中学生における失敗に対する価値観についての検討
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(2) 北海道教育大学紀要(人文科学・社会科学編)第67巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Humanities and Social Sciences)Vol. 67, No.1. 平 成 28 年 8 月 August, 2016. 中学生における失敗に対する価値観についての検討 藤川 聡・前迫 孝憲*・水上 丈実 北海道教育大学大学院教育学研究科高度教職実践専攻(教職大学院) *. 大阪大学大学院人間科学研究科. Discussion of Beliefs about Failure in Junior High School Students FUJIKAWA Satoshi, MAESAKO Takanori* and MIZUKAMI Takemi Graduate School of Education, Hokkaido University of Education *. Graduate School of Human Sciences, Osaka University. 要 旨 本研究は,中学生が失敗に対してどのような価値観を持っているかについて把握することを 目的とした。方法は,アンケートから得られた中学生の失敗に関する価値観を先行研究による 内容の類似性に基づいて分類した。そして,先行研究で示されている大学生・大学院生の傾向 と比較しながら,中学生における失敗に対する価値観について検討した。その結果,「起こし たくないこと」,「ネガティブ感情の引き金」,「学習の機会」といった3つの大きなカテゴリー が得られた。また,大学生・大学院生と比べて,どのカテゴリーにも位置付けられない回答が 多く見られた。その理由として,中学生は思考が未発達・未分化であり失敗の価値観を適切に 表現できない生徒がいることが予想された。また,χ2検定及び残差分析の結果,中学生は大 学生・大学院生と比べ,失敗を肯定的に捉える傾向が有意に高いという結果が得られた。その 理由として,義務教育の中では失敗に対する支援と肯定的な価値付けが行われているケースが 多いことなどが推察された。. 1.はじめに. 様 々 な 方 面 か ら 述 べ ら れ て い る。 文 部 科 学 省 1) は「失敗には必ず理由があり,失敗か (2001). 学習活動の中で,児童生徒は様々な失敗を経験. らは必ず学ぶべき知識(教訓)が得られるものと. する。教師は出現する児童生徒の失敗を適切に支. して取り扱うべきである」という見解を示してい. 援し確かな学力や豊かな人間性へと導くことが求. 2) は「教訓帰納の立場で る。また,市川(1991). められる。学習場面における児童生徒の失敗場面. は失敗経験の生かし方を学ぶことを学習の基本と. は,教師にとって重要な局面の一つである。. する」,「学習の成果とはどのように教訓を抽出で. 学習活動における失敗体験の有益性については. きたかということである」と述べている。畑村. 175.
(3) 藤川 聡・前迫 孝憲・水上 丈実 3) (2008) による「失敗学」では, 「失敗に学ぶこ. 値観について検討したい。. とが真の理解につながる」との見解が示されてい る。さらに, 「失敗学」に関する一連の論考4),5). 2.先行研究より. において,失敗を後につながる有用な失敗とさら なる悪循環を生む失敗とに分類している。. 6) 三沢ら(2006) は,大学生・大学院生53名(平. 失敗に対する価値観は児童生徒により様々であ. 均年齢21.5歳,SD=1.61)を対象に失敗に関する. る。失敗に対して肯定的な価値観を持ち,後につ. 価値観を検討している。そこでは,53名の学生・. ながる教訓として生かせる児童生徒もいれば, 「恥. 院生を調査対象とし,失敗に対する価値観につい. ずかしいもの」 ,「許されないもの」などの否定的. て文章完成法により回答を求め,得られた回答か. な価値観に縛られ,失敗を教訓として生かすこと. ら失敗の価値観を構造化している。具体的には,. ができない生徒もいるであろう。. 「私にとって失敗とは...」という文章を提示し,. そこで本研究では,義務教育の最終段階である. 後に続く文章を自由に考えさせ,10個の回答欄に. 中学生に着目し,失敗に対する価値観について検. 記述させている。そして,得られた記述をKJ法. 討する。中学生に着目したのは,これまで義務教. により内容の類似性に基づいて分類し,各カテゴ. 