臨床剛堅
utj 二:, 三, 緒小見の外科的疾患
言 企症例の分類 東京女子醤學專門學校外科教室(主任松 村
内 容 目 次
三藤教授)鉄 子
各症例の性・年齢別的観察及び其の治癒並びに死亡率に就いて 四,考按及び結論 文 獄 一. 言 小見は一般に解剖學的に或は生物學的に,成入とは甚だ異る虞あり。從って疾病治 療の上に種々相異鮎あるは既に多籔諸家の認めたる所にして,EPち小見の外科的疾患 t2 s從來の一般外科的見地とは別箇の範園に於て論ず可きものなりとの提唱の下に之 等経験,批判等相次いで獲表せらるxに到れり。 爾一般の常識的見解に從へば,小児の外科的疾患に鈎する諸種の手術的侵襲の結果 は甚だ不良の如く考へられ來りしも,余等多数の維験の結果は必ずしも然らす,或る 場含には成人に於けるよりも容易に突破し得べき諸鮎あるを味到し得たり。藪に昭和 9年5月より同12年8月に到る3ケ年3ケ月の問に於て當教室にて入院治療を受けたる満 15歳以下の小見即ち男児94名,三見69名合計163名に就きて其の経験したる結果を遠 べんとす。. 昨年12月整形外科の薪設せらるS迄は其の方面の疾忠をも當科にて便宜取扱へり。二.全症例の分類
入院治療を受けたる全163例を第1表の如く,4群帥ち第1群崎形,第2群損傷,第3群 腹部疾患及び第4群其の他の雑疾患に大別し,而して第一一geには兎唇4例,、斜頸2例,一第S巷10:一
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松村濡小見の外科的疾患
:先天性股關節脱臼2例,及び先天性鎖肛のコ例,計9例(杢例数の5.5%)を,第二群に は13例の軟部及び10例の骨損傷及び之れに損傷後の疲痕性騎形2例を加へ,計25例 (15・3%)を,第3群に含まるxものとしては,62例の急性富農突起炎・次いで26例の 乱戦,5例の腸閉塞症,2例の腸闇膜結核及び2例の陰嚢水腫計97例(59.5%にして4群 申之等腹部疾患の最も多きを計り,全例敏の約牛虻以上を占めたり)を,最後に第4群第一表全症例の分類
群別國病類引引鍔勤男女蟻翻一門劉死亡率
第一翻・
’ 崎 形 9 (,,.5%) 2 3 4兎 劇、/
と斜 頸21
先天性股今節脱臼2 i 鎖 肛}1 ・.・%彦ll 男 0 1・ 2’ %e 女 2 男 O J.eg. 女 2 “6%ニll
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第二鮮
損 傷 25 (15.3)% 221
01
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皮膚く皮下、筋肉 等一炎症性疾患 骨炎症性疾患 腫 三図嘘鯛驚
21・・2%脚固50・o%
o o ol I o.o% o. o%.’ 1・ o.o% 2 0 / 計 95.0% o.o% ,r Co.o% 1・6399・・%i婁器1・副 ・5・・%囲 4.{% 即ち其の他の雑疾患と記せるは,部ち小見に比較的多き皮膚,皮下結締織,腱或は筋肉 等に於ける各種炎症性疾患21例を始めとし,これに骨炎症性疾患9例及び之等に附加 せる2例の腫瘍の意にしてEi 32例(19.6%)を数へたり。’(上記損傷とあるは総べて外部 よりの作用による外傷の意なIJ。) 以上を通覧するに概して整形外科的疾患の少激なるは∼前述の如く特に三門科の設 置されざりしに因るならん。 一第 8 巻 102一松村=小見の外科的疾患
37 以上各症例を其の頻度ic於て順列するに,急性二様突起炎の38%を最多数とし,次 いで「ヘルニア」の16%,皮膚,皮下,二二は筋肉等の炎症性疾患129%,軟部損傷8・0%, 骨損傷6・196,骨炎症性疾患5,5%,腸閉塞症3・1%,兎唇2・5%,以下最少敏の先天性鎖 肛の0.6%を除きたる斜頸,先天性二二節睨臼,損傷後の畠山性二形,腸闇膜結核,陰 嚢水腫,及び腫瘍にして何れも1.2%を示せり。三・各症鯛の性,年齢別的観察及び其の治癒並
びに死亡率に就て
1)兎唇4例,女晃3例中1例は生後6日目に,2例は夫々生後1ケ月20日,2ケ月20 日目に,而して男盛の1例は3ケ月14日目に整形山手S/tiの施行せられたるものにして, 高見の1ケ月20日のものは崎形の度比較的彊度にして,其の破裂殆んど鼻入口に迄丸 し,之れに中間顎骨突出を俘へるものにして(第3度)他は第1,及び第2度目帥ち破裂形 成の口唇粘膜に限局せる最感度のもの及び乱れより進みたるも爾鼻腔には到達せざり しもの)なりき。共に無麻酔にて,ミロー三法或はマルゲーヌ氏法に依り,術後は軍 に2%の「マ・一 re Pクローム」の1日数同塗布を行ぴ,5乃至7日目に抜滅し,夫々7乃至 !5日の入院期間を以て治癒退院せり。 二二兎唇は生後直ちに或は尚旬日を出ですして,可及的早期整形的治療を強要さる xを常とし,已むを得す施行するも,高見は一般に手術に蜀する抵抗特に出血に虚して は極めて薄弱なるものなれば,第1,第2度のものに於ては,一時減少したる鰹重の少 くとも生直後の歌話に復露するか或は高々増加の傾向を示し始めたる時期,或は初生 見黄疸の殆んど認められざるに到りたる時,自口ち母艦外生活に稻々順賦し得らる玉に 至駒たる時期を選ぶべく,早くとも生後2週間を経たる時を之等手術に蜀する好時期 と指示し旧く,而して該手術は遅くとも3ケ月以内には施行さる可きものなりと云は る。中間顎骨突出等の合併無き場合に:は特に矧ぐ要なし。叉口蓋破裂を合併せるもの (狼咽)に於ては,手術時の出血も遙かに考慮す可きものなれば,満2歳後,4。5歳に到 りて行はるXを最適とし,斯かる場合には,術前数ケ月聞は該部の徒手矯iE或は絆創 膏三布法に依る離開せる口蓋の可及的接近に努むるを必要とし,近來は山回高度のも のに在りては,先づ口唇に於ける整形を行ぴ,次いで7・8歳に長ずるに及びて,口蓋 部の整形を逐次行ふを提唱さるSも,二等重症のものに減ては,多くは他部の費育不 全,或は生後食物購取の不充分による榮養不足等の爲めに,筒最後の目的を達し得す して死亡するもの多し。’一一第’8管103一
