においてホップハウス判事は、被告からの訴訟中止の申立を却下した。ホてフハウス判事はまず、保 険契約上の管轄条項については、原告の主張するようなイングランド裁判所の専属管轄を意味するものではなく、付 加的合意管轄であるとして、この点に関しては、被告の主張を認めた。しかし第二の論点については、判事は、被告 や第二原告が実際にはイングランドや他の締約国にドミサイルを持たないからといって一九六八年

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条約を適用し ないとする事は、条約の主旨に反すると述べて被告の主張を退け、本件においては一九六八年

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条 約 が 適 用 さ れ 、 同条約第二条、及び第八条により、被告はイングランドにドミサイルがあるとみなされ、イングランド裁判所の管轄 円前回﹀ に服することになると判示した。 その上で判事は、被告側の訴訟中止の申立は究極的には一九八二年法のお n t o ロ色に依拠しなければならないと指 摘し、被告はこの条文の規定に従い、本件においてフォーラム・ノン・コンビニエンスによる訴訟中止が一九六八年

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条約の主旨に反しないことを示さねばならないと述べる。ここで判事は、条約全体の目的をふまえた上でフォ l ラム・ノン・コンビニエンス適用の可否を次のように判断する。 ﹁ 条 約 は ・ ・ ・ ・ ・ ・ 締 約 国 内 の 裁 判 所 の 手 続 き 及 び 管 轄 に 関する規則を統一し﹃調和﹄させることを目的としていることは明かである。条約は本裁判所によるいかなる裁量的

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な管轄の適用の余地も残してはいない。そのような裁量を行使することは、条約の枠組みを損ない、条約の解釈や履 ︿ 却 ﹀ 行の統一性を損なうことになる。﹂ 一 九 六 八 年

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条約のもとでの裁判所の裁量を全面的に否定するこの論旨は、本件におけるホ?ブハウス判事の判 旨の核心ともいえる部分であり、この判断は、次のア I クライト判決に受け継がれている。そして、その後の控訴審 判決であるハロ?ズ判決でディロン判事が強く批判したのも、まさにこの点であった。以上の考慮のもとにホてフハ ウス判事は、本件においてフォーラム・ノン・コンビニエンス法理を適用することは条約の主旨に反するとして、被 門明 4 v 告の申立は認められないと結論する。 49一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノγ ・コ γピニエンスその後 続けて傍論としてホ y プハウス判事は、仮にフォーラム・ノン・コ γ ピニエソス法理が適用できるとした場合につ いて述べる。そして、先に示したように保険契約上の管轄合意が専属的合意管轄ではなくて、付加的合意管轄である としても、両当事者がイ γ グランド裁判所を管轄として選んだということは、彼らがイングランド裁判所が管轄とし て適切であることに黙示的に同意したことを意味し、原則としていずれの当事者も、この管轄を否定することはでき ないとする。またさらに、本件の本案において争点となっている、保険契約の解釈において、裁判所がロンドンの保 険市場での慣習に基づいて判断する必要性が出てくることなど、諸々の条件を勘案すれば、もし自分が裁量を下す必 ハ 沼 ﹀ 要があるとしても、原告の側に有利な裁量を下したであろうと述べている。 本件においては、このようにフォーラム・ノン・コンビニエンス法理の適用は認められなかった。本件で被告側は 訴訟中止を求めるにあたって、 一 九 六 八 年

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条約が適用された上での一九八二年法のお

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おに依拠した主張で はなく、もっぱら一九六八年

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条約そのものが適用されない事案であるということを主張している。しかしホ?ブ 一 九 六 八 年

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条約第二条、第八条の規定がある限り、本件を一九六八年

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条約 ハウス判事も述べているように、

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第5巻 2号一一50 適用外の事例と見るのは難しいと考えられ、その意味では、被告側の主張には無理があったといえるのではないか。 被 告 側 か ら 、

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ロおに基づいたフォーラム・ノン・コンビニエンス法理適用の主張が真正面からなされていれば、 判決文も、一九六八年

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条約の原則に基づいてフォーラム・ノン・コンビニエンスを一般的に否定するというので はなく、もう少しこの間題をより綿密に検討し、それに答えた形のものになっていたのではないかと思われる。 しかしいずれにせよ、本件の場合、 ホてフハウス判事が傍論で述べているように、事件の審理にはイングランドの 裁判所が適切であったと考えられ、そのため、 たとえフォーラム・ノン・コンビニエンスが適用されたとしても、結 果として訴訟中止の命令が出されなかったであろうと思われる。あえていえば、そのような事例であったため、裁判 所 は 、 一 九 六 八 年

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条約の原則を否定してまでフォーラム・ノン・コンビニエンス適用に踏み切ることはしなかっ たのではなかろうか。しかし結果としては、一九六八年

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条約適用の事例においては、たとえ非締約国が審理に適 切な法廷地であると判断される場合でも、 が残ったことになったわけである。 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理は適用されないという主旨の先例 ハ お ﹀ ( 2 ) ア I クライト判決(﹀再三一事件冨

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印 ) 。 ベリスフォード判決に続いてちょうど二ヶ月後の一九九

