非線形動的相互作用による橋脚の
断面力低減効果のエネルギー収支に基づく検討
井上 貴文
1・三神 厚
21学生会員 徳島大学大学院 先端技術科学教育部知的力学システム工学専攻
(〒770-8506 徳島県徳島市南常三島町2-1)
E-mail:[email protected]
2正会員 徳島大学大学院准教授 ソシオテクノサイエンス研究部
(〒770-8506 徳島県徳島市南常三島町2-1)
E-mail:[email protected]
構造物と地盤の動的相互作用の効果をエネルギー的な観点から検討する取組みがなされている.本研究 は,基礎の浮き上がりと地盤の材料非線形の両方を考慮できるマクロエレメントモデルを用い,直接基礎 を有する道路橋を対象として非線形相互作用による橋脚の断面力低減効果を,系に対するエネルギー収支 に着目し,その効果のメカニズムについて考察を行う.検討の結果,基礎が浮き上がり、構造物の位置エ ネルギーが増大することにより橋脚のひずみエネルギー,そして橋脚に発生する断面力が低減すること,
その程度は、入力地震動の強度特性や周波数特性による顕著な影響を受け変化することがわかった.
Key Words : energy, non-linear dynamic interaction, stress reduction effect, highway bridge macro-element model
1. はじめに
本研究は、直接基礎を有する橋梁構造物が強震動を受 け、基礎が浮き上がるような場合に、橋脚に作用する断 面力が低減する現象について、系に対するエネルギー収 支に着目し、考察を行うものである。
1995 年の兵庫県南部地震では,新耐震設計法におい て想定していた地震動レベルを超える強震観測記録が得 られたにも関わらず,同設計法により設計された建物の 被害はそれ程多くなかった理由の1つとして構造物と地 盤の相互作用効果が注目された 1).動的相互作用により、
構造物・基礎・地盤系は長周期化し、また、高減衰化す る。入力の地震動レベルが大きくなると、地盤が非線形 化したり、基礎が浮き上がったりする。このような基礎 の浮き上がりによって、構造物に作用する断面力が低減 することは林2)によって指摘されているが、低減の程度 は入力地震動の強度特性や周波数特性を受けて、大きく 変化する。このような複雑な現象については、エネルギ ーというスカラー量の概念を用いて統一的に検討するこ とは有益である。
相互作用効果を,エネルギーの観点から検討する取組 みがなされている.秋山・高山3)は原子力炉建屋を対象
として相互作用の効果を考慮した上部構造へのエネルギ ー入力を求めた.楊・秋山4)は動的相互作用の効果を検 討する上で地震入力及び地盤逸散の効果をエネルギース ペクトルで評価し,相互作用による構造物の地震荷重に 対する低減効果の定量化を図った.
岩下ら5)は杭基礎を有する建物を対象として,杭頭で 浮き上がりを許容した建物について,基礎の浮き上がり が建物応答に及ぼす影響について,エネルギー的な観点 から考察を加え,浮き上がりを許容することによる建物 への総入力エネルギーの増減についての知見を得た.
著者らは、地盤の材料非線形と直接基礎の浮き上がり 効果の両方を簡便な形で考慮できるマクロエレメントモ デル6)7)を用い,地盤の材料非線形や直接基礎の浮き上 がりによって橋脚に発生する断面力を低減する効果につ いて検討してきた8).その結果、断面力低減の程度は、
入力地震動の強度特性や周波数特性の影響を受け、複雑 に変化するものであることがわかった。本研究では,こ のような複雑な現象に対し、エネルギーの概念を導入す る。すなわち、入力された地震動のエネルギーが、どの ような形で位置エネルギーやひずみエネルギーなどに変 換され、断面力低減の効果をもたらしているのか、また、
それが入力地震動の強度特性や周波数特性の違いにより、
土木学会 第 33 回地震工学研究発表会講演論文集(2013 年 10 月)
いかに変化するのかについて、エネルギーというスカラ ー量の統一的な指標を用いて整理し,断面力低減効果の 複雑なメカニズムを考察することを目的とする.
2. 直接基礎のマクロエレメントモデル
本研究では中谷ら 6)によって開発されたマクロエレメ ントモデルを用いて検討を行う.このモデルは単調載荷 試験に基づく Nova・Montrasio9)が提案したマクロエレメ ントを弾塑性に拡張し,さらにギャップ要素のような特 別な要素を用いることなく浮き上がりの影響を考慮でき るものである.ここではその手法の概要について述べる.
