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〈総説〉侵襲性真菌症診断における(1→3)-β-D-グルカン測定の有用性

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侵襲性真菌症診断における(1→3)-β-D-グルカン測定の

有用性

吉 田 耕 一 郎

近畿大学医学部附属病院安全管理部感染対策室

Utility of the(1→3)-β-D-glucan test in diagnosis of invasive fungal infections

Koi

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Yos

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Division of infection control and prevention,Department of Medical safety management,Kinki University Hospital

.は じ め に

免疫抑制療法や移植医療の進歩とともに,免疫不 全宿主に合併する侵襲性真菌症(invasive fungal infection:IFI)の臨床的重要性は高まっている.侵 襲性アスペルギルス症(invasive aspergillosis:IA) や侵襲性カンジダ症などの頻度が高く,このような 合併症の併発は宿主の予後に直結することも少なく ない. わが国の臨床現場にミカファンギンが導入された 2002年以降,いくつかの新規抗真菌薬や既存薬の新 剤型が相次いで臨床応用可能となり,従来と比して IFIの治療成績は改善されてきた.しかし,宿主の基 礎疾患の重篤さと急速に重症化する IFIの臨床的特 徴から抗真菌療法の有効性には大きな限界がある. したがって可能な限り早期に IFIを診断し,適切な 抗真菌薬を速やかに開始することが本症の予後改善 の鍵となる. IFIの確定診断には真菌学的,あるいは病理組織 学的に原因真菌を確認することが重要である.しか し,IFIを発症する宿主の多くは出血傾向や低酸素 血症を伴っており,気管支鏡を用いた肺生検や膿瘍 穿刺などの侵襲的検査を積極的に実施することが困 難な症例が少なくない.また,血液培養の陽性率も 低く,真菌学的に原因真菌を 離・同定することは 容易でない.そこで,臨床現場では血清診断法を応 用して確定診断は得られないまでも早期に IFIの臨 床診断を行い,早期治療開始に導く工夫が行われて きた.日常診療で IFI診断に 用可能な血清診断法 には(1→3)-β-D-グルカン(β-D-グルカン)やアス ペルギルスガラクトマンナン(GM)抗原,カンジダ マンナン抗原,クリプトコックスグルクロノキシロ マンナン抗原などがあげられる.この領域での血清 診断法とは,必ずしも血清学的手法を用いた検査だ けではなく,主として血清中に真菌の菌体構成成 を検出しようとする検査を指している.これらのう ち,この 説では β-D-グルカンに焦点をあて,測定 原理や開発の歴 ,臨床成績や β-D-グルカン測定 を応用する際の注意点などを概説する. . -D-グルカン測定キット開発の歴 1995年に過塩素酸処理-発色合成基質エンドポイ ント法による最初の β-D-グルカン測定キット(フ ァンギテックGテスト:Gテスト)がわが国の生化 学工業により開発された.本キットは Obayashiら により感度90%,特異度100%と報告され IFIのスク リーニング法として高く評価された.しかし,Gテ ストは測定値が ST合剤の影響を受ける上,検査手 技が煩雑で大量検体処理には不向きであった.この ためより簡 に操作可能で測定時間も短縮されたア ルカリ処理-発色合成基質カイネティック法(ファン ギテックGテスト MK:MK法,生化学工業)が 1996年に後継キットとして開発された.MK法は一 度に多くの検体処理が可能であり,β-D-グルカン測 定依頼数の限られる病院検査室での 用よりも商業 検査センターでの 用に適しており普及した.一方, β-D-グルカン測定には IFIの迅速診断法としての 期待も大きく,院内で直ちに β-D-グルカン値を測 定し結果を報告できるキットが望まれた.そこで1 検体ずつ測定可能なアルカリ処理-発色合成基質エ ンドポイント法(ファンギテックGテスト TE,生化 学工業)が開発されたが臨床現場への普及は限定的

