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(1)臨床神経学 第第58 58巻別冊 巻別冊(2018)58:S250 臨床神経学 (2018)58:S 250. Pj-001-1 脳卒中発症1週間以内の自宅退院予測の検討 1. 雅史1、小田. 哲也2、小牧. 遼平2、遠藤. 北播磨総合医療センターリハビリテーション科、 2 北播磨総合医療センター神経内科. 浩信2、濵口. Pj-001-2 尾張脳卒中地域連携パスの実施状況 浩敏2. 【はじめに】 脳卒中急性期患者の転帰先を早期に予測し,回復期病院へ連携するこ とは重要である.しかし,発症早期から転帰先の予測を検討した報告は少ない. 【目的】 脳卒中急性期患者の発症1週間以内のADL,運動機能から自宅退院の可否 について予測できるかを検討する. 【対象】2017年4月~9月に当院に入院した脳卒 中急性期患者のうち,早期からリハビリテーションを開始した117名.このうち 発症前から寝たきり状態で施設に入所中であった6名,回復期病棟に入院中であっ た1名,進行がんにより緩和ケア病棟に転棟した1名を除外した. 【方法】 対象者を 自宅退院群(45名)と転院群(64名)に割り振り,各評価結果について診療録を用い て後方視的に検討した.2群間において,各項目における統計学的有意差を検定 した.また,ROC曲線で分析を行い,カットオフ値,感度,特異度,ROC曲線下 面積(AUC)を算出した. 【結果】入院時のNIHSS(0~42点),離床時(発症後5日以内) のThe Postural Assessment Scale for Stroke Patients(PASS)(0~36点) ,発症 後1週のFIM(18~126点),Stroke Impairment Assessment Set(SIAS) (0~76点) について検討した.すべての項目で自宅退院群の方が有意に良好であった.入院 時NIHSSは,カットオフ値3.5点で感度74.3%,特異度69.0%,AUC 0.768であった. 離床時(平均発症後日数:3.9日)のPASSはカットオフ値29.5点で感度85.7%,特異 度81.0%,AUC 0.890であった.発症後1週のFIMはカットオフ値90.5点で感度 71.4%,特異度85.7%,AUC0.845,SIASはカットオフ値73.5点で感度74.3%,特 異度83.3%,AUC0.874 であった. 【考察】 転帰先の決定には,嚥下障害や失語症な どの因子も関与しており,本研究ではこれらの検証が不十分である.しかし,今 回検討した項目では,感度,特異度の観点から,離床時のPASSの値が早期から の転帰先の予測因子として最も有用である可能性が示唆された.. ○景山. 23. 日. ○細見. 卓. 東海記念病院. 【目的】当院は愛知県尾張地区の回復期リハビリテーション施設として,近隣地区 の複数の脳卒中地域連携パスの運用を行なっている.今回その中で最も使用頻度 の多い尾張脳卒中地域連携パスの運用状況を検討した.【方法】 2015年10月から 2017年7月に当院に入院した脳梗塞患者のカルテ情報から個々の患者の性別,病 型,発症年齢,発症から当院入院までの期間,入院期間,modified Rankin Scale (mRS) ,入院時および退院時のFunctional Independence Measure(FIM)スコア, および退院後の転帰を後方視的に検討した.【結果】 調査期間中にリハビリテー ション目的で当院に入院した脳梗塞患者68名のうち,尾張脳卒中地域連携パスを 運用して回復期リハビリテーションを行なった脳梗塞患者は28名(女性12名,男 性16名)であった.病型はアテローム血栓性脳梗塞が12名,心原性脳塞栓が 13名, ラクナ梗塞 1名,その他2名であった.発症年齢は76(66-82)歳で,脳梗塞発症か ら当院入院までの期間は30(20.5-39.5)日、入院期間は106.5(70.3-140.5)日であっ た.当院入院時mRSは,IIIが5名,IVが16名,Vが5名,不明が2名であった.入 院時および退院時のFIMスコアはそれぞれ39(29.5-74.5)点と67(42.5-109.5)点で, 在宅復帰率は71.4%であった.一方,尾張脳卒中連携パスを運用していない患者 のうち入院前後のFIMスコアの確認できた例は24名 (女性8名,男性16名)で,発症 年齢,脳梗塞発症から当院入院までの期間, 入院期間, 入院時および退院時のFIM スコア,および在宅復帰率は,いずれも尾張脳卒中地域連携パス運用症例の値と 有意な差はみられなかった.【結論】 本研究では,尾張脳卒中地域連携パス運用患 者において,入院期間や予後における優位性を確認できなかった.. Pj-001-3 脳卒中再発予防教育における自己効力感向上のための. Pj-001-4 全自動凝固分析器CS 2400 を用いたthrombinおよ. ○大嶋. ○津田 鎌田. 介入による効果. 俊範、福島. リナ、池ノ下. 荒尾市民病院 神経内科. 侑、寺本. 清美. 【目的】 脳卒中再発予防教育を行い、脳卒中危険因子の個々の原因に沿った目標を 患者とともに設定・評価していくことで、自己効力感の向上に繋がるかを検証す ること。 【方法】 脳卒中初発または2回目、MMSE23点以上、転帰先は自宅で生活習 慣の自己管理可能な回復期入棟の患者34名を対象にした。2名の患者は途中辞退 したため、32名に対し脳卒中再発予防教育を行いながら、患者と共に1週間毎に 目標を立案し評価した。また転入1週間以内と退院前に「慢性疾患患者の健康行動 に対するセルフ・エフィカシー尺度」24項目を用いて自己効力感を測定し、前後 の比較を行った。 【結果】患者目標は「血圧・体重を毎日測り記録する」 「1日30分以 上の運動をする」 「再発予防教育を受ける」 「薬の効果を知る」などが多く挙げられ、 高い自己評価で達成した。また、 「慢性疾患患者の健康行動に対するセルフ・エフィ カシー尺度」の項目別で見ると、24項目の健康行動に対する質問のうち「規則正し い生活を送ることができる」 「毎日自分の体の症状と検査の結果を記録することが できる」 「適度な運動を計画通りに続けることができる」 「食事、飲水制限について 自己管理できる」などの11項目におき、有意差を認めた。 【考察】再発予防教育で情 報を提供し、達成可能な目標を立て、習慣化するために練習を重ねたことが、自 己規制能力の発達につながった。また試験外泊を何度も繰り返し経験することで 強固な自覚が構築される。家族を含めた面談で家族協力や社会資源を活用したこ とも、24項目の健康行動の自己規制能力に関連する11項目において有意差が見ら れた結果となり自己効力感を高める介入の方向性とし妥当であると考える。 【結 語】脳卒中再発予防教育には家族も含めた多職種での介入が重要であるが、自己効 力感を高めるためには患者自らが立てる目標の達成による達成感が有効である。. びTRAP誘発血小板凝集能の臨床的有用性. 圭介、清水 美衣、名取 麻美、吉田まき子、石角. 達徳、鳴海 陽子、寺山. 岩手医科大学医学部内科学講座神経内科・老年科分野. ○千葉 哲矢1,3、突田 川﨑永美子1、菅谷. 日本医科大学多摩永山病院 脳神経内科. 【目的】 非心原性脳梗塞二次予防ではアスピリンによる抗血小板療法が世界的に普 及している.しかし日本人に対する有効性,安全性を多数例で検討した報告は少 ない.われわれはわが国で行われたアスピリンを対照薬とした抗血小板療法に関 する多施設大規模臨床研究の統合解析(PORCELAIN研究)を継続しており,昨年 の本学術大会において主解析の報告を行った.今回は,先行脳梗塞がアテローム 血栓性と診断されていた症例のサブ解析を報告する. 【方法】 わが国で実施された 抗血小板療法に関する3つの大規模ランダム化比較試験,S-ACCESS試験(2008) , CSPS2試験(2010) ,JASAP試験(2011)のアスピリン投与群の成績を統合し,解析 した.いずれの試験も組み入れ基準は非心原性脳梗塞であり,アスピリン81mgを 投与されていた.今回は対象を先行脳梗塞がアテローム血栓性と診断された症例 に限定し,各試験登録時の患者背景,血圧データについて,脳梗塞再発,脳出血 発症に関わる因子についてロジスティク回帰分析を用いて抽出を試みた. 【結果】 全2762症例のうち,先行する脳梗塞がアテローム血栓性と診断されていたのは835 例(女性238例,平均年齢64.1歳)であった.平均20か月の観察期間中,脳梗塞再発 が69例,脳出血が8例に認められた.脳梗塞発症に関する因子の検討では,脳梗 塞再発に関して,多変量解析の後に年齢と試験開始時の収縮期血圧が有意な弱い 因子(p=0.0008,p=0.012)として抽出され,基礎疾患としての高脂血症が有意な抑 制因子(p=0.015)として残った.脳出血に関する有意な寄与因子は認められなかっ た. 【結論】 アテローム血栓性脳梗塞二次予防においてアスピリンを投与する場合, 高脂血症合併例はよい適応となり,高齢者,血圧高値例は注意する必要があると 考えられた.. -40 代では生活習慣病・喫煙に注意-. 