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学説彙纂第四六巻第一章−保証及び委任についてー

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(1)

学説彙纂第四六巻第一章−保証及び委任についてー

保証概念の比較法的考察に向けて

遠 藤   歩

一 序

 平成一五年の抵当権法改正︵法第二二四号︶および同一六年の保証法改正︵法第一四七号︶と︑近時︑債権担保法

の領域で︑重要な法改正−特別法の制定ではなく︑民法典自体の改正1が相次いだ︒執行妨害排除を通じた不良債権

処理の加速や︑保証に過度に依存しない金融システムの構築などが︑改正の趣旨といわれる︒しかし︑右の改正が︑

抵当権︑保証といった法概念の内容を精確に吟味し︑それに修正を加えるといった過程を経てなさたものであるかに

ついは︑大いに疑問がある︒周知のように︑我国の民法解釈学には︑歴史的あるいは経済的な社会分析を経た上で︑        ︵1︶ 法概念を吟味析出し︑あるべき解釈論を提示してきた学問的伝統がある︒ところが︑今回の改正作業では︑この種の

︵1︶ 貴重な諸論考は枚挙にいとまがないが︑特に︑我妻榮﹃近代法における債権の優越的地位﹄︵有斐閣︑一九五三年︶︑川島

 武宜﹃所有権法の理論︵新版︶﹄︵岩波書店︑一九八七年︶︒

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶   一

(2)

学問的営みを経たところの︑現代日本に相応しい抵当権概念あるいは保証概念が構築された形跡は見当たらない︒む        ︵2︶ しろ︑短期的な政策判断を先行させたようにも見受けられるのである︒もし︑法改正が前提とした政策が的を射てい        ︵3︶ なければ︑改正作業の結果が制定法という形で規範性の衣をまとったことにより︑実質的意義における民法が︑法概

念を通じて体現しようとした︑あるいは現代社会において適切に体現すべき諸価値が︑条文解釈という名で︑侵害の

危険にさらされていることになろう︒改正が民法典の改正である限り︑その危険性は極めて高い︒

 また︑改正法における保証の個別問題への対処に目を転じても︑例えば︑貸金等根保証債務の相続性を一律に否定

する一方で︵第四六五条の四 第三号︶︑それ以外の限定根保証債務の相続性を肯定する解釈は︑これを是認せざる

を得ない結果︵大審院昭和一〇年三月二二日法学四巻一一号一〇一頁︑最高裁昭和三七年一一月九日民集一六巻一一

号二二七〇頁参照︶︑債務者への融資円滑の要請がより高い貸金等根保証契約における方が︑保証人死亡時の融資打

ち切りの危険が大きいとの倒錯を生ぜしめている︒また︑債権者が極度額を予め高額に設定した場合における保証人

保護法理として唯一機能しうるところの︑債権者の保証人に対する通知義務が︑理論的に厚みのある議論がなされな

いままに︑明文化を見送られている︒今︑保証概念を現代的に再構成する作業は︑抵当権における場合と同様︑否そ

︵2︶ 抵当権法改正に関して︑フランス担保法研究会︵池田恒男・香山高広・高橋智也︶﹁試訳・共和暦七年ブリュメールニ  日の抵当制度に関する法律ーフランス担保法の翻訳︵一︶ー﹂法政研究六九巻四号八〇八頁は︑次のように指摘している︒   ﹁これら﹇抵当権法改正﹈の一連の動きが法政策的に見てもいかに常軌を逸し︑短視眼にして単眼的なものとなっているか  は︑現在のところその総括的な表現である二〇〇二年﹁担保法・執行法制の見直しに関する要綱中間試案﹂の上記内容を一  瞥するだけで明らかである︒それは︑民事普通法制としての﹁担保法・執行法制﹂の﹁改革﹂というよりも︑現在の局面で  時の政権の経済政策的至上命題である﹁不良債権の早期処理﹂政策や﹁都市再生﹂政策など︑それ自体の政策的内容を十分  な科学的土俵の上で慎重に検討・吟味すべき多くの重大な問題を抱え込んでいる﹂︒

︵3︶ 広中俊雄﹃民法綱要 第一巻 総論上﹄︵創文社︑一九八九年︶八〇頁以下参照︒

(3)

れ以上に必要とされているのである︒

 このような問題意識から︑本稿は︑いささか迂遠ではあるが︑ローマ法にお︑ける保証概念を明確化し︑もってそれ

を継受した日独仏の保証制度を理論的︑社会的に比較検討するための基礎資料とすべく︑ここに学説彙纂第四六巻第

一章﹁保証及び委任について︵O①匿Φ巨゜︒°︒日言゜︒魯∋知⇒△巴05ぴ已゜︒︶﹂の邦訳と検討を試みた︒数多の誤訳を恐れなが

らも公にしたのは︑この作業が︑保証概念再構成のための︑ささやかではあるが回避できない一歩だと信じたからに

他ならない︒たとえどのような形であれ︑本稿が我国の保証法学に多少なりとも寄与することができれば幸いである︒

 なお︑試訳にあたっては︑底本として︑弓巨呂o日∋°︒oPO億窃富巨c・け巨知巳﹀品已゜︒江く9押N°ぎ已゜ロ2冒﹂潔ω︵モム

ゼン大版︶を用い︑適宜校訂者の補注に従った︒ただし︑O°○Oo亘巨2900°︒﹇Φ巨゜・oげ﹂已日ΦO巨oロoヨo已2古O°P

       ︵4︶ QQ 竃窪σo﹃oquOo目5﹂已駐口匡o⁚8合o苦已︒︒<③8巳け已︒︒∋呂已︒︒6巳bけ﹂c力巴8﹇巨︒︒ρ巨亘5ρ仁Φo合古一〇巳げ霧6昆巴員Ωo口巨−

o。 夋まL品や︵ゲバウエル版︶の校訂に依拠した箇所は︑その旨注記した︒その他︑﹄8烏c︒巨c・Oo目已ω巨臣︒・○巨﹂°︒

巨゜︒古巨m5鼻弓o日靭↑編合巳一ΦN﹃︵プ=︺⁝ OQ魯口書巳O汁一⑩ΦΦ︶︑およびρ国゜O詳豆ヒo°Q︒o巨ξ○円目QQ日8巳︒︒︵冒︒︒oq°ソO知︒︒

Oo白5﹄巨︒・○ヨ旨゜︒日︒°︒OΦ巨89ぽ隅︒︒Φ言けくo⇒o日①日︿2Φ日①罰①合訂oq巴Φゲ詳Φ古ロ臼古↑o号N拓一〇︒器︵ZO⁚﹀巴Φづ﹂ΦQ◎﹄︶

を参照した︒学術用語の訳は︑原則として原田慶吉﹃ローマ法︵改訂版︶﹄︵有斐閣︑一九五五年︶に拠り︑訳者の補

足および法文の表題の付加は︑カギ括弧を付して行った︒

二 邦訳及び検討

ウルピアーヌス︵サビーヌス注解第三九巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一法文﹇被担保債務の要件﹈

 ︵4︶ ゲバウエル版の参照につき︑野田龍一教授︵福岡大学︶から格別のご配慮を賜りました︒

   学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶  三

(4)

       ︵5︶ すべての債務につき︑保証人は参加することができる︒

 ポンポーニウス︵サビーヌス注解第二二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二法文﹇特定物債務の保証﹈

 使用貸借や寄託についても︑保証人の設定は可能であり︑たとえ奴隷や未成熟子に対して使用貸借や寄託がなされ

    ︵6︶       ︵7︶ たときでも︑彼ら主債務者が悪意または過失で行為したならば︑保証人は責を負わされる︒

ウルピアーヌス︵サビーヌス注解第四三巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三法文﹇保証人の条件﹈

