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〈論 説〉
ア メ リカ ・イ ンデ ィ ア ン法 研 究 序 説(五)
一 公法学 の視点か ら
藤 田 尚 則
目 次 は じめ に
第 一章 イ ンデ ィ ア ン問題 の規 制 に関 す る連 邦 の権 限の 史 的展 開 第一 節 前 憲 法時 代(1532年 〜1789年)
第二 節 合 衆 国憲法 制 定か ら条 約締 結 の終 了(1789年 〜1871年)(以 上%,19巻1・2合 併号) 第三 節 土地 割 当 と同化(1871年 〜]928)(以 上 第19巻3・4合 併号)
第四 節 イ ンデ ィ ァ ン再 組 織(1928年 〜1942年>
1.「 ドー ズ法 」 の成 果 と 「メ リア ム報 告書 」 2,政 策 転 換
3.1934年 イ ンデ ィア ン再 組織 法(IRA)の 制 定 とそ の運 用(以 」二第37巻1号) 4.ニ ュ ー ・デ ィー ル政 策 下 に お け る その他 のイ ンデ ィ ア ン問題 処 理 法 概 観 5.合 衆 国議 会 に お け るIRA;,m争
第 五 節 連 邦 管 理 終結 政 策(1943〜1961年) 1.管 理 終 結 政 策 への 序 奏
(1)合 衆 国 議会 とBIAの 確 執 (2)再 配 置
(3)連 邦 法 の整 備 2.管 理 終 結政 策
(1)両 院 共 同決 議108
(2)管 理 終結 法 とその 内容(以 上第37巻2・3合 併 号) (3>公 法 第280号
(4)土 地 と資 源(以 上本 号) 3.政 府 業 務
(1)教 育 (2)保 健
第六 節 民族 自決 と自治政 策(1961年 〜 現 在)
第 五 節 連 邦 管 理 終 結 政 策(1943年 〜1961年)
2.管 理 終 結 政 策 (3)公 法 第280号 (a)公 法 第280号 の 制 定
イ ンデ ィ ア ン問 題 に 対 す る連 邦 の 責 任 を解 決 す る た め 合 衆 国議 会 が 採 った 大
134
68)
き な 方 策 が 、1953年 の 「公 法 第280号 」(PublicLaw280,PL280)の 制 定 で あ る 。 同 法 の 制 定 以 前 は 、 連 邦 法 に 基 づ く州 へ の 刑 事 乃 至 民 事 の 管 轄 権 の 移 行 は 、 特 定 の 州 内 の 一 つ 若 し くは す べ て の 保 留 地 に 限 定 さ れ て き た 。 す な わ ち 、1940年
らの
6月 の カ ンザ ス 州 へ の 州 内の すべ て の 保 留 地 の 刑 事 管 轄 権 の 移 行 、1946年3月
らの の ノ ー ス ー ・ダ コ タ州 へ の デ ヴ ィ ル ス ・レ ー ク 保 留 地 の 刑 事 管 轄 権 の 移 行 、1948
sq
年6月 の アイ オ ワ州 へ の サ ッ ク ーフォ ッ クス保 留地 の刑 事 管 轄 権 の移 行 、1948年
62)
7月 の ニ ュー ヨー ク州 へ の州 内 の保 留 地 の 刑 事 管 轄 権 の 移 行 、1949年10月 の カ
fi3)
リフ ォル ニ ア 州 へ の ア グ ア ・カ リエ ンテ保 留 地 の 民 事 並 び に刑 事 管轄 権 の移 行 、
1950年9月 の ニ ュー ヨー ク州 へ の 州 内 の保 留 地 の 民事 管 轄 権 の移 行 が そ れ で あ る。 そ して 、 制 定 過 程 に お い て 、BIA(イ ンデ ィ ア ン問題 局)が 主 導 権 を握 り、
65)
個 々 の 州 並 び に 影 響 を 蒙 る 部 族 と の 協 議 が 行 わ れ 、 内 実 は と も あ れ 、 イ ン デ ィ ア ン と の 話 合 い の 場 が 持 た れ て い る 。
1953年8月15日 、 合 衆 国 議 会 は 、 公 法 第280号 を 制 定 す る こ と に よ っ て 、 イ ン デ ィ ア ン の 土 地 の 領 域 内 に お け る ほ と ん ど の 刑 事 事 件 並 び に 多 く の 民 事 事 件 の 管 轄 権 を 、5州(カ リ フ ォル ニ ア、 ミネ ソ タ(レ ッ ド ・レ ー ク保 留 地 を除 く)、 ネ ブ ラ ス カ 、 オ レ ゴ ン(ウ ォ ー ム ・ス プ リ ング ス 保 留 地 を除 く)及 び ウ ィ ス コ ン シ ン(メ ノ ミ ニ保 留 地 を 除 く))。 一 般 にmandatorystateと 呼 ば れ て い る。 後 に ア ラ ス カ 準 州(1959年1月3日 に連 邦 加 入)が 、1958年8月8日 改 正 法(Pub,L.No.85‑615, 72Stat.545)に よ っ て 加 わ え られ た 。)に 委 譲(delegation)し た の で あ る。 公 法 第280号 は 、7ヵ 条 か ら 成 る 。
◇ 「カ リ フ ォ ル ニ ア 、 ミ ネ ソ タ 、 ネ ブ ラ ス カ 、 オ レ ゴ ン並 び に ウ ィ ス コ ン シ ン 州 に 当 該 州 内 の イ ン デ ィ ア ン 保 留 地 で 実 行 さ れ 若 し く は 生 じ た 行 為 の 刑 事 事 件 又 は 民 事 訴 訟 に 関 し て 管 轄 権 を 付 与 し、 及 び そ の 他 の 目 的 を 規 定 す る 法 律 」(正 式 名 称)
第1条 合 衆 国 法 律 集 第18編 第53章 は 、 第18編 の 先 行 第ll51条 に 続 く章 の 最 後 に 「第ll62条 イ ン デ ィ ア ン の 領 土 内 で イ ン デ ィ ア ン に 対 し て 実 行 さ れ た 犯 罪 に 対 す る州 の 管 轄 権 」 と題 す る 新 た な 項 目 を 挿 入 す る こ と に よ っ て 改 正 さ れ る 。
第2条1合 衆 国 法 律 集 第18編 は 、 第53章 に 第ll62条 と表 示 さ れ る 以 下 の 新 た な 条 項 を 第ll61条 の 直 後 に 挿 入 す る こ と に よ っ て 改 正 さ れ る:
ア メ リカ ・イ ンデ ィア ン法 研 究序 説(五) /35
「第ll62条 .イ ンディアンの領土内でイ ンデ ィアンに対 して実行 された犯罪 に対 す る州 の管 轄 権 」
「(a)以 下 の表 に記 載 され た 各 々 の 州 は、 州 の 向か い に記 載 さ れ た イ ン デ ィ ア ン の土 地 の 領 域 内 で イ ン デ ィ ア ン に よ って 又 は イ ン デ ィ ア ン に対 して 実 行 され た 犯 罪 に対 す る管 轄 権 を 、 当 該 州 内 で 実 行 され た犯 罪 に 対 して 州 が 有 す る管 轄 権 と同 じ程 度 に お い て 有 す る もの と し、 当 該 州 の 刑 法 は 当該 刑 法 が 州 内 で 有 す る と同 じ効 力 と効 果 を イ ンデ ィ ア ンの 土 地 内 で 有 す る もの
とす る:
州 適用 され るイ ンデ ィア ンの土地
カ リフ ォル ニ ア … … … 州 内 の全 て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
ミネ ソ タ レ ッ ド ・レー ク保 留地 を除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
ネ ブ ラ ス カ 州 内 の す べ て の イ ンデ ィ ア ンの 土 地
オ レ ゴ ン ウ ォ ー ム ・ス プ リ ン グス 保 留 地 を除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
ウ ィス コ ン シ ン… … … メ ノ ミニ保 留 地 を 除 く州 内 の全 て の イ ンデ ィ ア ンの 土 地
「(b)本 条 の い か な る規 定 も、合 衆 国 に よっ て 信 託 に 付 され 若 し くは合 衆 国 に よっ て 課 され た 譲 渡 に 対 す る制 限 に服 して い る個 々 の イ ン デ ィ ア ン、 部 族 、 バ ン ド又 は 団 体 に帰 属 す る水 利権 を含 め て 、 動 産 又 は 不 動 産 の 譲 渡 、 負 担 若 し くは課 税 を公 認 す る も の で は な く、 若 し くは全 て の 連 邦 条 約 、 協 定 又 は 法 律 若 し くは これ らの 規 定 に従 っ て 為 さ れ た 全 て の 規 制 と矛 盾 す る 方 法 で 当 該 財 産 の 使 用 を規 制 す る こ とを 公 認 す る もの で は な い。 ま た 若 し くは 、個 々 の イ ンデ ィ ア ン、 イ ン デ ィア ン部 族 、 バ ン ド若 し くは共 同 体 か ら狩 猟 、 トラ ッ ピ ン グ又 は 漁 携 若 し くは それ らの統 制 、 免 許 又 は規 制 に 関 す る連 邦 条 約 、 協定 又 は法 律 に よ っ て 付 与 され た全 て の 権 利 、 特 権 又 は 免 除 を剥 奪 す る もの で は な い。
