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「認知的不協和」と態度変容の関係 -"強制承諾"場面における態度変容研究を中心に-: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

「認知的不協和」と態度変容の関係 −"強制承諾"場面に

おける態度変容研究を中心に−

Author(s)

新垣, 和子

Citation

沖大論叢.人文科学・社会科学・自然科学・英語英文学 =

OKIDAI REVIEW OF ENGLISH AND GENERAL

EDUCATION, 1(1): 57-79

Issue Date

1975-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/10602

(2)

「認知的不協和」と態度変容の関係

一一、強制承諾、場面における 態度変容研究を中心

κ

も 〈 じ

は じ め

κ

……… 58 1. 理論的見解の相違 ……… ;59 a)認知的不協和理論の立場 ………...・H ・-…..……… 59 b)誘因理論,強化理論,一致理論の立場 ……… 61 2. 実験手続上の差異 κ よ~結果の対立 ……… 62

3

.

両立場の関連化と統一的解釈の試み ……… 64 4. 不協和生起条件の限定化と不協和効果の代替解釈 …...・H・..…… 65 a) Brehm, Cohenの修正論 ………・・・・・……… 66 b) Aronosn, Bramel, Collins の修正論 ……...……… 66

c) Bem, Kelley の At~ribU七ion 理論……・・・……H・H・……… 68

5. 考 察 ………...……・・・……・…・・……・・・……… 69 a)不協和発生条件としての行動決定の自由と結果の嫌悪性…… 69 b)嫌悪的結果の認知時期と不協和発生 ……・・…・・……・・…… 72 c) Attribut ion理論への批判 ……… 72 6. 要約と結論 …・

.

.

t

.

.

……・....・H・…………・・・……… 74

- 5

7

(3)

はじめに

人聞は普通自己のもつ信念・態度と一致するような仕方で行動するもので ある。しかし,もし人聞がある事柄についての自己の信,念・態度と矛盾する ような行為を自ら,あるいは外部からの圧力でした場合,その矛盾をどのよ うに処理していくのであろうか。 Fe s t i nge r ( 1 9 5 7 )は,乙のような 矛帽の心理学的重要性 K関して理論づけ,その矛盾が生み出す心理的緊張の ー軽減方法として態度変容が生起するζとを提言している。意見・態度と行 為聞の不一致とそれから誘起きれる態度変容との関係については,Festinger の理論以前ILKelman, (1 9 5 3) VC:よって,初めて実験的研究がな され,その結果は,私的意見と一致しない公的発言をした場合,その行為の ために得ちれた報酬の量じ公的

κ

発言した方向への意見変容度は逆比例的 関係になる乙とが示された。その後Fe s t Iinge r & Ca rlsrn i t h (

1

9

59)

によってより明確な実験操作に基づく検証がなされている。それ以来, Fest i ngerの認知的不協和理論は,大別して, 1 )行動決定が自由選摂で ある場合(FreeーChoice),2)反態度的行動の承諾が強制的である場合

( ForcedーCornpliance),3)情報への接触が可能な場合(E玄pO.Sure to Informa七ion)の三側面から多くの検証が試みられてきたが,特 1,:1 噴 制 承 諾 (ForcedーCO岬

1

iance) ..に関する諸実験結果は必ずしも不 協和理論の立場を支持するものではない。実験手続きの如伺 Kよって対立する 仮説をもっ強化理論,誘因理論の立場を支持する結果を示すものもあり,両立 場とも追証の結果,部分的に支持されながら長年論争が続けられた。しかし, 近年になって, Freedrnan (

1

965

)による不協和と誘因(賞)との相対 的強度の競合関係という観点からの態度変容に関する統一的解釈,

Bem (1

967)

やKe

1

1

ey

(1 9

6

7

)らによるAttr ibut ion理論の立場から

の代替解釈,そして Rrp.hrn (

1

962

), CO llin明(1

967)

等の不協 和発生条件の限定化の試みとその検証がなされている。

(4)

本稿では, ‘強制承諾、研究を中心Il:..態度変容に関する種々の理論的見 肱実験結果の差異を比較しながら.

r

認知的不協和」と態度変容の関係を 検討していきたい。

L

理論的見解の相違

a)

寵知的不協和理論の立場 F estinger ( 1 9 5 7 )の認知的不協和理論によれば. 2つまたは 2つ以 上の認知あるいは認知的要素(Cognitive el田 阻ts)一自己の環境,自己 自身,あるいは自己の行動に関するあらゆる知識,意見,信念,態度一聞は 関連があるか,あるいは関連がないかのいずれかで,それらの認知聞に関連 がある場合,すなわち,相互作用をもっ場合K認知的協和(o<ms駒 田nt)関 係ー互いに支持し合い,まとまりをもっ場合ーか,あるいは認知的不協和 ( disstinant )関係ー互いに矛盾する場合ーが生ずるというのである。特 に

2

つの認知聞に不協和関係が存在する場合,心理学的重要性をもつのであ る。 不協和関係というのは.

r

関連のある

2

つの認知要素において.

