110 原 著 〔東女医大誌 第64巻 第5号頁440∼455平成6年5月〕
種々の酸素欠乏状態下における病態生理
一血液ガス・酸塩基平衡と血流量からの法医学的考察一
三京女子医科大学 オ 小 法医学教室(主任:澤口彰子教授) ガサ ワラ トシ エ笠 原 壽 恵
(受付平成6年1月20日) Pathophysiology of Various Oxygen・Deprived Conditions: Medico・Legal Discussions from Blood Gas・Acid・Base Balance and Blood Flow Values Toshie OGASAWARA Departnlent of Legal Medicine(Director:Prof. Akiko SAWAGUCHI) Tokyo Women’s Medical College Changes in blood gas, acid−base balance and carotid artery blood flow values caused by experimental smothering, traumatic asphyxia and atmospheric oxygen deprivation were studied in rabbits. The findings were compared with those obtained from achte asphyxia caused by tracheal compression and from subacute asphyxia caused by tracheal cannula insertion. In addition, the effects of acute asphyxia, subacute asphyxia and atmospheric oxygen deprivation in alcoho1, toluen60r nembutal treated rabbits were studied. In experimental smothering and traumatic asphyxia, decreases in pH and PaQ2 and increases in PaCO2 were observed. Mechanical obstruction of blood flow was observed ill traumatic asphyxia. In experimental atmospheric oxygen dΦrivation, decreases in PaO2 and PaCO2 were observed. The PtCO2 pattern obtained from th俘liver caused by experimental smothering and traumatic asphyxia paralleled the pattern measured from blood PaCO2. Decreases in blood flow caused by the various types of asphyxia in alcohol treated rabbits were observed. The time until respiratory arrest was longer in alcohol treated rabb三ts than in untreated rabbits. The time until respiratory arrest caμsed by acute asphyxia. in nembutal treated rabbits was remarkably shorter than in untreated rabbits. From thp present study, weρQnq些∫1¢¢that changes in blQod gas. acid・base balance and carotid artery blood flow values can be applied as a diagnostic tool for forensic autopsy cases. 緒 言 窒息とは,呼吸機構すなわち肺のガス交換,ガ スの運搬および組織呼吸の障害により低酸素血症 と高炭酸ガス血症をきたし,そのために生体が正 常な活動を維持できなくなった状態であり,この 結果死亡することを窒息死と称している1》. 法医学では,外呼吸の機械的阻害(鼻口部や頸 部または胸郭への外部からの圧迫,異物嵌入や液 体の侵入による気道の閉塞・狭窄など)に基づく 肺呼吸障害(換気不全)による窒息が問題となる ことが多い.1991年度東京都監察医務院の死因統 計をみると,窒息死は災害死の中の9.30%を占め, 自殺では44.!7%(経死),溺死も含めると50.0% にもなり,第1位となっている2).窒息を手段ないし原因別にみると直言は最近の 自殺の約半数を占めており,また,異物による気 道閉塞・狭窄,冷蔵庫内閉じ込め3)4),ビニール袋 を用いたシンナー遊び中の急死5)∼8),およびオー トエロチックの目的でビニール袋を頭にかぶった 例9)∼12)などの事例も報告されている. ヒトの個体死の最終原因は個体の酸素循環不 全,すなわち酸素欠乏(窒息)であるともいおれ ており’3),当教室においては窒息の病態生理学的 研究および血清トランスアミナーゼ活性をはじめ
とする種々の生化学的研究などを行ってき
た14)∼20). 本研究では循環動態からみた窒息致死機構の解 明を目的として,鼻口部閉鎖,胸郭圧迫,吸気(空 気)酸素欠乏状態の3種類の酸素欠乏状態を実験 的に作り,気管圧閉による急性窒息,気管狭窄用 カニューレ21)による亜急性窒息をコントロールと して,血液ガス,酸塩基平衡,頸動脈・肝組織血 流量の動態について比較検討を試みた.また剖検 時の死因判定への可能性について検討を行った. さらに,抵抗不能な状態(アルコールや睡眠剤 を飲まされたときなど)にされ殺害された事例や, 飲酒状態での編頸等,自殺の補助手段として飲酒 や服毒をすることもあることから22)23),関与因子 としてアルコール,シンナー(トルエン),眠剤(ネ ソブタール)を投与し酩酊状態もしくは中毒状態 にした後,気管血潮による急性窒息,気管狭窄用 カニューレによる亜急性窒息,吸気(空気)酸素 欠乏状態における窒息の3種類の窒息実験を行 い,中毒作用の窒息に及ぼす影響についても検討 を行った. 材料および方法 1.実験動物 実験には,日本白色種の雄ウサギ総計108羽(体 重3.Ol±0.29kg)を用いた.実験の実施に当たっ ては,「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」 (昭和55年3月27日総理府告示第6号)に則した配 慮を施した. 2.実験方法 1)前処置 ウサギを仰臥位に固定した後,左右の大腿動脈 および左大腿静脈を露出し,エラスターを挿入し てここより血圧測定および採血を行った.次に前 頸部を正中線上で切開して,気管と頸動脈を露出 し,頸動脈には超音波血流計(アドバンス・T101) のプローブを装着した.さらに右上腹部を切開し て肝臓を露見させ,その右近にレーザー血流計(ア ドバンス。ALF2100)とCO2センサーを装着した. その後クランプにて腹膜および皮膚を接合した. なお,前処置の際,局所麻酔薬としてキシロカイ ンを使用した. 2)窒息方法 気管幽閉による急性窒息,気管狭窄用カニュー レによる亜急性窒息,鼻口部閉鎖による窒息,胸 郭圧迫による窒息,吸気(空気)酸素欠乏状態に おける窒息は以下の方法により行った. (1)気管圧閉による急性窒息 前処置としてあらかじめ露出しておいた気管を コッヘル氏鉗子で圧閉した. (2)気管狭窄用カニューレによる亜急性窒息 前処置として露出させた気管に切開を加えてこ こからウサギ用T字型気管カニューレの一端を 挿入し,その部を糸で結んで空気が洩れないよう に固定した.このT字型気管カニューレの一端に 気管狭窄用カニューレ(内径0.5mm,狭窄部全長 3mm)を,短いゴム管で連結した.他の一端にも 短いゴム管をつないで,これをコヅヘル氏鉗子で 圧閉し,気管狭窄用カニューレの先端の狭窄部を 通してのみ呼吸させるようにした. (3)鼻口部閉鎖による窒息 歯科用アルジネート印象材(パナコールSE: 日本歯研工業)を冷水で練和して,紙コップに充 填し,仰臥位に固定したウサギの鼻口部に圧接し た. (4)胸郭圧迫による窒息 当教室で考案した加重装置(図1)をウサギ固 定台の上に乗せ,仰臥位に固定したウサギの胸郭 部に体重の2倍の重さを加重し,胸郭を圧迫した. (5)吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息 外部から採血等が可能なように考案されたアクリル製密閉容器(H400×W950×D5001nm,容