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松村=小児の外科酌疾患
2)斜頸 4年2ケ月及び8年の夫々女見に見たる2例にして,前者は右:方に,後者 は左方に頭部を傾斜せり。共に観血的に皮下胸鎖乳頭筋腱切圏法を行ひ,術後は「マ ッサージJを梢々長く績行し治癒し得たるものなり。 1 雨曇は之れを其の儘に放置する時は,年月の経過と共に,其の度を増し,且つ治療 も困難となるものなれば,早期に磯見,且つ早期に治療を開始するを特に必要とすべ く,治療に際しては初生見に在りては,頭部を健側へ傾かしむるが如く,患側にWa− ttekrawatteを挿置し,常に患側の筋肉の伸展さるムが如き位置に矯正し置き,之れに 「マッサージ」を併用するものなり。然れども滴々長じたる小児に在りては常に手術的 矯疋法に依らざれば尚治療目的を達し得難きものとす。 . 3)先天性熱心節脱臼 2年1ケ月,3年3ケ月の2例の女見にして,前者は右側,後者 は爾側性何れも整復並びに「ギプス」装置の爲め2乃至4日間入院を命じたるものなり。・ 先天性股關面面臼は,歩行時患兇歩態の異常,歩行開始期の逞延等に依り母親或は 側近者より氣付かれて來幽し,而も整復開始期としては既に遅きが如き感あること少 なからず。斜頸に比し,遙かに年月の経過と共に殊に歩行開始以後に湿ては病歌の進 行程度一暦遽かなるもの群れば,懸れが出癖に慮りては,可及的早期に帥ち,爾一般 に實施の域には到達し居らざるが如きも,既に生後8乃至9ケ月帥ち排尿を教ふるに到 りたる最早期を以て治療開始に最適と徹し得べく,帥ち之れ以前に在りては,「ギプ ス」装置後排尿排便等に依り直面装置の汚染の恐れある泊めなり。然し乍ら,爾斯く 早期に畿見,治療を乞ふ者は極めて少数なりと云ふも過言ならざる可く,望むらくは 既に「裡裸」交換の時代に於て專門的見地よりして,よく之等異常を察知し得るの法を 實際化し(帥ち被虐交換の際乳児の股の充分に開かざる鮎或は該關節部に於ける異常 Q礫晋感知等。)此の若年代に在りては,特に謡歌震度なる場合,何等煩直なる矯正法 を要せす,教示せられたる歯噛なる爾上腿開排出鋤,徒手牽引或は「裡裸交換法」に依 りてのみ,完全に整復治癒し得るものなりとさる。該疾患の早期検出の如何に重大な るやを感ずると共に,小見健康診断の項目中に,否生後或る一定の期間以内に於て, 必ず油壷家による該方面に亙る整形的異常の有無に就きての特殊槍診(帥ち股紋帳の 開心二面等)を受く点き一指針の加へられん事を切に希ふ・ものなり。上蓮理由により. 之等8乃至♀ケ月の比較的早期年代に治療さるS事の爾不能なる今日,:大艦に於℃満3 歳より4歳迄を整復に好適なりとし,此の時代に通當に庭置されたちんには,必ずや 完治し得るものにして,治療開始後約2−3年聞は特に讐師の監督を要し1此の聞何等 併丁丁を俘はざりし場合には,治療後,他の健康兇と二歩態等に於て毫も異る.所無き マー一一第 8 巻 104一松村=小見の外科的疾患
39 ものなり。然し乍ら此の期を逸せるものに於ては整復は高々困難なりと述べらる。 4)先天性鎖肛 1名の男晃,生後2日目に人工肛門を設置せるも,術後7日目に死 亡せり。 以上の如く各種の下形を備へたるものは,一身膿他部の馬下異常,抵抗減弱部類は 機能不全を俘ふもの少なからず,置目杢なるものに比し,手獺的操作の影響する事も :大なるべし。 5) 軟部損傷 主に皮膚皮下結締織,腱或は筋組織等比較的膿表面に近き部に於け る各部各種損傷帥ち,打撲,擦過傷,切傷或は挫滅一等の9例,筒此の項目中に加ふ るには面々異議ある所ならんも,臓三下と見倣す可きもの3例,及び1例の皮下脾臓破 裂を加へたり。 第2表に示す如く,絡激/3例,男見7例,女見6例,男児に在りては,6年4ケ月より 第二表 軟部及骨損傷例数病例別患
部別訓二女1卜・卵一・Q年i・・一・朔
軟蔀損傷13例瀕面及四肢損傷
女子外陰部損傷
謄 震 量 皮 下 脾 臓 破 裂 6 3 3 1 il :一l o P 1 to p o o 2 4 7照二三∵[:∵ii
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言十 23 15 8 5 8 10 13年5ケ月迄,女兇に在りては4年2ケ月より15年迄を敷へ,爾5年齢別に見る時はユ年 より5年迄2例,6年より10年迄に4例,!1年より15年迄7例にして,之れを・見るに挙々 生長したるものに於ては日々の蓮動比較的活澄となり,從って受くる外傷性疾患も叉 増加し,且重きを加ふるは按ずるに難からざる可し。 虞置としては,何れも「オキシフル」或ば2%の「マーキ・ク・一ム」にて溝毒を行 ひ.縫合を要す可きものには之れを行ひ,何れも白乃至9日間の入院にて治癒或は輕快 退院せり。 一第 8 管105一4) 松村=zJ・見再)外科的疾患 6)骨損傷 (第2表), 何れも骨折にして,男並8名,女児2名,計10例にして,絡 心的には前記軟部損傷疾患の場合と殆んど同様男児に多く,1年1ケ月より且年迄女児 に在りては,3年7ヶ月より6年迄の間に於て見られたり。帥ち四肢骨折の4例中,脛骨 の完全骨折男鹿2例,女囚1例残り一例は塗骨なりや或は腓骨なりやの記載不明(軍に 下肢骨と記されたり),頭蓋骨の3例中頭蓋の不全骨折男女兇共に1例宛,臓底の不全 骨折を男晃の1例に見たり。鎖骨々折は一例宛の完及び不全骨折を共に男見に,次い で腰椎骨の不全骨折を同じく男児の.1例に見たり。 成人に於ては総じて四肢骨折最も多く,次V・で鎭骨,頭蓋骨,椎骨の順に記されたる と同様,小児に於ても殆んど類似すべき位置を示せり。 