放射線生物研究 Radiation Biology Research Communications 50(1), 67-83, 2015
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<総 説> Review
植物における DNA 損傷応答機構
:マスターレギュレーターSOG1 の役割
京都産業大学 総合生命科学部 生命資源環境学科
1愿山(岡本)郁
1*(2015 年 2 月 13 日掲載決定)
DNA damage response in plants:
The roles of SOG1, which is a master regulator of DNA damage response
1Faculty of Life Sciences, Kyoto Sangyo University
Kaoru (Okamoto) Yoshiyama1* (Accepted for publication 13 February 2015)
生物にとってゲノムを安定に維持することは、自らの生命維持だけでなく、子孫に遺伝情報を正 確に伝達するためにも重要である。しかし、紫外線や自然放射線、また生体内の代謝の過程で生じ る活性酸素などによって生物のゲノムは常に傷つけられている。そこで生物はDNA損傷応答と呼 ばれる、ゲノムを安定に維持する機構を有しており、DNAが損傷を受けると、修復する時間を確 保するために細胞周期を停止させたり、修復が間に合わないような重度のDNA損傷を受けた場合 はプログラムされた細胞死を誘導したりする。植物は動物とは異なり、環境ストレスを移動によっ て回避することができないため、紫外線や環境ストレスによって生じる活性酸素に常にさらされ続 けている。また、光合成の際にも多量の活性酸素が産出されるため、植物のゲノムは動物よりも損 傷を受けていると考えられる。それゆえに、植物は独自のDNA損傷応答機構を持つ可能性が考え られる。シロイヌナズナのゲノムには、動物のDNA損傷応答因子のオルソログが複数見つかって いるが、見つからないものも存在する。本総説ではシロイヌナズナのDNA損傷応答において、中 心的な役割を担っているSuppressor of Gamma response 1 (SOG1)の機能と制御メカニズムを中心 に、植物のDNA損傷応答について紹介したい。
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