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<原著> 新鮮同種骨関節移植におけるアポトーシスに関する研究 利用統計を見る

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新鮮同種骨関節移植におけるアポトーシスに関する研究

長 澤 晃 樹,浜 田 良 機

山梨医科大学整形外科学教室

要 旨:ラットによる血管柄付新鮮同種骨関節移植を施行し,A 群(allograft, Fis → BN, non-im-munosuppression), B 群 ( isograft, BN → BN, non-imnon-im-munosuppression), C 群 ( allograft, Fis → BN, immunosuppression, 1.0 mg/kg/day of FK-506),control(normal Fis)の4群を作成,移植後 1 日から 14 日までの拒絶反応とアポト−シスとの関連を検索した。病理組織学的検索では,A 群は 経時的に拒絶反応が進行したが,B 群,C 群では明らかな拒絶反応はみられなかった。さらに A 群 の TUNEL 法および電子顕微鏡による検索では,骨細胞は移植後 5 日,軟骨細胞は移植後 7 日でア ポトーシスの増加をみとめた。一方 B 群,C 群では移植後全経過を通してアポトーシス細胞は A 群 に比べ有意に少なかった。そして移植後全ての群の軟骨細胞に Fas の発現がみられたが,拒絶反応 をみた A 群の recipient 由来の浸潤リンパ球にのみ Fas リガンド(FasL)が発現していた。以上よ り新鮮同種骨関節移植の拒絶反応にはアポトーシスの関与があり,その発現機序として可溶性 FasL が作用する Fas/FasL システムの関与の可能性が示唆された。 キーワード 関節移植,拒絶反応,アポトーシス,Fas リガンド 1.はじめに 従来臓器移植における急性拒絶の標的細胞障 害は necrosis(以下ネクローシス)によるとの 考えが一般的であった1)。しかしラットやヒト の腎,肝,心移植における急性拒絶では,Kerr ら2)によって提唱された細胞死の一形態であ る apoptosis(以下アポトーシス)の関与が報 告されて以後,この現象が注目されるようにな った3–10)。アポトーシスの発生には Fas/FasL システム11),TNF12),granzymes(以下グラン ザイム)13),lymphotoxin(以下リンホトキシン) などが関与することが報告されている。なかで も Fas/FasL システムは生体内における自己反 応性 T 細胞の除去や細胞障害性 T 細胞(CTL) による細胞障害機構への関与,AIDS や自己免 疫疾患の発症に関係,さらにはラットやヒトの 腎移植14,15)における拒絶反応でみられるアポ トーシスを誘導するシステムと考えられてい る。 他方新鮮同種骨関節移植においてはアポトー シスが拒絶反応に関与しているか否かについて の検討は未だなされていない。そこで,われわ れは独自に開発した動物実験モデル16)を用い た新鮮同種骨関節移植における拒絶反応での Fas/FasL システムを介したアポトーシスの関 与ついて検討したので報告する。 2.材料および方法 1)実験動物と手術手技 Major-mismatch が確認されている Fischer ( F i s ) 系 ラ ッ ト ( RT 1 : l v 1 ) を d o n o r , 〒 409-3898 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東 1110 受付: 2001 年 11 月 22 日 受理: 2001 年 12 月 6 日