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であった. MK法には測定妨害因子の除去目的で,検体の前 処理としてアルカリ処理法が採用されている.この 方法は簡 な前処理法であるが,私たちは検体によ っては β-D-グルカン以外の非特異的な反応が生じ ることを明らかし,偽陽性の頻度が高いことを指摘 した .この傾向は特に溶血検体や高 γグロブリン 検体で顕著に認められた.そこでアルカリ前処理液 の組成を改良し ,2005年7月以降は改良アルカリ前 処理液が適応されることとなった.これにより,従 来の MK法と比して,改良後の MK法で見られる 非特異反応は減少し特異度が向上した . 他方,和光純薬により希釈加熱-比濁時間 析法 (β-グルカンテストワコー:ワコー法)が,簡 な操 作で汚染の機会を減らした1検体処理用の試薬とし て1996年に開発された.ワコー法は院内での検査に 適した試薬であり,商業検査センターよりも大病院 の検査室に多く導入された.次いで希釈加熱-発色合 成基質エンドポイント法(β-グルカンテストマル ハ:マルハ法,マルハ)が2001年に承認され,臨床 現場で 用されてきた. これまでに複数の β-D-グルカン測定キットが国 内で開発されてきたが臨床現場で主として用いられ てきたのは MK法とワコー法であり,一部の検査セ ンターではマルハ法も採用されていた.後述するよ うに β-D-グルカン測定はリムルステストを用いる ため,主剤の原料としてカブトガニが 用される. MK法とマルハ法では 中 国 産 カ ブ ト ガ ニ Tachy -pleus tridentatus を,ワコー法では北米産の Limlus polyphemus を 用していた.しかし近年,中国産の T. tridentatus の入手が困難となり,マルハ法は2011 年,MK法は2012年に供給が停止された. 現在,国内では ワ コ ー 法 と,北 米 産 の L. poly -phemus を 用した新しい β-D-グルカン測定キッ ト,ファンギテックGテスト MKⅡ「ニッスイ」: MKⅡ法,日水製薬)の2キットを 用可能である. MKⅡ法は2012年に導入された MK法の後継キッ トであり,カブトガニの血球抽出液(ライセート) が異なる以外は MK法と同様のキットである.

他方,米国ではファンギテル(Associates of Cape Cod)が開発されている.アルカリ前処理を行いカイ ネティック比色法で測定するキットで MKⅡ法と ほぼ同様のキットと えてよいが基準値が異なって おり,現時点で国内での 用はできない. . -D-グルカン測定の原理 β-D-グルカン検査キットにはリムルステストが 応用されている.リムルステストとはライセートが エンドトキシンや β-D-グルカンに反応して凝固す ることを応用した検査法である.図1にリムルステ ストの反応カスケードを示した.カブトガニのライ セートにはエンドトキシンに反応するC因子と β-D-グルカンに反応するG因子が存在する.エンドト キシンはC因子を活性化し,活性化C因子は次の段 階でB因子と反応して活性化B因子を惹起する.一 方,β-D-グルカンはG因子と反応し,活性化G因子 を惹起する.これより下流は双方に共通の反応系で, 活性化B因子,および活性化G因子はそれぞれ凝固 酵素前駆体(proclotting enzyme)を凝固酵素(clot -ting enzyme)へと活性化する. この後の β-D-グルカン値の実際の測定方法は各 キ ッ ト に よ り 異 な る.MKⅡ 法 で は clotting enzymeが発色合成基質を加水 解し,黄色のパラ ニトロアニリンが遊離される.この反応を止めずに カイネティック法で比色定量して吸光度変化率を測 定することにより β-D-グルカン値を算出する.一 方,ワコー法では,coagulogenが clotting enzyme によって coagulinへと濁りを伴ってゲル化する.比 濁時間 析法によって,反応液があらかじめ設定さ れた濁度に到達するのに要した時間から検体中の β -D-グルカン量を測定する. 患者から採取された血液検体中にはリムルステス トの妨害因子となるさまざまな蛋白質やエンドトキ シンが含有されている可能性がある.この状態でリ ムルステストを実施しても正確な β-D-グルカン値 は算出されない.そこで正確な β-D-グルカン値を 測定するために,MKⅡ法ではあらかじめライセー トからエンドトキシンに反応するC因子を除去して いる.さらに検体にアルカリ前処理を行いプロテア ーゼなどの反応阻害物質を失活させる.また,ワコ ー法では検体を界面活性剤とポリミキシンBを含む 前処理液で希釈し,70℃で10 間加熱することによ 図 リムルステストの反応カスケードと各キット の測定法