1. 健一1、中村 涼1、結城. 貴彬1、原田 龍平1、渡辺 源也1、 翼1、上之原広司2、鈴木 靖士1. 国立病院機構仙台医療センター神経内科、 国立病院機構仙台医療センター脳神経外科、 3 涌谷町町民医療福祉センター内科 2. 【目的】 脳梗塞は一般に高齢になると発症するとされ,若年者での発症は稀である. 2004年に多施設共同グループ(SASSY-JAPAN)より,若年発症の脳血管障害に 関する詳細な調査報告がなされたが,以後の報告は少ない.当施設の脳梗塞患者 を調査し,若年発症脳梗塞の臨床的特徴を明らかにする. 【方法】2014年11月から 2017年11月に,当施設の神経内科,脳神経外科において入院加療を要した50歳未 満の脳梗塞患者37症例(男26例,女11例)を対象とし,診療録を用い後方視的に検 討した.脳梗塞はTOAST(The trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment) 分類に基づき分類した. 【結果】 発症時の年齢は26-49歳(平均年齢43.5±5.3歳,中央 値46歳)であった.リスク因子として多かったのは,高血圧症19例(51%),喫煙 16例 (43%) であった.来院時の収縮期血圧は105-204(平均154.1±29.8) mmHg,拡 張期血圧は55-132(平均98±18.9) mmHg,NIH Stroke Scaleは0-18点 (0-4点が33例, 89%)であった.脳梗塞の病型として,アテローム血栓性脳梗塞17例(全例40代), ラクナ梗塞7例(30代2例,40代5例) ,心原性脳塞栓症1例,その他の原因として動 脈解離6例,本態性血小板血症2例,もやもや病1例,高ホモシステイン血症1例, 原因不明の脳塞栓症1例であった.入院期間は17.6±11日,退院時のmRSは0-6(0-1 が21例,57%)であった. 【結論】 若年発症の脳梗塞は比較的軽症な例が多いが,機 能予後の悪い例や死亡例も見られた.またアテローム血栓性脳梗塞17例,ラクナ 梗塞5例が40代発症で,合わせて22例で59%を占めた.40代での生活習慣病・喫煙 は脳梗塞発症のリスクと考えられ,健康診断でのリスク因子の早期発見や指導の 徹底が求められる.若干の文献的考察を含め,報告する.. - 371 -. ポスター( 日 本 語 ). ○長尾. 一般 演 題. Pj-001-6 当院における若年発症の脳梗塞. 毅彦. 一雅、. 【背景・目的】Direct oral anticogulants(DOACs)は、抗凝固作用とともに抗血小 板作用があることが知られているが、その測定方法は確立されていなかった。そ こで、我々は、健常者に対して全自動血液凝固測定装置CS-2400(Sysmex社)を 用いて、従来困難であったthrombinおよびthrombin receptor agonist peptide (TRAP)誘発血小板凝集能を前向きに検討した。さらに,心房細動患者における dabigatranのthrombin抑制による抗血小板作用についても前向きに検討した。 【方 法】健常者24名(M/F:9/15,39±10.3歳)に対して、CS-2400に搭載された血小板 凝集能測定機能を用いて血小板凝集能を測定した。また、心房細動患者7例(M/ F:2/5,70±12.4歳)に対して、dabigatran服用前後の血小板凝集能を測定した。 【結 果】 健常人において、thrombinおよびTRAP誘発血小板凝集能は濃度依存的に亢 進した。また、それらを正常群の基準値としてグラフを作成した。 一方、心房 細動患者では、dabigatran服用後にはthrombin誘発血小板凝集能は著明に低下し ていたが、TRAP誘発血小板凝集能は変化が見られなかった。 【結論】本研究では、 CS-2400に搭載された血小板凝集測定機能を用いて、thrombinおよびTRAP誘発 血小板凝集を定量的に測定できた。本手法は、 DOACsの抗血小板作用の定量評価、 ならびにサロゲートマーカーとして有用であると考えられた。. Pj-001-5 脳梗塞二次予防におけるアスピリンの有効性・安全性: アテローム血栓性脳梗塞サブ解析. 新介、大浦 靖夫.

(2) 第 58 巻別冊(2018)58:S251 第臨床神経学 59 回日本神経学会学術大会 58:S 251. 日. 23. Pj-001-7 急性期脳卒中患者における基礎代謝エネルギー量の検討. Pj-002-1 症候性内頸動脈閉塞例におけるArterial Spin. ○藤掛 彰史、田口宗太郎、角田 福岡 敬晃、丹羽 淳一、泉. ○上田. 愛知医科大学病院 神経内科. 由華、比嘉 智子、中島 康自、 雅之、中尾 直樹、道勇 学. Pj-002-2 脳梗塞での画像検査を契機に発見された特発性基底核 石灰化症疑いの一例. 1. 鹿児島医療センター. 裕也1、谷合 秀樹1. 洋造1、宮下 2. 脳血管内科、 岐阜薬科大学. 史生1、脇田. 周一、明浦. 公彦、寺川. JCHO 大阪病院 神経内科. 【目的】以前我々が報告したように、脳卒中の重症度と基礎代謝エネルギー量 (BEE)には関連がある.重症患者の基礎代謝が低下する原因について検討を行っ た.【方法】新規発症脳卒中患者を対象とした.基礎代謝については35例で呼気 ガス分析装置(FIT-2000)を用いてBEEを実測、ハリス-ベネディクトの式(HarrisBenedict Equation、HBE)を用いたBEEの予測値も算出し、その比を検討した (% Pred).脳卒中の重症度はNIHSS、mRSを用いて評価した.MCA領域の梗塞 については、ASPECTS-DWI(AD)11点法での評価も行った。それらの指標と、 BEE、% Pred、JCS、BMIとの相関について検討を行った. 【結果】%PredとmRS についてSpearmanの順位相関を用い検討した所、r=-0.516、p=0.01と相関を認 めた。 .内訳をみると、mRS1~3の患者では、% Predが高値である例(115.4±9.7%) が多く、mRS4~5の患者では差が少ない傾向(96.2±15.1%)であった.% Predと ADにおいても r=0.563、p=0.01と相関を認めた。重症度が高い症例では、脳活 動の低下がBEEを低下させている可能性を考え、JCSとの相関を検討したがr= 0.221、p=0.21と相関は認めなかった. 【結論】 脳卒中の重症度が低いほど% Pred が高値になる傾向があり、投与エネルギー量が不足する可能性について留意する べきである.. ○矢野えりな1、重畠 保住 功2、松岡. Labeling MR画像と脳血管反応性. 政之1、. 【目的】Arterial Spin-Labeling(ASL) MR法は、無侵襲に脳潅流画像が作成可能で 新たな脳循環評価法として期待されている。我々も本法が、内頸動脈(ICA)閉塞/ 高度狭窄例での同側大脳半球における遅延潅流すなわち側副血行の評価法として 有用であることを示してきた。本研究では、さらにAcetazolamide負荷時の脳循 環反応性とも比較検討した。 【方法】脳梗塞を発症し、入院時MRAおよび頸部超音 波法でICA閉塞および高度狭窄(>70%) (右16例、左9例)を認めた25症例(男性21 例、年齢39-86才)を対象に、入院一週間前後で3T-MRI(GE社)を用いたASL潅 流画像を早期相(Post Labeling Delay(PLD)Time =1525ms)および後期相(PLD Time =2525ms)で作成し、その結果より3群(I-III群)に分類。各群でMRI画像や Acetazolamide負荷を含めたSPECT画像、脳血管撮影所見、臨床経過と比較検討 した。 【結果】 I群 (6例) :ASL画像早期相・後期相共に閉塞側大脳半球に広範囲に潅 流低下を認めた群では、同側の中大脳動脈領域を中心に脳梗塞巣が多発し、施行 した2例でSPECT画像上も同側大脳半球の高度血流低下を確認した。II群(14例): ASL画像早期相で病側の潅流低下を認めたが、後期相では改善し対照側との差 が減少した群では、5例で同側大脳半球の分水嶺領域に血行力学的梗塞を認めた。 血管造影を施行した2例で同側外頸動脈系由来の約1秒遅延する側副血行を確認し た。Acetazolamide負荷試験を施行した6例中、全例で同側大脳半球の安静時血 流は低下、1例で負荷後盗血減少を認めた。III群(5例) :ASL画像で早期相・後期 相ともに閉塞側大脳半球で潅流低下を認めなかった群では、2例で動脈原性塞栓 (Artery-to-Artery Embolism)と診断、Acetazolamide負荷試験を施行した3例全 てで良好な安静時血流と負荷後の良好な血流増加を認めた。 【結論】ASL-MR潅流 画像は、内頸動脈閉塞/高度狭窄例における脳循環病態の評価に有用と考えられ た。. Pj-002-3 皮質下の進行性石灰化を伴う脳硬膜動静脈瘻の 2 症例 ○丸岡 浩之1,2、齋藤 和田 義明2 1 3. 薬物治療学研究室. 一般 演 題. 