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複雑地形における局所風況の数値予測 その 2 実測による検証

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Academic year: 2022

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(1)I‑545. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月). 複雑地形における局所風況の数値予測 その 2 実測による検証 ○. 東京大学大学院 学生員. 堀籠 健. 東京大学大学院 正会員. 石原 孟. 東京大学大学院 フェロー 藤野陽三. 1.. はまず非線形モデルにより年平均風速が大きく異なる理由を探. はじめに. 構造物に作用する風荷重は風速の2〜3 乗,風力発電量は風速 の 3 乗に比例する。そのため複雑地形上に建設される土木構造 物の風荷重を正確に評価するには平均風速と乱れを精度よく予 測する必要がある。 現在世界で広く使用されている風況予測モデ ルのほとんどは線形モデルに基づくものであり, 複雑地形を有す る我が国においてはこのような線形モデルを適用すると, 予測結 果に大きな誤差が生じることがある 1)。非線形モデルに基づく新 しい風況予測手法の開発が望まれる。 しかし, 非線形モデルを用いて実地形における風況予測を行う 場合に,その12)で述べたように境界処理が必要である。いまの ところ,実測結果と比較し,非線形モデルの予測精度を検討した 例が少ない。そこで,本研究ではその12)で提案された境界処理 方法を用いて実地形を対象に非線形モデルによる風況予測を行 うと共に, 観測データと比較することにより複雑地形上での非線 形モデルの予測精度を明らかにする。. 2.. ってみた。 風況予測に必要な地形と粗度のデータは国土地理院発行の 50mメッシュ数値標高データと日本地図センター発行1/10細分 区画土地利用データを使用した。 ここでまず竜飛ウインドパーク を中心とした 10km 四方の領域内の標高と粗度データを作成し た。そして,青森県三厩村発行の 1/2500 図と竜飛ウインドパー ク上空の航空写真を用いて,50m メッシュ数値標高データで表 現されていない細部地形と粗度については手作業により修正を 行った。解析では上空風速を 6m/s と設定した。なお,本研究で は竜飛岬灯台で観測された風向・風速データを用いてウインドパ ーク内の風向・風速を求めた。. 3.. 風況予測結果. まず複雑地形が平均風速場に与える影響を調べるために,5 号 機と 10 号機の位置における E-W 断面内の平均風速ベクトルを 図 2 に示す。カラーコンタは流れ方向の速度成分の大きさを表 す。この図から分かるように,5 号機は山頂の窪んだ地点に位置. 対象地点と解析条件 本研究では青森県の竜飛岬を解析の対象とした。そこには東. 北電力(株)の集合型風力発電基地「竜飛ウィンドパーク」があ り,現在,11 台の風車が設置されている。図 1 には竜飛ウイン. しているため,風車高さでの風速が大きく減少している。一方 10 号機は上り斜面の増速場所に位置しているため,風車高さに おける平均風速が大きくなっている。. ドパークの全景を示す。風車 1〜11 号機のナセルの上に風車型 風向風速計が設置されており,風速・風向の 10 分平均値が観測 されている.本研究では 1997 年の観測データを検証データとし て用いた。なお,予測対象は 1997 年当時の 10 台の風車とした。. W. 5 号機 10 号機. W. 図 1 竜飛ウインドパークの全景. E. 図 2 E-W 断面内の平均風速ベクトル(上:5 号機 下:10 号機). 第3章に示すように竜飛ウインドパーク内の10 台の風車はそ. 図 3 は 5 号機と 10 号機における W 風向の平均風速分布を示. の年平均風速が設置地点によって大きく異なる。 年平均風速が最. す。5 号機では風車高さでの風速が上空風速の半分以下に減少し. 大の 10 号機と最小の 5 号機ではその差が 1.8 倍である。本研究. ている。一方,10 号機では上空風速よりも大きくなっている。. キーワード: 局所風況, 数値予測, 複雑地形, 年平均風速,風配 連絡先 : 〒113-8656 東京都文京区本郷 7-3-1 TEL 03-5841-6099. ‑1089‑. FAX. 03-5841-7454.