5年齢別には1年より5年迄,6年よ1) le年齢,11年より15年迄の各期間に歴て,3・4e 3例の略々同数を示し,前述軟部外傷性疾患の場合に見だるが1如き年長となるに從ぴ て画数するの傾向は認められざりき。 治療法としては,骨折の他に軟部損傷を合併せるものには,之れ,に封ずる訴訟を行 ひ・骨折に甥しては夫々木製重は金属性副木・「ギプス」副木・「ギプス」翻帯・絆創膏 牽引法或は「ギプスベット」等を適宜作製装置せり。爾頭蓋喜々折に翻しては,頭部の 絶謝安静,冷滅布置を施し,何れも入院4乃至35日間にて治癒或は輕快退院ぜり。 以上軟部及び骨損傷を絡細して擬察するに,総数23例,帥ち女兇8例,男児15例,男 児は殆んど女児に倍せるを見.5年折回には,滴5牢迄5例,6年より10年迄8例,11年 より15年迄10例,卸ち概して幼年期よりもむしろ學齢期前或は其の後に達て例藪の 増加し行く傾向あるを知り,叉小児の,身罷的に比較的蓮動活造なる年代なれば各種外 傷性疾患の多き事も叉よく首肯さるs事實なり.。而して損傷の程度女児は男見よりも 一般に輕度にして,耐震盗の3例は何れも男面に猛れを見たln。而して小見は一般に 比較的高所より墜落したる場合と錐も,成人に比すれば,其の受くる損傷の範園狭小 なる事往々にして,貼れ叉小児艦組織殊に外表面抵抗の鳥銃外力に封し特に成人と異 るに基くためならんか。 小官の骨折tt 一般に威人に比し,其の脛過中,石高の沈着さるS事迅速且つ旺盛に して殊に骨折治療後往々悩まさるs關出藍は筋肉の機能障碍等も小児に於ては比較的 早期に恢復され,奮位或は健康時機能に復旧する事も,一般に早きが如き感あり。 7) 損傷後の綴痕性比形 何れも火傷に卜する手指の醜威霊は機能不全の爲め整形 手術を希望來院したるものにして,3年10ケ月及び15年の男見の2例に見たり。 8)急性丁丁突起炎 既述の如く,全症例中最多激を占め,且つ小兇に比較的多激 一第 8 巻 106_
松村=zJ・見の外科的疾患 41 遭遇し得る疾患なるを知り得たり。以下少しく詳細に述べんとす。(第3表) 表に見る如く,男女児共に31例宛にして計62例,最年少2年1ケ月よリユ5年6ケ月に 亙り,此の内男見31例に就いては2年1ケ月よsi) 15年2ケ月迄,次いで女児の31例にあ りては,5年9ケ月より15年6ケ月間に於て之等を経験せり。5年齢別には2年1ケ月を最: 年少とし,5年迄に5例,(男児3例,女児2例),6年より10年迄に20例,(男児14例,女 面6例)1!年より15肉細に37例,(男児14例,女児23例)にして,概して年長見に於て 例数の面々増加せるを見たり。 第3表 小児急性錨様突起炎
「類馴病 理 別例釧男女締初・酬検温制死亡数
1翻難論劉喉ll寵ト1
篇饗畷驚 一1粥1,1.1
計 い2{劉i5■nl・
次に病機進行の程度如何により,二等を第3表の如く適宜分類せり。邸ち第一分 類,未だ肉眼的に明ら西・に穿孔と見微し得べきものを認めざりし即ち狭義に普通急性 轟様子起炎と呼ばるSもの44例,(男児20例,女児24例),第二分類,明らかに肉眼的 に穿孔の認められたるもの及び回れに急性腹膜炎の症朕を合併せるものをも加へ,紹 敬8例(男児3例,女兇5例),第三分類,既に爽病より数日を経過しt盲腸周園に著明 なる膿瘍を形成せるもの6例(Ptitも男児)及び第四分類即ち4例の聞歓期のもの(男, 女見共に2例宛)を加へたり。 次ぎに之等を,手術施行及び非手術数に就きて見たるに,第一分類に於て6例,第三 分類に当て5例,計11例に於ては共に爾護病初期或は症状輕度なりし爲め手術を見合 せたるか,或は既に手術適鷹期を失したる等の理由の詠めに手術的操作を行はす或は 得すして,安静,局所への氷嚢虚位,食餌の制限,溝炎剤の使用庸主に内科的治療法 に依りて輕映せるものなり。 次に之等非手術11例を除きたる手術施行例を数ふるに,2第一分類に於て38例,第 二分類8例,第三分類1例,之に第四分類に凡て4閲を加へ総数51例を数へたり。 此の手術施行51例に就きての手術治癒及び死亡率を見るに,第二分類中の2例に於 て死亡を見たる他,何れも治癒或は輕快の轄磯をとれり。印ち96.2%の手術治癒率及 一第 8 巷107一42
松村=小児の外科的疾患
び3.8%の手術死亡率を示し,赤れに前記非手術11例を加へたる時は,杢治癒率96.8タ6 全死亡率は3.2%を算するに到る。 次ぎに護病より手術に到る迄の推定時点と豫後との關係を見たるに,(推定時間と記 せるは小見にては多くの場合,間接に母親或は側近者よりの訴へに依るのみなるを以 て,成入に於けるが如き比較的正確なる主訴を聴取し得難きも可及的翻れが正確に意 を彿へり)。 先づ第一分国の44例に就きて見るに,非手術の6例は,最少4時間より1日,1日量 5日,6E,8日に及び夫々の期間に面々:大なる差異あるを見る。訴へ來りたる虫聞 ゐ筒正確ならざるに因するならんか。手術施行の38例に就いては最少六時間,長きは 既に手術に到る迄21日を維過せるものあり。此の内にて3日以上を経過したる3例あ り。早均護病後手術に到る迄に24時間を示せるもの最も多く5例,次)・で/4時間乃至 48日間のもの次数を占めたり。共に治癒或は輕快の轄機をとれり。 爾成人に於ては,磯病後既に数日を経過せる場合には,手術時相當に病攣の進行せ るを見るも,小見に於ては斯く不定の日時殊に数日以上を経過せるものIC当ても爾湿 熱の襲病よりの日時lc一一致せざるもの多きは,前述の如く推定時間の不確定に因する ものと云ふを並べく,叉小児は喪病よりの経過成人に比し或は底入の如く急性ならす してむしろ密々亜急性なる傾向をとるものには非ざるやとも思はる。・即ち其の豫後と の關係に於ては著明なる時闇的差異を見出し得ざりき。 第二分類自陀穿孔せる8例中,4例は磯病後手術迄に10乃至44時聞を経過し,他の 4例は何れも3.乃至5五日を経過せり。而して年齢的ICは5年9ケ月より15年6ヶ月迄を数、 ふ漉く,學齢前及び後に適々多く,上記獲麟よりの時取的關係も梢々正確なるものと 云ふを得べし。死亡せる2例は手術に到る迄の時間夫々3日域は4日を経凝せり。急性 腹膜炎を績適して死亡に到る期間に噛しては小児に於ては成人に於けるよりも稻々早 きが如し。 与れを第一分類のものと比するに,手術施行の38例中,稜病推定時間より手術に到 る迄の時間,3日以上を経過せるものは僅かに3例なるに,之等第二分類蔀ち穿孔を招 來せるものに於ては其の牛激に於て既に3乃至5日を維過せるものありとすれば,其の 頻度より見る時は出入に於けると同様,叢病より手術に到る迄の維過時間の少きもの 程豫後良好なりと云ふを得べし。 次に第三分類を見るに,6例中2例は記載不明,他の4例は何れも稜病後來院迄,8乃 至9日を経過せるものなり。成人に比し,膿瘍縮小過程に於ては遙かに良好にして,主 一第8巷…108一松村=小兄の外科的疾患