1

つの要 素の逆の面が他の要素から帰結される場合」をいう。例えば.

r

私は雨の中 を傘をきさないで立っている」という認知と.

r

私の服凶ぬれていない」と いう認知とは不協和関係にある。 ζのような不協和の存在は心理学的に不快 であるからそれを除去または低減する方向へ人を動機づける。それは「飢 , え

J

r

渇き」と同様』ら認知的不協和関係の存在がそれ自体

1

つの動機づけ となれ丁度「飢え」がそれを減少する方向に活動を導くように,不協和の 存在はその除去または低誠の方向に向かう活動へと導〈先行条件となる。 ζ のように,不協和の存在は,協和的関係を獲得し,維持するために不協和を 軽減しようという試みだけでなく. ~らに不協和を増大させるような状祝や 情報を回避する方向へ導〈のである。したがって,不協和関係の存在は行動 の変化か,環境に関する認知の変化,あるいは不協和を低誠させるような新

- 5

9

(5)

しい情報や意見の付加等の一連の行動を引き,起とすととになる。 とのような不協和低械の心理過程を実験的に検証するには,まず自己のも つ知識や臆見・態度と自己のなす行為との聞に一定の不協和的関係を作り出 すζとが必要であるが,それは適度の賞罰を用いて,私的意見と一致しない 意見を公的に発言させるよう誘導するととによって可能である。その時,そ の人が最初の私的意見や信念を持ち続けている限り,自己の信念や意見につ いての認知と矛盾した行動についての認知とは不協和的関係になる。生起す る不協和の大きさは不協和関係にある認知要素の重要性の関数であり,要素 が本人にとって重要で,より関連性が強<.より高〈価置づけられている程, それらの要素聞の不協和の大ききは大となる。不協和関係を引き起ζすに足 る賞罰の量は,そ乙 K含まれる不協和の認知要素の重要性 K依存し,そとに 含まれる意見の重要性が本人にとって大であればある程,反態度的行動を引 き起ζさせるのに必要な賞罰の大きさは益々大となり,その際生ずる不協和 の大きさもまたそれだけ大となる。意見の重要性を一定にし,賞罰の大きさ を変数と考えた場合,不協和の大きさは,賞罰の大きさと負の関係を示す。 すなわち,賞罰の大きさが減少すれば反態度的行動の結果として生ずる不協 和は増大し,その賞罰が反態度的行動を引き起ζすに足るだけである場合, 不協和は最大となる。不協和を低減させる圧力は,現存する不協和の大きさ に依存するため,賞罰が比較的弱い時の方が不協和低減の一方法としての私 的意見の変容が起とりやす〈なるといえる。賞罰の減少によって,自己の矛 盾した行動を自ら納得させるような正当性,あるいは合理性が減少するから である。したがって,不協和を生起させるための賞罰の大きさと惹起された 不協和を低誠する方法としての態度変容とは逆比例的関係を示すζとになる。 また,もし賞聞が私的意見と矛盾するような行動を承諾させるのに不充分 である場合は,私的意見についての認知と外面的行動についての認知とは協 和的関係にあるが,賞を断念したり,罰を甘受したりするというととについ ての認知とは不協和的関係にあるので,その不協和を低減する方向へ行動が 動機づけられるζとが考えられる。との場合は,私的意見と外面的行動とは

(6)

一致しているので,私的意見の変容は起乙らないが,その代り,その他の不 協和軽減方法が適用されるζとになる。その方法として外面的行動(

r

承諾 しないJ)との協和を→冒増大させていくζとが考えられる。換言すれば, 最初0.)信念・態度を一層強化させていくか,あるいは賞罰の重要性巻過小視 する乙とによって不協和を軽減しようとする。乙の場合,不協和の大きさは 賞罰の大きさが増大するにつれて増大する。本稿では,自己の信念・態度と 矛盾するような行動が生起した場合の処理法を考える。 判 誘 因 理 論 ・ 強 化 理 論 ・ 一 致 理 論 の 立 場 誘因理論(Janis& Gilmo,re., 1 965),一致理論(Ro senberg, 1965),強化理論(Skinner)の立場は,自己のもつ意見・態度と一 致しない行動をした場合,それに対する誘因("incenthe)が大きければ, その結果生ずる態度変容度も比例的に増大する乙とをその仮説としている。 蜘 senberg( 1965)によれば,反態度的行動を引き起とすに必要な報 酬はその量の増大に伴って新しい認知要素の発展と安定性に積極的効果を及 ぼすのである。反態度的行動を引き起ζすととについての期待は

1

つの誘因 として作用し,したがって,反態度的行為に関する新しい認知要素を支持す る方向へ態度を促進するのである。すなわち,報酬の受容は反態度的認知要 素の内面化を助長する強化因子として作用するのである。

J ani s &

G

.ilmote( 1 9 6 5 )もR阿 enbergと類似した見解に立ち,

態度変容は正の誘因と負の誘因との葛藤を含む過程であり,両者のうち,前 者が「自己説得J (self -persuasion)に重要な役割を果たすζとを 主張しているυ すなわち,人聞は個人の信念・態度と矛盾するような行為を するととを受容した時,即時的K自己のなした行為K有利な口実となる根拠 ( a rguments )が何であるかを考え出いそれにより注意を払い,そして 同時に,自己のなした行為に対立すると恩われる不利な根拠を抑圧するよう に動機づけられる。 ζの偏行走査l(.biased scanning)が自己の行為に対 する宵定的根拠を生み出すととを促がし,したがって,新しい態度を受容す る程度を高めていくのである。但し,もし反態度的行為への誘導者がその社 ' A 氏 V

