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司法書士と司法制度改革 : 「司法制度改革審議会意見書」を受けて

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Academic year: 2021

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(1)司法 書 士 と司 法制 度 改革 「 司法制度改革審議会意見書」を受けて 森. 1は. 正. じめ に. 国 民 ・市 民 の側 に立 つ べ き法 律 専 門 職 種(弁 護 士 ・司 法 書 士 ・税理 士 ・弁 理 士 な ど)の うちの 弁 護 士 職 、 具 体 的 に は個 々 の弁 護 士 、 及 び弁 護 士 団 体 が ど う活 動 して きた か を検 討 す る こ とは 、 人 権 保 障 の実 相 を 明 らか にす る意 味 で、 きわ め て 重 要 で あ る。 そ の 一環 と して の布 施 辰 治 弁 護 士 (1880年 ∼1953年)の. 伝 記 執 筆 は 、私 の いわ ば ラ イ フ ワー クで あ る。. 以 上 は、 明治 維 新 後 の近 代 に お け る人 権 保 障 史 全 体 を 概 観 した ば あ い の話 で あ り、敗 戦後 の 現 代 史 に か ぎ って い え ば、 弁 護 士 以外 の法 律 専 門 職 種 の 活 動 に も 目配 りす る必 要 が あ る。 同時 に 、 法 律 専 門職 種 間 の協 力 が ど うで あ った か につ い て も、 注 目す る必 要 が あ ろ う。 近 代 、 す なわ ち 明治 憲 法 時 代 に お い て は、 少 数 の先進 的 な 弁 護 士 と弁 護 士 の任 意 団体 で あ る 自 由法 曹 団が 、 孤 立 に近 い状 態 で 国家 権 力 や 地 主 ・資 本 家 の 横 暴 とた た か い 、民 衆 の人 権 保 障 に 力 を 尽 く した 。 そ の象 徴 た る弁 護 士 が布 施 辰 治 だ った 。 しか し、 台 頭 す る フ ァシ ズ ム の嵐 に 抗 し き れ ず に 、"抵 抗 の弁 護 士 群 像"は1930年. 代 早 々に 潰 え 去 る。 他 方 、弁 護 士 と同 じ歴 史 を もつ 司 法. 書 土 は、 後 述 す る予 防 司法 の領 域 でそ の職 責 を 果 た す こ とで 人 権 保 障 に寄 与 した とい え るの だ が 、 制 度 的 な立 場 に加 え て、 職 責 を人 権 保 障 とのか か わ りで 主 体 的 に 捉 え る精 神 的土 壌 が脆 弱 だ った こ とも あ り、 結 局 、人 権 保 障 史 の表 舞 台 で活 躍 す る こ とは な か った 。 そ して戦 後 は 、戦 前 と同 じ よ うに、 弁 護 士(団 体)が 人 権 保 障 の 担 い 手 の 中心 とな っ て きた が 、 そ れ 以 外 の法 律 専 門職 種 も、 充 分 に とは い えな い もの の 、 そ れ ぞ れ 人 権保 障 に か かわ っ て きた 。 私 に は 、 こ こ十 年 ほ ど前 か ら、 と りわ け 司法 書 士 の活 動 が 目に つ く。 人 権保 障史 に そ の存在 を 示 しつ つ あ る よ うに み え、 司法 書 士 職 に学 問的 ・実 践 的 な 関 心 を よせ る こ とは重 要 な課 題 だ と考 え て い る。 そ の司 法 書 士 職 が、2001年6月12日. の 司法 制 度 改 革 審 議 会(以 下 、審 議 会 と略)6'よ. 制 度 改 革 審 議 会 意 見 書 」(以 下 、 「 意 見 書 」 と略)で. る 「司 法. ど う扱 わ れ 、 制度 的 に ど う改革 され よ うと し. て い る のか に つ い て、 上 記 の問 題 意 識 を ふ ま えつ つ 検 討 し、 ど うす べ き か を考 え て み た い。 な お 、 審議会 の 「 中 間 報 告 」 は00年11月 に発 表 され て お り、 私 の 評 価 は 別稿 を参 照 して い ただ きた い①。. 皿 人権保障の 多様な態様 と司法書士. 最 初 に 考 えて お きた い のは 、 日本 国 憲 法 体 系 下 の 人 権 保 障 の あ り方 につ い て で あ る。 法廷 代理 権 を 独 占的 に 行 使 す る職 能 実 体 も あ って 、 弁 護 士 は 人 権 保 障 の 態 様 に つ い て 、 あ ま りに も裁 判偏.

(2) 重 で捉 え て きた 傾 向が あ り、 そ の 影 響 も あ ろ うが 、 人 権 研 究 に たず さわ る法 律 学 研 究 者 、 憲 法 学 研 究者 に も、 同 じよ うな 傾 向 を み て と る こ とが で き る。 そ れ は 司 法概 念 の捉 え方 、 す なわ ち 司 法 =裁 判 と固定 的 に 捉 え 勝 ち な 学 問 傾 向 と も関 係 が あ りそ うだ が 、 こ こで は 言及 しな い こ と とす る。 と もか く、 人 権 保 障 の 態様 は 裁 判 を とお して の 保 障 に と ど ま らな い。 一 例 と して、 予 防 司 法 と い う態 様 を と りあ げ て み よ う。 予 防 司 法 、 す な わ ち 法 的 紛 争 の 発 生 を未 然 に防 ぐ法 律 業 務 自体 が 、 人 権保 障 の重 要 な 一 態 様 な の だ が 、 裁 判=紛 争 司 法 と比 べ て 非 常 に地 味 な仕 事 だけ に軽 視 され 勝 ち で 、 登記 ・供 託 業 務 な どで 予 防 司法 を 中 心 的 に 担 って きた 司 法 書士 の役 割 が 、 と もす れ ば過 小 評 価 され て き た実 態 が あ る。 前 述 した よ うに 、 司 法 書 士 は 明 治 憲 法 時 代 か ら予 防 司 法 に た ず さ わ って きた が、 日本 国 憲 法 時 代 に 入 って か らは 、 特 に1978年 の 改正 司法 書 士 法 を境 に、 少 な か ら ぬ 先進 的 な 司法 書 士 た ちが 、 全 国 的な 運 動 を 意 識 しな が ら、 例 え ば全 国青 年 司法 書 土 協 議 会 に 結 集 し、 登 記 ・供 託 そ の他 の 業 務(例. え ば、 審 査 請 求 手 続 き の 代 理 業 務 に 伴 う不 服 申 立 て 代 理 な. ど)と 人権 保 障 を 目的 意 識 的 に 結 びつ け て きた 。 そ れ らは 司 法 書 士 の 使 命 を 「国 民 の 権 利 の 保 全 」 に あ る と明定 した78年 改 正 司 法 書 士 法 を うけ て の 活 動 で あ り、 当然 、正 当 に評 価 され るべ き な ので あ る。 あ と一 つ 、 同 じ よ うに地 味 だ が重 要 な人 権 保 障 の態 様 を あ げ る と、 い わ ゆ る本 人 訴 訟 を支 援 す る ため の 裁判 事 務 とい う業 務 が あ り、 これ も司 法 書 士 の職 務 とな って い る。 代 理 人 をつ け る訴 訟 と本 人 訴 訟 の 比率 な どは後 述 す る と して 、本 人 訴 訟 とい う形 式 の裁 判 を成 立 さ せ る こと で人 権 保 障 にか か わ る 司法 書士 の役 割 もま た 、 明 らか に過 小 評 価 され て い る。 「弁 護 士 は 国 家 作 用 た る 裁 判 に直 接 関 与 す る」 とは、 弁 護 士 が他 の法 律 職 と 自 らを 別 け る さい の 常識 論 の よ うだ が 、司 法 書 士 の裁 判 事 務 は 、 間接 的 とは い え 本 人訴 訟 とい う裁 判=国 家 作 用 に 関 与 して い る こ とに な り、 そ れ は も っ と知 られ て よいだ ろ う。 近在 に弁 護 士 が い な い、 弁 護 料 が 払 え な い の で弁 護 士 に依 頼 で きない 、 弁 護 士 に 不信 感 を も って い る な どな ど、 本 人 訴 訟 の原 因 を 探 って い く と、 司法 書 士 の役 割 がい っそ うよ くみ え て くる 。 よ うす るに 、弁 護 士 だ け が 人 権 保 障 の 担 い手 で は な い の で あ る。 そ ん な 自明 の こ とが圧 倒 的 多 数 の弁 護 土 に きち ん と認識 され て い な い よ うに 思 う し、 法 律 学 研 究 者 に お い て も同様 で あ る。 裁 判 を テ ー マに 学 生 向け テ キ ス トと して執 筆 され た あ る本 は、 いわ ゆ る法 曹 三 者(裁 判 官 ・検 察 官 ・弁護 士)を. 「 法 律 家 」 と位 置 づ け る一 方 で 、裁 判 所 職 員 ・公 証 人 ・会 社 法 務 部員 と同 列 に並 べ. て 、 司法 書 士 を 「 準 法 律 家」 と呼 び、 「 法 曹 を補 佐 し、 補 完 す る任 務 を もつ 」 と説 い てい る②。 税 理 士 や弁 理 士 は ど うな の か と問 い た い が 、そ れ は と もか く と して も、 「 法 律 家 」に た いす る 「 準法 律 家」 の 呼称 は、 複 数 の法 律 職 を 上 と下 に 分 断 す る選別 意識 を感 じる し、 業 務 形 態 を お そ ろ し く 表 面 的 ・形 式 的に 捉 えて い る と い う意 味 で 、 実 態 に そ くした 的確 な説 明 とは とて もい え な い。 司 法 書 土 職 は 、法 務 省 との関 係 で 改 善 され るべ き制 度 的 問 題 を 抱 え て は い るが 、 日本 国 憲 法 体 系 下 の 司法 書 士法 で 「 権 利 の保 全 」 とい う職 務 使 命 を 課 され た 立 派 な専 門 職 な ので あ る。 いず れ に しろ 、 司法 は裁 判 だ け を 内容 と して い るわ け で は な い こ とに留 意 す べ きで あ る。 例 え ば 、契 約 書 の作 成 、法 律 相 談 、不 動 産 取 引、 供 託 な どな ど、 予 防 司法 の具 体 的 な 内容 た る多 様 な.

