複雑地形における局所風況の数値予測 その 2 実測による検証
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(2) I‑545. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月) 表 1 非線形と線形モデルによる年平均風速の予測誤差の比較 風車番号 モデル. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 10 機平均. 線形モデル. 5.3. 23.1. 34.7. 14.5. 35.2. 2.2. 8.9. 1.2. 8.6. 4.9. 14.2. 非線形モデル. 1.5. 2.4. 9.2. 0.7. 11.0. 2.5. 1.8. 10.7. 2.2. 6.6. 4.9. この図から分かるように, 灯台付近では風向の変化が殆ど見ら れないのに対して,7 号機では谷地形の影響を受けて風が WSW 風向に曲げられている。図 6 には 7 号機設置地点における風配 を示す。観測データから見られるような卓越風向(WSW 風向) は線形モデルでは全く再現されておらず, 一方非線形モデルでは この現象をほぼ再現されている。. 図 3 平均風速の鉛直分布(左:5 号機 右:10 号機) 風車設置地点での年平均風速を求めるために,16 風向の解析 を行った。図 4 には線形と非線形モデルにより求められた年平 均風速を示す。この図から分かるように,1 号機と 6〜10 号機で 図 6 7 号機における風配の比較. は線形と非線形モデルによる予測値が観測値とよく一致してい. (左:観測. る。一方,2〜5 号機では線形モデルが年平均風速を過大に評価 する。表 1 には各風車における年平均風速の予測誤差を示す。 線形モデルでは最大予測誤差が 35.2%であるのに対して,非線 形モデルでは 11.0%である。10 機平均では線形モデルが 14.2% であるのに対して,非線形モデルは 4.9%となる。線形モデルと. 中:線形モデル. 右:非線形モデル). 以上のように,非線形風況予測モデル(MASCOT)は複雑地 形における局所風況を良く再現し,年平均風速の予測誤差は 5% 以下である。 本研究で開発された非線形風況予測モデルの有効性 が確かめられた。. 比べ, 非線形モデルによる予測精度は格段に向上されていること が分かる。. 4.. まとめ. 本研究では竜飛ウインドパークを対象に複雑地形における局 年平均風速(m/s). 10.00. 所風況予測を行い,現地観測結果と比較することにより,以下の. 8.00. 結論を得た。. 6.00. 1) 線形モデルによる風況予測は複雑地形上の風向・風速の変化. 4.00. が再現できず,年平均風速の予測誤差は 14.2%である。. 観測値 線形モデル 非線形モデル. 2.00 0.00 1. 2. 3. 4. 5 6 7 風車番号. 8. 2) 本研究で開発された非線形モデルは複雑地形上の風速・風向 の変化がよく再現し,年平均風速の予測誤差は 5%以下である。 本研究で開発された非線形風況予測モデルは複雑地形におけ. 9 10. る局所風況の予測に十分な予測精度を有することが分かった.. 謝辞. 図 4 年平均風速の予測結果と観測値との比較. 本研究では東北電力株式会社より竜飛ウインドパークにおけ 次に複雑地形が風配に与える影響を調べた。灯台と 7 号機に おける風車高さ(地上 30m)でのW 風向の平均風速ベクトルを 図 5 に示す。. る風向・風速の観測データを提供して頂いた。ここに記して謝意 を表する。. 参考文献 1) T. Matsuzaka, K. Tsuchiya, N.T anaka : Wind Resource Estimation of Tappi Wind Park, Europian Wind Energy Conference (1997). N. 2) 山口敦,石原孟,藤野陽三:複雑地形における局所風況の数. N. 値予測 その 1 境界処理,土木学会第 57 回年次学術講演会 (2002) 3) 堀籠健:複雑地形におけるウインドファーム年間発電量の数. 図 5 地上 30m での平均風速ベクトル(左:灯台 右:7 号機). ‑1090‑. 値予測と実測による検証,東京大学卒業論文 (2002).
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