(7)

会的地位の低さ,あるいは私利的行為のために,被誘導者に負の誘固として 受け取られる場合は逆に妨害反応を誘発し,したがって態度変容の生起も期 待きれない。 強化理論(道具的学習理論)の立場もまた,大きい正の誘因は小さ川誘因 よりも態度変容を促進するととを示唆している。すなわち,ある行動を誘発 する賞側側亡伴って比伊酌

K

趨変変容度も増加していくととをその偏見としている。 乙のよう』ζ,両理論の立場は,報酬の量と反態度的方向への態度変容との 関係について全く逆の仮説を立て,今日まで実験的研究を数多くしてきたが, その検証結果の紹介,比較については次項(

2)

にゆずるζととしてとζで は両立場の理論的相違を述べるζとにとどのる。

Z

実験手続き上の差異による結果の対立

態度変容と誘因(賞)の大きさとの関係について.Klelman ( 1 9 5 3 ) は,中学

1

年生を被験者として,ある種の面白くない慢画の本について別の被 験者に興味をもたせるような文章を書くように賞を与えるとと陪よって誘導 した。実験群は賞の量化よって高誘因グループと低誘因グループ区分けられ た。結果は,低誘因グループの方が高誘因グループより色態度変容度が高し Festingerの不協和理論の立場と一致するものであったが,反態度的行動 の承諾に応じた者の多くが低誘因グループから出ているたの,誘因の大きさ

と態度変容度の関係を示すには明確さを欠いた。その後.Fest inger

&

C arl smit h ( 1 9 5 9 )によってK.elmanの実験と類以した実験が行なわ れた。被験者に退屈な単純作業をさせた後.

ζ

r

の作業は面白い」という本 心とは反対の発言をもう

1

人の被験者の前でさせ,その報酬として

1

ドルを 与える場合.

2

0

ドルを与える場合と反態度的発言方向への態度変容度を比 厳した。その結果は.

1

ドルを与えられたグループが

20

ドル与えられたグ Jレープより色公的発言方向へより態度変容するζとを示した。 Festinger

(8)

&Carlsmithの実験結果は,不協和的関係を生起するための賞の大きSと 不協和低減方法としての反態度的発言方向への態度変容が負の関係になると いう不協和理論の立場を支持しているが,反態度的行動を誘起するための賞 の大きさに関して.

2

0

ドルは過度に大きくて,被験者に罪悪感,疑惑感ー あるいは態度変容を妨げる他の反応を生起きせ,したがって.

2

0

ドルグル ープが態度変容を示Sなかったのは当然であるとの実験手続き上の批判があ ぴせられた。れで.Brehm & Cohen ( 1 96 2 )は,賞の量を50

セント. 1ド)11. 5ドル. 1 0ドルに細分化し.Festinger & Carl smi thのと類以した実験デザインで不協和効果が支持されるζ とを験証し ている。

ζれらの諸実験結果に基づいて,度態度的行動後の態度変容の程度と誘因

強度との関係について,不協和理論の立場からの解釈と一般化が試みられた が,その後の対立する強化理論,誘因理論の立場からの検証結果は,それに 一種の疑問を投げかけた。 Elms & Janis ( 1 9 6 5 )や ~osenberg

( 1965)は反態度的行動が役割によって演じられる場合(~öle -Iplay, ing) のその誘導者の性格,賞の大きあ反態度的行動の仕方(公的か, 受身か)等の要因によって態度変容度も異怠るであろうとの観点から,それ らを変数として実験デザインし,その結果は誘因理論の仮説通仇賞の大き さと態度変容度は正関係になるととが示された。しかし.El

m

.

s & Janis の研究K於ては統計的念有意差は認められなかった。誘因効果に関して は. RJo'senbergの研究が実証しているが,その他.Collins ( 1 968)

Ho

rnbeck( 1 968 )の研究によっても誘因・強化理論の立場は指示され ている。しかし.Nuttin(1965)によるRosenbergの追研究は Rosen-bergの結果と一致する程に致っていない。また, Ashm.ore & 001工ins

(1 9 6 8)

Ashm.ore"

C

l

od 1 ins. Hornbeck & Whi tneyy (1968). Collins & Ash時 間 (1 9 6 8 ). Co 11 i ns & Helmreich ( 1 9 70)等の実験結果は統計的に何の関係も示していない。

Carlsmith. Collins & Helmreich ( 1966)は, ζれらの

q d

(9)

実験結果の対立原因を明らかにするために各立場を支持する実験条件をすべ て

1

つの実験デザインの中に組み入れて実験している。被験者に本心に度す る主張をさせる乙とによって不協和的関係を生起きせ,その場合,反態度的 行動の仕方として,圏名で小論文を書かせる場合(Essay - group) と公的発言をさせる場合(Face - tO -Face gr倒 的 と を . 50セ ント. 1ドJV

