長流川流域の地球化学的研究(第1報) : 長流川沿岸の温泉について(其の1)
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(2) . 第7 巻 第 2 号. 北海道学芸大学紀要 (第二部). 昭和31年1 2月. 長 流 川 流 域 の 地 球 化 学 的 研 究 (第1報) 長流川沿岸の温泉について (其の 1) 1) 香 山. 勲り池 畑. ※ 昭※・ 東 野 徳 夫※. 共 葵 猪 狩 淑 将も 横 田 陽 子美. 北海道学芸大学札幌分校化学教室. Geochemi I Studies on the Drainage Area of River osaru I ca , Hot spr ing besides the osaru River .l. r by l g l tA rA Y.IKARI . KAYAMA A.IKI 6 N. T No Y. YoK0T\ osaru Ri iverinthe south一Wr l veri s one of the remarkab i 1do on the s er tregi t es on 。f H0kl andpo nt ‘ a t of Geochemi i ide ar ry s i ver lmos th andes l t cover t s e a ed wi cl ermi na 、 (Fig ava of the t .1 ,2) The r i t E h t l P i s age ofthe Ter T h f d i f h l r t t 任 i k a r a o e t t r e t c o c e n e r e oun a ons o e vaey are u acous oc s y . ,. ia l l l and esPec t ream are so ca i ed Green Tu任. A1 i l y the uppers so on ther e are many met s regi a c ,in th i l i i t m nes (Su t e i c。pyr e te) and hotspr phur ngs . Pyr . Chal , Gypsum and Lymoni . l i n thi l rs wi s paper t ls n the some resu sh to expl i a tudi s of geochemi ca es of hotspr ngs ,authe . . ln thi i ings K i s regi on the re are thr ee repr B k i esentat ve hotspr d B k i t ayuzawa en e. They are , , an e an. imi l lcons i f he i t f tuent 。 thechemi s ar t lenv i ca s r geol eri nt ogi ca ron 1 ・ l ent .but di .. 1n Ki l lthe hotspr i tayuzawa ive rhy。l l i ngs are found a i i i rus t ong the int t c and propyr ,a c dyke rocks i ikes are N 600 E, The chemi t and the r general s r l calcoα ー s ofthem are t l ponent abu at ed in Tab e l and i lcons i thechemi t tuent k i t T b l T h ca s ofthe r counry roc s are n a e 5 ingscont i i ese hotspr l t t n al a e 。f . ,6 i l l t l ve s but comparat arge number of heavy meta sa [ G P b M [ い i P s N e P, M y al n t e o . They ar . , , , , . , Bi , Zn B A G d s b b i a s a t i f n l a e s c r o s c o , Ti c a n a , A1 , Sn ′ V, Cu , Ag ,Zr p s s o e a ed p , Co , Sr y v porat , , , y , i dua l res s or]n same way from thei on-exchange res i i in treat th or lspr i ed wi na ng water g . These heavy meta l l l found in su t in genera e a s ar l行de mi i nos f l d l 。r neras orme in hydrotherma ls i therma t l ion. A1 epi t age of mi nera idua l za so ing wat e res sof the spr er have some β- ,the evaporat i i i t t i rad i oac i v t i dence t n of ac y of 50 cpm by β‐counter vi g s n。tin ev yi ,but or . These spr i ngs cont lorthe f rol i l ed by the l h te of r d eve t 。w ra ヒ appears 30一一60 mi n e e任ec ver a t n ui s . ,. la i i terto ther t vercondi on.(Fig .4 ,5). Authors a l i imentto expl in the occurencesofspr lexper r so t ed some n lode i a i ngsundertheas sumpt ons. l asf ol owes:. 1 ing of Ki i tayuzawa di t ti r i s c s ver l emperat l lut . The hotspr ure but s i y high in t e and the r ght y di l amount of them are es tota in d t 0 1 0 OKL h t 5 0 ・a 0- / e our , ※ 北海道大学理学部化 学教室に於いて1 955年3月まで. ※※ t 955年7月迄. 美※葵ヱ 956年3月迄 一 85 -.
