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食育と栄養バランスに配慮した食生活 : 食生活調査、2009 年、2010 年と2016 年の比較

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1. はじめに  2005(平 17)年に食育基本法1)が施行され た。2006(平成 18)年 3 月の第一次食育推進 基本計画策定時の現状値2)において、栄養バ ランス等に配慮した食生活を送っている国民 の割合は 58.8%であった。2010(平成 22)年 の第二次食育推進基本計画策定時の現状値3) では、50.2%となった。2015(平成 27)年度は、 60%以上の目標値4)が示されている。         先行研究として、食育基本法が施行された 4 年後と 5 年後の平成 21 年と平成 22 年に、本 学の女子学生を対象に食生活調査を行った。 調査対象者は中学 3 年また高校 1 年以降食育 に関わってきたと思われる。本年は食育基本 法施行後 11 年目にあたり、本学の 1 年生は小 学校低学年から食育に関わってきたと考えら れる。  そこで、6,7 年前の学生と現在の学生の食 生活を比較し、食育に関わった期間、年齢お よび食育の内容が栄養バランスに配慮した食 生活におよぼす影響を把握するために、本調 査を実施した。 2. 方法   平 成 21 年 に 114 名、 平 成 22 年 に 132 名、 合計 246 名の 18 歳∼ 26 歳の女子学生を対象 に、自記式質問紙調査を実施した。調査項目 は、体格、睡眠時間に加え食生活に対する意識、 食事の摂取頻度、主食、主菜、副菜の摂取頻度、 食品の摂取頻度についてである。  また、平成 21 年に 135 名、平成 22 年に 136 名、 合計 271 名の 18 歳∼ 26 歳の女子学生に、1 日 分の食事記録を記入してもらい、エネルギー および各栄養素の摂取量を算出した。栄養計 算はエクセル栄養君Ver4.5 により求めた。   平成 28 年に 157 名の 18 歳∼ 29 歳の女子学 生を対象に自記式の質問紙調査と 1 日分の食 事記録調査を行った。1 日分の食事記録につい ては前回と同様の処理を行った。調査項目は 平成 21 年、22 年と同様の項目に加え、食育の 内容を 17 項目示し、今までに関わり経験した 項目を選んでもらった。17 項目については、 食育に関する先行研究5)6)7)により実践され ていた内容を基に決定した。

食育と栄養バランスに配慮した食生活

食生活調査、2009 年、2010 年と 2016 年の比較

奥寺 昌子

Dietary education and eating habits considered in nutrient balance

The eating habits research compared 2009,2010 with 2016

Masako OKUDERA

食育、栄養バランス、食生活、摂取頻度、栄養素等摂取量

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3. 分析方法  2 群間の平均値の比較にはt検定を行い、ク ロス集計後群間の頻度の比較には、Pearsonの カイ二乗検定を行った。統計処理には、IBM SPSS Statistics 22.0 を用いた。統計学的有意 水準は 5%未満とした。 4. 調査結果  表 1 に前回調査と本調査における、年齢、 身長、体重、BMI、睡眠時間の平均値と標準 偏差を示した。前回の調査は平成 21 年、22 年 と 2 学年を対象に行ったので 246 名であった が、本調査は平成 28 年に 1 学年のみに行った ので、157 名である。  年齢、身長、体重、BMI、 睡眠時間において、 前回調査対象者と本調査対象者の 2 群間の平 均値に有意な差は見られなかった。体格的に 同様の集団ととらえられた。  表 2 に前回調査と本調査における、日頃栄 養素摂取バランスを考えて食事をしている頻 度(%)を示した。   常にしている頻度は、前回 2.4%から本調査 で 5.1%に、時々している頻度は 35.8%から 45.9%に増加している。また、わかっている ができない頻度は 46.8%から 33.7%に減少し ており、小学生から食育に関わってきた本調 査対象者は前回対象者に比し、バランスを考 えた食事をする意識が高いことがうかがえる。 しかし全く意識していない頻度が 11.4%から 14.0%にわずかながら増加しており、栄養摂取 バランスを意識する群と意識しない群の二極 化の可能性も考えられる。  Pearsonのカイ二乗検定の結果漸近有意確率 が 0.33 となり、2 群間の頻度に何らかの有意 研 究 紀 要   第 39 号