(3) 法 現 象 に よ って も形 成 され て い るの で あ る。. Ⅲ 「意 見 書 」 全 体 は ど う評 価 され て い るか. それでは、審議会の今回の 「 意 見 書 」 全 体 は ど う評 価 され て い るだ ろ うか 。 ご くご く簡 単 にみ て お くこ とに し よ う。 司 法 改 革 は 、 今 後 の 国 民 ・市 民 の人 権 保 障 に とって きわ め て 重 大 な 問 題 で あ る 。 した が っ て 、 「意 見 書 」 に た い して は 、 各 分 野 か ら多 岐 に わ た る評 価 が な され て い る。 弁 護 士 個 人 ・各 単 位 弁 護 士 会 ・日本 弁 護 士 連 合 会(以 下 、 日弁 連 と略)で は 、 この 数 年 、 改 革 の あ り方 を め ぐって 議 論 百 出 、 「中 間 報 告 」 を へ た 今 回 の 「意 見 書 」 につ い て も、さ ま ざ まに 議 論 が 展 開 され て い る。法 律 学 研 究 者 の 世 界 で は 、 法 科 大 学 院 設 置 と い う大 問 題 もか らん で 賛 否 両 論 、 学 問 的 成 果 は 見 込 み薄 い が 、 久 しぶ りに 「 論 争 の火 種 」 が生 じて い る状 況 で あ る。 「意 見 書 」 は 深 読 み も浅 読 み もで き る 内容 で あ る こ とか ら、 賛 否 鮮 明な 評 価 に は じま り、 是 々 非 々的 評 価 や 旗 色 不 鮮 明 な評 価 もみ られ る。 共 通 の土 俵 上 で 真 向か ら対 立 して い る とは い い難 い が 、 キ イ ワー ド 「 市 民 のた め の 司法 」 に 照 らす とは っき り対 立 す る と思 わ れ る評 価 を 、 こ こで紹 介 して お こ う。(1)官 (2)新. 僚 司 法 の牙 城 に 突 破 口を 開 け る とい う意 味 で積 極 的 に 評 価 で き る提 言③、. 自 由主 義 的 な競 争 秩 序 に適 合 的 な 司法 制 度 づ く りの提 言 ④、で あ る。前 者 は 日弁 連 司 法 改. 革 実 現 本 部 、 後 者 は法 律 学 研 究 者 の評 価 で あ る。 (1)は. 、 法 曹 一 元 実 現 へ の 突 破 口 が 切 り開 か れ 、 裁 判 員 制 度 は 陪 審 制 へ の 動 き を 内 包 す. る… …な ど、 「 意 見 書 」 を 全 体 と して プ ラ ス評 価 す る。 しか し、抽 象 的評 価 が 目に つ く し、弁 護 士 活 動 と弁 護 士 自治 へ の規 制 な ど弁 護 士 界 か ら在 野性 の牙 を抜 く 「 弁 護 士 制 度 改革 路 線 」 だ、 との 批 判 に た い して説 得 的 に答 え て い な い 、 な どの疑 問 点 が あ る。 ま た 、市 民 の た め の 司法 実 現 に 必 要 不 可 欠 な最 高 裁 判 所 事 務 総 局 の 改革 に 手 を つ け て い な い の は 、最 大 の問 題 点 と い え よ う。 「意 見 書 」 は総 論 で あ って 「 諸 課 題 は 今後 の 実 施過 程 で 詰 め られ る」 との 言説 もあ るが 、 司法 改 革 を め ぐる こ こ数 年 の 日弁 連 執 行 部 多 数 派 の 姿 勢 か らす れ ば 、 そ れ は とて も期 待 で きそ う もな い 。 (2)は. 、社 会 的 強 者 も弱 者 も機 械 的 に 対 等 の立 場 に お き、 自立 的 で社 会 的 責 任 を 負 った 統 治. 主 体 と して 責 任 を 問 うて い くシ ス テ ム、 つ ま り弱 肉強 食 の社 会 シス テ ムに適 合 的 な 司法 制 度 づ く りで あ る… … な ど、 マ イ ナ ス評 価 す る。 司 法 改 革 を1990年 代 か ら の構 造 改 革 路 線 の 一環 と して 捉 え 、 そ の 視 点 か ら 「意 見 書 」 の問 題 点 を 批 判 して い るが 、 視 点 を 共 有 して い る と思 わ れ る弁 護 士 有 志 の 評価 は こ うで あ る。 「(意見 書 総 論 で)展 開 され てい る国 家 像 ・司 法 観 は 、 い ず れ も現 行 憲 法 ひ い て は 近 代 立 憲 主 義 の根 本 原 理 と ま った く異 質 で あ り、 相 容 れ る も ので は な い。 そ して 、 意 見 書 の 以 下 の 『各 論 』 は こ の 国家 改造 と社 会 ・法 曹 ・民 衆 の あ り方 の 転 換 を 実 現 す るた め の具 体 的 制 度 の提 唱 で あ る」 ⑤。 これ らの 厳 しい 評 価 に た い して 、(1)の. 立 場 か ら の本 格 的 な反 論 は私. の 知 るか ぎ り未 だ 出 され て い な い。 「 意 見 書」 は いか よ うに も読 め る部 分 が散 見 され るが、(2)の. 論 者 の視 点 、す な わ ち構 造 改革.