特発性基底核石灰化症(idiopathic basal ganglia calcification:IBGC)は,Fahr病 とも言われている神経精神疾患であり,両側対称性に大脳基底核・小脳歯状核・ 大脳白質に石灰化を来たす.症状は無症候のものからパーキンソニズムやてんか ん,精神症状,発達障害など様々であり,一部には家族性の発症も指摘されてい る.今回構音障害と右下肢単麻痺を主訴に脳梗塞を発症し,経過中の検査でIBGC を疑った1例について文献的考察を含め報告する. 症例は75歳,女性.数年前か ら原因不明の失神や小刻み歩行を認めていた.1週間ほど前から足の運びが悪く, 呂律の回りにくさも自覚していた.症状改善ないことから近医受診,頭部MRIで 多発性に新規小梗塞巣を認め,加療目的に当院転院搬送.来院時一般身体所見に 異常はなく,Albright徴候も認めなかった.神経学的にはJCS:Ⅰ-3の意識障害 と構音障害,右下肢の運動麻痺を認め,歯車様筋固縮とマイヤーソン徴候を認め た.頭部MRIではDWIで右小脳半球・脳幹部・両側大脳半球に散在性に高信号域 を認めた.頭部CTでは両側小脳歯状核・視床枕・淡蒼球・半卵円中心に高吸収域 を認めた.脳梗塞に関しては塞栓源検索を行い,右腕頭動脈と左総頚動脈の共通 幹部の可動性plaqueによる大動脈原性脳塞栓症と判断し,抗凝固療法での2次予 防を開始した.石灰化病変に関しては副甲状腺疾患・Cockayne症候群・AicardiGoutieres症候群・ミトコンドリア脳筋症・Down症・膠原病等を鑑別に挙げ, IBCGもしくは石灰化を伴うびまん性神経原線維変化病(Diffuse neurofibrillary tangles with calcification:DNTC)疑いと判断した.家族歴は認めていないが現 在遺伝子異常を検索中である. 両側基底核は加齢に伴う生理的石灰化を来しやす い部位であり,日常臨床でも高頻度に遭遇するが,病的な石灰化を認める場合に は本疾患を疑うべきである.. 晴彦. 和幸2、久保寺隆行2、岩間. 淳哉3、岩渕. 東京医科歯科大学神経内科、2 日産厚生会玉川病院脳神経内科、 東邦大学医療センター大橋病院脳神経外科. 【目的】 硬膜動静脈瘻(dAVF)に皮質下の石灰化を伴った症例が過去に報告されて いる。診断的価値のある所見と考え、2症例を報告する。 【結果】 症例1 :2年前に一 過性の上肢のしびれを自覚し、この時他院の頭部CTにて左後頭葉の石灰化を指摘 された。4ヶ月前に一過性意識障害で入院歴があった。某日、意識障害を主訴に 当院へ救急搬送された。JCS II-10、重度失語と失行を認め、右顔面・上肢にけい れん発作が出現した。頭部CTにて左後頭葉皮質下に沿った線状の石灰化を認めた (2年前と比較して増悪していた。)。頭部MRIでは左側頭後頭葉にT2WIにて皮質 静脈のflow voidを多数認めた。造影MRIでも拡張した皮質静脈を認めた。脳血管 造影を施行し、左後頭動脈、左上行咽頭動脈、左中硬膜動脈を流入動脈とする左 横静脈洞・S状静脈洞部硬膜動静脈瘻(Cognard分類IIa+b)と診断し、経静脈的塞 栓術が施行された。症例2:約1年前に初発の全身性けいれん発作にて他院に入院。 この時の頭部CTでは石灰化は認めなかった。その後抗てんかん薬を継続内服する もけいれん発作を何度か繰り返した。某日、意識混濁と右上肢の麻痺が出現し当 院へ救急搬送された。頭部CTでは左頭頂葉皮質下の石灰化が出現しており、造影 CTにて左側頭葉、 後頭葉、 頭頂葉の皮質静脈の拡張を認めた。脳血管造影を施行し、 両側中硬膜動脈、左後頭動脈、右浅側頭動脈を流入動脈とし、皮質静脈へ流入す る硬膜動静脈瘻 (Cognard分類III) と診断し、流入血管塞栓術が施行された。 【考察】 石灰化の機序として盗血現象による慢性的な低潅流や長期的な静脈うっ血による 静脈壁の二次的な変化がこれまで主張されている。今回2症例とも過去のMRIの 所見などからdAVFによる長期間の静脈鬱滞の可能性が疑われた。過去の報告例 では大脳基底核などにも石灰化を認めたものもあるが、必ず皮質下には認めてお り、同所見を認めた場合はdAVFを念頭に置く必要があると考えられた。. ポスター( 日 本 語 ). Pj-002-4 一過性黒内障と網膜動脈閉塞症の頸動脈超音波所見の差異. Pj-002-5 先端的MRI撮像法による頭蓋内血管病変の評価. ○飯塚賢太郎1、岡村 岡部 龍太1,2、岩崎 平田 幸一4. ○青木 華古1、服部 横田 隆徳1. 穏1、竹川 英宏1,3、鈴木 晶夫1、鈴木 綾乃1、塚原. 圭輔4、 由佳1、五十嵐晴紀1、. 1. 獨協医科大学病院 神経内科 脳卒中部門、2 公立阿伎留医療センター 内科、 3 獨協医科大学超音波センター、4 獨協医科大学神経内科. 【目的】眼動脈閉塞には頸動脈病変に起因する一過性黒内障のほか,網膜中心動脈 閉塞症/網膜動脈分枝閉塞症(RAO)が知られており,これらは眼虚血症候群と呼 ばれている.しかし,両者の頸動脈病変ならびに眼動脈血流波形の差異について の検討は少ない.前回から症例数を増やし,再検討したため報告する.【対象と 方法】対象は一過性黒内障12例,網膜中心動脈閉塞症6例および網膜動脈分枝閉塞 症4例である.頸動脈超音波検査を用い,障害側のプラークスコアおよびパルス ドプラ法を用い内頸動脈(ICA)のPI値とRI値を評価した.眼動脈のパルスドプラ 波形は正常型,逆流型,to and fro型,アーチ型,動脈硬化型,高血流型に分類 した.一過性黒内障とRAOの際につき,カイ二乗検定およびマン・ホイットニー のU検定で解析した.【結果】両群の背景因子に有意差はなかった.一過性脳虚血 発作では4例(13.3%)にICA閉塞を認めたが,RAOには閉塞例は存在しなかった. ICA閉塞例を除外した26例のプラークスコアをみると,一過性黒内障は1.2点であ り,RAOは4.5点で有意な傾向を示す方向にあった(p=0.055).また,PI値 (前者0.97, 後者1.14,p=0.23)およびRI値(前者0.59,後者0.65,p=0.299)にも差はなかった. 一方,眼動脈波形は動脈硬化型が最も多く,一過性黒内障で11例(42.3%) ,RAO で7例(40.0%)にみられた.正常型の眼動脈波形は一過性黒内障では存在しなかっ たが, RAOでは3例 (21.2%)に存在した. 【結論】一過性黒内障とRAOでは背景因子, 眼動脈波形に差はないが,プラークスコアではRAO優位に高い傾向を示す方向に あった.また,ICA閉塞は一過性黒内障で多い可能性がある.. 聡3 、. 1 2. 高明1、大山. 潤2、齋藤明日香1、石橋. 哲1、. 東京医科歯科大学脳神経病態学(神経内科)、 東京医科歯科大学医学部附属病院 放射線科. 【目的】今日、頭蓋内血管病変は、造影CT、単純と造影MRI、血管造影検査を組 み合わせて評価することが一般的である。一方で、MRIの先端的撮像法を組み合 わせることで血管病変の評価が厳密に行えるようになってきている。本研究で は、three-dimensional Time-of-Flight Magnetic resonance Angiography(TOFMRA)、three-dimensional balanced steady-state free precession(3D-bSSFP) 法、three-dimensional fast spin echo(3D-FSE)法を異なる血管病変をもつ臨床 例に応用して有用性を検討した。 【方法】 全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus,SLE)による中枢神経血管炎を呈した34歳女性の症例および前大 脳動脈解離に伴う脳梗塞を呈した51歳女性の症例で、最も狭窄している部位と動 脈解離の部位をTOF-MRA、3D-bSSFP、3D-FSE T1強調画像で撮像し視覚的に評 価した。SLE中枢神経血管炎の症例では血管造影検査も行った。 【結果】SLE中枢 神経血管炎の症例ではTOF-MRAの元画像で中大脳動脈の狭窄部位のTOF信号は 連続性に乏しく描出不良であった。3D-bSSFP法では血管の外径を明瞭に描出で きた。3D-FSE法では狭窄部位の内腔はflow voidとして観察でき、同部位の血管 壁は壁の肥厚として描出された。血管造影検査により同部位に強い狭窄はあるが、 血流は存在することを確認した。前大脳動脈解離の症例では、TOF-MRAの元画 像により動脈解離部位における真腔のTOF信号、flap、偽腔が明瞭に描出された。 3D-bSSFP法では明瞭に血管外径が描出された。3D-FSE法では真腔のflow voidに 加えflapと血栓化偽腔が一体となり三日月型に壁肥厚した所見を呈した。 【結論】 本 研究よりTOF-MRAは動脈解離のような血管内信号の微妙な差異の検出に優れ、 3D-bSSFP法は血管の外径の描出に優れ、3D-FSE法は血管壁および壁在病変の描 出に適しており、これらを組み合わせて使用することは、血管病変の詳細な評価 に有効であることが示唆された。. - 372 -.

