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本邦人血圧の疫学的研究 第Ⅳ報 : 埼玉県農村地区における一小学校児童の血圧調査(脈圧および中間血圧について)

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(1)

(東京女医大誌第28巻第11号頁794−801昭1和33年11月目

本邦人血圧の疫学的研究

第 N 報

一一

驪ハ県農村地区1における一小学按児童の血圧調査

(脈圧わよび中間血圧について) 1 緒 東京女子医科大学衛生学教室(主任 吉岡博人教授)

吉 田 央

nシ ダ ヒロシ

(受付昭和33年9月3日)

言 著者は画報1)に,埼玉県入間郡福岡村の福岡小 学校児童の血圧調査について報告した。そこでは 最高血圧および最低血圧についての報告だつたの で,今回は脈圧および中間血圧について報告す る。 H 対象および研究方法 対象は福岡小学校児童男子679名,女子643名であ つた。研究方法は第皿報1)に詳述したが,椅坐位で右 腕のみ連続3回測定し,そのうちで比較的低めの値を えらんで代表させた。血圧測定は,昭和33年6月4目 から12貝までの間におこなった。

皿 研究結果

1) 性別学年別脈圧の分布 性別学年別にみた脈圧の分布を,表一Iaおよ び表一Ibにしめし,それらについて図一1に図示 した。 a)男予について 表一Iaおよび図一1によって,男子の学年別脈 圧の分布をみると,各学年を通じて分布の形はあ まり変化していない。ほぼ正規分布に近い形を保 っているといえる。最頻値は,すべての学年にお いて40−49㎜H9に励,1斡のみ33. 7 %を しめ,他の学年ではすべて35%から40%の間を しめてあまり変らない。高学年となるにつれて,高 圧側あるいは低圧側に移行するような傾向もあま Hirosi YOSIDA (Department of Hygiene,

り認められない。 b)女子について 表一Ibおよび図一1によって,女予の学年別脈 圧の分布をみると,分布の形は各学年を通じて著 明な変化をしめしていない。5学年では,やや高 圧側に膨らんだ分布をしめしているかに思われる が,その他の学年ではすべて正規分布に近い形を 保っているといえよう。最:頻値は1学年のみ30∼ 39mmHg }こあるが,2斡以上ではすべて40−

49㎜H9にある。1斡および2学年は33.3%

をしめているが,その他の4っの学年では35 % から40%の聞をしめ,全般的にあまり変化して いない。高学年となるにつれて高圧側の分布が多 くなる傾向がやや認められるが明らかではない。 C)男女の比較 男女を比較すると,両者ともほぼ同じような分 布の形をしめし,高学年となるにつれての変動に も明らかな差異は認められなかった。 2) 性別学年別中間.血圧の分布 性別学年別にみた中間血圧の分布を,表一ll aお よび表一ll bにしめし,それらについて図一Hに図 示する。 a)男子について 表一Haおよび図一Hによって,男子の学年別申 間血圧の分布をみると,1学年ではやや高圧側に

Tokyo Wo皿en’s Medical ColIege);The epide−

miologic studies of blood pressure of Japanese. Report IV., Investigations on the blood pressure of pupils in a public school in the rural area in Saitama prefecture (on the puise pressure and mean

pressure).

(2)

表一la学年別脈圧分布

男 子・ ( )内は%

−認

mmHg

10 nu 19 20 tv 29 30 .v 39 40 rv 49 50 tv 59 60 rv 69 70 tv 79 80 N 89 90 .v 99 1eO N 109 110 N 119

1学年

8 ( 8. 4) 31 (32.7) 32 (33. 7) 20 (2L O) 4 ( 4. 2)

2学年

1( 1. 1) 10 (10.4) 34 (35.8) 35 (36.8) 13 (13.8) 2 ( 2. 1)

3学年

2 ( 1. 6) 7 ( 5. 5) 34 (26.5) 47 (36.7) 31 (24.2) 6 ( 4.7) 1(O.8) 計

4学年

5学・年

12’ ( 9. 6) 40 (32.2) 49 (39.7) 20 (16.1) 2 ( 1. 6) 1 ( O.8) 1 ( O. 8) 4 ( 3.3) 20 (16.4) 43 (35.2) 29 (23.8) 20 (16.4) 3 ( 2.5) 2(L6)

