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はじめに(pdf)

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Academic year: 2021

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はじめに

近年,ケミカルバイオロジーはポストゲノムの新分野として,強 く認識されるようになった.欧米では化学の新しい方向としておお いに期待され,名称を化学教室から化学・ケミカルバイオロジー教 室に変えたところが少なくない.一方,日本では天然物化学(科 学)が世界的にみても成熟しており,とくに大きな変化なく過ぎた 感があった.しかしながら,医学・創薬学系からの大きな期待が湧 き起こり,各分野への化学者の取込みが起こったことも事実であ る.加えて,下村 脩博士の緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見を 端緒とした,分子イメージングの急速な発展がこの分野の発展を大 きく加速するに至った.そして 2008 年のノーベル化学賞はまさに 日本のケミカルバイオロジーの分野の研究者の愁眉を開くできごと となった.もちろん,GFP がタンパク質であるがゆえに研究上欠 かせないツールとなったことはいうまでもなく,同時受賞の M. Chalfie, R. Y. Tsien両博士の貢献もきわめて大きい. その後,2015 年にはノーベル生理学医学賞が,オンコセルカ症 をはじめとする非常に惨めな感染症,風土病の治療法を開発した, 大村 智博士と W. C. Campbell 博士,またマラリアの治療薬の発見 に貢献した中国の You-You Tu 博士の 3 人の研究者に与えられた.こ の大きなトッピクスも研究者を勇気づけている.天然由来の小分子 による生命科学への貢献を強く印象づけ,天然物の化学ライブラ リーの有用性がおおいに謳われたのである. 今後の日本の問題としては,植物による生合成マシナリー研究が 挙げられる.欧米における,たとえばアブラナ科植物での遺伝子操 作によるテルペン合成技術の進展,とくにエネルギー問題をもとに

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した屋外での栽培研究等は目覚ましいものがあり,日本は大きく遅 れているといわざるをえない.しかし,この分野も日本が遅れを とってはならない研究プラットフォームであり,挽回するには政府 の理解なくしては有効な展開ができないことも事実である.また, 日本が古くから研究を重ねてきた生薬学の分野での,Traditional Chinese Herb(TCR)研究も指をくわえて見ているわけにはいかな い.中国では,巨額の研究資金を投入して,自国の産業に貢献しよ うとしている. 本書で取り扱うケミカルバイオロジーの基礎知識は,日本には現 在少ない専門研究者,専門研究室の立ち上げを期待して著したもの であり,大学院へと諸君が進学成長し,日本のケミカルバイオロ ジーの嚆矢となって活躍されることを夢見ている. 2016年 10 月 上村 大輔 vi はじめに

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