Title
長期ACTH投与時の副腎皮質球状層内アルドステロン合成
酵素および還元系酵素 -- 抗酸化剤およびRU486の効果 --( 内
容の要旨(Summary) )
Author(s)
諏訪, 哲也
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)甲 第405号
Issue Date
1999-03-25
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/14723
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 旦 諏 訪 哲 也(岐阜県)
博
士(医学) 甲第 405 号 平成11年 3 月 25 日学位規則第4条第1項該当
長期AC丁目投与時の副腎皮質球状層内アルドステロン合成酵素および還元系
酵素 一抗酸化剤およびRU486の効果-(主査)教授 安 田 圭 吾 (副査)教授 高 見 剛 教授 玉 舎 輝彦
論 文 内 容 の 要 旨 ACTHは,アンジオテンシンⅡやカリウムなどの刺激同様.短期的には副腎皮質球状層からのアルドステロン 分泌を促す。しかし,ACTHの長期投与は血兼アルドステロン濃度を劇的に減少させることが知られ,この逆説 的現象ほ`aldosteroneturn-Offphenomenon"と呼ばれている。しかしながら,そのメカニズムは依然不明で ある。 ラットにおいて,ACTH5日間連続投与後の血兼アルドステロン濃度と副腎外層からのアルドステロン分泌の 減少が,抗酸化剤であるビタミンEやDMSO.抗グルココルチコイド剤として知られ強力な抗酸化作用をも合わ せ持つRU486の併用投与により,有意に抑制されることを我々は報告してきた。これらの知見は,同現象への 酸化ストレスの関与を強く示唆している。 生理的な条件下においても.副腎皮質細胞のミトコンドリアは活性酸素の主要な供給源であり,スーパーオキ サイドやその代謝産物が,蛋白,脂質,核酸等と反応し.その構造や機能を修飾すると考えられる。これらの酸 化ストレスを克服するために.副腎皮質は高レベルのスーパーオキサイドジスムタ⊥ゼ(SOD)やグルタチオ ンペルオキシターゼ(GPx),カタラーゼ等の還元系酵素を有しているはか,ビタミンEやビタミンC等の非酵素 的抗酸化物質を他の組織に比べ豊富に含有している。副腎皮質では酸化ストレスと抗酸化システムの両システム が常に作動し,ステロイド合成を制御しているものと考えられる。グルココルチコイド自身,副腎皮質ミトコン ドリア呼吸鋭からの電子漏洩を促進することも知られており,酸化ストレス増加との関連が示唆されている。 一方,現在までACTH長期投与の副腎皮質アルドステロン合成酵素活性とその遺伝子CYPllB2のmRNA,還 元系酵素に与える影響についての検討はなされていない。今回申請者らは,ACTH連続投与が,副腎皮質アルド ステロン合成酵素活性,CYPllB2mRNAレベルや,Mn-SODおよぴGPx mRNAレベルに与える影響,またそ れらにどタミンE.DMSO,RU486の併用投与が及ぼす効果を検討した。 対象と方法 実験動物と検体作製 ウイスターラット(堆.200g)に生食およびACTH20FLgを5日間皮下注し,それぞれにビタミンE4mg,DMSO lllmg,RU4862mgを併用投与した。5日後に採血副腎は摘出後速やかに球状層を含む外層を分離した○ アルドステロン合成酵素活性測定l-C-DOC(0.72nM)を基質とし.副腎皮質外層をKrebs-Ringerphosphate buffer O.5mlで37℃で24時間イン キエペート後.上宿よりステロイドを含む分画を抽出しthinlayerchromatographyplateで展開,各種ステロ
イドの放射活性を測定した。得られたカウント数より,DOCからアルドステロンへの転換率を以下の式に従い 計算した。
%conversion=(aldosteronein sample(counts)/allsteroidsin sample(counts)-aldosteroneinblank (counts)/allsteroidsin blank(counts))×100(%)
競合的RT-PCRによる副腎皮質外層CYP11B2.Mn-SOD,GPx各mRNAレゾルの測定
抽出した総RNAはDNaseで処理後に逆転写反応を行った。CYPllB2,Mn-SOD,GAPDHそれぞれのcDNA
-29-に特異的なプライマーとCLONTECH社のPCR MIMICT"KITにより作成したcompetitorを用いて競合的PCRを 施行した。PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動後,エチジウムブロマイドで発色させ,スキャナーを用い て画像をファイル化し,NIHImagel.60(N.I.H)で解析した。各サンプルのCYPllB2,Mn-SOD,GPx mRNA量はGAPDHとの比により標準化し,ノンパラメトリックMann-Whitney U検定により各グループ間の 有意差を検討した。 結果と考察 1)アルドステロン合成酵素活性 ACTH単独投与群ではアルドステロン合成酵素活性は生食コントロール群の36%まで減少した。ACTH投与群 ではどタミンE,DMSO.RU486の併用投与によりACTH単独投与群に比して有意にアルドステロン合成酵素活 性の増加を認めた。 2)CYPllB2mRNAレベル CYPllB2mRNAレベルはACTH群では対照群の約30%に減少した。ACTH投与群ではビタミンE,DMSO, RU486の併用投与によりACTH単独投与群に比して有意に増加した。 3)MrトSOD mRNAレベル Mn-SOD mRNAレベルはACrH投与群で対照群の約5倍に増加した。ビタミンEは単独投与では,対象群に比 して有意にMn-SOD mRNAレベルを減少させたが,ACTHとの併用投与では影響を与えなかった。一方,DMSO はACTHとの併用投与ではMn-SODmRNA増加を抑制した。RU486単独投与群では極端な増加を認めたが,A CTHとの併用投与ではそれよりは低値となった。 4)GPx mRNAレベル GPx mRNAレベルはACTH単独投与群では生食コントロール群の約1/3のレベルに減少した。また.ビタミ ンE,DMSO,RU486の単独投与によりGPx mRNAは著滅した。ビタミンE,DMSOとACTHの併用投与は ACTHによる減少をさらに増強したが,RU486の併用は影響しなかった。 以上より,酸化ストレスがturn-Off phenorile山Onの成因に関連することを改めて確認した。またturn_。ff phenomenonでみられる低アルドステロン血症の本態はアルドステロン合成酵素のRNAレベルでの減少であるこ とが明らかとなった。また,ACTH長期投与は副腎皮質球状層のMn-SOD mRNAの増加をきたす一方,GPx mRNAを減少させる。そのため.Mn-SOD/GPxの不均衡が過酸化水素の蓄穏を招き.結果的に酸化ストレス を増強させ,アルドステロン合成酵素のRNAレベルに負の影響を及ぼしている可能性が示唆された。ビタミンB DMSO.RU486はMn-SOD/GPxの不均衡を是正するのではなく,直接的にそれらの酸化ストレスを除去する と考えられた。 論文審査の結果の要旨 申請者 諏訪哲也は,ACTH慢性投与がアルドステロン合成酵素のmRNAレベルの減少をきたしaldoster。ne turn-0伴現象を起こしていること,および本現象の成因に酸化ストレスが直接関与していることを明らかにした。 本研究はステロイド合成機序を明らかにするものであり,内分泌学の進歩に寄与するものと認める。 [主論文公表誌] 長期ACTH投与時の副腎皮質球状層内アルドステロン合成酵素および還元系酵素 一抗酸化剤およびRU486の効果一 岐阜大医紀 47(1):19∼24,1999