43 に内科的治療法に依り,入院後夫k13日,26日,32日,48日にて輕快退院せり。32日 自に退院したる1例に於ては其の後満8ケ月を経て齪血的に根治治療を行ひたるに周 園との癒着も極めて屹度にして,術後12日目に全治退院せり。 最後に第四分類郎ち間激期のものを見るに,手術に到る迄の期間はユ例は喪病後1ケ 月毒心の3例は記載不明なりき。成人に於て獲病後/ケ月後に手術施行の際往々剥離困 難を畳ゆるものなるも小見lcは前蓮の如く創傷の治癒機榑遙かに良好なるものと云ふ を得べし。 次ぎに移動盲腸を合併したる例話に就き調べたるに,手術施行の51例に於て,同時 に移動盲腸を誰明したるもの13例,則ち第一分類手術施行38例中10例,第四分類4例 中3例にして,之等は轟様垂切除と同時に盲腸固定術をも行へり。臨床上恰も急性症 歌を呈し,閉面したるに軍に移動盲腸のみにて言様垂に何等炎症性異常を認め得ざり しものもあ!nらんに,之等に就きての記載は不明なりきt. 手術時歯噛こ就きては後述するとなし,手術様式に就いては,成人に於けると同心 右下腹部に於ける斜切開を以て開始,型の如く画論垂切除術を施行,穿孔性腹膜炎併 震のものには封目を形成せり。(3例の記載あり) 手術後の維過。虫歯に於ては「ガーゼドレーン」挿入のものに於ても,一般隠隠或は 局所の創傷治癒機轄言入に於けるよりも遙かに良好迅速なるもsの如く,心心症例の 入院期間を通覧するに,第一分類中言手術のものは3乃至21日,卒均12日を示し,手 術施行のものは,長きは44日に及びたるものあるも,手均10乃至13日のもの最も多く 21例,約1/3を占め,次いで14乃至16日のもの9例を敷へたり。第二分類に於て死亡せ る2例は術後夫々2乃至5日にして鬼籍に入り,他は何れ,も術後24乃至35日の入院期闇 にて輕快退院せり。第三分類のものに在りてはユ3日乃至48日にて該部に於ける疹痛性 腫瘍並びに抵抗は殆んど消失せり。最後に第四分類に於ては夫々!0日,11日,11日, 17日の入院日誌にて治癒退院せり。試論期面構の∼般に豫後良好なるは諮れによlpて も明らかに知り得る冷感なりとす。 次に品等急性最新突起炎にて入院せるものに付き來院時の主訴と見徹す可きものを 一一一汲eするに,小見に於ては一般に成人に於けるが如き,比較的屡々なる胃部或は心窩 部に於ける激烈なる疹痛言作を訴へたるものは殆んどなく,第一分類に於て僅かに1 例,第二分類に於て2例,他は何れも腹部全艦に亙る雨晒凱ち腹痛を主訴として來院,右 下腹部に比較的著明なる疹痛を自畳したるものは,梢々年長の小晃に於て撒例認めた るのみなり。叉成人に於て褒謡初時,往々訴へる二二,嘔吐等は小児には又稀なりと 一第 8 名箋」109一4−4 松村=小見の外科口疾・患 云ふを山べく,第二分類中1=例に於て見たるのみ。筒又第二分類帥ち穿孔性のものに ても,瓦斯排泄,排便等の不充分或は鋏如せ・るものは殆んど無かりき。而して小児に あleては其の初護症状は病攣と一致せざる事多く,印ち引攣の相論に進行せるものに 於ても,一般朕態の爾比較的良好なるは屡々なれば,此の難特に注意すべきものとす。 要之,小見には比較的少しとされたる急性轟様突起炎:の三々多数なるを識り,余
等繰したる小見外科的齢の約一寿憎め洪の死亡率よ青るも,寸寸手 百白酒
o 作は必ずしも危瞼,恐る可きものならざるを識り,且つ手術後の輕過に於ては,寧ろ 全身局所共に其の恢復成人よりも遙かに勝れたるを思はしむ。 9)脱腸(以後「ヘルニア」と記載す)26例にして全症例中第二位を占め(16%ノ爾腹 部疾患中にても,急性轟様突起炎に次いで多激を占めたり。以下各項目に就きて述べ んとす。 年齢及び性別例言は,第四表及び第一・asの如く,生後15日目に六六せるものを最年 少とし,以下生後5ケ月迄に5例(何れも二見),次いで6ケ月より12ケ月迄に2例(男兇) 1ケ年より5年迄に8例,(男児7例,女児1例),6年より1⑪年迄7例(男児4例,女兇3回目 11年より15年迄4例(男見4例)を数へ,帥ち1年より5年迄に於て最:多数にして,6年よ り10年迄次数を占めたり。蓋し,該年齢期間に於て殊に乳二期より幼時期帥ち稻々活 澄なる蓮動開始の時期にして,此の年代前に既に潜在し顯著ならざるものも此の期に 第四表 脱腸年齢別例敷㌦年齢磯5ケ月擁蛎・年一・年6・tl…一・・年
u年一15年 計 男 女 臼 5 0 5 L) o 2・ 7 1 4 to, 84
0 7 g 2L) 4 26髄敷[
5 1 4ol
o 10 到りて始めて著明に獲症氣付かるSに致りたるためならん。 絡罷的には男見22例,女見4例,絶野砲男児に多く男免は女児の約4例を占むると云 はれたるに略々一致せり。爾最近墾田外科教室中石誠二氏の12年間1562入の鼠瞑 「ヘル昌ア」の統計的臨画にによれば男子は女子の8倍を占めたりとの記載あり。 次ぎに年齢別に「ヘルニアJ進行の程度左右側の差異及びその巌頓症を呈ぜるものに つき調べたるに,先づ杢26例は何れも外鼠麗「ヘル呂ア」にして,生直後より5ケ月迄 の5例(陰嚢「ヘル昌ア」の丁丁のもの1例あり)。右側4例,左側一例は何れも嵌頓丁丁 一第 8 巻110一一松村=小見の外科的疾患