(3) . 香山 勲・池畑 昭・東野徳夫・猪狩淑将 ・横田陽子 i l i t ter ni igin i c wa y s the magmat ings are caused by onl r l c or agmat fthe hotspr 2 , the sa yl ,thati . l L 3 O h d b / まt h em s ou e over g . o i i t r sare caused as tthe hotspr ngs ofthi s di s ct i Accordi ons sumpt ng to these as ,authors assume tha fol l owi ng procedures . i er lmos tcaus ver wat i ed by r 1 ter of spr ngs are a . a . 帆′ l ig i i t n l cor t y i df t sthe magma h d t w o sour ces i i e a s d r a l om ,probab 2 t an n t em are erve s cont ,onei . Sa k f h h t t r s i h n r o c e o b t t r m c u e e r o f t o d n ma ma y S r r n a g , t e rom su e a they are hal ogen and H2 emana t i eam. formsthe pa er or s ths ofthe spr ng wat iment lexper l So thefol s are intended ng m l ode o~i .. i lcount s Bxt ry rocksfoundin thi t rac on ofsevera. i l l t t t e of ing wa s a ters and s eam di i l i ion di i t t ent t o the hot spr th NaC1sol r ut on ut va s c s ,equ , HC1sol , wi i T b l 7 0 ‐ 一1 h i h k i 6N HC 1 l T h l e s are s own n a roc s wt souton e resut . . i i fac l t t ing ar s しr i tuent e not sa y t on1 s of hot spr t rom these resul s y f , the occurences of the cons f l lcometo successul i i i i bi l l ty of expl t r oc curences wi . exp ned,butsome poss ana on ofthe ai. SL. 緒. 論. 西南北海道地区で噴火湾に流入する河川 の内長流川は流程も長い がその流域は (洞爺湖周辺も含 めて) 多数の鉱床及温泉、 火山が知られ地球化学の研究対照地域として極めて興味深い。 著者等は. 同地区の河川、 湖沼、 火山、 温泉、 岩石、 鉱物の全般に亘り地球化学的研究を行い一地区のもつ綜 i 合的特性を明にする目的を以て本研究を開始した。 地域の概念図を F g l に示す。 Fig ]ap of Draught of R. OSARU. ch n .1 . Sket. K」 t4 \は ンLほえ. ヌ; きざ ト漏 り乱. m L c ′ ,T a且. l鰯/ 喝 R o ,T を“. Baハキ \ej. . . . . . . 電 遇BenK”. ×Hoγokt su eぶ) (S,F. - 86 -. idる HOKka.
(4) . 長流川流域の地球化学的研究 (第1報) S2 , 地. 域. 的 要. 素. 2 ) が包括き 研究の対照 とする地区は地質調査所発行5万分 之1地質図徳舜瞥及虻田 にその中心部 れ て い る。. の岩脈が認 地質の大要は新第3 紀を基盤としそれを被覆する多数の熔岩 流及それを貫くいくつか 泉 て多数の鉱床及温 められ、 それ等の接触部或は全体を支配する カルデラに基く構造断層に関連し 0 4 5 m 附近の 0m より が見出される。 鉱床は大きく 2種に区分せられ1 は褐鉄鉱々床であり標高8 鉱鉱床であ 水型黒 段丘上に発達し、 1 つは流黄、 硫化鉄、 石膏、 及銅、 鉛、 亜鉛を中心 とする浅熱 ヒ素を併 列寺徴をもっ ている。 る。 鉱床はいずれも 周辺に著しい蛋白石化作用を示し、 通常微量の砧 が 温泉を地域的に、 叉一部には水銀鉱床の存在も認められている。 鉱床に関しては別報に之を譲る 、 叉地質条件的 に大きく区分することが出来て、 1 , 古火山活動に起因すると考えられるもの. 