育の中で守られていた状況から,卒業後は自分の. リーの名称を決定している。三沢らによる「大学. 力で問題を解決する場面が増えるため,中学生の. 生・大学院生の失敗に関する記述をKJ法により. 段階で失敗に対する価値観がどのように形成され. 7) を図1に示す。 整理した結果の結果」. ているかを把握することは教育学的に意義がある. 三沢らはKJ法により,4つの大カテゴリーを. と考えたからである。本研究では,中学生を対象. 見いだしている。4つの大カテゴリーはそれぞれ,. に自由記述によるアンケート調査を実施する。そ. 「起こしたくないこと」,「ネガティブ感情の引き. して,得られた結果から中学生の失敗に対する価. 金」,「起こりうること」,「学習の機会」と命名さ. 起こしたくないこと (47) 罪である (12) 手遅れ(5). 許されない(7). 予想外(5). ・大事な場面では 避けたいものだ. 起こりうること(36) 回避したい(21). 周囲への迷惑(8). 日常茶飯事(22). 非難(4) 迷惑(4). 嫌なこと(13) 嫌(7). ・他者の前で. 不可避(14). 怖い(6). 学習の機会(74). はしたくな いことだ. 恥ずべきこと(32). 恥 (5). 情けない(3). 受容すべきもの(13) 落ち込むこと (18). 悔しい(5). 内省(8). 受容(5) 学習のための経験(11) 対応(8) 試練(2). つらい(3). 経験(9). 悲しい(2) 後悔すること(10) いらいら(3). ・悩む 後悔(3). 成功・成長へのステップ (30). 必要不可欠(6). 落胆(13) 恥かしい (16). 学びへの気づき (12). 心に残る(5). ネタになる(2). 考え方を 変える機会(5). 反省(4). 成功の素(16) 成長の機会(10). やる気の素(2). 教訓(10). 歴史(4). ・ 消し去り たいものだ. ネガティブ感情の引き金 (63). 図1 大学生・大学院生の失敗に関する記述をKJ法により整理した結果(三沢,2006より). 176. 糧(2).
(4) 中学生における失敗に対する価値観についての検討. れている。. 以上,先行研究で示された大学生・大学院生の. 図1の左側に位置している, 「起こしたくない. 結果を参考に,中学生の失敗に対する価値観を考. こと」 , 「ネガティブ感情の引き金」は,失敗に対. 察する。. する否定的な価値観を持つ群と捉えられている。 そして, 図1の右側に位置している, 「学習の機会」 は,失敗に対する肯定的な価値観を持つ群と捉え. 4.結果と考察. られている。さらに,図1の中央に位置している,. 4.1 中学生による記述の整理から. 「起こりうること」は,否定でも肯定でもない価. アンケートの結果,質問の意図と無関係な記述. 値観を持つ群と捉えられている。また,いずれの. や読み取れない記述を除く252個の有効記述が得. 大カテゴリーにも含まれない重要な中カテゴリー. られた。有効率は83%であった。図2に,中学生. として, 「受容すべきもの」が見いだされている。. の失敗の価値に関する記述を整理した結果を示す。. 本研究では,上記の三沢らによる研究(以下,. 図2より,3つの大カテゴリーが見いだされた。. 先行研究)を参考に,中学生の失敗に対する価値. 大学生・大学院生の結果と同様,否定群として,. 観の把握を試みる。. 「起こしたくないこと」,「ネガティブ感情の引き 金」の2つの大カテゴリーが,そして,肯定群と. 3.方 法. して, 「学習の機会」の大カテゴリーが形成された。 否定群の「起こしたくないこと」の大カテゴリー. 調査は2016年2月,X県Y中学校の93名(1年. は,「罪である」,「周囲への迷惑」といった小カ. 生33名,2年生31名,3年生29名)を対象に実施. テゴリーなどから構成されている。また,「ネガ. した。方法は, 「私にとって失敗とは...」という. ティブ感情の引き金」の大カテゴリーは,「恥ず. 文章を提示し,後に続く文章を自由に考えさせ,. べきこと」,「後悔すること」,「落ち込むこと」の. 10個の回答欄に記述させた。そして,得られた記. 小カテゴリーなどから構成されている。大学生・. 述を4名の評価者が先行研究による内容の類似性. 大学院生の結果(図1)と比べると,小カテゴリー. に基づいて分類した。4名の評価者の属性は,教. 内の細かな名称や数が異なるものの,全体として. 育学を専門とする大学院生2名,教育学を専門と. ほぼ同じような構成となっている。これらにより,. する大学院生であり現職の中学校教員でもある2. 