原  著

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Brown-Norway(BN)系ラット(RT1 :n)を recipient(8 ∼ 10 週齢,雄,300 ∼ 400 g,日 本チャールズ・リバー社,Kanagawa,Japan) とし microsurgery の技術を利用しネンブター ル(2.0 ml/kg)の腹腔内投与による全身麻酔 下に膝関節移植を施行した。 a)donor 側:中枢部では大腿四頭筋の分岐 よりやや中枢で大腿動静脈を,末梢部では脛骨 動静脈と腓骨動静脈を展開する。大腿動静脈は 血管縫合に利用するため断端を損傷しないよう に注意しつつ中枢断端を結紮切断し,脛骨・腓 骨動静脈は中枢・末梢の両断端を結紮した。骨 は大腿骨骨幹中央部と脛骨骨幹中央部で切断 し,腓骨は腓骨頭部で切離した。そして大腿筋 群,下腿筋群を骨と同部位で切断ののち,術後 関節機能の温存のため,膝蓋骨,膝蓋靱帯を含 め膝関節を一塊として摘出した。 b)recipient 側:術後の運動機能温存のため 大腿神経,坐骨神経,また血管吻合のため大腿 動静脈ならびにその伏在枝,さらに脛骨・腓骨 動静脈を温存し,大腿骨骨幹中央部から脛骨骨 幹中央部までの大腿筋群と下腿筋群を骨と同一 高位で切断し,これらを膝関節を含めて一塊と して切除した。 c)移植関節の固定:採取した移植関節の大 腿骨および脛骨はキルシュナー鋼線を髄内釘と し て recipient 側 の そ れ ら と 固 定 , さ ら に donor 側と recipient 側の大腿筋群と下腿筋群 を縫合した。そして donor 側の大腿動静脈と recipient 側の大腿動静脈伏在枝を顕微鏡視下 に 10-0 ナイロン糸で微小血管吻合した。 2)実験群の作製 実験群としては以下の 4 群を作製した。そし て A,B,C 群は各 42 匹,control 群としては 10 匹を用いた。 A 群: Fis 系ラットから BN 系ラットへの免疫 抑制剤を使用しない allograft 施行群。 B 群: BN 系ラット間の免疫抑制剤を使用しな い isograft 施行群。 C 群: Fis 系ラットから BN 系ラットへの移植 後,免疫抑制剤 FK506 を 1.0 mg/kg/day 連日 投与した allograft 施行群。 control 群:手術を施行していない Fis 系ラット 正常膝関節 3)検索方法 a)病理組織学的検索:各移植群とも術後 1 日から 14 日まで連日各 3 匹ずつを剖検し,移 植膝関節を摘出した。その後 10 %ホルマリン で 3 日間固定ののち,70 %エタノールで 12 時 間脱脂,次いで 10 % EDTA で 7 日間脱灰のの ち,パラフィン包埋し,厚さ 2µm の薄切標本 を作成した。そして hematoxylin-eosin(以下 HE)染色標本により拒絶反応による組織の変 化を検索した。 b)アポトーシスの検出: TUNEL(TdT-me-diated dUTP-biotin nick end labeling)法17)

よる検索:厚さ 2µm のパラフィン薄切標本を TUNEL 法により染色してアポトーシス細胞の 有無を検索した。そして移植後の経時的な軟骨 細胞と骨細胞の各 1,000 個あたりの TUNEL 法 で 陽 性 の 細 胞 率 , す な わ ち apoptotic index (以下 AI)を算出し,各群間で比較検討した。 電子顕微鏡による観察:コントロールの関節 軟骨と TUNEL 法で陽性細胞がみられた移植関 節軟骨からエポン包埋ブロックを作製し,透過 型電子顕微鏡により TUNEL 法で陽性の細胞が アポトーシスに陥っているのを確認する目的で これを形態学的に観察した。 c)アポトーシスの発生機序に関する検索: 移植膝関節を摘出後,関節軟骨および関節周囲 軟部組織からアセトン固定凍結切片を作製し Fas18), そ し て FasL19)の 各 抗 体 ( Santa Cruz

Biotechnology, California, USA)を用いた免疫 組織化学染色により Fas および FasL の発現の 有無を検索した。さらに免疫抑制時にはアポト ーシス抑制因子である Bcl-220)が関与するか否 かについて抗 Bcl-2 抗体(同社)を用いて検討 した。 なお本実験は山梨医科大学動物実験指針に沿 って行われた。

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3.結  果

1)病理組織学的所見

Control 群(Fig. 1a)と比べ allograft 施行後 免疫抑制剤を使用しない A 群では,移植後 7 日 で一部の軟骨細胞ならびに骨細胞と骨髄細胞に 萎縮,変性をみた。そしてこの変化は移植後 14 日でさらに著明となっていた(Fig. 1b, b’, c)。 他方 B,C 群では,術後経時的な軟骨細胞,骨 細胞,さらには骨髄細胞の変化は少なく,移植 Fig. 1. 病理組織像(HE :× 100,b'× 200)―次頁へつづく― a :コントロール群 b : A 群移植後 7 日 c : A 群移植後 14 日

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Fig. 1. 病理組織像(HE :× 100,b'× 200)―前頁からのつづき―

d : B 群移植後 7 日 e : B 群移植後 14 日 f : C 群移植後 7 日 g : C 群移植後 14 日

A 群移植後 7 日では軟骨細胞ならびに骨梁の骨細胞に萎縮,そして一部に変性がみられている。また骨 髄細胞には線維化が進行し,リンパ球や形質細胞を主とする小円形細胞浸潤があり,さらに多数の foamy cell がみとめられる(b',矢印)。移植後 14 日になると拒絶反応はさらに進行し,empty lacunae, 骨細胞の脱落変性等をみとめる。B 群では移植後経時的にみても軟骨や軟骨下骨の骨梁細胞において萎 縮や変性が進行することはなく,移植後 14 日の所見ではコントロール群の所見と比較して骨・軟骨組 織全体に軽度の萎縮をみる。C 群では移植後 14 日の所見において,コントロール群の所見と比較して 骨・軟骨組織全体に軽度の萎縮をみとめる。