詳細については文献6)を参照されたい.
(1) マクロエレメントモデルの変位と荷重の関係 マクロエレメントモデルでは基礎を剛であると仮定し,
組み合わせ荷重を受ける基礎-地盤系を 1つの要素とし て考える.基礎の中央での変位と荷重は図1のように定 義する.それらは次式により表される.
v u
Tx
(1) V H M
TF
(2) マクロエレメントモデルの荷重と変位は図1に示すよ うに定義される.変位増分をdx
,荷重増分をdF
とするとそれらは以下の関係となる.
D D D dx
dF
el
up
pl 1 (3) ここで,D
elは弾性コンプライアンス,D
upは浮き上 がりコンプライアンス,D
plは塑性コンプライアンス である.(2) コンプライアンスの決定
弾性コンプライアンス
D
elを決定するためにGazetas10) により提案されている鉛直,水平,回転の地盤ばね定数 を用いる.正方形基礎を対象とする場合,ばね定数はそ れぞれ次式により表される.
1
2 54
4 . G B /
K
v (4)
2
2 9 G B /
K
h (5)
1
2 6
3 . G B /
3K
r (6)ここで,
G
は地盤のせん断弾性係数,B
は基礎幅 ,
はポアソン比である.なお周波数依存性は考慮していな
い.
浮き上がりコンプライアンス
D
upは以下に示す基礎浮き上がりのモデルに基づいて決定される.基礎浮き上 がり挙動は最大点指向型及び原点指向型の履歴則に従 うと仮定する.モーメントによる浮き上がりに伴う回転 変位と鉛直変位の履歴則の概念図を図2に示す.図2中 の
M
P,M
Pは骨格曲線上のモーメントで,負側,正側それぞれにおける最大モーメント,
up,v
upはM
PM
のときの骨格曲線上の
,v
であり,
up ,v
upはM M
Pのときの骨格曲線上の
,v
である.骨格曲線は道路橋示方書11)に記載される浮き上がりの 考え方に基づき設定する.モーメントと浮き上がり回転 変位の関係は以下のように表される.
0
up M M
(7)M
up
M
M
MP
MP
up
up
M vup
M
M
MP
MP
vup
vup
図2 モーメントによる浮き上がりに伴う回転変位と鉛直
変位の履歴則の概念図6) u
v
V
H M
図1 マクロエレメントモデルの変位と荷重の定義
3
2 04
M M M
M
up
M M
(8)6 BV
0M
(9)ここで,
M
は地盤抵抗の塑性化によるモーメントの 低減を考慮した基礎浮き上がり開始モーメント,
は地盤抵抗の塑性化によるモーメントの低減係数,
V
0は 死荷重,
0は基礎浮き上がりが生じ始めるときの回転 角である.またモーメントと浮き上がり鉛直変位の関係 は以下のように表される. 0
v
up M M
(10)
1
3 4 3
4
2 M M
2M M
v
upB
M M
(11)除荷,再載荷時の鉛直変位及び回転角の浮き上がり成 分は次式で表される.
M
PM
up up
M 0
,M
PM
up up
M 0
(12)M M v v
P up up
M 0 ,
M M v v
P up up
M 0
(13)再載荷後,
M
PまたはM
Pに達した後は骨格曲線上 を移動する.塑性コンプライアンス を決定するために支持力曲面 を用いる.その概念図を図3に示す.中谷らのモデル6) では支持力曲面として Nova・Montrasio9)が提案した次式 を仮定している.
1
20
2 2
2
h m
f
cr (14)ここで,
,h
,m
はV
,H
,M
を中心鉛直荷重を受けるときの極限支持力
V
mでそれぞれ無次元化した 荷 重 で あ り , V V
m ,h H V
m
, BV
m
M
m
である.地盤の塑性化の進展を記述 する降伏曲面についても Nova・Montrasio9)に基づいて次 のように定義する. 1
20
2 2
2
c y
h m /
f
(15)ここで
cは降伏曲面とV
軸の交点をV
mで除した値で ある.降伏曲面の発展と変位増加を関係づけるために硬 化則と流れ則が必要になる.ここでは硬化則として支持 力曲面の内側でそれと相似な降伏曲面が発展する等方硬 化を仮定しており,それは次式で表される.
m c
c
V
v exp R
0 1
(16)ここで,
R
0はV v
pl曲線における初期勾配である.また,
v
cは次式で表される.