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年十一月に、同じく高等法院で出されたア 1 グライト判 決も、ベリスフォード判決の流れを踏襲するものであった。この事件もまた保険金支払請求に関するものである。原 告のアークライト相互保険会社は、 アメリカ合衆国に設立された保険会社で、自社がミシガンの製紙会社と締結した 保険契約について、被告と再保険契約を締結した。この再保険契約には、再保険者はひとつの事故及び損害に対して、 五十万ドルを越えた超過額のみを支払うという超過損害額の文言

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。 ご O 白血)が含まれていた。その後、被保険

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者である製紙会社の工場で、スチームタービンが故障するという事故が発生し、原告に対し保険金支払請求がなされ た。専門家による調査の結果、今回の故障の約一年前に、ベアリングに故障が生じていたにもかかわらず、そのこと が究明されないまま引き続き装置が使用されたため、今回の故障につながったと判断された。原告は、元受保険契約 に基づいて、損害額として二三七万ドルを製紙会社に支払ったうえで、再保険契約に基づいて被告に保険金を請求し 51一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノγ ・コ γ ピニエ γスその後 た。しかし被告は、原告の支払った二三七万ドルは再保険契約の対象とはならないとして、原告への保険金の支払を 拒否した。被告側はその理由として次のように主張した。①二三七万ドルの損害額は、ニつの損害から成り立ってい る。②第一の事故、つまり最初に生じたベアリ γ グの故障は、その損害額が五十万ドル以下であるため、支払の対象 とはならない。③第二の事故は、第一のベアリングの故障の結果、内部でロlターが擦れていることが示唆されてい たにもかかわらず、続けて装置を使用したことによって生じたものであり、そもそも元受保険にもカバーされないも ので、従って再保険の支払対象ともならない。 原告はこれに対し、 ロンドンの裁判所に二三七万ドルの支払を求めて提訴した。これを受けた被告が、 ニュl ヨ l クの裁判所に債務不存在確認の訴えを提起したため、原告はニューヨーク裁判所に、より適切な法廷地はロンドンで あるとして、訴えの却下または訴訟中止を求める申立をした。 一ュlヨlク裁判所においてこの申立に対する判断が 下される前に、今度は被告がロンドン裁判所に、より適切な法廷地はロンドンではなくてニューヨークであるとして、 訴訟中止の申立をした。かくして本件は、原・被告逆転型の国際的訴訟競合の状況を呈することとなった。 本件においては、被告側は、事件が一九六八年

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条約の適用範囲にはいること、及び、同条約の規定により、自 一九六八年

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条約が適用され 社が連合王国にドミサイルがあるとみなされることは認めていた。しかし被告側は、 る場合でもなお、裁判所には、 フォーラム・ノン・コンビニエンスあるいは国際的訴訟競合を理由に、裁量により訴

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第 5巻 2号一一52 訟中止の命令を下す権限があると主張して、訴訟中止を求めた。これに対し原告は、 一九六八年

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条約には、裁判 所のそのような裁量は明文上認められていないと反論した。このように本件においては、 一 九 六 八 年

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条約のもと でのヲォlラム・ノン・コンビニエンス法理適用の可否をめぐって、原・被告双方が真向から対立することとなった。 高等法院においてポッタl判事は、裁判所には被告の求めているような訴訟中止をする裁量権はないとして、被告 の申立を却下した。ポ y タ l 判事は、本件の争点を①本件が一九六八年

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条約の範囲にはいるとすれば、そのこと は裁判所からフォーラム・ノン・コンビニエンスや国際的訴訟競合を理由にする管轄の裁量権を奪うかどうか、②も し裁判所に管轄の裁量権があるとすれば、被告はニューヨーク裁判所が適切な法廷地であることを示し得たか、 の 二 点であると指摘する。 そのうちの第一の争点に関しては、先例たるベリスフォード判決と本件との対比が問題とされた。被告側はこの点 について、@ベリスフォード判決の結論はまちがっているか、あるいは、@その結論はフォーラム・ノン・コンビニ ( 混 ) エンスに対するものであって、国際的訴訟競合には適用されないと主張し、次の八項目の論点を挙げていた。①条約 は締約国内の管轄の規律であって、非締約国が審理に適した管轄である場合に、その審理する権利を奪ってはならな ぃ。よって、ある締約国が非締約国のために訴訟中止することを、条約は禁止していない。②条約第二条のドミサイ ルのルlルは、完全に支配的なルlルではなく、条約によって明示的には要求されたり許可されたりしてはいない訴 訟中止をも排斥はしていない。③イングランド裁判所は、条約がフォーラム・ノン・コンビニエンスに基づいて訴訟 中止をするのを禁止していると解釈するのに慎重であるべきである。なぜならフォーラム・ノン・コンビニエンスは 礼譲歩﹄促進し、紛争の解決の効率を高め、訴えにおける費用や時間の重複を防ぎ、判決の矛盾を避けるのに効果があ ︹ お ) るからである。④条約の第二一条から第二三条(国際的訴訟競合に関する規定││筆者注)は、フォーラム・ノン・

