〈論文〉社会科学分野における統計的因果推論のためのマッチング手法の活用--企業金融の研究における適用とその問題
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(2) 第59巻. 1.社. 会科学分野 における統計 的因果推論. 因 果 推 論 の 目 的 に は1)観. 察 さ れ た 結 果 に 対 す る 原 因 の 究 明,2)観. に 対 す る 因 果 メ カ ニ ズ ム の 解 明,そ 的 評 価 の3つ. 第3号. して3)観. が あ る(Holland(1986))。. 察 され た因 果 関 係 にお け る因 果 効 果 の 定 量. 本 稿 で 議 論 す る 統 計 的 因 果 推 論 は3)の. 達 成 す る た め の 方 法 論 で あ る 。 統 計 的 因 果 推 論 で は,結 の 探 求 で は な く,原. 因 の 効 果(theeffectsofcauses)を. 仮 説 検 証 型 の 実 証 研 究 に お い て は,理. し,両. 目的 を. 果 の 原 因(thecausesofeffects) 推 し量 る こ と に 力 点 が 置 か れ る 。. 論 か ら仮 説 を 設 定 し,そ. 定 量 的 に 検 証 す る 研 究 手 続 き が 取 られ る 。 一般 的 に,こ プ ロ ー チ を と る 限 り,自. 察 され た 因 果 関 係. の 仮 説 が 支 持 され るか を. の 研 究 手 続 き は,実. 証的な研究 ア. 然 科 学 分 野 で あ ろ う と 社 会 科 学 分 野 で あ ろ う と 同 じで あ る 。 しか. 分 野 で は 検 証 の も と に な る デ ー タ の 生 成 過 程(datageneratingprocess)が. 本質. 的 に 異 な る。 そ の 相 違 は,変 数 の 統 制 可 能 で あ る か 否 か と い う こ と言 い 換 え る こ と が で き, 自然 科 学 分 野 と社 会 科 学 分 野 に お け る研 究 ア プ ロー チが 決 定 的 に異 な る所 以 で あ る。 この デ ー タ の 生 成 過 程 の 違 い に よ っ て,研. 究 ア プ ロ ー チ は 表1で. 示 して い る よ う に,さ. ら に細. 分 化 され る。. 表1研. 究 アプ ロー チ. 変数の統制. 処 置 の 割 り当 て. 可能 可 能(2) 不可能 不可能. 無作為 特 殊 な ケ ー スの み 無 作 為(2) マ ッチ ン グに よ る無 作 為 化. 研 究 ア プ ロ ー チ(1> 実 験 研 究(experimentalstudy) 自 然 実 験 研 究(naturalexperimentstudy) 疑 似 実 験 研 究(quasiexperimentstudy) 調 査 観 察 研 究(observationalstudy). 非 無 作 為(3). (1)星 野(2009)を も とに筆 者 が作 成 。 (2)あ る政 策 や 制 度 の 実 施 対 象 者 が く じ引 きな どで 決 定 され て い る場 合 は, 研 究 者 が 変 数 を 統 制 し, 無 作 為 な 割 り当 て が 行 わ れ て い る と考 え られ る。 (3)共 変 量 を 通 じて,内 生 的 に割 り当 て られ る。. 実 験 研 究 は,変 数 の 統 制 が 可 能 な 研 究 ア プ ロ ー チで あ り,管 理 され た 環 境 下 で,原 因 と な る変 数(以 下,独 立 変 数)の 水 準 に よ って 結 果 とな る変 数(以 下,従 属 変 数)が. どの よ. う に変 化 す るか を検 証 す る。 統 計 的 因 果 推 論 上 で 重 要 な の は,変 数 の 統 制 可 能 性 の 有 無 よ り も,"独 立 変 数 の 各 水 準 へ の 割 り当 て が 無 作 為 で あ るか"あ 無 作 為 で あ るか"と. る い は"処 置 の割 り当 て が. い う点 で あ る。 一一 方,調 査 観 察 研 究 は,変 数 の 統 制 が 不 可 能 な 研 究 ア. プ ロ ー チで あ る。 変 数 の 統 制 が 不 可 能 で あ る た め に,無 作 為 な 処 置 の 割 り当 て を 伴 わ な い 一148(1274)一.
(3) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡). 研 究 で あ り,後 述 す る共 変 量 を通 じて 内生 的 に処 置 の 割 り当て が 決 定 され る。 こ こで の 処 置(treatment)と M&Aな. は,何. らか の 介 入(政 策 や 制 度 の 導 入 な ど)や イベ ン ト(株 式 発 行 や. ど)の 実 施 を総 称 して い る。. 自然 実 験 研 究 は,計 量 経 済 学 で 社 会 実 験 研 究 と呼 ばれ て お り,制 度 や 政 策 の 変 更 を 独 立 変 数 と して,制 度 や 政 策 が 変 更 され た時 に従 属 変 数 が どの よ う に変 化 す るか を 分 析 す る研 究 で あ る。 しか し,多 くの 場 合,制 度 や 政 策 の 変 更 の 対 象 者 は無 作 為 に割 り当 て られ て い るわ けで はな いの で,調 査 観 察 研 究 の 一 種 で あ る。 最 後 に,疑 似 実 験 研 究 は,変 数 の 統 制 が 不 可 能 で,無 作 為 な 割 り当て が 伴 わ な い調 査 観 察 研 究 に お いて,マ. ッチ ン グ手 法 な どを. 用 いて 疑 似 的 に無 作 為 化 し,独 立 変 数 と従 属 変 数 の 純 粋 な 因 果 関 係 の 因 果 効 果 を 分 析 しよ う とす る研 究 ア プ ロ ー チで あ る。 一 般 的 に,自 然 科 学 分 野 の 研 究 ア プ ロ ー チ は実 験 研 究 で あ り,社 会 科 学 分 野 の 研 究 ア プ ロ ー チ は調 査 観 察 研 究 で あ る と考 え られ る。 調 査 観 察 研 究 に属 す る社 会 科 学 分 野 の 研 究 で は,以 下 に挙 げ る3つ の 問 題 を 内包 して い る た め,統 計 的 な 因 果 推 論 にお いて,正 確 な 因 果 効 果 の 推 定 が 困 難 にな る こ とが 知 られ て い る。. 変数の統制不可能性 社 会 科 学 分 野 の 研 究 に お け る本 質 的 な 特 徴 は"他 の 条 件 を 一一 定 と した 結 果 の 再 現 性"が な く,繰 り返 し実 験 が 困 難 な 対 象 を 扱 う こ とで あ る。 社 会 科 学 分 野 が 研 究 対 象 とす る社 会 現 象 は,自 然 科 学 分 野 の 実 験 研 究 の よ う に,管 理 され た環 境 下 で 実 験 を 実 施 す るわ けで は な い。 現 実 世 界 に お いて,日. 々環 境 が 変 化 す る 中で 生 じた社 会 現 象 を 解 明 す る学 問 分 野 で. あ る。 実 証 的 な 研 究 計 画 の 視 点 か らは,前 述 の よ う に,変 数 の 管 理 ・統 制 が 不 可 能 な こ とを 意 味 して お り,社 会 科 学 分 野 の 実 証 研 究 で は,社 会 現 象 の 結 果 と して 記 録 され た 観 測 値 を 分 析 す る こ と に な る。 したが って,独 立 変 数 を 研 究 者 が 操 作 し,従 属 変 数 が どの よ う に変 化 す るか を デ ー タ と して 記 録 す る こ とが で きず,ま. た それ を定 量 的 な 分 析 を す る こ とが で き. な い(1)。. (1)例 え ば,企 い 。 ま た,こ. 業 の 株 式 発 行 や 買 収 な ど は,研 究 者 が 実 施 す る 企 業 を 管 理 ・統 制 で き る わ け で は な れ ら の 実 施 は 無 作 為 に 割 り 当 て ら れ て い る わ け で は な く,傾 向 を 持 つ こ と が 知 ら れ. て い る(MitchellandStafford(2000),Brav(2000))。 -149(1275)一.