積1901)(図2)内に仰臥位に固定したウサギを置112 図1 胸郭圧迫による窒息に用いた加重装置 ①加重部位,②ウサギの胸郭圧迫部, 図2 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息に用い た装置 ①低濃度ガス流入部,②低濃度ガス流出部,③モニ ター接続部. き,低濃度酸素ガス(021.0%・N2混合気)を20 1/minの速度で送り込み,徐々に容器内の空気と 置換することにより,実験的に酸素欠乏状態とし た.容器内酸素濃:度の測定は,酸素濃度分析計(藤 倉電線・FCX−SW)を用い連続的に行い,最終的 には酸素濃度を2%に維持した. 3)中毒作用が加わった状態での窒息 中枢神経抑制作用のあるアルコール,トルエン, ネンブタールを注入または吸引させた後,気管圧 閉による急性窒息,気管狭窄用カニューレによる 亜急性窒息,吸気(空気)酸素欠乏状態における 窒息について実験を行い,中毒作用などによる窒 息病態の変動を検討した. (1)アルコール投与方法 前処置を施したウサギにコッヘル氏鉗子を用い て開口させ,ストマックチューブを挿入した. 99.5%エタノール3.5g/kg(4.4ml/kg)をこ精製水 を加えて全量20m1とし,シリンジを用いてスト マックチューブから胃内へ直接注入した.投与後 1時間静置し,窒息実験を開始した. (2)トルエン投与方法 底部の左右に三方活栓をつけた750mlのビニー ル袋を用意し,この中にトルエン33.8ml(ビニー ル袋に対し4.5%)を含ませた脱脂綿を入れ,輪ゴ ムで密閉した.前処置として露出したウサギの気 管にT字型気管カニューレを挿入し,この一端と ビニール袋の三方活栓とを短いゴム管で連結し, 三方活栓を開くことにより,袋の中のトルエン混 合気のみを吸入させた.吸入開始後,肝組織 PtCO2に上昇傾向がみられるのを目安として7分 から12分後にトルエンの吸入を中止し,直ちに窒 息実験を開始した. (3)ネソブタール投与方法 前処置を施したウサギの左大腿静脈より,0.7 ml/kgのネンブタールを0,1∼0.2m1ずつ,血圧 や呼吸数の回復するのを確認しながら注入した. 約20分かけて全量を注入し,直ちに窒息実験を開 始した.ただし,途中で肝組織PtCO2に上昇傾向 がみられたり,呼吸数が極度に減少した時は,そ の時点で注入を中止した. 3.測定項目および方法 血液ガス・酸塩基平衡状態の測定には,チバ・ コーニング社の血液ガス測定装置(CIBA・CORN・ ING 288 Blood Gas System)を用い, pH, PaO2, PaCO2, HCO3について測定した.頸動脈血流量は 超音波血流計(アドバンス・T101)を用い,頸動 脈にプローブを装着して測定した.肝血流量はセ ンサーを肝臓の二葉に接着し,レーザー血流計(ア ドバンス・ALF2100)により測定した.同時に, CO2センサーを肝臓の心葉に刺入し, CO2モニ ター(KURA−RAY KR−50000 pH/CO2 MONI− TOR)を用いて,肝組織PtCO2も測定した. また各実験に対し,心肺機能(心電図,1血圧, 心拍数,呼吸数)の変化をポリグラフ(日本光電・ レクチコーダRJG−4124)にて記録した.
血中アルコール,トルエンの濃:度の測定はガス クロマトグラフを用い,気化平衡法により行っ た24)25).ネンブタールの濃:度測定はエキストレ ルートカラム法により抽出し24),ガスクロマトグ ラフ質量分析計を用いて行った25>. 4.採血 実験時の採血はウサギを固定し,実験・測定の ための種々の前処置を施した後,まず,前採血を 行い,その後は致死時間に応じて窒息開始後1, 3,5,30,60分,不可逆的呼吸停止時,不可逆 的呼吸停止後15分などに行った. 血液ガス測定のための採血は左大腿動脈より行 い,また中毒作用の加わった窒息では,同時に血 中アルコール,トルエン,ネンブタール濃度測定 のための採血を左大腿静脈より行った. 5.統計処理 結果は平均値±標準偏差(mean±1S.D.)で表し 有意差検定にはStudentのt・test, Posthocsの多 重比較検定を用い,p〈0.05を有意差有りとした. また相関関係はPearsonの相関係数を求め, p〈 0.05を有意差有りとした. 結 果 1.生存時間 本実験では窒息開始時から不可逆的呼吸停止時 までを生存時間とした.なお,呼吸運動の停止は ポリグラフにより確認した. 気管圧面による急性窒息(以下急性窒息と略 す),気管狭窄用カニューレによる亜急性窒息(以 下亜急性窒息と略す),鼻口部閉鎖による窒息(以 下鼻口部閉鎖と略す),胸郭圧迫による窒息(以下 胸郭圧迫と略す),吸気(空気)酸素欠乏状態にお ける窒息(以下吸気酸素欠乏状態と略す),および 中毒作用の加わった場合の急性窒息,亜急性窒息, 吸気酸素欠乏状態における生存時間の平均値を表 1に示す.鼻口部閉鎖は5分47秒,胸郭圧迫は4 分10秒であり急性窒息とほぼ同様の生存時間を示 した.吸気酸素欠乏状態では22分12秒であり,急 性窒息と亜急性窒息との間の値であった. 中毒作用が加わった場合,アルコール投与時の 亜急性窒息では45分,トルェソおよびネンブター ル投与時の吸気酸素欠乏状態ではそれぞれ16分, 4分の生存時間の延長が認められ,またトルエン およびネンブタール投臨時の急性窒息ではそれぞ れ1分,3分の生存時間の短縮が認められた. 2.血液ガス・酸塩基平衡の変動 1)手段別窒息における変動 急性窒息,鼻口部閉鎖,胸郭圧迫における’血液 ガス・酸塩基平衡の変動を表2に示す.窒息前言 に対する変動をみると,急性窒息ではpH, PaO2 の有意な減少(pH:p〈0.01, PaO2:p〈0.01), PaCO2の有意な増加(p<0.01)が認められたが, HCO3の変動は軽度であった.次に鼻口部閉鎖と 胸郭圧迫についてみると,鼻口部閉鎖では急性窒 息とほぼ同様の変動がみられた.しかし,胸郭圧 迫では不可逆的呼吸停止時のPaO、が急性窒息の 200%と高く,HCO3は急性窒息の120%の値を示 した.一方PaCO2は,急性窒息の63%の値であり, 病態の異なることが示された. 表1 窒息の手段別および中枢神経抑制薬物を加えた場合の生存時間 treated untreated
alcoho1 toluene nembuta王
acute asphyxia 422”± 1’10” 4’22”± 40” 3’46”± 1’28” 1’18”± 20” (n=18) (n;3) (n=3) (n=3) subacute asphyxia 1。29’10”±1。03’46” 2。16’36”±1。38’07” 1。11’33”±r16’55” 1。1737”±51’10” (n=16) (n=3) (n=3) (n=3) Slnothering 5’47”± 1’33” } 一 一 (n=10) traumatic asphyx至a 4’10”± 1’11” } ㎜ 一 (n=11) atmospheric oxygen 22’12”± 4’26” 23〆39”± r39” 38’01”± 15’21” 26’39”士1’51” deprivation (n=11) (n=3) (n=3) (n=3) (mean±1S.D.)