北湯沢、 幡渓、 弁景 2 . 現代の火山活動に起因すると考えられるもの 洞爺湖、 壮瞥. の 2 群 とす る。. 本報告に於いては上記北湯沢、 騒擾、 弁景の3 温泉について記す。 上記の温泉の所在は 北湯沢温泉※: 北海道有珠郡大滝村字昭園 蟻渓温泉 :. ″. ″. 弁 景温 泉. ″. ●″. :. 壮瞥村字蟻渓 ・″. 字弁景. で北湯沢、 蟻渓の2泉は長流川本流に、 弁景温泉は支流弁慶川沿岸にある。 ”縫統に属する緑色凝灰岩中に貫入する流紋岩質及変朽安山岩質 岩脈に沿っ 北湯沢温泉は第3紀司 て湧出し、 幡撲温泉は石英粗面岩質 凝灰岩の裂目より、 弁景温泉は同じく石英粗面岩質凝灰岩を貫 く安山岩質岩脈に沿って湧出する。 湧出する岩質には各々差異があるが原質は種々の点よ り共通性 ※として販扱う。 が多く以上3 温泉を包括し北湯沢温泉群※ 北湯沢温泉は長流川の両岸に湧出するが母岩は川底によく露出している緑 色 凝 灰 岩 と そ れ を N60oE 及 N60oW の方向に貫く岩脈に沿い、 その岩脈は北湯沢駅附近は変朽安山岩が多く、 南 部温泉橋附近に於いては長流川右岸に突出する通称天狗山 qヒ湯沢公園) を構成する流紋岩と同一. 組成と認められる岩脈が発達している。 これ等岩脈はいずれも石英脈を伴いその周辺の母岩 (緑 色 凝灰岩) に対 し碇化作用及蛋白石化作用を及し、 更に全般的に白鉄鉱の鉱染が認められる。 天狗山 の山体を構成する流紋岩中の石英脈には銀黒を伴う所が認められ附近に於いて且て金銀の採掘が行. ′あるという。 G薩称熊野地) われたことも 、 蟻渓温泉の附近に於いても母岩の桂化は著 しいが岩脈状 の噴出岩は温泉附近にはなくた ゞ軽微な白鉄鉱々染が認められ、 弁景温泉に於いては岩脈は多少認 められるが接触変質或は鏡化作用はあまり顕著ではない。. S3 , 温泉の分布と化学成分 北湯沢地区の温泉は泉源数は著しく多くその総数を教えることは殆 ど不可能であるが葺1に記し i g た如く大略 2群に区分することが出来る。 分布の状況を F .2 に示す。 主要な源泉の測定値を ※ 地理調査所発行5万分1地形図徳舜瞥には鉄道 (国鉄胆振線) 北湯沢駅の位置 が誤って記入されている。. ※※ 日本鉱泉誌 (厚 生省大臣官房)1 9 54 .39頁には弁景、 鱈撲、 湯沢温泉として北湯沢温泉の分析値 がある。. 一 87 一.
(5) . 香山 勲・池畑. 昭・東野徳夫・猪狩 淑将・横田陽子. Fig l map (abr idged) of Ki ogi tayuzawa ca .2 . Geol. ①. I. TY Yo、. へoxene andes,te. ① Py 2 P h ③ ropγ~ 3. hdかe 十. も. G. 細. 少 S ” 8o,1. 怨ら希. 三 ) (. 霊長 粒 ,. . 過. ~煮. w,th 贈 m an Hot spr-n g. , い、. \. \ 、 \ s. に. “. 〆 員 伊 南 今k② 〆. ‘ 脅. ‘. 」”. 繕. …. ④. P. ④ 1agの Rhyoi・te. 4. 1旧 知 ▽. サ. ④. ,′ ‐ .. ノ. 1. /. /. ・ /. /. ′. 1. ′. .u. 率. \ いい. .″/. ′. d旨. /. ′/ ′′. . ①. - ヂ連 系丈多 ! 割1. Tabl e l に 示 す。. 北湯沢地区全部の温泉の湧出量の測定は極めて困難であるが、 長流川に全量が流入するのである から温泉地帯の上流 及下流に於ける河川水中の2 ,3 の成分濃度差を測定し、 且その時の流量を求め れば湧出量を推定することが出来るが、 この方 法により求めた全湧出量 は 5 00~1 00 OKL/時 に達す - 88 「.
(6) . 長流iH流域の地球化学的研究 (第1報) Tab1e 1 Ana i l ldat i 七ayuzawa ng at Ki ca a of hotsPr yt. i i Ac d ty H9s Ca. Mg Fe Siog CI SO. PO.. る。. 当地区の地質構造及火山活動の概況を次に示す。 北 湯 沢 地 区 地. 質. 5 万分の1地質図幅説明書徳舜瞥より. 時 代. 現 第. 沖 積 層 浮石及び火山灰 浮石及び火山灰層. 世. ロ. 更. 1 . 新. 後 訓 縫 押. 第. ー. ム. 安物泥熔岩. 層. 森野累層 倶多楽累層 . 徳. 馨 粘. 着. 訓. -▲. 縫. 期. 期 構洲 ル白 亜 紀. 岩. 高位段丘砂諜層. 四. 紀. 山. 低位段丘砂諜層. 一. 新. 火. 登 別? 尼熔 岩 倶多 楽 泥熔 岩 カル ル ス 火 山 ホロホロ火山等の熔岩. 斗長流紋岩質凝灰 余 長 流川累. 変朽安山岩 斜長流紋岩. 層 黒 色 粘 板 岩. 輝緑凝灰岩 - 89 -. 地. 殻. 変 動.