 保証人を立てることを諾約した者は︑債務負担能力を有し︑かつ被告となる能力を有する者を従たる当事者として

供したときにのみ︑保証人を立てる旨の問答契約を履行したとみられる︒したがって︑奴隷あるいは家子を供し︑そ

こから特有財産訴権が生じない場合や︑﹇ウェルレイアーヌム﹈元老院議決による保護を受ける婦女を供した場合に

は︑保証を立てる旨の問答契約は︑履行されたとはみられない︒もっとも︑資力を有しない保証人を供したときは︑

右の問答契約は履行されたと解するのが妥当である︒なぜならば︑無資力者の保証を許した者は︑その資力で承認し

たのであるから︒

同人﹇ウルピアーヌス﹈︵サビーヌス注解第四五巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第四法文﹇将来求償権の保証︑保証

債務の相続性﹈

︵5︶O豊ωヒ⊃\ご已廿﹄°ぴ﹂°︒㌃ρρ

︵6︶ 奴隷は自然債務を負い︵㊥知巳三〇°﹂ぷ◎﹂c︒肩︶︑未成熟子は利益を受けた限度で責を負う︵已廿゜O﹈◎c︒仁O︶︒

︵7︶9已b﹄°昼⑮︒∨仁合゜力︒・①己︺◆ぴ仁彗

(5)

       ︵8︶       ︵9︶  ︵序項︶主たる債務者に対して﹇将来﹈有することあるべき委任訴権または事務管理訴権のために︑保証人を立て

ることは可能である︒

 ︵一項︶保証人は︑自らを義務付け︑かつその義務を相続人に遺す︒なぜならば︑保証人は債務者の地位にあるの

 ︵10︶ だから︒

同人﹇ウルピアーヌス﹈︵サビーヌス注解第四六巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第五法文﹇保証人による主債務者の

相続︑連帯債務者の一方による他方の相続﹈

 ユーリアーヌスは︑一般的な言葉で述べて曰く︑ある者のために加入した者が︑その者の相続人となったならば︑

従たる原因関係からは解放され︑債務者の相続人たる資格でのみ責を負う︑と︒それゆえユーリアーヌスは︑保証人

が主債務者の相続人となったならば︑債務者として責を負い︑保証を原因とする関係からは解放されるが︑しかし︑

主債務者の一方が他の主債務者を相続した場合には︑債務を二重に負担する︑と記している︒この場合には︑どちら

の債務が他方の債務を消滅させるのか︑明らかにしえないからである︒保証人と主債務者の場合には︑﹇この消滅関

係は﹈明らかである︒なぜならば︑主債務の方がより重いからである︒つまり︑両債務の間に何らかの相違が存する

場合には︑どの債務が他方の債務により消滅させられるかを決することが可能である﹇負担の重い債務が軽い債務を

︵8︶ ︾9巨゜︒巨切︺8°9°も゜一〇〇︒b︒⇒9Φ゜・°

︵9︶ 例︑不在者のための保証︵勺知巨b°﹂﹃トト︒ρ一︶︒

︵10︶ O﹂o⊆巴齢5b°o◎>O︵±︶u心︒ふ︵pN忠︶° ︵11︶この理から︑主債務者が保証人を相続する場合︵冒FOム◎二︽︶も︑第三者が主債務者と保証人の双方を相続する場合︵O∈9

 °一①註§b°°︒エO︵ふ﹂︶N貞P心︒q⊃ふ︶︶も︑保証債務が消滅させられる︒なお︑尊bエΦト巴b参照︒

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶  五

(6)

    ︵11︶       ︵12︶ 消滅させる﹈が︑両債務の内容が等しい︵o芦゜︒●o日゜︒巨廿08°︒富蔚︶場合には︑その決定は不可能である︒なにゆえ

に︑この債務ではなく︑あの債務が消滅するといえるのであろうか︒ここで︑ユーリアーヌスは︑.ある事例と関係づ

︵13︶ けることにより︑二つの債務が一人のうちに競合することは︑新奇なことではない旨を示そうとする︒それは次のよ

うな事例である︒連帯債務者の一方が︑他方の連帯債務者の相続人となった場合︑彼は二つの債務を負担する︒同様

に︑連帯債権者の一方が︑他方の連帯債権者の相続人となった場合にも︑彼は二つの債権を有するといいうる︒そし

て︑当然のことながら︑一方の債務を訴求したときは︑それによって両債務が消耗する︒なぜならば︑彼の有する二

つの債務の性質は︑明らかに︑一方の債務が裁判上行使されることにより︑他方が消耗する関係にある︑というもの

だから︒ 同人﹇ウルピアーヌス﹈︵サビーヌス注解第四七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第六法文﹇保証の時期および被担保

債務に関する要件﹈

 ︵序項︶私は債務者から諾約を受けたときは︑保証人を得なかったが︑しかしその後︑保証人を加えることを欲し        ︵14︶ ている︒そしてもし加えたならば︑保証人は義務を負わされる︒        ︵15︶  ︵一項︶また︑私が保証人を義務付けるのは︑単純でも︑期限付でも︑あるいは条件付でも構わない︒        ︵16︶  ︵二項︶保証人は︑現在の債務のみならず︑将来の債務にも付加されうる︒ただし︑将来の自然債務など︑少なく

とも何らかの債務は存在せねばならない︒

 ︵12︶ これが消耗競合を肯定する︒

 ︵13︶ ○㌦o力8Φ<Oふ◎ω㎏c◎⁝<⑦⇒已①ヨωO°︽㎝㍍一ω令

 ︵14︶ 他方︑貸付実行後の貸付委任は無効とされる︵已廿O°§仁N︸忘︶︒

(7)

ユーリアーヌス︵法学大全第五三巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第七法文﹇自然債務の保証﹈

支払われた物を取り戻すことができないので︑かような自然債務にも︑保証人を立てることができるとされて

︵17︶ いる︒

ウルピアーヌス︵サビーヌス注解第四七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第八法文﹇ギリシア語による保証︑被担保債

務の種類︑被担保債務と保証債務の負担の重さ﹈

 ︵序項︶ギリシア語では︑左のようにして保証がなされる︒a匙⇒臥9°︒↑8°︒ざひβ蚤βΦ芦εまたはOoひ宮盲↑        ︵18︶ など︒さらに︑言石といわれた場合も︑亙§といわれたかの如くに扱われる︒

 ︵一項︶さらに︑次のことを知らねばならない︒すなわち︑物︑言語︑合意のいずれによるかを問わず︑保証人は︑

あらゆる種類の債務に参加することができる︒

 ︵二項︶法務官法上の債務を負担する者のためにも︑保証をなしうると知るべきである︒

 ︵三項︶また︑争点決定後も保証を受けることができる︒なぜならば︑市民法上の自然債務が存続するからである︒        ︵19︶ ユーリアーヌスも認めるこの理は︑我々の用いる法である︒それでは︑債務者が有責判決を受けた後︑保証人は﹇既

判物の﹈抗弁を用いうるか︒というのも︑保証人は︑法上当然には解放されないからである︒もし︑保証人が判決訴

︵15︶ ∈bb°まテo︒や゜

︵16︶ ○︹Qo80己︶°︽◎r㎝べ゜

︵17︶ ○︹﹈己b°ぱ≡一◎ご㊥知己゜O°︽◎一ω⑰

︵18︶ ﹈房け゜c︒N◎べ゜

︵19︶ ○︹︼己一゜日㊥③巨゜O°一靭◎ΦOb﹃°

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳      ︵都法四十六ー一︶   七

(8)

権を引受けておらず︑ただ訴訟追行を担保したにすぎない場合は︑彼は抗弁を用いうるというのが正当である︒逆

に︑保証人が訴訟全体を担保した場合には︑抗弁は認められない︒       ︵20︶  ︵四項︶遺言で設定された後見人の﹇債務の﹈保証も有効である︒       ︵21︶  ︵五項︶不法行為から生ずる訴権についても︑多数の見解は保証人の責を肯定する︒