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表2 急性窒息,鼻口部閉鎖および胸郭圧迫による窒息時の血液ガス・酸塩基平衡,血流量の変動
・・hte a・phyx{・ smothering trauma亡ic asphyxia
B. 1’ 3’ R.A. after15’ B. r 3’ RA. after15’ B. 1, 3’ R.A. after15’
pH 天 @ 1S.D. 7,36}0、05 7.31}0.05 7.13}0.ユ0 6.95}0.24 6.84 }D.1ユ . 7.35 }0.04 7.37 }0.G4 7,12 }0,09 6.93 }0.12 6.78 }0.10 7.38 }0.04 7.34.±0.03 7.24 }0.02 7、17 }0.09 6.97 }0.30 PaO2 ス immHg) 1S,D. 94.83 }19.70 37.19 }13.31 ユ6.78 }8,55 9.43}7.19 8.47}497 92.56 }6.14 43.57 }1L50 }10.8121.26 12.37 m}0,76 10.49 }6.83 97.76 m3.27 5LO9 }4,93 25.97 }5.88 18.79 }7.58 11.86 }35.50 PaCO2 又 immHg) 1S.D. 3L53 }5,73 40.29 }6.36 70.10 }16.63 81.90 }24,43 98.68 }34.30 29.33 }4.05 38.77 }4.21 60.46±8.06 84.38 }17.71 1GL13 }31.98 30.06 }5.06 34.07 }7.54 44.62 }2,27 53.91 }13.56 80.78 }9,12 HCO3一 ヌ immo1〃) 1SD, 18,34 }4.73 21.88 }5.21 23.33 m4.92 19.98 }3.76 16ユ2 }4ユ4 18,62 }10,02 18.85 }2.32 18.98 }2,31 16.43 }2.69 13.94 }3.08 18,67 }8.44 20.29 }14,59 19.00 }9.3G 24.26 }14、08 20.80 }4.05 C.A. 天 iml/min) 1SD, 24.85 }1226 }23.5732.14 26.00 }13,76 13.14 }5.13 L14}2.16 28.磁 }20.39 23.78 }18,75 27.56 }22.22 6,78 }4.06 1,22 }L39 }10.7226.80 7,50 }7.59 4.70 }5,G8 6,1G}8.72 1.80}1.75 LBF 文 iml/min) ISD. 13.00 }6.88 10.00 }7,50 7.50 }弓.04 5,00 }2,16 2.00 }1.29 14.63 }7.43 9.25 }328 8.oo}4.72 4.75 }1.75 2,25 } 1.28 17.73 }13.16 16.09 }25.69 9.82}11.17 2..82 }1.47 1.73}1.01 LCO2 又 immHg) 1SD. 72.00 }6.00 74.OO }4.00 102.00 }19.79 115.33 }21.19 20σ.00 }0.00 47.56 }20.46 50.78 }18,34 54.75 }22.70 9325 }62.59 13425 }65,35 48.10.±31.36 49.6G }2524 }30.7759.43 65.89 }31、27 96.50 }62,98 C.A.こcarotid artery blood flow, L−BF=liver blood flow, L−CO2:liver CO2, B.:before, RA.:respiratory arrest, after15P:15’after respiratory arrest. (mean±1S.D,) 表3 亜急性窒息および吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時の血液ガス・酸塩基平衡,血流量の変動 subacute asphyxia atmospheric oxygen deprivat重on
B. 1’ 5’ 3げ 60’ RA. after15’ B, r 3’ 5, 8’ 12’ 15’ RA. after15’
pH 又 @ ユS.D, 7,36 }G.68 7.31 }0.07 7、18 }0.08 6.90 }O,13 6.77}0.31 6.77 }Oユ7 6,66}0、11 7.31}0,Q6 7.36 }0.04 7.40 }0.07 7.47 }0.07 7.51 }0.07 7,46 }0.09 7.38 }0.12 7.10 }O.11 7.02 }0,15 PaO2 文 immHg) 1S.D. 97.62 }8,70 48.72 }12、82 52.62 }15,52 40.15 }933 }8.2533.03 24.73 }11,23 15.47 }7.59 97.23 }9.78 88.48 }15ユ0 65.25 }18.21 43.60 }16.40 28.87 }13.69 19.75 }3,52 15.87 }3.05 11.12 }3.77 9,22}2,90 PaCO2 又 immHg) 1SD. 28.26 }5.50 40.31 }5.94 46.16 }12.23 84.05 }1329 }29、31102.02 101.62 }31.91 114.60 }20.94 26.88 }4.66 24.59 }2,95 21.44 }3.84 16.94 }3,68 12.83 }3、76 10.67 }2.32 }2.1810ユ6 19.83 }7.09 29.G3 }9,54 HCO3一 又 i珈mol〃) 1S.D. 16.66 }4,25 21.37 }4.44 18.53 m4.30 17.86 }5.73 21.42 }ア,19 14.06 }3,30 13.61 }3.81 13.80 }2.19 13.81 }1,53 13.26 }1.50 12.29 }1,65 10.14 }2.46 7.78 }1.87 6.01} L81 621}2.03 7.15}0、77 CA. 文 iml/min) 1S.D. 22.47 }7.74 20.00 }9、33 21.47 }1L29 }7.6324.75 22.44 }9.22 5.94 }8,89 2..OG }2.14 17.73 }4.98 20.82 }6,49 21.27 }ユユ.22 24.73 }13,72 3L82 }ユ9.05 29.80 mユ5,90 27.78 }15ユ7 5.36 }6.56 0.73}1.27 L・BF 文 iml/min) 1S.D. 13.55 }5.29 10.75 }2.96 7.62}2.77 8、14}&23 5.80}1.78 2.87} 1.45 2,25} 1.28 11.91 }4,28 }王。.2815ユ8 12.55 m5.03 13.00 }5.62 8.91}3.96 6,90 }2.13 5.78}2.82 3,36}ユ.2ユ 1.91}0.83 L−CO2 文 immHg) 1S.D, 43.33 }19.63 43.33 }25.32 69.33 }:27,00 129.33 }67.95 133.00 }91.92 164.00 m62,.35 ユ67.33 }56.58 51.50 }25.79 4438 }24.40 48.75 }2L73 }15,9337.50 }2工,3337.50 43.57 }36.70 33.00 }13.12 5325 }22.12 98.50 }55,75 C.A.:carotid arterアblood日ow, L−BF:1iver b】ood How, L・CO2:1iver CO2, B.:before, R.A.:respiratory arrest, after15’:15’after respiratory arrest. (mean±IS.D.) また亜急性窒息と吸気酸素欠乏状態の変動を表 3に示す.亜急性窒息では急性窒息と同様.な変動 が認められた.しかし,不可逆的呼吸停止時の PaO2の値は急性窒息より高値を示した.吸気酸素 欠乏状態では,pHは窒息開始直後より増加し呼 吸停止10分前頃(15分値)より減少を示した. PaO2,. PaCO2, HCO3はともに減少することが認 められた.不可逆的呼吸停止時のPaCO2の値を比 較すると,急性窒息では80mlnHg,亜急性窒息で は100mmHgまで増加するのに対し,吸気酸素欠 乏状態では20mmHgまでしか増加せず,窒息前値 を越えることはなかった. 2)中毒作用が加わった場合の変動 中毒作用が加わった場合の変動を表4∼8に示 す. (1)急性窒息の変動 急性窒息の場合,アルコール投与群では,窒息 前値における中毒作用の影響はほとんど認められ