5ドルの賞の下で

H

殺した。その結果, Es sayグループで は,賞の大きさと反態度的行動方向への態度変容度は正,あるいは直接的関 係(誘因,強化効果), Fl1ceー to- Face ク・ループでは両者は負の関 係(不協和効果)を示している。しかし,後の研究では.Collins等の研 究結果と必ずしも一致するものではなしそのいくつかは公的に高いコミッ トメントの条件下では,反態度的行動の仕方如伺に拘らず,賞の大きさと態 度変容度は比例的』となるととが示されている。一方, Linder, COoper &

]One s ( 1 9 6 7 ), Bre加1& C Qhen ( 1 9 6 2 )の研究は反態度的 行動の選摂の自由度が高いグループが低いク・ループに較べて態度変容が起と

り易いことを示している。また, Aronson & Carlsmith ( 1963) Freedman( 1 965). Turner & Wright ( 1 9 65).αapaniS

& C hapan i s( 1 9 6 4 )等による反態度的行動への圧力の強さと態度 変容量との関係Kついての研究結果は.Linder et al.. Brehm et alのそ れと一致しており,反態度的行動決定の自由が不協和の大きさを規定する重 要な要因の

1

つであり,したがって態度変容にも影響を及ぼすζとが示唆さ れている。行動決定の自由と不協和発生との関係についての詳細は後述する。

a

両立場の関連化と統一的解釈の試み

1 959年以来,数多くの研究者によって,主として認知的不協和理論の 立場から ‘強制承諾‘研究の実験的分綜がなされ,態度変容に関する不協 和効果,誘因・強化効果の論議が交わされてきたが,前述した通り,両立場 とも部分的にしか支持きれるものでなかった。すなわち,ある状況下では不

- 64

(10)

協和効果が,別の状配下では誘因・強化効果が優勢になるζとが示され,両 効果の逆転現象をどう解釈するかが問題として提起されたのである。その後, 追研究が重ねられるζとにより,不協和低減への軍機づけ色他の賞のような 動機づけと競合関係にある一種の動機づけに過ぎず,それ故,不協和低誠の 動機づけと他の賞のような動機づけとの相対的力の強さによって態度変容が 決定されるζとが見い曲されている。したがって.Freedman ( 1 9 6 3) 等が指摘しているように矛盾する行動の態度に及ぼす影響を掴分に理解する 上で,両アプローチは排斥し合うものとして捉えるべきものではなし関連 し合うものとして一緒に考慮に入れた方がいいように恩われる。両効果の臨 界要因となるのは不協和の存在であり,もしかなりの不協和が惹起されるの であれば,その効果のほとんどは生起した不協和低績に依存し,したがって 不協和効果が優勢となる。また,不協和が相対的にほとんど生起しない条件 下では,その効果は強化または学習に依存し,したがって誘因・強化効果が 個勢になるととが考えられる。とのような見方に立てば,前述の諸実験の対 立結果を統一的に解釈するζとが可能である。つまり,不協和効果を示した のは不協和低誠への動機づけの力がかなり強いたのであると解釈され,また, 誘因.・強化効果を示したのは不協和低減への動機づけの力より色賞への動機

づ7

の力の方がよ

9

強かったためであるという理由

d

対Z成立するoCarlsmi七h Collins & Helmreich (

1

966)

の実験効果はζれらの効果

を最も明確に示していると言える。また.Linder.βooper & J.ones

(1967)

の研究

K

於て色同様な結果が得られた。 乙のよう』む不協和効果,誘因・強化効果のいずれが優勢になるかは不協 和と誘因の相対的強度によって決定され,不協和効果が優勢』となる状況下で は不協和の相対的強度が大でなければならない。したがって不協稚励果を惹 起する認知的不協和が如何なる条件で確実に発生するのかが問題となる。

4

不協和生起条件の限定他と不協和効果の代替

解釈

- 65

(11)

不協和効果に関する研究が重ねられるにつれ.Fes tingerの「認知的不 協和」の概念規定の利膿性が指摘され,さらに不協和発生条件の限定化が 試みられた。 ζの項ではBrehm & Cohen. Aronson .Coll ins ,そ

してB回 .Kelleyらの修正論をみていくととにする。

a

D

EBEHM

&

COHEN

の修正論

Brehm &'C'ohen ( 1 96 2 )は,不協和低誠に於て,行動決定に際し ての自由の程度(cho ice),行動へのコミットメント(CO!lIlDi tment), 事憶(volition)が重要な役割を果たすζとを主張している。 Brehmら によれば,執意は個人の行動結果に対する統制と責任を意味し,それが大き く働けば,それだけ不協和も増大する。 Festingerが不本意の行動であっ てもそれが自己の信念・態度と矛盾すると認知されるならば不協和が生起す るζとを主張しているのに対して.Brehmらは,反態度的行動場面に於け る選摂肢の魅力島賞,罰,努力は,それらが個人の執意』にζある影響を及J す時』

ζ

κ

のみ不協和を慧起する乙とを指摘している。皮態度的行軍訣定例固人の 自由意志にまかせられる時不協和が発生するのは,自己の意志による行動結 果に対する統制と責任がより認知され,経験されやすいからである。 ζのよ うにBrehmらは不協和理論が支持されるのは個人が倒悦行車訣定し,それ 故コミットメントを得るべ〈意志を働かせる場面K限定されると主張してい る。 Brehmらの指摘は.Linder.Coo'Qer &'Jones (196乃,Sherman

(1970)らの研究によってもそ支持されており,行動決定に際しての自由, 執意が不協在住起の重要な決定因の

1

つであるといえよう。

t

t

J

ARONSON. BRAME

1

.