「(c)本 章 第ll52条 〔犯罪 の処罰 に関 す る連邦 法の適 用規定 〕並 び に第ll53条
〔イ ンデ ィア ンの領 土内で実 行 された犯罪 規定〕 は、 本条 第a項 の表 に 記 載 され た イ ン デ ィ ア ン の領 土 内 で は適 用 され な い もの とす る。」
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第3条 合 衆 国 法 律 集 第28編 第85章 は 、 先 行 第1331条 に続 く章 の最 後 に 「第 1360条 イ ン デ ィア ンが 当事 者 で あ る訴 訟 に お け る州 の 民 事 管 轄 権 」 と題 す る新 た な 項 目 を 挿 入 す る こ とに よっ て 改 正 され る。
第4条 合 衆 国 法 律 集 第28編 は 、第85章 に 第1360条 と表 示 さ れ る以下 の新 た な条 項 を 第1359条 の直 後 に 挿 入 す る こ とに よ って 改 正 され る:
「第1360条 .イ ンデ ィ ア ン が 当 事 者 で あ る訴 訟 に お け る 州 の 民 事 管 轄 権
「(a)以 下 の表 に記 載 され た 各 々 の州 は 、州の向かい に記載 され たインデ ィ ァ ンの 土 地 の領 域 内 で 生 ず る イ ンデ ィ ア ン の 間 の 行 為 の 民 事 訴 訟 に関 す る 管 轄 権 又 は イ ンデ ィ ア ンが 当 事 者 で あ る民 事 訴 訟 に関 す る管 轄 権 を、 当該 州 が他 の 民 事 訴 訟 に対 して 有 す る管轄 権 と同 じ程 度 に お い て 有 す る も の と
し、 私 人 若 し くは私 有 財 産 に一 般 的 に適 用 さ れ る 当該 州 の 民 事 法 は 当該 民 事 法 が 州 内 で 有 す る と同 じ効 力 と効 果 を イ ンデ ィ ア ンの 土 地 内 で 有 す る も
の とす る:
州 適用 され るイ ンデ ィア ンの土地
カ リフ ォ ル ニ ア… … … 州 内の 全 て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
ミネ ソ タ レ ッ ド ・レ ー ク保 留 地 を除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ン の 土地
ネ ブ ラ ス カ 州 内 の全 て の イ ンデ ィ ア ン の 土 地
オ レ ゴ ン ウ ォ ー ム ・ス プ リ ン グ ス保 留 地 を 除 く州 内 の全 て の イ ンデ ィ ア ン の 土 地
ウ ィ ス コ ン シ ン … … … メ ノ ミニ 保 留 地 を 除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィア ン の 土 地
「(b)本 条 の いか な る規 定 も、合衆 国に よって信 託に付 され若 しくは合衆 国 に よ っ て 課 され た譲 渡 に対 す る制 限 に 服 して い る個 々 の イ ン デ ィ ア ン、 部 族 、 バ ン ド又 は 団 体 に帰 属 す る水 利 権 を 含 め て 、 動 産 又 は 不 動 産 の 譲 渡 、 負 担 若 し くは課 税 を公 認 す る も の で は な く、 若 し くは全 て の 連 邦 条 約 、 協 定 又 は 法 律 若 し くは これ らの 規 定 に 従 っ て為 され た全 て の 規 制 と矛 盾 す る 方 法 で 当 該 財 産 の 使 用 を 規 制 す る こ とを公 認 す る もの で は な い 。 また 若 し くは 、 検 認 手 続 又 は そ の 他 に お い て 当 該 財 産 の 所 有 権 、 占有 権 若 し くは そ れ らに 備 わ る全 て の 権 利 を裁 判 す る管 轄 権 を 州 に付 与 す る もの で は な い 。
ア メ リカ ・イ ン デ ィァ ン法 研 究 序説(五) i37
「(c)イ ンデ ィ ア ンの 部 族、 バ ン ド又 は共 同体 に お い て 以 前 若 し くは 以後 に 採 択 され た全 て の 部 族 の 条 例 又 は慣 習 は、 イ ンデ ィ ア ンの 部 族 、 バ ン ド又 は共 同 体 が所 持 し得 る権 限 を行 使 す る に際 して 、 州 の適 用 され る民 事 法 に 矛 盾 しな い 限 り本 条 に従 って 提 起 され た 民 事 訴 訟 の 決 定 に お い て 完 全 な効
力並 び に効 果 を 有 す る もの とす る。」
第5条1949年10月5日 法 律(63Stat.705,ch.604)第1条 〔1950年1月1 日を 以 っ て及 び 以 後 、 カ リフ ォ ル ニ ア州 の ア グ ア ・カ リエ ン タ ・イ ン デ ィ ア ン保 留 地 に 位 罎 す る全 て の 土 地 並 び に 当該 土 地 に居 住 す る イ ンデ ィ ア ン は 、 カ リフ ォ ル ニ ア州 の 民 事 法 並 び に 刑 嘉 法 に 服 す る。 但 し、 本 条 の 如 何 な る規 定 も、 部 族 所 有 で あ ろ う と個 人 所 有 で あ ろ う と、保 留 地 の土 地 又 は そ の 相 続 権 の譲 渡 、 負 担 若 し くは課 税 を、 当該 土 地 に対 す る権 原 が 合 衆 国 に よ って 信 託 に 付 され て い る場 合 に 合 衆 国 議 会 に よ っ て譲 渡 、 負 担 若 し く は課 税 が 特 に承 認 され な い 限 り、 公 認 す る もの と解 釈 され て は な らな い。〕
は、 以 後 、 廃 棄 され る。 但 し、 上 記 の 廃 棄 は 、 上 記 法 律 第1条 の下 で 以 前 に提 起 され た全 て の 手 続 に 如 何 な る影 響 も及 ぼ す もの で は な い。
第6条 州 の連 邦 加 入 承 認 の為 の授 権 法 の規 定 に も拘 らず 、 合 衆 国 の 同 意 は 、 全 て の 州 の 人 民 に 、 本 法 の規 定 に一 致 して 民 事 管轄 権 並 び に刑 癖 管 轄 権 の
引受 け に とっ て の 法 的 障 害 を 除 去 す る に必 要 と され る場 合 、 州 憲 法 若 し く は現 行 法 律 を修 正 す る為 に与 え られ る。 但 し、 本 法 の 規 定 は 、 当該 州 に よ る管 轄 権 の 受 入 れ に 関 して 、 当 該 州 の 人 民 が 適 切 に 州 憲 法 若 し くは 法 律 を 適 合 す る よ うに修 正 す る まで は効 力 を 発 効 しな い もの とす る。
第7条 合 衆 国 の 同 意 は、 本 法 に規 定 され るが ご と き刑L:4犯罪 又 は民=1k訴訟 に関 して 若 し くは 両 者 に 関 して 管 轄 権 を 持 た な い全 て の そ の他 の 州 に 、 当 該 州 の 人 民 が 積 極 的 立 法 活 動 に よ っ て 州 に 管 轄 権 の 受 入 れ を 義 務 づ け及 び 拘 束 す る時 と方 法 で 、 〔州 が〕 管轄 権 を受 入 れ る為 に与 え られ る。
公 法 第280号 は、 イ ンデ ィ ア ン問題 を州 に完 全 に任 す か 、 連 邦 と部 族 の 管 轄 権 に の み 服 させ る こ とに よ って イ ンデ ィ ア ンを連 邦 が 保 護 す べ き被 後 見 人 と して 維 持 す る か の 妥 協 の試 み で あ っ た と言 え よ う。 同法 は 、 当 該 法 律 に 規 定 され て い な い 他 の す べ て の州 に 管 轄 権 を 受 け入 れ るた めの 選 択 権 に関 す る規 定 を 置 い て い る(第6条 、第7条 参照)が 、 イ ンデ ィ ア ン 自 らが 従 来 どお り継 続 的 な 自治
i38
を選 択 す る か 否 か は 問 わ れ な か っ た の で あ る。