なかったが,ネンブタール投与群では軽度の
PaO2の減少, PaCO2の増加が認められた.窒息開 始後は,アルコール,トルユン,ネンブタール投 与群ともPaCO2は有意な増加(p<0.05)がみら表4 中毒作用の加わった急性窒息時の血液ガス・酸塩基平衡,血流量の変動
alcohol treated toluene treated nembutal treated
B. 1, 3’ R,A. after15’ B. 1’ 3’ RA. aftとr15・ B. r R.A. after15’
pH 文 @ 1S,D. 7.34.±0.12 7,30 }0.10 7.11}0.17 7.05}G,06 6.87}0,16 7.42}0,03 7.36}0,17 }0.14 7ユ2 6.95}0、07 6,89}O.,07 7.36}0.G2 7,32}0,02 7.23}0.03 7.06}0,05 PaO2 X immHg) 1SD. .100.67 }0.12 35.27 }0.10 11.93 }0.17 4.77 }0,06. 6.00 }0,16 92.80 }0,03 28.73 }0,17 6.17 }⑪.1ξ 8.80 }0.07 .8.80 }0.07 70.93 }0.02 19.73 }0.02 5.90 }0,03 3.30 }0.05 PaCO2 文 immHg) ISD. 25.43 }0.ユ2 34.90 }O.1Q 56.30 }0,17 62.50 }0.06 84.15 }0.16 29.53 }0.03 38.03 }0.17 65.70 }0,14 83..83 }0,07 89.03 }0,07 38.80 }0.02 46.57 }0.02 57.83 }0.03 78.87 }0.05 HCO3一 又 immol〃) 1S.D. 13.87 }0.12 17.30 }0,10 16.80 }0.17 17.50 }0.06 14.35 }0.16 18.90 }G,03 21.37 }0.17 21.23 }0.14 18.43 }0.07 17.13 }0.G7 .21.40 }0.02 24.03 }0.⑪2 23.83 }O.G3 22.00 謔O.05 C,A. R imレm正n) IS.D. 12.67 }0.12 14.67 }0.10 16,GO. }G.17 7.33}0.06 0.67}0.16 18.00 }0.03 15.33 }0,17 12.67 }0ユ4 8.00 }0,07 1,33 }0.G7 24.00 }G.02 22.67 }0.02 24.GO }0,03 L67}0.05 L・BF 窯 iml/min) 1S.D. ユ1.33 }0,12 10.00 }0.10 4.00}0,17 3」00}0,06 2.67}0,16 14.33 }0.⑪3 15.00 }0.17 7.00}0,14 6.67 }0、07 2.33}O.07 12.67 }0.02 10.33 }0.02 8.33}0,03 1.33}0.05 L−CO2 只 immHg) IS,D. 39.33 }0.12 49β3 m0.10 63.33 }0.1.7 73,67. }0.06 96.00 }0.16 50.67 }G,03 44.67 }O.17 87.33 }G.14 106.67 }0.07 158.67 }0,07 48.67 }0.02 .53.33 }0.02 58.00 }0.03 162.67 }0」05 C.A.:carotid artery blood flow, L−BF:1iver bloodβow, L・CO2=1iver CO2, B.:before, RA.:respiratory arrest, after15’:15’after respirat.ory arrest. (mean±1SD.) 表5 アルコール,トルエンを投与した亜急性窒息時の血液ガス6酸塩基平衡,血流量の変動. alcohol treated toiuene treated
B. 1, 5’ 3α 6G’ RA, after15’ B. 1’ 5’ 30’ .R.A. after15’
pH R @ lS.D. 7.33}0.01 7.27}0.02 7.97}0..49 7.09 }0.18 7.09}0.18 6.79. }0.07 6.74}0,09 7.35 }0.03 7.25 }0.07 7.04. }0,07 6.88}0.04 6.75}0,06 6.69}0.02 PaO2 又 immHg) 1S.D. }9.2194.33 51.05. }6.32 50.35 }14.34 50.83 }23.49 52.83. }2022 }7.6122.63 11.35 }3.35 71.20 }24.45 40.23 }16.70 38.33 }13.13 32.30 }6.78 16.13 }3.03 8.80}2.27 PaCO2 え immHg) 1S.D, }2.8028.00 36.13 }2.09 42.75 }5.15 58.05 }20.54 58..13 }22.41. 96.68 }6,94 103.78 }20.15 34.13 }15.42 49.10 }11.88 70.73. }20.37 86.95 }19,87 109.63 }10,09 134.40 }28.41 HCO3− R immo1〃) 1SD. }1,5714.93 16.78 }0.65 17.35 }0.79 16.85 }1.40 16.70 }1.02 14.80
}L98
}1,1714.25 18.37 }7.50 21.67 }6.05 19.10 }4.09 16.20 }1.98 15.43 }3.47 16.73 }3.98 C.A. え iml/min) ISD. }2,00.13.00 13.00;.±2.00 2L50 }12.58 18.00 }6.92 12.00 }1,15 2、50 }2,64 1.50 }3.00 21.33 }2.30 30.00 }7.32 22.67 }6.42 24.00 }5.65 8.00}6.92 2.00}0.00 L・BF 又 iml/min) 1SD, }14.9725.50 25.50 }14.97 24.25 }15.77 17.00 }9.89 23.50 }10.14 5.50}3.69 2,50}LOO
}2.8813.33 10.67 }4.04 10.33 }1.52. 11.50 }2.12 4.67 }3.05 3.00 }1.00 L−CO2 文 immHg) 1S.D. }5.7754.67 56.33 }5.68 5225 }22.72 79.33 }13.57 78.50 }16.97 96.33 }23.45 106.00 }30.26 57.33 }18.03 58.67 }22.12 90.67 }55.94 87.00 }4.24 151.33 }47,08 168.00 }36.66 C。A,;carotid artery blood.now, L・BF l liver blood How, LCO211iver CO2, B.lbefore, RA.=respiratory arrest, after15’:15’after respiratory arrest. (mean±1SD,) れ,PaO2は有意に減少(p<0.05)した.準だし, 実験開始直後の減少は急激で,開始1分後には開 始前の1/3にまで減少した. 代謝性要因であるHCO3は,アルコール,トルエ ン,ネソブタール投与群とも,コントロール同様 1分値で増加を示したが以後減少した. (2)亜急性窒息の変動 亜急性窒息における変動は,アルコール,トル エン,ネンブタール投与群とも窒息下値に対して PaCO2は有意、な増加(p〈0.05)がみられ, PaO2 は有意に減少(p〈0.05)した.ネンブタール投与 群の不可逆的呼吸停止時のPaO2の値は他の窒息 と比べ高値を示した.HCO3の値は,アルヲール, トノレエン,ネンブタール投与群とも,実験開始直 後より増加し,トルエンはコントロールと同様1 分値より減少し,アルコールとネンブタールはそ れより遅れ5分後より減少した. (3)吸気酸素欠乏状態の変動 吸気酸素欠乏状態でのpH, PaO2, PaCO2, HCO3の変動を容器内酸素濃度の経時的変動とと11.6 表6 ネンブタールを投与した亜急性窒息時の血液ガス・酸塩基平衡血流量の変動 nembutal treated B.. 1’ 5’ 30’ 60, R.A, a.fter15’ pH 又 @ 1S.D. 736}0,.06 7.30}0.09 7.23}0.09 7.06}0.04 6.90}0..06 6.83}0.13 6.80}0.10 PaO2 又 immHg) 1S.D, 67.17. }25.16 27.57 }6.27 25.80 }4,29. 