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コシピニエシスの法理よりも限定的で硬直的ではあるが、 一応、前訴裁判所に優先権を与えることによって、矛盾す る判決を防ごうとはしている。もしもドミサイルがあるなどの適切な理由で訴えが提起された締約国に、訴訟中止し たり管轄を拒否して非締約国に譲るという権限がなければ、条約は、締約国の適切な管轄を︿条文によって﹀決定す るだけでなく、非締約国が関係する場合においても、(管轄の適性のチェ γ クなしに)被告のドミサイルのある国で の訴えを要求することになる。@ベリスフォード判決がフォーラム・ノン・コンビニエンス法理に関して正しい結論 を下したとしても、その論理を、第一二条により訴訟中止が規定されている国際的訴訟競合にまで適用するのはふさ わしくない。@もしも一九六八年

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条約の目的が共同体内での矛盾する判決の防止と執行手続きの簡略化にあると 53.一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノγ ・コ γ ピェェ γスその後 しても、非締約国のためにフォーラム・ノン・コンビニエンスや国際的訴訟競合を理由に訴訟中止をする事は、この 目的を臨害はしない。⑦条約の第二七条第五項(﹁判決は次の場合には承認されない。判決が非締約国において同一 の訴訟原因かっ同一の当事者について先に下された判決と矛盾するとき。但し先に下された判決が承認を求められた 国の承認要件を具備しないときはこの限りでないよ 1 1 筆者注﹀は、矛盾する判決を避けるために、締約国が、非締 Q B ﹀ 約固における前訴裁判所のために訴訟中止をすることを指示している。少なくともそのことと抵触はしない。⑧条約 第二一条から第二三条までの規定は、確かに締約国内における国際的訴訟競合の規定ではあるが、これらは矛盾する 判決を避けるための規定であるため、非締約国のために訴訟中止する方向も示している。 被告のこの主張は、先に述べた学説の第二の立場ないしは第三の立場に依拠したものであり、これら裁量容認派の ハ Z V 見解(カイェ、ハIトリィ、コリンズ、ダイシ

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レイトン)も引用して、なかなか説得力のあ るものとなっている。しかしポッタ l 判事は、被告のこれらの主張を強力な論理であると評価するものの、特に理由 を付することなく、ホ Y ブハウス判事の意見、 つまり、イングランド裁判所が以前のようにフォーラム・ノシ・コン

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第5巻2号一一54 ピニエンスの法理に基づいて広い裁量を示すことは条約の主旨に反するという意見に賛成すると述べて、ベリスプオ ハ お ﹀ ード判決の結論は正しくないとする被告の第一の主張を退けている。 つまり、ベリスフォード判決の結論はフォーラム・ノン・コンビニエンスに対するもので 被告の主張の第二の点、 あって、国際的訴訟競合には適用されないという点については、ポッタ l 判 事 は 、 ホップハウス判事の意図は定かで はないとしながらも、自分としては、ベリスフォード判決のフォーラム・ノン・コンビニエンスに関する結論は、そ (叩四﹀ のまま国際的訴訟競合に適用されると考えると述べる。その理由を述べるにあたってポッタ l 判 事 は 、 一 九 六 八 年

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条約において、ドミサイルの原則(被告はそのドミサイルのある国において訴えられるという原則﹀ の例外を認め ている第一六条(専属管轄)及び第一七条(管轄合意) の規則を、国際的訴訟競合の規定である第一一一条と比較する。 そして第一六条や第一七条においては、条約は、@ある特定の訴訟物の性質や状態及び、⑥当事者の管轄についての 合意が、ドミサイルを基盤にした条約の強行的規則を凌駕する事を原則として認めており、それらに対し、ただひと つの管轄を適切な管轄として示していると分析する。これに対し、第一一一条においては、条約は、ある特定の訴訟物 や当事者の選択についてある特定の裁判所が審理をする事の適正さを示しているわけではないし、また、費用や、便 宜や、事件との﹁真の関連性﹂に基づいた裁量についても述べられてはいず、単に、後訴裁判所に管轄拒否をする事 を求めているにすぎないと指摘する。以上のことからポッタ!判事は、被告のドミサイルに基づいて提訴した原告に 対し、裁判所が便宜、費用などを理由に、非締約国のために訴訟中止の命令を下す裁量を持つことを条約が付加的に ︿ 却 ) 認めているとは考えられないと判断する。 また、被告が論点の⑦に示した、第二七条第五項については、ポッタ 1 判事は、この条文は既判力の原則を承認し たものと読むのが適切であり、この条文が適用される事態を避けるためにフォーラム・ノン・コンビニエンスや国際

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円 割 ﹀ 的訴訟競合を理由に訴訟中止することを求める規定とは読めないとして、被告の主張を退けている。 と 判 以 断 上 す の る

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理 。〉由 よ り ポ ッ タ I 判事は、被告の申し立てていた訴訟中止の裁量権を裁判所は行使することはできない このように判断を下した上でポッタ 1 判事は、さらに傍論として、 一 九 六 八 年

