一 論文 ‑ 高 岡 短 期 大 学 紀 要 第
1 2
巻 平 成1 0
年1 0
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,V o l
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,Oc t o
be r 1998
材料工学基礎科目のためのマ ルチメディア教材モジュ ー ルの開発
‑ ノ ー スウェ スタン大学における教材開発プロ ジェクト ー
藤 田 徹 也
*
・ 飯 井 政 博* *
( 平成1 0年5 月15 日受理)
要 旨
ノ ー
ス
ウェ スタン
大 学 材 料 科 学工学 科では, 学 部 教 育改 善の 一 環と して マ
ルチ メディ ア教 材の開発
プロ
ジェ
ク トを 実施して いる。 われわ れ はこ のプロ
ジェ
ク ト に参加し, 材 料工学 基礎 科目用のマ
ルチ
メディ ア教 材 を 開発し た。 本 稿では, こ のプロ
ジェ
ク トの概 要と教材の開発につ
い て述べ
, 大 学 専 門
教 育に おけるコ ンピュ
ー タ利 用 教材の自主 開発のあり方につ
い て考 察する。
ュ
ー タ利 用 教材の自主 開発のあり方につ
い て考 察する。わ れ わ れの開発し た教 材は, 時 間 的 な経 過の表 現 やイ
ン
タ ラ クティ
プ性の導入 に よっ
て, 基 本 的 な 概 念の理解を支 援できるものとなっ
た。 し かし, 学 習 者を よ り学 習 活動に集 中さ せ る た めには, 教材 構 成の改善が 必要である。 ま た, こ のよう な教材 自主 開発プロ
ジェ
ク ト を成 功 させ る た め に は, 学 内の推進 体制の確立 と 人的側 面か らの
バ ッ
クアッ
プ が重 要である。キ ー ワ ー ド
ノ ー
ス
ウェ ス タン
大 学材 料 科 学工学 科, マ
ルチ メディ
ア教材, オ ー サリ ン
グツ ー ル学習 対 象 ‑ の集
中, アニ
メ ー ショ ン, イ ン
タ ラ クテ ィプ性, 学 内推 進 体 制
ン
タ ラ クテ ィプ性, 学 内推 進 体 制1 . は じめ に
現 在, 多くの大学では教 育 改革を 重要な 課 題 とし て位置づけ, 教 育課程の見直しや, 敬 育方法の改善な どに積 極 的に取 り組んでいる。 その 一 環 とし て,
コ
ン ピュ
ー タの教 育‑
の利 用 が注目 さ れて いる。 低 価格化 ・ 高性能化 を 背景とし て, 各教官‑
のコ
ンピュ
ー タの普及 が 進 み, 演習 室等の施設 も急速に整備さ れている。 その結果, 情 報処 理 系にと ど ま らず, 他の分 野においても, 容 易に
コ
ン ピュ
ー タ を 利 用 した教 育が 実施でき る 環境が 形成さ れつ
つ
あ る。 現 在の各大学の情 報処 理教 育は, プロ
グ ラミング等の計 算機 科 学入 門, ま たは ワ‑ ドプ
ロ
セッ
サ等のアプ リ ケ ー ショ
ンソフトの利用 とい
っ
た内容が中心であ る。 他の科目 に おいても, デ ー タ検 索・ 解析 やレポ ー ト作 成, あ るいは 電 子メ ー ル によ る 課 題 提 出や共 同作業な どに,コ
ン ピュ
ー タ が 活 用 さ れ るこ と が多く なっ
て いる。一 方, 各教 官が専門 分 野 と直接 関 連した
コ
ンピ
ュ
ー タ 利 用教材を 開 発 し て, 授 業に利 用 し ている事例は 少 ない。 ま た, その場合でも, 実 際に は特定の教官が自分自 身の授 業用に独 自の教 材を 開発し ている場 合がほと ん どであ り, 組 織 的に 開発し て いる例は 少 ない。 これ は, 教 材の開発のた め に はコ
ンピュ
ー タ に 関 する多くの知識と労力 が 要求さ れ ること, ま*
産 業 情 報 学 科* *
ノ ース
ウェ ス タン
大 学 材 料 科 学工
学 科
た, 教官 組 織全 体の理解と協力 体 制が 必要で あるこ.t に起 因し ている と考え ら れ る。
米 国ノ ー スウ
ェ
スタン大学材 料 科 学工学科では, この課 題 に取り組み, 学部 教 育改 善の
一 環と して,
マ
ルチメディア教材の開発プロ
ジ
ェ
ク ト を実施し ている。 プロ
ジェ
ク ト チ ームは十名 程 度の教 官で構成さ れ, カ リ キ
ュ
ラムを網 羅する 形で, 各 授 業科目の内 容に即し た教 材を参 加メ
.