 ︵六項︶一般に︑あらゆる種類の債務に関して︑保証人を立てうることは︑何ら疑いのないところである︒

 ︵七項︶他人のために債務を負担する者一般に妥当することであるが︑その他人よりも重い関係に参加したとき

は︑参加者は︑何らの債務をも負担しない︒他方︑より軽い関係へと参加しうることは明らかである︒それゆえ︑よ        ︵22︶ り少ない額について保証人を立てることは適法である︒また︑主債務者を単純に立て︑保証人を期限または条件付き

で立てることも可能である︒これに対して︑主債務者が条件付き︑保証人が単純に立てられたときは︑保証人は義務

    ︵23︶ を負わない︒

 ︵八項︶奴隷スティクスを目的物とする問答契約債権者が︑﹁スティクスまたは一〇金をあなたの信義によって約

するか﹂という形で保証人を立てた場合︑保証人は義務を負わないと︑ユーリアーヌスは述べる︒なぜならば︑将来

スティクスが死亡したときにも責を負うという意味で︑保証人の負担がより重いからである︒しかし︑マルケッルス

 ︵20︶ 遺言後見人は︑﹁被後見人の財産は安全たるべしとの保証﹂︵°︒①蔚合試︒8∋廿6巨゜︒③一<③日♂冨︶の提供を強制されはしな

   い︵﹈⇒切﹇°吉心︒吟b︹︶︒

 ︵21︶ 田巨b°吟◎﹂㎝◎c︒⁝090ふ◎一\◎㎝゜  ︵22︶ 主たる債務よりも多額の債務を約する保証は︑全部無効とされるが︑他人の債務の弁済約束︵8自江昌巨当Ooσ巨呂Φ巨︶

   では︑他人の債務の限度に縮減される︵已b°O°一ω勤一こ︶︒また︑貸付委任においても︑委任した貸付額を超過する部分につ

   いてのみ︑貸付委任者︵保証人︶の責任が否定される︵O一〇9書田b令゜︒>O︵鼻一︶Nト︒︵餌゜心︒路︶︶︒

 ︵23︶ 他人の債務の弁済約束では︑弁済約束者の債務も条件付債務となる︵㊥③巨O﹈c︒ひL㊤⑰﹃°︶︒

(9)

は注記して︑保証人が義務を負わないのは︑その負担がより重いからというのではなく︑むしろ︑異なる債務を約し

たからである︒それゆえ︑一〇金の諾約をした債務者のために︑保証人がコ○金またはスティクス﹂を約した場合       ぬ  にも︑これによって保証人の負担はより重いものとはなっていないが︑しかし︑当該保証は無効である︑と述べる︒

 ︵九項︶また︑ユーリァーヌスによれば︑奴隷または一〇金の供与の諾約を受けた債権者が︑保証人を︑﹁奴隷ま

たは一〇金のうち︑債権者が望むもの﹂という形で立てたとき︑保証人は義務を負わない︒保証人の負担がより重い

からである︒

 ︵一〇項︶逆に︑﹁奴隷または一〇金のうち︑債権者が望むもの﹂という諾約を受けた債権者は︑保証人を︑﹁一〇

金または奴隷のうち︑保証人が望むもの﹂という形で立てることは適法である︒というのも︑こうした保証人の負担

は︑より軽いものであるといえるからである︒

 ︵=項︶さらに︑債務者に対して﹁スティクス及び︵o﹇︶パンピッルス﹂を︑保証人に対して﹁スティクスまた

は︵知已﹇︶パンピッルス﹂の要約をなすことは︑適法である︒保証人の負担がより軽いからである︒

 ︵一二項︶保証人のために保証人を立てうることは︑全く疑いない︒

ポンポーニウス︵サビーヌス注解第二六巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第九法文﹇被担保債務と保証債務の負担の重

さ﹈  保証人を債務額の一部と目的物の一部分につき立てることは可能である︒

︵24︶ ○い勺知已゜O°︽◎吉c︒貸法98印霧O°︽◎吉ωo◎文゜

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六−一︶  九

(10)

一〇

ウルピアーヌス︵論争集第七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一〇法文﹇共同保証人間の分別の利益︑家子による保

証と準訴権による求償﹈

 ︵序項︶債権者が保証人達の資力に疑いを有していたところ︑彼の訴求した一人の保証人が︑他の共同保証人の負

  ︵25︶ 担部分を訴求する危険を引受ける旨の担保提供を申し出た︒もし︑彼の提供した担保および有資力であると主張され

た共同保証人全員が現地にいるならば︑私﹇ウルピアーヌス﹈は︑彼の申し出﹇分別の利益の主張﹈は聞き入れられ

るべきだと考える︒なぜならば︑債務全額の弁済が容易ではないため︑債権を買い受けることが常に易しいとは限ら

ないからである︒

 ︵一項︶共同保証人間で訴権が分かたれるのは︑彼らが債務を否認しないときに限られる︒債務を否認する者達に       ︵26︶ は︑分別という利益を付与すべきではないのである︒       ︵27︶  ︵二項︶家子は家長のために保証をなしうる︒このような保証とて︑効力を有しない訳ではない︒その理由は︑第        ︵28︶ 一に︑家子が自権者となったときは︑自らの給付できる範囲で責を負いうるからであり︑第二に︑権力に服従する間

︵25︶ モムゼン大版は︑ヨ冨詳Φという語の前にコンマを付し︵室o自ヨ切Φ戸PPP°︒°ΦQ︒や︶︑この語を法文の続く部分︵﹁彼の申し  出は聞き入れられるべきだと考える﹂︶に掛けることにより︑その語意を︑﹁訴訟において﹂と解するようである︒しかし︑  分別の利益が訴訟上の利益であることは当然であり︑あえてここで述べる必要が感じられない︒訳文では︑ゲバウエル版お

 よびその補注︵○而σ知已O﹃∨但゜餌゜︵Oこo力゜⑩Φ︽ξ゜Obo︶に従ってコンマを省き︑この語をその前の部分︵﹁訴求する﹂︶に掛け︑﹁負担  部分につき﹂と解している︒

︵26︶ ○﹇ご■⇔一仁㌔吉Q︒°

︵27︶ ≧︒×°°︒Φ︿Ob︒込O︵自︶°︒︵P心︒心︒ω∀ 奴隷が主人のためにする保証については︑一巨b°まテ一qっ⁝一自゜O°ぱ﹂NO⁝㊥知己﹄︶﹄◎一﹀Φ参  照︒

︵28︶⊆bb◆声♪9心︒U5

︵29︶ ○巴﹂︺吟古べQ︒㊤゜

(11)

       ︵29︶ は︑判決を受けることができるからである︒次に︑家子の保証により︑家長が命令訴権の責を負うのかを考察しよう︒

私﹇ウルピアーヌス﹈は︑命令訴権は全ての契約に対して付与されると考える︒もっとも︑家長の不知の間に保証が

なされたときは︑命令訴権は生じないが︑しかし︑﹇保証を通じた﹈利益が転用されたことを理由として︑﹇債権者       ︵30︶       ︵31︶ が﹈家長を訴えることは可能である︒また︑家子が権力から解放された後に弁済したならば︑家長に対する準訴権が

与えられるべきこと︑明白である︒権力に服する間であっても︑もし軍営特有財産から家長のために弁済したとき        ︵32︶ は︑同じ準訴権が﹇家子に﹈与えられる︒

ユーリアーヌス︵法学大全第一二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第=法文﹇マケドニアーヌム元老院議決に反する

貸付と被担保債務の欠落﹈

 マケドニアーヌム元老院議決に反して家子に貸付けた者は︑家子が死亡した後︑家長に保証人を設定させることが        ︵33︶       ︵34︶ できない︒なぜならば︑債権者は家長に対して︑市民法上も法務官法上も訴権を有していないし︑また︑その名義で        ︵35︶ 保証人が義務を負いうるような相続財産は︑どこにも存在しないからである︒