(3) 臨床神経学 第第58 58巻別冊 巻別冊(2018)58:S252 臨床神経学 (2018)58:S 252. Pj-002-6 脳血管障害発症後にcerebral microbleedsが増加す ○寺澤 由佳、小松 鉄平、坂井健一郎、大本 豊田千純子、井口 保之. 周作、三村. 秀毅、. 1. 東京慈恵会医科大学病院 神経内科. Pj-003-1 急性脳底動脈閉塞(acute basilar artery occlusion, ABAO)の急性昏睡の特徴. 1 2. 弘基1、田中. 陽平1、鈴木. 倫明2、源甲斐信行2、阿部. 立川綜合病院 循環器・脳血管センター神経内科、 立川綜合病院 循環器・脳血管センター脳神経外科. 愛1、新堂 有芽4、当麻. 晃大1、伊井裕一郎1、前田 直樹4、阪井田博司4、鈴木. 正幸2、海野 秀謙4、冨本. 三重大学医学部神経内科、2 三重大学医学部先進画像診断学講座、 3 三重大学医学部放射線科、4 三重大学医学部脳神経外科. 【背景】 cerebral microbleeds(CMBs)は加齢とともに増加する。本研究の目的は 脳血管障害後にCMBsが増加する症例の特徴を検討することである。【方法】本研 究は後ろ向き研究である。2016年度、脳血管障害発症後、6か月以上の間隔を空 けて頭部MRIを2回以上実施した患者を対象とし、CMBsが増加した症例の特徴を 比較検討した。【結果】 2016年度脳血管障害後に当科外来を受診した患者は879例、 うち2回以上頭部MRIを実施したのは494例(男性366例、平均65歳)であった。初回 MRI時CMBsを認めたものは169例(34%)であり、最終MRI時CMBsを認めたもの は220例(44%)であった。追跡期間中CMBsの増加を認めたものは138例(28%)であ り、増加した群では初回MRI時高齢であり(68歳 vs 62歳,p=0.001)、経過観察期間 が長かった (38か月 vs 30か月, p=0.002)。また、初回MRI時CMBs陽性が多く (60% vs 21%, p=0.001) 、皮質のCMBsが多かった(38% vs 14%, p=0.001)。基礎疾患で は高血圧が多く(75% vs 60%, p=0.002)、抗凝固薬や抗血小板薬の内服に有意差は 認めなかった。血管性認知症(55%)、出血性脳卒中(52%)は虚血性脳卒中(26%) に 比べCMBsが増加する症例が多かった(p=0.004)。また、経過中4例(0.8%)で症候 性脳出血を発症し、内訳はCMBs増加群で2例(1.4%)、CMBs非増加群で2例 (0.6%) であった。【結論】脳血管障害発症後3割の症例でCMBsは増加する。. ○高野. Pj-002-7 頚動脈ステント術後の微小脳出血に関する検討 ○伊藤 鈴木. 博史2. 【目的】 微小脳出血(CMBs)はMRI T2*強調画像やsusceptiblility-weighted image (SWI)で点状~小斑状の低信号として検出される病変であり、主に高血圧性脳小 血管病や脳アミロイドアンギオパチーが原因となる。近年、血管破綻による赤血 球漏出以外に微小塞栓に続発する二次的CMBsの存在が示唆され、機序の多様性 が指摘されている(FisherM., Neurology 2014) 。頚動脈ステント留置術(CAS)で は術後にCMBsが認められることが報告されているが、その原因は未だ不明であ る。今回、CAS後にMRI T2*強調画像で点状の低信号を示す原因について検討し た。 【方法】当院で2008年1月から2017年4月にCASを施行した176例について後方 視的に検討を行った。CAS前後にT2*強調画像(T2*)もしくはSWIを施行した症例 で、術後新たに点状~小斑状低信号の出現について検討した。これらの症例につ いて画像所見ならびに臨床的特徴について検討を行った。 【結果】 127例でCAS前後 にT2*もしくはSWIが施行され、13例で新規の微小低信号を認めた。13例中5例は アーチファクトの可能性があり、8例(6.2%)をCMBsと判断した。CMBs陽性群と 陰性群で比較を行ったが、高血圧、糖尿病、高脂血症や2剤以上の抗血小板薬使用、 術後過灌流症候群の出現に関しては有意差を認めなかった。 【考察】 CAS後約6%に 新規CMBsが出現したが、血管危険因子、薬剤使用や過灌流症候群の出現と関連 を認めなかった。微小塞栓に続発するCMBsの機序が示唆されたが、今後のさら なる検討が必要である。. Pj-003-2 脳卒中発症時の嘔吐と頭痛・めまいの関連についての検討 ○中江 1. 啓晴1、萩原. 真斗1、小泉. 寛之1、吉田. 済生会横浜市南部病院 神経内科、2 横浜市立大学. 環1、田中. 医学部. 章景2. 神経内科. 【目的】脳卒中発症時に嘔吐を呈する患者をしばしば見受けるが,頭痛,めまいを 含む随伴症状の頻度や特徴については必ずしも明らかにされていない.そこで, 脳卒中発症時の嘔吐と頭痛,めまいの関連について検討する. 【対象と方法】 対象 は脳卒中患者1391例 (脳梗塞1040例:74.8%,脳出血293例:21.1%,TIA58例:4.2%). 来院直前もしくは来院後1時間以内に嘔吐があった患者における頭痛,めまいの 頻度を病型別に調査した. 【結果】 嘔吐のあったものは全体では107例(7.7%)で,脳 梗塞では56例(5.4%) ,脳出血では49例(16.7%) ,TIAでは2例(3.4%)で,脳出血で 有意に高頻度であった(P<0.05,カイ二乗検定) .嘔吐のあった患者における頭痛 の頻度は脳卒中全体で25例 (23.4%) ,脳梗塞で9例 (16.1%) ,脳出血で16例 (32.7%), TIAで0例(0%) ,嘔吐のなかった患者では,それぞれ69例(5.4%) ,40例(4.1 %), 26例(10.7 %) ,3例(53.6%)であり,TIAを除き嘔吐と頭痛の関係は有意であった (P<0.05) .一方,嘔吐のあった患者におけるめまいの頻度は脳卒中全体で40例 (37.4%) ,脳梗塞で30例(53.6%) ,脳出血で8例(16.3%) ,TIAで2例(100%),嘔吐 のなかった患者では,それぞれ57例 (4.4%) ,48例 (4.9%) ,6例 (2.5%) ,3例(53.6%) であり,全病型で嘔吐とめまいの関係は有意であった(P<0.05). 【結論】脳卒中発 症時の嘔吐は頭痛やめまいを随伴しやすく,特に脳出血では頭痛との,脳梗塞, TIAではめまいとの関連が強いことが示唆された.. Pj-003-3 神経内科で遭遇する硬膜動静脈瘻の特徴. Pj-003-4 脳血管障害による口蓋振戦の臨床的多様性の解析. ○上野 晃弘1、吉長 金谷 康平2、堀内. ○林. 2. 