27,35.±1.76 27.15 }1.34 6.10}1.13 10.07 }10.51 PaCO2 又 immHg・) 1S.D... }7.5837.67 }9,5646.60 55.57 }10.0479.50 }10.1194.35 }11.23110.67 }10.14109.83 HCO3F.@ 文 immo1〃) 1S.D. 21.00 }1.68 22.30 }0.70 22.87 }1,38 22.25 }0.63.. 19.00 }1.13 .18.20 }2.42 17.47 }2.49 C.A. 又 im1/min) .1S・D・. 30.00 }14.00. 34.00 }22.53 36.67 }9.23 35.00 }7.07 30.00 }14.14 24.00 }20.00 3.33 }1.15 LBF 又 iml/min) 1S.D. }5,0015.00 }4,0412.67 9.00}1.73 850}2.12 }5.6511.00. 5.53}1.15. 3.00}1.00 L・CO2 文 imlhHg) 1S.D. 72.00 }42.00 72.00 }42.00 87.33 }26.00. !18.00 }8.48 157.00 }32.52. 159.67 }.35.36 186.67 }11.54 C.A.:carotid artery blood月ow, LBF:liver blood且ow, L−CO2:1iver CO2, B.:before, RA,:respiratory arrest, after15,:15, after respiratory arrest. (mean±1S.D.) 表7 アルコール,トルエンを投与した吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時の血液ガス・酸.塩基平衡血流量の変動 alcohol treated toluene treated
B. .r 5’ .8’ 1牢’ 15’ R.A. after15’ B. 1, 5’ 8P 12’ 15P R.A. after15レ
pH 文 @ 1S.D. 7.4G}0,02 7.39}0,03 7.42}0,03 7,49}0.04 7.56}0,06 7.51}0.06 7.37D±0,14 }0,10 7.26 7,37}0.05 7.48m0ユ1 7,46}0,04 }0.03 7.55 7,66}0.05 7.66}0,07 7.12}0.03 7.05}0,00 PaO2 又 immHg) 1S.D. }2.9386.77 74.58 }3,82 57.23.±1,76 36.50 }2.80 19.03 }1.56 11.33 }4.78 9.50}3.96 9,33}3.15 79.60 }6,87 96.97 }22.37. 66..60 }7ユ5 44.60 }3..25 24.33 }1.40 17.00 }0,60 }3.7810ユ0 8.97}3.75 PaCO2 最 immHg) 1S.D. 25.60 }2.03 28.53 }2,41 24.90 }1,67 20.53 }1,43 17.07 }3.96 15.87 }5.72. 16.3G. }2,46 23.23 }3.93. 30.20 }2.85 20.60 }5.90 21.43 }0,55 16.00 } 1,04 10.20 }2.45 8.40}1,38 15.83 }7.78 25..73 }13.82 HCO3一 文 immol〃) 1S.D. 15.93 }2.13. 17.33 }2.21 15.97 } L48 15.50 } 1,41 15.13 }2.21 1230 }2.91. 937}1,65. 10.50 }0.98.. 17.13.±2.31 14.80 } 1.01 15.03 } 1.53 14.00 } L70 1L57 }3.43 9,47} 1.12 5.27}2,87 7.10}3,80 C.A. 父 im1/min) IS.D. 17.33 }3.05 17.33 }3.05 16.67 }4.16 18.00 }2.,00 15.00 }21.65 11.67 }15.88 2.33 }0.57 2.33 }O.57 38.67 }28.D2 26.67. }9,01 26.67 }9.01 25.33 }9,23 36.00 }12,49 34.00 }7.21 10.33 }11,84 3,67 }0.57 L.BF 文 D(ml/min) 1S,D. 1LOO }1.73 12.33 }4.0弓 14.00 }5.29 12.67 }6、42 9、00 }5.56 5.00 }4.35 2.67 }0.57 2,33 }0.57 18.67 }5.13 18.33 }4.72 17.33 }4,50 17.67 }4.04 13.33 }2,88 11.67 }0.88 4,67}2..51 3.67}1,52 L・CO2 又 immHg) 1SD. 54.67 }9.45 51.33 }9.45 50.67 }9.86 48.00 }10.58 44.00 }.17.32 45.33 }17.92 42.67 }12.65 68.67 }14.74 101.33 }40.21 92.GO }30.79 81.33. }18.03 72.67 }16,04 61.00 }7.00 46.67 }14,74 66.67 }19.42 110.00 }39..34 C.A.:carotid artery blood月ow, L・BF;1iver blood How, L・CO2:liver CO2, B,:before, RA.:respiratory arrest, after15’:15’after respiratory arrest. (mean±1S.D.) もに図3∼6に示.す.pHの変動はコントロール が窒息開始後8分(容器内酸素濃度10%).頃まで 増加するのに対し,アルコール,トルエン,ネン ブタール投与群.とも窒息開始後12分(容器内酸素 濃度5%)頃まで増加し,以後減少を示した.し かし死亡直前の値は,いずれもコントロ7ルより 高かった.PaCO2は,コントロールと.ほぼ同様に アルコール,トルエン,ネンブタール投与群とも 実験開始後減少し,pHの変動と同じく容器内酸 素濃:度5%頃より増加を示した.PaO2は窒息開始 直後より容器内酸素濃度とともに減少を示した. 不前犯的呼吸停止時の値は,アルコール,トルエ ン投与群がコントロールとほぼ同じ値を示したの. に対し,ネンブタール投与群ではコントロールよ り低値を示した.代謝性要因であるHCO3は,アル コール投与群で窒息開始直後に軽度の増加が認め られたが,以後減少を示し,トルエン,ネンブター ル投与群は窒息開始直後より減少を示した.
表8 ネンブタールを投与した吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時の血液ガス・酸塩基平衡,血 流量の変動 nembutal treated B. 1, 5, 8’ 12, 15’ R.A, after15’ pH 又 @ 1S.D. 7.35}0.07 7.37}0.07 7.40}0.08 7.49}0.11 7.55 }0.16 7.52 }0.18 7.20 m0.20 7.13 }0.20 PaO2 又 immHg) 1SD, }11.3781.87 77.63 }11.83 56.73 }6.73 36.67 }4.86 19.40 }1.63 14.23 }0.85 6.60}1.85 7.47}1.76 PaCO2 文 immHg) 1S.D. 32.33 }5.45 26.白3±1.30 26.83 }0.75 22.47 }1.04 19.10 }3.96 15.30 }2.33 29.53 }11.87 37.93 }13.25 HCO3一 又 immol〃) 1SD. }5.5118.03 15.53 }3.06 16.33 }2.88 17.03 }3.64 16.50 }2.95 12.60 }3.13 11.03 }2.02 12.13 }2.22 C.A. 又 iml/min) 1S.D. }6.1121.33 21.33 }6.11 22.00 }7.21 23.33 }7.02 42.67 <q21.93 29.33 }12.22 12.00 }11.33 2.33 }1.15 L・BF 又 im1/m三n) 1S,D, 13.00 }6,55 12.33 }6.80 12.00 }5.28 12.00 }5.29 8.00}1.73 7.67}2.08 6.67}2.88 3.33}0.57 LCO2 又 immHg) 1S.D. 70.67 }16.77 70.67 }16.77 70.67 }15.14 64.00 }10.58 63.33 }17.Ol 82.67 }46.36 100.67 }65.49 152.00 m42.75 C.A。:carotid artery blood flow, L・BF:liver blood且ow, L・CO2:1iver CO2, B,:before, R.A,:respiratory arrest, after!5’:15’after respiratory arrest. (mean±1S.D.) 圏一邑一■ oontrol o。幽_●_.一. aIcohol r・層・r凸一・■・・ toluene 一一・怦鼈黶@ nembuta1 7,8 7.6 7.4 舌 z2 7.0 6.8 6.6 一 二 セ ほ 〆