︵30︶ 舞○曽9巴騨○°♪N◎ω︵③゜心︒一㎝︶°

︵31︶ 家長家子間における委任または事務管理を観念しえないため︑準訴権である︒ ︵32︶ 90巴b画﹂﹀

︵33︶ 特有財産訴権の否定︵勺巨﹁Ω♪心︒°︒﹀宮︵P心︒冷︶°︶︒

︵34︶ <2巳o芦︒︒O﹈♪◎一゜︒°

︵35︶ 臼廿゜8NP一〇°

学説彙纂第四六巻第一章の邦訳      ︵都法四十六ー一︶  一一

(12)

一二

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第四三巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一二法文﹇特有財産訴権の保証﹈        ︵36︶  特有財産を名目とする家長に対する訴権は︑適法に保証されること︑明白である︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第一四巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一三法文﹇貸付委任における消耗競合の

否定と訴権譲渡の義務﹈

 あなたが︑私の委任に基づきティティウスに一〇金を貸し付け︑そして私を委任﹇反対﹈訴権で訴求した場合︑ティ

      ︵37︶       ︵38︶ ティウスは解放されない︒しかしながら︑あなたがティティウスに対して有する訴権を私に譲渡するのでなければ︑

私は有責判決を受けるべきではない︒また︑あなたがテイテイウスを訴えても︑私が解放されないこと︑右と同様で

あるが︑しかしこのとき私は︑あなたがテイテイウスから回収できなかった限度においてのみ︑義務を負担するにす

  ︵39︶ ぎない︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第四七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一四法文﹇主債務者による保証人の相続﹈       ︵40︶  問答契約債務者が︑その保証人の相続人となった場合︑保証債務は消滅する︒その結果︑次のようなことになろう︒

︵36︶ 舞≧50ふ◎一ト︒一N⁝田巨bムOw一︾ω⑰

︵37︶ 智已゜°︒o昇b︒エベエご冒06冨■一碧b°°︒吟O︵巴︶心︒ω︵①Nq⊃︽∵消耗競合の否定は︑弁済約束の場合も同じ︵已bb巨゜︒亘一゜︒c︒︶︒

︵38︶ 舞呂oPOま一w吟仁⁝⊆b﹂︺5一b°︒⁝勺巷゜Oふ◎c︒⇒q⊃㎝レO\巳 呂o巴︺︽◎c︒べO°

︵39︶ O巴O°﹂べ亡Nべ㎝◆

︵40︶ ユーリアーヌスは︑主債務者が保証人を相続する本件事案︵巨゜O°冷テ忘︶でも︑保証人が主債務者を相続する事案︵巨一゜5  已廿b﹄Φト㎝︶でも︑保証債務は消滅するという︒これに対して︑アフリカーヌスは︑いずれの事案においても︑主債務が自

 然債務であれば︑保証債務と主債務は競合すると解し︑ユーリアーヌスの見解に限定を付する︵Bb﹄◎﹂uト︒﹂b︒︶︒

(13)

つまり︑主債務者に対して債務の訴求がなされ︑保証人たる地位に基づく抗弁が提出されたとしても︑事実に基づく

  ︵41︶ 再抗弁が与えられるべき︑あるいは悪意の再抗弁が役立てられる︑と︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第五一巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一五法文﹇債務者の意思に反する抗弁の

援用︑共同保証人の一人に対する不訴求の合意﹈        ︵42︶  ︵序項︶私はあなたに対して問答契約の諾約を︑原因なくして行い︑そして保証人をたてた︒私は︑保証人が抗弁

を援用せず︑むしろ弁済して私に委任訴訟を提起することを欲していた︒しかし︑保証人には︑私の意思に反して抗        ︵43︶ 弁が与えられるべきである︒なぜならば︑債権者に弁済した物を債務者から取り戻すことよりも︑金銭を保持してお

くことの方が︑保証人にとって重要だからである︒

 ︵一項︶二人があなたに対して︑二〇金につき︑保証をなした︒一方の保証人は︑あなたの訴求を免れるために︑        ︵44︶ あなたに五金を与え︑または五金の諾約をなした﹇不訴求の合意﹈︒このとき︑他方の保証人は解放されず︑あなた

が一五金につき︑彼に訴えを提起しても︑何らかの抗弁によって排斥されることはない︒だが︑残りの五金につき︑

あなたが先の保証人に﹇保証債務履行の﹈訴えを提起したならば︑悪意の抗弁によって排斥される︒

︵41︶ 9已廿゜Oふ古古♪一Φ゜

︵42︶ 例︑受領していない消費貸借金の返還を諾約した場合︵Oふ♪♪ト︒ω︶︒

︵43︶ 己■﹂︺ふ◎古c︒ト︒⁝法曽○量ロOふ♪仁㊤゜

︵44︶ 債権者保証人間の合意が︑人的不訴求の合意だからであろう︵9㊥知巳bNエ♪心︒一竺巨b﹄︶°Nエ♪心︒b︒︶︒なお︑当該不訴求の  合意により︑共同保証人の訴権譲渡利益︵共同保証人間の求償権︑呂oρO﹄◎一ωΦ︶が失われる可能性も存するが︑これとて

 保証人解放の原因たりえないのは︑匿︒巨゜︒°︒ざにおける担保保存義務の否定を意味する︒他方で︑貸付委任では︑貸金債務者

  に対する訴権の譲渡の不能が保証人を免責するが︵勺e°O°吟◎c︒㎜ひヒ︶︑これは訴権譲渡が︑債権者︵受任者︶の保証人︵委  任者︶に対する委任契約上の義務︵取得物引渡義務︑認巳b°﹂や一一工90︶であり︑その違反が契約責任を生ぜしめるからであ

  る︒ちなみに︑モムゼンは︑﹁他方の保証人は解放される﹂との校訂を行うが︵りらO§ω①5w知゜知゜O二 〇力゜Φooo◎ξ゜﹂︶︑もし担保保

 存義務との関連でいうのであれば︑匿Φ﹂已゜︒°・一︒と貸付委任の相違を見誤ったものである︒なお︑後掲注︵731︶及び︵皿︶参照︒

学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六−一︶  一三

(14)

一四

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第五三巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一六法文﹇弁済のために付加された者︑

履行地の相違︑自然債務の保証︑条件付保証﹈

 ︵序項︶保証人は︑主たる問答契約債務者が義務を負っていない相手方に対して︑義務を負いえない︒それゆえ︑        ︵45︶ ティティウスとセンプローニウスの共有奴隷が︑﹁ティティウスに与えるか﹂との指名で要約をなし︑保証人に対し

ては︑﹁ティティウスまたはセンプローニウスにそれを与えると約束するか﹂との要約をなした場合︑ティティウス

﹇だけ﹈が保証人を訴求しうる︒もつとも︑センプローニゥスという人も︑以下のように限定された意味では付加さ        ︵46︶       ︵47︶ れたと見るべきである︒すなわち︑争点決定前においては︑ティティウスの不知または意思に反しても︑センプロー       ︵48︶ ニウスに弁済をなすことができる︑と︒

 ︵一項︶特定の場所で与える旨の諾約は︑無条件での諾約よりも︑ある意味で負担が重い︒債権者の意思に反して        ︵49︶ は︑約束した場所以外のところで︑弁済することができないからである︒それゆえ︑主債務者には無条件の要約をな       ︵50︶ したが︑保証人には弁済場所を指示したならば︑保証人は義務を負わされない︒

 ︵二項︶また︑ローマで設置された主債務者が︑カプアで与える旨を諾約し︑保証人がエペススで与える旨を約し

︵45︶ ○︹d︸廿゜O°冷翻P一゜

︵46︶ ⊆b°O﹂◎μ㎝ベ一゜

︵47︶ 已bO吟◎c︒一N③

︵48︶ ○︹宕曽95已﹄◎﹂Nc︒°

︵49︶ 已b°O°﹂靭♪q⊃°

︵50︶ ⊆b°O◆冷テ゜︒∨ご9勺e°O°まトおN

︵51︶>oO已c・巳゜︒三b°9けも゜一〇Q︒やb9霧は︑カプアはローマに近接するが︑エペススは海を越えた遠隔地であるため︑保証人の負  担が重い︑とする︒

(15)