(4) 第59巻. 第3号. 無 作 為 な 割 り当 て 問 題 一 割 り当 て の 内 生 性 一 原 因 と な る独 立 変 数 の 操 作 が 不 可 能 で あ る こ とを 理 由 に,社 会 科 学 分 野 にお け る研 究 で は,な ん らか の 処 置 が 実 施 され た グル ー プ(以 下,処 置 群(treatmentgroup))と が 実 施 され なか っ た グル ー プ(以 下,対 照 群(controlgroup))の を無 作 為 に割 り振 る無 作 為 割 り当て(randomassignment)が. 処置. 各 グル ー プ に対 象 主 体 行 え な い と い う問 題 が 生. じる。 この 問題 に よ って 正確 な 因果 関係 の因 果 効 果 を 統 計 的 に検 証 す る こ とが 困難 に な る。 有 名 な 職 業 訓 練 へ の 参 加 の 例 を 取 り上 げ る と,研 究 者 が 無 作 為 に職 業 訓 練 へ の 参 加 を 割 り 当て る こ と はで きな い。 現 実 に は,ス キル の あ る人 が よ り積 極 的 に参 加 す る傾 向 に あ り, 参 加 が 内生 的 に決 定 され て い る こ とが 知 られ て い る。 したが って,職 業 訓 練 に参 加 した こ と に よ る所 得 へ の 効 果 を 評 価 した い と き,ス キル を 持 つ こ とが 所 得 に プ ラ スの 影 響 を 与 え て い る な らば,参 加 者 と不 参 加 者 に お け る数 年 後 の 所 得 水 準 を 単 純 に比 較 す るだ けで は, 職 業 訓 練 の 効 果 を過 大 に推 定 して しま う こ と にな る。 少 な くと も,自 然 科 学 分 野 な どの 実 験 研 究 で は,独 立 変 数 の 操 作 が 可 能 で あ るた め,処 置 群 と対 照 群 の ど ち らに割 り当て られ るか を無 作 為 にす る こ と に よ って,処 置 群 と対 照 群 との 差 が 処 置 に よ る効 果 以 外 の もの で 説 明 され る可 能 性 を 抑 制 す る こ とが 可 能 で あ る。 一 方,社 会 科 学 分 野 に お いて は,前 述 の 職 業 訓 練 の 例 の よ う に,各 群 へ の 割 り当 て に 内生 性 が 存 在 す る こ とが 多 い。 したが って,何. らか の 方 法 を 用 いて 割 り当 て が 仮 想 的 に無 作 為 に. 行 わ れ て い る状 態 を 作 り出 し,処 置 に よ る効 果 を 推 し量 る必 要 が 生 じる。 処 置 の 割 り当 て が 内生 的 に生 じる メ カニ ズ ムが 明 らか で,そ の 原 因 とな る変 数 が観 察 可 能 で あ る場 合 に は, マ ッチ ング手 法 を用 いて 解 消 す る こ とが 可 能 で あ る(Zhao(2004))。. 欠 測 デ ー タの 問 題 社 会 科 学 分 野 に お け る研 究 で は,割. り当て の 内生 性 の 問 題 以 外 に も,処 置 を 受 けた 場 合. の 結 果 と処 置 を受 けな か っ た場 合 の 結 果 が 同時 に観 察 値 と して 得 られ な い と い う問 題 も あ る。 これ は,社 会 科 学 分 野 に お け る因 果 推 論 上 の 根 本 問 題 と呼 ばれ る(Holand(1986))。 前 述 の よ うに,"他. の 条 件 を一 定 と した結 果 の 再 現 性"が. な く,繰. り返 し実 験 が 困 難 で あ. る こ と に起 因 して い る。 上 記 の 職 業 訓 練 の 例 で は,同 一 の 人 物 に対 して 職 業 訓 練 に参 加 し た場 合 の 所 得 水 準 と,参 加 しな か っ た場 合 の 所 得 水 準 を 同時 に観 察 す る こ と はで きな い と い う問 題 で あ る。 この 問 題 はRubin(1974)の. 研 究 以 降,欠 測 デ ー タの 問 題 と して 取 り扱 う こ とが 一 般 的. で あ る。 表2は 欠 測 デー タの 構 造 を 表 して い る。 処 置 を 受 け た場 合 は,処 置 群 の 従 属 変 数 一150(1276)一.
(5) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡) の デ ー タ は 観 察 さ れ る が,対 い 場 合 は,対. 照 群 の デ ー タ は 観 察 さ れ な い 。 ま た,同. 照 群 の 従 属 変 数 の デ ー タ は 観 察 さ れ る が,処. と に な る 。 し た が っ て,処. 様 に,処. 置 群 の デ ー タ は観 察 され な い こ. 理 を 受 け た 場 合 の 対 照 群 の デ ー タ と,処. 理 を 受 けな か った 場 合. の 処 置 群 の デ ー タ は 欠 測 して い る 。 こ の 欠 測 が 生 じ る メ カ ニ ズ ム は,経 観 測 され る従 属 変 数 耳 り 当 て 変 数 をD、. 潜 在 的 な 従 属 変 数 を 耳(1),耳(0),そ. と す る と,巧=D罵(1)+(1-D∫. 表2欠. 毘(0)で. 表 現 で き る(2)。. 対照群 欠. 処置群のデー タ. 欠. 処 置 を 受 けな い 場 合 の 結 果. 共変量項 目. outcome)の. 実際 に. 測データの構造. 処置を受 けた場合の結果. Rubin(1974)で. 済 主 体'の. して 処 置 を 受 け る か 否 か の 割. 処置群. 注:星 野(2009)を. 置 を 受 けな. 測. 測. 対照群のデー タ. 共 通 して 得 られ る変 数. も とに筆 者 が作 成. は,こ の よ うな欠 測 デ ー タ の 問題 に対 して,潜 在 的 な結 果(potential. 概 念 を導 入 し,処 置 を受 け た こ と に よ る効 果 の推 定 モ デル を提 唱 して い る。. それ は,言 い換 え れ ば,仮 想 的 な 従 属 変 数 を導 入 した推 定 モ デル で あ り,こ れ を ル ー ビ ン の 因 果 効 果 モ デル と呼 ぶ(3)。 しか し,欠 測 デー タ は文 字 通 り情 報 が 欠 測 して い る た め,実 際 の 分 析 で は何 らか の 情 報 で 補 完 しな けれ ばな らな い。 ル ー ビンの 因 果 効 果 モ デル で は,表2で 処 置 群 と対 照 群 で 共 通 に観 察 で き る共 変 量(covariates)の. 示 して い る よ う に,. 情 報 を 有 効 に利 用 し,欠 測 し. た情 報 を補 完 して い る。 共 変 量 と は,従 属 変 数 と独 立 変 数 の 関 係 を 明 確 にす るた め に,統 制 が 必 要 な変 数 の こ とで あ り,従 属 変 数 と独 立 変 数 の 両方 に影 響 の あ る変 数 の こ とで あ る。 計 量 経 済 学 の 枠 組 み で は,回 帰 分 析 に お け る コ ン トロー ル 変 数 が これ に あた る。 図1は 職 業 訓 練 の 参 加 と所 得 の 関 係 につ いて,共 変 量 の 役 割 を ま と め た もの で あ る。 社 会 科 学 分 野 に お け る統 計 的 因果 推 論 上 の 課 題 は,「 欠 測 デ ー タの 問 題 を共 変 量 の 情 報 を積 極 的 に利 用 して,欠 測 した情 報 を よ り精 度 の 高 く補 完 す る こ と」 と い って 差 し支 え な い。 近 年 の 社 会 科 学 分 野 に お け る統 計 的 因 果 推 論 上 の 様 々な 解 析 手 法 は,基 本 的 に この 枠 組 み で 開 発 され て い る。 ミク ロ計 量 経 済 学 の 学 問 分 野 で は,上 記 の 欠 測 デ ー タの 問 題 を 克. (2)欠. 測 が 生 じ る メ カ ニ ズ ム に つ い て は,よ. 細 に つ い て は,星 (3)ル. 野(2009)の2章2節. ー ビ ン の 因 果 効 果 モ デ ル は,実. 化 す る こ と か ら,反. り 詳 細 な 議 論 が 必 要 で あ る が,本. 稿 で は割 愛 す る。 詳. を 参 照 され た い 。 際 に は起 こ らな か った 潜 在 的 な 結 果 を 仮 想 的 に考 え て モ デ ル. 実 仮 想 モ デ ル(counterfactualmodel)と -151(1277)一. 呼 ば れ る こと もあ る。.
(6) 服 す る た め に,マ. ッチ ン グ手 法 の 開 発 が 盛 ん に行 わ れ て い る。 特 に,労 働 市 場 にお け る政. 策 評 価 を対 象 と した研 究 の 蓄 積 は 目覚 ま しい もの が あ り,他 の 分 野 へ の 応 用 が 進 み つ つ あ る。 例 え ば,傾 向 ス コ ア マ ッチ ン グ(PropensityScoreMatching:PSM)は. 労働市場. の 政 策 評 価 や 医 学 に お け る臨 床 実 験 に利 用 され る こ とが 多 いが,近 年 で は,多. くの 学 問 分. 野 で 応 用 され る よ う にな っ た。 企 業 金 融 の 分 野 に お いて も応 用 が 進 ん で い る。 本 稿 で は,ま ず 因 果 効 果 の 推 定 方 法 を 簡 単 に整 理 し,共 変 量 情 報 を 用 いた 因 果 効 果 の 推 定 方 法 で あ る マ ッチ ン グ手 法 につ いて 整 理 を 行 う。 マ ッチ ン グ手 法 は大 き く分 けて,共 変 量 情 報 を直 接 用 い る共 変 量 マ ッチ ン グ と,多 次 元 の 共 変 量 情 報 を1次 元 に集 約 した 傾 向 ス コ ア を用 い た傾 向 ス コ ア マ ッチ ン グが あ る。 ま た,企 業 金 融 の 研 究 にお け るマ ッチ ン グ手 法 を用 い た実 証 研 究 を 実 施 す る際 の 問 題 点 を 提 示 す る。 しか し,本 稿 で はそ の 問 題 点 が ど の よ うな 影 響 を及 ぼす の か を 定 量 的 に検 証 して いな い。 この 点 につ いて は今 後 の 課 題 と し た い。 ま た本 稿 で は,基 本 的 な 分 析 手 法 の み 取 り上 げて お り,最 新 の 分 析 手 法 につ いて は カバ ー して いな い。 最 新 の 分 析 手 法 の 整 理 につ いて も今 後 の 課 題 と した い。 本 稿 の 構 成 は以 下 の 通 りで あ る。 第2節 で は,因 果 効 果 の 推 定 方 法 を ル ー ビ ンの 因 果 効 果 モ デル に従 って 簡 単 に整 理 す る。 第3節 で は,マ 4節 で は,企 業 金 融 研 究 に お いて,マ. ッチ ング手 法 につ いて 整 理 を 行 う。 第. ッチ ン グ手 法 を 適 用 す る際 の 問 題 点 を 提 示 す る。 そ. して 第5節 で 本 稿 の ま と めを 行 う。. 2.因. 果効果の推定 と共変量 による調整. 本 節 で は 因 果 効 果 の 基 本 的 な 推 定 方 法 に つ い て,ル. ー ビ ン の 因 果 効 果 モ デ ル の フ レー ム. ワ ー ク に従 っ て整 哩 を行 う。 以 下 で の 説 明 や 数 学 的 な 表 記 方 法 は星 野(2009)な -152(1278)一. らび にCaliendo.