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条約についての白分の解釈がま ちがっていた場合に備えて、と述べて、本件においてフォーラム・ノン・コンビニエンス法理が適用されたとすれば 訴訟中止がなされるべきであったかどうかを詳細に考慮・検討する。ここでポッタ l 判 事 は 、 コ モ ン ・ ロ l 上のフォ ーラム・ノン・コンビニエンスの法理を、先例をもとに整理し、自分はスピリアダ判決におけるゴードン判事の意見、 つまり、国際的訴訟競合は決定的な要素ではなく、法廷地の適性を比較衡量する際のひとつの要素でしかないとする 55 フォーラム・ノン・コンピニエンスその後 意見を支持すると述べる。そしてその比較衡量の際には、外国裁判所での訴訟がどのくらいの日数、どのくらいの規 模でなされているかに着目することになると述べ、本件におけるニューヨーク裁判所での審理は、本裁判所での審理、 つまり管轄の争い以上には進んでいないこと、その管轄の争いに決着がつくまではデイスカパリーもなされないであ ろうこと、そしてそもそも被告がニューヨーク裁判所に提訴したのは、原告がイングランド裁判所に提訴することを ( お ) 知って、それに先制攻撃をかけたとも考えられる点を指摘する。また、本件の本案はロンドン市場でなされた再保険 (川品﹀ 契約の意味と効力に関する紛争であることから見れば、本裁判所が審理に適切な裁判所であること、さらに、証拠調 ベにおいてもロンドン裁判所で十分に行うことができ、その費用もニューヨークでの訴訟と比較してもさほど差はな いこと等もあわせて判断し、結論として、 たとえフォーラム・ノン・コンビニエンス法理を適用したとしても、本件 ( お ) において訴訟中止はなされるべきではないとする。以上が判決の要旨である。 先に述べたように、 いささか戦略ミスであった観を免れない、ベリスフォード判決における被告側の抗弁に比べれ

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第5巻 2号一一56 ば、本件における被告の主張は、非締約国が適切な法廷地である場合のフォーラム・ノン・コンビニエンスのあり方 を突いてきた点で、 かなり的を得たものであると思える。しかし、本件においてもまた判決は、ベリスフォード判決 の 流 れ を 踏 襲 し 、 一 九 六 八 年

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条約下においてフォーラム・ノン・コンビニエンスは認めないという結論を下した。 ポ v タ l 判事の意見は、被告の主張の第二点、 つまり、ベリスフォード判決が国際的訴訟競合にも適用されるかどう かの点については検討を加えているが、第一の主張であるベリスフォード判決そのものの妥当性についてはごくあっ さりとそれを認めている。しかし本件の主たる争点はむしろ被告の第一の主張にあったと思われ、その問題に絡めて、 特に被告が論点の①で述べた、非締約国との関係での条約規則の適用の可否について、ポ y タI判事はより綿密に考 ハ お V 慮・判断するべきであったと思われる。本件においてもまた、ポッタ l 判事が訴訟中止を認めなかったのには、傍論 で示されているとおり、本件が、ベリスフォード判決と同様に、たとえフォーラム・ノン・コンビニエンスが適用さ れたとしても、訴訟中止はきれなかった状況にあったことがかなり影響しているのではないかと考えられる。判決文 全体の約三分の一を占める長い傍論において詳細に分析された本件の事案における状況が、結局は、ベリスフォード 判決と同じ結末に落ちつかせたことになったのではないか。 いずれにせよベリスフォード、アークライトの両判決によって、 が締約国内の裁判所に提起されれば、 ご 九 六 八 年

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条約の管轄規則に基づいて訴え ﹃より適切な法廷地﹄が締約圏外にあったとしても、フォーラム・ノン・コシ ピニエンス法理に基づいて訴訟中止の命令を下す裁量は裁判所にはない﹂という主旨の先例を、結果として形成した ことになった。この結果に対しては、訴訟中止を認めなかったという結論自体は妥当としながらも、条約のもとでの ハ 幻 ﹀ フォーラム・ノン・コンビニエンス法理適用を一律に否定したことに対して、批判的な意見も出されている。確かに 両 判 決 と も 、 一 九 六 八 年

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条約とフォーラム・ノン・コンビニエンス法理適用の余地の問題を正面から論じた上で

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の結論とはいいがたいだけに、批判の出るのももっともだといえよう。そのような状況のもとで出されたのが次に挙 げるハロ y ズ 判 決 で あ る 。 ハ

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年十二月に、控訴審裁判所で下されたものである。事件はハ ロ V ズ (ブエノスアイレス)社の株主聞の争いに関するものである。 ハ ロ y ズ(プエノスアイレス﹀社は、イギリス 会社で、登記事務所々

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丘 町 円 相 ﹀ 57一一フォーラム・ノγ ・コ γ ピニエ γスその後 は設立以来ずっとイングランドにあったが、その経営の中心及び業務の全 てはアルゼンチンで行っていた。同社は、一九七九年以来、共にスイス法人であり、かつスイスにドミサイルを有す b るラデニモア社とインターコンフィナシツ社の二法人のみを株主としており、それぞれの株式保有率は、ラデニモア 社が四九パーセント、インターコンフィナンツ社が五一パーセントとなっていた。この二社のうち、ラデニモア社が、 ハ ロ y ズ社の経営方針は自社に不利であるとして、 一九八五年会社法第四五九条に基づき、自社株をインターコンフ ィナンツ社が購入するよう求めてきた。またラデニモア社は、予備的請求としてハロ v ズ社の清算を求め、 年支払不能者法 Q ロ 白

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﹀円仲冨∞由﹀に基づき、清算命令が出されることを求めた。これらの制定法上の規則によ 一 九 八 六 れば、このいずれの請求についても、 ハ ロ y ズ社がいわゆる必要的共同訴訟人台

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と さ れ た 。 ハ ロ y ズ社はアルゼンチγとともにイングランドにおいてもドミサイルがあると認められ、 一 九 六 八 年