       ︵51︶ たならば︑保証人は義務を負わさない︒これはあたかも︑債務者が条件付きで︑保証人が確定期限または無条件で諾

約した場合の如きである︒

 ︵三項︶保証人を立てることができるのは︑何らかの市民法上または自然法上の債務が存在し︑それに付け加えら      ︵52︶ れる場合である︒       ︵53︶  ︵四項︶自然債務とは︑その名義で何らかの訴権が生ずるものと︑弁済した金銭を取り戻すことができないものと      ︵54︶ の︑両者を含む︒というのも︑確かに本来の意味では︑自然債務者は債務を負っている︵巳①ぴ①苫︶ということはでき

ないが︑しかし広い意味においては彼も債務者であり︑彼から金銭を受領した者は︑その債務︵ユΦげ﹂宮日︶につき受       ︵55︶ 領をなしたと理解されるからである︒

 ︵五項︶期限を付された問答契約債務につき︑保証人が条件付で立てられた場合︑保証人の法状態は︑成否未定の

ものとなる︒つまり︑期限の前に条件が成就したときは︑保証人は責を負わず︑期限到来と条件成就が同時か︑条件        ︵56︶ が期限よりも遅れて成就したときは︑保証人は責を負うことになるのである︒

 ︵六項︶﹁もし私の四〇金の貸金債務者が弁済しなかったときは﹇停止条件﹈︑それがあなたの信義によって存在す

ることをあなたは命じるか﹂との形で︑保証人が立てられた︒主債務者が催告を受けだにもかかわらず弁済しなかっ

たとき︑保証人は責を負うとの合意がなされていること︑明明白白である︒しかし︑主債務者が催告を受ける前に死

︵52︶ 日b°O°膳◎一◎心︒°

︵53︶ 万民法に基づき訴権が生じる︵㊦③巨O°㎝◎一メ゜︒古﹂︶︒

︵54︶ ⊆Ubふ古メ﹂O

︵55︶ 9一乏O°ωぷ一本Oω゜

︵56︶ 90巴O﹄◎一wべρ一゜

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶  一五

(16)

一六

亡したときも︑保証人は責を負うと解すべきである︒なぜならば︑この場合にも︑﹁主債務者が弁済しなかった﹂﹇と

の条件が成就した﹈というのが正当だからである︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第八九巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一七法文﹇共同保証人の訴権譲渡の利益﹈

 共同保証人のうち︑全額弁済の準備のある者は︑債権者に対して︑他の共同保証人に対する債権︵oo8﹃o§ コ亨

  ︵57︶ 巨目︶を売却するよう強いることができる︑との利益を受けるを常とする︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵法学大全第九〇巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一八法文﹇指図による保証債務の履行﹈

 自己の債務者に対して指図をなしたとき︑指図者はその債権額の限度で︑﹇指図受領者に﹈金銭を与えたものと理

   ︵58︶ 解される︒それゆえ︑保証人が自己の債務者﹇第三債務者︑被指図者﹈に対し︑﹇債権者を指図受領者とする﹈指図

      ︵59︶ をなしたときは︑たとえ被指図者が無資力であったとしても︑﹇当該指図によって保証債務が履行されたとみられる        ︵60︶ から︑﹈即座に委任訴権で﹇主債務者を﹈訴えることができる︒

同人﹇ユーリアーヌス﹈︵ミニキウス注解第四巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第一九法文﹇奴隷の保証と奴隷の弁済﹈

︵57︶ 主債務者に対する債権の売却︵譲渡︶ではない︵>8ξ゜︒巨゜︒三b°︒﹇∫廿゜巳゜︒Φぎ90a一呂︒ρO°心◎一ω⑩︶︒主債務の売却をいう

 ㊥騨己︑Oム◎﹂uc︒Φについては︑後掲注︵99︶及び︵団︶参照︒

︵58︶ 要物性の緩和︵ご昼O﹂b︒ト宗︶︒

︵59︶ 債権者交替の更改ともなりうる︒

︵60︶ 勺知巨゜O﹂メ一N◎N°

(17)

   奴隷が主人の不知の間に︑ある債務者のために保証をなし︑その保証に基づき金銭を支払った︒ここで︑主人は弁

゜  済受領者から取り戻しをなしうるかが問われた︒私﹇ユーリアーヌス﹈は︑どのような名義で保証がなされたかによつ      ︵61︶   て異なる︑と解答した︒すなわち︑特有財産名義で保証がなされた場合には︑もし弁済が特有財産からなされたので       ︵62︶   あれば︑主人は返還を求めることができず︑主人の財産から弁済されたのであれば︑所有権に基づき取り戻すことが

    ︵63︶   できる︒他方︑特有財産以外の名義で保証がなされた場合は︑主人の財産で弁済された物は︑同じく所有権に基づき        ︵64︶   取り戻しえ︑さらに特有財産から支払われた物でも︑不当利得として取り戻しうる︒

ヤウォレーヌス︵書簡集第二二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二〇法文﹇奴隷の保証と主人の弁済﹈

 また︑﹇前法文にいう特有財産以外の名義で保証がなされた場合において︑﹈もし︑奴隷の主人が金銭の弁済をなし

たならば︑主債務者からではなく︑弁済受領者から金銭を取り戻すことができよう︒なぜならば︑奴隷は保証を原因

とする債務を負担しえないからである︒つまり︑奴隷が債務を負っていないがために︑当該債務を原因とする弁済は

解放効を生ぜしめえず︑したがって主債務者は︑与えられたのと無縁の金銭で債務﹇貸金債務﹈を負担したままであ       ︵65︶ るから︑主債務者からの取り戻しは不可能である︒

︵61︶ 主人が特有財産訴権の責を負うか否かにつき︑同様の区別をする已廿゜O°一㎝テωぴ参照︒もっとも︑家子による保証の場合

 には︑特有財産名義か否かに拘らず︑家長は常に同訴権の責を負う︵ζ一勺﹂︺﹂°㎝∨﹂wc◎㊤︶︒

︵62︶ ○芦㊥餌巳O一心◎一c︒宮゜

︵63︶ OS勺知巳゜O一心︒◎一㎝㌔

︵64︶ 自然債務すら存在しないから︒

︵65︶ ○巨勺騨巨゜O﹄◎r⑦Φ゜

学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六−一︶  一七

(18)

一八

アフリカーヌス︵質疑録第七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二一法文﹇相続人に類する地位の取得と訴権の譲渡︑

保証債務を二重に負担する場合︑債権者主債務者間の相続︑債権者保証人間の相続﹈

 ︵序項︶遺産の中に含まれる債権の債務者から︑相続人は保証人の設定を受け︑次いで相続財産をトレベルリアー

ヌム﹇元老院議決﹈に基づき︑﹇包括的信託受遺者に﹈返還した︒このとき︑彼﹇アフリカーヌス﹈は︑保証人の債       ︵66︶ 務は元の状態にとどまる︑と述べた︒というのも︑家父権免除を受けた息子が︑保証人の設定を受けた相続人から遺

産占有を取得した場合にも︑そのように解されているからである︒それゆえ両事案においては︑﹇保証人に対する﹈          ︵67︶ 訴権の移転がなされる︒

 ︵一項︶保証人が二つの﹇保証﹈債務を同一の貸金名義で負担することは︑新奇な事柄ではない︒というのも︑保       ︵68︶ 証人を期限付きで設定した直後に︑彼を無条件で立てた場合には︑保証人は二つの債務を負うことになるし︑また︑       ︵69︶ 保証人がその共同保証人を相続した場合にも︑同様だからである︒