2 2 M pl 2
0.5pl M pl
c
v u B
v
(17)ここで,
M,
Mは水平変位成分と回転変位成分を等 価な鉛直変位に換算するための無次元パラメーターであ る.また流れ則としては非関連流れ則を仮定しており,その決定に必要となる塑性ポテンシャル面を次式で表す.
1
20
2 2 2 2
2
h m /
g g
(18)ここで,
g,
gであり,
g,
gは塑性ポテンシャル面形状を規定するパラメーターである.
(3) 地盤の減衰係数
中谷ら 6)は,基礎・地盤間の減衰係数として Gazetas10) が提案したものを用いている.鉛直,水平,回転の減衰 係数
C
v,C
h,C
rは以下の式から求まる.v La v
ρ V A c ~
C
(19)A V
C
h
s (20)r La
r
V I c ~
C
(21) ここで
は地盤密度,V
sはS波速度,V
LaはLysmerの 波動速度,A
は基礎の底面積,I
は基礎の断面二次モ ーメント,c~
v,c~
rは減衰の振動数依存性を表す係数で ある.3. 検討対象
実地震観測記録を入力に用いた場合の断面力低減につ いて検討する.ここでは,異なるタイプの強震記録とし
V H
B / M
図3 支持力曲面の概念図
て,海溝型と内陸型の実地震動を考える.
(1) 検討対象モデル
図4に示す道路橋12)を対象として検討を行う.この橋 梁は平成8年道路橋示方書に基づいて試設計されたもの であり,川島・細入13)が検討対象とした橋梁と同じもの である.川島・細入13)と同様に解析を単純化するため,
一基の下部構造とそれが支持する上部構造部分を一つの 設計振動単位としてこれを検討対象とし,実際の支承条 件はゴム支承であるが,支承剛性が十分大きく,事実上 固定支持されていると仮定する.さらに川島・細入13)が 指摘しているように,耐震設計においてよりクリティカ ルな橋軸方向の応答を対象とする.また,橋脚は現実に は非線形挙動を示すことが考えられるが,基礎-地盤系 における非線形性に加えそれを考慮することは,さらに 現象を複雑化させ本研究の目的を達成するための議論を 困難にさせる可能性がある.ここでは橋脚を線形弾性体 と仮定して検討行う.モデル化した上部構造物-橋脚-基 礎-地盤システムの概念図を図5,そのパラメーターを表 1に示す.上部構造物と橋脚は集中質量とベルヌーイ・
オイラー梁によってモデル化する.梁要素の減衰係数は 剛性比例型を仮定し,全要素について減衰定数を2%と する.橋脚の断面形状が変化する位置を規定するために 設定した本来質量が0であるべき節点の質量を,解析の 都合上0に近い値として設定するため集中質量の中で最 小の140tを1/1000倍した値とする.地盤の材料非線形の 特性を決定づける支持力曲面,塑性ポテンシャル,硬化 則のパラメーターはNova・Montrasio10)と中谷ら6)に基づい
て設定する.なお,土被りの影響は川島・細入13)と同様 に無視する.
基礎-地盤システムは2つのケース;(1)地盤を弾性体と する場合(以下,線形相互作用システム),(2)地盤を 弾塑性体とし基礎が浮き上がる場合(以下,非線形相互 作用システム)としてモデル化する.2章に示した式(3) において,線形相互作用システムは弾性コンプライアン スのみ考慮した場合に,非線形相互作用システムは弾性 コンプライアンス・浮き上がりコンプライアンス・塑性 コンプライアンス全てを考慮した場合に対応する.
