Title
皮膚筋炎の皮疹部および筋肉の電子顕微鏡的観察( 内容の要
旨(Summary) )
Author(s)
中谷, 明美
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第903号
Issue Date
1994-03-16
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15371
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員
中 谷
明
美(岐阜県)
博
士(医学)
乙第 903 号平成
6年
3月16
日学位規則第4条第2項該当
皮■筋炎の皮疹部および筋肉のt子顕微鏡的観察
(主査)教授森
俊
二 (副査)教授 正村
静
子 教授高
見 剛論
文内 容
の 要 旨 皮膚筋炎(以下DMと略す)は,主に皮膚と筋肉を侵す原因不明の自己免疫疾患である。その臨床像は,①上 限瞼に認められる赤紫色の浮腫性紅斑(いわゆるヘリオトロープ疹),②手指関節背面の角化性紅斑(いわゆる Gottron徴侯)などの皮膚症状に加えて,⑨特に四肢近位筋の筋肉痛や筋力低下などの筋症状を特徴とする。合 併症として内臓悪性腫瘍や問質性肺炎が知られており,それらは予後を決定する因子として重要視されている。 DMの原因はいまだ不明であるが,ウイルスや原虫などの感染症,悪性腫瘍あるいは薬剤などと関連してDMが発症する例がしげしば認められ,さらに患者個人に内在する種々の免疫異常や遺伝的要因もその誘因として考え
られている。これらの外的および内的要因が複雑に作用してDMが発症するのではないかとされている。 我々は1967年から1992年までの26年間に岐阜大学皮膚科で検索されたDM患者28例(悪性腫瘍合併例6例およ び問質性肺炎合併例4例)の皮膚および筋病変部を用い,その皮疹の発生機序を明らかにするために光学顕微鏡 的および電子顕微鏡的に検討した。 材料および方法 1)光学顕微鏡的検討 DM患者の皮疹部標本は顔面蝶形紅斑8例,Gottron徴候病変18例,ポイキロデルマ皮疹1例,掻破・l=より生 じた線状の紅斑部3例より,筋肉横木は20例の三角筋より採取し,パラフィン包埋標本を作成した。切片はへマ トキシリン・エオジン染色のほか,アルシアン青染色およびPAS反応を行った。 2)電子顕微鏡的検討 DM患者10例のうち,顔面蝶形紅斑は8例,Gottron徴侯部は4例,掻破痕部は3例,体幹紅斑は1例,および 筋肉は5例について検討した。採取した組織模本を直ちに細切後,グルタルアルデハイド・オスミウム酸2重固 定した。エボン包埋標本を作成後,超薄切片をウラン・鉛染色し,日本電子100S型電子顕微鏡を用いて観察した。 結 果 1)光学顕微鏡的研究 1.皮オ病変部すべてに共通する組織学的所見は真皮の浮腫であり,顔面蝶形紅斑8例中全例,Gottron徴候部 18例中9例,掻破痕部3例中全例に認めた。網状層に存在する浮腫にはアルシアン青染色陽性の酸性ムコ多 糖類の沈着をみた。 2.三角筋では筋束辺綾部の萎縮と血管周囲のリンパ球を主休とした細胞浸潤が主体で,筋束内へのリンパ球 の浸潤は軽度であった。 2)電子顕微鏡的検討 1.表皮細胞内(顔面蝶形紅斑8例中5例,Gottron徴侯部4例中3例,掻破痕部3例中1例),および血管内 皮細胞内(顔面蝶形紅斑8例中3例,Gottron徴侯部4例中3例,掻破痕部3例中2例,三角筋5例中全例) にmicrotubuloreticular structure(MTRS)を認めた。 1412.MTRSは多くの場合,嚢状に拡張した粗面小胞体内に存在した。 3.筋痛などの自覚症状,筋原酵素の上昇を認めず,また光学顕微鏡による観察で異常所見のみられない症例に おいても三角筋血管内皮細胞内にMTRSをみとめた。 4.confronting cisternae(CC)は,検討した皮膚筋炎患者の顔面蝶形紅斑8例中2例の,および掻破痕部3例 中1例の表皮細胞内に認めた。また,顔面蝶形紅斑部1例では表皮内に遁走する間葉系細胞内にCCを認めた。 5.CCは多層化したものが多く,核に接して存在していた。 6.掻破痕部表皮細胞内に存在したCCは筒状のtubular CC(TCC)であった。 7.CCとMTRSが同じ表皮細胞内に存在したものも認められた。 8.多層化したCCおよびTCCを認めた症例4例(表皮細胞内3例,および表皮内に浸潤した間葉系細胞内1例) のうち2例は内臓悪性腫瘍の合併,他の1例は急激な問質性肺炎の進行により死亡した。 9.CCを認めないが高頻度に表皮細胞内にMTRSが存在した症例も問質性肺炎で死亡した。 10.皮膚筋炎を疑った場合,明らかな筋症状や光学顕微鏡的検討による異常所見を認めない場合でも,三角筋の 電子顕微鏡的検討によるMTRSの確認は診断の一助となると思われた。 11.皮膚筋炎患者病変部の電子顕微鏡的検討による表皮細胞内のCCおよびMTRSの観察はその症例の予後を判 定する意味で重要な手段であると考えた。