(7) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡) andKopeinig(2008)に り,モ. 従 って い る。 ま た,詳. 細 な 式 の 導 出 や定 理 の 証 明 は割 愛 して お. デ ル の エ ッセ ン ス の み を 取 り上 げ て い る 。. 2.1ル. ー ビ ンの 因 果 効 果 モ デ ル. 前 述 の よ う に,Rubin(1974)の 推 論 上 の 問 題 は,欠. 先 駆 的 な 研 究 以 降,社. 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果. 測 デ ー タ の 問 題 と して 取 り扱 わ れ る よ う に な っ た 。 こ こ で は,欠. デ ー タ に お け る ル ー ビ ン の 因 果 効 果 モ デ ル に し た が っ て,因. 測. 果 効 果 の 推 定 に お け る枠 組 み. を整 理 した い。 今,経. 済主体. ∫(た. だ し,'=1,2,_,N)の. は 処 置 の 有 無 を 示 す イ ン デ ッ ク ス で,処 か っ た 場 合 に はD,=0と. 従 属 変 数 を 考(D、)で 表 現 す る 。 こ こ で,D、 置 を 受 け た 場 合 にD,=1と. な る 割 り当 て 変 数 で あ る 。 した が っ て,経. な り,処. 置 を 受 けな. 済 主 体1の. 因果効果. は,. ・,一 耳(1)一. (1). 巧(0),∫-1,2,…,N. で 表 現 で き る。 しか し,欠 測 デー タの 問 題 か ら,同 一 の 経 済 主 体 に関 して 処 置 を 受 けた 成 果 考(1)と 処 置 を 受 けな か った 成 果 巧(0)を 同時 に観 察 す る こ と はで きな い。 す な わ ち, 個 別 の経 済 主 体 に 関 して 因果 効 果 を計 測 す る こ とは 不 可 能 で あ る(4)。そ こで,個. 別の経済. 主 体 で はな く,社 会 全 体 の 平 均 的 な 処 置 効 果 を 測 定 す る こ とが 考 え られ る(5)。. 平 均 処 置 効 果 一AverageTreatmentEffect一 平 均 処 置 効 果(AverageTreatmentEffect:ATE)は,処. 置 群 と対 照 群 の 従 属 変 数 の. 差 に つ い て 期 待 値 を と っ た も の で あ る 。 す な わ ち,. ・鵬. 一E[・]-E[γ(1)一. γ(o)]. (2). で 計 算 され る。 平 均 処 置 効 果 は,そ の 処 置 の 効 果 が 平 均 的 に どの 程 度 で あ った か を 示 す 指. (4)前 述 の よ う に,実 験 研 究 で な い社 会 科 学 分 野 の 研 究 ア プ ロー チ に伴 う根 本 的 な 問 題 で あ り,こ れ を 因 果 推 論 にお け る根 本 問 題 と呼 ぶ(Holland(1986))。 (5)個 別 の 経 済 主 体 の 状 況 に応 じて 異 な るか 否 か とい う問 題 は 興 味 深 い が,処 置 が 政 策 や 何 らか の プ ロ グ ラ ムで あ る場 合,社 会 全 体 で の 巨視 的 な 効 果 を 測 定 す る こ とに 評 価 目的 とな り,平 均 的 な 効 果 を 測 定 す る こ と は分 析 者 の 関 心 事 と合 致 して い る。 -153(1279)一.
(8) 第59巻. 第3号. 標 で あ る。 平 均 処 置 効 果 の 推 定 量 と して は,観 測 され た各 群 の 平 均 値 の 差 を 用 いて. 君国 一糟(耳(1))一. 瀞(・))(3). が 最 も シ ンプル な 推 定 量 と して 考 え られ る。 こ こで,Nlと. ノVoは そ れ ぞ れ 処 置 群 と対 照. 群 の サ ンプル サ イ ズで あ る。 この 差 が 統 計 的 に有 意 で あ るか,す な わ ち,因 果 効 果 が 存 在 す るか は平 均 値 の 差 の 検 定 を 行 え ば よ い。 しか し,こ の 推 定 量 が バ イ ア スな く推 定 され る た め に は,処 置 が 無 作 為 に割 り当 て られ て い る こ とが 必 要 で あ る。 す な わ ち,従 属 変 数r(1)と. γ(0)がDと. 独 立 で あ り,条 件 付. き期 待 値 が それ ぞ れ. Epz(1)lD]=E[γ(1)],E[γ(0)lD]=E[γ(0)],D=1,0. (4). とな る こ とが 必 要 で あ る。 ま た,Heckman(1997)が. 指 摘 して い る よ うに,政 策 や プ ロ グ ラ ム な どの処 置 の場 合,. ま っ た く政 策 や プ ロ グ ラ ムの 対 象 とな らな い経 済 主 体 につ いて も処 置 効 果 の 測 定 に含 まれ て しま う と い う問 題 が あ る。 例 え ば,前 述 の 職 業 訓 練 の 場 合,プ. ロ グ ラ ムの 対 象 と して い. る経 済 主 体 は,所 得 水 準 が 低 い労 働 者 で あ るが,平 均 処 置 効 果 の 推 定 に は所 得 水 準 が 高 い 労 働 者 も含 まれ て しま う。. 処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 一AverageTreatmentEffectontheTreated一 前 述 の よ う に,平. 均 処 置 効 果 は 政 策 や プ ロ グ ラ ム の 対 象 と な らな い 経 済 主 体 に つ い て も. 処 置 効 果 の 測 定 に 含 ま れ て し ま う た め,平. 均 処 置 効 果 は研 究 者 の 興 味 に沿 った 因 果 効 果 を. 測 定 して い な い 可 能 性 が あ る 。 そ こ で,処. 置 の 対 象 と な り う る 経 済 主 体 の み を 対 象 と した. 処 置 群 の 平 均 処 置 効 果(AverageTreatmenteffectontheTreated:ATT)が 社 会 科 学 分 野 で は 用 い られ て い る 。 処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 は,処. しば しば 置 の 対 象 とな りう る こ と. を 条 件 と し た 処 置 群 と 対 照 群 の 従 属 変 数 の 差 に つ い て 期 待 値 を と っ た も の で あ り,以. 下の. よ う に表 現 され る。. ・。。 。=E[・ID=1]=E[γ(1)ID=1]-E[γ(0)ID=1]. 一154(1280)一. (5).
(9) 社会科学分野 にお ける統計的因果推論のためのマ ッチ ング手法の活用(中 岡) 右 辺 の 第2項. は観 察 不 可 能 で あ るの で,推 定 す る た め に は,代 替 的 な 数 値 を 利 用 す る必. 要 が あ る。 観 察 可 能 なE[γ(0)lD=0]で. 置 き換 え,処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 の近 似 と して. (6). ち 。7=E[γ(1)ID=1]-E[γ(0)ID=0]. とす る こ と も考 え られ る。 しか し,こ の 置 き換 え が 正 しい た め に は,平 均 処 置 効 果 と 同様 に,処 置 群 と対 照 群 の 割 り当て が 無 作 為 で あ る必 要 が あ る。 処 置 の 割 り当 て が 内生 的 に決 定 され て い る場 合 に は,処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 の 推 定 にセ レク シ ョンバ イ ア スが 生 じて し ま う。 処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 を 以 下 の よ う に書 き換 え る と,. ・、π 一 ち π 一{E[γ(0)ID-1]-E[γ(0)ID-0]}. と な り,右. 辺 第2項. 1]=E[γ(0)ID=0]で 同 様 に,対. (7). の 括 弧 内 が セ レ ク シ ョ ン バ イ ア ス で あ る 。 した が っ て,E[γ(0)lD= な い 限 り,セ. レ ク シ ョ ン バ イ ア ス が 生 じ る こ と に な る(6)。. 照 群 の 平 均 処 置 効 果(AverageTreatmenteffectontheUntreated:ATU). を定 義 す る こ と も可 能 で あ る。. (8). τ。,σ=E[τID=0]=E[γ(1)ID=0]-E[y「(0)ID=0]. 対 照 群 の 平 均 処 置 効 果 につ いて も,割. り当て が 無 作 為 で あ る場 合 の み,適 切 な 因 果 効 果 の. 推 定 値 とな る。 ま た,処 置 群 の 平 均 処 置 効 果 な らび に対 照 群 の 平 均 処 置 効 果 を 用 い る と, 平均処置効果 は. τ鷹=τ. 。πP(D=1)+τ. (9). 。,びP(D=0). と表 現 で き る。 こ こで,P(D=1)とP(D=0)は. 各 群 の 構 成 比 率 で あ り,処 置 群 の 平 均 処. 置 効 果 と対 照 群 の 平 均 処 置 効 果 が 推 定 で きれ ば,全 体 サ ン プル の 因 果 効 果 で あ る平 均 処 置 効 果 も推 定 で き る。 ま た,(9)式 が 示 す よ う に,全 サ ンプル の 因 果 効 果 で あ る平 均 処 置 効 果. (6)厳 密 に 言 う と,(6)式 の 置 き 換 え が 正 しい た め の 条件 は,E[γ(1)]とDが. 独 立 で あ る とい う条 件. の み で よい 。 一 方,(2)式 の 平 均 処 置 効 果 の 推 定 に は,処 置 群 と対 照 群 の 割 り当 て が 無 作 為 で あ る 必 要 が あ る。 す な わ ち,ω 式 の 条 件 が 必 要 で あ る。 -155(1281)一.