30
支持層
N値 0 10 20 40 50 深さ(m)
0
-4
砂地盤 検討対象橋脚
支持層 5×40000mm=20000mm
12000mm 12000mm
12000mm
12000mm 9500mm
9500mm
2200
2150
6500 12000
3500 5000 1000 1000
7000 3500
12000 7500120013002000 2500
2150
120013007500
2500 2000 12000
図4 検討対象橋梁12)
1
2
3
4
5
6
7
①
②
③
④
⑤
⑥
図5 上部構造物-橋脚-基礎-地盤システムの概念図
表1 上部構造物-橋脚-基礎-地盤システムのパラメーター
表1(a) 上部構造物-橋脚-基礎のパラメーター
要素 ヤング係数 (kN/m2)
断面積 (m2)
断面二次モーメント (m4)
減衰定数
1 23000000 11.56 10.65 0.02
2 23000000 11.56 10.65 0.02
3 23000000 7.45 4.44 0.02
4 23000000 7.45 4.44 0.02
5 23000000 44.86 160.2 0.02
6 23000000 44.86 160.2 0.02
表1(b) 上部構造物-橋脚-基礎のパラメーター
節点 高さ (m)
集中質量 (t)
慣性モーメント (t・m2)
1 12 710 0.87
2 10.9 140 0.87
3 9.5 0.14 0.87
4 5.75 206 0.87
5 2 0.14 0.87
6 1 228 876.8
7 0 0.14 0.87
表1(c) 地盤のパラメーター
パラメーター 値
基礎幅 B(m) 6.5 S波速度
Vs(m/s) 230
Lysmerの波動速度 VL a(m/s) 355
地盤密度 (t/ m3) 1.603 鉛直地盤ばね定数
Kv(kN/m) 1780000
水平地盤ばね定数
Kh(kN/m) 1460000
回転地盤ばね定数
Kr(kN・m/rad) 14900000
鉛直地盤減衰係数
Cv(kNs/m) 21700
水平地盤減衰係数
Ch(kNs/m) 15600
回転地盤減衰係数
Cr(kNsm) 2730
極限支持力
Vm( kN) 40650
降伏曲面のパラメーター 0.9 降伏曲面のパラメーター 0.48 降伏曲面のパラメーター 0.95 塑性ポテンシャルのパラメーター 0.49 塑性ポテンシャルのパラメーター 0.49 硬化則のパラメーター
R0 48946
流れ則のパラメーター
M 2.8
流れ則のパラメーター
M 1.7
(2) 検討に用いる実地震観測記録
海溝型地震の地震動として,1968年の十勝沖地震の際 に八戸港湾で観測された加速度時刻歴のNS成分(以下,
八戸港湾記録)を用い,内陸直下型地震の地震動として,
1995年兵庫県南部地震の際にJR鷹取駅で観測された加速 度時刻歴のNS成分(以下,JR鷹取駅記録)を用いる.
それらの時刻歴を図6(a),(b)に示すとともに,それらの パワースペクトルを図7(a),(b)にそれぞれ示す.JR鷹取 の記録は1Hz付近が卓越しているのに対し,八戸港湾記 録は比較的幅広く0~3Hz程度までの成分を含む地震動 である.これらの地震動は,強度特性,周波数特性とも に異なる.
(3) システムの地震応答エネルギー収支の評価方法 システムの地震応答エネルギーは以下の方法により評 価する.橋脚のひずみエネルギーは次式により評価する.
u
K udtt T
0 (22) ここで K
は剛性マトリクスである.システムの運動エネルギーは次式により評価する.
u
M u dtt T
0(23) ここで,
M
は質量マトリクスである.逸散減衰によって失われたエネルギーは次式により評 価する.
u
Crd
u dtt T
0(24) ここで,
C
rd は地盤の減衰係数から成る減衰マトリク スである.0 10 20 30 40 50
-2 -1 0 1 2
Acceleration (gal)
Time (sec) m/s 2( )Acceleration
図6(a) 八戸港湾記録
0 10 20 30 40
-5 0 5
Acceleration (gal)
Time (sec) m/s 2( )Acceleration
図6(b) JR鷹取駅記録 図6 実地震観測記録
0 2 4 6 8 10
0 200 400 600
Frequency (Hz) Power spectrum( )cm /sec2 3Power spectrum
図7(a) 八戸港湾記録のパワースペクトル
0 2 4 6 8 10
0 5000 10000 15000
Frequency (Hz) Power spectrum( )cm /sec2 3Power spectrum
図7(b) JR鷹取駅記録のパワースペクトル
図7 実地震観測記録のパワースペクトル
位置エネルギーは次式により評価する.
up total
gv
m
(25)ここで
m
total はシステムの質量の合計,g
は重力加速度,v
upは鉛直浮き上がり変位成分(鉛直上向きを正とす る)である.4. 異なるタイプの地震動を用いた橋脚の断面力 低減効果の検討
前述の地震動記録はともに100Hzサンプリングで観測 されているが,マクロエレメントモデルを用いた非線形 地震応答計算では,データ間を線形補間することにより
0.000005秒間隔のデータとして検討に用いる.時間積分
の手法として,平均加速度法を用いた.検討にあたり評 価する橋梁の変位応答は,図8に示すように定義する.