4
’ ●’ ,o,● ・’, ♂ 、、喚 、 、 、ミ㍉、 、ゼ\ \ 掩、 冠 亀 隔㌔・・㍉㍉隔 隔喝鴨、 、軸鞠隔喝軸 rθSPIrato甲arres象 壷 %一→●一一〇2% 25 20 15 10 5 0051015202530
(min.} Time 図3 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時のpHと酸素濃度の変動 3.頸動脈血流量の変動 表2に示すごとく,急性窒息では窒息開始直後 に増加する一峰性の変動を示した.鼻口部閉鎖で は有意な低下(p<0.05)を示したが,3分値まで 血流量は維持されていた.また胸郭圧迫では,窒 息開始直後より急激な有意の低下(p<0.01)を示 し,血流が阻害されていることが認められた.一 方亜急性窒息では,不可逆的呼吸停止直前まで血 流量は維持されていた. 中毒作用が加わった場合の頸動脈血流量の変動118 mmHg 140 120 100 δ £ 80 60 40 20 0 一一■邑國一contr◎1 .・・.○・.一,aloohol 一・冒・?k一・冒・.toluene 一一・怦鼈黶@nembutal \ 製 、、 、 オ ロ 〆 \ 心 \ 、 \ 酔 」一●」陶・同 % 25 _→←一一〇2% 20 15 10 5 0
。 5 1・ 15 2。\25 3・(醐
reSpiratOry arreSt Time 図4 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時のPaO2と酸素濃度の変動 mmHg 50 40 30 げ 鰭 匹 20 10 0 一■■■L幽一 con電rol ・凹幽■◆願曙刷・ alcohol ・一・r魔■・一・. 電oluene 一一・怦鼈黶@ nembutal ㍉一 S霊art ミ・、“
、、気
も 、 、 こ} ’ ’ ’ ’ ’ ’ ’ ’ ’ 冒一’讐 ’ ’ ’ ,”’ 〆φボ’ ,’,’ respira!oツarrest ’ ,’ % __旨__02% 25 20 15 io 5 0 0 5 10 15 20 25 30 (min.) Time 図5 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時のPaCO2と酸素濃度の変動 は急性窒息ではアルコール投与群で窒息開始後3 分まで増加がみられたが,不可逆的呼吸停止時に は窒息前値の約60%まで低下していた.トルエン 投与群では窒息開始直後より低下がみられ不可逆 的呼吸停止時には窒息前値の約40%であった.ネ ンブタール投与群では不可逆的呼吸停止時まで血 流量は維持されていた. 亜急性窒息では,コントロールは実験開始後低 下し,呼吸停止前に一時的に増加を示し再び低下 したが,アルコール,トルエン,ネンブタールが 作用するときは,実験開始とともに増加し窒息開 始後5分頃より徐々に低下した.しかし,ネソブ8
呈 剛一一5・一一 〇〇ntroI mmol/1 一一_.○一__、 alcohol 一・■・r凸一・一・・ toluene 蜀一口●一一・nembuta1 20 10 0 み 〉風 ほ 〆 、 、 、 ♪・ ’・_
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、、 A 、 、、 respiratory arrest〆
0 5 10 15 20 2ら 一→←一〇2% % 25 20 15 鷹0 5 0 30 (min.} Time 図6 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時のHCO3と酸素濃度の変動 き 毛 昼 Ω 魯 塁 這8
■一一■卜噌■■ cont「ol ■一一一●一一一・ al◎ohoI mレmin 一’■”▲一’・●1 toiuene 60 50 40 30 20 10 0 一一iレー一. nembutal 、 ’ f’. 、、 、「..ふ ヤ・ 亀 ’!’ 、 o 、 o 、\ ‘。 、 , 、’ ■ ■ ■ 一 ,■ , し. 一 一 皇●〇 黶@一 、竈A
t、 「 駒 ● 嘲 . ,齢‘ 、、 @、馬 、 start 鴨、 @、、 馬、 、 A、 、 @ 、 @ 、 @ 、 @ 、 、 、 、 〆 一 一 一 一 o 5 10 15 20 25 30 respiratory arres聖 (min % 25 20 15 10 5 0 一一テ一一〇2% Time 図7 吸気(空気)酸素欠乏状態における窒息時の頸動脈血流量と酸素濃度の変動 タール投与群では不可逆的呼吸停止時でも窒息前 値の80%の血流量が維持されていた. 吸気酸素欠乏状態については容器内酸素濃度の 変動とともに図7に示したが,コントロールでは 実験開始直後より増加し不可逆的呼吸停止時には 急激に減少するのに対し,アルコール,トルエン,120 mレmin 30 き 2・ 心 室 £ 窪 」 10 o 一一咽■嘱一 control ・噛印→一昌幽, aloohol _一r亀■_., toluene _一.揩秩Q、 nembutaI セ け 〆’ \ 、 ヤ、 ’こ 、 、ぐ \. ぐ㍉ ,、 、、 ’鞠’”噛’一一・嶋二亀縞., % 一→←一一〇2% 25 20 15 10 5 0
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respiratory arrest Time 図8 吸気(空気)酸素欠乏状態におげる窒息時の肝血流量と酸素濃度の変動 ネンブタールが作用している場合は,窒息開始後 15分(容器内酸素濃度3%)までは血流量は維持 され,むしろ増加傾向を示したが不可逆的呼吸停 止時に急激に減少した.最も減少したのは,アル コール投与群であり窒息開始前値の約13%であ り,コントロールの約1/2であった. 4.肝血流量の変動 急性窒息では,窒息開始直後より減少を示した が,鼻口部閉鎖も急性窒息とほぼ同様な変動を示 し,胸郭圧迫では3分値以降急激な減少を示し, 不可逆的呼吸停止時には窒息前値の約16%まで減 少した.亜急性窒息は急性窒息と同様窒息開始直 後より減少を示レたが,不可逆的呼吸停止時では, 急性窒息が窒息前値の38%,亜急性窒息が約21% と,急性窒息の方が血流量は多かった.吸気酸素 欠乏状態では,1分値で増加を示したが,以後時 間とともに徐々に低下し,不可逆的呼吸停止時に は窒息前値の約28%と亜急性窒息との中間値を示 した. 中毒作用が加わった場合では,アルコール,ト ルエン,ネンブタール投与群ともに窒息開始直後 より減少を示したが,不可逆的呼吸停止時におい てもトルエン,ネンブタール投与群はコントロー ルより高い血流量を示していた.ただし,トルエ ン投与群のみ窒息開始後1分値で一時的な軽度の 増加がみられた.亜急性窒息では,アルコール, トルエン,ネソブタール投与群ともに窒息開始直 後より減少を示したが,30分以降に,一時的な増 加がみられた.これに対し,吸気酸素欠乏状態で は,図8に示すようにアルコール投与群で窒息開 始後5分(容器内酸素濃度15%)をピークとする 一時的増加がみられた.また,不可逆的呼吸停止 時では,アルコール,トルエン投与群がコントロー ルとほぼ同じ値を示したのに対し,ネンブタール 投与群では窒息開始前値の約51%の血流量を示 し,これはコントロールの2倍近い値であった.5.肝PtcO2の変動
手段別窒息ではPaCO2とほぼ同様の変動がみ られ,急性窒息(γ=0.9924,p<0.01),亜急性窒 息(γ=0.9712,p〈0.01),鼻口部閉鎖(γ=0.9117, p<0.05),胸郭圧迫(γ=0.9558,p<0.01)で有 意な相関関係が認められた.また,吸気酸素欠乏状態では肝PtCO2とPaCO2との間に有意の相関