(2) I‑545. 土木学会第57回年次学術講演会(平成14年9月) 表 1 非線形と線形モデルによる年平均風速の予測誤差の比較 風車番号 モデル. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 10 機平均. 線形モデル. 5.3. 23.1. 34.7. 14.5. 35.2. 2.2. 8.9. 1.2. 8.6. 4.9. 14.2. 非線形モデル. 1.5. 2.4. 9.2. 0.7. 11.0. 2.5. 1.8. 10.7. 2.2. 6.6. 4.9. この図から分かるように, 灯台付近では風向の変化が殆ど見ら れないのに対して,7 号機では谷地形の影響を受けて風が WSW 風向に曲げられている。図 6 には 7 号機設置地点における風配 を示す。観測データから見られるような卓越風向(WSW 風向) は線形モデルでは全く再現されておらず, 一方非線形モデルでは この現象をほぼ再現されている。. 図 3 平均風速の鉛直分布(左:5 号機 右:10 号機) 風車設置地点での年平均風速を求めるために,16 風向の解析 を行った。図 4 には線形と非線形モデルにより求められた年平 均風速を示す。この図から分かるように,1 号機と 6〜10 号機で 図 6 7 号機における風配の比較. は線形と非線形モデルによる予測値が観測値とよく一致してい. (左:観測. る。一方,2〜5 号機では線形モデルが年平均風速を過大に評価 する。表 1 には各風車における年平均風速の予測誤差を示す。 線形モデルでは最大予測誤差が 35.2%であるのに対して,非線 形モデルでは 11.0%である。10 機平均では線形モデルが 14.2% であるのに対して,非線形モデルは 4.9%となる。線形モデルと. 中:線形モデル. 右:非線形モデル). 以上のように,非線形風況予測モデル(MASCOT)は複雑地 形における局所風況を良く再現し,年平均風速の予測誤差は 5% 以下である。 本研究で開発された非線形風況予測モデルの有効性 が確かめられた。. 比べ, 非線形モデルによる予測精度は格段に向上されていること が分かる。. 4.. まとめ. 本研究では竜飛ウインドパークを対象に複雑地形における局 年平均風速(m/s). 10.00. 所風況予測を行い,現地観測結果と比較することにより,以下の. 8.00. 結論を得た。. 6.00. 1) 線形モデルによる風況予測は複雑地形上の風向・風速の変化. 4.00. が再現できず,年平均風速の予測誤差は 14.2%である。. 観測値 線形モデル 非線形モデル. 2.00 0.00 1. 2. 3. 4. 5 6 7 風車番号. 8. 2) 本研究で開発された非線形モデルは複雑地形上の風速・風向 の変化がよく再現し,年平均風速の予測誤差は 5%以下である。 本研究で開発された非線形風況予測モデルは複雑地形におけ. 9 10. る局所風況の予測に十分な予測精度を有することが分かった.. 謝辞. 図 4 年平均風速の予測結果と観測値との比較. 本研究では東北電力株式会社より竜飛ウインドパークにおけ 次に複雑地形が風配に与える影響を調べた。灯台と 7 号機に おける風車高さ(地上 30m)でのW 風向の平均風速ベクトルを 図 5 に示す。. る風向・風速の観測データを提供して頂いた。ここに記して謝意 を表する。. 参考文献 1) T. Matsuzaka, K. Tsuchiya, N.T anaka : Wind Resource Estimation of Tappi Wind Park, Europian Wind Energy Conference (1997). N. 2) 山口敦,石原孟,藤野陽三:複雑地形における局所風況の数. N. 値予測 その 1 境界処理,土木学会第 57 回年次学術講演会 (2002) 3) 堀籠健:複雑地形におけるウインドファーム年間発電量の数. 図 5 地上 30m での平均風速ベクトル(左:灯台 右:7 号機). ‑1090‑. 値予測と実測による検証,東京大学卒業論文 (2002).

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