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り,検体中の反応阻害物質とエンドトキシンを不活 性化する. 国内で臨床 用されている β-D-グルカン測定キ ット2種と米国のファンギテルの仕様を表1に示し た. . -D-グルカン測定の臨床的有用性 IFIの臨床診断に β-D-グルカン測定を応用し,そ の有用性を評価した論文は多い.Pickeringら は侵 襲性カンジダ症患者と菌血症患者, 常人を対象に ファンギテルの性能を評価し,感度,特異度,陽性 予測値,陰性予測値がそれぞれ,93.3%,77.2%, 51.9%,97.8%であったと報告している.また,GM 抗原陽性検体32検体中31検体で β-D-グルカン陽性 (≧80pg/mL),GM 抗原陰性検体32検体中9検体で β-D-グルカン陽性,22検体が陰性(<60pg/mL), 1検体では判定保留(60-79pg/mL)であったと述べ ている.他にも比較的良好な成績を示す論文が多い. 一方で造血幹細胞移植後の患者の IA診断におい て,感度27.2%,特異度94.4%,陽性予測値6.2%, 陰性予測値93.7%であったとする Metanら の報 告もある.Theelと Doern は 説の中で β-D-グル カンに関する臨床成績をレビューし,感度,特異度 はそれぞれ38-100%,45-99%,陽性予測値,陰性予 測値はそれぞれ30-89%,73-97%と論じており,報 告によりばらつきが大きいことを示している.個々 の報告により β-D-グルカン陽性判定基準の設定, 対象患者とコントロールの設定,IFIの診断基準,基 礎疾患, 用した β-D-グルカン測定キットなどの 違いがあるため,β-D-グルカン測定の評価に差異が 生じたものと えられる. また,メタ解析の報告も少なくない.Karageor -gopoulosら は16編の論文を対象としたメタ解析 の結果,IFI全体での感度,特異度は76.8%,85.3%, summary receiver operating characteristic(ROC)

curveの area under the curve(AUC)は0.89であ ったと報告し,IFI診断における有用性を示した.ま た,Luら は13報をメタ解析し,感度76%,特異度 85%と報告している.さらにこのサブグループ解析 で血液内科領域の患者や,β-D-グルカン値が連続2 回陽性であった場合に侵襲性アスペルギルス症にお いて特異度が98%に上昇すると論じている.一方, Onishiら は12のニューモシスチス肺炎(PCP)と 31の IFIの β-D-グルカンに関する成績をメタ解析 し,PCPにおける β-D-グルカンの感度,特異度, ROC曲線の AUCをそれぞれ,96%,84%,および 0.96,IFIにおいてはそれぞれ,80%,82%,0.88で あったと報告し,特に PCP診断における β-D-グル カン測定の有用性を強調している.さらに Houら は11報の成績をメタ解析し,感度75%,特異度87%, ROC曲線の AUC0.89と報告し,β-D-グルカン測 定が IFIのスクリーニングに有用であると論じてい る.IFIの早期診断において,β-D-グルカン測定は メタ解析の結果でもおおむね良好な成績が示されて おり,臨床的に信頼性の高い検査と位置づけること ができるであろう.ただし,これらのメタ解析で検 討された論文は様々な β-D-グルカン測定キットを 評価したものである点に注意しておく必要がある. 現行のキットは各々に仕様が異なることから感 度,特異度など臨床的性能に差があり,基準値も異 なっている.著者らは以前,国内の MK法,ワコー 法,マルハ法,および米国のファンギテルの成績を 比較した のでその成績を表2に示す.ワコー法と マルハ法は特異度は極めて高いが感度は劣る結果で あり,MK法は特異度より感度が優れた成績であっ た.特性の違いに優劣をつけることは難しいが,可 能な限り早期に抗真菌薬を開始すべき IAを扱う血 液内科領域と,正確な診断のもと長期間の治療を要 する慢性肺アスペルギルス症を診療する呼吸器内科 領域では,それぞれの領域に適したキットは自ずと 表 β-グルカン測定3キットの仕様 MKⅡ法 ワコー法 ファンジテル 承認国 日本 日本 米国(FDA) 承認年 2012年 1996年 2004年 測定原理 カイネティック比色法 カイネティック比濁法 カイネティック比色法 検体 血漿・血清 血漿・血清 血清 検体前処理 アルカリ法 希釈加熱法 アルカリ法 標準品 パキマン カードラン パキマン