修明1、赤川 良樹1. 優美1、一ノ瀬峻輔2、. 信州大学医学部附属病院 脳神経内科、リウマチ・膠原病内科、 信州大学医学部附属病院 脳神経外科. 【背景】硬膜動静脈瘻は、硬膜に発生する異常な動静脈短絡を病態として脳症や脊 髄症を呈する疾患で、神経内科が目にすることが少なくない病態である。機能予 後・生命予後の改善に早期診断と治療が神経内科医に求められる。【目的】 当科で 経験した硬膜動静脈瘻症例について臨床的特徴について検討した。【方法】2001年 から2016年まで当院を受診した硬膜動静脈瘻患者は計72名。当科で経験した6例に ついて臨床症状、動静脈短絡部位、診断までの期間、機能予後・生命予後につい て比較検討した。【結果】6例のうち、脊髄硬膜動静脈瘻が5例、頭蓋頸椎移行部硬 膜動静脈瘻が1例であった。脊髄硬膜動静脈瘻5例では全例で下肢のしびれを初発 症状とし、経過で下肢の運動感覚麻痺が進行し、膀胱直腸障害を認めた。異常信 号部位はTh5-L2の全部または一部の長大病変で、初期診断は2例が脊髄硬膜動静 脈瘻、多発性硬化症や脊柱管狭窄症、脊髄腫瘍が各1例であった。正しい診断まで の期間は6か月から21か月であった。4例が観血的治療、1例が血管内治療で術後症 状の改善が得られたが膀胱直腸障害は4例で改善せず、1例で術2年後に改善した。 頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻1例では意識変容・不全片麻痺を初発症状とし、経過 で坐位保持困難となった。異常信号部位は延髄から小脳にかけてあり、C1に異常 血管が描出された。診断までの期間は5日で観血的治療後に症状が改善し独歩可 能となった。【結論】神経内科で遭遇する硬膜動静脈瘻の特徴として下肢のしびれ から始まる上行性で運動感覚麻痺を呈する脊髄症が多い。他疾患との鑑別が重要 で膀胱直腸障害が見られる前に可及的早期に診断し治療するべきである。. 紗葵、大井. 長和. 京都博愛会病院 神経内科. 【目的】脳幹の血管障害により口蓋振戦(PT)を生じた症例の臨床的解析をするこ と。【対象と方法】 PTのみを示す1症例、PTと律動性眼振 (PN) を伴う (oculopalatal tremor:OPT)2症例について神経学的徴候、脳画像検査、眼球運動図を用いて解 析した。 症例1:64歳男性、右利き。X年某日の就寝中に吐血した。救急車で搬送 中に話せなくなり、意識清明、中枢性顔面神経麻痺、水平性眼球運動障害、四肢 麻痺が出現して、閉じ込め症候群と診断。脳MRI/MRAで橋・中脳梗塞と脳底動 脈閉塞を認めた。発症4年後にPTを認めた。 症例2:41歳男性、右利き。Y年某 日に頭痛、左半身のしびれ感と運動麻痺が出現して入院。頭部CTで橋出血を認め、 気管切開施行。発症5年後にリハビリ目的で当院に入院し、意識清明で同年にPT と垂直性PN(2Hz) (OPT) を認め、閉じ込め症候群と診断した。 症例3: 76歳男性、 右利き。Z年の某日朝に、起こすも返事がないために、救急病院に搬送。神経学 的に、心房細動、JCS Ⅱ-30、瞳孔不同:右/左=7mm/2mm、直接対光反射消失、 全外眼筋麻痺、四肢不全麻痺、呼吸不全 (挿管管理) を認め、脳MRI/MRAで視床・ 中脳梗塞、脳底動脈閉塞を認めた。気管切開、胃瘻造設を施行。発症1ヶ月後に 当院に転院し、発症9年後に水平性PN(1.5Hz)、舌、口蓋および喉頭の律動性振 戦、除皮質拘縮、四肢麻痺、DTRs亢進を認めた。【結果】 症例1は、橋梗塞による central tegmental tract(CCT)の障害でPTが出現。眼球運動神経路の障害により 眼振はない。症例2は、橋の出血によりCCT障害があり、両側PPRFの障害で水平 性眼球運動が消失して、垂直性PNが出現。症例3は、CCTと垂直性眼球運動路の 障害で、水平性PNが出現し、発生学的に同一支配の喉頭筋にも律動性振戦を認め た。3症例ともに脳MRIで下オリーブ核病変を同定した。【結論】CCTと眼球運動 神経路の障害により、OPTの発現の有無と眼振の方向性が決まる可能性がある。. - 373 -. ポスター( 日 本 語 ). 1. 恒明1、加藤 哲吉2、関島. 23. 一般 演 題. 【目的】急性脳底動脈閉塞症(Acute basilar artery occlusion, ABAO)は虚血性脳卒 中の1%と稀であり、初診時に非特異的な昏睡を呈してことも多く、診断が遅延す ることも少なくない。本研究では、ABAOによる急性昏睡の特徴を明らかとする。 【方法】2011年1月-2016年8月の診療録より、脳底動脈閉塞症27人が抽出され、初診 時にJCS 100以上の意識障害は13人、その中で意識障害発症が目撃された8人(中央 値82歳、範囲67-95歳、女性5人)を対象とした。脳底動脈閉塞は血管画像(MRA,DSA) で診断した。比較のため、2016年11月-2017年10月に初診時JCS 100以上だった ABAOを除く脳卒中患者39人の中で発症を目撃された19人を検討した。 【結果】 ABAO全8人は、突然に意識を消失し、その時点で呼びかけに返答や開眼せず、救 急要請され(発症から中央値62分, 範囲5-167分)、救急隊接触時(発症69分, 10-171分) のJCSは3桁であった。病院到着時(発症93分, 23-196分)、除脳硬直は5人に、瞳孔 不同は4人に、いびき様多呼吸は4人に、微弱呼吸は3人に認められたが、片麻痺は 認めなかった。DWIによるpcASPECTS(後方循環梗塞のスコアで、10点が梗塞無 し、0点は全範囲梗塞を示す)は7人で評価され(中央値6点, 2-9点)、脳底動脈全部の MRA信号を認めない3人の中央値7点と遠位部のみMRA信号を認めない4人の中央 値5点に有意差はなかったが(マン・ホイットニー検定 P=0.28)、発症から撮像ま での時間(136分, 47-252分)と高い負の相関(スピアマン相関係数r= -0.89)を認めた。 非ABAO全19人(内頸動脈閉塞2人、くも膜下出血5人、脳内出血12人)は1人を除い て、頭痛、嘔吐、または片麻痺を伴った発症であって、救急隊接触時点ではJCS 3 桁は3人のみであった。 【結論】BAOによる急性昏睡の突発性は非BAO脳卒中の昏睡 と比較しても際立っており診断的であると考えられた。また、BAO昏睡は脳底動 脈の遠位部閉塞が関連し、梗塞範囲は発症からの時間に相関していた。. 真紀3、 秀和1. 日. る症例の特徴.