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膝関節はよく生着していた(Fig. 1d ∼ g)。 2)TUNEL 法によるアポトーシスの検出 Control 群では陽性細胞はみられない(Fig. 2a)。A 群では移植後 1 日より骨細胞に経時的 に陽性細胞の増加をみとめた。そして骨細胞で は移植後 5 日,軟骨細胞では移植後 7 日より陽 性細胞数が一層増加していた(Fig. 2b ∼ d)。 一方 B 群,C 群では移植後全経過を通して少数 Fig. 2. TUNEL 法:× 200 ―次頁へつづく― a :コントロール群 b : A 群移植後 1 日 c : A 群移植後 3 日 d : A 群移植後 14 日 コントロール群の軟骨細胞,骨細胞,さらに骨髄細胞においては TUNEL 法でほとんど陽性細胞はみと めなかった。A 群では移植後 1 日目より主として細胞が萎縮し,核濃縮の変化を示す骨細胞ならびに骨 髄細胞において経時的に陽性細胞の増加がみられ(b,矢印),軟骨細胞では移植後 3 日目より陽性細胞 が出現していた(c,矢頭)。

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の陽性細胞をみるのみであった。A 群の AI は 移植後 14 日の軟骨細胞では 80.3 ± 14.5 %,骨 細胞が 74.0 ± 12.0 %と B,C 群と比較して有 意に増加していた(P < 0.01)(Fig. 2e, f)。 3)電子顕微鏡所見 Control 群の軟骨細胞と TUNEL 法で陽性細 胞の増加をみた A 群移植後 7 日の軟骨細胞の電 子顕微鏡所見では,A 群移植後 7 日の軟骨細胞 は核のクロマチンの濃縮,細胞表面の微絨毛の 消 失 な ど ア ポ ト ー シ ス の 特 徴 的 所 見 を み た (Fig. 3a,b)。 4)Fas,FasL,Bcl-2 の検索 各群の骨細胞,軟骨細胞のいずれにおいても TUNEL 法で陽性率が低かった移植後 3 日,そ して陽性率の増加がみられた移植後 10 日のモ デルを新たに各群 5 匹ずつ作製し Fas,FasL, Bcl-2 の発現の有無を検索した。コントロール 群では骨細胞と軟骨細胞とも Fas,FasL の発現 はみられなかった。他方 A,B,C 群ではいず れも移植後 3 日で Fas 陽性細胞が軟骨組織のご く一部にみられ,移植後 10 日では同細胞数は 軽度増加していた(Fig. 4a ∼ f)。移植後 3 日で A 群は 3.4 ± 2.5 %,B 群では 4.4 ± 4.2 %,C Fig. 2. TUNEL 法:× 200 ―前頁からのつづき― e :軟骨細胞の apoptotic index。TUNEL 法陽性細胞をアポ トーシス細胞として,移植後第 1 日目から 14 日目までの各 3 匹ずつの標本を 200 倍で観察し,軟骨細胞計 1,000 個あた りの TUNEL 法陽性率をカウントした。A 群は B,C 群と比 較して経時的に陽性細胞の増加をみとめる。*P < 0.01 f :骨細胞の apoptotic index。軟骨細胞と同様に骨細胞の TUNEL 法陽性率をカウントした。軟骨細胞と同様に A 群 では B,C 群と比較して経時的に陽性細胞の増加をみとめ る。*P < 0.01