COLL

INS

の修正論 AronsOD , Brame 1 • Coll ins等は, Festingerの「認知的不協糊 の概念規定カ£不明瞭なものとしてそれを修正し,自己のもっ信念・態度と行 動の単なる不一致は不協和を惹起するのに充分な条件ではなく,自己に関す る矛盾した認知の特性が重要であるζとを指摘している(, Ar'onsoD ( 1 9 6 8, 1 9 6 9 ) .;1:,不協和は期待の侵害(V i 0 1 i t i on 0 f E帯哩ct-:.

a

.

n C1.8S)として概念化されるととを述べている。その期待は自己概念

(12)

( self - concept )と関連しており,反態度的行動が個人の自己概念を 破壊するような脅威を与えるととが,即ち自己概念から帰結される期待の 侵害が不協和生起の決定要因である乙とを指摘している。彼の研究では, 自己についての認知(自己概念)と自己概念を侵害する行動についての認知 との聞のずれが存在する時,不協和関係が成立するととが示されている。さ らt,と Ne 1 e t a 1. ( 1 9 6 9 )の研究は個人が反態度的行動を自ら選摂す る時,自己についての期待はより侵害されやすくなるζとを示している。ま た, Bramel( 1 968)は,不協和は現在または過去に於て,他者によっ て自己を拒絶された人格の価置喪失感であり,一種の不安状態であるとして i捉えている。個人が自己の行動に対して個人の責任を感じる時,不協和が最 大になるのは個人による不当行為が意図的と判断される場合,他人から排斥 される度合は最大になるからであると主張している。 C ' ,o 11 i ns ( 1 9 6 7 )も同様な観点から,不協和は個人のなす行為が単 に反態度的か否かというよりも,自己評価(s e 1 f - e s t e em ) 11:脅威を もたらしたれあるいは自己が第三者から客観的にみてその行動が嫌悪的帰 結を伴うかも知れないと判断されるととを認知する時経験怠れると主張し, 態度変容に於て,反態度的行動によって帰結される嫌悪的結果伺重要性を強 調している。 Festinger自身,生起する不協和の大きさは不協和的関係に ある認知要素の重要性の関数であるζとを指摘しており,認知要素の重要度 か胃まれば行動結果の嫌悪度も高まって来るととが考えられるが,認知要素 の重要性についての概念規定が明確ではない。 Col1insは個人が反態度的行動後認知される嫌悪的結果,すなわち自己 内部に責任感あるいは罪悪感が感じられる時不協和を経験し,その心理的不 快さの軽誠方法としての態度変容が起ζるものであるとして,不協和生起状 況を限定じている。もし,自己に責任が帰きれなければ,客観的に高い嫌悪 的結果を伴うと予想される条件下でも,個人は不協和を経験しないし,また, その場合,認知的一貫性(cogniti.ve consistency)を維持するため の修正をする必要もない。したがって,態度変容も起ζらない。個人の行動

-

(13)

67-が嫌悪的結果を伴うと認知され,その責任を自己内部に帰する時だけその外 官ザ

7

動は態度変容を誘起する乙とを示唆している。その責任感情は.Heider

(1957)

が指摘しているよう』ら行動の原因となる外的手掛りのも っ特性の推測,あるいは認知過程から生ずるものであり,個人が自己内部の 一貫性を維持するためになされる自己の行動の合理化は外的手掛りに依存し ている。つまり,不協和関係を生起きせる反態度的行動の後では,その行動 の原因を環境のせいにするか,あるいは自己自身のせいにするか(態度変容) の決定は,環境に存する種々の手掛りの認知の仕方に依存するのである。

c)

BEM

.KELLEY

ATTRI8UTION

理論

Bem{

1965.1967

1968).

Kelley(

1967)

らは認知 的不協和の内的緊張状態に帰せられていた不協和効果は自己婦属(self

-attribution)一個人がある特定の行動をした後では,自己の行動とそれ に先んずる刺激形態を分析する乙とによって自己の私的態度を推則するーの 観点から説明可能であると主張する。 Bem(

1

965

)の自己知覚理論

(se

f-percep

ion)

によれば,自己の信念・態度に反する行動を選摂し た後では,最初自己のもっていた信念はもはや発動する乙とはないし,不協 和的関係も生じない。したがって,最終的な態度はコンフリクトが生み出し た変化を反映するものではなしむしろ,被験者が自己の最終的行動を外部 の観察者が他人の行動を推測する時と同様に彼の前行動とその行動を惹起し た刺激文脈から推測するのである。人聞は自分の内的状態を推測するのであ るが,内的手掛りが暖昧であったり,解釈不可能である時外的手掛りK依存 せねばならない外部の観察者と同じ立場にあるとされる。すなわち,行動か ら¢論理的演揮を意味する。