45 を呈し,次いで6ケ月より12ケ月に到る迄に於ける2例(1例は初期「ヘル=ア」)左側, 素 数 8 7 6 5 4 3 2 1 e 生後5ヶ月マデ6ケ月一1年1年一5年6年一jo年lj年一15年 鯵一一⑫男 ㊥一一一噛男・女合併数㊥一一㊨女襲一一憎籏傾ヲ起セ磁ひ,外購・ヘル。・ア、中にて棋の程
度の進行せるもの即ち陰嚢「ヘルニア」の歌態にあるもの梢’々多きを占め,叉嵌頓症欣 を呈せるもの総激10例にして全例数の38.4%なるを示し(中石氏は二二膜「ヘルニア」 の9・7%を示せりと報告されたり。)生後爾1ケ年に満たざる激ケ月の内に於て最多激な るを知れり。総饅的には右側15例,左側10例爾側同時(,こ「ヘル=ア」の存在せるもの1. 鋼にして,:大禮に右側に多かりき。前記中石氏の報告レたるによれ1鴻右側には左側 の2倍多かりしと。 次ぎに性別に上述の如く其の種類を再び詳細に観察するlc重複の感あるも,:先づ男 見22名の外鼠践「ヘル昌ア」を其の病症の進行程度により細別するに,初期「ヘルニア」 ユ例不杢及び完鼠践「ヘル;ア」10例及び陰嚢「ヘルニア」11例を示し,此の不全及び赤 鼠践「ヘルニア」10例中,5例は嵌頓症歌を呈し,11例の陰嚢「ヘルニア」中には4例の 該症歌を呈せるものあり。EPち計9例の嵌頓症を数へ得た垢次ぎに女兇4例に就い ては,不全及び完丁丁「ヘルニア」2例,:大陰唇「ヘル昌ア.2例を占め,四例中1例の嵌 一一一第 8 巻111一 右側共に1例意中1例の蘇訣症歌を呈せ ト、 るものあり。 次いで1ケ年より5年迄に於ては8例lx
(陰嚢「ヘル昌ア」七例,:大陰唇「ヘル昌 tN N/ \ ア・1働醐・左側共に4戯評4例
‘ 、 は嵌頓症朕を呈し居たり。次ぎに6年M! \より・・一け・一一
頓症を呈せるものなし。 論れを観るに年齢の梢々長ずるに從46
松村=小兇の外科的疾患
頓症を呈せるものを見たり。而して台臨嵌頓出癖を呈せるものは,多くは談柄期以前 の幼児にして特に其の回数は既述の如く生後5ケ月以内の乳兇に見たるものなり。中石 氏は杢嵌頓症患者の7割は5歳迄の小見なりと獲表せ!。 次ぎに之等嵌頓「ヘルニア」10例に就きて,磯病推定時間(整復し難くなりたる時を 嵌頓症出現の時と定めたり)より手術迄の時間的關係を調べたるに最少5時闇より20 時闇に及び,融融13時間を経過せり9。而して死亡せる1例は生後15日に爽諭せるもの にして護病即ち嵌頓症状を呈してより手術に至る迄に6時間を経過し居れi)。 次ぎに嵌頓症を呈せざる,残りユ6例に就きて其の磯病より手術迄の時間的關係を観 察し,前記嵌頓症と比較せんとしたるも,之等は生後直ちに氣付きたるもの,或ぽ面 付きても,其の儘に放置し,學齢期或は其の後に到りて,漸く來院,讐治を乞へるも の等ありて,其の時間的虫歯に就いては,個々の差異甚しく一定の比較すべき数を見 倒し得ざりき。 入院期闇につきて見るに.,手術施行のものは,15例とも8乃至28日間に:て治癒或は 輕快退院し,嵌頓症状を呈せる10例中,1例は手術後3日にて死亡し,他は何れも8乃至 16日にて翁腿院elp・隠り1例のi」P手術のものは整復されたるた耀日退院せり・ 以上26例の治癒及び死亡率に就きて見るに,!例の非手術例を除きたる手術施行25 例中,嵌頓寮長にて死亡せるもの1例にして,他は何れも治癒或は面面ぜり。即ち手術 治癒率96%,手術死亡率4%を示し,而して非手術の1例を加ふる時は,全治癒率96.1%, 至死亡率3.8鬼とな夢,而して嵌頓せる10例の死亡率は10%を算せり。之れを観るに 前記急性贔檬突起炎の場合の如く成人とは直ちに比する能はざるも手術的結果は筒憂 慮す可きものに諒すと云ふを得べし。中石氏の統計によれば死亡率は非嵌頓症にては 麻醗死1例のみにて0.12%弱,嵌頓を合すれば0.8%となり,且つ嵌頓症のみの死亡率 は4.5彦に相當すと示されたり。 治療法としては,何れも観血的に「ヘル=ア」嚢の除去或は嵌頓せる腸の整復を行へ り。術時の麻醇に就きては後述すべし。 手術々式は藪には其の詳細を列記するを避け,多くはパシ=一一・氏法或はツェル ニー*@により同時に轟檬垂の「ヘル=ア」内容となれるものに封してはこれが切除 術をも兼ね行へり。 尚「ヘル=ア」根治手術の時期選定に聞しては早期手術を唱ふるもの或は自然治癒あ るを以て2・3歳頃迄期待すべしとの諸論あるも,事情の許す限り6乃至8歳卸ち學齢期 前を選び度く,これは局所の解剖學的關係による可く,生後爾数ケ月のものに於ては一第8名き112一
松村=小兇の外科的疾患
47 諸組織の抵抗筒脆弱にして,暗泣時腹鹿占により術後も時に脱出の恐れあり。叉術後 の高湿に際しても,學齢期前後の児童にありては,患児のよく排尿排便等を知らしめ, 以て之等に因る手術創の汚染を可及的避け得ぺければなり。 近時爾「ヘルニア」帯を使用せるものあるを聞くも,手術施行の際,「ヘルニアJ嚢と 』周園組織との癒着甚しく之れが剥離に際し相當の困難を感ずるものなれば此の使用は 能ふ限り避く可く讐師よりの勧告に待たざる可からざるものとす。 最後に二等「ヘルニア」と同時に存在せる疾患として(「ヘルニア」手術の際偶然獲見 されたるなるも)交通性陰嚢水腫,慢性陰嚢水腫及び二二性慢性陰嚢水腫の3例を見 たり。 「ヘルニア」手術後の再調に就きては,特に詳細なる記述無きを遺憾とするも,只1例 生後8ケ月の男瓦に右側二面「ヘル=ア」の術後!0ケ月を経過して,他側にも同様該「ヘ ル=ア」の三生を見,手術を行ひたるものあり。 10)腸閉塞症(以後「イレウス」と記載す♪5例。全例数の3.1%を占め,未だ少数 例なれば絡艦的に贈れを論タる事能は歩。第五表に徴するに,5例中4例は何れも,絞 抗性「イレウス」中腸重積症(インワギナチオン)に因るものにして,平首1例,雷管4 第五表 腸閉塞症例数 1..L, ]一, 性「年齢診臨(手術) L主訴.