主剤原料 Limulus polyphemus Limulus polyphemus Limulus polyphemus

カットオフ値 20pg/mL 11pg/mL 80pg/mL

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異なるであろう.一方,MKⅡ法の臨床研究は十 でなく,現時点では感度,特異度は明らかにされて いないが,基礎的検討では MK法での測定値と良好 な相関を示しており ,MK法と同等の臨床成績 が得られるものと推測される.β-D-グルカン測定は 用するキットにより,得られる数値が異なってく るので,各キットの特徴を知った上で結果を評価す る必要がある. また,β-D-グルカン測定のタイミングや頻度によ っても成績は変化する.血液悪性腫瘍の化学療法後 や造血幹細胞移植後など深在性真菌症のハイリスク 時期には,β-D-グルカンを週に2回程度の頻度で定 期的に測定することで高い特異度や NPVを期待で きるとする報告 もある.症例を選んで β-D-グルカ ン値をモニタリングすることは臨床上,有益である と えられる. . -D-グルカン測定における偽陽性 β-D-グルカン値測定は様々な要因で偽陽性を生 じ得る.これには環境や医療材料,薬剤などに含有 される β-D-グルカン汚染による偽陽性と,前述し た β-D-グルカン以外の非特異反応による偽陽性が ある.以前の MK法で見られた非特異反応に由来す る偽陽性は改良で少なくなり ,MKⅡ法に引き継が れたが,現時点は MKⅡ法の感度・特異度,非特異 反応出現頻度などに関する臨床検討成績はまだな い.また症例によっては,ワコー法,MKⅡ法のい ずれにも,原因不明の偽陽性が認められることがあ る.したがって臨床所見や経過に合致しない β-D-グルカン値が得られた場合には,採血手技,検体移 送,また宿主の状態や基礎疾患などを 慮して,得 られた β-D-グルカン値が臨床上,信頼できる数値 か否かを吟味する必要がある.表3に現時点で判明 している β-D-グルカン偽陽性の要因をまとめた. .気管支肺胞洗浄液中,髄液中 -D-グルカン 測定の意義 近年,β-D-グルカンを気管支肺胞洗浄液(BALF) 中に検出する試みが行われているが良好な成績は得 られていない.Mutschlechnerら は臓器移植後の 患者の侵襲性真菌症の診断に BALF中 β-D-グル カン測定を試み,特異度と positive predivtive val -ueの低さを強調している.また,Roseら も IPA を含む侵襲性真菌症における BALF中 β-D-グル カン測定の特異度の低さを示している.これらはい ずれもファンギテルの成績であるが,β-Dグルカン は広く真菌種に反応するため,特異度や PPVが低 値となる可能性が高いと えられる.私たちも以前, ワコー法,およびマルハ法による BALF中の β-D-グルカン測定を試みた.しかし,添付文書にしたが った通常の測定方法では添加回収率が低く,算出さ れた β-D-グルカン値は低値となった(データ未発 表).ファンギテルに関するデータは持ち合わせてい ないが,蛋白含有量の少ない BALFを検体とした場 合,血液検体を対象として開発された現行の各測定 キットで β-D-グルカン値を正確に測定できるかに 関する基礎的な検証は十 になされていない.現時 点では臨床現場における BALF中 β-D-グルカン 測定の応用は慎重であるべきであろう. 一方,髄液中 β-D-グルカン測定は真菌性髄膜炎 の臨床診断に有用とする報告がある.Lyonsら は クリプトコックス以外の真菌性髄膜炎の患者におい て髄液中 β-D-グルカン値が血清より約25倍高値と なることを示している.また,Litvintsevaら は Exserohilum rostratum による髄膜炎のアウトブレ イクを通じて,108例の確定診断例および臨床診断例 と66例のコントロール群から採取した髄液で β-D-グルカンを測定し,基準値を138pg/mLとした場 合,感度100%,特異度98%であったとし,髄液中 β -D-グルカン値の推移は臨床経過を反映していると 報告している.また,Rheinら は HIV感染者のク リプトコックス髄膜炎症例でも髄液中 β-D-グルカ ンが高値となり,基準値を80pg/mLとした場合,感 度89%,特異度85%,PPV92%,NPV79%と報告 表 各 β-グルカン測定キットの性能比較 感度 特異度 PPV NPV MK法 75.0% 91.6% 52.9% 96.7% ワコー法 41.7% 98.9% 83.3% 93.1% マルハ法 41.7% 96.8% 62.5% 92.9% Fungitell 83.3% 92.6% 58.8% 97.8% 基準値 MK法:20pg/mL,ワコー法:11pg/mL,マル ハ法:11pg/mL,Fungitell:80pg/mL 文献14より引用 表 β-D-グルカン測定における偽陽性の主な要因 ・セルロース系透析膜による血液透析を施行中の患 者 ・アルブミン製剤,グロブリン製剤 用 ・レンチナン,シゾフィランなどの β-D-グルカン 製剤 用 ・外科系処置におけるガーゼ 用 ・ Alcaligenes faecalis 敗血症患者 ・測定中の振動(ワコー法) ・高度溶血検体,高グロブリン検体で生じる非特異 反応 ・環境中の β-D-グルカンによる汚染