(10) 第59巻. 第3号. は,処 置 群 と対 照 群 が どの よ うな 母 集 団 か ら抽 出 され た もの で あ るか に依 存 して い る。. 2.2因. 果 効 果 の推 定 上 の 問 題一 共 変量 に よ る調 整一. 因 果 効 果 を適 切 に推 定 す る た め に は,各 群 へ の 割 り当て が 無 作 為 で あ る必 要 が あ り,割 り当て が 内生 的 に決 定 され て い る場 合 に は,欠 測 デー タ(潜 在 的 な 従 属 変 数)に ア ス を取 り除 くこ とが で きな い((7)式 の右 辺 の第2項)。. よ るバ イ. こ の とき,潜 在 的 な従 属 変 数 と. 割 り当 て に影 響 を与 え て い る共 変 量 を 利 用 した調 整 が必 要 に な る(7)。 社 会 科 学分 野 で は, 割 り当て の 無 作 為 化 を 強 制 的 に行 う こ と は困 難 で あ り,共 変 量 に よ る調 整 が 必 要 で あ る。. 因果効果の推定条件 共 変 量 を 用 い た 因 果 効 果 の 推 定 に お い て は,割. り 当 て 変 数 は 共 変 量 に の み 依 存 し,従. 属. 変 数 に は 依 存 しな い と 仮 定 す る こ と が 多 い 。 こ の 仮 定 は 強 く無 視 で き る 割 り 当 て(strongly ignorabletreatmentassignment)条. 件 と呼 ばれ る。 数 学 的 に は以 下 の よ う に表 現 され. る。. qo). (γ(1),γ(0))UDIX. こ こ で,Hは. 独 立 を 表 して お り,Xは. andRubin(1983)で ラ ッ プ(overlap)の. は,以. 共 変 量 ベ ク トル を 表 して い る 。 ま た,Rosenbaum. 下 の 共 通 サ ポ ー ト(commonsupport)あ. 条 件 も 付 加 して い る 。. 0<P(D=llX)<1. ま た,強. (ll). く無 視 で き る 割 り当 て 条 件 が 成 立 す る な ら ば,以. independence)が. る い はオ ー バ ー. 下 に示 す 平 均 で の 独 立 性(mean. 成 立 す る(8)。. E[ア(1)lD,X]=E[γ(1)lX], q2) E[r(0)lD,X]=E[γ(0)lX],D=1,0. (7)潜 在 的 な 従 属 変 数 と割 り当 て に影 響 を 与 え る共 変 量 が 存 在 した と して も,割 り当 て が 無 作 為 で あ れ ば,共 変 量 の 調 整 を 行 う必 要 は な い 。 各 群 の 従 属 変 数 の 平 均 値 の 差 を 因 果 効 果 とす れ ば よい だ けで あ る。 (8)詳 細 は 星 野(2009)の. 第2章5節. を 参 照 され た い 。 -156(1282)一.
(11) 社会科学分野 にお ける統計的因果推論のためのマ ッチ ング手法の活用(中 岡) この 平 均 で の 独 立 性 が 満 た され て いれ ば,共 変 量 を条 件 付 け た と きの 因 果 効 果 を. E[r(1)-r(0)lX]=E[r(1)lD=1,X]-E[γ(0)lD=0,X]. q3). と表 現 で き る。 さ らに,共 変 量 に関 して 期 待 値 を取 れ ば,. Ex[γ(1)一. と な り,共. γ(0)lX]=E[γ(1)一. γ(0)]=τ. 変 量 の 調 整 を 行 う こ と で,欠. G4). オZE. 測 デ ー タ を 無 視 して,観. 測 され て い るデ ー タの み. を用 い る こ とで 因 果 効 果 の 推 定 が 可 能 で あ る こ とが 示 され る。 こ の 強 く無 視 で き る 割 り 当 て は 柳 か 強 い 条 件 で あ る が,次 の 適 用 に 広 く応 用 さ れ て い る 。 ま た,前 立 つ こ と で,平. 述 の よ う に,強. 節 で 紹 介 す るマ ッチ ン グ手 法. く無 視 で き る 割 り当 て 条 件 が 成 り. 均 で の 独 立 性 が 成 立 す る 。 平 均 で の 独 立 性 は,共. 変 量 が 同 じ経 済 主 体 は,. 処 置 群 と 対 照 群 に お け る 潜 在 的 な 従 属 変 数 の 期 待 値 が 同 じ に な る と い う こ と を 意 味 して お り,こ の 関 係 を う ま く利 用 す る こ と で,バ. イ ア ス を 含 ま な い 因 果 効 果 の 推 定 が 可 能 に な る。. 平 均 で の 独 立 性 を 利 用 し た 方 法 は 多 数 存 在 す る が,こ さ れ て い る マ ッ チ ン グ(matching)に 照 群 で 共 変 量 が"す 共 変 量 が"す. こで は企 業 金 融 の 分 野 で 最 も利 用. つ い て 取 り上 げ る(9)。マ ッ チ ン グ と は,処. べ て 同 じ"と な る 経 済 主 体 を ペ ア に す る 作 業 の こ と で あ る 。実 際 に は,. べ て 同 じ"経. 済 主 体 を ペ ア に す る こ と は 困 難 で あ り,何. 変 数 の 値 が 近 い 経 済 主 体 を ペ ア と す る こ と が 多 い ⑩。 ま た,共. らか の 基 準 で 共 変 量. 変 量 の 数 が 多 数 に 及 ぶ と き,. ペ ア を 作 成 す る こ と が 困 難 に な る 。 こ れ は 次 元 問 題(dimensionproblem)と す な わ ち,共. 呼 ばれ る。. 変 量 を 増 や せ ば よ り正 確 な マ ッ チ ン グ が 可 能 に な る 一 方 で,ペ. アを 作 成 す る. こ と が 困 難 に な る と い う ト レー ドオ フ が 存 在 す る こ と に な る 。 こ の ほ か に も,共 布 に 重 な り が な い 部 分 に つ い て は,マ (supportproblem)も. 置 群 と対. 変量の分. ッ チ ン グ が で き な い と い っ た 分 布 の サ ポ ー ト問 題. 存 在 す る。. こ の よ う な 共 変 量 を 用 い た 場 合 の 問 題 を 解 決 す る 方 法 と して,RosenbaumandRubin (1983)が. 提 唱 し た 傾 向 ス コ ア(propensityscore)を. 用 い た マ ッチ ン グ手 法 が あ る。 こ. れ は 共 変 量 の 情 報 を 傾 向 ス コ ア と い う一 つ の 指 標 に 集 約 す る,す. (9)マ ⑩. ッ チ ン グ 以 外 の 方 法 に つ い て は,星. 野(2009)の2章6節. な わ ち"次. 元 を 縮 約 す る". を 参 照 され た い 。. 共 変 量 に 連 続 変 数 が 含 ま れ る 場 合,同 じ 値 を と る ペ ア を 作 成 す る こ と は 限 り な く困 難 で あ る 。 し た が っ て,本 来 の 意 味 で あ る マ ッ チ ン グ は,完 全 に 一 致 し た ペ ア を 作 成 す る と い う 意 味 で,完 全 マ ッ チ ン グ(exactmatching)と. 呼 ば れ る。 -157(1283)一.
(12) 第59巻. 第3号. と い う 斬 新 な ア イ デ ア で あ り,近 年 頻 繁 に 利 用 さ れ る よ う に な っ た マ ッ チ ン グ 手 法 で あ る 。 以 下 で は,共. 変 量 を 用 い た マ ッチ ング手 法 と傾 向 ス コ アを 用 い たマ ッチ ン グ手 法 につ いて. 整 理 を 行 う 。 ま た,企. 3.マ. 業 金 融 研 究 で の 分 析 例 につ いて も紹 介 した い。. ッチ ン グ手 法 一 共 変 量 マ ッチ ン グ と傾 向 ス コ ア マ ッチ ン グー. 社 会 科 学 分 野 に お い て,因. 果 関 係 の 因 果 効 果 を 定 量 的 に 検 証 す る 方 法 と して 重 回 帰 分 析. (あ る い は 共 分 散 分 析(analysisofcovariance))が. 考 え らえ る 。 分 析 の 実 行 が 容 易 で,. 伝 統 的 に 用 い ら れ て き た 検 証 方 法 で あ る 。 例 え ば,線 み. 独 立 変 数 ベ ク トル をx,,処. と で,処. 形 回 帰 モ デ ル 想 定 し,従. 置 の 割 り当 て 変 数 を4、. と す る と,以. 属変 数を. 下の式を推定す るこ. 置 に よ る効 果 を 得 る こ とが で き る。. ア、=α+鋤+P国+鯵,. こ こで,α. ⑮. '=1,2,…,ノvr. は定 数 項,〃 、は 誤 差 項 で あ る。. しか し,回 帰 分 析 で は,処 置 効 果 τ が 経 済 主 体 間 で 一 定 で あ る と仮 定 す る こ とや,q5) 式 に お いて,防H4、lx,が. 成 り立 つ(す な わ ち,割. り当 て変 数4、 が 外 生 的)こ. とが 必 要. にな る。 ま た,回 帰 モ デ ル の 関数 形 に推 定 結 果 が大 き く左 右 さ れ る とい った 問題 もあ るqD。 本 節 で は,回 帰 分 析 に代 わ る統 計 的 因 果 推 論 の 分 析 手 法 で あ るマ ッチ ン グ手 法 につ いて 整 理 を行 う。 マ ッチ ン グ手 法 は,共 変 量 マ ッチ ン グ と傾 向 ス コ アマ ッチ ン グ に大 別 す る こ とが で き る。 後 者 の 傾 向 ス コ ア マ ッチ ン グ は,傾 向 ス コ アの 推 定 に は回 帰 モデ ル の 特 定 化 を行 う必 要 が あ る もの の,従 属 変 数 と共 変 量 の 間 に お け る関 数 関 係 を 想 定 す る必 要 の な い 有 用 な マ ッチ ング手 法 で あ る。ま た,本 節 で は,企 業 金 融 研 究 に お け る分 析 例 を紹 介 す る。 以 下 の マ ッチ ング手 法 に関 す る数 学 的 な 表 現 な らび に説 明 は星 野(2009)に. 3.1共. 従 って い る。. 変 量 マ ッ チ ン グ ーCovariatesMatching一. 共 変 量 を 用 い た マ ッ チ ン グ は 共 変 量 マ ッ チ ン グ(CoVariatesMatching:CVM)と ば れ る が,共. 変 量 の 類 似 性 か ら処 置 群 と 対 照 群 の ペ ア を 作 成 す る 方 法 で あ る 。 共 変 量 の 類. 似 性 の 基 準 と して,何. (IDた. 呼. だ し,回. らか の 距 離(絶. 帰 分 析 に は,次. 対 値 や ユ ー ク リ ッ ド距 離)を. 用 い る こ とが 一 般 的 で. 元 の 問 題 や サ ポ ー ト問 題 が 生 じ な い と い っ た 利 点 も あ る 。 -158(1284)一.