(7) . 香山 弁. 景. 地. 昭・東野徳夫・猪狩淑将・横田陽子. 5 万分 の1地質図幅説明書虻田より. 区. 地質時代. 勲・池畑. 層. 序. 現. 火. 火. ニ 一喜 -- 、. 小. 一 更. 動. 活. ”昭 和 醤 山. - 珠. 世. 山. 有. 珠. 、. 等. 有珠 火 山 泥 流 有珠火山西山・外輪山. 新 世 , M 後 訓 縫 期. 中島火山群 洞爺浮石流 登別泥熔岩 壮年期開折火山 輝. 石. 山. 岩. 変朽安山岩 壮 瞥洋 石流 斜長 流紋岩 石英安山岩. 表により明かな如くこの温泉は比較的稀薄な高温度泉であって、 最高泉温 97oC は 湧 出 口 の高. さ海 抜 330m の沸点に近いものである。. 泉温の高いものは温泉橋附近 に集り北湯沢駅附近のものはや. 低温で温泉中心は; 担辰線のトンネ. ルのある岩体を中心とした処にあると推定きれる。. ′ 比 032 は洞爺湖温泉 038 013 壮 瞥 温泉 073 登 後報に詳細に記すが、 この温泉の SO/′ /CI . , , . , , , 0 31 別温泉は へ0 と比較して洞爺湖温泉との類 似が認められる ,(中性食塩泉) . 、 定山渓温泉 0 , 。. ′ ′ のも意義については室住3 ′ S04 ) が登別 温泉の研究に於いて論じているが /CI 、 温泉の成因及び. 温泉の状態を判定するのに強力な手掛りである。 即火山 ガスの分析値より叉凝縮水の溶存成分より明かな如く岩梁自体よりは S は H2S 叉は遊離 のSの状態により放出され S02 は外界に出る過程の酸化に基くものと考えられる。 野口等5 ) によ り鳴子温泉群の S03″/H2S 比 が 温 泉 源 よ り遠 ざか る に 従 い 大 に な る こと が 明に さ れ て い る。 従 っ て. ′ ′ SOJ /CI 値の大なることは地表より拡散する叉は地表水より供給される 02 の影響の大小を示すも. のと考えられ、 温泉の成因を論ずる上に極めて重大な意義をもつものと考えられる。. 温泉溶存成分中特に注目に値するものは F であ る。 こ の 含 有量 は か な り 大 なる も の で〆 そ の為 )9 名 (男 4 温泉地帯には斑状 歯被患者があり大滝村昭園小学校学童を調査した所6 ) の患者 ,女 5 を発見 している。 これ等斑状歯被患児童はいずれも調査当時迄飲料水として温泉叉は温泉の混入の - 90 一.
(8) . 長流川流域の地球化学的研究 (第1熱) 沢水を使用 したもののみである。. 8g/L 以下の低濃 温泉含有成分中次に注目すべきものは重金属元素である。 この温泉は金塩量 0 , 度弱アルカリ泉であるが検出された重金属は25種に及びこれはこの地域に認められる一つの特徴で あ る と い える。. )は温泉の蒸発残造の連続弧光分光分析により P, Mn, Ge 西村7 , Pb , Mo , W, Ni , Pt , Bi , , Zn Z S S V C A T i B A S A1 C G b a , n , g , , r , o r , a , s , , u , ‐ , , を 検 出 して い る が 著 者等 はイ オ ン 交 換樹 脂 による重金属濃縮を試みた。 i Amber 4h te IR I12 を微細末にし NH 型に した も の で 原 泉 11 中に 2 ‐ 浸積反応せしめたも. のにつき分光分析を行った所上記の元素中 Ni を除くものを検出した。 8 J それ等は単に温泉中の元素検出のみ 温泉中の微量重金属元素叉は微量元素の研究は数あるが、. である。 著者等はこれ等 の成因叉は起原を考察する為の一助として北湯沢地区の温泉母岩と考えら れるもの数種につき分光分析を行った所次の結果を得た。 分 析 条 件 分. 光. 機. 発. 光. 法. E.2 DC .10OV 6~8A 永 続 弧 光 ー ルガ ガー ア ダム ヒ ヒル. 炭素補助電極 60秒露出 Table 2 i i t tuent t l ) econs ralana sof Rocks s ys . (Spec . Minut Sampl e. A B C. i i Rhyol t c dyke Rock f f Si i i f i l ed greentur c green tu任 .. Zn [ 【 n O Ag Ti V Pd CO Be M . Cu .M . Zn M [ O Cu Ag Pd V M[ n. Pt Sn Cd pd M [ n Zn Cn V Ti CO Be .. 