6学年

95 95

i28 i 124

3 ( 2.6) 31 (26.9) 46 (40.0) 25 (2L 7) 7 ( 6. 2) 3 ( 2. 6)

122 b 115

表一lb学年別脈圧分布

女 子

( )内は%

mmHg

10 rv 19 20 tv 29 30(ノ39 40 tv 49 50 tv 59 60 n−t 69 70 tv 79 80 tv 89 90 tv 99 100 tv 109 110 tv 119

1学年

2 ( 2. 1) 16 (16.7) 32 (33.3) 30’ (31. 3) 14 (14.6) 1 ( 1. 0) ユ(1.0)

2学年

1 ( O.9) 16 (14.6) 37 (33.7) 39 (35.4) 13 (11.8) 3 ( 2.7) 1 ( O.9)

.讐㌔1学務

1 ( O. 9) 14 (11.9) 31 (26,5) 41 〈35.0) 27 (23.1) 3 ( 2.6) 1 ( 1. 0) 10 ( 9. 5) 21 (20.0) 41 (39.0) 25 (23.8) 5 ( 4. 8) 2(ユ.9)

5学年

16 (12.5) 45 (35.i) 38 (29.7) 22 (17.2) 5 ( 3.9) 2(!6)

6学年

2 ( 2. 2) 19 (2L 1) 29 (33.3) 22 (25.3) 14 (17.0) 1(1.1)

計 ig6

110 117 105 128 87 膨らみをもった分布の形をしめし,2学年ではそ の傾向は一層著明にみられるが,3学年ではむし ろやや低圧側に膨らみをもった分布の形をしめし ている。4,5,6学年では各学年ともほぼ正規分布 に近い形をしめしている。最:頻値は,1,2学年で

50∼59㎜Hgに励,3輯で70−79㎜Hg,

4,5学年で60∼69 mmHg, 6学年で60∼79mm Hgとなって変化を、しめしている。また,最頻値 の頻度も,ユ,5, 6学年では30%から35%の間に あり,2,4学年では45 %前後,3学年では40% 弱をしめレて種々であるが,一般的に学年別の分 布の動きをみると,’高学年となるにつれてやや高 圧側に移行する傾向が認められる。 b)女子について 表一D:bおよび図¶によって,女子の学年別中 間一血圧の分布をみると,6学年では高圧側に膨ら んだ分布の形をしめしているが,その他の学年で はほぼ正規分布に近い形をしめしている。最頻値

は,6学年では70∼79mmH9にあるが,他のす

べての学年では60∼69mmH9にある。最頻値の

頻度は,1,2β,4学:年とも40%以一ヒをしめており 5,6学年では40 %弱をしめている。男子と、同様 高学年となるにつれて,高圧側に分布するものの 数が多くなる傾向が認められる。

(3)

1学与

2母年

nl. 4a 30 )o lo 30 2e lo

3号等

4學辱

3a Zo to o 30 20 1o C)男女の比較 ケ挙年 30 ie lo o

30

6学年

20

io Se 五匹 圧 ioo O

So

図一1性別学年別脈圧分布

男女の分布を比較すると,あまり著明な相異は 認められないが,高学年となるにつれて高圧側に 分布するものの数が多くなる傾向は,男子よりも 女子においてやや著明に観察された。 3)性別学年別脈圧および中間血圧の平均値 表一皿および図一皿に,性別学年別脈圧および中 間1血圧の平均値をかかげた。 i)脈圧の平均値 a)男子について ioo“”h,Hs 学年別の平均値をみると,有意の差をもつて上 昇するのは,2学年の40. 8 mmH:9から3学年の 42.5mmHgになる揚合と,4学年の42. O mmHg から5学年の49.5mmHg }c上昇する搬とであ り,5学年の49.5mmHgから6学年の46. Omm Hgへは有意の差をもつて下降する。全体を通じ てみると,1学年から5学年までは漸次上昇の傾 向をしめしているが,5学年から6学年へは反対 に下降している。 b)女子について 一 796 一

(4)

表一lla学年別中間血圧分布

男 =壬 ( )内は%

mrnHg

10 rv 19 20 tv 29 30 tv 39 40 tv 49 50 ・一v 59 60 tv 69 70 tv 79 80 tv 89 90 rw 99 100 tv 109 110 tv 119

1 学年

14 (14.7) 30 (31. 6) 29 (30.5) 22 (23.2)

2学年

4 ( 4. 2) 43 (45.3) 28 (29.4) 16 (16.8) 3 ( 3. 2) 1(1.1)