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な関連があることが示唆された。  表 3 に前回調査と本調査における朝食、昼食、 夕食、間食の摂取頻度(%)を示した。   朝 食 を 毎 日 食 べ る 頻 度 は、74.5 % か ら、 79.6%に増加しているが、週 1 回くらい食べ ると、ほとんど食べない頻度の合計が 5.6%か ら 7.6%に増加しており、朝食を食べる群と欠 食する群の二極化の可能性も考えられる。昼 食は毎日食べるが 93.1%から 96.2%に増加 しているが、夕食については、毎日食べるが 84.2%から 82.2%に減少し、週 4 ∼ 3 回食べる が 10.2%から 17.2%に増加している。夕食の 欠食頻度の増加傾向も心配される。間食は毎 日食べるが、33.3%から 22.9%に減少し、週 1 回くらい食べるが、9.3%から 20.4%に増加し ている。  Pearsonのカイ二乗検定の結果、間食におい て漸近有意確率が 0.001 となり、2 群間の摂取 頻度に何らかの有意な関連があることが示唆 された。間食を毎日食べると週 4 ∼ 3 回食べ るの合計が 80.5%から 77.7%に減少し、週 1 回くらい食べるとほとんど食べないの合計が 15.4%から 22.3%に増加しているので、間食の 頻度が減る傾向も考えられる。  表 4 に朝食、昼食、夕食における主食、主菜、 副菜の摂取頻度(%)について、前回調査と 食育と栄養バランスに配慮した食生活

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本調査の比較を示した。  朝食において、主食摂取頻度は 84.2%から 87.3%に増加したが、主菜と副菜の摂取頻度は わずかに減少した。それぞれ 40%台、20%台 であり、依然として低値であった。夕食にお いて主菜の摂取頻度は 86.6%から 93.0%に増 加している。  Pearsonのカイ二乗検定の結果、漸近有意確 率を表に示したが、2 群間の摂取頻度に関連は 見られなかった。  表 5 に前回調査と本調査における食品等摂 取頻度(%)を示した。  前回調査では、肉類・卵の摂取頻度と揚げ 物の摂取頻度が多く、骨ごと食べられる魚と 牛乳の摂取頻度は低値であったが、本調査に おいても同様の傾向が見られた。  魚・貝類については、毎日食べる頻度と週 4 ∼ 3 回食べる頻度が減少し週 1 回くらい食 べる頻度が増加していることから、摂取頻度 は前回より大きく低下したと考えられる。骨 ごと食べられる魚については、ほとんど食べ ない頻度が 42.7%から 57.9%に増加している ことから摂取頻度は前回よりさらに低下して いると言える。牛乳においても、毎日飲む頻 度がわずかに増加したものの、ほとんど飲ま ない頻度が 41.9%から 52.9%に増加し、摂取 頻度のさらなる低下が認められた。芋類にお いても、毎日食べる頻度と週 4 ∼ 3 回食べる 頻度が減少し、週 1 回くらい食べる頻度とほ とんど食べない頻度が増加していることから、 摂取頻度の低下が認められた。くだものにつ いては、毎日食べる頻度が 17.5%から 8.3%に、 週 4 ∼ 3 回食べる頻度が 34.2%から 30.8%に 減少し、ほとんど食べない頻度は 11.4%から 24.4%に増加しており、摂取頻度の大きな低下 が認められた。  Pearsonのカイ二乗検定の結果、肉類・卵、 魚・貝類、骨ごと食べられる魚、くだものの 4 種類の食品において、2 群間に有意な関連が認 められた。 研 究 紀 要   第 39 号