叉当地 方の緑色凝灰岩中には黒鉱型鉱床が多数認められ (幌別鉱山、 伊達鉱山、 虻 田鉱山、 洞爺 鉱山等) そこに見出される鉱物は、 黄鉄鉱、 白鉄鉱、 黄銅鉱、 閃亜鉛鉱、 方鉛鉱、 重晶石、 石膏、. 四面銅鉱、 藍銅鉱、 含金、 銀銅鉱 (各種) 研削t鉄鉱、 辰砂、 輝安鉱 ( 北湯沢温泉試堀井中より ) 含ゲルマニウム方鉛鉱、 等がある。 叉地域南部の昭和新山昇華物中には Ni , As . Hg , Mn. Ti .Sb , h h 9 t ) Z G r r C C 分 出 r o Co 光 析 e c oma a を分 によ a r り検 し により e 叉 p 上記以外に n u p p g y , . , , 、 Cd , を 検 出 して い る。. 以上のことよりこの地域の岩石或は火山活動に伴う微量元素は北湯沢温泉に殆ど検出されるが、 これは単に温泉中の微量元素の研究のみでなく温泉成分の起原を考察する為の手掛りとなるもので ある。 この点に関しては本報にて後に詳述する。 叉これ等成分の温泉中の存在状態についての研究 も実施中で近く報告する予定である。 S4 , 温泉成分の経年変化及外的要素による変動. 北湯沢温泉は比較的近年になって一般に知られた温泉である為その記録は最近のものよりなく、 950年測定する以前は正確な data は な い。 1950 年 以 降 特に泉温の測 値も著者の中の1人香山が1. ′ の測値を Fi 1956年 に 到 る 間 の泉 温,PH 及 CI g .3 に示す。. 源泉は横山温泉ホテル裏側のものを使用した。 i 叉比較的短期間の変化について河岸の湧泉について測定した結果を F g ,4 に示す。 ′ ′ ア ルカリ )! 図より明かな如く6月~9 月に到る間に於いて CI,POぞ, Ca十十,Si02 の減少と S( ,. の増加が認められるが、 この時期は長流川の流量が徐々に減少している時期である為この影響によ るものと考えられる。 - 91 一.
(9) . . 香山 愛 そ・池畑 昭 ・東野徳夫・猪狩淑将 ・横田陽子 ’1950~1956 i Fig i at on of Temp. PH and CI , .3 Var. 温泉は一般に気象条件 に よ り 泉 温、 湧出量等に影響があるものがな いが、 特に河岸、 湖岸或は海岸の温. 泉にその著しいものが見られる。 北 湯沢温泉についてもこの事が予想さ れたので降雨に伴う単位時間の流量. . ; ; H ; P. 変化による温泉への影響について測 定を行った。. 測 定 の 時 期 は1954年 9 月15日 ~18. 日の間でその間に約 30mm の降雨が. x~※\ハ/ト\,〆’一 走 り .. lm3 あ り 川 の流 量共 は 4 / sec よ り . 3 48 5m / sec に増 加、 測 定 終 末期 に 於 , 6m3 / sec と 殆 ど開始 期 に 近 いては 4 .. い値に復元している。 測定は河岸の湧出口及横山温泉ホ テル湯元 (東側) の二源泉を使用 し. i ion of some Component Fig.4 Var s at f rom Juneto sept .1955 . ク ク / ′. たが、 河岸のものは測定の途中水位 の増加の為水面下に没 し中止 した。 減水の過程に於いて河岸の湧出泉はいづれも 0~60 湧出口より 5 cm 高く 噴き上げる状態にな. 魚鱗. 〆う. り水位の低下に伴いその高さは減少し水位安定 後約30分で平常の状態に復元する。 測定の結果 を Fig .5 に示す. S5 . 温泉及岩石の放射能について 北湯沢温泉の蒸発 残 盗 に つ い て survey t me erを 用 い て 放 射能 を 測 定 した 所40~50cpm.. ‘ o ,. 0cpm) を得たので現地に於 (Back ground 2 ける測定を試みた。 湖泉は直接測定にては Ba ck ground と 殆 ど 同一 であるがこの地域の岩石は幾分の放射能が 認められる。. 天狗山地区は Ba ck ground よ り 数 カ ウ ン ト. 高い程度であるが、 横山温泉ホテル向側の崖に そって詳細に測定した所 Fi g .6 に示す様な結. 果を得た。 この測値より放射能は明に岩質に関係するこ. /ク. 脳e. / ○. 一×- 〆. A ‘ ・ “. ダ /. ゞ e ・ P. /. とが認められ、 流紋岩質岩脈と母岩の緑色凝更 岩の接触部で蛋白石化作用の著しい部分に大 き 美北海道電力久保内発電所北湯沢取水 ダム測値によ 800m 下流。 る。 温泉より 1. ~ e P・ 2- 一9.