(13) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡) あ る 。 しか し,前. 述 の よ う に,共. 変 量 を 用 い た マ ッ チ ン グ は,次. 存 在 して お り,利. 用 に は 注 意 が 必 要 で あ る 。 ま た,次. 元 問 題 や サ ポ ー ト問 題 が. 元 問 題 や サ ポ ー ト問 題 以 外 に も,各. 共 変 量 の 尺 度 を どの よ う に調 整 す るか と い う問 題 が あ る。 こ の 共 変 量 の 尺 度 の 問 題 に 対 し て は,Rubin(1980)が (Mahalanobis-MetricMatching:MMM)と. マ ハ ラ ノ ビ ス マ ッチ ン グ. い う 共 変 量 を 基 準 化 した 指 標 の 利 用 を 提. 唱 して い る 。 マ ハ ラ ノ ビ ス の 距 離 は,. D'、ち.-K凡. 一勾 ンsd(XrX、)諺. で 計 算 さ れ る 。 こ こ で,X、. とXノ. (16). は 経 済 主 体'と. ノ の 共 変 量 ベ ク トル で,Sは. 共変量. の 分 散 共 分 散 行 列 を 示 して い る 。 こ の マ ハ ラ ノ ビ ス の 距 離 が 最 も 近 い も の を ペ ア と す る の が マ ハ ラ ノ ビ ス マ ッ チ ン グ で あ る 。 た だ し,共 変 量 に カ テ ゴ リー 変 数 が 含 ま れ る場 合 に は, サ ン プ ル サ イ ズ が 大 き くな っ た と き して も,バ. イ ア ス が 残 る こ と が 知 ら れ て い る(Abadie. andImbens(2006))。. 企 業 金 融 研 究 にお け る共 変 量 マ ッ チ ン グ 企 業 金 融 分 野 で は,次 て き た が,何 場 合 は,業. 節 で 詳 し く議 論 す る 傾 向 ス コ ア を 用 い た マ ッ チ ン グ 手 法 が 普 及 し. らか の イ ベ ン ト(す な わ ち,何. らか の 処 置)後. 種 分 類 や イ ベ ン ト前 の パ フ ォ ー マ ン ス 変 数,そ. の パ フ ォー マ ン ス比 較 を 行 う して 企 業 規 模 と い っ た 共 変 量 を. 用 い た マ ッ チ ン グ が 散 見 さ れ る ⑫。 こ こ で は 簡 単 に そ の 方 法 を 紹 介 した い 。 BarderandLyon(1996)は,会. 計 情 報 ベ ー ス と したパ フ ォ ー マ ン ス変 数 を 用 いた イベ. ン トス タ デ ィ に お け る 対 照 群 の 選 択 基 準 に つ い て 分 析 を 行 っ て い る 。BarderandLyon (1996)は. 共 変 量 と し て,業. る 。 ま た,ペ. 種 分 類,総. 資 産 規 模(簿. 価),イ. 用 いて い. ア の 選 択 基 準 と して,. 【1】 業 種 分 類 が 同 じ(SICコ. ー ドの 最 初 の2桁)⑱. 【2】 業 種 分 類 が 同 じ(SICコ. ー ドの4桁). ωROA自. ベ ン ト前 のROAを. 体 が パ フ ォ ー マ ン ス 指 標 で あ る が,イ. 来 時 点 の パ フ ォ ー マ ン ス に 影 響 を 与 え,か ら れ る た め,共 変 量 と し て 扱 う 。ROAを 法 に つ い て は,山. 口(2011)に. ベ ン ト実 施 前 のROAは,イ. ベ ン ト実 施 後 の 将. つ イ ベ ン トの 実 施 有 無 に つ い て も 影 響 を 与 え る と 考 え 指標 と した パ フ ォー マ ンス 分 析 に 関 す るマ ッチ ン グ手. よ る整 理 が 詳 しい 。. ⑱SICコ ー ド(StandardIndustrialClassificationCode)と さ れ た4桁 の 業 種 コ ー ドで あ る 。 最 初 の2桁 は 大 分 類 を 示 し,後 一159(1285)一. は,ア メ リカ政 府 に よ って 作 成 ろ の2桁 は 小 分 類 を 示 して い る 。.
(14) 第59巻. 第3号. 【3】 業 種 分 類 が 同 じ(SICコ. ー ドの 最 初 の2桁)+総. 資産 規 模 が 同 じ. 【4】 業 種 分 類 が 同 じ(SICコ. ー ドの 最 初 の2桁)+イ. ベ ン ト前 のROAの. の4つ. の 基 準 を 用 い て い る 。 【3】 と 【4】 の 選 択 基 準 で は,業. 件 が 優 先 さ れ る 。 具 体 的 に は,【3】 実 施 企 業 の ±30%の. の 選 択 基 準 の 場 合,同. 範 囲 の 企 業 を 選 択 し,選. ペ ア と して 選 択 す る 。 そ して,【4】 ±10%の. 範 囲 の 企 業 を 選 択 し,選. 選 択 す る 。 ま た,【3】 に は,同. 水準が 同 じ. 種 が 同 じで あ る とい う条. 業 種 で,総. 資産額がイベ ン ト. 択 され た企 業 の 中で 最 も近 い値 を 持 つ 企 業 を. の 場 合 に は,同. 業 種 で,ROAが. イ ベ ン ト実 施 企 業 の. 択 さ れ た 企 業 の 中 で 最 も 近 い 値 を 持 つ 企 業 を ペ ア と して. と 【4】 の 選 択 基 準 で,同. 業 種 内で ペ ア を検 出 で きな か った 場 合. 業 種 で あ る と い う 条 件 を 取 り除 い て ペ ア の 検 出 を 行 う 。. Lie(2001)はBarderandLyon(1996)の. 選 択 基 準 の 再 考 を 行 い,業. な ら び に イ ベ ン ト前 に お け るROAの 簿 価 比 率M/Bを. 変 化 量(以. 下,△ROAと. 表 記),イ. 種 分 類,ROA ベ ン ト前 の 時 価. 共 変 量 と して 用 い る こ と を 推 奨 して い る 。 す な わ ち,. 【5】 業 種 分 類 が 同 じ(SICコ. ー ドの最 初 の2桁)+イ. +イ ベ ン ト前 に お け るROAの. 水準が 同 じ. 変化量が 同 じ. 一 トイ ベ ン ト前 の 時価 簿 価 比 率M/Bが. を 選 択 基 準 と して い る 。Lie(2001)に. ベ ン ト前 のROAの. 同じ. よ る マ ッ チ ン グ で は,以. 下 ⑰ 式 を 最 小 に す る1社. を ペ ア と して 選 択 す る 。. RO4-Rα4、1+齪04一. こ こ で,∫. 齪%+M協. 一M/β. は 処 置 群 の 経 済 主 体,ノ. Lyon(1996)やLie(2001)に. 、1. G7). は 対 照 群 の 経 済 主 体 を 表 し て い る 。Barderand. よ る 業 種 や パ フ ォ ー マ ン ス 変 数 に よ る マ ッ チ ン グ 手 法 は,. 共 変 量 マ ッ チ ン グ の 中 で も,次 元 ご と の マ ッ チ ン グ(DimensionbyDimensionMatching: DDM)と. 呼 ば れ て お り,企. しか し,山 ど,マ. ω. 口(2011)の. 業 金 融 研 究 で は 頻 繁 に 用 い ら れ る マ ッ チ ン グ 手 法 で あ る ⑭。 表3で. 示 さ れ て い る よ う に,多. ッ チ す る サ ン プ ル が 少 な くな る 傾 向 が あ り,次. くの 共 変 量 を 用 い た 選 択 基 準 ほ. 元 の 問 題 が 生 じて い る 。 ま た,多. 例 え ば,次 元 ご と の マ ッ チ ン グ を 用 い た 研 究 と して,Fukuda(2000)やIsagawaeta1.(2010) な どが 挙 げ られ る。 -160(1286)一. く.