は認められなかった.中毒作用が加わった場合は,アルコール,トル エン,ネンブタール投与群でコントロールとほぼ 同様に窒息経過とともに減少傾向を示したが,不 可逆的呼吸停止時には増加を示した.ただし,ネ ンブタール投与群のみは窒息開始15分(容器内酸 素濃度3%)より著明な増加を示した. 考 察 気道閉鎖による窒息としては,老人が餅や義歯 等を,小児が硬貨や玩具等を誤嚥する場合や,泥 酔時や麻酔中などに吐出を吸引したりする場合な どがある.また,他人に異物を口腔内に押し込め られる場合もある26)27).これらを実験的に再現し たものが気管霊魂による急性窒息,気管狭窄用カ ニューレによる亜急性窒息である. 鼻口部閉鎖による窒息としては,偶発的には乳 児が柔らかい蒲団で顔を圧迫することがある.故 意におこる場合としては,蒲団蒸しや,猿ぐつわ を噛ませ,これが鼻や口をも覆った場合がある. また,群衆に押し倒されて人の下敷きになった り,壁と重量物との間に挟まれたりして胸郭が圧 迫され,呼吸筋の運動が妨げられることもあり, これらを実験的に再現したものが胸郭圧迫による 窒息である. さらに,小児が遊んでいて冷蔵庫内に閉じ込め られたり,マンホール,炭坑,ゴミ廃棄場でメタ ンガスが発生して空気と置換されメタンガスその ものは無害であるにもかかわらず相対的酸素欠乏 により窒息を起こした例,さらにシンナーを吸う ためにビニール袋をかぶっていた場合などを含 め,これらを実験的に再現したものが吸気(空気) 酸素欠乏状態における窒息である. 法医学では,気管圧閉などによる,5分前後で 死亡する急性窒息に対して,気道狭窄などにより 徐々に窒息死に陥る場合には,亜急性窒息,慢性 窒息ないし遷延性窒息と称しているが,死亡まで の所要時間による厳密な境界は決められていな い28)。宮崎は,実験的に2時間から27時間で死亡し た窒息を亜急性窒息といい29),また島田・伊藤は気 道の狭窄によって30分から3時間位で死亡するも のを慢性窒息と名付けた30).本実験での気管カ ニューレによる窒息は20分から4時間で死亡して いたが,澤口の用例に従い2n,「亜急性窒息」の用 語を用いることにした. 胸郭圧迫の生存時間をみると,体重の2倍の荷 重を加えた本実験では,ウサギは平均4分で死に 至った.犬の胸郭部に荷重を加え,その圧迫荷重 と死亡までの時間を測定した久米の報告では31), 体重の2倍の場合60分以上生存し,3倍の場合は 10分から60分で死亡,4倍以上ではじめて10分以 内に死亡するものがみられている.また体循環お よび脳循環血液量:とも胸部圧迫により減少がみら れ,特に4倍荷重では著しく減少していることが 示されている.本実験では胸部のみの圧迫で呼吸 運動の阻害が中心であるが,頸動脈血流量,肝血 流量をみると不可逆的呼吸停止時での値がコント ロールと比べて低く,血流が阻害されていること が示された。したがって,呼吸運動の阻害と同時 に血流の阻害も加わり,短時間で死亡したものと 推測された. 酸素欠乏により死亡する場合,呼吸停止時の容 器内酸素濃度は,大谷らのウサギを用いた気密容 器内閉塞による窒息では5。37%であった32).しか し,池田らは,低酸素濃度吸引の際短時間で死亡 する酸素の臨界濃度は従来いわれているより低 く,2.0∼2.5%前後であると報告している33).本実 験でも2%前後で死亡しており,同じ結果が得ら れた. また,本実験装置において,酸素濃度が2%に 達するまでの酸素の減少率は1,683m1/minと計 算され,ウサギ平常時(安静時)の酸素消費量を 8.06ml/kg/minとして34),本実験における生存時 間を計算すると21分となり,ほぼ実験値と一致し た.さらに,強制的に酸素濃度を低下させること なく,気密容器内閉塞とした場合,本実験装置で の生存時間は約1,600分と推算されたことから吸 気酸素欠乏状態では低酸素による脳組織への障害 の大きさがうかがわれる. 次に,アルコール,トルエン,ネンブタールを 投与した場合の各窒息における生存愚問について みると,エタノール投与により生存時間が長く なったとの報告もあり35),本実験でも亜急性窒息 において生存時間の延長が認められた.窒息経過
ユ22 が長いのは酸素消費量が少ないためといわれてい るが,血液ガスの変動をみると各経過時間での変 動はコントロールと比較すると減少していること が認められた.しかし,全経過時間の変動パター ンはコントロールとほぼ同様であった.急性窒息 では窒息侵襲が強く,エタノールの影響はみられ なかった. トルエンやネンブタールを投与した窒息実験報 告はないが,トルエン,ネンブタールともに急性 窒息,亜急性窒息でコントロールに対し生存時間 が短くなっている.特にネンブタールを投与した 急性窒息では,コントロールの1/4に短縮してお り,生存時間に強い影響を及ぼしている.また, 吸気酸素欠乏状態では生存時間の延長が認められ た.これはトルエンやネンブタールの中枢神経抑 制作用が一方では生体に不利に,一方では生体に 有利に働いたためと推察される.このことは法三 二二上重要なことであり,有用な所見と考えられ る. 窒息時の血液ガス・酸塩基平衡の変動について は,澤口らの報告によると21),急性窒息では呼吸性 アシドーシスを示し,肺性因子PaCO2の著明な上 昇に起因するアシデミアを示すが,腎性因子の HCO3の変動は軽度である.また,亜急性窒息では 急性窒息に対し,腎性因子はアシデミアを呈し, 呼吸性アシドーシスに代謝性アシドーシスが加わ る混合性酸塩基平衡障害に相当するパターンをと る.さらに,澤口らは,死体の血液ガス・酸塩基 平衡異常についても検討を行っており,鼻口部・ 気道内山閉塞などによる窒息死型のPaO2は,ラ ンダム群に比べて下方偏位(低回)を示すことを 報告している36}. 本実験で急性窒息,亜急性窒息,鼻口部閉鎖, 胸郭圧迫においては呼吸性アシドーシスを示して いるものの,吸気酸素欠乏状態ではPaCO2および HCO3の減少がみられ呼吸性アルカローシスと代 償性の代謝性アシドーシスを示し,前4者とは異 なる変動を示した.これは,酸素の欠乏した空気 中で気道の閉鎖なく呼吸運動が営まれていたた め,酸素の欠乏のみがおこり,炭酸ガスの蓄積が みられなかったためであり,したがって酸素欠 乏・炭酸ガス蓄積といった,いわゆる窒息病態は 示さなかったものと考えられる.この場合の臨床 症状としては,初期の呼吸困難は軽度で窒息感・
苦悶感はなくeuphorischであるといわれてい
る37).そのために吸気酸素欠乏状態による窒息で は自力救出することなく死に至ってから発見され ることが多いものと考えられる.酸塩基平衡をみ ても,初期のpHは減少しておらず代償機能が働 いており,また炭酸ガスの蓄積が無い分点臓器酸 素欠乏による障害があまりすぐには現れないもの と考えられる. 組織レベルのCO2についてみると,窒息侵襲に 対する組織CO2分圧の変動は臓器特異性を示す 上昇パターンをとるものであり,まず脳で上昇し, 肝はこれより著しく遅れるパターンを示す21). 本実験では,各臓器間の比較ではなく肝臓と血 液との比較を行ったものである.肝臓のCO2と血 液中のCO2の変動は類似しており,その相関関係 は吸気酸素欠乏状態を除くいずれの窒息群でも有 意(急性窒息:γ=0.9924,p〈0.01,亜急性窒息: γ=0.9712,p<0.01,鼻口部閉鎖:γ=0.9117,pく 0.05,胸郭圧迫:γ=0.9958,p〈0.01)であった. 吸気酸素欠乏状態では気道の閉鎖・狭窄がなく酸 素欠乏のみが生じているため,肝での組織呼吸に 程度の差が生じ有意の変動を示さなかったものと 考えられる. 血流に関しては,胸郭圧迫のみに,実験開始直 後から頸動脈血流量の急激な減少がみられている が,これは胸郭を圧迫されることによる機械的な 血流の阻害が影響していると思われる.窒息によ る酸素供給障害に最も敏感なのは脳であるが,脳 の血流量が正常の50%に減少するとはじめて脳の 酸素消費量が減少し,同時に意識障害が現れ,そ れ以後は血流量に伴って酸素消費量は直線的に減 少し,脳の機能障害も重篤に陥るという38>. 本実験で,頸動脈の血流量が窒息実験開始前の 50%になるのは,いずれの窒息方法においても呼 吸停止直前であり,これに伴い脳の血流も正常の 50%に減少するものと思われる.したがって,脳 の酸素欠乏によりおこる脳の不可逆的変化は脳血 流量に強く左右されていることが理解される.表9 手段別窒息におけるアルコール,トルエン,ネンブタールの血中濃度 before reSpiratOry arreSt acute ≠唐垂?凾?奄 subasute ≠唐垂?凾?奄 atmospheric @ oxygen р?垂窒奄魔≠狽奄盾 acute ≠唐垂?凾?奄 subasute ≠唐垂?凾?奄 atmospheric @ oxygen р?垂窒奄魔≠狽奄盾 alcohol 狽盾撃浮?