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条約に基づきイングランド裁判所が管轄を持つことにまちがいはなかった。スイスにドミサイルを有するインター コンブィナンツ社にたいしては、ラデニモア社は 。司仏

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・ H H に基づく管轄外への送達許可を得、送達していた。ィ ン タ l コンブィナンツ社はこれに対し、 アルゼンチンが審理により適切な法廷地であるとして訴訟中止を求めた。第

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第5巻 2号一一58 一 審 に お い て ハ l マン判事は、イングランド裁判所が適切な法廷地であるとしてインターコンブィナンツ社の申立を 却下した。これを不服としたインターコンブィナンツ社が控訴したのが本件である。 本件においてインターコンブィナンツ社は、先に述べたように一九六八年

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条約の非締約国であるスイスにドミ サイルを持つため、同条約は適用されず、従って裁判所は、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理をもとに訴訟中 止命令の可否を判断すればよかった。原告のラデニモア社もこの点は認めていた。しかし本件においては、 ハ ロ ッ ズ 社がいわゆる必要的共同訴訟人とされており、しかもそのハロッズ社に対する訴えは、 一 九 六 八 年

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条約の管轄規 則に基づくもので、原則としてフォーラム・ノン・コンビニエンス法理は適用されないという状況があった。そこで 原告側は、インターコンフィナンツ社からの訴訟中止の申立の可否は、 ハロッズ社に対する訴えがいずれにしてもイ ングランド裁判所で引き続き審理されることになるという状況をふまえたうえで判断されるべきだと主張した。その た め 、 インターコンブィナンツ社に対する訴訟中止命令の可否を判断するにあたっては、 ハロッズ社に対する訴えが イングランド裁判所に係属するという前提が覆されるか否かをまず判断する必要が出てくることになった。その結果、 本 件 に お い て 、 一九六八年

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条約に基づいて訴えられた被告(つまりハロッズ社)に対し、イングランド裁判所は フォーラム・ノン・コンビニエンス法理を適用して管轄拒否することができるかという問題が、またしても争点とな って出てきたのである。 本件も、ベリスフォード事件、 アークライト事件と同様に、 アルゼンチンという非締約国が﹁より適切な法廷地﹂ として被告側から提示されていたため、原告側は、そのような場合においてフォーラム・ノン・コンビニエンス法理 適用を否定したこれら両判決を、自らの主張の裏付けとした。しかし、控訴審においてディロン判事は、これら二つ の先例を覆し、非締約国をより適切な法廷地と判断してフォーラム・ノン・コンビニエンスに基づき管轄拒否をする

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一 九 六 八 年

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条約の主旨に反しないと判示した。 事 は 、 判決にあたってディロン判事は、まず管轄の争いが条約の締約国間で生じている場合と、締約固と非締約国との間 で生じている場合とに分けて論じている。そして前者の場合においては、スピリアダ判決で確立したフォーラム・ノ ン・コンビニエンス法理は適用されず、条約第二一条及び第二三条の規定に従い、もっぱら先に訴訟係属した裁判所 が優先的に審理をすると述べる。さらに一九八二年法お

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邑 の条文解釈からいっても、そのような場合のフォ (叩拍 a ﹀ l ラム・ノン・コンビニエンス法理適用は条約の主旨に反するため認められないとする。 次 に 後 者 の 場 合 、 つまり本件のように締約固と非締約固との間で管轄の争いのある場合については、判事は、その 答は条約全体の真の解釈にかかっていると述べる。ここで注目すべき点は、判事が、それを追求していくにあたって、 59一一フォーラム・ノン・コンピユエンスその後 条約の解釈の拠り所とされ、ベリスフォード、 アークライト両判決においても言及されてきたシュロッサl、イェナ ードの両リポートが、この問題についてはあまり依拠できないとしていることである。ディロン判事は次のように述 ベ る 。 ﹁私は本件で問題になっている点について両リポートに多くのウェイトをかけるのは難しいと考える。なぜな ら イ ェ ナ l ド も 、 シュロッサーも、この問題をよく考えたとは思えないからである。リポートにはどちらの方向にも シュロッサlリポートの時点は、ィ アピディン・デイパ l 使える一般的な叙述があり、それ自身では問題の解決には役立たない。さらに、 ングランドのフォーラム・ノン・コンビニエンス法理はまだ現在のようには発展してはいず、 、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、(羽﹀ 判決も、そしてスピリアダ判決もまだ出ていなかったのである。(傍点筆者)﹂ そしてそれに代わるものとしてディロン判事は、 一 九 六 八 年

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条約作成のそもそもの発端となった

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条 約 (欧州経済共同体を設立する条約)の第二二

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条を、条約解釈の出発点にすべきであるとし、それによれば条約の目 ( 川 叩 ) 的 は 、

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各国の聞において、互いの判決の承認・執行を規律する方式を簡素化することにあったと指摘する。この