(4) =弱 者 切 り捨 て の改革 の一 環 と して の 司 法 改革 との視 点 か ら読 ん だ とき 、 そ の ね ら い の 道 筋 が は っき りみ えて くる。そ の意 味 で 、私 は 基本 的 に(2)の. 評 価 に 共 感 して い る。. Ⅳ 「 意 見 書」 で の 「 隣 接 法 律 専 門 職 種 」(司 法 書 士)の 扱 い. ここ で、 「 意 見 書 」 が 「隣 接 法律 専 門 職 種」(「意 見書 」 で の表 現 で あ り、 「司 法書 士 ・弁 理 士 ・ 税 理 士 ・行 政 書 土 ・社 会 保 険 労 務 士 ・土 地 家 屋 調 査 士 な ど」 と して い る。 以 下 、 「隣 接 職 種 」 と 略)を. ど う扱 って い る のか を み て お こ う。. 「隣接 職 種 」 は 、「 意 見書 」全5章 立 て の第3章3節7項. で主 に扱 わ れ て お り、記 述 分 量 は お ど. ろ くほ ど少 な い。 同時 に、 きわ め て 軽 い 扱 い で あ る。 司法 改 革 が 法 曹三 者偏 重 で検 討 され て きた 経 緯 を ま さに反 映 して い る。. 弁 護 士 と隣 接 法 律 専 門 職 種 との 関 係 に つ い て は 、弁 護 士 人 口の 大 幅 な増 加 と諸 般 の 弁 護 士 改 革 が 現 実 化す る将 来 に お い て 、 各 隣 接 法 律 専 門 職種 の制 度 の趣 旨や意 義 、 及 び利 用 者 の利 便 と そ の 権利 保 護 の要 請 等 を踏 まえ 、法 的 サ ー ビス の担 い手 の 在 り方 を 改 め て 総 合 的 に 検 討 す る必 要 が あ る。 しか しな が ら、 国民 の権 利 擁 護 に不 十 分 な現 状 を 直 ち に解 消 す る必 要 に か ん が み 、 利 用 者 の視 点 か ら、 当 面 の法 的需 要 を 充足 さ せ る ため の措 置 を講 じる必 要 が あ る 。 この よ うな観 点 に 立 ち 、 訴訟 手 続 に お い て は 、隣 接 法律 専 門職 種 な どの 有 す る 専 門性 を活 用 す る見地 か ら、 少 な くと も司法 書 士 の 簡 易裁 判 所 で の訴訟 代 理 権(簡 易 裁 判 所 で の事 物 管 轄 を 基 準 と して、調 停 ・即 決 和 解 事 件 の代 理 権 につ い て も同様)、 弁 理 士 の 特 許 権 等 の 侵 害 訴 訟(弁 護士 が訴 訟 代 理 人 に な って い る事 件 に 限 る。)で の代 理 権 に つ い て は 、信 頼 性 の 高 い 能 力 担 保 措 置 を講 じた 上 で 、 これ を付 与 す べ き で あ る。 税 理 士 につ い て は、 税 務 訴 訟 にお い て、 裁 判 所 の許 可 を得 る こ とな く、補 佐 人 と して 、弁 護 士 で あ る訴 訟 代 理 人 と共 に 裁 判 所 に 出頭 し、 陳 述 す る権 限 を 認 め るべ き で あ る。 ま た、ADRを. 含 む訴 訟 手 続 外 の法 律 事 務 に 関 して 、隣 接 法 律 専 門 職 種 な どの 有 す る専 門 性. の活 用 を 図 る こ とも重 要 で あ る。 具 体 的 な 関 与 の在 り方 に つ い て は 、 後述 す る弁 護 士 法 第72条 の見 直 しの一 環 と して、 職 種 ご とに 実 態 を踏 まえ て判 断 す べ きで あ る 。. 弁 護 士 と 「隣接 職 種 」 の関 係 は 、弁 護 士 の 大 幅増 員 と弁 護 士 改革 が現 実化 す る ま で 先送 りし、 利 用 者 の 「当面 の法 的 需 要 を 充足 させ るた め」 司法 書 士 と弁 理 士 に代 理 権 を部 分 的 に認 め、 税 理 士 に補 佐 人 の権 限 を認 め る、 とい うわ け で あ る。 しか も、新 た な権 限 付 与 は半 永 久 的 に認 め る とい うの で は な く、弁 護 士 が 現 実 に フ ォ ローで き て いな い 権 利保 障 領 域 を 「隣接 職 種 」 に肩 代 りさせ 、 弁 護士 が大 増 員 され た 将 来 の時 点 で検 討 し て そ の 命 脈 を きめ る、 とい って い る の で あ る。 よ うす るに 、過 渡 的措 置 と し て の権 限 付 与 な の で あ る。そ れ で は 、 「 隣 接 職 種 」の 命脈 は保 た れ るだ ろ うか 。い ま の と ころ、そ れ を 保 証 す る もの は.

(5) な に 一 つ な い 。 「弱 肉 強食 の社 会 シ ス テ ム に適 合 的 な 司法 制 度 づ く り」 と、 「意 見 書」 を マ イ ナ ス 評 価 す る立 場 に つ い て は す で に 紹 介 した が 、 そ の よ うな 制度 づ く りへ の 過 程 で 、 早 くも弱 肉強 食 劇 が 強 行 され よ うと して い る ので あ る。 「 意 見 書 」 が 出 され る少 し前 、 あ る弁 護 士 が 次 の よ うに 発 言 して い るが 、 弁 護 士 界 の 意 見 の 有 力 な 潮 流 とみ るべ きだ ろ う。 「隣接 業 種 は縦 割 り行 政 の 中 で行 政 通 達 に従 属 す る業 務 を 行 っ て い る ので 、 そ の発 想 ・訓 練 に於 いて 国民 の た め に 闘 う法 律 家 とい え ず 、 限 界 が あ る こ とは 否 め ま せ ん。 行 政 に 従 属 せ ず 、 訴 訟 を 行 う こと の 出来 る フル パ ワー の 法 律 家 が 増 え る こ とが 重 要 な の で す 」 と指 摘 、 日弁 連 理 事 会 は2000年9月. に 司 法 書 士 ・弁 理 士 ・税 理 士 に 一 定 の 権 限 を 認 め る こ と. を 承 認 した こ とを 紹 介 した うえ で、 「隣接 業 種 と弁 護 士 とは対 立 で は な く協 調 す べ き 関 係 に あ り ます 。 相 互 に ネ ッ トワー クを 作 っ て国 民 に 対 す る法 的 サ ー ビ スに 当た るべ きで す 。 試 験 と研 修 を 経 て訴 訟 に関 与 で き る能 力 を もっ た人 達 に つ い て は、 将 来 的 に ロー ス ク ール で の 学 習 や 弁 護 士 の 実 務 修 習 を経 る な ど して弁 護 士 に統 合 して い く こ とが 望 ま しい と思 い ます 」 ⑥。 「中 間 報 告」 を 受 け て の 「意 見 書」 へ の 支 援 、つ ま り露 払 い を 強 く意 識 した 主 張 な の だ が 、 「隣 接 職 種 」 の業 務 の性 格 の認 識 が上 記 の裁 判 論 テ キ ス ト執 筆 者 のそ れ よ りさ らに 選 別 的 で あ り、 将 来 は有 能 な者 だ け を弁 護 士 に してや ろ う、 とい うの で あ る。 ず い ぶ ん踏 み 込 ん だ 、 強 者 な らで は の発 言 で あ る。 した が って 、 「隣 接 業種 と弁 護 士 は 協 調 す べ き」 と説 い て も、前 者 を 「 行政通達 に 従 属 す る業 務 」 に従 事 して い る と理 解 して い る か ぎ り、 両 者 の 「 協 調 」 は奇 麗 事 の表 現 と しか 思 え な い の で あ る。 協 調 実 現 の基 本 条 件 は平 等 意 識 の確 保 に あ る こ とを 、論 者 は完 全 に 無 視 して い る。 「隣 接 職 種 」 の 人 た ちは ど う受 け とめ て い るの だ ろ う。 「 意 見 書 」 が 出 され た あ と、竹 下 守夫 審 議 会 会 長 代 理(民 事 訴 訟 法 学 研 究 者)が 、 あ る座 談 会 で 弱 肉強 食 の意 図 を は っ き りと証 言 して い る。 「(隣接 職 種 は)も. と も と行 政 庁 や 裁 判 所 が 、弁 護. 士 を増 や す こ とを好 まず 、 そ の息 のか か った職 員 に一 定 の資 格 を 与 え 、行 政 や 裁 判 事 務 の 円 滑 化 の た め に 国 民 との 間 に 介在 させ る趣 旨で作 って きた もの で あ って 、 そ れ らの人 々 の業 務 は将 来 的 に は弁 護 士 業 務 に統 合 され るべ き もの だ とい う捉 え方 を され る 人 もお られ ます 。 確 か に 、沿 革 的 に は そ うい う面 が あ った の か も しれ ま せ ん し、弁 護士 の数 が増 え て くれ ば 、 い ま隣 接 法 律 専 門 職 種 と言 わ れ て い る 人 が や って い る よ うな仕 事 も、弁 護 士 がや る よ うに な る だ ろ う とい う こ とは 、 あ る程 度 予 測 され る こ とで あ ります」 ⑦。 この発 言 で は 、当 の 会長 代 理 、及 びそ の他 の委 員 の意 見 が 披瀝 され て い るが 、 「隣接 職 種 」の う ち の 司法 書 士 や税 理 士 に 限 定 した と き、 「 意 見 書 」 ま で の過 程 で 慎 重 審 議 が な され た とは 思 わ れ な い。 例 え ば 、 司 法 書 士 の 出 発 点 は い わ れ る よ うな もの で あ って も、法 改正 で 司法 書 士 試 験 合 格 者 の ほ うが 圧倒 的 多 数 を 占め る よ うに な って 久 しい こ と、弁 護 士 と と もに い わ ば 車 の 両 輪 と して 日本 の 司 法 を 営 々 と支 え て きた 司 法書 士 の 実 績 が きち ん とふ まえ られ て い る とは 思 え な い こ と な ど、 ま さに 弁 護 士 を 強 者 と位 置 づ け て の 発 言 で あ る。 また 、弁 護 士総 数 よ り少 し多 い 司 法 書 士 の 大 多 数?が. 失 職 す るか も しれ な い将 来 が 、 ま るで 他 人 事 の よ うに語 られ て い る。. 当 然 の こ とな が ら、 「(意見 書 で は)法 律 家 全 体 の供 給 を どの様 にす るの か とい った 、 将 来 の制.

