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口腔扁平上皮癌細胞におけるインテグリンβ6の蛋白翻訳後修飾の解析と浸潤・増殖における関与

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Academic year: 2021

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第 8 号様式 論 文 審 査 の 要 旨 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 歯 学 ) 氏名 藤井 隆彦 学位授与の要件 学位規則第4条第

1 ・2項該当 論 文 題 目 口腔扁平上皮癌細胞におけるインテグリンβ6 の蛋白翻訳後修飾の解析と浸潤・増殖にお ける関与 論文審査担当者 主 査 教 授 加 藤 功 一 印 審査委員 教 授 吉 子 裕 二 審査委員 講 師 林 堂 安 貴 〔論文審査の要旨〕 がん化やがんの増殖は,がん細胞自身の特性のみならず,細胞外基質蛋白などの周囲の 間質成分との相互作用によって制御されている。インテグリンはα鎖とβ鎖からなるヘテ ロ二量体として細胞膜上に存在し,細胞外基質との相互作用により細胞の接着や運動能を 制御している。特にインテグリンαv ファミリーは,がん細胞の運動能のみならず蛋白分 解活性を調節し,がんの浸潤・転移に密接に関与していると考えられている。 本研究では,インテグリンαv を唯一のカウンターパートとするβ6 の蛋白翻訳後修飾機 構の解析と,αvβ6 が扁平上皮癌細胞の浸潤・増殖に与える影響について検討した。 実験には,外陰部扁平上皮癌細胞株 A431 を用いた。A431 にβ6 蛋白を一過性に発現誘導 させるため,テトラサイクリン(Tet)発現誘導システムを使用した。すなわち, Tet 誘 導性発現プラスミド pcDNA4/TO にβ6 の cDNA を組み込んだ pcDNA4/TO/β6 を作製し,Tet リプレッサ-発現ベクターpcDNA6/TR とともに A431 に導入し,A431β6-On を分離した。A431 β6-On を Tet 処理によりβ6 を発現誘導させた後,さらに Tet 非存在下で培養した時のβ 6 の mRNA 及び蛋白の発現変化を,それぞれ RT-PCR 及びウエスタンブロットで解析するこ とで,β6 の転写後および翻訳後修飾を検討した。さらに,β6 発現に対するαv の影響を 検討するため,哺乳動物発現ベクターpCI-neo にαvcDNA を組み込んだ pCI-neo/αv を作製 した。A431β6-On に pCI-neo または pCI-neo/αv を導入し,それぞれ A431mock/β6-On ま たは A431αv/β6-On を分離した。

β6 蛋白の細胞内での局在を検討するため,各細胞から細胞質蛋白,膜蛋白,核蛋白, クロマチン結合蛋白及び細胞骨格蛋白の各分画抽出し,各細胞画分中のβ6 蛋白をウエス

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タンブロットで解析した。

インテグリンαvβ6 が,扁平上皮癌細胞の浸潤・増殖に与える影響を検討するため,Tet 存在下での A431αv/β6-On の細胞運動能を Boyden chamber の変法にて解析するとともに, マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性をゼラチンザイモグラフィーにて検索した。 さらに A431αv/β6-On の in vitro 及び in vivo での増殖能についても検討した。その結 果,以下のことが明らかとなった。

1.Tet 処理により,A431β6-On は,β6 の mRNA 及び蛋白発現が誘導されたが,Tet 非存 在下で培養すると,いずれも経時的に発現量が低下し,12 時間後に mRNA 発現が消失 し,β6 蛋白発現は 24 時間後にほぼ消失した。 2.A431β6-On で一過性に誘導されたβ6 蛋白は,リソソーム阻害剤 pepstatinA とカルパ イン阻害剤 ALLN の添加によっても,β6 蛋白発現が低下したのに対し,プロテアソー ム阻害剤の MG132 または Lactacystin 処理は,β6 蛋白の発現低下を抑制した。 3.A431β6-On で,発現誘導されたβ6 蛋白の大部分は膜画分中に存在したが,Tet 非存 在下で培養すると,膜画分中のβ6 蛋白量は低下した。これに対し,MG132 で処理され た A431β6-On では,膜画分中のβ6 蛋白発現の低下はみられなかった。

4.Tet 処理により誘導されたβ6mRNA 発現は,A431mock/β6-On 及び A431αv/β6-On と もに,Tet 非存在下では 12 時間後には消失した。A431mock/β6-On のβ6 蛋白は Tet 非存在下では発現量が低下したのに対し,A431αv/β6-On では,Tet 非存在下で培養 してもβ6 蛋白発現が維持された。

5.Tet 処理により, A431αv/β6-On の運動能が低下するとともに,A431αv/β6-On の matrix metalloproteinase-9(MMP-9)活性は抑制された。 6.Tet 処理は,A431αv/β6-On の細胞増殖能には影響を与えなかったが,ヌードマウス での造腫瘍能を低下させた。 以上の結果から,インテグリンβ6 蛋白は合成された後,細胞膜に移行するが,単量体 のβ6 は,細胞膜から細胞質に移動しユビキチン化され,プロテアソームにより分解され ると考えられた。これに対し,αv と二量体を形成したβ6 は,ユビキチン・プロテアソー ム系による分解を受けず,細胞膜でαvβ6 として安定発現し,扁平上皮癌細胞の運動及び MMP-9 活性に対し抑制シグナルを伝達し,扁平上皮癌の浸潤・増殖を低下させていること が示唆された。本論文は口腔外科学をはじめ歯科医学の発展に寄与するところが大きいも のと評価される。よって審査委員会委員全員は,本論文が著者に博士(歯学)の学位を授 与するに十分な価値あるものと認めた。

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