ン バ ー 自 身が分担し て開発 し
て いる。 わ れ わ れ は, このプ
ロ
ジェ
ク ト に参 加 し,材 料工学基礎 科目用に,「
材 料の機 械 的 性 質」 「
状 態 図
」 「
熱力学」
お よ びr
材料の導 電性」
を テ ーマ
とした部 分を開発した。本稿では, こ のプ
ロ
ジェ
ク トの概 要と教材の開発に
つ
いて述べ
, プロ
ジェ
ク ト‑
の参加 に よっ
て得ら れ た成果か ら, 大 学 専門教 育に おけるコ
ン ピュ
ー タ利 用 教材の自主開発のあ り方につ
いて考 察する。 第2 章では, 材 料 科 学工学 科に お け る学 部教 育 改革につ
いて, その概 略を述
べ
る。 第3 章では, 教 育に おけるマ
ルチメディ ア教材利 用の意義につ
いて述べ
る。 第4 章ではマ
ルチ メディア教材の開発につ
いて述べ
る。 第5 章では教 材に対 する評価, お よ び教 材 開発プロ
ジェ
ク ト か ら得ら れ た成 果につ
いて考察 する。2 . 材料科学工学科における教育改革
ノ ー スウ
ェ
スタン大 学材 料科 学工学 科でのマ
ルチ メディア教材 開発プロ
ジェ
ク ト は1
偶 然に始まらたものではなく, 学部 教 育全般に わ た る改革‑
の取り組みの中か ら 生 ま れ た もの<・ あ る。 本章では, 材 料 科 学工学科の学部 教 育改革お よ び
マ
ルチメディア教 材 開発プロ
ジ
ェ
ク トの概要 につ
いて述べ
る。2.1 学 部教 育 改革
へ
の取 り組み・ ノ ー スウ
ェ
スタン大 学工学 部では, 従 来の 大学 院論文教育や 研究セミ ナ ー の重視 型から, 学部 教 育をも同等に重視 する態勢に変化しつ
つ
あ る。 学期 末に行わ れ る学生 か らの評価お よ び教 授 間の評価 などを 総合し た.「
教 育成 績」
が, 教 員の昇 給, 昇進に大きく 影 響を与え る ように な
っ
ている。 ま た, 学 部 内に教 育の研 究を行 う組 織を設け, 学 内外か ら教 育面で著 名 な講 師を招 きセ ミナ ー 等 を実施して いる1 )
。こ のよう な教 育改革
‑
の本 格 的な取り組み は,1995年度* 1
よ り開設 され た2つ
の総合科目r
En
gin e e
rin
ga n
alys
is 」 お よ び r
En
gi n e e r
‑
in
g de s
ign 狐
d c o m m u n
ic a
tio n 」
に端 的に
表れて いる。 r
En
gi n e e
rin
g a n
alys
is 」
は1 9 9 7
年 度よ り必修となり, 力 学を題材と して
コ
ンピ
ュ
ー タ を利 用し た定量的な数値 解 析手法の 習 得を 目的と した科目である。 学生 は4 ‑ 5 名のグル ー プ となっ
て与え られ た 課 題 を解 決し ていく。 評価はグル ー プ に 対 し て行 う。 こ の科目では, チ ー ム内に お け る リ ー ダー シ
ッ
プ, 協調 性な どの対人能 力の教 育も ーつ
の目 的と して含ま れて いる。 ま た,「
En
gin e e
dn
g De s
ign a n
d Co m m u n
ic a
也o n 」
は1 9 9 8年 度よ り 必修と な る科目で, 情報の整理 ・ 表 現手法 を学ぶ。 内容と してテ クニ
カルラ イ ティ ング,プレゼンテ ー シ
ョ
ン, ス ピ ー キングお よ び統 計学を含んで いる。 授 業は チ ー ムティ ー チン グ制と なっ
てお り, 必要に応じ て英 語 学科な どの外部の教官 も授 業を担 当する。 両科目 とち, 従 来の研究 中心型の工学 系大 学では類 を 見 ない
ユ ニ
ー クな内容と構 成を持っ
てお り, 改革‑
の熱 意がうかが え る。2 .2 マ ルチメディア教 材 開発 プ
ロ
ジェ
ク ト‑ 材 料 科学工学科のマ
ルチメディア教 材 開発 プロ
ジェ
ク ト は, 前節で述べ
た学 部教 育 改 善の 一 環 とし て計画 さ れ た。 プ
ロ
ジェ
ク ト チ ームは, K
e n n
ith S bu
ll助教 授をコ
ー ディネ ー タ と して,十名 程 度の教官で構 成さ れて いる。 プロ
ジェ
ク ト チ ー ムで の協議の結 果, 以 下の と お り開発を進めて いくとと と なっ
た。(
a
) 目的 ・ 内容とのプ
ロ
ジェ
クトの目的は,・ 授 業, お よ び材料
工
学基 礎科目の
た めの マ ル
チメ
ディ ア
教材モ
ジュ ール の
開発学生の自 習を支 援する教材を開発 することで あ る。 従