(4) 第 58 巻別冊(2018)58:S253 第臨床神経学 59 回日本神経学会学術大会 58:S 253. 日. 23. Pj-003-5 脳梗塞患者における注意機能と足関節上腕血圧比の検討. Pj-003-6 自覚的異常感覚を呈する脳梗塞についての検討. ○加藤 陽久1、吹谷 青山 瑠美2、山﨑 齊藤 智子1、田口 相澤 仁志1. ○秋本 高義1、横田 二宮 智子1、南 森田 昭彦1、相澤. 和代1、太田とし江2、松丸 純1、渡邊 江莉1、新井 丈士1、井戸 信博1、赫. 聖太2、苫米地義和2、 礼美1、大久保芳彦1、 寛雄1、上野 竜一2、. 1 2. 1. 東京医科大学 神経内科学分野、 2 東京医科大学病院 リハビリテーションセンター. 【目的】脳梗塞患者においてBIT行動性無視検査と足関節上腕血圧比(ABI)の測定 を行い、注意機能と動脈硬化性変化の関連を検討した。【方法】当科入院歴のある テント上病変を有する脳梗塞患者20例(男性17例・女性3例、64.9±9.2歳)を対象と してBIT行動性無視検査・通常検査(日本版)とABIの結果とを比較した。脳梗塞は 右病変7例・左病変11例・両側病変2例であった。MMSEにて23以下の症例、明ら かな失語がある症例は除外した。また、BITにて半側空間無視があると考えられ る、BITの合計得点が131以下であった症例、BITの各下位項目(線分抹消試験・文 字抹消試験・星印抹消試験・模写試験・線分二等分試験・描画試験)でカットライ ン以下のものがあった症例は除外した。大脳白質病変はFazekasらの分類により DWMH grade およびPVH gradeを評価した。以上の条件で、BITの合計得点およ び各下位項目の得点とABIの結果について相関を検討した。p<0.05を有意水準とし た。【結果】大脳白質病変はDWMH grade 1.3±0.9、PVH grade 1.1±0.9であった。 BITの各下位項目のうち、文字抹消試験とABIのあいだに有意な相関が認められ た。年齢やMMSE、DWMHおよびPVH gradeとABIとのあいだに有意な相関はみ られなかった。【結論】BITは抹消課題と表象課題に大別されるが、抹消課題のうち、 文字抹消試験は仮名ひろい検査としても広く知られている注意を簡便に知ること ができる検査である。本研究では半側空間無視と考えられる症例は除外している ことから、文字抹消試験での成績は注意機能を主として反映しているものと考え られる。本研究において文字抹消試験の成績とABIの結果とに相関がみられたこ とから、動脈硬化性変化と注意機能とのあいだに関連があることが示唆された。. 優樹1、見附 紘子1、原 芳裕2、齋藤. 和鷹1、塩原 誠1、石原 佑記2、門野. 日本大学医学部内科学系神経内科学分野、 日本大学医学部内科学系循環器内科学分野. 恵慈1、齋藤 正樹1、塩田 越2、亀井. 磨理1、 宏嗣1、 聡1. 【目的】 発症時に自覚的異常感覚を呈した脳梗塞患者にみられる神経症候、画像所 見、梗塞の原因などについて検討した。 【方法】2015年10月16日から2017年9月24日 まで入院した虚血性脳卒中患者について前向きに検討した。この期間に神経内科 に入院した虚血性脳卒中は274例であった。自覚的異常感覚は入院時の患者主訴、 現病歴について医師、看護師の記録を参照し「しびれ」 、 「ぴりぴり感」といった記 載がある例とし、肢の運動麻痺を指していた例は除外した。異常感覚をきたす疾 患が併存する例では新規に異常感覚を生じた例のみ含めた。意識障害、失語、認 知症のため自覚的異常感覚の評価が困難であった・研究に同意を得られなかった 83例、MRIで責任病巣を同定できなかった33例を除いた158例について検討した。 【結果】 発症時に自覚的異常感覚を呈した例は21例であった。梗塞部位は中大脳動 脈領域4例、視床8例、橋背側6例、橋腹側+背側1例、上部延髄内側1例、延髄外 側1例であった。併存する神経症候は顔面麻痺4例、構音障害8例、肢の麻痺10例、 失調11例、表在感覚低下10例、深部感覚低下は13例に評価され、うち2例にみら れた。自覚的異常感覚のみを呈した例はなくいずれも何らかの神経症候を伴って いた。画像所見、原因はラクナ梗塞15例、Branch atheromatous disease 3例、ア テローム血栓性脳梗塞2例、心原性脳塞栓症1例であった。退院時modified Rankin Scaleは0が7例、1が8例、2が5例、3が1例であった。 【結論】脳梗塞による感覚障害 では自覚的な感覚障害と他覚的な感覚障害を弁別して検討している報告は限られ ている。自覚的異常感覚を呈する脳梗塞は視床、橋背側に生じるラクナ梗塞が多 く、脳梗塞全体からみると予後は比較的良好あった。他覚的な感覚低下を伴わな い例もあることから、患者の訴える異常感覚にも着目することが重要である。. Pj-003-7 頭蓋外内頚動脈血管攣縮の臨床的特徴. Pj-004-1 POEMS症候群に合併した脳梗塞の臨床的,画像的検討. ○松田さきの、高岡. ○光武 明彦1、松本 橋田 秀司1. 賢、古木美紗子、大林. 独立行政法人国立病院機構. 正人. 災害医療センター 神経内科. 【目的】頭蓋内血管の可逆的な攣縮をきたす可逆性脳血管攣縮症候群は広く知られ ているが, 頭蓋外頸部内頚動脈における攣縮はまれである. 当院で経験した頭蓋外 内頚動脈血管攣縮の2例と, 頭蓋外椎骨動脈血管攣縮が疑われた1例を報告し, 文献 的考察を交えて, 頭蓋外内頚動脈, 椎骨動脈血管攣縮の臨床的特徴を明らかにする. 【方法】症例提示:〈症例1〉42歳, 女性. 32歳時に脳梗塞既往あり. 34歳時に右不全片 麻痺あり, 両側大脳分水嶺梗塞とMRAで両側内頚動脈の狭窄を認めた. 41歳時に 冠攣縮性狭心症, 42歳時に心筋梗塞を発症し, その後も狭心痛を繰り返した.〈症例 2〉29歳, 男性. 運転中に閃輝暗点出現後, 意識消失した. 両側前頭葉に脳梗塞認め, 血管造影施行時, カテーテル操作で両側内頚動脈攣縮誘発された. その後も誘因の ない内頚動脈攣縮による虚血症状の再発を繰り返している.〈症例3〉53歳, 女性. 強 い頚部痛後の, 歩行障害, 左上肢感覚障害で受診し, MRAで椎骨脳底動脈の狭窄を 認め, 入院中に左椎骨動脈からの出血を認めた. 椎骨動脈に明らかな壁内血腫認め ず, 血管径の経時的な変動を認めたため, 椎骨動脈血管攣縮を疑った. 【結果】現在 までに頭蓋外内頚動脈攣縮は23例報告されていた. 頭痛がほぼ必発と言われる可 逆性脳血管攣縮症候群に対し, 頭蓋外内頚動脈攣縮では, 頭痛を伴った症例は27% (7/26)にとどまっていた. 冠攣縮性狭心症もしくは心筋梗塞の合併を35%(9/26) で認めていた. 血管攣縮の持続時間は7日以内の症例が多かった.【結論】頭蓋外動 脈攣縮では, 頭痛は必ずしも随伴せず, 血管攣縮時間も短めであり, 血管リスクの 低い再発性脳梗塞では本疾患を考慮して頚部血管の早期評価が必要である.. 1 2 3. 英之1、波多野敬子1、入江. 日本赤十字社医療センター 日本赤十字社医療センター 日本赤十字社医療センター. 是明2、塚田. 神経内科、 脳神経外科、 血液内科. 【目的】 POEMS症候群に合併した脳梗塞の自験例の脳梗塞の臨床的・画像的特徴を 検討した. 【方法】2010年以降当院に入院したPOEMS症候群で脳梗塞合併2例の臨 床経過,画像所見を検討した. 【症例1】34歳女性.動脈硬化リスクなし.POEMS 症候群に対してレナリドミドを開始したが,7日後に右片麻痺,失語が一過性に 出現し,TIAと診断した.MRAで頭蓋内主幹動脈の全体的な狭小化と両側内頸動 脈終末部の描出不良を認めた.レナリドミド中断,抗血栓療法により,14日間再 発なく経過した.しかし,レナリドミド再開直後から,TIA,脳梗塞を繰り返し た. 【症例2】75歳男性.脂質異常症,喫煙歴あり.72歳時にPOEMS症候群と診断 し,メルファラン・デキサメサゾン(MD)療法,自家末梢血幹細胞移植を実施し た.定期的にMD療法を施行していたが,75歳時に構音障害,左片麻痺を発症し, 頭部MRIで右中大脳動脈領域の脳梗塞を認めた.MRAでは右内頸動脈から右中大 脳動脈にかけて描出が不良であった.抗血栓療法にも関わらず,梗塞巣は拡大し た. 【考察】前方循環系優位の脳動脈狭窄を2症例に共通して認めたが,動脈硬化リ スクは乏しく,アテローム血栓性機序ではないと判断した.POEMS症候群では 9.2%に脳梗塞を合併するとされ,脳動脈狭窄を認める症例も報告されている.そ の多くで,我々の症例と同様に脳動脈狭窄は前方循環系優位であった.また2症 例とも化学療法中に脳梗塞を発症しており,化学療法による血栓傾向の関与が疑 われた. 