乙のように.Bem の見解は自己のもっ初期態度( initial attitude) の程度は問題にしないし,またFestingerの強調する認知的不協和のよう な介在変数による勤機的解釈に依らない。したがって,個人が自己の信念。 態度主矛盾する行動をした後では,初期態度と後の行動との不一致の度

(14)

自己のなした行動と一致させる方向へより態度変容を示すととになるζとを 示唆している。すなわち,態度変容度は単に外的手掛りの量Ir逆比例的に依 存するととにする。 また.Kelley ( 1

967

)も同様な知見に立ち,個人の態度,情動,緊 張を他者や自己自身に帰属させる基礎的要因中,強制承諾場面K於ける態度 推測過程を考え渇上で最も関連する要因は‘人物(persons )‘であると とを指摘している。個人がある行動をした後ではその刺激条件で何人の人が 自分と同様な行為をするであろうかというととを自問し,誰もが承諾すると いう他者との合意(consensus )反応としてみなされる場合(応諾に20 ドル与えられる場合)は,自己の態度変容すべき何の情報も与えられないの である。したがって態度変容は生起しない。しかし,自己の行動がユニーク な反応としてみなされる場合(応諾IZ::1ドル与えられる場合)は,自己のな した行動の辻棲か合うように,つまり,他者との合意が成立する方向へ自己 の態度を推測していくのである。したがって態度変容が起ζるζとになる。

&

考察

a

}

不協和発生条件としての行動決定の自由と結果の嫌悪性 ‘強制承諾、研究が重ねられる

κ

つれ,不協和の相対的強度陀よって不協和 の出現が決定されるという柔軟性のある解釈が多くの研究者

κ

よって受容さ れ,さらに,不協和発生条件の確定化のため

κ

不協和理論の修正と実験的分 析が盛ん陀なされてきた。その結果,前述したように.Brehm

&

Cohen に よる行動決定の自由とCollinsによる行動結果の嫌悪性が不協和発生の主 決定因として指摘された。 Cohen ( 1

962)

, Nel, Hel即 eich &

Aronson ( 1 9 6 9 ). Cooper & Worche 11 ( 1 9 7 O. 1 9 7 4 ,)

Goethtals & Cooper( 1

972 )

.

Hoy七;Henley & Coll ins

(

197 2

)等の研究は自己の態度や自己概念と矛盾すお行動が本人の自由 意志Kまかせられ,しかも,それによって嬢悪的結果を伴うと予知出来る時,

(15)

不協和が出現し,したがって自己のなした行為と一致させるべく適当な認知要 素を変えるととによ勺て自己の行動を正当化するであろうζとを示している。 行動遺恨の自由度が高い状況下では,自己の矛盾した行動の魯もその行動結果 が嫌悪的であると認知される時,自己の行動の原因は自己内部に求わられ,そ の結呆不協和への大きさは増大し,惹起した不協和を低誠するたのに態度変 容が起ζるζとになる。しかし,反態度的行動をするととによって不協和が生 起したとしてもその行動決定の自由度が低い場合,すなわち,強制された場合 は,行動の原因を外部に求めるζとによ勺て不協和が軽蹟されるので,態度変 容量は比較的少ないか,全〈ないととになる。その場合において~. ~レ行動 の嫌悪的結果がその個人にとってかなり高く認知されるならば行動の原因は自 己内部に帰されやすししたが勺て態度変容量も増すととになるo不協和生起 原因の

1

っとしての嫌悪的結果を伴うのは他者を説得するのに成功したか,成 功しないにしても説得される相手に対して好意的感情を抱いているか,あるい はその両方が同時に存在するかの場合である

o

それに関しては

Cooper

zanna

&

Goe

hals (

1

9

7

4)

の研究が明示している。 ζのように,不 協和発生に行動決定の自由と行動結果の嫌悪性が重要な要因であるととは前述 した諸実験結果が示す通りであるが,強制京諾場面における不協和効果の出現 を考え合わせると,不協和効果を導くのに

Collins

の指摘する行動結果の嫌 悪性が最も重要な要因と考えられるoすなわちp行動結果の嫌悪度がかなり高 い条件下では決定的に不協和効果が見られ,行動決定の自由の条件が付加され るζとによって惹起きれる不協和の相対的強度も急速に増すと言える。嫌悪性 の認知態度は個人の-自己認識力,自己評価との関わりに依存し,したがって, 不協和発生の介在に於ける自己概念の重要性を見る上で,自己概念を独立変数 とした実験的操作が必要でibると恩われる。

COlline

等の「不協和

J

限 定1 条 件 の 立 場 で 考 え る と , 前 述 し た

Feetinger

等 の 研 究 , そ の 他 E

e

.

a

.

y

方 法 に よ る 態 度 変 容 研 究 効 来 が 不 協 和 効 果 を 示 さ な か っ-たのほ,その

Z

う念反感度的表現方法がその個人にとって自己

-70

(16)