(6) 度 に か か わ る設計 が 明 確 に は示 され て い な い」 と、 「 隣 接 職 種 」の 側 か ら注 文 が あ る。 しか し、審 議 会 か らす れ ば 、 将 来 は 約束 で きな い とい う意 味 で の 「 将 来 像 は示 して い る はず 」 とい うこ と な の だ ろ う。 もち ろ ん、 「 隣 接 職 種 」 と国 民 ・市 民 に た い して 、な ん と も乱 暴 、か つ無 責 任 な 将 来 像 の提 示 で あ るが 。. V司. 法 書 士 は 「意 見 書」 を ど う評 価 して い るか. 「意 見 書 」 を め ぐる司 法 書 士 間 の 対 立 す る評 価 を み て お きた い。 も っ とも、 司法 書 士 界 で の議 論 は まだ まだ 弱 く、本 格 的 な論 争 が 展 開 され て い るわ け で は な い。 「 意 見 書 」で の 扱 わ れ 方 が いか に軽 くて も、 「お家 の一 大 事 」で あ る こ とは 事 実 な のだ が 。 この あ た りが 、弁 護 士 界 との ちが い な のだ ろ う。 最 初 は 日本 司法 書 士 会 連 合 会(以 下 、 日司 連 と略)副 会長 の 評価 、次 は 司法 書 士個 人 の評 価 で あ る。 す な わ ち 、(1)弁. 護 士 改革 の 関連 で 司法 書士 を積 極 的 に 活 用 、(2)企. 業 本 位 の 司法 改革. で あ っ て 、弁 護 士 大 増 員 まで の司 法 書 士 の便 宜 的 ・代 替 要員 的 活用 、 とい う。 (1)で. あ る が、 「当連 合 会 は 、国民 の司 法 へ の ア クセ ス を 確 保 す る こ とが 、利 用 しや す い 司法. 制 度 と して 不 可欠 で あ り、 こ の観 点 か ら、 司 法 の人 的 イ ン フ ラの 一員 と して全 国 に 均 在 す る 司法 書士 の活 用 が 必要 で あ る との意 見 を表 明 して き た が、 今 般 の 意 見 書 に示 され た 司 法 制 度 改 革 の方 向性 に つ い て は 基 本 的 に賛 成 す る も の で あ る」 と、 プ ラス 評価 す る⑧。 もち ろ ん 、簡 易 裁 判 所 訴 訟 代理 権(以 (1)の. 下 、 簡裁 代 理 権 と略)の 付 与 そ の他 に つ いて 歓 迎 して い るの で あ る。 意 見 全 体 を読 ん で最 も気 に な る の は 、 司法 書 士 の過 去 の実 績 へ の 正 当 な 評 価 →職 域 拡. 大 、 とい う筋 道 に そ って 「司法 制 度 改革 の方 向性 」 を検 証 す る姿 勢 が み え な い こ とで あ る。 関 連 して い え ば、 司 法 書 士 の み な らず 「 隣 接 職 種 」 側 は 、 日本 の司 法 を 営 々 と下 支 え し て き た 自分 た ち の 実 績 を 「意 見 書 」 に反 映 さ せ るべ く どれ ほ ど運 動 して きた のか 、 と い うこ とが 気 に な る。 (2)の. 論 者 は 、司法 書 士 の過 去 の実 績 を意 識 した うえで 、次 の よ うに 指摘 して い る。 「司法 試. 験 合 格 者3000人 体 制 ・法 曹5万 人 時代 を迎 え る こ と とな っ た場 合 に 、 弁 護 士 隣 接 法 律 専 門職 種 が 、 社 会 的 に どの よ うな 役 割 を 果 た す べ きか とい う点 に つ い て は全 く触 れ られ て い な い。 む しろ 、 最 終 報 告 書 は 、法 曹5万 人 時 代 に 到達 す るま で 、過 渡 的 に(?)、. 司法 書 士 等 弁 護 士 隣 接 専 門 職種 に. 対 し、 信 頼 の で き る能 力 担 保 制 度 を 条 件 に 簡 裁 訴 訟 代理 権 等 を付 与 す るが 、 法 曹5万. 人時代が く. れ ば、 司 法書 士 等 隣 接 法 律 専 門 職 種 は 、 自然 淘 汰 され る べ き で あ る と位 置 づ け て い る の で は な い だ ろ うか 。 司法 書 士 を は じめ とす る弁 護 士 隣 接 法 律 専 門 職種 が社 会 的 ・歴 史 的 に担 って きた 役 割 を十 分 に 検証 せず に、 狭 義 の 法 曹 人 口増 員 とそ れ を 支 え る 狭 義 の法 曹 養 成 制 度 と し て の ロ ー ス クー ル制 度 の導 入 の みが 具 体 化 した こ とに は 疑 問 を 呈 さざ る を得 な い」 ⑨。 将来 像 に か か わ っ て の疑 問 呈 示 は も っ と も な こ とで あ る。それ に つ い ては 、(1)の 勝 ち に ふ れ て は い る が、"物 る。(1)と(2)の. 申す"と. 論 者 も遠 慮. い うも の で はな く、 日司 連 会 長 の評 価 も基 本 的 に 同 様 で あ. 決 定 的 な ち が い は 、"物 申 す"姿 勢 の有 無 に あ る。 過 渡 的 な 権 限 付 与 と い.

(7) う、 「 意 見 書 」 の実 に い い加 減 な提 言 は 、過 去 の実 績 の検 証 を ネ グ レク トした こ と と繋 が っ て い る。 実 績 を 検 証 して お れ ば 、過 渡 的 な 権 限 付 与 とい うわ け に は い か な か った はず で あ る 。 な お 、 審 議 の な か で 司 法 書 士 ら 「隣 接 職 種」 が 果 た した 役 割 が 評価 され た こ とは あ ったが 、 そ れ は 弁 護 士 の業 務 独 占 を 批 判 す るた め だ った こ とに 注 意 しな け れ ば な らな い。. Ⅵ司法改革論議 と 「 隣接 法律専門職種」(特に司法書士). 1999年7月. の審 議会 発 足 か ら今 回 の 「 意 見 書 」に 至 る まで の過 程 で、 「 隣 接 職 種 」は ど う議 論 さ. れ て き た の だ ろ うか。 「 意 見 書 」 へ の評 価 に さい して の 冒頭 部 分 に 、 あ る ジ ャー ナ リス トが 次 の よ うに 記 し て い る 。 「 法 律 実 務 家 や 学 者 た ち が長 年 協 議 して も成 案 を得 られ な か っ た 難 題 に 、 数 回 の 審 議 で 次 々 と 『答 え』 が示 され て ゆ く。 中 に は10分 間程 度 の意 見 交 換 しか 行 わ れ な か った も の も あ る。 そ の疾 走 感 、躍 動 感 に胸 が高 鳴 る一 方 で 、『こん な 調 子 で 突 っ走 って 本 当 に い い の だ ろ うか』 と不 安 や 疑 問がもたげる. 」 ⑩。 当 の 審 議 会 委 員 た ち は 不 安 や 疑 問 を 抱 か な か った の だ ろ うか。. これ ま で み て き た 「 意 見 書 」で の扱 いが は っ き りと物 語 って い るが 、 「 隣 接 職 種 」に つ い て の議 論 は きわ め て貧 弱 だ っ た。 「 意 見 書 」 を締 め く くる 「お わ りに」 の と ころに 、次 の 文 章 を 発 見 した と き、私 は苦 笑 を禁 じえ なか っ た。 「司 法制 度 の在 り方 が、従 来 の よ うに 、い や し くも法 曹 三 者 の 意 向 の み に よっ て決 定 さ れ る よ うな こ とが あ っ て は な らず 、 ま た 、そ うした 受 け 取 られ 方 を され る こと が な い よ う十 二 分 な配 慮 をす べ き で あ る。 そ のた めに も 、法 曹 三 者 は 、 そ れ ぞ れ が 外 部 の 評 価 を 真 摯 に受 け止 め 、 適切 に対 応 して い く こ とが求 め られ る。 そ して 、 何 よ り重 要 な こ と は、 司法 制 度 の利 用 者 の意 見 ・意 識 を充 分 汲 み取 り、 それ を制 度 の 改革 ・改 善 に 適 切 に 反 映 させ て い く こと で あ り、利 用 者 の意 見 を実 証 的 に検 証 して い くた めに 必 要 な調 査 等 を 定 期 的 ・継 続 的 に実 施 し、 国民 の期 待 に応 え る制 度 等 の 改革 ・改善 を行 っ て い くべ き で あ る」。 「 従 来 の よ うに」 とは 、今 回 の審 議 以前 の審 議 の あ り方 を 指 して い る のだ ろ う。 しか し、 法 曹 三 者 偏 重 で 司法 改革 を論 議 した とい う点 で は 、 今 回 も基 本 的 に 同 じで あ った 。 仮 りに 今 回 の審 議 の民 主 性 を 自画 自賛 す る 意味 を そ こに こめ て い る の な ら、 い さ さ か調 子 が よす ぎ る と い いた い。 審 議 会 の法 曹 三 者 側 委 員 以外 の委 員 の 意 見 を ふ ま え た と も 自賛 して い る のか も しれ な い が、 それ が 「 意 見 書 」 の 内容 に反 映 さ れ て い な け れ ば 、委 員 構 成 の と ころ で民 主 的 ポ ー ズを と っ ただ け と い うこ とに な る。 念 の た め に い え ば 、審 議 会 の メ ンバ ー(会 長 ・会長 代 理 を含 め て13名)は. 、法. 曹 三 者 の ほ か 、研 究者 等 大学 関 係 者 、 会 社 役 員 、 労働 組 合役 員 、 消費 者 団体 役 員 、 作 家 で構 成 さ れ て お り、 そ こに 、 日本 の 司 法 を 下 支 え して きた 「隣接 職 種 上 関 係者 の名 前 は一 人 もい な い 。 少 な くと も、審 議 会 が 「隣 接 職 種」 の 意 向 に きち ん と耳 を傾 け た とは 思 え な い。 今 後 に つ い て 「意 見 書 」 は 、「法 曹 三 者 は 、そ れ ぞ れ が 外 部 の評 価 を 適 切 に 真 摯 に 受 け 止 め … …」 とい って い る が 、 今後 と も法 曹 三 者 で 取 り仕 切 って い くこ とを 露 骨 に 宣 言 して い るに す ぎ な い。 日司 連 は 、 「 審 議 会 に調 査 専 門属 託 員 を派 遣 す る と と もに 、 法 律 実 務 家=司. 法 書 士 と して さ ま.