(15) 社会科学分野 にお ける統計的因果推論のためのマ ッチ ング手法の活用(中 岡) の 共 変 量 を用 い た選 択 基 準 で は,処 置 群(イ ベ ン ト実 施 企 業)と 対 照 群(イ ベ ン ト非 実 施 企 業)に. お け る共 変 量 の 誤 差 も大 き くな る傾 向 に あ り,マ ッチ ングの 精 度 が 低 下 して い る. こ とが 伺 え る。. 3.2傾. 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ ーPropensityScoreMatching一. 傾 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ は,ロ ン グ の 適 用 上 の 問 題(す. ー ゼ ン バ ウ ム と ル ー ビ ン に よ っ て 開 発 さ れ,共. な わ ち,次. 手 法 で あ る 。 彼 らの ア イ デ ア は,共. 元 問 題 と サ ポ ー ト問 題)を. 変 量 マ ッチ. 克 服 す る強 力 な マ ッチ ン グ. 変 量 の 情 報 を 傾 向 ス コ ア と 呼 ば れ る 指 標 に 集 約 し,共. 変 量 マ ッ チ ン グ を 適 用 す る 上 で 生 じ る 問 題 を 回 避 し た こ と に あ る(RosenbaumandRubin (1983))○ 傾 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ を 理 解 す る た め に,ま. ず バ ラ ン シ ン グ ス コ ア(balancingscore). の 概 念 を お さ え て お き た い 。 バ ラ ン シ ン グ ス コ アB(X)と. は,. XUDIβ(X). q8). を満 たす 共 変 量 の 関 数 で あ る。 す な わ ち,バ ラ ン シ ン グ ス コ ア を条 件 付 け る こ と に よ り, 共 変 量 と割 り当て 変 数 が 独 立 にな る こ とを 示 して い る。 さ らに,強. く無 視 で き る割 り当 て. の 条 件 が 成 立 して い るな らば,. (19). (γ(1),γ(0))UDIB(X). の 関 係 が 成 り立 つ 。 す な わ ち,バ. ラ ン シ ン グ ス コ ア を 条 件 付 け れ ば,割. 変 数 は 独 立 に な る 。 ⑲ 式 の 証 明 に つ い て は,例. え ば 宮 川(2004)の2章4節. り当 て 変 数 と 従 属 を 参 照 され た. い○ ま た,バ. ラ ン シ ン グ ス コ ア は,あ. る 関 数g(・)を. 利 用 して. P(D-llX)-9(B(X)). ②①. と表 現 で き る こ とが 必 要 で あ り,バ ラ ン シ ン グ ス コ ア は共 変 量 を 条 件 と した 割 り当 て 確 率 と関 係 して い る こ とが わ か る⑮。傾 向 ス コ ア と は こ の"共 変 量 を条 件 と した割 り当 て確 率" ㈲. ⑳ 式 の 導 出 につ い て 星 野(2009)の3章1節. を参照。. -161(1287)一.
(16) 第59巻 で あ り,経. 済主体. 第3号. ∫ の 傾 向 ス コ ア 君(X)は,. '=1,2,…,ノV. 君(X)=P(D、=llX、),. と 表 現 で き る 。 た だ し,0≦. 君(X)≦1で. ②1). あ る。 ま た,⑳. 式 で 示 さ れ て い る よ う に,傾. ス コ ア は バ ラ ン シ ン グ ス コ ア の 一一 種 で あ る 。 傾 向 ス コ ア を 用 い た 共 変 量 の 調 整 は,強 視 で き る 割 り 当 て の 条 件 が 満 た さ れ て い る な ら ば,す. く無. べ て の 共 変 量 を 用 いて 調 整 を 実 施 し. た 場 合 と 同 程 度 の バ イ ア ス の 減 少 効 果 が あ る 。 す な わ ち,傾. E[r(1)-r(0)]=Ep(x)[E[γ(1)一. 向. 向 ス コ ア を 用 い た 因 果 効 果 は,. γ(0)11)(X)]] (2②. -E。(。)[E[γ(1)ID-1. と表 現 で き る。(吻式 は,傾 γ(1)-r(0)を. ,P(X)]-E[γ(0)ID-0,P(X)]]. 向 ス コ ア を 所 与 と して,各. 群 か ら得 られ た 観 測 値 を も と に. 計 算 し,傾 向 ス コ ア の分 布 で期 待 値 を とれ ば,因 果 効 果 が推 定 で き る こ と. を示 して い る。 言 い換 え れ ば,欠 測 され た潜 在 的 な 従 属 変 数 を 無 視 して 因 果 効 果 の 推 定 が 可 能 にな る こ と を示 して い る。 傾 向 ス コ アの 推 定 に お いて は,モ デル を 事 前 に設 定 す る必 要 の な い ノ ンパ ラ メ トリ ック な 回 帰 モ デル を 利 用 す る こ と も考 え られ るが,社 会 科 学 分 野 で はパ ラ メ トリ ックな 回 帰 モ デル を用 い る こ とが 多 い。 例 え ば,あ る確 率 分 布 の 累 積 分 布 関 数 をF(・)と. す る と,傾 向. スコアは. ㈱. P(D、=11X、)=F(乃(Xρ). と な る 。 こ こ で,戻 を 用 い て,割. ・)は 回 帰 モ デ ル の 関 数 形 を 表 して い る 。 こ の 推 定 さ れ た 傾 向 ス コ ア. り 当 て られ る 傾 向 の 類 似 性 が あ る 処 置 群 と 対 照 群 を マ ッ チ ン グ す る の が 傾 向. ス コ ア マ ッ チ ン グ で あ る 。 類 似 性 の 有 無 を 判 断 す る 基 準 に つ い て は,次. 節 の マ ッチ ン グ ア. ル ゴ リ ズ ム で 取 り上 げ る 。. 企 業 金 融 研 究 にお け る傾 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ 近 年,企. 業 金 融 の 研 究 に お い て,傾. う に な っ た(内. 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ を 利 用 した 分 析 が 散 見 さ れ る よ. 野(2011),Hellmanetal.(2007),Suzuki(2010))。 一162(1288)一. 傾 向 ス コ アの 推 定.
(17) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡) モ デ ル と して は,プ. ロ ビ ッ ト回 帰 モ デ ル や ロ ジ ッ ト回 帰 モ デ ル な ど の パ ラ メ ト リ ッ ク な 回. 帰 モ デ ル を 用 い る こ と が 多 い 。 例 え ば,ロ. 均(X)-P(身. '=1,2,…,N. 一ll凡)-A甑)-1. で 求 め られ る 。 こ こ で,A(・)を. ジ ッ ト回 帰 モ デ ル に よ る 傾 向 ス コ ア の 推 定 値 は,. +卿}一. 陶. (2の. ・. ロ ジ ス テ ィ ク ス 分 布 の 累 積 分 布 関 数 で あ る 。 ま た,pは. ロ ジ ッ ト回 帰 モ デ ル で 推 定 さ れ た 回 帰 係 数 ベ ク トル で あ り,. ろ 一bg〔P(Xf)1 -P(x. ㈱ 、)〕 一隔. の 回 帰 分 析 の 結 果 か ら得 られ る最 尤 推 定 値 で あ る。た だ し,x、 は回 帰 モデ ル にお け る共 変 量 ベ ク トル を表 し,隣. 3.3マ. は 誤 差 項 で あ る⑯。. ッチ ング ア ル ゴ リズ ム. 共 変 量 マ ッ チ ン グ と 傾 向 ス コ ア マ ッ チ ン グ は,共 あ る い は 傾 向 ス コ ア と い う1次. 変 量 と い う 多 次 元 の 情 報 を 用 い る か,. 元 の 情 報 を 用 い る か の 違 い が あ る が,こ. こ で は,マ. グ の ア ル ゴ リ ズ ム に つ い て 整 理 を 行 い た い(1の 。 表 記 を 簡 便 に す る た め,こ ア を 用 い て 説 明 を 行 う⑱。 ま た,下. ッチ ン. こで は傾 向 ス コ. 記 で は 基 本 的 な マ ッ チ ン グ ア ル ゴ リズ ム の み 取 り上 げ. る 。 他 の マ ッ チ ン グ ア ル ゴ リ ズ ム に つ い て は,CaliendoandKopeinig(2008)の3章2 節 を参 照 され た い。. 最 近 傍 マ ッ チ ン グ(nearestneighbormatching) 最 近 傍 マ ッ チ ン グ は 最 も シ ン プ ル な マ ッ チ ン グ ア ル ゴ リ ズ ム で あ り,"処. 置 群 の傾 向 ス. コ ア に 対 して 最 も 距 離 の 近 い 傾 向 ス コ ア を 持 つ 対 照 群 を マ ッ チ ン グ さ せ る"と. い う もの で. あ る 。 数 学 的 に は,. q⑤ プ ・ ビ 。 ト回 帰 を 用 ・・ 腸. 合 の 傾 向 ス コア の 齪. で 与 え ら れ る 。 こ こ で,Φ(・)は ルpは,z,=Φ. 値 は,互(X)-P(D,-11X,)一. 標 準 正 規 分 布 の 累 積 分 布 関 数 で あ る 。 ま た,回. 一1(P(X、))=ρ'x、+μ. Φ@Xj 帰係数ベ ク ト. 、の 回 帰 分 析 結 果 か ら得 ら れ る 。. qの. マ ッチ ン グ ア ル ゴ リズ ム に つ い て は,BeckerandIchino(2002)が に よ る実 行 プ ロ グ ラ ム も紹 介 して い る。. q⑳ 共 変 量 ベ ク トル に 置 き換 え,絶 対 値1を. 詳 し い 。 統 計 ソ フ トのStata. ベ ク ト・ レ間 の ユ ー ク リ・ ド距 離lllに. い○ -163(1289)一. 変更すれば よ.