(10) . 長流川流域の地球化学的研究 (第1報) ゼig.5 Var i i tt at ) on of some Component o i8 Sept sin one day - . 16 Se .1955 , .. . ゞ ’ ・. r え ,. . /. .ふ ,. Zβ. .. \. ,. 心 酔,. ” ー 〆‐\ .\ / 謝金雛 ,. /. .〆・一・一・一・\ぞ←. o “;〆“ 蟹 尉d. ,. . / 」\ //- ′/ \・. 粋 ぎ % 濯 {・ 鰯,. Fig.6 Rad ioact iv i iH o f ty of Rocks . Front C1 Yokoyama Hot l e .. , ?α ・. ,膨. .. な 値を 見 出す。. 温泉の湧出もこの接触部に沿って認 められるが、 岩石の測定点は温泉の湧 出位より5~20m 高い部分で行い、 岩 石の温度にも何等特異な現象の認めら. れないものである。 放射能 (主として β) の起原については未だ明になし得 ない。. S6 . 温泉母岩の抽出 温泉中の種々の塩についてその起原. t f影 g. をどこに求めるかという問題は温泉を. O P. 地球化学的に販扱う上の最大の問題で. ある。 温泉成分の起原についてはその温泉の成因 (熱及水源) についての考案を前提としなければ ならないが、 当地区の温泉は北湯沢、 蟻渓、 弁景、 共に一応火山岩の噴出叉は貫入に関係するもの と考えられる。 特に北湯沢地区に於いては噴出火山岩は極めて明瞭且顕著であって天狗山を中心として長流川を. 斜に切る流紋岩岩脈、 北湯沢駅を中心として同様に長流川を斜に切る変朽安山岩々脈、 及少し離れ )が構造的に見て略同時代の火山活動であると推定される。 るが徳舜瞥丸山を構成する石英安山岩2. これ以外の火山活動はいづれも熔岩流として緑色凝灰岩を不整合に被覆 している為地下に於ける活 動とは無関係と見なす。 3- 一9.
(11) . 香山. 勲・池畑 昭・東野徳夫・猪狩淑将・横田陽子. この様な見地 から北湯沢温泉の成因に最も密接な火山岩は流紋岩、 及変朽安山岩と し、 これに伴う 蛋白石化作用を受けた緑 色凝灰岩がその通路を構成す ると考えた。. 一方温泉の水源は従来2つの考方がありその1つは岩凝固有の水とす るものであるが、 この本質 , は未だ明かでない。島根県浜田附近に見出された霞石玄武岩品洞水についての研究によれば NaC1 4 ) スが一応岩奨より直接由来するもので る s Na SO 叉火山ガ C o 溶液で非常に濃厚であ 等の飽和 a ・ ・ 2 . 。 , あると考えればそれの凝縮したものが温泉となり得 るが、 そのガスの組成及 凝縮水の化学成分は一 l 0年7月の測定に於いて Tab 95 e 例を昭和新山にとれば著者の一人番山が1 .3及4の結果を得ている。 dt i i lcons Tab1e 3 Chemi t tuent va shinzan. c gas can so王 vol ca .卦 . Shov 日20. 7 .α. i id 5% ac c gas 2 .. fC02 idi s of ac c gas s02 component \H2S. 4% 82 . 2 4 . 1 5 ,. (ga stemp 2300C). i l l i t Table 4 Ana l te of Fuma nzan oa sof Condensa .Sh6wa sh . . N1 ys 0 I950 l 〕p l y gas Te .jul . .230 C 1 O 3 PH. ,. CI-. Tota IS Hsi03‐. HB02. 7mg I 77 / , 3 4 .. O Tota I Si02 26 . 4 48 .. F‐. 2 o . 18 6 .. NH + 1 N02一 NOR-j R,. まound. 157 1 5mg/ .. これ等の結果より見て北湯沢温泉は前記のいづれにも該当せず、 特に注目すべきは次の諸点であ る。 1 . 湧 出 量 が 著 しく 多 い。 2 . 温 度 が高 い。 3 . 稀 薄 で あ る。. 500~100om3 /h. o o C 82 C ~97 8g/L 全 固形 分 0 .. 以下. 生 川の水位に支配 される。. この 4項目より互に脊馳する条件 が見出される。 即、 湧出量の点より地表水 (恐らくは長流川の 流水) が水源の大部分を占るであろう。 しかもこの推論は温泉が川の水位に支配されるということ. で尚強力である。 しかるに温泉が高いということはこの大量の水を地表水温度 1 C (平均) より 85oC (平均) まで高める為の熱源が地表に近くまで拡がっていなければならない。 もしも温泉の成因特に塩分の. 大部分が岩梁より供給されるものならば温度に比して濃度が低すぎる。 (登別温泉の食塩泉に対す ) の考案と比較するとよい) る室住3 こ >で北湯沢温泉の成因に対 し最も無理のない考方をとると、. 1 . 水源は大部分長流川に依存する。 2 , 熱源は恐らくは地表にも噴出している岩脈の下部の岩石及その岩脈に伴い叉は引続いて生起 した石英脈を伴う鉱化作用の残留 エネルギ←に依る。 合物は地表より浸 3 . 溶存成分は恐らくアニオ ンは 岩凝及鉱液残澄より供給され、 その中のS化′. 透する水中の 02 に よ り H2S 叉は HS- が酸化されたものであろう。 4 , H2S ,C02等) . カチオソは岩繋より供給されたものもあるだろうがアニオソの供給(多分 HC1. により溶液中に遊離の HC1 , H2SOJ , H2C03 が生じ、 これが地表に湧出するまでの経路の岩石 と化学反応を行いこれを溶出したものであろう。 )等 以上の仮定に立ってこれを実験的に証明することを考えたが、 以上 4項目のうち第3 項は有井5. の研究により略た確かと考えられるの で実験の容易な点より第4 項について模 型実験を試みた。 岩石試料は現地に於いてそれぞれを代表するに足ると認めらるものを注意して採販した。 一 94 -.