尚 、1968年4月1日 制 定 の 「一 定 の 暴 力 若 し くは脅 迫 行 為 の 処 罰 を 規 定 し及
び そ の他 の 目 的 を 規 定 す る法 律 」 第406条 は 、 「本 章 〔刑事 管轄権 及 び民 事訴 訟管 轄 権〕 に従 っ て 刑7犯 罪 又 は民 箏 訴 訟 若 し くは両 者 に関 して 取 得 され た州 管 轄 権 は、 イ ンデ ィ ア ンの領 土 の影 響 を受 け る地 域 内 の被 登 録 イ ンデ ィ ア ンが 管 轄 権 を受 入 れ るか ど うか に関 して施 行 され る成 人 に よ る特 別 選 挙 に お い て 多 数 票 に よ って 受 入 れ られ た場 合 に 限 って 適 用 され る。」 と規 定 し、 イ ンデ ィ ア ンが 自 ら 居 住 す る州 の 管 轄 権 を受 入 れ るか 否 か に つ い て、 そ の 同意 を 得 な け れ ば な らな い と して い る。 更 に本 法 が 成 立 した1968年 まで に 上 記6州 に加 え、9っ の 州 が 、 州 境 内 の イ ン デ ィア ンの 土 地 に対 す る部 分 的 若 し くは全 面 的 な 管 轄 権 を拡 大 し て い る。
(b)公 法 第280号 成 立 の 背 景
公 法 第280号 は、 そ の成 立 当初 か ら、 イ ン デ ィ ア ン に とっ て も州 に とっ て も満 足 させ られ る もの で は な か っ た 。 す な わ ち、 一 方 で イ ンデ ィ ア ン は 、 法 律 制 定 時 に 州 が 管 轄 権 を 受 入 れ る前 に部 族 の 同 意 が 必 要 とさ れ る 旨が 法 律 に明 記 され て は お らず 、 自 らの 意 思 に 反 して彼 ら に及 ぶ 州 の 管 轄 権 の 攻 撃 を 欲 しなか っ た し、 他 方 で 州 は 、 管 轄 権 を受 入 れ る州 に対 して連 邦 が 補 助 金 を支 出 す る規 定 或 い は イ ン デ ィ ア ンの 土 地 を免 税 の信 託 的 地 位 か ら移 行 す る規 定 も置 か れ て い な か っ た こ とに憤 慨 した の で あ る。 果 た して、 イ ン デ ィ ア ン と州 との 間 の意 見 の 相 違 は、 公 法 第280号 に よ り州 に 付与 され た 管轄 権 の範 囲 をめ ぐって 噴 出 し、 管 轄 権 を 移 行 す る手 段 が結 果 的 に影 響 を蒙 るの で あ る。 紛 争 の種 とな っ た事 項 に は、 公 法 第280号 の下 で 州 が 引 受 け た 管轄 権 に課 税権 及 び イ ンデ ィ ア ン保 留 地 の 区域 指定 の権 限 が 含 まれ るか 否 か 、 更 には 、 州 が 主 張 す る公 法 第280号 に規 定 さ れ た 管 轄 権 が権 限 行 使 の た め の 手 続 の前 提 要 件 を満 た して い るか 否 か とい っ た そ れ が あ っ た の で あ る。
公 法 第280号 に起 因 す る問 題 は、 曖 昧 な立 法 史 、 不 明 確 な起 草 、 そ して 当該 法
c≫
律 の 目 的 に つ い て の 明 確 な規 定 の 欠 如 に あ る こ とが 指 摘 さ れ るが 、 合 衆 国 議 会 の 意 図 は 、① 保 留 地 にお け る法 の 欠 鉄 とそ れ に伴 う 白系 米 国 人(Anglos)へ の 脅 威 一 多 分 に一 方 的 な言 分 若 し くは 自 らが 招 い た も の と言 わ ざ るを 得 な い と こ ろで あ るが 一 、② 合衆 国 国 民 た る住 民 へ の イ ン デ ィ ア ン部 族 の 同化 、③ イ ン
ア メ リ カ ・イ ン デ ィ ア ン 法 研 究 序 説(五)i39
ca)
デ ィ ア ン 問 題 へ の 連 邦 予 算 の 縮 小 に あ っ た 。
中 で も 、 議 会 の 主 要 な 立 法 意 図 は 、 「保 留 地 に お け る 法 の 欠 飲(lawlessness)
cs)
と法 の実 現(lawenforcement)の た め の適 切 な部 族 制 度 の 不 存 在 」 の問 題 を解 決 す る こ とに あ っ た と され る が 、 刑 事 法 の 分 野 で は 、 イ ン デ ィ ア ン保 留 地 に お け る法 の実 現 の 責 任 は 、 細 分 化 され る結 果 を招 来 す る こ とに な る。 す な わ ち、
非 イ ン デ ィ ア ンが 非 イ ン デ ィ ア ン に犯 罪 を 実 行 した場 合 、 若 し くは賭 博 や 飲 酒 運 転 とい った 被 害 者 な き犯 罪(victimlesscrime)を 犯 した場 合 、 州 当 局 の み が 犯 罪 者 を 州 法 の 下 で訴 追 し得 るが 、 犯 罪 者 又 は被 害 者 が イ ンデ ィ ア ンで あ る場
アの
合 、 連 邦 政 府 が1948年6月25日 に制 定 され た所 謂 「イ ンデ ィ ア ン土 地 犯 罪 法 」 (theIndianCountryCrimesAct,ICCA)に 従 って連 邦 裁 判 所 で 州 法 を適 用 し、
訴 追 し得 る排 他 的管 轄 権 を有 した の で あ る。 更 に 、 犯 罪 者 と被 害 者 の両 者 とも が イ ン デ ィ ア ンで あ る場 合 は 、部 族 裁 判 所 が 排 他 的 管轄 権 を有 しな い 限 り、 犯
71)
罪 が1885年3月3日 に 制 定 さ れ た 所 謂 「イ ン デ ィ ア ン 重 大 犯 罪 法 」(theIndian MajorCrimesAct)に 規 定 さ れ る 犯 罪(イ ン デ ィ ア ン の領 土 内 で 実 行 され た 謀 殺 、 故 殺 、 強 姦 、 近 親 相 姦 、 殺 意 の あ る暴 行 、 凶 器 に よ る暴 行 、 放 火 、 住 居 侵 入 、 窃 盗 並
72)
び に強盗 の罪)で あ った 場 合 、連 邦 政 府 が 排 他 的管 轄 権 を有 した の で あ る。
しか し、連 邦 法 律 の 執 行 は 、 財 政 的 上 充 分 に裏 づ け られ た もの で は な く、 部
73)
族 裁 判 所 も しば しば財 源 を欠 き、 効 果 的 に機 能 せ しめ る技 術 も持 ち合 わせ なか っ た 。 そ の結 果 は、 ミネ ソ タ州 選 出 の 下 院 イ ン デ ィ ア ン問 題 小 委 員 会 委 員 ウ ェ ズ リー ・デ ワー ト(WesleyD'Ewart)の 言 葉 を借 りれ ば、 「多 くの イ ン デ ィ ア ン保 留地 の 完 全 な る法 と秩 序 の 崩 壊 」 を齎 した の で あ っ て 、 「イ ンデ ィア ン保 留 地 内
74)
とそ の 周 辺 に住 む住 人 を法 と秩 序 に服 せ しめ る こ と」 が 強 く望 まれ た の で あ る。
合 衆 国 議 会 が 民 事 管 轄 権 を 州 に 移 した根 本 的 理 由 に 関 して は 、 明 らか な 証 拠 が な く、 また 、 議 会 の 決 定 を 支 持 す る そ れ も存 在 しな い と言 わ れ る。 イ ンデ ィ ア ン保 留 地 に対 す る州 の民 事 裁 判 権 は、 その 刑 事裁 判 権 よ りも幾 分 広 範 囲 で あ っ
75)
た と主 張 す る論 考 も散 見 され るが 、 一 般 的 に は州 裁 判 所 は、 保 留 地 で生 ず る 当 該 場 所 に居 住 す るイ ン デ ィ ア ン に対 す る訴 訟 上 の請 求 を解 決 す るに は無 力 で あ っ た とされ る。 す な わ ち 、 連 邦 法 が 、 イ ンデ ィ ア ン との 民 事 関 係 の 多 くの 重 要 な 部 分 を規 律 して い たが た め、BIAが これ ら民 事 関係 法 の執 行 を担 当 し、 保 留 地 に お け る指 導 的役 割 を演 じて い た の で あ る。 公 法 第280号 に関 す る1953年 第83会
140
議 第1会 期 に お け る上 院 報 告 書 は 、 か か る点 に つ い て 、 「イ ンデ ィ ア ン は、 州 の 民 事 管 轄 権 の 望 ま しい拡 大 を行 うべ き文 化 変 容(acculturation)と 発 展 の段 階 に
ア ラ
到 達 して きて い る。」 と述 べ て い る。
か か る声 明 の 意 味 す る と こ ろ は、 キ ャ ロル ・E・ ゴ ー ル ドバ ー グ(CaroleE.