(18) 第59巻. C(の 一mln君(X)一. 第3号. 乃(X)1. (2③. ノ. と表 現 で き る。 こ こで,Cσ)は. 処 置 群 ∫に対 して マ ッチ ング され た対 照 群 の集 合 で あ り,. ノ は対 象 群 の 経 済 主 体 を 表 す 。 一 般 的 に,共 変 量 ベ ク トルXが. 連 続 変 数 で あ る場 合,距. 離 が 最 小 にな る よ うな 対 照 群 が 複 数 マ ッチ ン グ され る こ と は ほ とん どな く,対 照 群 と して 1つ の 経 済 主 体 が マ ッチ ン グ され るの が 通 常 で あ る。. キ ャ リパ ー マ ッ チ ン グ(calipermatching) キ ャ リパ ー マ ッ チ ン グ は 最 近 傍 マ ッ チ ン グ に お い て,"ペ る 場 合 に は マ ッ チ ン グ しな い"と. Cの 一色(X)1君(X)一. ア が あ る 距 離7以. 上離れて い. い う も の で あ る 。 す な わ ち,. 乃(X)1<・}. ⑳. で マ ッ チ ン グ す る ア ル ゴ リ ズ ム で あ る 。 最 近 傍 マ ッ チ ン グ で は,最. も距 離 が 最 小 とな る対. 象 群 が 遠 く離 れ て い る と い っ た 場 合 で も マ ッ チ ン グ して し ま う 可 能 性 が あ り,マ の 精 度 を 低 下 さ せ る 危 険 性 が あ る 。 キ ャ リパ ー マ ッ チ ン グ で は,分 上 離 れ て い る 場 合 は マ ッ チ ン グ しな い た め,こ. ッチ ン グ. 析 者 が 指 定 した 距 離 以. の 問 題 を 回 避 で き る 。 しか し,一. 方 で,対. 照 群 を マ ッ チ ン グ で き な い と い う 問 題 を 持 つ こ と に な る 。 こ の キ ャ リパ ー マ ッ チ ン グ は 半 径 マ ッ チ ン グ(radiusmatching)と こ の ほ か に も,処 か,あ. る い は1対. も呼 ばれ る。. 置 群 と 対 照 群 を1対1で. マ ッ チ ン グ(onetoonematching)す. 多 で マ ッ チ ン グ(onetomanymatching)す. こ れ ら の マ ッ チ ン グ ア ル ゴ リズ ム な ら び に1対1か1対 分 析 者 に よ っ て 恣 意 的 に 行 わ れ て お り,ど し た が っ て,推. るの. る の か とい う問題 もあ る。 多 か の マ ッ チ ン グ 方 法 の 選 択 は,. の 方 法 が 決 定 的 に正 しい と い う もの で はな い。. 定 結 果 の 頑 健 性 を 保 証 す る た め に も,他. の アル ゴ リズ ムを 用 いた 場 合 の 結. 果 の 相 違 な ど を確 認 す る必 要 が あ る。 以 下 の 図2は,マ ア マ ッ チ ン グ で は,追. ッ チ ン グ 手 法 を 用 い た 研 究 の 一 連 の プ ロ セ ス を 示 して い る 。 傾 向 ス コ 加 的 に オ ー バ ー ラ ッ プ と 共 通 サ ポ ー トの 検 証 が 必 要 で あ る が,推. 結 果 の 頑 健 性 を 保 証 す る た め,両. マ ッチ ン グ手 法 と も に感 応 度 分 析 が 実 施 され る。. 一164(1290)一. 定.
(19) 注1'CVMは 共 変 量 マ ッ チ ン グ,MMMは マ ハ ラ ノ ビ ス マ ッ チ ン グ,DDMは の マ ッ チ ン グ,PSMは 傾 向 ス コ ア マ ッチ ング を示 して い る。 注2CaliendoandKopeinig(2008)を. も と に筆 者 が 修 正 を加 え て 作 成 。. 4.マ. 前 節 で は,マ. 次元 ご と. ッチ ン グ手 法 の 課 題. ッチ ング手 法 につ いて 整 理 を し,企 業 金 融 分 野 にお け る適 用 例 を 取 り上 げ. た。 こ こで は,そ の 問 題 点 を 提 示 した い。. ROAを. 用 いた マ ッチ ング 手 法. 共 変 量 マ ッ チ ン グ で は,企 ROAを. 業 金 融 研 究 に お け るパ フ ォー マ ン ス分 析 で 頻 繁 に利 用 され る. 基 準 と した マ ッ チ ン グ 手 法 を 紹 介 した 。 しか し,IrvineandPontiff(2009)が. 米 国 の 四 半 期 デ ー タ で 示 して い る よ う に,企 craticvolatility)は. 上 昇 傾 向 に あ り,過. 業 業 績 の 異 質 的 な ボ ラ テ ィ リ テ ィ(idiosyn-. 去の業績変動で将来の業績変動を予測す ること. が 困 難 に な りつ つ な る(同(2009)のFigure.2を ROAを. 参 照)。 彼 ら の 研 究 結 果 に 従 う な ら ば,. 用 い た マ ッ チ ン グ は 対 照 群 を 適 切 に 選 択 で き て い な い 可 能 性 が あ る。. 我 が 国 で は 四 半 期 デ ー タ が 不 足 して い る た め,IrvineandPontiff(2009)が 分 析 を 行 う こ と は で き な い が,図3で. 示 す よ う に,我. が 国 に お け るROAの. 実 施 した ボ ラ テ ィ リテ ィ. は 年 々 上 昇 傾 向 に あ る ⑲。. 傾 向 ス コ アの 推 定 上 の 問 題 傾 向 ス コ ア を ロ ジ ッ ト回 帰 モ デル や プ ロ ビ ッ ト回 帰 モ デル で 推 定 す る際 に は,累 積 分 布 関 数 が0.5を 中心 に対 称 で あ る こ とを前 提 と して い る(図4を. ⑲IrvineandPontiff(2009)の. 参 照)。 言 い換 え れ ば,処 置. 分 析 モ デ ル は 非 常 に シ ン プ ル で あ る が,四. 必 要 が あ る。 -165(1291)一. 半 期 デ ー タを 用 い る.
(20) 第59巻 図3ROAの. 第3号. 時 系 列 推 移 一1975年 か ら2010年 の 箱 髭 図 一. OO r. ・. ー. ⋮. ⋮⋮. ⋮. ⋮ ー1. ー 1 -1 十⊥ 甲 ⊥ー 1 ー ⋮. :⋮・ ー. ・. I■1ー. ⋮ ⋮ ・ー ー ー† 字. ー-⋮ l. ⋮. ーー1←⊥■1τーー ⋮ ⋮⋮. Oの,. : ⋮! ー ll l†占 〒十 Il i⋮ ⋮. O (ぎ) <O匡. 哺. ⋮. OO. 柵繍冊 耀}柵. OO 甲. 1975. 注1デ. 1980. 1985. 1990. 1995. 2000. ー タ は 日 経NEEDSFinancialQuestか ら 取 得 して お り,サ で あ る 。 ま た,ROAは,営 業 利 益/総 資 産 で 計 算 し て い る 。. 注2箱. 髭 図 に お け る 髭 の 両 端 は,閾. 値 を 表 し て お り,こ. プ ロ ッ トで 表 現 さ れ て い る 。 ま た,25%点 と す る と,上 値. 限の閾値 σ. 五 はLニR(フ. と75%点. 残75]-RO犠25])で. の 閾 値 か ら外 れ るサ ン プル に つ い て は のROAを. そ れ ぞ れRO巨[25],RO匁[75] 求 め ら れ,下. 限の閾. 求 め られ る 。. 群 と 対 照 群 の 割 合 が お よ そ 半 分 で あ る 必 要 が あ る 。 しか し,企 置 群 の 割 合 が 極 端 に 小 さ い こ と が 多 く,こ. 2010. ン プル の 対 象 は全 上 場 会 社. は σ ニ.RO叫75]+1.5(RO475]一.RO犠25])で. 残25]-1.5(R(フ. 2005. 業 金 融 研 究 に お い て は,処. の 前 提 を 満 た して い な い 。 す な わ ち,累. 積分布. 関 数 の 形 状 が 非 対 称 で,回. 帰 モ デ ル が 適 合 し て い な い 可 能 性 が あ る(図4を. ば,Suzuki(2010)は,我. が 国 に お け る株 式 発 行 時 に お け る割 引 率 や 引 き受 け手 数 料 に対. す る 銀 行 企 業 の 取 引 関 係 の 影 響 を 分 析 し て い る が,株 (2010)の. サ ン プ ル 期 間 に お い て,最. 東 証 に 上 場 し て い る 企 業 数2,372社 (2011)は,2008年. も多 い2006年. 参 照)。 例 え. 式 発 行 を 行 っ た 企 業 は,Suzuki. で,157サ. と の 比 率 で は,約6.6%で. ン プ ル で あ り,2006年. 時点で. あ る。 こ の ほ か に も,内. 野. 秋 に 生 じ た リ ー マ ン シ ョ ッ ク 時 に お け る 社 債 市 場 の 麻 痺 を 利 用 して,. 企 業 の 設 備 投 資 に 対 す る 資 金 制 約 を 検 証 して い る が,処. 置 群 と な る 割 合 は,平. 均 して10%. 以 下 で あ る ⑳。 処 置 群 の 割 合 が 極 端 に 小 さ く,累 積 分 布 関 数 が 非 対 称 と な る ケ ー ス に は,Complementary Log-Log回 Log-Log回. ⑦①. 帰 モ デ ル の 適 用 が 考 え ら れ る(CameronandTrivedi(2005))。Complementary 帰 モ デ ル を 用 い た 場 合 の 傾 向 ス コ ア の 推 定 値 は 以 下 で 与 え られ る 。. 内 野(2011)で は,Lechner(2002)に ス コ アマ ッ チ ン グ法 を 用 い て い る。. よ って 開発 され た処 置 が 複 数 存 在 す る場 合 の 多 項 傾 向. 一166(1292)一.