 ︵二項︶私はあなたの奴隷に金銭を貸し付け︑あなたはその奴隷を解放した︒その後︑私はこの被解放奴隷を保証

人にした︒このとき︑もし被解放奴隷によって保証された債務が︑あなたが﹇私に対して﹈一年間は負担するところ   ︵70︶       ︵71︶ の債務であれば︑被解放奴隷は﹇保証﹈債務を負担すると︑彼﹇ユーリァーヌス﹈は述べた︒これに対して︑被解放

   ︵66︶ 包括的信託受遺者は保証債権を取得しない︒もっとも︑法務官により準訴権が付与されることはある︵9勺o巨゜O◆一ω動烏⁝

     Ω巴押b︒㎝ω︶︒

   ︵67︶ 相続人は︑遺産引き渡し時に︑包括的信託受遺者または遺産占有者への訴権譲渡を義務付けられる︵鼻﹈巨右O°c︒メ古﹂ω軍︶︒

   ︵68︶ ○﹇勺o旨b°O°冷り一工○︒°

老   ︵69︶ 9已やO﹄◎一h⁝已b°O°一P三⇔    ︵70︶ 特有財産訴権は︑奴隷解放後も一年間の実用期間内は︑旧主人に対して提起しうる︵9U°O°一9b︒エb5︶︒

   ︵71︶ ○︹宮巨b°まテ一b︒一く巴巨Φ冒゜︒O°一古◎一︒︒°

(19)

奴隷が自己の自然債務を保証したのであれば︑保証は無効というべきである︒なぜならば︑﹁何人も自己を主債務者

とする保証債務を負担しえない﹂︑と解されるからである︒しかしながら︑もしこの被解放奴隷が︑自己の﹇自然債       ︵72︶ 務の﹈保証人を相続したならば︑保証債務は存続すると︑彼﹇アフリカーヌス﹈は考えた︒それゆえ︑市民法上の債務

     ︵73︶ が消滅しても︑自然債務は存続するため︑﹇奴隷は﹈弁済物を取り戻しえないのである︒このことは︑主債務者が保        ︵74︶ 証人を相続した場合には︑保証債務は消滅するとの扱いと矛盾するものではない︒なぜならば︑そこでの理由は︑市

民法上の債務は同一人において二重に存在しえない︑というものだからである︒また︑他方で︑この保証人が被解放       ︵75︶ 奴隷﹇主債務者﹈の相続人となった場合にも︑保証債務は相続人に対する存在を続ける︒たとえ自然債務者﹇被解放

奴隷﹈が︑﹁自己を主債務者とする保証債務を負担しえない﹂のだとしても︒

  ︵三項︶しかしもし︑問答契約債権者が主債務者を相続人に指定したときは︑主たる債務が市民法上のものである

と︑単なる自然法上のものであるとを問わず︑保証人の債務は常に消滅する︒なぜならば︑何人も同一人を債権者か

つ主債務者とするような﹇保証﹈債務を負担しえないからである︵づ①ヨobo8c︒﹇知苫q①巨巳゜∋買o﹂廿切o°昆σq巴已m

  ︵76︶ ①゜︒°・①︶︒もつとも︑債権者によって相続人に指定された者が保証人であれば︑保証人の債務のみが消滅することに︑

︵72︶ 保証債務のことと思われる︒もしそうであるならば︑この文言から︑自然債務の保証は︑市民法上の債務を発生させるこ  とになる︒主債務たる自然債務と市民法上の保証債務とを︑相続人たる被解放奴隷において競合させる実益は︑まずもつて︑

 被解放奴隷を保証債務に基づき︑訴求しうることにある︒

︵73︶ 例えば︑保証債務に終期期限が付されていた場合︒

︵74︶ 一巨゜O°まw﹂工合﹀ピO°ぱμωo︒ぴ

︵75︶ 主債務が自然債務でなければ︑重い債務が軽い債務を消滅させるとの原則により︑保証債務は消滅する︵巨﹂°ヨ已廿゜

 O﹄◎﹂ぴ︶︒

︵76︶ ㊥知已b°︽◎一h◎ご勺①巨b°ふ◎一≒言5

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶  一九

(20)

二〇

       ︵77︶ 疑いはない︒﹇しかし︑債権者が債務者の全財産を買い受けたときは︑保証人の債務は存続する︒﹈その根拠は︑﹇執

行手続に基づき﹈債務者の財産の占有が債権者に付与されたときも︑同様に︑保証人の債務は存続するというべきだ

からである︒

 ︵四項︶あなたとティティウスが︑同一の金銭の債務者﹇連帯債務者﹈であるとき︑あなたのために保証をなした

者は︑ティティゥスのためにも保証をなしうると︑彼﹇アフリカーヌス﹈は解答した︒たとえ︑同一の金銭を同一の

債権者に対して負担することになるのだとしても︒というのは︑このような保証も債権者にとって無益なものではな

いからである︒なぜならば︑債権者が︑先に保証された者﹇あなた﹈の相続人になったとき︑先の﹇被担保﹈債務は        ︵78︶ 混同によって消滅するが︑後の﹇被担保﹈債務は存続するというように︑少なからざる事例において︑債権者は利益

を受けうるからである︒

 ︵五項︶保証人が問答契約債権者の相続人となった場合︑彼は︑あたかも自身を自らで訴求したかの如き者として︑

主債務者に対する委任訴権を有するかが問われた︒﹇アフリカーヌスの﹈解答は︑主債務者の債務は存続しているた

め︑保証人は保証人から金銭を回収したとみることはできない︑というものであった︒したがって︑委任ではなく︑       ︵79︶ 問答契約に基づく訴求がなされるべきである︒

フローレンティヌス︵法学提要第八巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二二法文﹇休止相続財産を債務者とする保証﹈

︵77︶呂o自∋°︒ΦPPPO二゜力゜Φ㊤O>§°﹂を参照して追加した︒

︵78︶ 勺①巳b°まトコ買

︵79︶保証人が敗訴後に債権者を相続した場合は︑主たる債務が消耗しているため︑委任訴訟が可能とされる︵勺o日廿O﹈べ︼仁一︶︒

(21)

      ︵80︶  問答契約債務者が死亡した後︑相続の承継がなされるまでの間においても︑保証人を立てることができる︒なぜな

らば︑市︑地方議会や組合などと同じく︑相続財産は人の働きをするからである︒

マルキアーヌス︵法範第四巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二一二法文﹇弁済のために付加された者を債権者とする保

証﹈  私が︑﹁私またはティティウスに一〇金﹇を与えるか﹈﹂との要約をなしたとき︑ティティウスは保証人を得ること       ︵81︶ ができない︒なぜならば︑彼は弁済のために付加された者にすぎないからである︒

マルケッルス︵解答録単巻書︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二四法文﹇貸付委任者の死亡と第三者を相続人の一人と

する共同相続﹈

 ルキゥス・ティティゥスは︑兄弟のセーイゥスのために︑セプティキゥスを相手方とする加入を欲し︑左の手紙を

したためた︒﹁もし私の兄弟があなた﹇セプティキウス﹈に頼んだ折は︑私の信義と危険において︑彼に金銭を与え

てください﹂︑とパこの手紙の後︑セプティキゥスはセーイゥスに金銭を貸し付けた︒次いで︑ティティゥスは︑共

同相続人のうち︑兄弟たるセーイウスを三分の一の共同相続人として︑死亡した︒このとき︑セプティキウスの債務

者セーイウスとの関係では︑セーイウスが兄弟ティティウスの相続人となった三分の一の部分につき︑﹇セブテイキ

ウスのティテイウスに対する委任反対﹈訴権が混同によって消滅するが︑他の共同相続人に対する関係では︑全額の

︵80︶ 弁済約束の場合も同様︵已b°O°一ω動一甘﹃令︶︒

︵81︶ ○㌦一巳卜O°︽◎一工音5

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳      ︵都法四十六−一︶  二一

(22)