Goldberg)に 言 わ しめ れ ば、 イ ンデ ィ ア ン が将 に他 の 州 民 と同様 に社 会 的 に発 展 して きて お り、 そ して それ 故 に 、BIAの パ タ ー ナ リス テ ィ ック な管 理 か らはむ ろ ん、 二 流 の市 民 か ら開 放 され るべ き こ とを 意 味 す る 。 しか し、 ゴー ル ドバ ー グ は、 続 け て次 の よ うに述 べ て い る。 す な わ ち 、公 法第280号 に よ る州 へ の 管 轄 権 の広 範 な 移 譲 が為 され る以 前 の イ ンデ ィ ア ンの 社 会 的発 展 の段 階 に関 す る意 味 あ る調 査 が 為 され て い な い 以 上 、 合 衆 国 議 会 が イ ン デ ィ ア ン に よ る州 の管 轄 権 受 入 れ の 準 備 が で き て い た か 否 か に知 悉 して い た とは考 え られ な い 。 更 に、
こ の発 展 した文 化 変 容 とい うテ ー マ と、 イ ン デ ィ ア ン は無 秩 序 で あ り自治 能 力 に欠 け るが 故 に 、 州 の 刑 事 裁 判 権 は必 要 で あ る と い う広 く行 き亘 っ た 考 え と を 調 和 させ る こ とは 困 難 で あ る。 む し ろ、 民 事 管 轄 権 の 移 譲 は 、 そ れ が 連 邦 政 策 の 同化 主 義 者 の意 向 に適 合 し、 便 利 で も安 上 が りで も あ っ た が 故 に 、 主 と して 法 と秩 序 を保 留 地 に持 ち込 も う と した 法 律 に つ い て の あ とか らの 思 い つ き で あ
77)
る言 い得 るの で あ る。
(c)公 法 第280号 の 法 的 整 合 性
ア メ リカ ・イ ンデ ィ ア ン法 の 研 究 家 で も あ る合 衆 国 第 九 巡 回 区控 訴 裁 判 所 裁 判 官 ウ ィ リア ム ・C・ キ ャ ン ビー(WilliamC.Canby)は 、1986年 に開 催 され た ワ シ ン トン州 立大 学 法 学 校 後 援 の 法理 学 講 演 会 で 、 連 邦 イ ン デ ィ ア ン法 の原 理 的 基 礎 を構 成 す る四 つ の不 変 的 テ ー マ と して 以 下 の 事 項 を 挙 げ て い る。 す な わ ち、 ① イ ン デ ィ ア ン部 族 は 、 固 有 の 自治 権 を 有 す る主 権 的 団 体 で あ る。 ② 部 族 の 主 権 は 、 例 外 的 に連 邦 の 強 大 な規 制 権 限 に服 す る。 ③ 部 族 問 題 を 処 理 し、
規 制 す る権 限 は 、全 面 的 に連 邦 に帰 属 す るの で あ って 、諸 州 は合 衆 国 議 会 が 当 該 州 に権 限 を移 譲 しな い 限 り排 除 さ れ る。 ④ 連 邦 政 府 は 、 州 及 び 当 該 市 民 に よ る侵 害(encroachment)か ら保 護 す る責 任 を含 めて 、 部 族 並 び に 当該 部 族 の財
フお
産 を保 護 す る責 任 を 有 す る 。
公 法 第280号 を イ ンデ ィ ア ン立 法 史 の 観 点 か ら見 た場 合 、 そ の 法 的整 合 性(乃 至連続 性)が 問 わ れ る とこ ろで あ る。 キ ャ ン ビー が 言 う と ころ の そ れ ぞ れ の 論 点
ア メ リカ ・イ ン デ ィァ ン法 研 究 序説(五) /4/
ご とに 、公 法 第280号 の 問 題 点 を考 察 して み よ う。
(ア)固 有 の 部 族 主 権
79)
既 に述 べ て きた と こ ろ で あ るが 、 イ ンデ ィ ア ン部 族 は 、 そ の 始 原 的 主 権 が ア メ リカ合 衆 国 の そ れ に 先 ん ず る 自治 的 政 治 共 同 体 で あ り、1931年 の 合 衆 国 最 高
BU)
裁 判 決CherokeeNationv.Georgiaに お い て 、 イ ン デ ィ ア ン 部 族 は 「そ れ 自 身 の 問 題 を 管 理 し 、 及 び 自 ら を 統 治 す る 能 力 を 有 す る 他 か ら 区 別 さ れ た 独 立 の 政 治 的 社 会 」 で あ る り 、 国 内 の 従 属 国(domesticdependentnations)で あ る
81)
と判 示 され て い る。 従 っ て 、 法 的 に は 、 部 族 の 自治 的 権 限 は 、 合 衆 国 か ら伝 来 す る もの で は な く、原 初 的 な所 有 と占有 に 由来 す るの で あ って 、 部族 は ヨー ロ ッ パ 人 が ア メ リカ に 定住 す るに先 ん じて 自治 的 な政 治 的 地 位 を 保 有 して い るの で
8'L)
あ る。
合 衆 国最 高 裁 は 、 これ ま で の イ ン デ ィ ア ン との 間 の 条 約 乃 至 法 律 を解 釈 す る に際 して 、 か か るイ ンデ ィ ア ン の主 権 問 題 を 背景 に判 断 を下 して い る。 例 えば 、
OklahomaTaxCommlnv.Sac&FoxNationで 、 イ ンデ ィア ンの主 権 原 理 は、 歴 史 的 に州 法 に 部 族 の境 界 内 に何 等 の 役 割 を 与 え る もの で は な い が 、 裁 判 所 が 条 約 及 び連 邦 法 律 を審 理 しな け れ ば な らな い範 囲 内 で の コ ン テ キ ス トを
N,
提 供 す る と述 べ 、McClanahanv.ArizonaStateTaxCommlnで 、イ ン デ ィ ア ン の 主 権 原 理 は 、 限 定 的 で は な く、 む し ろ 条 約 及 び 法 律 を 解 釈 す る に 際 し て
SG)
は 相 対 的 な考 察 要 因 で あ る と判 示 して い る。 か か る観 点 か ら、最 高 裁 は 固 有 の
部 族 主権 に付 随 す る事 項 と して 、① 部 族 の 内部 的 、社 会 的 関 係 を規 制 す る権 限 、
② 訴 訟 の主 権 免 除(sovereignimmunity)、 ③ 共 同体 の法 を規 定 し、 当該 法 を部
89)90)
族 構 成 員 に強 制 す る権 限 、 ④ 部 族 の 当 該 構 成 員 を訴 追 す る権 限 を 認 めて い る。
従 って 、 イ ンデ ィ ア ン部 族 の 自治 に関 す る固 有 の権 限 は、 司 法 上 の 権 利 消 滅 条 項(judicialdefeasance)1こ は服 さず 、 合衆 国議 会 が条 約 若 し くは法 律 に よ っ
9q
て 明 白 に制 限 し、 或 い は 剥 奪 しな い 限 り保 有 され る と解 され る。
(イ)イ ンデ ィ ア ン問 題 に対 す る連 邦 の無 条 件 の権 限
イ ンデ ィ ア ン部 族 の主 権 及 び 自 治 権 は、 議 会 の 広 範 な 規 制 権 限及 び 修 正 権 限 に服 す る とさ れ る。 合 衆 国最 高 裁 は、1978年 判 決 のSantaClaraPueblov.
