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黒毛和種子牛の母乳性白痢に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

黒毛和種子牛の母乳性白痢に関する研究( 内容の要旨 )

Author(s)

岡田, 啓司

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(獣医学) 乙第030号

Issue Date

1999-03-15

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/2014

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学 位 の 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与 の 要件 学 位 論 文 題 目 審 査 委 貞 岡 田 啓 司 (茨城県) 博士(獣医学) 獣医博乙第30号 平成11年3月15日 学位規則第4条第2項該当 黒毛和種子牛の母乳性白痢に関する研究 主査 岩 手 大 学 教 授 内 藤 副査 帯広畜産大学 教 授 山 田 副査 岩 手 大 学 教 授 三 宅 副査 東京農工大学 教 授 金 田 副査 岐 阜 大 学 教 授 武 脇 久夫一宏義 善明陽義 論 文 の 内 容 の 要 旨 子牛の下痢症のうち、糞便中に不消化脂肪を多く含み黄色一白色の下痢便を排出する症 候群は白痢と呼ぼれ、大腸菌、ロタウイルス、コロナウイルス等の感染性のものが主な原 因とされてきた。いっぽう、その中には非感染性の原因も存在し、食餌性アレルギー、乳 糖不耐性、代用乳の脂肪酸組成あるいは母乳のカゼイン凝眉時間の延長などによるものが 挙げられているが、その報告は感染性白嫡と比較すると凄めて少ない。特に黒毛和種子牛 の白痢は、感染症の面から予防対策が種々行.われてきたにもかかわらず、年々増加する傾 向にある。また最近に至っては、黒毛和種牛における子牛白嫡の原因が母乳の異常に起因 する可能性を示唆する報告がなされてきている。よって、黒毛和種子牛の非感染性白嫡の うち母乳の異常に起因する子牛白嫡の存在を明らかにし、その発生病怒を解明することを 目的として、本試験を実施した。 1.黒毛和種牛における実態調査において子牛に白痢を発症した母牛は、負のエネルギー バランスの状態にあることが認められた。 2.母牛のエネルギー代謝と子牛白摘発症との関連性を明らかにするため、過去1年問に子 牛の白嫡が多発した5年群と、子牛の白`痢が発生しなかった2年群の2産以上の健康な母 牛を対象として、代謝プロファイルテストを行った。その結果、子牛白痢の多発した5牛 群は、泌乳期の母牛においてルーメンコンディションの異常が認められた3牛群と、著し

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牛群の飼科給与内容の改善を籍示して1年間経過観察したところ、飼科給与内容に問題が 無くなった4年群で、白痢が45.3土14.7%から20.5土16.1%に半減した。このことより、 母牛の飼科給与内容が子牛の白痢発症と密妾な関連を持つ可能性が示唆された。 3.子牛白痢の発症前後の母牛の変化を明らかにするため、子牛の白銅が多発している牛 群(多発群)と発生のない牛群(健康許)で、分娩後1カ月問の母牛とその子牛を1週間 間隔で速読的に観察した。その結果、多発群は母牛の飼科中でんぷん濃度およびTDN充 足率が健康群に比べて低かった。多発群では7東中5寮(71.4%)で分娩後17.2土7.6日 に白嫡が発症したが、健康群での発症はなかった。白痢を発症した5東中3東の母牛には、 白銅発症の4∼5日前からアントコーンサイレージが日長3.0-3.5kg程度追加給与されて いた。自痢を発症した5頭の乳汁成分は、全棄で発症1-2日前に比べて脂肪が2.94士 1.82%増加し、乳糖が0.54士0.51%低下した。血清生化学検査成填では、白痢発症個体 の母牛は全豪で発症前に比べて中性脂肪(TG)が3.8士1.3mg/dl、尿素窒素(BUN)が 3.7土2.Omg/dl増加した。このことより、子牛白痢の発症前後に母牛のエネルギー代謝 および蛋白質代謝が急故に変化し、その若菜として臓肪濃度の増加した乳汁を泌乱する ことが子牛の白痢の発症と何らかの関連のあることが示唆された。この変化の原因は、 飼科中でんぷん濃度の不足と、アントコーンサイレージの給与によるルーメンコンディ ションの変化の関与している可能性が示唆された。 4.子牛白痢発症の一つの要因と推定された低でんぷん飼科給与母牛へのアントコーンサ イレージ追加給与後の子牛白痢の発症再現試験を行った。分娩直後の5蘇の黒毛和種母牛 とその子牛を供試し、連日の飼科摂取量と泌乳主を掌達しながら、母牛のルーメン液、 血液および乳汁と子牛の血液および糞便について、子牛の白摘発症まで追跡した。その 結果、僕試牛の子牛全寮が母牛へのデントコーンサイレージ給与開始後5-7日に白痢を 発症した。すなわち、アントコーンサイレージの給与阿始後1∼3日に子牛の糞便に軽度 の変化が認められた。この日を前駆症状発現日とすると、この前後にルーメン液中の大 型および中型原虫数が増加した。この日に乳汁中Mg、Caおよび高鼓飽和脂肪酸濃度が高 値を示し、乳汁のpⅡおよび脂肪酸組成が不安定になった。同時に、子牛の勝管内での脂 肪酸塩形成による乳成分の滞留によると思われる子牛の血中TGの増加が始まった。白摘 発症前日には、母牛のルーメン原虫のうち大型および中型原虫数が漉少しはじめ、小型 原虫が著しく増加した。それに呼応して血中リン脂質(PL)およぴBUNの増加が認めら