3学年

3 ( 2. 4) 25 (19.4) 47 (36.7) 48 (37.5) 4(3.2) 1(O.8)

4 学年

5学年

l

i

15 (12.1) 55 (44.4) 1 ・・(…淵 2 ( 1. 6) 2 ( 1. 6) 1(O.8) 4(3.3) 18 (14.8) 41 (33.6) 37 (30. .3) 19 (15.6) 2(16)

6 学年

2 ( 1. 7) 17 (14.8) 39 (33.9) 39 (33.9) 17 (14. 8) 1 ( O. 9) 計 95 95 128 124 122 115

表一・ ll b学年別件闘血圧分布

女 子

( )内は%

1.\ミ学年別

血症砂\■

mmHgL 1 10 tw 19

1

20 tv 29 30 N 39 40 rv 49 50 tv 59 60 rv 69 70 rv 79 8e .v 89 90 nv 99 100 n」 log 110 tv 119

学年

1(10) 8 ( 8. 3) 36 (37. 5) 41 (42.8) 8 ( 8. 3) 2 ( 2. 1)

2学年

i

3学年i4学年

i

5学年;6学年

i

1(O.9) 7(6.4) 28 (25.5) 45 (40.9) 24 (21. 8) 5 ( 4. 5) 3(2.6) i 17 (14.5) l 」r 4 (46. i) 1 32 (27.4) 11 (9. 4) [ 2(1.9):3(2.・3)

8(7・6)112(9・ 4) 53 (50,5) . 41 (32.0) 30 (28.6) i 48 (37.5) 10(9.5)…17(13.3) 2 ( 1.9) 1 6 ( 4.7) … 1(0.8) 1 ( 1. 1) s(s.6) [ 34 (39.3) i

掃出

7 ( 8. 0) 計 96 110 117 105 128 87 有意の差をもつて上昇するのは,4学年の44.7 mmH:9から5学年の52. O mmHgとなる揚合の

みで,5学年の52.OmmHgから6学年の48.5

mmHgへは男子と同様有意の差をもつて下降す

る。1学年の40,0mmHgと4学年の44.7mm

Hgとの間には有意の差をもつて上昇するのを認 めた。すなわち,1学年から5学年までは漸次上 昇の傾向をしめしているが,5学年から6学年へ は反対に下降している。 C)男女の比較 男女閤の平均値聞にやや有意の差(平均値間の 差が標準誤差の1.92倍)を認めたのは,4学年の

男刊2.0㎜Hgと好44.7mmHgとの間のみ

であり,他のすべての学年では男女間に有意の差 は認められなかった。すなわち,脈圧の平均値に おいては,4学年で女子が男子よりもやや高い傾 向を認めたのみで,一般的には男女同じような値 をしめしたといえる。 ii)中間血圧の平均値 a)男子について 三巴年間の平均値において有意の差をしめした

のは,2学年の62.3㎜Hgと3学年の67.2mm

(5)

1瞥

ユ♪瞥

3鞠

4♪揖

% 男

} マ

} 40 30 ZO ’o 「.顧■ 3 「 雫 骨 0 R0 20 lo = 3 0 30 ユ。 10 「9’.聾 r一畠、 3 1 唇 0 R0 ユ。 lo 0 30 tr )# #

Xo

to oi

6鷺

o1

ぢ。 1。。 o 血. E 値, So ‘。.

f

図一H性別学年別中間血圧分布

Hgとの場合のみであり,他のすべての学年間に は有意の差は認められなかった。すなわち,男子 の中問、血圧平均値は,2学年から3学年の間で上 昇するのみで,それ以後高学年となるにつれての 変動は認められなかった。 b)女子について

1学年の60.5mmHgから2学年の63.9mmHg

になる揚合,および2学年の63. 9 mmHgから3 学年の67.7mmH9になる揚合に,それぞれ有意 の差をもつて上昇する。それ以後の高学年では, 各学年の平均値聞に有意の差は認められないが,

3学年の67.7mmHgと6学年の73.3mmHgと

には有意の差を認めた。すなわち,金体としてみ れば,女子の中間一血圧平均値は,高学年となるに つれて漸次上昇する傾向をしめしているといえ る。 C)男女の比較 男女間の平均値に有意の差を認めたのは,6学 一798一

(6)