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し,血清中 β-D-グルカンの感度79%,特異度61%, PPV61%,NPV79%より優れた成績であったと述 べ,予後予測にも有用である可能性を論じている. これらの報告はいずれもファンギテルを用いた検 討であり,国内のキットの成績ではないが,髄液中 β-D-グルカン測定には一定の臨床的有用性がある ものと えられる. .お わ り に わが国で開発された β-D-グルカンの測定キット は IFIのスクリーニング検査として有用であると思 われる.海外でのエビデンスも多く報告され,現在 では国内のみならず欧米の IFI診療のガイドライン でも推奨されている.多数の症例を対象として検討 した β-D-グルカンの評価は有用性が高いとするも のが多い.しかし,個別の症例を見た場合,原因不 明の偽陽性の問題は解決されてはおらず,逆に偽陰 性を示す症例に遭遇することもある.得られた β-D -グルカン値をいかに評価して臨床判断に役立てる かは主治医の臨床力にも大きく左右される. β-D-グルカン測定は補助診断法である.この数値 のみで重要な臨床判断を行うのではなく,患者の臨 床背景や基礎疾患, 用されてきた薬剤,症状・所 見や画像,他の補助診断法などを併せて 合的に臨 床判断するための1つのマーカーに過ぎない.真菌 学的検査や病理組織学的検査の代替法ではない点を 改めて強調しておきたい. 文 献

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