sz)
Martinezで 、 合 衆 国 憲 法 以 前 か ら存 在 す る別 個 の主 権 者 と して 部 族 は歴 史 的 に 連 邦 並 び に州 の権 限 を明 確 に定 め た 憲 法 の 諸 規 定 に よ っ て制 約 さ れ る も の とは
/42 1
見 倣 され な か っ た こ と を認 め た 上 で 、合 衆 国 議 会 の 広 範 な 規 制 権 限 及 び修 正権 限 は、 合 衆 国 議 会 が イ ン デ ィア ン、 イ ンデ ィ ア ン部 族 の 関 係 並 び にイ ン デ ィ ア
ン部 族 の 財 産 に 対 す る排 他 的権 限 を有 す る無 条 件 の(plenary)権 限 で あ る こ と
93)
を認 め て い る。 しか し、 か か る無 条 件 の 権 限(PlenaryPower)の 正 当性 に つ い て は、 その 根 拠 と範 囲 につ い て問 題 が生 ず る と こ ろで あ るが 、合 衆 国 最 高 裁 は、
い ず れ もイ ンデ ィ ア ン法 史 に お い て は必 ず 言 及 され る諸 事 件 で あ るが 、Morton
94)
v.Mancariで は 、 無条 件 の 権 限 の 根 拠 を イ ンデ ィア ン との 条 約 史 及 び合 衆 国 と
95)9G)
の か れ らの 後 見 関 係(guardianship)に 求 め て い る。Wintonv,Amosで は、
合 衆 国 議 会 は イ ンデ ィ ア ン の 合 衆 国 政 府 との 従 属 的 関 係 の 故 に部 族 財 産 問 題 を
97)98)
規 制 す る無 条 件 の 権 限 を 有 す る と判 示 し、Taltonv.Mayesで は 、 部 族 主 権 は
「合 衆 国 の 最 高 の 立 法 権 限 」(supremelegislativeauthority)に 服 す る と判 示 し
99)
て い る 。
しゆ
更 に 、 最 高 裁 は 、UnitedStatesv.Kagamaで 、 無 条 件 の 権 限 は 「こ れ ま で ど こ に も 存 在 し な か っ た(neverhasexistedanywhereelse)」 が 故 に 合 衆 国
ioqio2)
議 会 に あ る と判 示 し 、 ま たLoneWolfv,Hitchcockで 、 無 条 件 の 権 限 は 「当
IOJ)
初 か ら(fromthebeginning)合 衆 国 議 会 に よっ て 行使 され て きた 」 と判 示 し、
そ の正 当化 を試 み て い る 。
最 高 裁 の 採 る解 釈 に従 う と して も、 イ ン デ ィア ン問 題 に 関 す る合 衆 国 議 会 の 無 条 件 の権 限 の 実 存 は、 曖 昧 模 糊 と した 概 念 で あ っ て 、 合 衆 国 議 会 の 活 動 が 破
ラ
壊 的 な若 し くは 有 害 な効 果 を部 族 に 齎 す場 合 、 常 に部 族 と対 峙 す る こ とに な る。
(ウ)イ ンデ ィ ア ン領 土 に対 す る州 の制 限 され た権 限
105)
合 衆 国最 高 裁 は、1832年 のWorcesterv.Georgiaで 、合 衆 国 とイ ンデ ィ ァ ン との 間 の 全 て の 交 渉 は 、 憲 法 及 び 法 律 上 、 合 衆 国 政 府 に付 与 され て お り、 条 約 に合 致 す る場 合 及 び連 邦 法 に よ る場 合 を 除 い て 州 法 は その 効 力 を有 さな い と
ロ
判 示 し た 。 例 え ば 、 合 衆 国 最 高 裁 は 、 公 法 第280号 の 解 釈 を め ぐ っ てCalifornia
v.CabazonBandofMissionIndianzで 、公 法 第280条 は合 衆 国議 会 に よ っ て 明 白 に表 明 され た 同意 が 賭 博 条 例 に付 与 され た もの で あ る とす る州 の主 張 を
108)109)
斥 け 、Bryanv.ItascaCountyで は 、 公 法 第280号 が 州 に 保 留 地 へ の 当 該 州 の 一 般 的 な 民 事 事 項 に 対 す る 規 制 権 限 を 付 与 し て い る と す る な ら ば、 合 衆 国 議 会 は 「明 確 に そ の 旨 を 表 明 した は ず で あ る(wouldhaveexpresslysaidso)」 と
ア メ リカ ・イ ン デ ィア ン法 研 究 序説(五)i43
un)
判 示 して い る。 従 っ て 、1832年 判 決 は 明 白 に は 覆 さ れ て は い な い が 、 一 方 で 、 最 高 裁 は 、 州 が イ ン デ ィ ア ンの 領 土 へ の 一 定 の権 限 を行 使 し得 る こ とも ま た認 めて い る。 コ ロ ラ ド州 の地 理 的 境 界 内 の ウ ー ト保 留 地 で の 白人 に よ る 白人 殺 害 の刑 事 管 轄 権 が コ ロ ラ ド地 区 合 衆 国巡 回 区 裁 判 所 に帰 属 す るか 否 か が 争 わ れ た
uq
UnitedStatesv.McBratneyで 、1882年 、 合 衆 国 最 高 裁 は 、 「コ ロ ラ ド州 は 、 連 邦 加 入 に よ っ て 当 初 の 州 と同 様 に 、 ウ ー ト ・イ ン デ ィ ア ン(theUteIndians)
との 条 約 並 び に 準 州 政 府 を 設 立 し た 法 律 で 規 定 さ れ た 例 外 を 除 い て 、 ウ ー ト保 留 地 を 含 む 全 て の 境 界 内 の 州 民 及 び そ の 他 の 白 人 に 対 す る 刑 箏 管 轄 権 を 取 得 し た の で あ っ て 、 当 該 保 留 地 は も は や 合 衆 国 の 独 占 的 且 つ 排 他 的 管 轄 権(soleand exclusivejurisdiction)は 及 ぼ な い 。 そ れ 故 に 、 合 衆 国 裁 判 所 は 、 今 だ 有 効 で あ る ウ ー ト ・イ ン デ ィ ア ン と の 条 約 の 例 外 規 定 を 執 行 す る 必 要 が な い 限 り、 当 該
ii2)
保 留 地 内 の 犯 罪 を 処 罰 す る 管 轄 権 を 持 つ も の で は な い 。」 と判 示 して い る 。 1832年 判 決 以 降 の 諸 判 例 は 、 イ ン デ ィ ア ン の 土 地 に 対 す る 州 の 管 轄 権 が 如 何 な る 程 度 及 ぶ か を 決 定 す る に 際 し て 、 判 断 基 準 を 修 正 し て き て い る 。 例 え ば 、 1903年 改 正 連 邦 法(32Stat.1009,25U,S.C.§262)の 規 定 に 従 っ て 許 可 を 得 て ア リ ゾ ナ 州 の ナ ヴ ァ ホ ・イ ン デ ィ ア ン保 留 地 で 雑 貨 商 を 経 営 して い る 非 イ ン デ ィ ア ン が 、 当 該 保 留 地 に 居 住 す る ナ ヴ ァ ホ ・イ ン デ ィ ア ン と そ の 妻 を 相 手 に ア リ ゾ ナ 州 上 位 裁 判 所(theSuperiorCourtofArizona)に 彼 ら に 掛 売 り販 売
113)
商 品 の 集金 を 求 め て 出訴 した1959年 のWilliamv.Leeで 、合 衆 国最 高 裁 は、 ア リゾ ナ州 裁 判 所 は イ ン デ ィ ア ン保 留 地 内 で 行 わ れ る行 為 を原 因 とす るイ ン デ ィ ア ン に対 す る非 イ ンデ ィ ア ンの 民 事 訴 訟 に 管 轄 権 を 行 使 し得 な い と した 。 す な わ ち 、 最 高 裁 は、 州 に 権 限 を 付 与 す る法 律 が 存 在 しな い場 合 、 問 題 は 「州 の 行 為 が 保 留 地 の イ ン デ ィ ア ン が 有 す る 自 らの 法 を制 定 し且 つ 当 該 法 に よっ て 支 配 され る権 利 を 侵 害 す るか 否 か 」 に あ り、 合 衆 国 議 会 が イ ン デ ィ ア ン に対 す る民 事 並 び の刑 事 管 轄 権 の 行 使 を 州 に 望 ん だ場 合 、 二 ー ヨ ー ク 州 に民 嘉 並 び に刑 事 管轄 権 を連 邦 法 で認 め た よ うに(62Stat.1224,64Stat.845,25U.S.C.§ § 232,233)、 合 衆 国 議 会 は明 白 にWorcesterv.Georgiaで 否 定 した 管轄 権 を諸 州 に 認 め て きて い る とす る。 そ して 、 州 は 「本 質 的 な イ ン デ ィ ア ン関 係 が含 ま れ ず 、 且 つ イ ンデ ィ ア ンの 諸 権 利 が 危 険 に 晒 され な い場 合 」 に 限 って 管 轄 権 を
114)
有 す る と判 示 して い る。
144
115) しか しな が ら、 最 高 裁 は 、1973年 のMcClanahanv.StateTaxComm'n