中学生においても失敗にネガティブな価値が付随. 名(教員経験はそれぞれ,23年,10年)である。. することが確認された。. なお, 分類化およびカテゴリーの命名については,. 肯定群の「学習の機会」の大カテゴリーは, 「学. 三沢らの結果(図1)を参考にした。以上の手続. 習のための経験」,「学びへの気づき」,「成功・成. きで得られた結果から,中学生の失敗に対する価. 長へのステップ」という小カテゴリーなどで構成. 値観を把握する。. されている。ここでも,小カテゴリー内の細かな. また,中学生における失敗に対する価値観の傾. 名称や数が異なるものの,大学生・大学院生の結. 向を把握するにあたり,先行研究における大学. 果と同じような構成となっている。ただし, 「成. 生・大学院生の結果との比較を行う。比較の方法. 功・成長へのステップ」については 89個もの記. は, 失敗に対する否定的な価値観を持つ群(以下,. 述からなる大きなカテゴリーを形成している。失. 否定群) ,失敗に対する肯定的な価値観を持つ群. 敗を学習と成長のための有益な経験であると捉え. (以下,肯定群) ,否定でも肯定でもない価値観. る傾向が強く表れている。. を持つ群(以下,中間群)の各度数(回答数)に. 中間群では,「起こりうること」,「受け入れる. 2. ついて,χ 検定及び残差分析にてそれぞれの群. もの」,「受け入れたくないもの」,「存在に関わる. の偏りを調べる。. もの」といったカテゴリーが見られる。しかし,. 177.
(5) 藤川 聡・前迫 孝憲・水上 丈実. 大学生・大学院生に見られた大カテゴリーは形成. た時に,「死んだ!」,「死ぬ」などの言葉を簡単. されなかった。また,「受け入れたくないもの」,. に使うことから,これらはあまり深刻な意味では. 「存在に関わるもの」については,評価者が位置. なく,諦めや受容に近い可能性を指摘している。. 付づけに悩んだ部分である。 「受け入れたくない. 以上の通り,中間に位置している記述は,大学. もの」については,その内容が,「存在しない」,. 生・大学院生のそれと比べ,曖昧で解釈や位置付. 「わからないもの」,「決して間違いではない」と. づけが困難な回答が多数存在している。その原因. なっている。これらについて,評価者は,中学生. として,中学生は思春期であり価値観が定まって. の自身の失敗を認めようとしない心情と読みとっ. いない可能性が指摘できる。また,思考が未発達. ている。評価者は,この小カテゴリーを,「受け. もしくは未分化であり失敗の価値観を適切に表現. 入れるもの」 と近い場所にあるものと捉えている。. できない生徒がいることも予想される。上記の曖. また, 「存在に関わるもの」については,その内容. 昧な記述は,年齢を重ねるにつれて失敗の蓋然性. に「生まれてきたこと」, 「この場にいること」, 「死. に関する信念が形成されることで,図1で見られ. ぬこと」を含んでいる。「生まれてきたこと」, 「こ. る「日常茶飯事」や「不可避」へと移行し, 「起. の場にいること」については,自己否定とも諦め. こりうること」の大カテゴリーが形成されるので. や受け入れとも取れる。評価者はこれらについて. はないかと考える。. 「諦め」に近いのではないかと推察している。ま た, 「死ぬことに」ついては,否定群の大カテゴリー. 4.2 各群の偏り(大学生・大学院生との比較 より). である「起こしたくないこと」に位置付けても良 さそうである。しかし評価者は,最近の中学生は. 中学生における失敗に対する価値観の傾向を把. 些細なミスや,自分の思い通りに事が進まなかっ. 握するにあたり,大学生・大学院生の結果との比. 起こしたくないこと (25) 罪である (3). 起こりうること (7). 取り返しがつかない (2). 日常茶飯事 (4). ・やってはいけないこと. 人間にあるもの (3) 回避したい (5). 周囲への迷惑 (17) 非難 (4). 受け入れるもの (6). 迷惑 (9). 人を傷つける (4). 受容 (2). 学習の機会(128). 歓迎 (3). 嫌なこと(8). 必要不可欠 (6). 学びへの気づき (9). 成功・成長へ のステップ (89). ・がまんする 怖い (4). 内省(6). 嫌 (4) 諦めること (3) ・やめること. 学習のための経験 (13). 恥ずべきこと(15) 恥かしい (3). 恥 (2). 落ち込むこと (18) 落胆 (10). 悔しい (10). 無駄なもの (3) 存在しない (2) わからないもの (2). 反省(3) 試練 (3). 考え方を変え る機会 (3). 間違い (9). 後悔 (9). 教訓(8). 心の傷 (6) ・悩み. ・決して間違いではない 思い通りに ならない (6) ・成功している人 がうらやましい. 受け入れたくないもの (5). 存在に関わるもの (5) ・生まれてきたこと 死ぬこと (3). いらいら (3) ・この場にいること. ネガティブ感情の引き金 (61). 図2 中学生の失敗に関する記述を先行研究に基づき整理した結果. 178. 成功への道 (15) 成長の機会 (18). 経験 (11). ・悲しい 後悔すること(25). 成功のもと (28). やる気のもと (8) 次につながる もの (20).