(21) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡). 均(X)一. ゆ. 一llX、)一. ・ ⑯ ・X,)-1-・xp{一. ・xp{β ・ 期,∫. こ こ で,0(・)はComplementaryLog-Log回 ま た,p'は. …,N. ⑳. 帰 に お け る 累 積 分 布 関 数 を 表 して い る 。. 以 下 の 回 帰 分 析 結 果 か ら得 られ る。. Z、=109(-109(1-、. (29. ρ(X、))=lyX、. ComplementaryLog-Log回. 帰 を 用 い て,よ. 業 金 融 の 研 究 は 筆 者 が 知 る 限 り存 在 して お らず,精 も,重. 一珍. り適 切 な 傾 向 ス コ ア の 推 定 を 実 施 した 企 度 の 高 い マ ッチ ン グを 実 施 す るた め に. 要 な 指 摘 で あ る。. 図4ロ. ジ ッ ト回 帰 モ デ ル とComplementaryLog-bg回. 5.ま. 帰モデルの累積分布関数の比較. と め と 課 題. 本 稿 で は,社 会 科 学 分 野 に お け る因 果 効 果 の推 定 に つ い て,基 本 的 な概 念 の整 理 を行 い, 疑 似 的 な 割 り当て の 無 作 為 を可 能 にす る マ ッチ ン グ手 法 につ いて 整 理 を 行 った 。 傾 向 ス コ ア マ ッチ ング は,因 果 効 果 を 推 定 す る強 力 な ツ ール で あ る。 しか し,本 稿 で は詳 し く取 り 上 げな か っ たが,バ. ⑳. ラ ンス条 件 を 満 た して い るか 確 認 す る必 要 が あ る⑫D。また,マ. ッチ ン. バ ラ ン ス条 件 とは,傾 向 ス コ アを 用 い て マ ッチ ン グ した 処 置 群 と対 照 群 にお い て,共 変 量 の 分 布 に差 が な い と い う条 件 で あ る。 す な わ ち,XIJDI1)(D=11x)が 成 立 す る こ とで あ る。 バ/ -167(1293)一.
(22) 第59巻. 第3号. グの アル ゴ リズ ムの 選 択 を恣 意 的 に行 わ な けれ ば い けな いな どの 利 用 す る際 に は十 分 な 留 意 が 必 要 で あ る。 ま た,本 稿 で は企 業 金 融 の 研 究 で 適 用 す る際 の 問 題 点 を2つ 提 示 した 。 まず 第1に,イ ベ ン ト前 後 の パ フ ォ ー マ ンス比 較 を 実 施 す る際 のROAを る。 米 国 の デ ー タでIrvineandPontiff(2009)が. 利 用 した 共 変 量 マ ッチ ン グで あ. 示 した よ う に,企 業 業 績 の 異 質 的 ボ ラ. テ ィ リテ ィが 上 昇 して お り,過 去 の 業 績 か ら,将 来 の 業 績 を 予 測 す る こ とが 困 難 にな って きて い る。図2で 示 した よ うに,我 が 国 にお いて も,企 業 業 績 の異 質 性 が上 昇 傾 向 に あ り, 結 果 と してROAを. 利 用 した マ ッチ ング に よ る対 照 群 の 選 択 が 不 正確 にな る可 能 性 が あ る。. そ して,第2に,ロ. ジ ッ ト回 帰 モ デル や プ ロ ビ ッ ト回 帰 モ デル を 用 いた 傾 向 ス コ アの 推 定. 上 の 問 題 で あ る。 企 業 金 融 の 分 野 で は,株 式 発 行 やM&A,あ. る い はMBOな. どの 処 置 を. 受 け た処 置 群 の 割 合 が 対 象 群 に比 べ て 極 端 に小 さ い場 合 が 多 く,ロ ジ ッ ト回 帰 モデ ル や プ ロ ビ ッ ト回 帰 モ デル が 前 提 とす る対 称 な 累 積 分 布 関 数 と は異 な る。 これ まで の 研 究 で は, この 傾 向 ス コ アの 推 定 に お け る確 率 分 布 の 問 題 を 無 視 して ロ ジ ッ ト回 帰 モデ ル を 適 用 して い る。 しか し,よ り正 確 な マ ッチ ン グ を行 う た め に は,非 対 称 な 累 積 分 布 関 数 を 前 提 とす るComplementaryLog-Logモ. デル を 適 用 す るな ど,こ の 問 題 を 積 極 的 に取 り扱 う必 要. が あ る。 本 稿 で は,上 記 の 企 業 金 融 の 研 究 に お け る マ ッチ ン グ手 法 上 の 問 題 が,ど の 程 度 の バ イ ア ス を生 起 させ て い るの か は確 認 して いな いが,よ. り正 確 な マ ッチ ン グ手 法 の 開 発 が 進 む. 中で,重 要 な 視 点 で あ る と考 え られ る。 この 点 につ いて は今 後 の 研 究 課 題 と した い。. 参. 考. 文. 献. 星 野 崇 宏(2009)『. 調 査 観 察 デ ー タ の 統 計 科 学. 宮 川 雅 巳(2004)『. 統 計 的 因 果 推 論 一 回 帰 分 析 の 新 し い 枠 組 み 一 」 朝 倉 書 店. 山 口 聖(2011)「. イ ベ ン ト 後 のROA分. 因 果 推 論. ・選 択 バ イ ア ス ・デ ー タ 融 合 』 岩 波 書 店. 析 に お け る コ ン ト ロ ー ル. ・ フ ァ ー ム の 選 択 法 」 経 営 財 務 研 究. VoL31,No.2,2-19頁 Abadie,A.andImbens,G.W.(2006)"LargeSamplePropertiesofMatchingEstimatorsfor AverageTreatmentEffects,"Ecoηo耀. 〃'cα,Vol.74,pp.235-267.. Barber,B.M.andLyon,J。D。(1996)"DetectingAbnormalOperatingPerformance:TheEmpiricalPowerandSpecificationofTestStatistics,"ノo配rη. α1ρプF'η αηdα1Ecoηo濡'c5,Vol.41,. pp.359-399. Becker,S.0.andIchino,A.(2002)"EstimationofAverageTreatmentEffectsBasedonPropensity Score,"τ. 加5'α'α. ノo獄 ηα1,Vol.2,pp.358-377.. \ ラ ン ス 条 件 は,強 く無 視 で き る 割 り 当 て 条 件 と は 異 な り,統 る 。 検 証 方 法 に つ い て は,CaliendoandKopeinig(2008)の3章4節 一168(1294)一. 計 的 に検 証 可 能 な こ とが 知 られ て い を参 照 され た い。.
(23) 社 会 科 学 分 野 にお け る統 計 的 因 果 推 論 の た め の マ ッチ ン グ手 法 の 活 用(中 岡). Brav,A.(2000)"lnferenceinLongHorizonEventStudies:ABaysianApproachwithApplicationtoInitialPublicOfferings,"ノo麗rη. α1(ゾF'η. αηc6,Vol.55,pp.1979-2016.. Caliendo,M.andKopeinig,S.(2008)"SomePracticalGuidanceforImplementationofPropensityScoreMatching,"ノ. 侃rη α1(ザEcoηo面c枷ry6y∫,Vo1.22,pp.31-71.. Cameron,A.C.andTrivedi,P.K.(2005)1堕cro6coηo膨. 醒c5'ル16魏045α. η4A〃. 〃cα'∫oη5.Cam-. bridgeUniversityPress. Fukuda,A.(2000)"DividendChangesandEarningsPerformanceinJapan,"Pαc哲c.Bα3'ηF∫. ηαηc6/o麗rη. α1,Vol.8,pp.53-66.. Heckman,J.(1997)"lnstrumentalVariables:AStudyoftheImplicitBehavioralAssumptionsusedinMakingProgramEvaluations,"ノo配rη. α1(ゾH照. 侃R630配. κ63,Vol.32,pp。441-. 462. Hellman,T.L.andPuri,M.(2007)"BulidingRlationshipsEarly:BanksinVentureCapital," 、R6y'6wqプF加. αηdα13'配4'63,Vo1.21,pp.513-514.. Holland,P.W.(1986)"StatisticsandCausalInference,"ノo膨rη. α1(ガ'舵. ん ηθr'cαη5'α'1∫'lcα1A5-. 50dα"oη,VoL81,pp.945-960。 Irvine,P。JandPontiff,J.(2009)"IdiosyncraticReturnVolatility,CashFlows,andProductMarketCompetition,"τ. 加Rθy'6w(ゾFlη. αηclα15媚. ∫θ∫,Vol.22,pp.1149-1177.. Isagawa,N。,Yamaguchi,S.andYamashita,T.(2010)"DebtForgivenessandStockPrice ReactionofLendingBank:TheoryandEvidencefromJapan,"ノo曜. ηα1qプF∫ ηαη磁1R6∫6α. κh,. Vol.33,pp.267-287. Lechner,M。(2002)"ProgramHeterogeneityandPropensityScoreMatching:AnApplicationtotheEvaluationofActiveLaborMarketPolicies,"R副6w(ザEcoηo囲c∫. 侃43∫. α耐lc∫,. Vol.84,pp.205-220. Lie,E.(2001)"DetectingAbnormalOperatingPerformance:Revisited,"F'η. αηc'α1ル1αηαg8〃i8η ∫,. Vol.30,pp。77-91. Mitchell,M.L.andStafford,E.(2000)"ManagerialDecisionsandLong-TermStockPrice Peformance,"ノo配rη. α」げB諭. ηθ∬,Vol。73,pp.287-329.. Suzuki,K。(2010)"DotheEquityHoldingandSoundnessofBankUnderwritersAffectIssue CostsofSEOs,"ノo岬. ηα1(ガBα. 脈 加g(隻F'η. αηc6,VoL34,pp.984-995.. Rosenbaum,P。R.andRubin,D。B.(1983)"TheCentralRoleofthePropensityScoreinObservationalStudiesforCausalEffects,"B'o〃. τ α 磁 α,Vol.70,pp。41-55.. Rubin,D.B.(1974)"EstimatingCausalEffectsofTreatmentsinRandomizedandNonrandomized Studies,"/o配rη. α1げE4配co"oη. αJP∫yc々010gy,VoL66,pp.688-701。. (1980)"BiasReductionMahalanobis-MetricMatching,"Blo〃1θ'rlc5,Vol.36,pp.293-298. Zhao,Z.(2004)"UsingMatchingtoEstimateTreatmentEffects:DataRequirements,MatchingMetrics,andMonteCarloEvidence,"R8v癖(ガEcoηo履c3α. η43'o'繍c5,VoL86,pp.91-. 107.. 169(1295).
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