(12) . 長流i H流域の地球化学的研究 (第1報). 実験の方法 岩 石 試 料 は 125mesh 以下に粉砕し乾燥後一定量を秤駁する。. oomg L / 抽出する液は (a) NaC150~l ,(b) 北湯沢温泉の平均組成に近いものを計算上求めこ ー のア ニ オ ンを す べて CI に しカ チオ ンを す べて H‐ に置換した HCI 溶 液、(c) 6NHCI の H20 25oC に於ける気相抽出の一 種を使用した との共沸混合 物蒸発による 1 。 (a) の食塩水を使用する理由はもし岩梁より直接由来するものが岩石を溶解するとすればその 母液は主成分が NaCI であ る と いう 点よ り使 用。 (b) の抽出液は地表に湧出する温泉が岩石を溶解した結果の組成であると仮定しその最初の状 態 を 推 定 した もの. Fig i i l at ng ApparatoL I S .7 Vapourdist ・. ● は地下高温所で (c) 臨界温度を超えた 状態に於ける反応 を考 え、 これ の 実. 験的近似のうち 操 作の最も容易なも の を 選 ん だ。. 液相 による抽出は粉末 試 料 を ビー カー 中 で 湯浴. 弱Ltgr ; HG 。 128C. 上 で 24h, 気 相 抽 出 は i F g , 7 に示す装置を使 用 した。. 6N HCI. 抽 出 に 用 いた 岩石 試 料. .. ,. の分析値及抽出液 析 値 及 抽 出 液 (抽出 の分 出. ・ ・. 偽 wagred le S mp. l 溜液) の分析値を Tab e 5~10 に 示す。. 。. Fig i agram 。f Rocks and Hot spr ngs .7 Di .. . 0 E -20. lぢ雫 l. ,E ,05. e たごルarだムる/ ′ し ′ わり 夕〆 γ/. 5- -9. . ⑩.
(13) . 香山 勲・池畑. 昭・東野徳夫・猪狩淑将 ・横田陽子. t Table 5 Ana i l rock samP1 lyt l data of sever esat Ki ayuzawa a ca , A : Greentu什, X: Cont i d k R l h i C R l t B :Si i ed zone l e o c ( s act c : o c市ed green 加圧 y y , , , i ngs 負oW out where the hot sPr .. Si02 Feeo; ; A1 203 CaO. B. A. A. B. C. ×. 78 38 .. 20 83 .. 77 41 .. 2 12 . 12 04 .. 2 11 . lo 58 .. 1 82 . 14 01 .. 21 74 . 4 02 ,. 1 84 .. 1 14 .. 0 42 .. 22 15 . 1 81 .. C. ×. Mgo. 0 13 .. 0 03 .. 0 03 .. 0 14 .. ーHoo. 0 64 . 1 2 .0. 0 45 . 0 98 .. 0 56 . 0 89 .. 68 0 . 0 5 .4. 十 日90. 1 i Tab1e 6 Ana l l da l e numbers are ta of Rocks ound at Kib ca yuzawa yt , samP ,f i 8 n lent o l 1 ed on Fi g . No . l. No , 2. No. 3. Si02. 62 08 , 10 43 .. 83 32 . 1 79 .. 87 09 .. Fe 20; ; A1 203. Mgo. Ca。 Na 20 K20 Ti02 B203 P205. 10 12 . 2 19 . 0 46 . 2 05 . 2 45 . 0 40 . 0 47 . 8 5 .0. 34 9 , 0 14 . 0 51 .. 1 96 . 3 75 . 0 05 . 0 02 .. ′ No . 5 . 3 No 68 82 . 08 3 .. No . 9. 76 33 , 3 70 .. 55 34 .. 80 56 . 2 18 .. 9 69 . 15 0 . 31 0 .. 44 9 . 0 06 .. 50 12 , 0 68 .. 1 27 .. 2 05 . 1 4 .4 ‐ t l. t r. t r. t r. t r. 0 83 . nd. nd. 0 46 . nd. nd. ′ No .lo No . lo No.12 88 04 .. 75. 80. 3 81 . 23 3 .. 2 98 .. lo 36 .. 0 68 . 4 81 .. 1 20 . 0 72 .. 1 12 . 2 19 ,. 0 71 .. 