(6) 中学生における失敗に対する価値観についての検討. 表1 中学生及び大学生・大学院生の失敗に対する価値観における各群のクロス表. 中学生. 否定群. 中間群. 肯定群. 回答数(割合). 94(37.3%). 30(11.9%). 128(50.8%). 期待値. 108.3. 42.4. 100.8. 調整標準化残差 大学生・大学院生. -2.7. **. **. 4.9**. -3.0. 回答数(割合). 124(49.0%). 55(21.7%). 74(31.5%). 期待値. 109.2. 42.6. 101.2. **. **. -4.9**. 調整標準化残差. 2.7. 3.0. χ2(2). 25.9**. χ2検定及び残差分析,**p<.01,*p<.05. 較を行った。そのため,中学生及び大学生・大学. 中で現実を知り,これまで抱いていた失敗に対す. 院生における, 「否定群」,「中間群」,「肯定群」. る根拠のない肯定的な価値観が他のカテゴリーへ. 2. の各度数(回答数)について,χ 検定及び残差. と再配置されたのではないかと考えられる。. 分析を行った。その際,中学生及び大学生・大学. 8) と 失敗は,学習と成長に繫がる(Sitkin, 1992). 院生の各回答(各記述)において,「起こしたく. する肯定的な捉えがある一方で,動機付けの低下. ないこと」 , 「ネガティブ感情の引き金」の2つの. 9) 10) や無力感(Seligman, 1972) (Dweck et.al, 1973). 大カテゴリーを否定群, 「学習の機会」の大カテ. を引き起こす危険性も指摘されている。特に動機. ゴリーを肯定群,それ以外の否定とも肯定とも言. 付けについては,学習を支える重要な要素である。. えないものは全て中間群とした。表1に,中学生. 失敗を教訓として帰納し,学習を促進させるため. 及び大学生・大学院生の失敗に対する価値観にお. には,失敗を肯定的に捉える価値観を持つことが. ける各群のクロス表を示す。. 重要な位置を占めると考えられる。それらを踏ま. 表1より,中学生は大学生・大学院生に比べ,. えると,本研究において中学生の大半(50.8%). 否定群は有意に少ない結果となった。中間群にお. が失敗に対して肯定的な価値観を有していたこと. いても同様であった。一方,肯定群については,. は,教育学的に見て良い傾向が確認出来たのでは. 大学生・大学院生に比べ有意に多い結果となっ. ないかと考えられる。しかし,否定群や今後どの. た。この結果から,中学生は大学生・大学院生に. ように変容するかわからない不安定な中間群も存. 比べ,失敗を肯定的に捉える傾向が高いというこ. 在しているため,教育現場では出現する児童・生. とが示唆された。. 徒の失敗に対して個々に応じた適切な支援が求め. これらの理由としては,いくつかの原因が予想. られる。. される。まず,考えられるのは,「失敗は成功の もと」 という言葉(あるいはそれに類似した言葉) が教育の中で多用されていることである。学校教. 5.まとめ. 育や家庭教育の中では,生徒が失敗しないように. 本稿では,中学生の失敗に対してどのような価. 適切な支援が行なわれている。また,たとえ失敗. 値観を持っているかを検討するため,アンケート. しても, 「失敗は成功のもと」という言葉とともに,. から得られた中学生の失敗に関する価値観を先行. それらを乗り越えさせるための教育的支援が行わ. 研究に基づいて分類した。そして,先行研究で示. れ,失敗に対する肯定的な価値付けが行われてい. されている大学生・大学院生の傾向と比較しなが. ることが予想される。. ら,中学生における失敗に関する価値観について. 一方,大学生・大学院生は,中学生に比べ周り. 検討した。その結果,以下の知見が得られた。. からの支援が少なくなる。様々な失敗に直面する. 1) 「起こしたくないこと」,「ネガティブ感情の. 179.