八戸港湾記録を入力地震動としたときの橋脚の変位応 答,橋脚に発生するベースシア,回転塑性・回転浮き上 がり変位成分と各種エネルギーを図9に示す.図9(a),
(b)に示す橋脚の変位応答では応答の長周期化が認めら れ,それとともに図 9(e)からいくらかの断面力低減効果 が認められる.図 9(d)に示す回転浮き上がり変位成分が 生じ始める 18秒付近から図 9(g)に示す非線形相互作用 システムにおける位置エネルギーが増加し始め,それと 同時刻において図 9(f)に示した非線形相互作用システム における橋脚のひずみエネルギーが低減し,それに伴っ て非線形相互作用システムにおけるベースシアも低減し ている.図9 (h)に示したシステムの運動エネルギーは線 形と非線形でその大小関係が時々刻々変化しており断面 力低減と必ずしも対応していない.図9 (i)に示した逸散 減衰によって失われたエネルギーは線形相互作用システ ムのものが非線形相互作用システムのものよりも浮き上 がり・塑性変位が発生して以降常に大きく断面力の大小 関係と逆になっている.
10 20 30 40
-0.2 0 0.2
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Displacement (m)
(a) 節点1の水平変位の時刻歴
10 20 30 40
-0.04 -0.02 0 0.02 0.04
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Rotation angle (rad)
(b) 節点7の回転変位の時刻歴
10 20 30 40
-0.01 0 0.01
Time (sec)
Rotation angle (rad)
(c) 回転塑性変位成分の時刻歴
10 20 30 40
-0.01 0 0.01
Time (sec)
Rotation angle (rad)
(d) 回転浮き上がり変位成分の時刻歴
10 20 30 40
-10000 0 10000
Time (sec) 線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Base shear (kN)
(e) ベースシアの時刻歴
10 20 30 40
0 10 20 30 40
Time (sec) 線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(f) 橋脚のひずみエネルギーの時刻歴
10 20 30 40
0 100 200
Time (sec)
Energy (kNm)
(g) 位置エネルギーの時刻歴
10 20 30 40
0 50 100 150
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(h) システムの運動エネルギーの時刻歴
10 20 30 40
0 20 40 60 80 100
Time (sec) 線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(i) 逸散減衰によって失われたエネルギーの時刻歴
図9 八戸港湾記録の場合
節点1の水平変位 地動変位
節点7の回転変位
図8 橋梁の変位応答の定義
次にJR鷹取駅記録を入力地震動としたときの各種応答 時刻歴を図10に示す.八戸港湾記録を入力した場合より も,応答の長周期化・断面力低減効果が顕著に認められ る.八戸港湾記録を入力した場合と同様に,浮き上がり 変位成分・位置エネルギー・橋脚のひずみエネルギー・
ベースシアの対応関係が認められる.システムの運動エ ネルギーとベースシアの関係性,逸散減衰によって失わ れたエネルギーに見られる傾向についてもほぼ同様であ る.ただし,位置エネルギーの量が比較して大きく各種 応答における線形・非線形の差が顕著である.
5. 結論
本研究では、直接基礎を有する橋梁構造物の地震応答 を取り扱うが、入力地震動のレベルによっては地盤が非 線形化したり、基礎が浮き上がったりする複雑な問題と なる。このように複雑な非線形動的相互作用問題をエネ ルギーというスカラー量を用いて統一的に検討すること は、複雑な現象の理解を深める上で有効である.本研究 では,基礎が浮き上がることによって構造物に発生する 断面力が低減する効果に着目するが、地盤の材料非線形 に加え、基礎の浮き上がりを簡便に考慮できるマクロエ レメントモデルを用いることで、構造物が地震動入力を 受けた際、橋脚の断面力が低減する現象を系に対するエ ネルギー収支に着目し,メカニズムについて考察を行い,
今回の検討の範囲内で以下の結論を得た.
1) 基礎が浮き上がり、構造物の位置エネルギーが増大 することにより、橋脚のひずみエネルギーが減少し、
橋脚の断面力も低減する.
2) 1)の程度は、入力地震動の強度特性や周波数特性に
よる顕著な影響を受け変化する.