二二

訴求をなしうるかが問われた︒マルケッルスは︑セーイウス以外の共同相続人に対しては︑相続分の割合に応じての

み委任﹇反対﹈訴訟を提起しうる︑と解答した︒

ウルピアーヌス︵告示注解第一一巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二五法文﹇求償権を欠く保証﹈       ︵82︶  マルケッルスは記して曰く︑後見人の助成を得ない未成熟子︑浪費者︑精神錯乱者のための債務の保証は︑保証人

の役に立つものではない︑と︒なぜならば︑彼らに対する委任﹇反対﹈訴権を取得しないからである︒

ガーイウス︵属州告示注解第八巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二六法文﹇共同保証人間の分別の利益﹈        ︵83︶  神皇ハドリアーヌスの書簡による共同保証人間の債務分割は︑法上当然のものではない︒それゆえ︑共同保証人中

のある者が︑彼の負担部分を訴求される前に︑相続人なくして死亡し︑あるいは無資力となったときは︑彼の負担部       ︵84︶ 分は︑その他の共同保証人の損失に帰する︒

ウルピアーヌス︵告示注解第二二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二七法文﹇共同保証および副保証と分別の利益﹈        ︵85︶  ︵序項︶複数共同保証人の一方が単純に︑他方が期限または条件付きで立てられた場合︑条件成就が可能な間は︑

単純に立てられた保証人に︑﹇分別の﹈利益が与えられるべきである︒つまり︑その間は︑頭数に応じた訴求がなさ

 ︵82︶ 9勺o∋bb°︽◎一u旦090ふ゜︒U∵9﹂Oムρ一≒ρふ

 ︵83︶ Φ9㏄忌三甘︒︒古゜ωNOエ゜

 ︵84︶ 9㊥巷゜Oふ◎芸一︺卜

 ︵85︶ 共同保証人間の連帯債務関係は否定されない︵9呵一〇器昌巳﹂︶°冷Nべ︶︒

(23)

れる︒しかし︑条件成就時に︑条件付きで立てられた保証人が無資力であれば︑単純に立てられた保証人に対する訴

権が回復されるべきであると︑ポンポーニウスは記している︒

 ︵一項︶また︑保証人のための保証人がもし複数ならば︑右と同様の法律関係が生じる︒つまり︑各副保証人は︑

神皇ハドリアーヌスによって定められたところの地位を有するのである︒

 ︵二項︶さらに︑主たる保証人の資力が問われたときは︑その副保証人達の資力をも合算すべきである︒       ︵86︶      ︵87︶  ︵三項︶保証人自身のみならず︑保証人の相続人達もまた︑﹇分別の﹈利益を享受すると︑ポンポーニウスは記し

ている︒  ︵四項︶主たる保証人と副保証人とが存するとき︑主たる保証人は︑自己と副保証人との間での債務分割を求める

ことができない︒なぜならば︑彼は債務者の地位にあり︑債務者は︑自己と保証人との間での債務分割を求めること

はできないからである︒従って︑二人の保証人の一方が副保証人を立てたときは︑彼の債務は副保証人との間では分

割されないが︑共同保証人との間では分割されるというのが正当である︒

パウルス︵告示注解第二五巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二八法文﹇分別の利益の抗弁文言﹈

 保証人が︑他にも有資力の保証人が存在すると主張するときは︑﹁他に有資力者がいないのであれば﹂︑との抗弁も

付与されるべきである︒

︵86︶ 複数形︵oo§︶では文意が通らないため︑単数形︵o旨゜・︶で訳した︵<o︒↑Ooげ巴Φ5PPO°︺c︒bΦO旨日゜mΦ︶︒

︵87︶ ○︹勺e◆Oふ◎﹂﹀ρ一゜

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六−一︶  二三

(24)

二四

同人﹇パウルス﹈︵告示注解第一八巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第二九法文﹇不能条件付債務の保証﹈      ︵88︶  私が不能条件を付して要約をなしたならば︑保証人の付加は不可能である︒

ガーイウス︵属州告示注解第五巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三〇法文﹇債務者不知の保証﹈       ︵89︶  問答契約債務者が知らなくとも︑その者のために保証をなしうる︒

ウルピアーヌス︵告示注解第二一二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三一法文﹇期限前の弁済と求償期﹈

保証人またはそれ以外の者が︑債務者のために︑期限前に債権者へ弁済したならば︑債務者の弁済すべき期限まで       ︵90︶ ﹇求償権行使を﹈待たねばならない︒

同人﹇ウルピアーヌス﹈︵告示注解第七六巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三二法文﹇債務者に属する抗弁の援用﹈

 債務者に属する抗弁およびその他の利益は︑たとえ債務者の意思に反してであっても︑保証人やその他の従たる当       ︵91︶ 事者によって援用されうる︒

︵88︶ 9已bb°冷テベ゜

︵89︶ 求償権は事務管理の成否に懸かる︵勺餌巳已﹂べ古心︒ρ﹂︶︒

︵90︶ 9Φ90己︒動c︒○︒︵ω⑩︶二自O°5一Oご雷巨05長N買\一゜

︵91︶巨一b°S仁9﹃∴9田巨b°ふ︽トベ゜

(25)

同人﹇ウルピアーヌス﹈︵告示注解第七七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三三法文﹇訴訟担保問答契約﹈        ︵92︶  私は︑ある奴隷に関する対物訴訟をティティウスに対して提起し︑ティティウスの訴訟につき担保人を得た︒だ

が︑テイティウスは︑当該奴隷を自由付相続人に﹇指定﹈して︑死亡した︒もしこの奴隷がティティウスの所有であっ

たことが明らかとなれば︑その奴隷が訴訟を承継せねばならず︑訴訟承継がなされなかったときは︑﹇担保﹈問答契

約の効力が生ずる︒他方︑所有者が原告たる私であったときは︑私﹇主人﹈の命令により相続の承継がなされない場

合︑担保人︵白︵一Φコ﹄o力ooO﹃Φ乙◎︶は︑応訴なきが故に︑責を負う︒しかし︑もし私の命令で相続の承継が行われた場合に

は︑﹇担保﹈問答契約は消滅する︒だが︑たとえ所有者が私であるとされた場合でも︑勝訴すれば相続の承継を命ず

︵93︶ るが︑しかしそれまでの間は︑応訴なきことを理由に﹇担保人を﹈訴求しようと︑相続の承継を遅らせていたのであ

れば︑﹇担保﹈問答契約の効力は生じない︒なぜならば︑﹇私は﹈善人であるとの評価をうけないからである︒

パウルス︵告示注解第七二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三四法文﹇選択債権の保証﹈

 従たる当事者として諾約する者は︑負担のより軽い法律関係に入ることはできるが︑より重い法律関係には入りえ

ない︒それゆえ︑私が債務者から︑﹁私に﹇与える﹈﹂との諾約を受け︑保証人から﹁私あるいはティティウスに﹂と       ︵94︶ の諾約を受けた場合︑保証人の負担はより軽いものであると︑ユーリアーヌスは考えた︒ティティウスにもまた弁済

しうるからである︒これに対して︑私は債務者から﹁私あるいはティティウスに﹂との諾約を受けたが︑保証人には

 ︵92︶ 対物訴訟における応訴強制を目的とした︑担保問答契約の締結を想定しうる︒<oqr琴民器゜済゜出自o戸09呂巨゜︒合゜N﹂己宮o−

  No°・°︒需o庁戸呂旨o庁o白一⑩q⊃◎o力ふ○◎心o°  ︵93︶ ティティウスの相続財産を取得させることができる︒

 ︵94︶ 9巨ピO°吟◎二Φ買

   学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶ 二五

(26)

二六

      ︵95︶ 単に﹁私に﹂と要約した場合は︑保証人はより重い法律関係に入ったと︑ユーリアーヌスは述べた︒それでは︑債務

者に﹁スティクスまたはパンピッルス﹇の給付﹈﹂を︑保証人には﹁スティクス﹇の給付﹈﹂を要約した場合はどうで

あるか︒選択権を欠くがために︑より重い法律関係に入ったというべきか︑あるいは︑より軽いというべきか︒軽い        ︵96︶ というのが正当である︒なぜならば︑スティクスが死亡すれば︑﹇保証人は﹈解放されるからである︒