0 50 . tr. tr. 0 46 , 2 08 .. 0 51 .. 0 74 . nd. nd. 81 58 . 1 85 .. 10 52 .. 0 88 .. 1 30 .. 0 47 . 2 83 .. 1 71 ・ 2 28 .. nd. No . 6. 2 27 . t r 1 lo ・ 0 3 .6. Table . 7. Table. 9. Extrac t scomponent s of Rocks .by HQO. l log of Samp th 300mI H20 es wi. Bxtrac閤 Component ー h t く s of Roc s , wi limeq. HCI .. tr. t r. . 1 5 . 1 8 5 .. 2 1 . 4 4 4 .. 0 9 . 4 3 5 .. 2 40 .. 4 80 .. Ca /L . mg Fe 0 23. 1 120 NaCI. 1. loom. l Samp e . pH Ca. Mg Fe Si02. 400. 50. 50. 50. log. log. 2 9 . 0 15 . 225. 0 1 ・ 15. 2 I . 1 o ・ 24. 53 8 .. SO.. 34 6 .. 16 4 .. 28 8 ,. っ88 ”. 0 06 . 17 6 .. O 51 . 20 6 .. 0 4 . 6 52 .. 0 5 . O 35 .. ‘76 1 ▲. 45 0 .. O 56 .. 89 0 .. 44 05 470 1. th 6N. HCI wi .. 400. 8 5 . o 46 .. A1 203. ′36 h )つ ね. i i i Ana l l i l data of di t t l es s at s at on ca yt ,di. 250. 6 7 .. 17 6 .. Table. 10. B I C I X. 5g. 3 8 . 164 4 .. Si02. I Rocks Ext tsc。mp。ne t . l rac s 。fsevera . h Tab San l t lpl es are sa l ne wi e. 52. 7 0 ・ 146 I .. PO- HBOg. 13 20 .. Table . 8. 』 A. ′ No ,3 1NO .9. ドo . ,』NO .. X. C. B. A. 4 6 . 6 3.. ド. Fe /L 203 mg A- 0 23 SO. , PO. -. o 34 . 1 I ・ 6 2 .. Sio. ,. 一 96. 294 46 265 0 . 2 0 6 . 25 0 .. ′「No No.3 ド .3 .9 230 6 . 74 56 0G 22 6 .. 111 4 .. 112 4 .. 6 38 .. 46 6 .. 14 8 . 1 0 . 17 6 .. 20 6 . 1 3 .0 27 6 ..
(14) . 長流川流域の地球化学的研究 (第1報) この結果よ り北湯沢温泉が上述の仮定の如くして作られたものであることの証明には不充分であ るが、 その可能性を推定する根拠は充分に示し得たものと思う 。 登7 .. 結. 語. 長流川流域の地球化学的研究の第1 報として沿岸の温泉の地球化学的特性を明に した 本研究は 。 北海道学芸大学の自然科学部門の綜合研究である所の 『北湯沢地区の自然科学的綜合研究』 の一部. であり、 更にそれを拡張せんとするものである。 本研究の実施に際し終始積極的援助を与えられた北海道学芸大学田所学長 叉現地の作業に対し 、 協力された地元の各位、 特に経費の一部を支弁された幌別 伊達 壮瞥 大滝 虻田 洞爺 豊浦 、 、 、 、 、 、 の各町村に対 し衷心より感謝の意を表する 。 叉図表の作成に助力きれた川路まり子氏に謝意を表する 。 1 ) 日本化学会北海道 地方大会、19 55年7月、 講演 日本化学会地球化学討論会、19 56年10月 2 ) 5 万分の け也質図及び説明書、 徳舜瞥 虻田 19 、 、 56年 3 ) 室住正 世、 登別温泉の研究、 1 955 . 地球化学討論会 19 56 . 日本化学会第8年会 4 ) 岩崎岩次 : 火山の化学 5 ) 有井奨己雄、 永沢信、 日化、5~6 70.1949 . 6 ) 大滝村1 昭園小学校南校長の私信 7 ) 西村雅吉 : 未発表 (学位論文) 8 ) 例えば地球化学、 化学実験学、 河出書房 19 、 43 9 ) 香山 勲 : 昭和新山の地球化学的研究 (1) 日化 72,773.1951, lo ) 〃 昭和新山の地球化学的研究 (=) 地球化学討論会、19 54 ,. - 97 一.
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