謝辞:本研究では土木研究所において中谷氏らによって 開発された解析プログラムを使用いたしました.記して 感謝の意を表します.
参考文献
1) 林康裕,安井譲,吉田長行:構造物の応答と相互作 用効果,第 5回構造物と地盤の動的相互作用シンポ ジウム,pp.13-24,1998.
2) 林康裕:直接基礎構造物の基礎浮き上がりによる地震被 害低減効果,日本建築学会構造系論文集,第 485号,pp.
53-62,1996.
3) 秋山宏,高山峰夫:原子炉建屋の強震応答特性,日 本建築学会構造系論文報告集,第 382号,pp.10-18,
1987.
4) 楊志勇,秋山宏:エネルギーの授受に基づく相互作 用の効果に対する評価,日本建築学会構造系論文集,
第536号,pp.39-45,2000.
0 10 20 30
-1 0 1
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Displacement (m)
(a) 節点1の水平変位の時刻歴
0 10 20 30
-0.1 0 0.1
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Rotation angle (rad)
(b) 節点7の回転変位の時刻歴
0 10 20 30
-0.1 0 0.1
Time (sec)
Rotation angle (rad)
(c) 回転塑性変位成分の時刻歴
0 10 20 30
-0.1 0 0.1
Time (sec)
Rotation angle (rad)
(d) 回転浮き上がり変位成分の時刻歴
0 10 20 30
-20000 0 20000
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Base shear (kN)
(e) ベースシアの時刻歴
0 10 20 30
0 200 400 600
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(f) 橋脚のひずみエネルギーの時刻歴
0 10 20 30
0 1000 2000
Time (sec)
Energy (kNm)
(g) 位置エネルギーの時刻歴
0 10 20 30
0 1000 2000
Time (sec)
線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(h) システムの運動エネルギーの時刻歴
0 10 20 30
0 200 400 600 800 1000
Time (sec) 線形相互作用システム 非線形相互作用システム
Energy (kNm)
(i) 逸散減衰によって失われたエネルギーの時刻歴
図10 JR鷹取駅記録の場合
5) 岩下敬三,谷口元,石原大雅:杭頭で浮き上がりを許容 した建物の地震応答エネルギー評価,日本建築学会構造 系論文集,第564号,pp. 23-30,2003.
6) 中谷昌一,白戸真大,河野哲也:直接基礎の地震時挙動 を予測するための数値解析モデルの開発,土木研究所資 料,第 4101 号,2008.
7) Shirato, M., Paolucci, R., Kouno, R., Nakatani, S., Fukui, J., Nova, R.
and di Prisco, C.: Numerical simulation of model tests of pier-shallow foundation systems subjected to earthquake loads using an elasto-uplift- plastic macro element, Soils and Foundations, Vol. 48, No. 5, pp. 693-71, 2008.
8) 井上貴文,三神厚:基礎の浮き上がりと地盤の材料 非線形による橋脚の断面力低減効果の検討,地盤工
学ジャーナル,投稿中.
9) Nova, R. and Montrasio, L.: Settlement of shallow foundations on sand, Géotechnique, Vol. 41, No. 2, pp. 243-256, 1991.
10) Gazetas, G.: Foundation vibrations, Foundation Engineering Handbook, Fang HY (ed.), van Nostrand Reinhold: NY, 1991.
11) (社)日本道路協会:道路橋示方書・同解説Ⅴ耐震設計 編,丸善,2002.
12) (社)日本道路協会:道路橋の耐震設計に関する資料,
丸善,1997.
13) 川島一彦,細入圭介:直接基礎のロッキング振動が橋脚 の非線形地震応答に及ぼす影響,土木学会論文集,No.703, I-59, pp. 97-111, 2002.
INVESTIGATION OF STRESS REDUCTION EFFECT OF BRIDGE PIERS DUE TO NON-LINEAR DYNAMIC INTERACTION USING ENERGY CONCEPT
Takafumi INOUE and Atsushi MIKAMI
This paper studies the effects of non-linear dynamic interaction on the reduction of section force in- duced in bridge piers by viewpoint of energy. A macro-element model developed by PWRI so that it can deal with basemat uplift is used. As a result, the following conclusions are obtained. 1) As potential ener- gy of the bridge increases due to basemat uplift, strain energy and section force induced in bridge piers become smaller. 2) The degree vary depending on frequency characteristics as well as amplitude of the input motions.