っ
て, 教材の開発は現行のカ リ キュ
ラム* 2
に 即 し て行 う。 教材の整備が進ん だ段 階で , C D ‑R O M な どの形 に集 約 することも 考え ら れ る。(b) 教 材 開発
材 料科 学工学 科の全て の専 門科目 を, プ
ロ
ジェ
ク ト チ ー ム のメ ン バ ー が自 分の教授 科目 を中心 に 分担し て開発 する。 各メ ン バ ー は,必要に応 じ て学生やティ ー チング ・ アシ スタ
ント に開発を依 頼 する。 開発 用ソフ トウ
ェ
ア とし て, カ ー ド型オ ー サ リングツ ー ルであ る「
Mu
ltim e
dia
To o
lbo o
k* 3 」
を使用する。(
c
) 設備 ・ 管理教 育 用実 験 室に設 置さ れている端 末に教 材 を イ ン ス トー ルして, 学生 に自 由に利 用さ せ る。 メ ンテナ ン スは実 習 担 当 教 官が行 う。
「
Mu
ltim e
dia
To o
lbo o
k」
で作 成さ れ た教 材 は, ランタ イムラ イ ブ ラ リ が イン ス トー ル さ れている 端末であ れば 実行でき る た め, ラ イ セ ン ス の問題 をクリア でき る。(d) 推進 体 制
プ
ロ
ジェ
ク トチー ムは 月例のミ ー ティ ングを持ち, 各自 担当 分の進 捗 状況な ど に
つ
いて意見交 換お よ び 調整を行 う。
プ
ロ
ジェ
ク ト は1 9 9 6年度よ り始ま り, 現 時 点 (1 9 9 8年3 月) では, 主要な教材の開発が 終了し ている段 階であ る。 1 9 9 8年 度末までに は, 教 材の開発を完了する 予定であ る。3 . マ ルチ メディ ア教材の導入
マ
ルチ メディア教材は, 従 来の教 材と比較し て, 情報の動 的 ・ 統合 的な 表 現 や ラ ンダム なアクセ
ス
性に優れて いる。 し か し, た だ単 に従 来の教 材の情 報を ディ ジタル化し て取 り 込 み,コ
ン ピュ
ー タ 上で提示でき る ように し た だ けの教 材で は, その存在 意 義は薄い。 逆に, 従来の教材の持
っ
て いた 可読性 や 可搬性 な どの特長が失 わ れ, 教 育にとっ
て負の効果2 9
を も た らす 場合 すら あ り得る。
マ
ルチメディ ア教 材の内容と構 成を考え る場合は, まず 最 初に, その特 性を 全体の教 育活 動の中でどの ように位置づけて活用 するのか を検 討するこ と が重 要であ る。 本章では,マ
ルチメディア教材が学 習活動に おいて果たすことのできる 役割と, 限 られ た環境で実施可能な, 内容お よ び構 成面 に お け る 配慮に
つ
いて述べ
る。3.1 学習 を支 援 するマ ルチメディア教 材
D .A .ノ ー
マ
ンは, 著 書「
人 を賢くする道 具」
の第2 章で,マ
ル チメディアを 利用した 教 育を取り 上げている。 ま た, A . ケイ は「 マ
ルチメディアに関する 円卓会 議
」
の教 育セッ
シ
ョ
ンで発言し ている。 この両者の著述の中には, 注目す
べ
き共 通点が あ る。 そ れ は, 両 者と も 心 理学 者チ クセ ント ミハ
イの研 究2 )
を 取り 上げ, 彼が「
流れ(flo w
)」
と呼ぶ状態 一 括動‑
の完全 な没頭が持続し て いる状態 ‑ が, 教 育に おいて極めて重 要な役 割を果たすとしていることであ る。
ノ ー
マ
ンは, 学習に は 少 な く と も, 事実を 集 積する「
蓄積」
, 練 習に よっ
て熟練する「
調 整」
, お よ び適切な概念 構造を 形成 する「
再構 造 化」
の 三つ
のタ イ プ が あ ること を指 摘している。 そし て, 教 育に おいて重 要なこと は, まず
「
蓄 積」
と「
調整」
のプロ
セス に おいて学生 を 対象
べ
熱 中さ せ動 機づけ ること, 次に「
再構 成化」
のた めの適切 な道 具を与え ること だ とし て いる。 彼は, 対 象
‑
の熱 中を助け る 環境とし て「
豊 富な イ ンタ ラ クショ
ンとフ ィ ー ドバッ
ク」 「
明確な 目的とル ー ル」 「動 機
づけ
」 「チャ レ ンジの感 覚」 「
直接 関与の感 覚
」
「
タス
クを混 乱 させない道具」 「
妨害や 注 意の 分 断 が ない こ と」
を挙 げて いる3 )
。 いくつ
かの教 育用ソフト ウ
ェ
アは, ゲ ー ム の要素を取 り 込 み, 目的を達成する た めのチャ レ ンジ感 覚を持たせるこ とによ