同人﹇パウルス﹈︵プラウティウス注解第二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三五法文﹇奴隷の債務の保証﹈

 奴隷を主たる債務者として保証をなした者は︑たとえ特有財産が存在しなくとも︑﹇自然債務﹈全額につき責を

 ︵97︶ 負う︒しかし︑特有財産訴権の責を負う主人を主たる債務者として保証をなしたのであれば︑判決時において存在す       ︵98︶ る特有財産の限度においてのみ︑責を負うことになろう︒

同人﹇パウルス﹈︵プラウティウス注解第一四巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三六法文﹇訴権譲渡の利益﹈

債務者と共同保証人を有する債権者が︑共同保証人の一人から金銭を受領して訴権を譲渡した場合︑確かに︑債権

者は自己のものを受領し︑その受領により全員が解放されたのであるから︑訴権はもはや存在しないということもで

︵95︶ ○㌦巨O°まw仁Φ一゜

︵96︶ 臼⊆b﹂︺°ぱテ゜︒∨°︒︒ρρ゜

︵97︶ ○︹㊦き已令﹂心︒﹀﹂ω寧二已已゜冷テS

︵98︶ 臼巨゜O°参仁心︒° ︵99︶ 巨↑Oム◎仁やや忌o伜O°まトωq⊃とは異なり︑主債務者に対する訴権が譲渡されているが︑債務者の設定した質物を取得す

 るための訴権譲渡を想定しえよう︵○︹  ﹄﹄Φ図゜o力Φ<°○°o◎∨吟O︵吟一︶=︵Pb︒ト︒㊤︶⁝ Oo﹃合碧bb︒エO︵巴︶エ♪一︵Pb︒ωΦ︶㌔餌巳OふOトO㊤︶︒な

 お︑㊥゜5mNNP↑ooa胃§N信巳①已Φ09后知N8旦﹈⁝90a曽㏄白N声︒苫﹃°︒oコ巴一w℃良○<③一⑩⑳卜︒∀㊦﹂°︒b︒は︑主債務者に対する訴権譲渡  を述べるのは︑本法文が唯一という︒

(27)

       ︵99︶ きよう︒しかし︑これは正当ではない︒というのも︑債権者は弁済として受領をしたのではなく︑債務者に対する債        ︵001︶ 権をいわば売却したのであり︑従って債権を保持しているからである︒債権者は︑訴権を譲渡するという︑まさにそ

のこと自体につき︑責を負っているのだから︒

同人﹇パウルス﹈︵プラウティウス注解第一七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三七法文﹇主債務期間満了後の保証﹈

 ある債務者が︑期間の満了によって解放されていたにもかかわらず︑その後に保証人をたてたならば︑保証人は責

を負わない︒なぜならば︑錯誤による保証は無効だからである︒

マルケッルス︵法学大全第二〇巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三八法文﹇選択債権の保証︑停止条件付遺贈債権の

保証と混同﹈

 ︵序項︶﹁スティクスまたはパンピッルスのうち︑諾約者の望む方を﹇与えるか﹈﹂との問答契約を結んだとき︑﹁ス

テイクスまたはパンピッルスのうち︑保証人の望む方を﹂という形で︑保証人をたてることはできない︒なぜならば︑        ︵皿︶ 債務者のなした選択と異なる選択をする権能が︑保証人に認められることになるからである︒

 ︵一項︶遺言により︑ティティウスは︑私に対して一〇金の条件付債務を負担した︒私は︑ティティウスから保証

人の設定を受け︑かつティティウスの相続人となった︒そして︑その後に遺贈の条件が成就した︒果たして︑保証人

は私に責を負っているのか︒私﹇マルケッルス﹈は次のように解答した︒もしあなたが︑条件付遺贈債務者から保証

︵001︶ 呂昆b°︽◎°︒㌔Φ゜

︵101︶ ○︹已bb°まト゜︒○︒ωρρ゜

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶  二七

(28)

二八

人の設定を受けた時点において︑既に右債務者の相続人となっていたならば︑あなたは保証人に義務を負わせること        ︵201︶ はできない︒なぜならば︑主債務者が欠けるのみならず︑義務の客体もまったく存在しないからである︒

モデスティヌス︵法範第二巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第三九法文﹇共同保証人間における訴権譲渡の利益﹈

 保証人には︑彼の共同保証人を訴えるような訴権が与えられない︒それゆえ︑同一債務の二人の保証人のうち︑一

方が債権者に訴求されて全額を支払い︑訴権の譲渡がなされなかったときは︑他方の保証人は︑債権者からも共同保        ︵301︶ 証人からも訴えられることはない︒

同人﹇モデスティヌス﹈︵法範第三巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第四〇法文﹇連帯債務の保証﹈

 連帯債務者がいる場合︑保証人は︑債務者双方から供されたか片方から供されたかを問わず︑全額につき適法に設

定される︒

同人﹇モデスティヌス﹈︵解答録第=ご巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第四一法文﹇保証と債務者適時訴求義務︑共

同貸付委任者と訴権譲渡の義務﹈

 ︵序項︶﹇モデスティヌスは﹈次のように解答した︒保佐人から回収しえなかった額についての保証がなされ︑そ

の後︑債権者﹇被保佐人﹈は法定の年齢﹇二五歳﹈に達した︒この時点では︑保佐人自身または保佐人の相続人達か

︵201︶ 混同による消滅︵6㌦臣゜O﹄◎﹂b吉﹄︶︒

︵301︶ 9≧①曽Q力乏ρ゜︒>O︵±︶ヒ宮︵pNN⑩︶°

(29)

ら全額を回収できたが︑しかし保佐人が未成熟子であったため︑﹇回収を﹈控えていた︒そしてその間に︑保佐人は

資力を失った︒このとき︑保証人に対する準訴権を付与すべきことは︑理由なきものではない︑と︒

 ︵一項︶同人﹇モデスティヌス﹈は解答して曰く︑共同貸付委任者中の一人に対して全額の判決が下され︑その執       ︵1︶ 行が始まったとき︑彼は︑他の貸付委任者に対する訴権を自己に譲渡するよう求めることができる︑と︒

ヤウォレーヌス︵書簡集第一〇巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第四二法文﹇債務内容の異質性﹈

 私が左記のような形で保証人の設定を受けた場合︑すなわち︑﹁私は一〇金を貸与したところ︑その一〇金に関し

て︑一〇〇〇モディウスの小麦をあなたの信義によって﹇与えることを﹈約するか﹂︑と︒このとき︑保証人は債務

を負担しない︒なぜならば︑保証人は貸し渡された物と異なる物につき︑債務を負担しえないからであり︑また︑商

品の数で構成される物の評価は金銭により行いうるが︑しかし︑金銭は商品により評価しえないからである︒

ポンポーニウス︵雑纂録第七巻︶ 学説彙纂第四六巻第一章第四三法文﹇連帯債務者各々に対する保証と共同保証の

成否﹈       ︵501︶  テイテイウスを債務者とする問答契約を結び︑あなたの保証を受けた後︑同一の金銭につき他の債務者から諾約を

受けて他の保証人を受けた場合︑﹇あなたと他の保証人は﹈共同保証人とはならない︒なぜならば︑異なる問答契約

の保証人だからである︒

︵401︶ 単独貸付委任者は︑貸金債務者に対する訴権の譲渡を求めることができる︵﹈巨bふ◎仁c︒︶︒

︵501︶ $aΦ∋廿Φ2巨昌︒連帯債務が成立する︑︵冒ぐO舎冷聾N︶︒

  学説彙纂第四六巻第一章の邦訳       ︵都法四十六ー一︶ 二九

参照

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