[時) .の時間漫1剛胆手術法
麻醇法瞬窮翻
・}♀1’oケ嗣墨腸盲腱積瞬・哺泣1矧・2・錘重難曲言識クロ「治1・2T
2 e・糊
ラ細腹
痛 36.60 厘積整復術+17st. 騒様突起切除+ 盾腸固定術 !一 輕快16T・i♂!・年・朔撃結髄積「腹鑑腫瘍・呵・T・…1・〃・二三各回II・・
・[♂1・年・ケ雌騰重積腹痛1調・・…睡整繍
〃[酬・3T
小腸下部に於 ・♂・年・ケ画帳雛よ嘔吐・麟・・・・・…T・… る絞掘 索歌物切除 パピナールアトロピン十. 混合麻醇 治 16T 例,女児の生後10ケ’月15日に獲病せるものを最年少とし,瀬見の9年8ケ月を最:年長と せり。獲病推定時間より手術に到る迄の時間最短ユ2時間,最長2日5時聞を経過し褒病 より語々時間を経過せるものに点ても,其の後の経過比較的良好にして,何れも12乃 至23日の入院期間にて治癒或は輕快退院せり。雪中第5例に於ては,現疾患稜病の約1 ケ月前最様垂切除術を施行其の後の索状物に依る絞掘のため,小腸下部の軸捻韓を誘 磯し來りたれるものなり。平均温温を見るに,畿病より既に2日を経たるに拘らす,比 ,___一_一一第 8 巻1】3一48
松村r小見の外科的疾患
較的上昇せざるもの1叉之れに反し,筒12時間にて38度6分に上昇せるものあり。次ぎ に來院時の母親或は附添人の訴ふる所により其の二見の主訴と見倣す可きものにつき て見るに,1例の口論に於ける嘔吐及び暗点を主訴とせるものを除きては,総べて腹痛 を主訴とし,遜れに嘔吐及び腹部腫瘍を合併せるもの夫々1例あり。 兄山としては何れも手術的操作を加へ,幼小品には「エ・・一テル」,「ク・ロホルム」の』 混合麻醇の少量を,這々年長のものには,「パントポン」の基礎迷朦麻酔に局所浸潤 麻醗を附加せり。5例中2例に託ては,共に移動盲腸を合併せるため,重積整復後,二 様垂切除術並びに,盲腸固定術を行へり。幸ひに腸の壊死性に攣化し且つ腹膜炎症歌 を呈したるものはなく絡べて整面し得たり。、省今後の症例と共に批判するを要するも めとすb 11) 腸間膜二二(第二表)年齢7ケ月20日及び11年7ケ月の共に二見の2例に『し て,嘔吐,血便或は腹痛を主訴として忌詞し,後者は急性贔様突起炎なる診断の下に開 腹せるも腸間膜全禮に亙りて多藪の粟粒大結節の播種を認めたる詰め,軍に試験的開 腹術に止め,前者は臨床的所見よ.り診断を下したる例にして,‘観血的には虚置されざ りしものにして入院後3日目都合により退院し其の後の韓蹄不明6後者は20日聞の入院 後藩法退院したるものなり。 一般に成人に於ける浸出性結核性腹膜炎の場合,屡々臨床上他疾患殊に急性轟様突 起炎なりとの診漸の下に開腹さるS事少なからす,術時始めて確診さる玉山往々な り。然れども此の開腹的操作のみによ1)て病憂の二二に進行せるものにても,却って 之れが良好の維過に辿:らしむるに到らすは多数の臨に経験せる所にして・上記1例の 報告にては爾其(ρ結果ド?き「『闘定レ得rx“ b>らざるも・小見に於ても叉必ずやその豫 後の良好なるは論を入れざる可し。 ユ2)陰嚢水腫 蕪に述ぶるは糖べて慢性陰嚢水腫の謂にして,第二表には2例と記 載あるも,此の他に前述「ヘルrア」の項にて一言したる如く,3例の外二三「ヘル昌 ア」と合併したる交通性陰嚢水腫,慢性陰嚢水腫,及び爾側性慢性陰嚢水腫を見たりb 即ち本來の陰嚢水腫として取り扱ひたる前記2例は,3年2ケ月の女児に見たる左側 (女子)水嚢腫(圓靱帯に滑ひ・て獲生せるNinck氏憩室)及び5年8ケ月の男見に於ける 精系水腫にして,前者は來院1ケ年前に認め丸払により穿刺術を受けたる事あり。後 者は腸加答児の際讐師より偶然渤告されたるものにして1夫々該部に於ける膨隆を主 訴として來院,何れも根治的に治療し,入院7乃至10日間にて全治退院せり。 爾「ヘル・=ア」と合併せる該3例は何れも,4ケ月,4ケ月15日酒呑5年11ケ月め男免 __第 8 巻 114一・松村=小児の外科的疾患
49 に見たる例にして,「ヘルニア.手術と同時に夫々庭回し8乃至14日間の入院にて治癒 或は輕快退院せり。 13)皮膚皮下結締織,腱及び筋肉等の炎症性疾患男児10例,女児U例,計21例,に して,全例敷Dユ2.9%を占め「ヘル昌ア」に次ぎて小見に多き疾患なりと云ふを得べ し。年齢的には男児は,最年少2年7ケ月より15年迄,二見は1年7ケ月より14年6ケ月 迄にして.五年例別には,5年迄に7例,6年より10年迄に6例,11年より15年迄に8擁 を数へ,前述損傷の場合に於けると同様三三兇或は年長兜に三々多数なるを示せり。 (第六表)。 第六表 皮膚・皮下.筋肉及び骨炎症性疾患の 年齢別,病類別例敷 第七表{病類別i疾患則例劃権1翻1牽il・・i病 総評劃婁・・鰍
1鏑{:〆諦謙劉唖職
辱雛雛嗣・1;lli欝慧斐騰
1 計 扇・1・・1・・1⊥ 計 図垂雪