で 、 連 邦 法 若 し くは条 約 が イ ンデ ィ ア ン の 領 土 に 対 す る権 限 を前 も っ て 規 律 (preempt)し て い な い限 り、 州 が 当 該 規 制 権 限 を 有 す る とす る変 則 的 な準 則 へ と移 行 して い くの で あ る(先 制規律 テス ト(preemptiontest))。 本 件 に お いて 、 ア リゾ ナ 州 の ナ ヴ ァ ホ ・イ ンデ ィ ア ン保 留 地 内 の 土 地 に居 住 す る ナ ヴ ァ ホ部 族 の 女 性 の登 録 成 員 は 、1967年 の 全 収 入 を 当該 保 留 地 か ら得 て い た 。 ア リゾ ナ 州 歳 入 法 典(Ariz,Rev.Stat.Ann.)第43‑188条 に従 って 、16.20ド ル が 当 該 年 度 の た め に彼 女 の賃 金 か ら州 の 所 得 税 と して 源 泉 徴 収 さ れ た 。 租 税 年 度 の 終 わ り
に当 た っ て収 入 に 対 す る課 税 に抗 議 し、源 泉 徴 収 され た全 額 の返 済 を求 めた が 、 何 等 の行 動 も執 られ なか っ た の で 、 ア リ ゾ ナ州 上 訴 裁 判 所 に 州 の 課 税 は保 留地 の イ ン デ ィ ア ン に適 用 さ れ た 場 合 、 無 効 で あ る と して 訴 訟 を 提 起 した 。 合 衆 国 最 高 裁 は、 上 記Williamv.Leeを 踏 襲 した後 、 「〔判例 の〕傾 向 は、 州 管 轄 権 の 障 壁 と して の 固 有 の イ ン デ ィ ア ン主 権 の 観 念 か ら離 れ 、 連 邦 の 先 制 規 律 へ の依 存(relianceonfederalpre‑emption)の 方 向 へ 向 か っ て い る。 … … 従 っ て 、 近 時 の諸 判 例 は 、部 族 主 権 とい う非 実 行 的 観 念 へ の 依 存 を 回 避 し、代 わ りに 州 権 限 の 制 限 を規 定 す る準 拠 条 約 並 び に準 拠 法 の 精 査 に 向 け られ て い る。」 と判 決
の
を下 して い る。
そ の後 の 最 高 裁 判 例 は確 固 た る原 理 乃 至 原 則 に 従 っ て結 論 を導 い て い る とは
ロ
必 ず し も言 えず 、特 に近 時 の 判 例 は 、部 族 の利 益 よ り も州 の 利 益 を優 先 させ る
ラ
傾 向 に あ り、 この こ とは 、最 高 裁 が 「連 邦 制 度 に お け る部 族 政 府 の優 越 的 地 位 を確 信 して こな か っ た こ と、 及 び部 族 政 府 の権 限 と管 轄 権 につ い て 憲 法 上 の 枠
ns>
組 み を確 認 しそ こな っ た 」 こ とを意 味 す る と論 者 に よ っ て 主 張 さ れ る。
(エ)連 邦 の信 託 責 任
合 衆 国最 高 裁 判 所 は、1831年 、 チ ェ ロ キー 族 の族 長 た ちが ジ ョー ジ ア州 法 の イ ン デ ィ ア ンの領 土 へ の執 行 を防 止 す るた め差 止 命 令(injunction)を 求 め て 出
izo>
訴 したCherokeeNationv.Georgiaで 、 連 邦 政 府 とイ ン デ ィ ア ン 部 族 の 間 に は 特 別 の 信 託 関 係 に あ る と判 示 し て 以 来 、 継 続 的 に か か る 両 者 の 関 係 を 認 め て
121)
き て お り、 例 え ば1983年 のUnitedStatesv.Mitchellで は 、 合 衆 国 政 府 の イ ン デ ィ ア ン に 所 属 す る 森 林 及 び 財 産 に 対 す る 管 理 は 信 認 関 係(fiduciary relationship)を 作 り 出 し 、 合 衆 国 が ク ィ ナ ー ル ト ・イ ン デ ィ ア ン(Quinault
ア メ リ カ ・イ ン デ ィ ア ン 法 研 究 序 説(:LL) /4S
Indian)の 保 留 地 内で の 森 林 資 源 を適 切 に管 理 す る信 託 査 任 を履 行 しなか った 場
izz)
合 、 金 銭 賠 償 の 責 を 負 う と判 示 して い る。 また 、 合 衆 国議 会 も然 りで あ り、 例 え ば1993年12月3日 制 定 の 「部 族 司 法制 度 の 発展 を援 助 し及 び そ の他 の 目的 の
ロロ
法 律 」 第2条 第2号 は 、 「合 衆 国 議 会 は、 合 衆 国 が 各 々 の 部 族 政 府 の主 権 の保 護 を含 む各 々 の 部 族 政 府 に対 す る信 託 責任 を有 す る こ とを認 定 し、 及 び宣 言 す る。」
と規 定 して い る。
合 衆 国 は イ ンデ ィア ン ・ネ ー シ ョ ンを保 護 し、 か れ らの最 善 の利 益(thebest interest)の た め に 活動 す べ きで あ る とす る信 託 責 任 は、 イ ンデ ィアン法 に とっ て 本 質 的 な も の で あ るが 、 そ の 複 雑 な側 面 を も有 して い る。 信 託 責 任 は 、論理 的 に は、 イ ン デ ィ ア ン部 族 の 自治 に とっ て 否 定 的 な 法 律 を制 定 す る合 衆 国 議 会 の権 能 と不 当 に イ ンデ ィ ア ン の 利 益 に反 す る行 動 を執 る行 政 機 関 の そ れ を 精 査 す る機 能 を果 た す べ きで あ る。
F・ コ ーエ ンは 、連 邦 の 信 託 責任 は、行 政 機 関 の活 動 に厳 格 な 信 認 基 準(fiduciary standard)一 合 衆 国議 会 が無 条 件 の権 限 を行 使 す るに 際 して か か る基 準 か らの 逸 脱 を 明 白 に認 め な い 限 り 一 を課 す 。 信 託 責 任 は合 衆 国 を拘 束 す るの で あ っ て 、 か か る行 為 基 準 は 、 イ ン デ ィ ア ン問 題 に 関 して 特 別 の 制 定 法 上 の 責 任 を 有 す る イ ン デ ィ ア ン問 題 局 とい った 行 政 機 関 の み な らず 、 イ ンデ ィ ア ンを 処 理 す る全 て の 行 政 機 関 を抑 制 す る もの と考 え られ る。 更 に、 信 認 義 務 は 、特 別の配 慮 が 運 邦 の 行 政 機 関 に よ っ て イ ン デ ィ ア ンの 手 続 上 の 権 利 に 与 え ら れ る こ とを
I'24)
要 請 す る と述 べ て い る。 しか し、 イ ン デ ィ ア ン部 族 は 、 信 託 責 任 を履 行 して い な い と思 わ れ る合 衆 国 議 会 若 し くは そ の他 の 連 邦 の 行為 に対 して 、司法上 審理
125)
さ れ る べ き 防 御 網 と し て 信 託 責 任 に 訴 え て い な い と 思 わ れ る 。 (d)1970年 改 正
公 法 第280号 は 、1954年 改 正(Aug.24,1954,c.910,§1,68Stat.795)、1958
年 改 正(Aug.8,且958,Pub.L.85‑615,§1,72Stat.545)、 そ し て1970年11月
126)
25日 の最 終 改 正 を経 て 、 刑 事 管 轄 権 規 定 に つ いて は合 衆 国 法 律 集 第18編 第ll62 条 に、 民 躯 管 轄 権 規 定 につ いて は合 衆 国 法 律 集 第28編 第1360条 に 法 典 化 され て い る。 そ れ ぞ れ の現 行 規 定 は 、 以 下 の とお りで あ る。
146
◇ 合 衆 国法 律 集 第18編 第ll62条 〈イ ンデ ィ ア ンの 土 地 内 で イ ンデ ィア ンに よ っ て若 し くは イ ンデ ィア ンに 対 して実 行 さ れ た 犯 罪 に 対 す る州 管 轄 権 〉
(a)以 下 の 表 に記 載 され た 各 々 の 州 又 は 準 州 は、 州 若 し くは 準 州 の 向 か い に 記載 され た イ ンデ ィア ンの土 地 の領 域 内 で イ ンデ ィア ンに よっ て又 は イ ンデ ィ ア ン に対 して 実 行 さ れ た 犯 罪 に 対 す る管 轄 権 を 当該 州 内 で 実 行 され た犯 罪 に 対 して州 又 は準 州 が 有 す る管 轄 権 と同 じ程 度 に お い て 有 す る もの と し、 当 該 州 の 若 し くは準 州 の 刑 法 は 当該 刑 法 が 州 内 又 は準 州 内 で 有 す る と同 じ効 力 と 効 果 を イ ンデ ィ ア ンの 土 地 内 で 有 す る もの とす る:
州 又 は準州 適用 され るイ ンデ ィア ンの土 地
ア ラス カ 州 管 轄 権 が 行 使 され て こな か っ た イ ン デ ィ ア ンの 土 地 で イ ン デ ィ ア ン部 族 に よ っ て管 轄 権 が 行 使 され る
と同様 の 方 法 で イ ン デ ィ ア ン に よ っ て 実 行 され た犯 罪 に 対 して メ トラ カ トラ ・イ ン デ ィ ア ン共 同 体 が 管 轄 権 を行 使 し得 る ア ネ ッ ト島 を除 く州 内 の全 て の イ
ンデ ィ ア ン の 土 地
カ リ フ ォル ニ ア 州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
ミネ ソ タ レ ッ ド ・レー ク保 留 地 を 除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
ネ ブ ラス カ 州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