(8) ざ まな 角 度 か らの 意 見 、 要 望 を 表 明 して きた 。 昨年7月7日. に は審 議 会 に お い て、 直 接 、身 近 な. 司 法 の実 現 に 向 け た 意 見 を 述 べ る機 会 を 得 る こ とが で きた」⑪とい う。 しか し、簡 裁 代 理 権 、訴 訟 手 続 外 の法 律 事 務 、ADR(裁. 判 外 紛 争 解 決 手 段)活 用 な どで考 え て いた だ ろ う要 求 内容 と 「 意. 見 書 」 で の 権 限 付 与 の あ い だ に はか な り落 差 が あ る し、 過 渡 的 な権 限付 与 とい う厳 粛 な 事 実 は、 審 議 会 そ の 他 で の 論 議 の 貧 しさ の結 果 だ と批 判 され て も仕 方 が な い の で はな いか 。 長 年 の実 績 を ふ ま えて 、 日支 連 は 審 議 会 に た い して どれ ほ ど中身 の あ る議 論 を しか け た の か 、 併 せ て 、 単 位 司 法 書 士 会 や 個 々の 司 法 書 士 は 、 審 議 会 と国 民 ・市 民 に た い して どれ ほ ど主 体 的 積 極 的 に ア ピー ル した の か 、 な どが 問 わ れ る。2000年1月. 、 日司 連 が審 議 会 宛 て に提 出 した 『司 法 書 士 制 度 の概 要. と職 務 の 実 際 』は 、209ペ ー ジ の大 部 の報 告 書 で あ る が 、第二 部 の資 料 編 に 比 較 して、第 一 部 の総 論 部 分 が あ ま りに も簡 単 で あ り、 司 法 書 士 の 過 去 の実 績 を法 曹 三 者 以 外 の 委 員 に 伝 え るに は 貧 弱 に す ぎ る。 法 律 学 研 究 者 は ど うだ ろ うか 。圧 倒 的 多 数 は 、「隣 接 職 種」 の存 在 に 当 初 か らほ とん ど関 心 を 示 さな か った 。 若 干 の 法 律 学 研 究 者 が 「 隣 接 職 種 」 につ い て言 及 して きた が 、 そ の ほ とん どは 、 司 法 改 革 の な か で 枝 葉 末 節 な い しそ れ に 近 い 発 言 に 終 始 して きた 。 私 の所 属 す る学会 自体 が そ うで あ った が 、 研 究 者 た ち は 法 曹 三 者 偏 重 の 司 法 改 革 論 議 に 耽 って い た わ け で 、結 局 、 そ ん な 風 土 が 審 議 会 の 「隣 接 職 種 」 軽 視 を 助 長 した の で は な いだ ろ うか 。 日頃 か ら民 主 的 法律 家 各層 の 協 力 を 説 い て きた 研 究 者 が 、 司 法 改 革 問 題 で は 、 と りわ け 弁 護 士 と司 法 書 土 の 協 力 を 、最 初 か ら不 可 能 と判 断 して い た の が 実 情 で あ る。 しか し、 弁 護 士 で も司 法 書 士 で もな い 研 究者 は 、 両者 の 協 力 を 説 きつ づ け るの が 筋 とい うもの だ ろ う。 つ い で に い えば 、 「 意 見 書 」 が 出た あ と法 律 学 研 究 者 が、 「隣 接 職 種 」 の 将 来 像 が 描 か れ て い な い と説 い た り して い るが 、 当 初 か ら弱者 に 関心 が な か った こ とを 告 白 して い る よ うな もの で あ る。 将 来 像 問 題 は 「中 間 報 告 」 時 点 です で に浮 上 して い た し も っ とい え ば そ れ 以 前 、 弁 護 土 大 増 員 案 が 浮 上 しつ つ あ った 時 点 で 問題 意 識 を もつ べ き だ った と いいたい。. Ⅶ私 の 「隣 接 法 律 専 門 職 種 」(特 に司 法 書 士)論. こ こで 、 私 の 司 法 書 士 論 の 原 点 だ け を 示 して お こ う。 詳 し くは 、折 にふ れ て私 が 書 い た も の を 読 ん で い た だ きた い⑫。 司 法 書 士 職 の 社 会 的 意 義 を 考 え るば あ い 、 私 は 特 に 次 の二 点 に注 目 して い る。(1)司 判 、 プ ラス そ の 他 の法 現 象)の 重 要 な担 い手 、(2)日. 法(裁. 本 国 憲法 体 系 下 の人 権 保 障 の た め の法 律 専. 門 職 、 で あ る。 (1)に. つ い て で あ る が 、 ま ず紛 争 予 防法 律 専 門 職 とい うべ き も の で、 登 記 ・供 託 に 代 表 され. る業 務遂 行 で紛 争 を未 然 に 防 ぎ、 人権 保 障 に資 す る職能 で あ る。 さ ら に紛 争 法 律 専 門 職 の側 面 で あ る が 、本 人訴 訟 を法 的 に 支援 す る裁 判 事 務 を遂 行 す る こ とで、 人 権 保 障 に 資 す る職 能 で あ る。 つ づ い て(2)で. あ る が 、1978年 の 改正 司法 書 士 法 が 画期 とな っ て い る。 弁 護 士 は49年 、 日本.