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群では 2.0 ± 1.6 %,そして移植後 10 日では A 群は 11.0 ± 4.5 %,B 群は 8.4 ± 3.0 %,C 群で は 9.4 ± 3.2 %と陽性細胞数は経時的に増加す る傾向をみたが,各群間においてその発現率に 差はなかった(Fig. 4g)。他方 FasL は A 群の recipient 由来のリンパ球においてのみ陽性細 胞が存在したが(Fig. 5),しかし B,C 群では みられなかった。 一方,抗 Bcl-2 抗体による免疫組織化学的検 索では control,A,B,C 群のいずれにおいて も移植後 10 日までの観察において,術後の経 過時間に関係なく Bcl-2 を発現した細胞はみと めなかった。 4.考  察 現在,アポトーシスの検出には光顕あるいは 電顕による形態学的観察,そして電気泳動法に よるヌクレオソーム単位における DNA の断片 化の検出,さらには Gavrieli らによって報告さ れた TUNEL 法17)による方法がある。なかで も TUNEL 法は DNA の断裂という生化学的変 化を直接形態学的所見と結びつけて観察するこ とが可能であること,少数しか存在しないアポ トーシス細胞を検出できること,さらには本実 験のように脱灰した骨組織より作製したパラフ ィン包埋切片を用いることが可能などの利点が ある。しかし断片化した DNA の 3’-OH 末端を biotin(ビオチン)化した dUTP と TdT を用い て標識するものであり,3’-OH 末端を有する DNA 断端をすべて検出するので,一部のネク ローシス細胞も同時に検出することが指摘され ている。したがって TUNEL 法で陽性とされる 細胞がアポトーシス細胞であることを他の方法 で確認することが必要である21)。本実験にお いてみられた TUNEL 法陽性細胞は電子顕微鏡 による観察によって形態学的にアポトーシス細 胞であることを確認している。

本実験では control 群においては Fas と FasL のいずれも発現をみとめなかったが,A,B,C 群では移植後 3,10 日とも軟骨細胞には Fas の 発現がみられ,その発現程度は経時的に増加す る傾向にあった。しかし,その発現率は A,B, C 各群間では差はみなかった。一方,FasL は 免疫抑制剤を投与せず拒絶反応を示した A 群 の移植後 10 日での浸潤リンパ球にのみ発現が Fig. 3. 電子顕微鏡による超微形態像 bar = 1µm a :正常軟骨細胞, b : A 群移植後 7 日。コントロールの正常軟骨細胞に比べて細胞にサイズの縮小, クロマチンの濃縮,また細胞表面の微絨毛の消失などアポトーシスに特徴的所見をみとめる。

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Fig. 4. 免疫組織化学的染色像(Fas :× 200 ) a : A 群移植後 3 日 b : A 群移植後 10 日 c : B 群移植後 3 日 d : B 群移植後 10 日 e : C 群移植 後 3 日 f : C 群移植後 10 日 矢頭で示すように,細胞質,細胞膜に Fas 陽性染色性を示す細胞が散在してみられる。 g : Fas 陽性率。各群移植後 3,10 日の各 5 匹ずつの標本を 200 倍で観察し,軟骨細胞計 1,000 個あたり の Fas 陽性率をカウントした。移植後すべての群で陽性細胞をみたが,各群の発現率に有意な差はみら れなかった。

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みられた。したがって,新鮮同種骨関節移植に おける拒絶反応時のアポトーシスの発生機序と して,Fas/FasL システムの関与の可能性が示 唆された。 Fas は TNF 受容体ファミリーに属するI型膜 貫通蛋白質で,細胞内にアポトーシスの発現の シグナルを伝達する細胞表層受容体である22) そしてアポトーシス誘導因子である FasL が標 的細胞表面上に存在する受容体の Fas と結合す ることで,細胞内へシグナルが伝達されてアポ トーシスが発生すると考えられている11,23) FasL は 278 個のアミノ酸からなる TNF ファ ミ リ ー に 属 す る 「 型 膜 貫 通 蛋 白 質 で あ る が, matrix-metalloproteinase(マトリックス・メタ ロ プ ロ テ ア ー ゼ ) に よ り 切 断 さ れ て 可 溶 型 FasL となることが明らかになっている24,25) したがって,FasL は細胞間の接触による相互 作用において機能するだけでなく,液性因子の 可溶型 FasL としてより広範囲に細胞障害を生 じると考えられている。 本実験においてはアポトーシスに陥った骨細 胞と軟骨細胞はそれぞれ基質内に存在し,アポ トーシス細胞周囲の基質内に細胞浸潤がみとめ られることはなく,host 側の FasL を発現した 細胞と接触を介した Fas/FasL システムは起こ り難いために,本実験においては可溶型 FasL が作用して,細胞浸潤がなくても骨細胞と軟骨 細胞に Fas/FasL 依存性アポトーシスが生じて いる可能性が推察された。 一方,本実験における軟骨細胞の Fas 陽性率 は,移植術後経時的に増加するものの,A 群移 植後 10 日の約 11 %が最高であり,同日の AI は約 61 %と高値をみとめ,Fas 陽性率との間に 大きな差をみとめた。このことは新鮮同種骨関 節移植におけるアポトーシスの発生機序の 1 つ として Fas/FasL システムが考えられるものの, それ以外の発生機序,例えば骨細胞と軟骨細胞 のアポトーシス発生機序として報告されている TNF-α12,16)などのサイトカインや nitric oxide (NO)26)などの機序が関与している可能性が考 Fig. 5. 免疫組織化学的染色像(FasL :× 200)