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第5巻2号一一60 前提に立った上でディロン判事は、イングランド内にドミサイルを持つ人に対する訴えにおいて、イングランド裁判 所が、非締約国が適切な管轄であるとして自らの管轄を拒否することの是非を論ずる。判事の意見を要約すれば次の (当然のことながら)他の締約国で執行されるべきイ ようになる。たとえイングランド裁判所が管轄を拒否しても、 ングランド裁判所の判決がなくなるわけであるから、条約の目的である判決の執行の迅速で調和のとれた確実な手続 きを損なうことはない。また同様に、執行されるべき判決を得るための管轄規則の統一という条約の目的が損なわれ ることもない。これに対して管轄拒否ができないとすれば、条約第一一一条、第二二条は締約国間での訴訟競合を規律 するため、非締約固との間で訴訟競合になっていた場合、たとえそちらの方が早く訴訟係属していたとしても、裁判 所は管轄拒否ができないし、また、当事者が非締約国の裁判所に管轄合意をしていても、やはり裁判所は管轄拒否が できなくなる。そのような結果は条約の意図に反する。条約は締約国間での同意にすぎず、従って、他の締約国が関 係しない事案においても、イングランド裁判所が非締約国をより適切な法廷地と認め、裁量権を行使して管轄拒否す ることを条約の構造を損なうと判断したホップハウス判事の意見には同意できない。 以上の判断に基きディロン判事は、本件において、裁判所は、アルゼンチンが審理により適切な法廷地であると判 断 す れ ば 、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理に基づいて訴えを却下したり中止したりする権限を有すると判示 アーグライト両先例は覆されたのである。 した。ここにベリスフォード、 本判決において注目すべきことは、本件自体は、外国管轄の合意もなく、国際的訴訟競合の状態にもなっていない つまりディロン判事は本件において、外国管轄の合意や国際的訴訟競合という事情に 事例であったという点である。 限定されることなく、もっとより広い形で、非締約固との間で管轄の争いが生じる場合には裁判所の裁量を認めたこ とになるわけである。従って当然のことながら、当事者が非締約国に管轄の合意をしている場合や、非締約国との間

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ハ 必 ﹀ で訴訟競合の状態になっている場合も、本判決の射程距離に含み得ると考えられ、現にディロン判事も、そのような ( 必 ﹀ 場合に裁判所が管轄拒否できないとする事は条約の目的に反すると述べている。前述した学説との関連でいえば、本 ﹁ 裁 判決は多数派である第三の立場の、それも特にカイエの立場に近いものといえよう。この結果、本判決により、 判所は、訴訟中止を求める被告から提示される代替的法廷地が非締約国内にあれば、自らとその法廷地とを比較し、 非締約国が審理により適切な法廷地であると判断すれば、自らの管轄を拒否することができる﹂という先例が形成さ れたことになる。非締約国が関係した場合に、広く一般的に裁判所の裁量を認めた点は注目に値する。 61一一ーフォーラム・ノン・コンビ、ニエンスその後 (6﹀ここで取り上げる学者の意見はそのほとんどが、コモン・ロ 1 上のフォーラム・ノン・コンビニエンス法理の集大成とも いえる一九八六年のスピリアダ判決色立ロ包白云 REB 冊 。 0 4 ・ 4 ・ わ EEZ

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四頁参照﹀。しかし、ここで挙げる論者のいうところのフォーラム・ノン・コンビニエンスは、ある者 は狭義の、つまり国際的訴訟競合を含まないフォーラム・ノン・コンビニエンスを意味したり、ある者は、右の①②③全て を含む、訴訟中止の裁量全般を指していたりする。このように用語の用い方に差はあるが、論議の対象は結局、一九六八年 E C 条約のもとでの訴訟中止の裁量全般についての可否であるという点では共通している。 ( 7 ) ω n F z a R 岡 山 岳 0 3 ︹H U 3 ︺ 。 ・ ﹄ ・ ︻ U E -∞ 叶 l 由 タ 宮 門 目 的 ・ 叶 由 1 2 ・ n 吉 田 E B h r Z R s ・ - M E 同 ﹀ 叶 凹 H Z 吋何回 Z K F 4 5 z k F F F ﹀ 4 H H 件 } 戸 巾 門 凶 ・ ( ] 戸 市 W ∞ 寸 一 ) W ω N 1 ω N @ ・ ロ 向 。 有 印 P 同 ) 叫 崎 町 ﹃ 町 内 な お な め H a h - 宮 ミ 包 片 足 S ω H ・ H -n -F ・ O -( H S N ) 凹 ∞ N ・ 日 ∞ N ロo g h ・ ( 8 )

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63一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ビ ニ エ ン ス そ の 後 の管轄条項は被保険者から保険会社に対する訴えを意図したものであることを指摘した。その上で判事は、以上のような状 況のもとでこの管轄条項を専属的合意管轄を定めたものと解釈することは、場合によっては被保険者にとって不利な状況を 招くことにもなり、適切な解釈とはいえないとして、本件における管轄条項は付加的合意管轄であると判断した(︹

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︺ N ﹀ ロ 何 回 同 ωNrs 白 l お叶・﹀。コリンズはこの点に関して、専属管轄と判判断してもよかったのではないかと考えているようであ る が ( 吋 ミ ミ S N ︿ 室 内

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、附合契約の性質を考慮 すれば、ホップハウス判事の判断が妥当と思われる。 ( 悶 ) ︹ H U U C ︺ N ﹀ 口 開 ・ 河 ・ ω N Y ω N 叶lω ω 。 ・ ハ却﹀旬、 - w ω ω N ・ ( 幻 ﹀ 句 、 . 、 ( 担 ) 同 九 - w ω ω ω l u ω 品 ・ ( お ) ︹ H S C ︺ N ﹀ 口 開 -M N ・