オ レ ゴ ン ウ ォー ム ・ス プ リン グ ス 保 留 地 を 除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
ウ ィス コ ン シ ン… … … 州 内 の 全 て の イ ン デ ィア ンの 土 地
(b)本 条 の い か な る規 定 も、 合 衆 国 に よ っ て信 託 に付 され 若 し くは 合 衆 国 に よ っ て課 され た譲 渡 に対 す る制 限 に服 して い る個 々 の イ ンデ ィ ア ン、 部 族 、 バ ン ド又 は 団体 に帰 属 す る水 利 権 を含 めて 、動 産 又 は不 動 産 の 譲 渡 、 負 担 若 し くは 課 税 を公 認 す る もの で は な く、 若 し くは 全 て の連 邦 条 約 、協 定 又 は 法 律 若 し くは これ らの 規 定 に 従 っ て為 され た 全 て の 規 制 と矛 盾 す る方 法 で 当該 財 産 の 使 用 を規 制 す る こ と を公 認 す る も の で は な い。 また 若 し くは 、 個 々 の イ ンデ ィ ァ ン、 イ ン デ ィ ァ ン部 族 、 バ ン ド若 し くは共 同 体 か ら狩 猟 、 トラ ッ
ア メ リカ ・イ ン デ ィア ン法研 究 序説(五) /47
ピ ン グ又 は漁 掛 若 し くは そ れ らの統 制 、 免 許 又 は 規 制 に 関 す る連 邦 条 約 、 協 定 又 は 法 律 に よ って 付 与 され た 全 て の権 利 、 特 権 又 は免 除 を 剥 奪 す る も の で
は な い 。
(c)本 章 第ll52条 〔犯 罪の処罰 に関 す る連邦 法の適用規 定〕並 び に第ll53条 〔イ ンデ ィァ ンの領 土 内で実 行 され た犯罪 規定 〕 は、 本 条 第a項 の 表 に記 載 され た イ ン デ ィ ア ン の領 土 内 で は 、複 数 の州 が排 他 的 管 轄 権 を有 す る地 域 と して 、適 用 され な い もの とす る。
◇ 合 衆 国 法律 集 第28編 第1360条 〈イ ンデ ィ ア ンが 当 事 者 で あ る訴 訟 に お け る 州 の 民 事 管 轄 権 〉
(a)以 下 の 表 に記 載 され た各 々 の 州 は 、 州 の 向 か い に記 載 さ れ た イ ンデ ィ ァ ンの 土 地 の領 域 内 で 生 ず る イ ンデ ィ ア ンの 間 の行 為 の 民 事 訴 訟 に関 す る管 轄 権 又 は イ ンデ ィ ア ンが 当 事 者 で あ る民 事 訴 訟 に関 す る管 轄 権 を 、 当 該 州 が 他 の 民 事 訴 訟 に対 して 有 す る管 轄 権 と同 じ程 度 に お い て 有 す る もの と し、 私 人 若 し くは私 有 財 産 に 一 般 的 に適 用 され る 当該 州 の 民 事 法 は 当該 民 事 法 が 州 内 で 有 す る と同 じ効 力 と効 果 を イ ンデ ィ ア ンの 土 地 内 で 有 す る もの とす る:
州 適用 され るイ ンデ ィア ンの土地
ア ラ ス カ 州 内 の全 て の イ ンデ ィ ア ンの 土 地 カ リフ ォ ル ニ ア … … … 州 内 の全 て の イ ンデ ィ ア ン の 土地
ミネ ソ タ レ ッ ド ・レー ク保 留 地 を除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
ネ ブ ラ ス カ 州 内 の全 て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
オ レ ゴ ン ウ ォ ー ム ・ス プ リン グス 保 留 地 を 除 く州 内 の 全 て の イ ン デ ィ ア ンの 土 地
ウ ィ ス コ ン シ ン… … … 州 内 の す べ て の イ ン デ ィ ア ン の土 地
(b)本 条 の いか な る規 定 も、 合 衆 国 に よ って 信 託 に付 され 若 し くは合 衆 国 に よ っ て課 され た譲 渡 に対 す る制 限 に服 して い る個 々 の イ ンデ ィ ア ン、部 族 、 バ ン ド又 は 団 体 に帰 属 す る水 利 権 を含 め て 、 動 産 又 は 不 動 産 の 譲 渡 、負担若 し くは課 税 を公 認 す る も の で はな く、 若 し くは全 て の 連 邦 条 約 、 協 定 又 は 法 律 若 し くは これ らの規 定 に従 って 為 さ れ た 全 て の規 制 と矛 盾 す る方 法 で 当 該 財 産 の 使 用 を 規 制 す る こ とを公 認 す る もの で は な い。 また 若 し くは、 検 認 手
i48
続 若 し くは そ の他 に お い て 当 該 財 産 の 所 有 権 又 は 占有 権 若 し くは それ らに備 わ る全 て の権 利 を裁 判 す る管 轄 権 を 州 に付 与 す る もの で は な い 。
(c)イ ン デ ィ ア ンの 部 族 、 バ ン ド又 は 共 同体 に お い て 以 前 若 し くは 以後 に採 択 さ れ た 全 て の 部 族 の条 例 又 は慣 習 は、 イ ンデ ィ ア ンの 部 族 、 バ ン ド又 は共 同体 が所 持 し得 る権 限 を行 使 す るに 際 して 、 州 の 適 用 され る民 事 法 に矛 盾 し な い 限 り本 条 に従 っ て提 起 され た 民 事 訴 訟 の 決 定 に お い て 完 全 な 効 力 並 び に
1'L7)
効 果 を有 す る もの とす る。
(e)公 法 第280号 を め ぐ る 二 つ の 合 衆 国 最 高 裁 判 決
部 族 の管 轄 権 へ の公 法 第280号 の影 響 を特 に明 らか に した最 高 裁 判 決 は、 筆 者 の 知 る限 りで は 見 出 し得 な いが 、 以 下 に論 及 す る二 つ の 合 衆 国最 高 裁 判 決 は、
優 れ て 、同 法 廷 が 、公 法 第280号 はイ ンデ ィ ア ンの権 利 一 判 決 文 中 に は イ ン デ ィ ア ンの 主 権 及 び イ ン デ ィ ア ン の 自治 へ の 敬 譲 と して現 れ て い る 一 を剥 奪 す る もの で は な い こ とに対 して 支 持 す る立 場 を表 明 した もの で あ る と捉 え る こ とが で き るで あ ろ う。
1'Lfl) (ア)Bryanv.ItascaCounty
〈事 実 の 概 要 〉
ミネ ソ タ ・チ パ ワ 部 族(内 務 長 官 に よ っ て 承 認 さ れ た 連 邦 公 認 の 部 族 。 保 留 地 は、
1855年2月22EI条 約(10Stat.ll65)に よ っ て設 立 され て い る。)の 成 員 に 登 録 さ れ て い る 本 件 上 訴 人 ラ ッ セ ル ・ブ ラ イ ア ン(RussellBryan)は 、 ミ ネ ソ タ 州 リ ー チ ・ レ イ ク保 留 地(theLeechLakeReservation)の チ ペ ワ 部 族 の た め に 合 衆 国 に よ っ て 信 託 さ れ た 土 地 で 移 動 住 宅 の 生 活 を して い た が 、1972年6月 、 本 件 被 上 訴 人 ミ ネ ソ タ 州 イ タ ス カ 郡 会 計 検 査 官 か ら総 額147.95ド ル の 移 動 住 宅 に 対 す る 動 産 税 を 課 す 旨 の 通 知 を 受 け 取 っ た 。1972年9月 、 本 件 上 訴 人 は 、 州 及 び 郡 は 保 留 地 に 居 住 す る イ ン デ ィ ア ン の 動 産 に 対 し て 課 税 権 限 を 持 た ず 、 当 該 課 税 は 連 邦 法 に 反 す る と主 張 して 、 ミ ネ ソ タ 州 地 方 裁 判 所 に 宣 言 的 判 決 を 求 め て 出 訴 し た 。 州 地 方 裁 判 所 は 、 上 訴 人 人 の 主 張 を 避 け 、 州 最 高 裁 判 所 も こ れ を 容 認 した(228N.W.2d249(1975)。)。 サ ー シ オ レ イ ラ イ が 認 め られ(423U.S.923 (1975)。)、 最 高 裁 は 、 原 判 決 を 破 棄 し た 。 ブ レ ナ ン 判 事 が 、 法 廷 意 見 を 執 筆 して い る。
アメ リカ ・イ ンデ ィ ア ン法研 究 序 説(五) i49
〈判 旨〉
①MescaleroApacheTribev.Jones(411U.S.145(1973),)で 、 当法 廷 は 、 保 留 地 に 住 む イ ン デ ィ ア ン の 保 留 地 内 で の み 働 い て 得 た 収 入 に 州 が 所 得 税
(incometax)を 賦 課 し得 る 旨の 合 衆 国議 会 の 同意(consent)が な い場 合 、 ア リゾ ナ州 は課 税 権 限 を持 た な い と判 示 した。 また 、 当 法 廷 は、Moev.Salish&
KootenaiTribes(425U.S.463(1976).)で 、州 に対 す る民 事管 轄 権 の承 認(grant) が公 法 第280号 第4条 に よっ て授 与 され た か 否 か は 、課 税 が 法律 の 文 言 に よ って 明 白 に排 除 され て い る場 合 を 除 き、 保 留 地 の イ ン デ ィ ア ン に課 税 し得 る州 の 権 限 に 合 衆 国 議 会 の 承 認 が あ るか 否 か に 依 拠 す る と判 示 したMcClanahanv.