これに含まるNものを細別するに,(第ヒ表)急性膿瘍13例中皮下膿瘍或は筋炎其の 大部分を占め9例,(男兇5例,女兇4例),次で蜂窩織炎1例(男兇),癖及び癖2例,(男・ 女見共に1例宛),最檬突起炎手術後の腹壁痩孔(女兇の1例)あり,其の他急性淋巴腺 炎4例,(男女三共に2例宛),丹毒三見の3例及び男児の急性副睾丸炎1例を激へたり。 上記膿瘍形成は小児には成入に比し絶封的に多しとされ,殊に茂木博士の報告され e e たるによるに,10歳以下に於ては,氏の経験されたる小見外科的疾患中4L3%を占む ると云はれ,年長となるに及びて増加せり。 上記9例のものに就き,部所的に観察したるに二二に於ける1例,左側膝蓋二皮下 膿瘍2例,下肢筋肉に於ける1例,肛門周國炎3例,及び磐筋の炎症2例を激へたり。 蜂窩織炎。こは2年の男児に1例足背に見たるものなり。一般に蜂窩織炎は総べての 年齢中叉/0歳以下に於て最も多く見らると云はる。 1纏(カルブンケル)は10歳以下tcは殆んど見られす,痴(フルンケル)は概して皮脂腺 ● 嬉一第3管115一
5魯
松村『小児の外科的疾患
機能の最も盛なる20乃至30の年代ec於で最多数なりと。上記2例中1例は三見13年4ヶ 月,上唇に四病したるものにして之れより敗血症を併磯し,其の維過中左側股剛節 炎,右側膿胸等を績獲,一時重篤なる容態に陥りたるも,幸ひに死地を脱し得たる稀 有なる一例にして,今日筒三三節部の痩孔治癒を回す,常に旧藩なる膿の.排出に悔み 居れり。・ 次ぎに急性淋巴腺炎も大膿に於て10歳以下に多しと云はれ,殊に頸腺,腋窩腺,顎 り の 下腺,股腺等の化膿は多しとする。而して學齢期よりも幼小見期に多く,回し幼小見 に在りては,二毛部の漏疹,或は耳殻附着附近に於ける漁疹或は咽頭炎の頻繁なるに 旧する周忌淋巴腺腫脹の獲病を促さる玉ものと云ふを得べく,特に. ウ化膿菌に鋼する 抵抗の弱きを物語るものなり。因みに本年4月より8月に亙り,殊に感胃後の顎下腺 イヒ膿を起したるもの租々多きが如き傾向ありき。 丹毒は11乃至20歳に最も多しとする。余等取り扱ぴたるは,1年7ケ月及び4ク’月20 の り 月の女話2例(共に顔面に獲病したるもの),他の一例は同様4年3ケ月の女見にて下肢 に熟れる輕度のものなり。顔面に於ける2例は,二院時既に磯病後数日を維過し,適當 の出置の施され居らざりしものにして,顔面の浮腫甚しく且つ又一般論態不良,入院 後1乃至2日にて死亡。他の1例は治癒の温品をとれり。 一般に膿瘍を形成ぜるもの玉庭置として,波動既に著明なるものにありては,型の 如く切開排膿後「ガーゼドレーン」の挿入を行ひ,叉浸潤強く深郡に病竈ありと推定さ れしものに劃しては,電気「メッサー」に:て切開し比較的出.血も少量にして, 術後の 心痛も輕く良結果を牧め得たり。三等切開を施せるものは,一般に小児に在りては, 相思に大なる切開創なりと難も,成入に比し排膿後の治癒傾向極めて怒速に,肉芽の 二言も良好なるの感あり。多くは十日前後にて治癒せり。化膿菌に封ずる抵抗弱き一 面,又治癒傾向の黙より論ずる時は成人より遙かに優れりと云ふを得べし。 三二三園は顎下腺の腫脹甚しきも未だ化膿に到らす浸潤の度彊きものにて,長期に 亙IPて腫脹の縮小を見ざるものに回しては,超短波の数回乃至撒10同の照射にて全く 腫大の消失されたるを経験せり。然し叉他面該照射によりて化膿を促進ぜしめたるが 如く作用したるものもあ夢き。 副睾丸炎に蜀しては去勢術を行へり。総じて丹毒の2例を除外せる他は何れ「も入院 1乃至17日にて全治或は輕快退院せり。即ち二等急性化膿性疾患は小児には比較的多 きも,其の治癒傾向は良好なりと云ふを得べし。 14)骨及び骨節の炎症性疾患9例。男兜5例,女晃4例,前者は生後20日より13年 一第 8 名套 116_松村t小児の外科的疾患
51 迄,後者は3年5ケ月よりU年1ケ月面.此の内にて藩論性骨髄炎:と見倣す遍きもの全数 の大部分を占め6例,結核性股關節炎2例,及び當項目中に加入するは耳卯か當を得ざる も1例の急性雄節「ロイマチス」を加へたり。 (1)軍純性急性化膿牲骨髄炎 (第8表)生後早くも20日にて左側鎮台に叢病 第8表些圏年割 病 名
子生後・・日田鎖骨磯馴 手 術法 二
十二㍍ンガ.。撤隔
・囹・年・刎誰醐大腿儲髄炎レ
・}♀陣朔睡右一骨騰炎 〃
1局酬難訓
麻巖解4目斗 麻ト治(2司 ごr二=掌=騰:輕快(68日)i・i♂陣ケ醸購畿一叢炎+匿編
全治(64日)〔 ・1♀門。月慢性獺脛骨臓炎 1! 1 c 全1声台(33日)11・固・3年艦春襟面骨轍1長野馨輔喬ゼドレ{ン誌
面轍(19・)1 せるものを始めとし,右側大腿骨骨髄炎,右側脛骨骨髄炎,右側慢性大腿骨獣畜炎+ 該側股關節炎,慢性左側脛骨骨髄炎,及び急性左側上腿骨骨髄炎+蛋白性骨膜炎等6 例にして,何れも該部に於ける痙痛性腫脹,爽熟,食慾不振等を主訴として來院。膿 瀦溜の著明なるものに温しては,切開排膿後「ガーゼドレーン」挿入を行ひ,β澱病初 期にて症状の比較的緩和なるものに劃しては」局所の丁丁布を行ひ,入院長憩ゴ68日 に及びたるものあるも何れも治癒或は輕快退院せり。 (2)’結棲性股再転炎(第9表)2例,表に示されたる如く,共に該部に於ける敷 個の治癒困難なる痩孔或は皮下膿瘍形成,蛮熱,全身の蓑弱,癒痩等をき訴とせるも のにして,前者は都合により治療孚ばにして退院,其の後の詳細を知る能はす。 第9表N州年記病 名il台 療 法言鰍ノ・如酬
・囹・雨月麟1醗遜に聾竺ルが嚇入陣壁墜空馴
図♀昨橘購灘鱗犠蕩廟膿槻勲 睡・入院酬・・1