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品 目 ・ こ の 部 分 は 、 ハ ロ ッ ズ 判 決 で も 引 用 さ れ て い る 。 ︹ 呂 田 同 ︺

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∞ -(お)第一二条第一項同一当事者間の同一の請求についての訴えが、すでに締約国の裁判所において係属するときは、後に 訴えが提起された裁判所は、職権に基づき、先に訴えが提起された裁判所の管轄を理由として、自らの管轄不存在を宣告し な け れ ば な ら な い 。 第二項他の裁判所で先に係属している事件において、その事件の管轄が争われているときは、前項の規定により管轄不存 在を宣告すべき裁判所は自らの管轄不存在の宣告を延期することができる。 第二二条第一項関連ある訴訟が、すでに締約国裁判所に係属する場合、いずれの訴訟も第一審の審理に服しているとき は、後に提起された裁判所は判決を延期することができる。 第二項後に提起された裁判所は、その国の法律によれば関連する訴訟につき併合が認められ、かつ先に提起された裁判所 につきいずれの訴えについても管轄が認められるときは、当事者の一方の申立に基づき管轄が存在しないことを宣告するこ と が で き る 。 第三項本条に定める関連訴訟とは、相互の訴訟について緊密な関係が認められることに基づき、別の手続きによる矛盾し

(24)

第5巻2号一-64 た判決がなされることを防止するため、同一の手続きならびに判決がなされることが必要と解せられるものをいう。 第二三条訴えにつき、二以上の裁判所に専属管轄が認められるときは、後に訴えが提起された裁判所は、先に提起された 裁判所の管轄を理由として、自らの管轄の不存在を宣告せねばならない。 ( お ﹀ ハ I トリィがこの点を指摘している

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∞ 。 ・ ( 幻 ) ︹ H 坦 坦 { ) ︺ N ﹀口問 -H N ・ ∞ ω 印 ・ ω 怠 ・ ( 羽 ) 旬 、 . 、 E J 1 ・本稿頁で引用したホップハウス判事の意見(︹ HSSNE-切 -H F ω N Y U おしがここで引用されている。 (mm) ︹ H U 由 ( ) ︺ N ﹀口問河・ ω ω 日 - U A H J ( 却 ﹀ 旬 、 ・ ( 幻 ﹀ ﹂ ミ ・ ハ位﹀句作 w 印 A H m w ・ ( お ﹀ ﹂ ミ ・ ・ ω 串 ∞ 1 一ω A H m w ・ ( M C H 札

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由 ・ ( お ) ﹂ ﹃ 角 地 - w ω $ 1 ω 回 日 ・ (お)ハロッズ判決において補足意見を書いたピンガム判事も、ポッタ1判事は被告の説得力ある議論にしっかり答えていない と批判している ( 2 3 3 H ・ V -H J ・

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∞・﹀。そもそも、本件におけるニューヨーク裁判所での訴訟のような、管轄の 選択権を奪取するためとも思える消極的確認の訴えが、果たして本条約規則のもとで国際的訴訟競合を成立させると認めら れるのか否かについても、いまだイングランドにおいては先例がないといわれており(切三 m m F M w v s a n E ミミ吋雪国司富 崎 町N h q g ミ ミ 叫

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・ ロ ・ ロ ozm ﹀、国際的訴訟競合の成立そのものも、本件においては怪しかっ た と も い え る 。 ( 射 出 ﹀ 切 ユ m m 判 的 ・ ﹂ ﹃ 札 -H p m U O ︼ 戸 山 口 ♂ 両 官 ﹄ 守 司 令 口 。 円 四 回 ∞ ・ 日 ω∞ l m ω 由 ・ ( 叩 山 ) ︹ H 由 由 同 ︺ H -F ・ 司 円 ・ ω ω y ( 沼 a ﹀ 句 、 ・ ・ ∞ ω 叩 l ω ω 白 ・ ( 却 ) ﹂ ﹃ え - w ω ω 由・ただし補足意見を書いたピンガム判事は、両リポートをよく読めば、本件のような場合における裁判所の裁量

(25)

を 認 め て い る と 述 べ て い る 。 H a -( 州 制 ) ﹂ ミ ・ ( 必 ) L ミ -w∞印 m v l U A F 0 ・ (必)この場合、条約の境界線上の問題のひとつとして、国際的訴訟競合の状態になっているかどうかの判断、つまり訴訟物や 当事者の一致等の判断は、一九六八年 EC 条 約 規 則 に よ る の か 、 そ れ と も コ モ ン ・ ロ I 上 の 規 則 に よ る の か と い う 問 題 が 出 て く る が 、 こ れ は や は り コ モ ン ・ ロ l 上の規則によることになろう。岡野﹁イギリス国際私法における国際的訴訟競合﹂奈 良 法 学 会 雑 誌 第 四 巻 コ 一 号 二 ニ 頁 参 照 。 ( 必 ) ︹

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頁 参 照 。 フ ォ ー ラ ム ・ ノ ン ・ コ ン ビ ニ エ ン ス 再 考 65一 一 フ ォ ー ラ ム ・ ノγ ・コンピニェ γスその後 ( 1 ) 判例にみる裁判所の姿勢 以上述べてきた一連の判決は、どのように位置づけられるであろうか。以下ではその点について少し考察したい。 本稿の始めに述べたように、イングランドにおける国際裁判管轄規則は、 一九六八年