評価を侵害する程の嫌悪性を有さず,したがって,不協和もそれ程経験きれ ないζとになるからであると説明される。それに関して, Collins ( 1 9

69)

は,①匿名のEssay条件下では,書かれたEssayが 聴 取 者 ( audience) ~ほとんど,又は全〈影響を与えないと推論するか,あるいは② 彼らの反態度的Essayを書いたととの責任を実験者に転嫁するととによ守 て不協和発生を回避できたかも知れないと指摘している。不協和の存在しな い状況下では前述したように賞への動機づけの相対的強度が高〈なるため, 誘因・強化効果が優勢となる。 乙のように,不協和発生条件を限定したととの妥当性は確認されているが, uollinsらの研究に於ては誘因強度の変数を含めた充分な実験的分析はな されていな凡そζで, Calder, Ross & lnsko(

1973)

は,誘 因強度(1 ),行動決定の自由度(D),反態度的行動の嫌悪度(c)の交 互作用をみるための実験をし,その結果は,

C

D

と態度変容度との関係は Collinsの不協和修正論を支持する傾向を示しているが統計的に有意では ない。しかし, 1, D, Cの交E何用は統計的に有意差を示している。 Cと Dの両者が高い条件下では, 1と態度変容聞は負の関係, Cが高く, Dが低 い条件下では正の関係が見られ. Cが低い場合は Dの高低如何に拘らず直接 的関係になる乙とが示された。 lnskoらの研究も行動結果の嫌悪性と決定 の自由が同一レベルで不協和発生の重要因子である乙とを示唆しているが, 結果の挽悪度の高低の設置が不明確という問題を含んでいる。 上述のように.Collinsの知見が不協和効果出現の確実性を示唆してい るとはいえ,嫌悪的結果の程度を固定した場合の他の付加的諸条件の不協和 の大きさに及ぼす効果についてのより詳細な実験的分析が必要視される。 Le Ventha 1 ( 1

964

)が作業自体のもっ魅力の如何によって不協和を 生ぜしわるに至る報酬の額は変化すると提言しており,したがって不協和を 惹起する嫌悪性の程度も報酬の大き会によって影響を受けるととになるので, Calder らの実験デザインを修正した上での追試がなされるべきである。 さらに.Co lli nsの不協和発生限定条件に関して言えば,不協和効果を示 唱i

m r

(17)

す原因としての「嫌悪的結果による不快さ」カ喋たして「認知的不協和関係

I

と同一視されるものであるか疑問であり,また,態度変容に関する逆比例的 関係を示す実験結果が真に不協和発生とその低減過程を度映するものである か再検討する余地があるように恩われる。 ー〉 雄悪的結果の毘知時期と不協和発生 嬢悪的結果を伴うあらゆる決定は不協和を惹起し,さらにそれを低競する 試みを導き出すというFestinger & Aronson

(1960)

やCollins

(1969)

の 仮 定K対して, Freedman (

1

9

68)

は嫌悪的結 果の認知時期朴木協和発生を決定するととを指摘している。すなわち,嫌悪 的結果が行動決定以前に判明する時にのみ不協加古生起するのであって,決 定後に判明する場合,すなわち,既成事実(fait accompli)事態では 発生しないと述べている。それに関しては.Cooper & Worchell ( 1

970). Go

ethals & Cooper(

1

972). Ho

yt. Henley & C 0

1

1

i ns (

1

9

7

2

)によっても検証されている均九 Coope局 Z.anna &

Go

ethals( 1 9 74)の研究は,不快な結果の予知が可能か苔かに拘らず, 不協和効果か

1

現われるととを明らかにしている。また.S herman

(

1

9

7

0

)

.

比行動決定への自由度が高い場合には,既成事実の事態でも不協和効果が 発生するζとを実証しており,橋本・高田

(1973)

の研究においては, 行動〈作業〉が極のて不快な結果を伴うものである場合にはその符動の正当 化の時期に関係な〈不協和効果を示し,行動がそれ麗不快なものでなければ 行動決定以前広正当化が与えられる時にのみ不協和効果カ鳴られた。 ζれら の研究結果から,不協和効果はある行動によって帰結される嫌悪的結果がそ の行動の決定以前に認知されるか,以後に認知されるかというζとよりも, 行動結果の嬢悪度と行動決定の自由との相互作用に大きく依存しているとい える。しかし,決定の自由と結果の嫌悪性を固定して考えた場合は,認知時 期か不協和の大きさ,したがって態度変容量に影響を及ぼすζとが考えられ る。

e)

ATTR

I

8UT ION

理論への批判

(18)

Bem

Kelley

Attribution

理論は報酬と館度変容との負の関係を 「認知的不協和」のような動機による解釈によらず,行動からの議婚による 自己帰属仮説(

S

e lf -

Att

r i

b

;ut i

on

)に基づいて解釈しようとするも のであった。したがって,彼らの知見K於ては,自己の初期態度の認知は重 視されないし,不協和効果は単に外的手掛りの量によって説明される。