【結語】アテローム血栓性機序とは異なる前方循環系の脳動脈狭窄を背景 とした脳梗塞が,POEMS症候群に合併する脳梗塞の特徴と考える.脳動脈狭窄 を有する症例では,化学療法の実施には注意を要する.. 一般 演 題. Pj-004-2 前方循環系の頭蓋内動脈解離の臨床的および画像的特徴. Pj-004-3 出血性梗塞をきたした脊髄梗塞の1例. ○山口 佳剛1,2、古賀 政利3、中村 祐貴2,4、蒔田 直輝2、 森田 佳明5、井手 俊宏2、和田 晋一2、猪原 匡史6、豊田. ○西村 拓哉1、須田 関根 鉄朗1,2、木村. ポスター( 日 本 語 ). 1. 一則2. 山形県立中央病院 神経内科、2 国立循環器病研究センター 脳血管内科、 国立循環器病研究センター 脳卒中集中治療科、4 札幌医科大学 神経内科、 5 国立循環器病研究センター 放射線部、6 国立循環器病研究センター 脳神経内科 3. 【目的】日本人において前方循環系の頭蓋内動脈解離は後方循環系と比べて少な く、その特徴は十分に明らかにされていない。我々は前方循環系の頭蓋内動脈解 離の臨床的および画像的特徴について検討した。【方法】 2011年3月から2016年11 月に当科に入院した頭蓋内動脈解離症例を対象とした。診断にはDebbeteら (Lancet Neurol, 2015)の基準を用いた。前方循環系および後方循環系の2群に分け、臨床 的特徴およびMRI所見を比較した。【結果】63例(女性15例、51±12歳)の頭蓋内動 脈解離が抽出された。前方循環系は15例(23.8%)、その内訳は前大脳動脈7例、中 大脳動脈4例、内頚動脈1例、中大脳動脈および内頚動脈3例であった。前方循環系 と後方循環系の2群間において、年齢、性別を含めた背景因子、3か月後転帰に有 意差をみとめなかった。前方循環系では、虚血性または出血性脳卒中で発症した 割合、片麻痺を呈する割合、および入院時NIHSSが高く(それぞれ86.7% vs 50.0%, p = 0.016, 66.7% vs 4.2%, p <0.001, 中央値5点 vs 1点, p = 0.005)、頭痛または頚 部痛を呈する割合が少なかった(46.7% vs 77.1%, p = 0.0497)。初回MRIでは後方 循環系で最も多くみとめた紡錘状拡張または動脈瘤形成は前方循環系では少なく (13.3% vs 45.8%, p = 0.033)、主に亜急性期に施行された頭部MRIにおいても同様 の傾向をみとめた(13.3% vs 39.9%, p = 0.069)。【結論】前方循環系の頭蓋内動脈 解離では後方循環系と比べ、(1)脳卒中による発症が多く、(2)頭痛または頚部痛 を呈する割合が少なく、 (3)画像上、急性期に紡錘状拡張または動脈瘤形成を呈し にくい特徴を有することが示唆された。. 信弘3、. 1 2. 日本医科大学付属病院 日本医科大学付属病院. 智1、青木 和美1. 淳哉1、藤澤. 洋輔1、西. 佑治1、. 神経・脳血管内科、 放射線科. 【要旨】 症例は71歳の男性。就寝中に突然の腰痛と腰部から両下腿に広がる痺れ 感が出現し、30分後には両下肢脱力、感覚低下、尿意消失を呈した。神経所見 では完全対麻痺、第一腰髄髄節レベル以下の感覚消失、膀胱直腸障害を認めた。 第1病日の腰部MRIは体動で評価困難だったが、第2病日ののT 2強調画像で、 第11胸椎~脊髄円錐レベルの髄内に高信号を認め、脊髄梗塞と診断した。経時 的にMRIを撮像したところ、第10病日に脊髄円錐の腫大および中心部と前角主 体に造影効果を認めた。同部位はT 2強調像で低信号、T 1強調像で高信号を呈 し出血性梗塞を来したと診断した。頚動脈エコー、経胸壁心エコー、経食道心エ コー、下肢静脈エコー、ホルター心電図、造影CTを撮像したが、経食道心エコー でLarge Patent Foramen Ovale(PFO)を認める以外に、明らかな塞栓源や動脈 解離を認めなかった。治療はアスピリン100mg/日、エダラボン、ステロイドパル スで開始したが、出血性梗塞と診断した時点でアスピリンを中止、グリセリン静 注を行った。症状は入院時から著変なかった。出血性梗塞に至った原因として、 塞栓性機序による血管の再開通、抗血小板薬による易出血性、ステロイドパルス による浮腫の増大などが考えられたが、確定するには至らなかった。本症例の 様に脊髄梗塞から出血性梗塞に至るMRIの画像変化を経時的に捉えた報告例は、 我々が渉猟した範囲では認めなかった。本症例は貴重な症例と思われ、ここに報 告する。. - 374 -.

(5) 臨床神経学 第第58 58巻別冊 巻別冊(2018)58:S254 臨床神経学 (2018)58:S 254. Pj-004-4 診療補助アプリケーションの可能性~脳梗塞診療版~ 1. 謙三1、鈴木. 祐1、内野. 賢治1、森. 華奈子1、長谷川泰弘2. 川崎市立多摩病院 神経内科、2 聖マリアンナ医科大学. 神経内科. 【背景】脳卒中専門医が24時間常在することのできない病院では、脳卒中に特化し た遠隔医療システム(telestroke)は有用なツールであるが、その診療報酬の裏付 けが未だ不十分であることから普及は進んでいない。このため、医療資源の少な い地域において、初期診療にあたった非専門医が、院外の専門医に対してコンサ ルテーションを行わざるを得ず、特に遠隔地の小規模施設の専門医は24時間体制 のtPA静注療法を提供する上で、oncallで対応せざるを得ず医師の疲弊が懸念され る。 【対象・方法】専門医が少数あるいは不在の施設で勤務する非専門医を対象に、 tPA静注療法をはじめ、脳梗塞の急性期診療および発症後数日の診療を補助す るためのスマートフォン用のアプリケーションを制作した。 【結果】 本アプリケー ションは、フローチャート式に脳梗塞診療をおこない、その結果tPA静注療法も 含めた治療方針が具体的に提示される。tPA静注療法が必要な際には、チェック リストや投与量もアプリケーション内で確認・計算され、NIHSS scoreは全例で 測定するシステムとした。MRI画像はワンクリックでスマートフォンのカメラに て撮影を行うことができ、これら全てを報告書として指定の専門医にメールで送 信できる。また報告書をプリントアウトすることによりカルテ内に残すことを可 能とした。これにより、専門医はtPA投与時など、報告書から必要と判断する際 のみ実診療にあたることが可能となる。なお、アプリケーション内には個人情報 は残らない仕組みとし、MRI画像撮影時に個人が同定されないよう配慮した。 【考 察】 Telestrokeに代わるものではないが、脳卒中急性期患者に対応する非専門医の 診療補助として、安価に導入可能であり、専門医にとっても有益なツールになる と考えられる。. Pj-004-6 脳梗塞後遺症に対する自己骨髄由来間葉系幹細胞を用 いた静脈注射治療の安全性と効果. ○﨑山 1 2. 快夫1、井上. 啓太2、辻. 晋作2、寺島. 自治医科大学附属さいたま医療センター 神経内科、 アヴェニューセルクリニック. 化タウ濃度は年齢依存性に増加する 陽嗣3、近藤 敏樹1. 正樹1、石井亮太郎1,4、. 京都府立医科大学 大学院医学研究科 神経内科学、2 京都府立医科大 学 分子脳病態解析学、3 京都府立医科大学 在宅チーム医療推進学、 4 京都府立医科大学 北部医療センター. 【背景】ダウン症候群(DS)は最も頻度の高い染色体異常症である。第21染色体上 に存在するAPP遺伝子の過剰発現に基づくアルツハイマー病(AD)病理の出現と 早発認知症は本症における重要な合併症である。アミロイドPETおよび脳脊髄 液(CSF)中バイオマーカー測定がDSの認知症診断に有用とされているが、血液 バイオマーカーによる診断手法は開発されていない。【目的】AD領域において有 用性が報告されている、Signle Molecular Array(Simoa)法を用いて血漿中総タ ウ濃度および血漿リン酸化タウ濃度の超高感度測定を行いDS患者と健常者の血 漿総タウ濃度を比較する。【方法】 成人DS患者21名と22例の健常対照者を対象と した。血漿中総タウ濃度はSimoaおよびQuanterix社の販売する測定キットを用 いて定量した。血漿リン酸化タウのSimoa法による測定法は開発されていなかっ たので総タウ濃度測定キットを改良して独自に構築した。【結果】 血漿中総タウ 濃度はDS患者において有意に高値であった(DS群 0.643±0.493:対照群 0.470± 0.232: P=0.005) 。血漿中リン酸化タウ濃度も同様にDS患者群において有意に高 値であった(DS群 0.767±1.26:対照群 0.470±0.232: P=0.0313)血漿総タウ濃度お よびリン酸化タウ濃度は年齢と有意な正相関を認めたが対照群にはそうした傾 向を認めなかった。