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条約適用の場合とコモン - ロ l 適用の場合との二重構造になっている。片やコモン・ロ i 上の国際管轄規則は、近年フォーラム・ノン・コン ピニエンス法理を導入したが、これは被告の一時所在を基礎とする管轄に代表される、過剰管轄とも言われるほどの (川甘﹀ 緩やかで広い管轄規則を制限して行くための方策であった。注目すべき点は、その際に制限の手段として、フォ l ラ ム・ノン・コンビニエンス法理という形で裁判所の裁量の手に委ねるという、柔軟な方法がとられたことである。 他 方 、

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諸国間の判決の承認・執行の円滑化のために、国際裁判管轄規則の統一が必要とされた、 一九六八年 E

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第5巻2号一一66

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条約は、厳格で綿密な管轄規則を制定することでその目的を果たそうとした。その際、各国の裁判所によって管轄 規則の適用方法が異なれば、管轄規則統一の目的が果たせなくなるため、裁判所の裁量については極力これを排除し ようとした。このように性質も方法も異なる二種類の国際裁判管轄規則がイングランド裁判所の前に並存しているの が 現 状 で あ る 。 このような状況の中で、今回の一連の判決において提示された問題、 がある場合に、裁判所に裁量権を行使する権限があるかという問題は、実は、 つまり締約国と非締約国との間で管轄の争い 一 九 六 八 年

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条約の中にフォーラム -ノン・コンビニエンス法理をどう組み込んで行くかという問題というよりは、むしろこれら二種類の国際裁判管轄 規則の、境界線上の問題ととらえるべきものといえよう。そして裁判所はそのラインをどちらに寄せて引くかの決断 を迫られたわけである。結論として裁判所は、この問題に対し、より柔軟な管轄規則を適用することを選んだ。前述 したように学説の多くも、 一 九 六 八 年

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条約批准時から、この間題に関してはそれに近い意見を示しており、裁判 所はこれらの意見をとりいれたようにも見える。しかし今回の裁判所の見解は、連合王国において、条約による統一 化された管轄規則の採用が、さらに一層進む傾向を示している時期であることを考えあわせれば、興味深いものがあ る 。 具体的にいえば、まず、本稿で述べてきた一九六八年

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条約であるが、同条約はスペイン、ポルトガルの加盟を 一九八九年、若干の修正が加えられている。サン・セバスチャン条約と称されるこの条約を、連合王国はいち 早く(一九九一年九月)批准し、一九八二年法を改正するという形で同条約を国内法化している。さらに

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の 機 に 、 国々(オーストリア、 フ ィ ン ラ ン 、 ド 、 ア イ ス ラ ン ド 、 ノルウェイ、スウェーデン、スイス)による、管轄規則及び外 ( 必 ) 一九八八年の﹁ルガ l ノ条約﹂も挙げられる。このルガIノ条約は、原則とし 国判決執行手続の統一化をめざした、

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て一九六八年

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条約とほぼ同じ規則を採用しており、 一九六八年

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条約の締約国も、順次この条約を批准してい 一九九二年二月に批准している。同条約の園内法化にあた っている。連合王国はこの条約にもすばやい反応を示し、 つては、連合王国は、新たな法律(、吋

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以下一九九一年法)を制定 ︿岬叩) する形をとっている。このように

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にとどまらず、広くヨーロッパの国々においては、条約によって管轄規則を統 一しようとする動きが近年活発にみられ、連合王国も、その動きに積極的に対応しようとする姿勢を示しているので あ る 。 今回の一連の判決は、このような動向の中で出されたものであるが、その中で、あ与えて裁判所は裁判所の裁量を認 める結論を出したわけである。これは、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理導入による柔軟な管轄規則への、イ 67一一フォーラム・ノγ ・コソピニエンスその後 ングランド裁判所の信頼を表すものと解してよいのではないか。 ハロッズ判決の法廷意見を書いたディロン判事、及 び補足意見を書いたビンガム判事がともに、裁判所の裁量を認めると結論づけた後で、この件に関しての条約の解釈 ハ 師 団 ﹀ を 、

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裁判所に判断してもらう必要はないと述べていることにも、それは表れていると思われる。この背景には、 イングランド裁判所が、 フォーラム・ノン・コンビニエンス法理導入による管轄規則再編成を、 一九六八年

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条約 が批准されるのとほぼ同じ時期に、意図的に行ってきたという事情が関係すると考えられる o つまり、ィングランド 裁判所にとってフォーラム・ノン・コンビニエンス法理は、 一九六八年

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条約に基づく管轄規則と同様に、共に新 しく採用した管轄規則なのである。条約により、管轄規則が統一されることが結局は最も望ましい形であり、また最 近の連合王国の条約への対応によって、条約に基づく管轄規則を適用する事例が今後も増加することが予想されるの は否めない。しかし今回の判決から見るかぎり、イングランド裁判所は、フォーラム・ノン・コンビニエンスを用い る柔軟な管轄規則を、方法論的に、条約に基く厳密な管轄規則の下位に位置付けて評価しているのではなく、あくま

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