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-234-れた。すなわち、白摘発症日には大量のルーメン後生物の鞘化・吸収の一過性の先進に より母牛の血液(TG、PL、糖、BUN)および乳汁(乳脂肪寧、脂肪酸組成)成分およ び乳汁pI=こ一時的に大きな変化が生じ、この乳汁を哺乳した子牛はこれを脂肪消化不良 便として排出することで白痢が発症したものと推定された。 以上のことから、低でんぷん飼丼を給与されていた母牛にアントコーンサイレージが追 加給与されることによって生じたルーメンコンディションの変化が、母牛の血中脂質の変 化を引き起こし、その乳汁を哺乳した子牛が〟母乳性白痢け を発症することが明らかとなっ た。 審 査 結 果 の 要 旨

子牛の下痢症のうち、糞便中に不消化脂肪を多く含み黄色∼白色の下痢便

を排出する症候群は白痢と呼ばれ、感染性のものが主な原因とされてきた。

しかし、本症を感染症の面から予防対策が種々施されてきたにもかかわらず、

年々増加する傾向がみらている。いっぼう、最近黒毛和種牛における子牛白

痢の原因が母乳の異常に起因する可能性を示唆する報告がなされてきている が、その病態と発症棟序については未だ明らかにされていない。よって、本

研究は黒毛和種子牛の非感染性白痢のうち母乳の異常に起因する子牛白痢の

存在を明らかにし、その発生病態を解明することを目的として行われたもの であり、その要旨は以下のとおりである。

1.黒毛和種牛において、子牛が白痢を発症した母牛は、負のエネルギーバ

ランスの状態にあることが認められた。

2.母牛のエネルギー代謝と子牛白痢発症との関連性を明らかにするため、 過去1年間に子牛の白璃が多発した牛群と、発生しなかった牛群とを対象

として、代謝プロファイルテストを行った。その結果、子牛白痢の多発し

た牛群は、ルーメンコンディションの異常が認められた牛群と、著しい低

でんぷん飼料で飼養されエネルギー不足であった牛群との2群に区分された。

そこで発症牛群の飼料給与内容の改善を指示して1年間経過観察したところ、 白痢が45.3±14.7%から20.5±16.1%に半減した。このことより、母牛 の飼料給与内容が子牛の白痢発症と密接な関連を持つ可能性が示唆された。

3.子牛白痢の発症前後の母牛の変化を明らかにするため、子牛の白痢が多

発している牛群(多発群)と発生のない牛群(健康群)とで、分娩後1カ

月間の母牛とその子牛を1週間間隔で連続的に観察した。その結果、多発

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群は母牛の飼料中でんぷん濃度およびTDN充足率が健康群に比べて低かっ た。多発群では7頭中5頭に白痢が発症したが、健康群での発症はなかっ た。白痢を発症した5頭の乳汁成分は、脂肪が増加し、乳糖が低下した。

白痢発症個体の母牛は全頭で発症前に比べて中性脂肪と尿素窒素が増加し

た。このことより、子牛白痢の発症前後に母牛のエネルギー代謝および蛋 白質代謝が急激に変化し、その結果として脂肪濃度の増加した乳汁を泌乳 することが子牛の白痢の発症と何らかの関連のあることが示唆された。こ の変化の原因は、飼料中でんぷん濃度の不足と、デントコーンサイレージ の給与によるルーメンコンディションの変化が関与している可能性が示唆 された。 4.子牛白痢発症の一つの要因と推定された低でんぷん飼料給与母牛へのデ ントコーンサイレージ追加給与後の子牛白痢の発症再現試験を行った。そ の結果、母牛にデントコーンサイレージの給与開始後5∼7日に全頭の子 牛に白痢を発症した。その発症前後の母牛と子牛について種々の項目を観 察した結果、白痢発症日には母牛のルーメン微生物の消化・吸収の一過性 の冗進により母牛の血液および乳汁成分および乳汁pHに一時的に大きな 変化が生じ、この乳汁を哺乳した子牛はこれを脂肪消化不良便として排出 することで白痢が発症するものと推定された。 これらの結果から、"母乳性白痢''は低でんぷん飼料を給与されていた母牛 にデントコーンサイレージが追加給与されることによって母牛のルーメンコ ンデションの変化が血中脂質に変化を引き起こし、その乳汁を哺乳した子牛 が白痢に陥ることを、本研究は明らかとした。

以上について、平成11年1月13日に開催された審査委員会において慎重

審査した結果、審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医学研究 科の学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文 1.日歌会誌、50、74-79、1997. 2.日獣会誌、50、209-213、1997.

参照

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