ArizonaStateTaxComm'n(411U.S.164(1973).)に 従 っ て 、合 衆 国 議 会 の 同 意 が 存 在 しな い場 合 、 州 は 、保 留 地 内 に 居 住 す る部 族 の 成 員 が 保 有 す る 自動 車 両 に対 す る動 産 税 、保 留 地 の 土 地 上 の部 族 に対 して 営 業 を行 う保 留 地 の イ ン デ ィ ア ン に適 用 さ れ る売 主 特 許 権 使 用 料(licensefee)若 し くは イ ン デ ィ ア ン に対 す るイ ンデ ィ ア ン に よ る保 留地 の上 で の販 売 に適 用 され る物 品販 売税(sales tax)を 課 し得 な い と判 示 した 。 従 って 、McClanahan件 判 決 及 びMoe件 判 決 は、 被 上 訴 人 た る郡 に対 して 合 衆 国議 会 の 同意 が な い場 合 、 本 件 上 訴 人 の 移 動 住 宅 に 動 産 税 を賦 課 す る如 何 な る権 限 を も排 除 す る の で あ る。 そ れ 故 、 当 法廷 が為 す べ き こ とは、 公 法 第280条 第4条 が か か る 同意 を構 成 して い るか 否 か を判 断 す る に あ る。
② 本 件 法 律 は、 明 確 に州 の租 税 法 が 同 法 第4条 第a項 に い う 「私 人 若 し くは私 有 財 産 ヘ ー 般 的 に適 用 さ れ る… … 民 事 法 」 の 範 躊 に 入 る とは規 定 して い な い。
しか し、 ミネ ソ タ州 最 高 裁 は、 第4条 第a項 が課 税 権 限 の一 般 的承 認 と解 さ れ な い限 り、 第4条 第b項 に含 まれ れ る例 外 は存 在 しな い権 限(nonexistentpower) に対 す る制 限 で あ って 、 公 法 第280号 は課 税 権 限 に対 す る明 白 な承 認 で あ る と判 決 を下 して い る(228N.W.2d,at256)。 当法 廷 は 、 これ に 同 意 す る もの で は な いの で あ って 、 州 最 高 裁 の結 論 は、 公 法 第280号 の立 法 史 並 び に イ ンデ ィァ ンの 免 除 を 終 結 させ るた め に 主 張 さ れ た 議 会 法 に適 用 さ れ る解 釈 原 則(canonsof construction)の 適 用 に よ っ て排 除 され る。 公 法 第280号 の ま ば らな立 法 史 か ら 明 らか に な る 当該 法 律 を制 定 す る に 当 た って の合 衆 国 議 会 の 主 た る関 心 事 は 、 一 定 の イ ン デ ィ ア ン保 留 地 の 法 の 欠鉄 問 題 で あ り、 法 執 行 の た め に適 切 な部 族
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制 度 が 存 在 し な い こ と に あ っ た 。 つ ま り、 第83会 議 第1会 期 に お け る 下 院 議 事 録(H.R.:Rep,No.843,83dCong.,lstSess.,5‑6(1953).)を 見 て も 、 合 衆 国 議 会 が 州 に 保 留 地 の イ ン デ ィ ア ン 若 し く は イ ン デ ィ ア ン 所 有 財 産 に 課 税 す る 権 限 を 付 与 す る 意 図 を 持 っ て い た こ と に つ い て の 言 及 が ま っ た く為 さ れ て は い な い の で あ る 。 ま た 、 上 下 両 院 の 委 員 会 報 告 書 の み な ら ず 議 場 討 論 に も 、 そ れ を 裏 づ け る 証 拠 を 見 出 す こ と が で き な い(99Cong.Rec.9962,10782‑10784,10928
(1953).)0
ま ば ら な 同 法 第4条 の 立 法 史 を 最 大 限 、 繋 ぎ 合 わ せ る に 、 第4条 第a項 は 、 主 と し て 、 保 留 地 の イ ン デ ィ ア ン 間 の 及 び イ ン デ ィ ア ン と他 の 市 民 間 の 私 的 な 法 的 紛 争 を 解 決 す る た め に 、 州 の 裁 判 所 に 当 該 紛 争 を 判 断 す る こ と を 許 す こ と に よ っ て 、 適 切 な イ ン デ ィ ア ン の 法 廷 の 不 存 在 を 是 正 す る こ と を 意 図 し て い る と 考 え 得 る 。 更 に 、 一 定 の 部 族 の 保 留 地 は 、 完 全 に 公 法 第280号 の 適 用 を 免 除 さ れ て い る の で あ る 。 蓋 し、 各 々 の そ れ は 、 合 理 的 に 満 足 の い く方 法 で 機 能 す る 「部 族 の 法 と秩 序 維 持 の 機 構 」 を 有 して い た か ら で あ る(H.RRep.No.848,p。7,
U.S.CodeCong。&Admin。Newsl953,p.2413)。 こ の こ とは 、合 衆 国 議 会 が 、 明 ら か に 、 上 記 の よ う に 部 族 が 組 織 化 さ れ て い な い 場 合 に の み 保 留 地 内 で 生 じ た 刑 事 及 び 民 事 事 件 を 判 断 す る た め の 州 裁 判 所 を 認 め た こ と を 意 味 す る の で あ る 。 従 っ て 、 ミネ ソ タ 州 最 高 裁 に よ る第4条 第a項 の 拡 大 解 釈 よ り も 、 当 法 廷 の 当 該 条 項 の 解 釈 が 議 会 の 明 ら か な 意 図 と よ り合 致 し、 当 法 廷 の 先 例 に 一 致 す る
も の と考 え ら れ る(Kennerlyv.DistrictCourtofMontana,400U,S。423,427 (1971);WarrenTradingPostv.ArizonaTaxComm'n,380U.S.685,687n.3
izs)
(1965);MenomineeTribev.UnitedStates,391U.S.404,416n.8(1968).)0
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(イ)Californiav.CabazonBandofMissionIndians
〈事 実 の 概 要 〉
連 邦 公 認 の イ ン デ ィ ア ン 部 族 で あ る ミ ッ シ ョ ン ・イ ン デ ィ ア ン の カ バ ゾ ン 及 び モ ロ ン ゴ ・バ ン ド(CabazonandMorongoBand)は 、 カ リ フ ォ ル ニ ァ 州 リ バ ー サ イ ド郡 に 居 留 地 を 構 え 、 各 々 の バ ン ド は 内 務 長 官 に よ っ て 承 認 さ れ た 条 例 に 従 っ て 当 該 居 留 地 で ビ ン ゴ ゲ ー ム(bingogames)を 行 っ て い る 。 カ バ ゾ ン ・ バ ン ド は ま た 、 ドロ ー ポ ー カ ー や そ の 他 の カ ー ドゲ ー ム が 行 わ れ る カ ー ド ク ラ
ブ を 開 い 七 き て い る 。 カ バ ゾ ン保 留 地 は 、 初 め は1876年5月15日 の 行 政 命 令 に