(9) 国 憲 法 の原 理 を 正 面 か ら受 け とめた 新 弁 護 士 法 に よ って 、 名 実 と もに 人 権保 障 の専 門 的担 い 手 と 位 置 づ け られ 、 そ れ に徹 す る こ とを 業 務 の使 命 と され た 。 しか し、50年 の新 司法 書 士 法 は 憲 法 原 理 に ふ さわ し くな い 内容 で あ った こ とか ら、 司 法 書 士 は 人 権 保 障 の法 的 担 い 手 に は な りえ な か っ た 。 そ れ は、 日本 国憲 法 施 行 直 後 の臨 時 司 法 制 度 協 議 会 で 豊 原 清 作 委 員(弁 護 士)に. よ って な さ. れた、「 今 の弁 護 士 は 、依 頼 人 か ら報 酬 を貰 っ て、誠 実 公 正 に 職 務 を 行 うこ とに な って い る。そ れ を 、 人 権 の擁 護 、 法 律 秩 序 の維 持 等 、 公 共 的 性 質 を 持 た せ る こ と と し、弁 護 士 法 第一 条 を そ の趣 旨に 改 め る必 要 が あ る」 との主 張 が 、 司 法 書 士 法 に つ い て は み とめ られ な か った こ とを意 味 して いた 。 そ して、 遅 れ ばせ なが ら78年 改 正 司 法 書 士 法 が 、 司 法 書 士 を 名 実 と もに 人権 保 障 の 専 門 的 担 い 手 と位 置 づ け 、 そ れ にそ っ て業 務 の使 命 を 定 め た 。 人 権擁 護 と法 律 秩 序 の維 持 な どを 公 共 性 を 有 す る業 務 と捉 えた 豊 原 の主 張 を ふ ま えて い えば 、78年 改 正 司 法 書 士 法 は 、 人権 保 障 とい う使 命 を 果 た す と こ ろに 司 法 書 士 職 の存 在 理 由、 つ ま り公 共 性 が あ る と した の で あ る。 そ の結 果 、78 年 以 降 、 司 法 書 士 は公 共 性 の観 点 か ら常 に 国 民 ・市 民 に よ って 検 証 され る存 在 とな った の で あ る、. Ⅷ 「意 見 書 」 中 の 「隣 接 法 律 専 門 職 種 」(特 に 司 法書 士)に. つ い ての 私 見. 「意 見 書 」 中 の司 法 書 士 職 に か ん す る提 言 へ の私 見 は 、 す で に 】Ⅳ 、V、Ⅵ. で散 発 的 に示 して き. た が 、 こ こで再 論 して お こ う。 な お 、 「意 見 書」 は 「中 間 報 告 」の 内容 を基 本 的 に 引 き継 い で い る の で 、 「中 間報 告」 に つ い て の 既発 表 の 私 見 も参 照 して い た だ き た い。 注 目した い のは 次 の四 点 で あ る。 す な わ ち、(1)法 替 要 員 的 活 用 、(3)法. 曹 三 者 偏 重 下 で の活 用 、(2)時. 科 大学 院 の基 本任 務 は法 曹 三 者 の養 成 、(4)本. 限 的 ・代. 人訴 訟 につ い て の 言及 な. し、 で あ る。 これ らに つ い て私 見 を 簡 単 に 示 して お こ う。 (1)と(2)は. 、 い っ し ょに ふ れ て お こ う。 審 議 会 の審 議 路 線 を 基 本 的 に支 持 して発 刊 され. た 『月 刊 司法 改革 』 は 、 第22号(2001年7月)で. 、編 集 委 員 会 が 「徹 底 検 証 審 議 会 最 終 報 告. 書」 とい う記 事 を掲 載 して い る。 そ の な か に 、次 の よ うな文 章 が あ る。 「意 見 書 は 『隣接 法 律 専 門 職 種 の 活 用 等 』 に つ い て、 弁 護 士 法72条 を 緩 和 して 、 隣 接 職種 の 権 限 を 拡大 す る方 向 を打 ち 出 し て い る。 当 面 の国 民 の法 的 需 要 を 考 えれ ば 、 当 然 の結 論 と もい え るが 、 法 曹 人 口の大 幅増 加 が実 現 す れ ば 、 現 在 の隣 接 職 種 の存 在 意 義 自体 が 問 わ れ る状 況 が 出 現 す る こ とは 間違 い な く、意 見 書 は 、 将 来 の 日本 にお け る法 律 専 門 職 種 の あ り方 自体 が 今 後 の 検 討 課 題 で あ る こ とを 明記 す べ きで あ った ろ う」 と。 しか し、 「 検 討課 題 で あ る こ とを 明記 す べ き だ った」 と は、 「隣接 職 種 」 の た め を 思 って 指 摘 し て い るわ け で は な い 。 弱 者 へ の配 慮 が あ った の な ら、 憂慮 され る 「隣接 職 種 」 の 将 来 像 は す で に 「中 間 報 告 」 で 浮 上 して お り、 そ の時 点 で 指 摘 して い た はず で あ る。 と もか く、 審 議 会 、 法 曹 三 者 、 法 律 学 研 究 者 、 そ の 他 も ろ も ろが 、 「 隣接職種 」 の存 在 を軽視 し、 「 法 曹 三 者 に よ る法 曹 三 者 の た め の 司 法 改革 」 が 強行 さ れ て きた 。 「隣接 職 種 」 は 法 曹三 者 に 従 属 す る職 種 と位 置 づ け られ 、 便 宜 的 に 、 時 限 的 に そ の 活 用 を 提 言 され た。 そ して例 え ば 、 司法 書 士 へ の 代 理 権 付 与 は簡 易 裁 判 所 に 限 定 され 、 引 き続 き控 訴 審 で 争 うば あ い の 代理 権 行使 を認 め.

(10) られ て い な いが 、 ま さに 便 宜 的 な活 用 方 針 と の か らみ でそ うされ た といわ ざ る を えな い。 そ の意 味 で 、下 手 をす る と、 活 用 の た め の法 改正 も時 限 的 な 改正 と して提 案 され る可 能 性 が あ る。 (3)の. 法 科 大 学 院 問 題 で感 じる の は、 そ れ が新 た な差 別 構 造 を発 生 さ せ る ので は な いか 、 と. い う こ とで あ る。 現 在 は 学 歴 に 関 係 な く司法 試 験 や 司法 書 士試 験 に 合格 す れ ば、 法 曹 三 者 や 司法 書 士 に なれ る。 しか し今 後 は 、法 科 大 学 院 と い う学 歴 を基 礎 条 件 と しつ つ 法 曹 三 者 だ け が 特 別 カ リキ ュラ ム で養 成 され 、 他 方 、 司法 書 士 な ど 「 隣 接 職 種 」 は従 来 通 り とい うこ とに な る。 つ ま り、 法 律 専 門職 種 のな か に 学 歴 ・特 別 養 成 と い う出 自の ち が い が創 出 され 、現 状 とは また 異 な る、 新 た な上 下 関係 → 差 別 関 係 が発 生す る に ちが い な い の で あ る。 最後 に(4)で. あ るが 、 「意 見 書 」 は 、本 人 訴 訟 につ い て な ん ら言 及 して いな い。本 人 訴 訟 は 司. 法 改革 の対 象 では な い と の判 断 な のだ ろ うか 。 そ うで は な い と思 う。 日本 の民 事 訴 訟 が 弁 護 士 強 制 主義 を採 用 してい な い か ら とい って も、 本 人 訴 訟 の数 が きわ め て多 い現 実 と訴 訟 実 態 に は 、 改 善 され る べ き多 くの問 題 が 内包 さ れ て い るは ず で あ る。1999年 の簡 易 裁 判 所 デ ー タを 紹 介 す る と、 原 告 ・被 告 双 方 に弁 護 士 がつ い た の が1.3%、 一 方 だ け に弁 護 士 が つ い た の が9.2%、. 本人訴訟 は. 実 に89%に 及 ん で い る。 本 人 訴訟 を提 起 した 人 の なか に は、 無 弁 護 士 地 域 な い し弁 護 士 過 疎 地 域 の 人 、弁 護 料 が払 えな い 人 、弁 護 料 を払 うと勝 訴 して も損 す る少 額 訴 訟 の人 、 弁 護 士 に 弁 護 を こ とわ られ た 人、 弁 護 士 不 信 の 人 な どが多 くい て、 これ ら の事 例 は、 日弁 連 に と って 、 また 、 法 務 省 や 最 高裁 判 所 に と っ て 、 い ろ ん な意 味 で頭 が 痛 い 問題 な の で あ る。 そ して 、 司 法 書 士 が 本 人 訴 訟 を 支援 して い る ケ ー ス が 多 々 あ る。 加 えて 、99年 か ら実 施 され た 改 正 民 事 訴 訟 法 は 、 本 人 訴 訟 を よ り困難 な も の に させ 、 司法 書 士 の役 割 が い っそ う増 して い る。 これ まで 裁 判 事務 に 力 を 入 れ て きた 司 法 書士 に よれ ば 、 司法 書 士 に よる さ ら に高 度 で 良質 な訴 訟 書 類 の作 成 、 及 び 訴 訟 維 持 の 指 導 が 必要 とな っ て い る 、 と され る。 こ の よ うな背 景 を考 慮 して、 本 人 訴 訟 に つ い て は ふ れ な い で お こ う、 とい う こ とに な った の で は な いだ ろ うか 。 付 記 す る と、 憲 法32条 の裁 判 を 受 け る権 利 は 、 本 人 訴訟 の ば あ い 、本 人 の 準備 努 力 だ け に も とつ い て享 受 で き る権 利 とい うよ りは 、 司 法 書 土 の 法 的 支援 を受 け る な ど して 享受 で き る権 利 、 と理 解 す る ほ うが よ さそ うで あ る。. Ⅷ司 法 書士 に要 望 す る こ と. い ず れ に しろ 、 「 意 見 書 」 は 公 表 され 、 「 矢 は弦 か ら放 た れ た」 状 態 に あ る。 「 隣 接 職 種 」 は 、司 法 書 士 は 今後 、「意 見 書 」の 具 体 化 を に らん で な に をす べ き だ ろ うか 。一 市 民 と して 、一 法律 学 研 究 者 と して 、 思 いつ くま ま順 不 同 で指 摘 して お こ う。 (1)1978年. 改正 司 法 書 士 法 の 歴 史 的 意 義 と 問 題 点 の 確 認 、(2)自. (3)弁. 護 士 法72条 と司 法 書 士 法10条 の 改 正 、(4)「. (5)裁. 判 事 務能 力 の涵 養 、(6)法. 治 自律 権 の 確 立 要 求 、. 意 見 書 」 に 示 され た 過 渡 的 活 用 の 克 服 、. 律 専 門 職 の 多 重 的 配 置 存続 の要 求 、(7)各. 層 との 意 見 交 流. の 強 化 、 な どで あ る。 (1)と(2)は. 、 合 わ せ て 指 摘 して お き た い。 まず 、1978年 改正 司 法 書 士 法 を 司 法 書 士 が ど.