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えられる。 アポトーシス抑制因子である Bcl-2 は腎移植 においては,正常腎の尿細管上皮よりも拒絶時 の尿細管上皮での発現が減弱することから Bcl-2 の減少がアポトーシスの増加に関与している と考えられている27)。しかし本実験における Bcl-2 の検索では control 群,A,B,C 群のい ずれにおいても移植後 10 日まで,術後の経過 時間に関係なく Bcl-2 の発現はなく,本実験に おいては Bcl-2 の減少によってアポトーシス細 胞が増加する機序は存在しないものと考えた。 Krams らはラット肝移植で移植後第 1 日から 7 日までのアポトーシスの発現率,すなわち AI について検討している7)。それによれば肝細胞 における AI は isograft では移植後 1 日で 0.15, 7 日では 0.13 とほとんど陽性細胞をみとめなか ったのに対して,allograft の移植後 1 日で 0.10, 7 日では 1.58 と増加していると述べている。ま た Matsuno らは腎移植後 1 時間における尿細 管上皮の AI は急性拒絶とならなかった症例で は 0.55 ± 0.78,急性拒絶例では 24.50 ± 20.73 であったと述べている6)。本実験においては, 急性拒絶を示した A 群では移植後 3,10,14 日 の軟骨細胞における AI はそれぞれ 0.3,60.7, 80.0,骨細胞では 0.7,62.7,74.0 と他の臓器移 植の拒絶時に観察されるよりも高値を示した。 これは各臓器によって,急性拒絶時にみられる アポトーシス細胞の陽性率(AI)が異なるこ とを示唆する所見である。一方 TUNEL 法はア ポトーシスの検出に多くの組織を必要とせず, 手技的には比較的容易であり,アポトーシスに 陥った細胞を短時間に検出できる利点がある。 したがって針生検で採取した組織片を利用した TUNEL 法による AI の検索は,拒絶反応のモ ニタリングの 1 つとして利用できる可能性が考 えられる。しかし AI は先に述べたように各臓 器によって大きく異なっているので,今後 AI を拒絶反応の進行の指標として利用する場合に は,各臓器の急性拒絶時の AI を詳細に検討す る必要があると考えている。 5.ま と め 1)ラットを用いた血管柄付新鮮同種骨関節 移植を施行し,移植後の拒絶反応へのアポトー シスの関与について検討した。その結果,免疫 抑 制 剤 を 使 用 し な い a l l o g r a f t 施 行 群 で は TUNEL 法および電子顕微鏡による検索で骨細 胞では移植後 5 日,軟骨細胞では移植後 7 日で アポトーシスが増加しており,新鮮同種骨関節 移植後の拒絶反応にアポトーシスの発現をみと めた。 2)新鮮同種骨関節移植におけるアポトーシ スの発生機序について検討した。その結果, control 群の正常軟骨細胞には Fas の発現はな かったが,移植後全ての群の軟骨細胞に Fas の 発現をみとめ,一方 FasL は拒絶反応時の re-cipient 由来のリンパ球にのみ発現がみられた。 したがって,新鮮同種骨関節移植におけるアポ トーシスの発生機序の一つとして可溶性 FasL が作用する Fas/FasL システムの関与の可能性 が示唆された。 3)全ての群で Bcl-2 の発現がなかったこと から,新鮮同種骨関節移植では Bcl-2 の発現の 減少によってアポトーシスが増加する機序は存 在しないと考えた。 4)今後各臓器の急性拒絶時の AI を詳細に検 討することにより,拒絶反応のモニタリングの 1 つとして AI を臨床応用できる可能性が考え られた。 文  献

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Fig. 1. 病理組織像( HE : × 100,b' × 200 )―前頁からのつづき―
Fig. 4. 免疫組織化学的染色像( Fas : × 200  ) a : A 群移植後 3 日  b : A 群移植後 10 日  c : B 群移植後 3 日  d : B 群移植後 10 日  e : C 群移植 後 3 日  f : C 群移植後 10 日 矢頭で示すように,細胞質,細胞膜に Fas 陽性染色性を示す細胞が散在してみられる。 g : Fas 陽性率。各群移植後 3 , 10 日の各 5 匹ずつの標本を 200 倍で観察し,軟骨細胞計 1,000 個あたり の Fas 陽性率をカウン

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