【結論】血漿中総タウ濃度およびリン酸化タウ濃度はDS患者 における認知症発症を評価する有効な指標の一つとなり得る。成人期DS患者は presymptomatic ADとみなし得ることを考慮すると、Simoa法を用いた血漿中総 タウ濃度測定はADの発症前診断に対しても有用である可能性がある。. 克至、松尾. 幸治、. 23. Pj-004-7 頭蓋内出血発症前の抗血栓薬内服と転帰 栄次1、中森. 正博1、前谷. 勇太1、松島. 勇人1、若林. 翠清会梶川病院 脳神経内科、2 翠清会梶川病院 脳神経外科. 伸一2. 【目的】 頭蓋内出血発症には一部抗血栓薬内服の影響も考えられる。頭蓋内出血発 症前の抗血栓薬内服と転帰について検討を行なったので報告する。【方法】1年間 に当院(回復期リハビリテーション病棟も有する)に頭蓋内出血で入院した連続症 例を後方視的に調査した。発症1週間以内の急性期脳出血および手術を行なった慢 性硬膜下血腫を対象とし、外傷が原因である急性期出血は除外した。発症時の抗 血栓薬内服の有無や抗血栓薬の種類と、脳出血患者での血腫の増大や退院時mRS との関連、慢性硬膜下血腫患者での再手術の有無、退院時転帰との関連などにつ いて検討を行なった。【結果】対象患者は脳出血108名、慢性硬膜下血腫55名。 抗 血栓薬の内服を行なっていなかった患者(N群)は脳出血で75.9%、慢性硬膜下血腫 で72.2%、抗血栓薬を内服していた患者(A群)のうち抗凝固薬のみを内服していた 患者 (C群) はそれぞれ10.2%(ワルファリン5.6%、direct oral anticoagulant 4.6%)、 5.6%(3.7%、1.9%) 、抗血小板薬のみを内服していた患者(P群)はそれぞれ20.4%、 12.0%、抗凝固薬と抗血小板薬を併用していた患者はそれぞれ1.9%、1.9%であり、 脳出血と慢性硬膜下血腫とで抗血栓薬の内服に有意な偏りは認めなかった。入院 時NIHSSはN群と比較してA群およびC群は有意に重症であった(それぞれp=0.02、 p=0.03) 。脳出血患者においてC群ではN群より有意に血腫が増大していた(54.5% vs 11.8%、p=0.003)。しかしながら退院時mRSに関しては、同様の傾向はみられ るものの有意差を認めるまでには至らなかった。慢性硬膜下血腫で再手術を要し た患者は9.3%だった。術前の抗血栓薬内服は再手術や転帰には影響を与えなかっ た。【結論】 脳出血発症前に抗血栓薬、特に抗凝固薬を内服していた場合入院時神 経症状は重症で、血腫も増大したが、退院時転帰では有意差は見られなかった。 慢性硬膜下血腫でも抗血栓薬は転帰に影響を与えなかった。. Pj-005-2 アルツハイマー型認知症における成人版表情認知検査の検討 ○神﨑. 和紀、檜皮谷泰寛、松本. 新宮市立医療センター 神経内科. 拓也. 【目的】内閣府の報告では2025年には認知症患者数は700万人に及ぶと見込まれて おり、今後の日本社会において認知症患者への対応の重要性が高まっている。社 会的認知機能の一つとして表情認知機能があり、これは自閉症スペクトラムなど で論じることがある心の理論課題の一つであるが、アルツハイマー型認知症(AD) においても表情認知機能が低下するという報告が認められる。表情認知能力の特 徴について把握することは社会的認知の観点からも医療・介護の的確な心理・社 会的アプローチを行う上で今後より一層重要と考えられる。今回我々はAD患者 に対して表情認知検査を施行し、評価・検討を行った。 【方法】 対象はDSM-5診断 基準でADと臨床診断された、CDR 1以下の軽度AD患者10名 (男性3名、女性7名、 年齢77.3±6.2歳)と、年齢をマッチさせた認知症のない対照患者10人(男性7名、女 性3名、年齢73.2±7.2歳) 。トーヨーフィジカルが発行する小松・中村らが作成し た成人版表情認知検査を用いて「よろこび・いかり・おどろき・かなしみ」の表情 に対する認知を評価し、合計点数と表情別正答数をそれぞれ算出した。AD患者 に対しては認知機能検査としてMMSE、HDS-Rを施行した。合計点数、表情別正 答数、MMSE、HDS-Rの関連性とAD群と対照群の有意差の有無について統計学 的検討をおこなった。 【結果】AD群と対照群の比較では合計点数においてAD群の 有意な低下を認めた。表情別に関しても「よろこび」 、 「かなしみ」 、 「おどろき」に ついてAD群の有意な低下を認めたが、 「いかり」について有意差は認めなかった。 MMSEとHDS-Rについてはそれぞれ合計点数と有意な相関を認めた。 【結論】 AD 患者において表情認知機能の低下を認め、表情認知機能は比較的早期に障害され る可能性が示唆された。. - 375 -. ポスター( 日 本 語 ). 1. 隆彦2、建部 正法4、水野. 祐樹、松井. 一般 演 題. Pj-005-1 ダウン症候群における血漿中総タウ濃度およびリン酸. 善信、深見. 【目的】 当院における若年性脳梗塞例の特徴を検討する。 【方法】 2012年4月1日から 2017年3月31日までの5年間に当院神経内科に入院した脳梗塞例について、病型分 類、背景因子、転帰等を分析した。 【結果】発症時年齢40歳未満の若年性脳梗塞 は21例 (男性13例、女性8例、26ー39歳、平均34.7歳) で、脳梗塞全体の1.3%だった。 入院時NIHSSは0-20(平均3.2) 、退院時mRSは0-5(平均1.7)であった。TOAST分 類ではLarge-artery atherosclerosis(LAA)5例(23.8%) 、Cardioembolism(CE) 2例 (9.5%) 、Small-vessel occlusion(SVO)5例 (23.8 %) 、Other determined(OD) 4例(19.0%) 、Undetermined 5例(23.8%)であった。CEの原因は、甲状腺機能亢 進に伴う心房細動1例、人工弁が1例であった。ODの内訳は脳動脈解離が2例、も やもや病・卵円孔開存がそれぞれ1例だった。動脈硬化の危険因子は、高血圧10例 (47.6%) 、糖尿病4例(19.0%) 、高脂血症8例(38.1%) 、喫煙歴11例(52.4%)、大量飲 酒3例(14.3%) 、肥満4例(19.0%)にみられた。複数の危険因子を有するものは11例 (52.4%) で、このうち9例はLAA・SVO例であった。血液検査で各種自己抗体検索 を20例(95%) 、各種凝固因子検索を17例(81.0%)で施行したが、全身性エリテマ トーデスの1例で抗リン脂質抗体を認めたのみであった。 【結論】 当院40歳未満の若 年性脳梗塞では、動脈硬化危険因子を背景としたものが約半数を占めていて、先 天的な要因によるものは多くはなかった。若年者における動脈硬化の危険因子の 積極的な管理が必要であると考えた。. 1. 洋一2. 諒、天草 央佳. 刈谷豊田総合病院. ○今村. 【目的】 我々は2016年9月より再生医療などの安全性の確保などに関する法律によ る承認を取得し, 脳梗塞後遺症に対する事故骨髄由来間葉系幹細胞を用いた静脈 注射治療の提供を開始している. 本治療の安全性, 有効性について後方視的に検討 した.【方法】症例は3(M2, F1)例, 年齢は53.3±0.58(53~54)歳, 幹細胞投与時期は 直近の脳梗塞発症から37.7±48.4(3~93)ヶ月, 臨床病型はラクナ梗塞, 脳動脈解離, アテローム血栓性脳梗塞が1例ずつであった. 幹細胞投与前と投与6ヵ月後のSIAS スケール, mRS, NIHSS, HAM-D17スコアをpaired t-testで比較した.【結果】3例と も治療に伴う有害事象は認めなかった. SIASスケールは46.0±10.5(36~57) 点から 57.0±4.4(54~62)点に改善傾向が見られたが, p = 0.12と有意差は見られなかった. NIHSSは6.0±1.0点から4点, HAM-Dは10.7±7.5点から4.3±3.7点に改善傾向がみら れ, mRSは変化を認めなかった.【結論】 脳梗塞後遺症に対する骨髄由来間葉系幹細 胞を用いた静脈注射治療は安全に実施できた. 少数例の為有意差は示せなかった が全例でSIASスケールの上昇があり, 慢性期脳卒中患者の機能改善に寄与する可 能性を示唆した.. ○笠井 高士1、徳田 大道 卓摩1、中川. Pj-004-5 40 歳未満発症の脳梗塞自験例の検討 ○筑地 丹羽. 日. ○櫻井.

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