獅? embuta1 ,62±1.072 D83±1.752 U.45±10.11 ,35±0.811 O.88±4.173 O.57±27,92 .29±0.722 O.09±14.592 R,49±12.72 .16±1.402 D66±2.081 T.17±9,68 .83±1,294 D37±2,831 R.59±16.71 .10±0,611 X.67±15.775 D10±2.54 μ9/ml, mean±1S.D.) 一般的に自殺者・自殺企図者では飲酒している 合が多いといわれている.さらに,自殺念慮の る精神的に病的な状態にある者は,自分の意識 なくしてしまいたいと考え,その結果,睡眠剤 多量に服用したり,過剰飲酒をする傾向がある. れらに基づき中枢神経抑制作用のあるアルコー ,トルエン,ネンブタールを酩酊状態もしくは 毒状態になるように投与し,中毒作用による影 について検討を行った. 血中アルコール,トルエン,ネンブタール濃度 窒息開始前値と不可逆的呼吸停止時の値を表9 示したが,血中トルエン濃度は,経過時間の長 亜急性窒息では呼吸停止時で約1/2に減少し,ネ ブタール濃度はいずれの窒息方法でもほぼ1/2 下に減少していた. アルコールの中毒量は,ヒトの場合血中濃度が .Omg/mlで酩酊状態,その約3画面いし4倍で る4.Omg/ml以上で泥酔状態,5.Omg/mlで致 濃度,といおれている1).そこで,予備実験とし ウサギの致死濃度を求め,これより酩酊時の濃 を算出した.ウサギの致死濃度7.23mg/mlか ,実験開始時に酩酊状態になるように,2.Og/kg いし3.5g/kg(比重0.793)を投与し,窒息実験 開始した.その血中濃度は表9に示すごとくで った. アルコール投与により血流量が窒息開始時に減 していたのは,アルコールの循環抑制作用によ ものと考えられる.また,頸動脈での一時的増 もこの抑制作用のためにコントロールほどの急 な増加を示さなかったものと思われる. トルエンについては,予備実験より血中致死濃 は12.1ないし18.0μg/mlであった.したがって 酊状態となるように4.5%濃度のトルエンを7 12分吸入させた. トルエン投与の場合は,ネンブタール投与時の うに低酸素血症にはなっていないが,比較的, 息の経過時間が短い.これは,トルエンもアル ール同様血液脳関門を通過しやすく,しかも中 神経,末梢神経の両方に抑制作用があるためか しれない.両者の違いはトルエンは,血液脳関 を通過し神経細胞の髄鞘に直接接し脱髄をひき こすことであり,その結果中毒では,CT上では の萎縮がみられることである39)40). さらに,中枢神経抑制作用がトルエンの方が短 間で強く作用している可能性が実験結果から推 された. ネンブタール中毒についてみると,ヒトの場合, ントバルビタール(ネソブタール)の中毒量は .0∼3.Omg/dlで昏睡に陥り,1.5∼7.5mg/d1で 亡するとされている.予備実験で血中致死濃度 ,174.6μg/mlであった.この結果とヒトでの値 参考にして,昏睡状態になる濃度を算出して投 量を決めた. また,ネンブタールの血中濃度をみると,表9 示すように,不可逆的呼吸停止時における濃度 減少率がアルコール,トルエンに比べ,最も高 吸収の早いことが認められた. 中毒作用の影響についてみると,ネンブタール 呼吸抑制作用により,窒息実験開始時には,低 素血症を示し,酸塩基平衡の変動から呼吸性ア ドーシスをおこしていることが認められた.つ り,窒息経過が短いのは窒息実験開始前の低酸 血症,呼吸性アシドーシスが原因と思われた.
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124 結 論 鼻口部閉鎖,胸郭圧迫,吸気(空気)酸素欠乏 状態における窒息について血液ガ.ス・酸塩基平衡 頸動脈・肝組織血流量の動態を気管二物による急 性窒息,気管カニューレによる亜急性窒息をコン トロールとして比較検討するとともに,アルコー ル,トルエン,ネソブタールの中毒作用が窒息に 及ぼす影響についてもあわせて検討したところ, 次のような結論を得た. 血液ガス・酸塩基平衡の動態は,鼻口部閉鎖に よる窒息では急性窒息とほぼ同様な窒息経過をと ることが示され,PaO2低下, PaCO2増加による呼 吸性アシドーシスが認められた.胸郭圧迫による 窒息ではさらに機械的な血流阻害が重篤な影響を 与えていることが認められた.これに対し吸気(空 気)酸素欠乏状態における窒息では,PaO2および PaCO2の低下を示し呼吸性アルカローシスが認 められ,末期において代償性の代謝性アシドーシ スを合併した.また,鼻口部閉鎖による窒息,胸 郭圧迫による窒息において,肝組織PtCO2は血中 PaCO、と類似の変動を示し,急性窒息および亜急 性窒息と同様有意な相関関係が認められた. 血流量の変動をみると,アルコール投与群でア ルコールの循環抑制作用によるものと考えられる 減少が認められた. 生存時間をみると,アルコール投与群で亜急性 窒息において,酸素消費量の減少により生存期間 の延長することが認められ,ネンブタール投与群 では急性窒息において低酸素血症による著明な短 縮が認められ,中毒作用が窒息の生存時間に影響 することが示された. 以上から種々の酸素欠乏状態下に認められた血 液ガス●酸塩基平衡の変動,およびアルコール, トルエン,ネンブタールを投与したこれら状態下 において得られた所見は法医鑑定上有用であり, 剖検時の死因の総合判断の情報の一つとして応用 可能であることが示された. 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜わりまし た東京女子医科大学法医学澤口彰子主任教授に厚く 御礼申し上げます.また,御協力戴きました法医学教 室員の皆様に感謝申し上げます. なお,本論文の一部は第76次および第77次日本法医 学会総会において発表した. 文 献 1)船尾忠孝,澤ロ彰子,佐藤喜宣ほか:臨床のため の法医学.第2版,朝倉書店,東京(1992) 2)東京都監察医務院:事業概要(1992) 3)Polson CJ, Gee DJ:The esse痕tials of foren. sic medicine.3rd ed, pp470−471, Pergamon Press, Oxford(1973) 4)塚本昭次郎,千葉力男,小林 博ほか:密室にお ける窒息について.日法日誌 20:405−406,1966 5)助川義寛,吉村昌雄,水野 進:特異な窒息死の 2例(他殺でない拒死蔵他).日法医誌 14:509, 1960 6)Hunt AC, Camps FE:Plastic・bag suiside. Br MedJI:378,1962 7)Tolnay L:Ein kombniretre Selbstmord dur chreine Asphyxie mit einem uber den Kopf gestulpten Nylonsaxk. Arch Kriminol 132: 42−46, 1963 8)加島 融,福井巳芳,益田嘉朗ほか:ビニール製 袋を使用した自殺5例(窒息死,一酸化炭素中毒 死,シンナー中毒死).日法医誌 23:248−252, 1969 9)Johnstone JM, Hunt AC: Plastic・bag as− phyxla in adults. Br Med J II:1714−1715,1960 10)Holzhausen G, Hu皿ger H:Unfalle mit To desfolge bei autoertischer Betatigung. Arch Kuimino1125:164−167,1960 11)Weimann R:Todesfalle bei autoerotischer Betatigung mit Plastikbeutel. Arch Kriminol .129:16−22, 1962 12)Schollmeyer W:Autoerot三che UnfaHe. Arch Krimino1137:17−24,1966 13)四日策,熊谷礼子,新津ひさえほか:法医学か らみたdead on arrival。救急医学 17:845−849, 1993 14)澤ロ彰子,白倉悦子:窒息時におけるウサギ血清 タンパク,血清糖タンパクの免疫電気泳動法によ る研究.東女医大誌 38:105−111,1968 15)澤口彰子:若年性内因的急死における血清タンパ ク,血清糖タンパクのセルロース・アセテート電 気泳動法ならびに免疫電気泳動法による研究.東 女医大州 38:712−721,1968 16)澤口彰子,吉成京子:慢性窒息時における血清ト ランスアミナ一二活性値の研究.東女医大誌 40 :627−632, 1970 17)澤ロ彰子,吉成京子:窒息時における糖質代謝と インスリン動態.日法医誌 24:439−445,1970 18)澤ロ彰子,吉成京子:窒息時におけるLDH活性
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