表一皿 性別学年別脈圧および中山血圧平均値

1学年別

倒例釧脈

圧藤細中間血圧隙輪差

11学年

2 学年

lr..tLt.r..tTrttttL

3 学年

4 学年

5 学年

6 学年

男 女 95 96

男 95

女 110 男 女 男 女 男 女 男 女 128 117 124 105 122 128 115 87

菰mHg

43.0 ± 1.0 40.0 ± 1.3 40.8 士 1.0 40.6 ± 1.0 44.4 士 0.9 42.5 ± 1.0 42.0 士 0.9 44.7 士 1.1 49.5 土 1.1 52.0 ± 1.0 46.0 ± 10 48.5 ± 1.2 10.0士0.7 8. 8土0.6 9.7土0.7 10.2±O.7 9.0±O.6 9.1土0.6 7.8=と0.5 9.0士0.6 11.2±O.7 11.2±O.7 10.0±O.7 11.1土0.8

mmHg

61.2士1.0 60。5 士 1.0 62.3士1.〔} 63.9 士 1.0 67.2 ± O.8 67.7士0.8 68.6士0.7 69.2 士 O.9 69.3 ± 1.0 71.8 ± !0 10.2±O.7 12.3±O.9 9.6± O.7 1e.8±O.7 10.6±O.7 10.5± O.7 9.6±O.6 11.3=i二〇.8 12.4±O.8 11. 1 ±一 O. 7 69.8 ± O.3 73.3士1.2 10.3±O.7 1 1 10.9± O.s ptm”3 Ro ワ0

60

血。」b。 t−b

30

値z。

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o 一・一一一. ep } 一…一・・一一一

浴p

一_一軸血圧

,_〆一

一ノ

.ut一一一一・

くグク∼くここ麻}IE

L______一____一____一」一一一晶 修 与 3 4 s 6 同一II工二二学年別脈圧および中間血圧平均値

年の男子69.8mmHgと女子73. 3mmHgにおけ

るのみであった。他のすべての学年にあっては, 男女間に有意の差は認められない。すなわち,男 女の中間血圧平均値は,1学年から同じような値 をもつて高学年となり,6学年においてのみ,女 子の平均値が男子のそれを凌駕している。

IV考 察

脈圧に関する詳細な研究は,今までのところあ まり見当らないが,一般的には最:高m旺,最:低」血 圧および脈圧の比は,約3:2:1の割合であると いわれている2。著者は本調査における三者の比 がいかなる割合にあるかをみるために,土舟報1) に発表した性別学年別最高血圧値および最低血圧 値を参考として算出した。ただし,最低血圧の平均 値と脈圧の平均値とを加えたものが最高エ山回の平 均値と一一ikしないのは,被検者の個々の脈圧を算 出して度数分布をおこない,その平均値をだした ためである。その結果,最高一血圧:最低血圧:脈 圧の比は表一IVのごとくなった。それによると,脈 圧を1としだ揚合に最:高血圧は2.0∼2. 3の割合 一799一

(7)

表一IV最:高血圧,最低血圧および脈圧の比 学年男駅性別 1

1学年

2学年

3学年

4学年

5学年

6学年

男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 男 女 例 数 95 96 95 110 128 117 124 105 122 128 115 87 最:高 血 圧

mmHg

90.5 ± 1.2 87.2 士 1.2 89.4士1.1 91.2 士 1.2 97。4 士 1.0 96.9 土 1.1 96.9 ± O.9 98.9 ± 1.2 102.4士1.2 106.3士1.1 100.5士1.1 105.6 ± 1.3 最 低 血 圧

mmHg

48.0 土 1.0 48.9 ± 1.0 49.5 士 1.0 52.6 ± 1.0 54.5 土 0.8 55.7 ± 10 56.5 士 0.8 55.6土0.9 54.2 ± !1 56.3 =ヒ 1。0 56.1 土 1.0 58.6 ± 1.3 脈 圧

mmHg

43.0 士 1.0 40.0±ユ.3 40.8 ± 10 40.6 士 1.0 44。4 土 0.9 42.5 ± 1.0 42.0 ± O.9 44.7 ± 1.1 49.5 ± 1.1 52.0 土 1。0 46.0 士 1.0 48.5 ± 1.2 最高血圧:最:

低血圧:脈圧

2. 1: 1. 1:1 2、2;1.2:ユ 2. 2: 1. 2:1 2. 2: 1. 2:1 2.2: 1. 2・・1 2.3: 1.3:1 2.3:1.3:1 2. 2: 1. 2:1 2. 1: 1. 1:1 2. 0: 1. 0:1 2. 2: 1.2:1 2.2:1.2:1 であり,したがって最低血圧は1.0∼1.3の割合 となっている。さきにのべたように,最高血圧: 最低血圧:脈圧の比が,ほぼ3:2:1であるとい うのは成人の血圧値における場合であって,小児 1血圧の場合は3:2:1よりも2:1:1に近づいて いくのではないかと考えられる。なお額田2)が, 老年層では大動脈の硬化,それにともなう弾力性 の減弱により,最低血圧の低下がしばしば認めら れるとのべている点よりして,老年層においても 上記3者の比が変化するであろうと考えられる。 このように,各年令層における:最高一血圧に対する 最低血圧の動き,すなわち脈圧の変動について は,なお数多くの研究にまたなければならない。 額田5)は,さきにのべた同様の理由から,申間血 圧の問題にふれ,老年層においては最高血圧は高 いにもかかわらず,中間血圧が低く算出される欠 点があり,そのような矛盾をなくすためには,最 低.血圧を無視し最:高血圧のみで血圧群を分けなけ ればならないとのべている。前述のごとく,小児 においても最高1血圧に比して最低血圧が低めであ るとすれば,小児の申出血圧にもほぼ同様のこと がいいうるのではなかろうか。 V 総 括 埼玉県入間郡福岡小学校児童男子679名,女子 643名,計1,322名について1血圧調査をおこない, その最高血圧および最低血圧についてさきに報告 した1)が,今回は脈圧および中聞血圧について分 析をおこなった。 ユ) 性別学年別脈圧の分布 脈圧の分布は,男女各学年ともほとんど正規分 布に近い形を保っており,あまり変化していな い。高学年となるにつれての変動にも明らかな差 異は認められなかった。 2) 性別学年別中間1血圧の分布 中間血圧の肺野年別分布は,男子の低学年では 高圧側あるいは低圧側に膨らみをもった分布の形 をしめし,高学年ではほぼ正規分布に近い形をし めしている。女子においては,6学年のみ高圧側 に膨らんだ分布の形をしめしているが,その他の 学年ではほぼ正規分布に近い形を保っている。高 学年となるにつれて高圧側に分布するものの数が 多くなる傾向は,男子よりも女予においてやや著 明にみられる。 3) 性別学年別脈圧および中間一血圧の平均値 i)脈圧の平均値について 男女とも1学年から5学年までは漸次上昇の傾 向をしめしているが,5学年から6学年へは反対 に下降している。男女の脈圧の平均値にはほとん ど差を認めず,一般的には男女同じような値をし めした。 ii)中間1血圧の平均値について 男子についてみると,2学年から3学年へ有意 の差をもつて上昇するのみで,それ以後高学年と なるにつれての変動は認められなかった。女子の 平均値は,1,2,3学年へはそれぞれ有意の差をも って上昇する。3学年以上では各学年の平均値聞 に有意の差は認められなかったが,3学年と6学 年の平均値間には有意の差が認められた。すなわ 一 800 一

(8)

ち全体としてみれば女子の平均値は高学年となる につれて漸次上昇する傾向をしめしている。男女 の平均値を比較すると,6学年において女子が男 子よりも高いのみで,その他の学年では男女同じ ような値をしめした。 以上にのべた点より考察すると,脈圧を1とし たとき最:高血圧::最低血圧:脈圧の比は,普通い われている3:2:1よりも,むしろ2:1:1に近 い値をしめした。これにより,小児の血圧にあっ ては,最高血圧に比して最:三一血圧が低めの傾向に あるものと考えられる。したがって,小児におけ る中間血圧も,比較的低めの値をしめすものと思 われる。 稿をおわるにのぞみ,終始御懇切なる御指導,御校 閲をたまわった吉岡博人教授ならびに教室員諸氏に深 謝いたします。 丈 献 1)吉田央:本邦人血圧の疫学的研究,第皿報 一埼玉県農村地区における一小学校児童の血 圧調査(最高血圧および最低血圧について)一一 東京女子医科大学雑誌,28783,(昭33) 2)呉建・他:異常血圧,内科書,上巻,42,南 山堂 (目召 27) 3)額田 藥:40才以上の男子の血圧について,日 新医学,45,19(昭33)

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