(11) う受 け とめ た か を現 時 点 で再 認 識 す る こ とが 重 要 で あ ろ う。 法 改 正後 約4年 た った 時点 で 、 あ る 司 法 書 士 が 次 の よ うに 指 摘 してい る。 「そ の職 務 の重 大 さ に もか か わ らず 、 代 書 と して 位 置 づ け られ て きた 屈 辱 の歴 史 に、 一 つ の転 機 が お とづ れ た とい って よい 。 … … 以後 、急 速 に 、 国 民 の権 利 の保 全 の た め に何 を な し うるか 、 と い う法 律 家 と して の職 務 の あ り方 へ の 実践 的 探 究 が 自覚 的 に 会 員 の問 に広 ま っ た」⑬。人 権保 障 とい う使 命 が 司法 書 士 に 与 え た イ ンパ ク トの強 さ が 、よ くよ く伝 わ っ て くる。 「実践 的探 究 」 とは 、司法 書 士 法 の母 法 た る憲 法 の要 請 に応 え よ うとす る憲 法 実 践 の意 味 だ っ た の で は な いだ ろ うか 。 しか し、 改 正 司 法 書 士 法 は 、 司 法 書 士 へ の 懲 戒 権 を 国 家= 法 務 省 に留 め置 い た こ とに象 徴 され る よ うに、 司 法 書 士 会 の 自治 自律 権 を 認 め るに は 至 らな か っ た。 この こ との意 味 を 、 司法 書 士 は い ま しっか り認 識 す べ きだ ろ う。 関 連 して い え ば 、 簡 裁 代 理 権 の行 使 は 国 民 ・市 民 の 人権 保 障 の た め に 国家 作 用 に 直 接 関 与 す る こ とな の だ か ら、 司 法 書 士 は 、 代 理 権 行 使 の基 本 条 件 と して 自治 自律 権 を堂 々 と要 求 す べ きだ ろ う。 つ づ い て(3)で. あ る が、実 体 験 を ふ まえ て の 司 法 書 士 の 重 要 な 指 摘 を紹 介 し よ う。 「トラ ブル. の あ との弁 済 に よ る抵 当権 抹 消登 記 の依 頼 を受 け た ば あ い 、登 記 申請 書 の作 成 自体 は 簡 単 で あ る。 しか し、弁 済 の 前 提 とな る債 権 債 務 の存 在 に疑 義 が あ っ て 、債 権 者 と債 務 者 の利 害 が 対 立 して い る ば あ い 、 司 法 書 士 は 調 整役 を 買 って 出 る とか 、和 解 の斡 旋 をす るな ど して は な らな い。 … …10 条 は実 体 関 係 に 関 与 して は な らな い とす る こ とで 、弁 護 士 法 と一 線 を画 して い る のだ ろ う。 しか し、 実 際 に 司 法 書 士 が この10条 に 忠 実 な執 務 を す るな ら、抹 消登 記 も相 続 登 記 も で きな いに ちが い な い 。 登 記 申請 書 を 作 成 す るた め に は 、 そ の原 因事 実 を確 認 しな けれ ば な ら な いか ら で あ る。 そ の 確 認 の た め に 事 情 を 聞 くの は 、 そ の 意 味 で 当 然 で は な い か 。 聞 くべ き こ とを 聞か なか った た め に 、 無 効 登 記 に な って し ま うこ と こそ 問 題 で あ る。 実 際 に は 、 あ る程 度 ま で そ の登 記 をす る範 囲 内で 事 件 に か ん す る知 識 を もた な け れ ば 仕 事 に な らな い 。 司 法 書 士 の業 務 範 囲 は 、登 記 申請 書 の 作 成 に あ る こ と はい うまで もな い 。 しか し、 そ の申 請 書 を 書 くた め の一 切 の 関与 ま で否 定 して は 、 国 民 の権 利 の保 全 に 寄 与 す る とい う司 法 書 士 の 目的 は 絵 に 描 い た 餅 とな る 。 せ っか く78年 改 正 法 で 司 法 書 士 の 目的 ・使 命 ・職 責 規 定 が 明確 に 定 め られ た の に 、 司 法 書 士 法10条 が あ る た め に、 『代 書 人 』 と呼 ばれ て も反 論 で き な い。10条 と72条 の改 正 が あ って 、 司 法 書 士 は は じめ て職 責 を 全 うで き る。 そ の実 践 に あ た っ て は、 弁 護 士 法72条 と司 法 書 士 法10条 が 大 きな 壁 とな って い る こ とは、 い ま さ ら論 じる ま で も な い」。司 法 書 士 が 人 権保 障 の使 命 を 完 全 に果 たす た め に は 、弁 護 士 法 と司法 書 士 法 の 改 正 が ど う して も必 要 な の で あ る。 (4)と(5)に. つ い て は 、 司法 書 士 の裁 判 業 務 に か んす る こ とだ か ら、 い っ し ょに 指 摘 して. お こ う。簡 裁 代 理 権 につ い て 、「意 見 書 」は 「信頼 性 の 高 い 能 力担 保 措 置 を 講 じた上 で」付 与 す べ き と し、 そ の 措 置 のあ り方 を め ぐって 司 法 書 士 界 で も若 干 の 議論 が生 じて い る が 、 で き るだ け 多 くの 司 法 書 士 が そ の能 力 を 身 に つ け 、 実 際 に 代 理 権 を 行 使 す る こ とで 、 司法 書 士 に た いす る市 民 の 信 頼 を 深 め て い くべ きだ ろ う。 同 じ意 味 で 、 裁 判 へ の 間 接 関 与 と して の本 人 訴訟 支援 の事 務 能 力 を さ らに涵 養 して い く こ とが 重 要 で あ ろ う。 また 、 本 人 訴 訟 支 援 の 腕 を 磨 け ば 、 簡 裁 代 理権 行 使 に 必 ず 役 立 つ はず で あ る。.

(12) (6)に. つ い て は次 の よ うな理 由 に よ る。 さま ざ ま な法 律 専 門職 種 が存 在 す る原 因 は単 純 で は. な い し、 そ れ はそ れ と して これ ま で機 能 を果 た して きた わ け で あ るか ら、突 っ込 んだ 議 論 な しに、 しか も法 曹三 者 以 外 の職 種 側 の意 見 を 聞 くこ とな しに 、現 行 の専 門職 種 の あ り方 を ご破 算 に す る 正 当性 は な い、 と い うこ とで あ る。 人 権 保 障 の態 様 に そ く して多 様 な法 律 専 門職 が 存 在 して きた と もい え る の で あ り、 弁 護 士 と司法 書 士 が職 域 を め ぐっ て争 う場 面 は あ っ て も 、肝 心 の 国 民 ・市 民 が不 便 を 強 い られ た とい う話 は ほ とん ど聞か な い。 す なわ ち、 法 律 専 門 職 の多 重 的 配 置 が 人 権 保 障 の 障 害 に な っ てい る現 実 は あ ま りな い はず な の で あ る。 また 、 今 後 の見 通 しと して 、 大増 員 され た弁 護 士 が 司 法 書 士 の 職 域 で きめ 細 か い業 務 を 遂 行 で き るだ ろ うか 。 さ らに 、 い わ ゆ る無 弁 地 域 、 な い し弁 護 士過 疎 地 域 問 題 の抜 本 的解 消 の可 能 性 に つ い て も、 私 は疑 問 を も って い る。 (7)は. 、今 後 の 司 法 改 革 と の 関係 で、 司法 書 士 の存 在 と業 務 実体 に つ い て 、他 の法 律 専 門職 、. 法 律 学 研 究 者 、 国 民 ・市 民 と意 見 交 流 に 努 め るべ きだ ろ う、 とい うこ とで あ る。 そ れ は 司法 書 士 の た め だ け で はな く、 司法 改 革 論 議 を オ ー プ ンに す るた め に重 要 で あ る。 もち ろ ん 、政 治 家 に働 き か け て な にか 形 あ る もの を 得 る 以上 に 重 要 で あ る。. Ⅸおわ りに. 以上 、 司法 書 士職 に た いす る扱 いに 注 目 しな が ら、 「 意 見 書」 を概 観 して き た 。 結 論 的 に い え ば 、司 法 改 革 論議 に 「 民 主 主 義 」 の視 点 が 著 し く欠 け て いた の で はな いだ ろ うか 。 「 意 見 書 」 を ま とめ る に あ た って の 気 配 りを尋 ね られ て 、 佐 藤 幸 治 審 議 会 会 長(憲. 法学 研 究. 者)が 次 の よ うに答 え て い る が 、 そ こに 民主 主 義 精 神 の欠 落 を 感 じる のは 私 一 人 だ け で は な い だ ろ う。 「 細 部 に は ま り込 まな い よ うに と い うこ とに 注 意 し ま した。 … …前 向 き に議 論 す る とい う こ とに 気 を つ け ま した 。 委 員 の な か に は 、 い ま ま で の制 度1つ1つ. の こ こが 悪 い か ら こ う直 しま. し ょ うとか 、 あ る い は過 去 の 司法 を歴 史 的 に ど う評 価 す るべ きか 、 法 曹 三 者 は ど うだ った か を総 括 して 、 そ れ を踏 ま えて 進 ま な くて は な らな い とい う考 え方 もあ った よ うな 気 もす る ん です 。 け れ ど も私 は 、1つ1つ. を 検 証 す る とい う こ と自体 大 変 な 作 業 だ し、 何 か を 批 判 す れ ば 、 いや そ う. じゃな い とい う反 論 も当 然 あ り うるわ け です か ら、 そ れ は な か な か難 しい こ とだ と思 い ま した 。 そ うい うこ と よ り も、前 向 きに … …」⑭。 司法 の諸 問 題 を 検 証 ぬ きに バ ッサ リ. 、 これ は フ ァ シ. ズ ムそ の もの で は ない だ ろ うか 。 「意 見 書」 に至 る ま で の今 回 の 司 法 改 革 論 議 の 最 大 の 問 題 点 が こ こに あ り、そ の結 果 、 弱 者 で あ る 「 隣 接 職 種」 は 捨 て 石 とさ れ た の で あ る。 佐 藤 会 長 は憲 法 学 研 究 者 で あ るが 、 「 民 主 主 義 の視 点 」の欠 落 は 、法 律 学 研 究 者 の世 界 全 体 に み られ る傾 向 で あ る とい え よ う。 法 曹 三 者 偏 重 の 意識 は 、 公法 学 系 ・私 法 学 系 を 問わ ず きわ め て根 強 く、 そ れ が審 議 会 の 路線 を 支 え て きた よ うに 思 う。 市 民 社 会 が 期 待 して い る 司 法 書 士 像 に ふ れ て 、本 稿 を締 め く くる こ とに しよ う。 まず 、 職 業 倫 理 に忠 実 な専 門職 で あ って ほ しい。 人 権 保 障 に た ず さわ る プ ロの職 業 人 は 、 そ の 使 命 に 殉 じる気概 を もっ て ほ しい 。弁 護 土 の な か に は 、 司法 書 士 は も っぱ ら経 済 的 メ リッ トか ら.