後者は入院後再三膿貯瘤のため切開術施行,入院後6ケ月聞は殆んど毎日或は隔日 に38度前後の面面を持挿せるも,9ケ月中頃よりは次第に下降37度前後を上下するに 到り脱盤喰開始後歩に10ケ月を経過し,数ケ所の舌面より多量の排膿も逐次少量稀薄 となり一般猷態も次第に良好となりつNあり。然し乍ら爾黄白色貧血性の肉芽の獲生 過剰なるを見る。 一第 8 巻 /17一一一.52
松村=小兇の外科的疾患
概して前記急性軍純性骨臆炎は10乃至20歳聞に多く,それ’に次いで10歳以下殊に幼 小児期より學齢期以上の小面に多く,而して小児には一般に青年期に比して結核性疾 患は遙かに少数なりと云はる。 (3)9歳の男児に急激に護病し來れる急性爾側性毛及び足触節「ロイマチス」にし て昌盛に於ける激痛及び動植を主訴として來院,入院経過中高度の心臓牧縮期性雑音 を誘喪ぜるも,絶職安齢,熱氣浴「サリチル」酸剤の投興により,入院37日にして畑江の 痙痛も殆んどまり輕度の心臓雑音を残して退院せり。 以上小児期に於ける前述皮膚,皮下,腱,筋肉等に於ける炎症性疾患並びに,骨炎 症性疾患を併合する時は,男女晃共に15例宛にして,計30例,1年より5年迄,6年より ユ0年迄,11年より15年の5年齢別に見るに,3期共に夫々十例宛を数へ年齢的差異は特 に認められざりき。 娼)腫瘍 小兇期に於ける悪性腫瘍は,一般に少しと云はる。當科に於ても,11ヶ 月の女晃に見たる一例の悪性淋巴肉腫あるのみ。他のエ例は7年11ケ月の男兇に於け る良性混合腫瘍にして,前者は顔面に磯生し,詳細なる記載不明,入院10日後鬼 籍に入れるもの,後者は前胸.部に於けるものにして摘出後10日にして全治退院せ 17 o四・考按及び結論
蜘こ・」・兇の外科的疾患として取り扱ぴたる163例は當科全入院患者の18.11%を占め 最近茂木博:士の報告されたる4年間の外來患者申の小児外科的痺患は:26・3%一30%に 比するに尚多少の差異はあるも,品々近似せる頻度を示せるの感あり。 全例を通じて,男兇94名,女児69名,男鬼に絶封多数なりと致はれたるが如く當教 室にても叉至れと一致せるを見,部ち特に小児期に於ては男見の女見に比し抵抗力◎ 劣れる窪めか,或は此の年齢に於て特に「ヘル=ア」の如き蒲帆に絶蜀的多数なる疾患 を含む事に心するならんかとも思はる。 而して全163例中,全治或は輕快退院せるもの155例,自口ち95.1%の治癒率を,死亡 せるもの8例,自Pち4.9%の全死亡率を,爾,死亡8例中非手術3例を除きたる全例数に 沖する手術死亡率のみにては,3.1%を算するに到る。 樹令死亡せる8例は,夫々各項目に於て述べたるも再記すれば先天性鎖肛1例,轟檬 突起穿孔性腹膜炎2例,「ヘル=ア」sudiwt症2例,丹毒の2例及び悪悟淋巴肉腫の1例な り。 一第 8 巻118一松村=小見の外科的疾患
53 次に特に小見の外科的疾患治療に際し注意す可き二三の貼に就きて述ぶるに イ)化膿に面して 一般に小見の抵抗力は成人に比し遙かに劣り個人的榮養厄払と は密接なる關係に存す鋤く,筒骨折の治癒機樽に当ては,良好なる榮養歌態に置かれ たる場合には遙かに優れたる迅速なる治癒機韓をとるも,然らざる場合には全く相反 する現象に移行し得べきものなり。 ロ)出血の危険性に就て 乳誌面にありては容易に出血し血液の再生機能は成人に比し遙かに劣等にして,文 血液謡歌の完成さるsは生後約,2年6ケ月後なりと記され,小見の観血的操作に謝し ては特に注意すべく示指されみるも,余話経験に於ては幸ひに,腹部手術に於ても血 液喪失は殆んど見られす,此の難に就きての危倶は無きものと思惟さる。 ハ)症候上に就て 小見は晶晶症歌謡は其の後の経過に於ても成人に比し,尚一暦不定にして殊に磯病 初期に於ては診噺の根櫨となる可きものを把握し難く,数日後始めて著明特有なる諸 症歌を呈し來る事,外科的疾患に於ても往々に遽遇する事實なれば,小見診察に當 りては,特に周到なる注意を以て全身的精細なる桧診を必要とするを痛感するものな り。 =)手術上の特異鮎 1,手術時期の選定 上記先天性崎形等にては生後白日を出ですして讐師の門を敲 くもの砂からざるは既に述べたるも,既述の諸理由に基き,#nim的操作を要するもの に於ては生後2乃至3年後に行ふを安全なりとす。然し乍ら備大手術に及びては,該年 齢後なりと錐も,安堵して爲さる可きものならざるは勿論なり。 2,血脈に就て 小児特に幼小忌は,麻疎画に評する抵抗力極めて薄弱にして,而も 回心画期に容易に誘導せしめ得るものな鉱 小見は知畳榊経の褒達,成入程:大なら ざるため特に乳糖に歴ては何等麻酵藥を使用せすして,其の目的を遽行し得るものな 妙。鬼窟期以上のものに在りては,術前「パントポンJ或は「パピナeルアトロビン」 の少量を全身畑島の目的を以て使用し,慮れに局所麻醇を併用,且つ衛中腹並等の嵌 めに操作不便を感じたる場合には,少量の「エーテル。ク・・ホルム」混合砺ll辞を附加 し,何等副作用を認めざりき。而して上記「パントポン」「パピナ・・ルアト・ピン。等は 戒入に作用するよりも小心には遙かに迅速に効を奏するものなり。最後に學齢期及び 梢々年長の見童に在りては,特に急性轟様突起炎,「ヘルSア」等の手術の場合勘ち比 較的下腹部に或は下肢に操作の加へられんとするに際しては,口入と同様の藥液汁ち 一第 8 巷119一54