Green (

1

9

7

4

)は

B

阻 と

Festinger

の解釈の相臭を検討するたの 民初期態度の程度(渇水準を用いる)と強制承諾への誘因水準の効果を実 験している。その結果は, Bemの仮説は統計的にほとんど支持きれず,不 協穂妙子析の方がより適切であるζと を 示 し て い る 。 ま た

Cooper

&

Worchell

(1970)

による

Ke

1

1

ey (

1

9

6

7

)の通研究では行動結果の 嫌悪度が高いク・ループと低いク・ループに本心と相反するζとを他者に説得さ せた。その場合,両グループとも同様に行動選摂の自由と最小限の報酬が与 えられた。

Kelley

の見地からすれば,両グループとも誘因強度が低い場面 に置かれているので,応諾した被験者は両グループとも彼らの度態度的行動 をユニークなものとみなし,両ク・ループとも同様に態度変容の惹起が期待さ れるが,

Cooper

らの実験では嫌悪的結果を伴うグループだけに態度変容 の生起がみられたのである。

さら1rC,A七

tri

bU七

ion

理論の観点

K

立てほ,

F

間七

inger

のいう

f

認知不協和

J

の概念陪導入する必要がないので,行為者の態度変容の恒芳と観察者の行為者の態度変 容の位方についての推頚!貼果とは一致するであろうととカ堵えられゐその検討のため,

Bem

(1

9

6

7)同 Fes~1nger

& Carlsm1

h

の実験デザインに観察者を加え

て追実験を行なっている。その結果は

Bem

の仮説を支持するものであった。 しかし,不協看醒論支持者である

Jones (

1

9

6

7

)等によって

B

阻白研 究に於付る観察者は行為者のもっ外的行動と矛盾する真の態度(初期態度) を知らされていないために行為者の態度変容方向と観察者の推襖陪果とが一 致するのは当然であるとの批判がな注れた。 ζれに対して,

Bem

の見解は 反態度的行動を決定した後では最初の態度はもはや発動しないた1l1>,観察者 がそれについての情報を得る必要はないと

Jones

の批判に応えたが,その

-73

(19)

後のB

側(

1 9 6 8 ). Bem & McConne 1 ( 1 9 7 0 )の研究では月騰 な実証を得るに至らなかった。また.Ross & Shulman(1973). Calder. Ross & lnsko ( 1 973 )による研究においても,行為者の実際の態 度変容と観察者の推測結果との聞には必ずし色正の相関関係は見られず,態 度変容を不協和現象の帰結として解釈する不協和理論に代るものとして自己 帰属理論を,受け入れるのは困難である。不協和現象は個人の内部に生起する ととろの関連する

2

つの認知聞の矛盾関係によって生じ,他者の行動の推測 行為とは区別して考えられなければならないように恩われる。観察者の推測 に於ては,行動の内的手掛りより外的手掛り』乙依存する傾向が強く,他方, 行為者の場合は,行動の発生に於て動因の存在が重要であるので,外的手掛 りより内的手掛りの方が重視される。したがって,行為者の態度変容の仕方 と観察者の推測結果との聞にはずれが生じて来るととが考えられるのが,マ

7

動に関する外的手掛りが増大するにつれて両者とも行動の原因を外的手掛り に帰するととが多くなるだの両者の一致度は高まって来るζとが考えられる。

&

要約と結論

Fest inger & carl smi th ( 1 95 9 )の‘強制承諾、研究以来長 年続けられた反態度的行動承諾K支払わされた報酬の態度変容に及ぼす心理 的効果に関して,不協和効果(負の関係)と誘因・強化効果(正の関係)の 理論的・実験的分析の争点が組介され,両立場の解釈の対立はFre唾dman らによる不協和と賞の相対的強度の力関係という観点からの解釈によって解 消されるととが判明した。そして,両効果の優勢を決定する臨界要因として の不協和の発生条件に関して

.Brehm

&

Cohen; Aronson

Bramel

&

Collins; Bem

&

Kelley

らによる不協和理論の修正がなされ,認 知的不協和発生の限定化

(BemI

Z:於ては「不協和」概念の排除を主張)と その低誠手段の再解釈が論じられた。要約すれば,不協和生起に於て.

r

c

(20)

74-動決定に際しての自由,執意(Brehm & .Cohen )と似す動結果の嫌悪

度(

Aronson.C 011 ins , BrllIliel)が主決定因であるζとが明らかにさ れた。特に後者が不協和発生iと最も重要な因子であるととが指摘きれた。嫌 悪的結果の認知時期は不協和の大きさに影響を及ぼすとはいえるが,不協和 発生の重要な要因であるとはいい難い。また, Bem やKelleyの知見は 不協和分析とは多少異質のものと考えられ,不協和効果を説明するためには 適切ではないように恩われる。 さらに.Collinsが不協和は嫌悪的結果の認知によってのみ経験Sれる という不協和発生条件の明確な規定をしているとはいえ,嫌悪的結果によっ て生み出された不快きが果たして認知的不協和関係の生起を反映しているか 疑問である。今後さらに不協和理論の理論的解明と不協和発生要因を確定す るための詳細な研究と分析がなされる必要がある。 引 用 文 献

Asbmore

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