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 表 6 には前回調査と本調査における、エネ ルギー・栄養素摂取状況を示した。   ビタミンD以外はエネルギー、各栄養素と も減少傾向が見られた。前回調査においては、 平成 21 年度国民健康・栄養調査報告における 15 歳∼ 19 歳群と本学調査対象者の栄養素等摂 取状況を比較した。それによると本学学生は 多くの栄養素において摂取量が有意に低値で あると認められた8)  本調査において、栄養素摂取量は前回の調 査結果よりさらに低値であった。2 群間の平均 値の差をt検定したところ、エネルギー、た んぱく質、脂質、炭水化物、リン、亜鉛、ビ タミンE、 ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミ ンCにおいて、摂取量が有意に低値であった。 エネルギーおよび各栄養素の摂取不足が懸念 される。  表 7 には、本調査対象者が今まで関わった 食育について、内容別に頻度(%)を示した。  「朝食を毎日食べることが大切であると知っ た。」が 98.1%で最も高値であった。「調理体験、 調理実習をした。」「食事バランスガイドにつ いて知った。」「農業や栽培の体験をした。」「お やつのとり方について知った。」「野菜や副菜 の摂取不足であることに気付いた。」が 70%以 上で高値であった。 食育と栄養バランスに配慮した食生活

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 それに対し「バランスの良い献立を立て た。」(40.1%)、「朝食や間食を自分で作った。」 (39.5%)、「定期的にお弁当を作った。」(25.5%) 等、自分が活動する食育内容の頻度は低値で あった。  また、表には示さなかったが、各食育の経 験の有無により 2 群に分け、食事調査により 得たエネルギー量の平均値を比較しt検定を 行った。17 項目全ての食育内容において、経 験のある群と無い群のエネルギー平均値に有 意な差は認められなかった。食育の内容と栄 養バランスに配慮した食生活についてはさら に分析が必要である。 5. まとめ  日頃栄養摂取バランスを考えて食事をして いる頻度は、平成 21 年、22 年の前回調査に 比較し、本調査において高値であり 2 群間に は有意に何らかの関連があることが示された。 小学校低学年から長い期間に渡る食育との関 わりが、バランスに配慮した食生活に対する 意識を高めた可能性が示唆された。  朝食、昼食、夕食の摂取頻度については、2 群間に有意な関連は見られなかったが、間食 については、有意な何らかの関連が示唆され た。おやつのとり方等に対する食育の影響の 可能性も考えられる。  食品等摂取頻度は前回より本調査において 研 究 紀 要   第 39 号

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低下傾向が認められた。肉・卵、魚・貝類、 骨ごと食べられる魚、くだものの 4 種類の食 品において、有意な関連が示唆された。  エネルギーおよび栄養素摂取状況は、前回 より本調査において低下傾向が認められた。 エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、 リン、亜鉛、ビタミンE、ビタミンB1、 ビタ ミンB2、ビタミンCの摂取量は有意に低値で あった。  今まで関わった食育については、内容によ り頻度に差が見られた。  栄養バランスに配慮した食生活について日 頃の意識は高くなったものの、実際の食品摂 取頻度およびエネルギー・栄養素摂取量は低 値となった可能性が示唆された。食育がおよ ぼす影響についてはさらに分析が必要である。 参考文献 1)食育基本法  2005 法律第 63 号 2)第一次食育推進基本計画 2006 食育白書   内閣府 3)第二次食育推進基本計画 2010 食育白書   内閣府 4)食育推進基本計画 2015 食育白書   内閣府 5)大西智美、江上ひとみ、西本香代子、   中村清美、山口繁、多門隆子、佐藤眞一   2014 大阪府民の食育に関する知識、態度、   行動の変化    大阪食育調査 2006 年と 2010 年の比較    日本栄養・食料学会誌    Vol. 67 No6 307-313 6)春木敏、山本信子、宇佐見美佳、矢埜みどり、 村上元良、吉田聡、志村美好、東尾真紀子  2013  ライフスキル形成に基礎をおく食育実践  学校保健研究 55 130-131 7)中西明美、武見ゆかり 2011  メディアリテラシーの視点を取り入れた児 童の食育プログラムの開発  東京都S区内S小学校 6 年生での試み  学校保健研究 52 454-464 8)奥寺昌子 2012  保育士、幼稚園教諭、小学校教諭を目指す 女子学生の食生活の実態 千葉敬愛短期大学紀要 34 71-80 食育と栄養バランスに配慮した食生活

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