(13) 職 域 拡 大 を 図 って きた とす る論 調 もあ る。 経 済 的 メ リ ッ トは 期 待 で きそ うに な い が 、 簡 裁 代 理 権 を 獲 得 し よ う と して い る 司法 書 士 は い ま、 経 済 的 側 面 だ け で な く、 人 権 保 障 に 資 す る面 か らの 職 域 拡 大 で あ る こ とを 、憲 法 実 践 を とお して社 会 に広 く理 解 され る よ う努 め る必 要 が あ る。 次 に 、 法 曹 三 者 以外 の法 律 専 門職 種 層 を ま とめ る存 在 で あ って ほ しい 。 この ま まで は 、 従 来 通 り法 曹 三 者 ペ ー ス で 司法 改革 が推 進 され そ うで あ る。 職 域 が もろ に弁 護 士 と重 な る司 法 書 士 の 将 来 は きわ め て厳 しい が 、 自分 だ け が生 き残 れ ば い い との意 識 を 排 除 して 、 連 帯 の 中 心 に な っ て い って ほ しい。 そ れ が 国民 ・市 民 の た め の 、換 言 す る と、市 民 社 会 のた め の司 法 改 革 に つ な が る はず で あ る。 さ らに 、社 会 的 諸活 動 の 中核 で あ って ほ しい。 近 年 、全 国 の 自覚 的 な 司法 書 士 た ちは 、 法 律 相 談 、多 重 債 務 者 救 済運 動 、成 年 後 見制 度 、 介護 制 度 、 オ ンブ ズ マ ン活 動 な どで寄 与 して きた が 、 よ りい っそ う活 動 を 強 め 、市 民社 会 に 貢献 して ほ しい 。 最 後 に い い た い の は 、 市 民 社 会 に お け る人 権擁 護 の 「 頭 脳 集 団」 の一 員 で あ って ほ しい、 とい うこ とで あ る。1978年 改 正 司 法 書 士 法 は 、 人 権保 障 を 目的 とす る憲法 体 系 に は っき り と司 法 書 土 を 仲 間 入 りさせ た 。 憲 法 が 描 く市 民 社 会 との か か わ りで い え ば 、 司法 書 士 は そ こに な くて はな ら な い存 在 だ と認 め られ た 。 「 制 度 ・機 構 と国民 との間 に介 在 して、国民 の人 権 を 擁 護 す るr頭 脳 集 団 』 が 不 可 欠 で あ る」⑮と の指 摘 に そ って い えば 、 司 法 書 士 は78年 を境 に 、 日本 の 「 頭 脳 集 団」 の な か に 定 位 置 を 占 めて い る。. 〔付 記 〕 私 の所 属 す る民 主 主 義 科 学 者 協 会 法 律 部 会 も法 曹 三 者 偏 重 の意 識 が 強 く、 そ れ は ほ とん ど体 質 化 して い る とい え る。2001年 秋 の学 術 総 会 で の 司法 改革 シ ンポ ジ ウムで も 「隣 接 職 種 」 は一 顧 だ に され な い報 告 ・議論 だ った。 「民 主 主 義 科 学 者 」 の 意 味 を 問 い た い 。. ※ 以 上 は 、2001年9月16日. に開 催 され た 「 全 国 司法 書士 女性 会 」(於 、神 戸 市)で の報 告 を 論 文. 化 した もの で あ る。(2002年1月15日. 、脱 稿). ① 「 中 間 答 申」 へ の私 の 評 価 は 、 「司法 審 『中 間 答 申』 が 堅 持 した 差 別 の 構 造」(週 刊 法 律 新 聞 、2001年1 月5日 付)、 「 『隣 接 法 律 専 門 職 種 』に 目を む け よ」(民 主 主 義 科 学 者 協 会 法 律 部 会 『だ れ のた め の 「司法 改 革 」 か 』、 日本 評 論 社 、2001年)を. 参 照 の こ と。 以 上 は 、差 別 構 造 の視 点 か ら、換 言 す る と、 民主 主 義 の. 視 点 か ら論 じた も の で あ る。 ② 市 川 正 人 ・酒巻. 匡 ・山本 和 彦 『現代 の裁 判』(有 斐 閣、2001年 、 第2版)、93ペ. ③堀 野. 紀. 「 山 が 動 い た」(日 本 民 主法 律 家 協 会 『 法 と民 主主 義 』2001年7月. ④渡 辺. 治. 「 『司 法 改革 』 の本 質 と背 景」(前 掲 『 法 と民 主 主義 』、所 収)。. ⑤ 憲 法 と人権 の 日弁 連 を め ざ す 会 『司 法 審 最 終 意 見書 批 判』(2001年7月20日. ー ジ。. 号 、 所 収)。. 付)、5ペ. ー ジ。. ⑥ 塚原英治 「 裁 判 ・弁 護 士 を 利 用 す るた め に は」(法 律 時 報 増 刊 『シ リー ズ 司 法 改 革Ⅱ 』)、36∼37ペ ー ジ。 ⑦ 竹 下 守 夫 発 言 、 『ジ ュ リス ト』2001年9月15日. 号 、80ペ ー ジ。.

(14) ⑧林. 勝博 「 審 議 会 『最 終 意 見 書 』 を読 む 」(『月 刊 司 法 改 革 』23号)、50ペ ー ジ。. ⑨ 滝川 あ お い 「司法 審 最 終 報 告 書 の方 向性 と我 々 の今 後 」(司 法 書 士会 会 長 宛 て の論 文)、4∼5ペ. ー ジ。. ⑩ 渡 辺雅 昭 「 正 念 場 は これ か らだ 」(前 掲 『ジ ュ リス ト』)、178ペ ー ジ。 ⑪ 北 野 聖 造 「司法 制 度 改 革 審 議 会 最 終 意 見 書 を考 え る」(前 掲 『ジ ュ リス ト』)、167ペ ー ジ。 ⑫森. 正 『私 の 法 曹 ・知 識 人論 』(六 法 出版 社 、1997年)、 同 「日本 国憲 法12条 と 司法 書 士 」(『名 古屋 市 立. 大学 人文 社 会 学 部 研 究 紀 要 』5号 、1998年)、 同 「 憲 法 か らみ た 昭 和53年 改正 法 の 意 義 」(昭和53年 司 法 書 士法 改 正 を考 え る会 編 『日本 の司 法 書 士 』、民 事法 研 究 会 、1999年)、 同 「 法 実 務 家 に と って の素 養=教 養 一. 司 法書 士 の知 的 環 境一. 」(『市 民 と法 』5号 、2000年)な. ど。. ⑬ 高木 治 通 「司法 書士 制 度 の 問 題 点 」(法 学 セ ミナ ー増 刊 『 市 民 の た め の法 律 家 』、 日本 評 論 社 、1983年)、 203ペ ー ジ。 ⑭ 佐 藤 幸 治発 言 、 『月刊 司 法 改 革 』24号 、2001年 、4ペ ー ジ。 ⑮ 江 藤价 泰 「 司 法 書 土 の 基本 問題 」(江 藤价 泰 編 『司法 書 士 の実 務 と理 論』 所 収 、 日本 評 論 社 、1991年)、2 ペ ージ 。.

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