(7) 藤川 聡・前迫 孝憲・水上 丈実. 引き金」 , 「学習の機会」といった 3つの大 きなカテゴリーが得られた。 2)大学生・大学院生と比べて,どのカテゴリー にも位置付づけられない曖昧で解釈が困難な. go.jp/b_menu/singi/chousa/gijyutu/001/tousin/010801. html(2013年1月1日最終閲覧) 2)市川伸一:実践的認知研究としての「認知カウンセ リング」,箱田裕司編:認知科学のフロンティアⅠ,サ イエンス社,pp.158-159(1991). 回答が多く見られた。その理由として,中学. 3)畑村洋太郎:失敗学の法則,文春文庫,p.10(2008). 生は思考が未発達・未分化であり失敗の価値. 4)畑村洋太郎:失敗学のすすめ,講談社文庫,pp.65-. 観を適切に表現できないことが推察された。 3)χ2検定及び残差分析の結果,大学生・大学. 90 5)畑村洋太郎:失敗学実践講義-だから失敗は繰り返 される,講談社,pp.65-90(2006)文部科学省,2008,. 院生と比べ,失敗を肯定的に捉える傾向が有. 小学校学習指導要領解説総則編,p.1,東洋館出版社. 意に高いという結果が得られた。その理由と. 6)三沢良・池田浩・西元久雄・阿部真理:失敗に関す. して,義務教育の中では失敗に対する支援と. る価値観についての検討,日本心理学会第70回大会発 表論文集,p.99(2006). 肯定的な価値付けが行われているケースが多. 7)前掲6). いことなどが推察された。. 8)Sitkin, S.B. : Learning through failue: The Strategy. 以上により,中学生に着目し,失敗に対する価 値観について全体的な傾向が把握できたと考えて いる。しかしながら,本研究においては課題と限. of small losses. In B.M. Staw & L.L. Cummings (Eds.), Research in organizational behavior. Vol.14 (pp.231266). Greenwich, Ct: JAI Press. (1992) 9)Dweck, C,S., & Reppucci, N.D. (1973). Learned. 界が存在する。以下にそれらをまとめる。. helplessness and reinforcement responsibility in. 本研究では, 失敗に対する価値観を調べるため,. children. Journal of Personality and Scocial. 文章完成法により回答を求めた。その際,得られ た記述の中には,質問の意図と無関係な記述が多. Psychology, 25, 109-116 (1973) 10)Seligman, M.E.P. : Learned helplessness. Annual Review of Medicine, 23, 407-412 (1972). く見られた。それらのほとんどは,「テストで悪 い点数をとった」,「野球でエラーした」など,失 敗に対する価値観ではなく,自身の失敗体験を述. 謝 辞. べているものであった。 「価値観」の意味が理解. 本研究では,旭川市立緑が丘中学校の中島圭介先生,. できていない可能性もあるため,今後同様の調査. 小平町立小平中学校の鴻上優美先生には,中学生の失敗. をする場合は, 質問の語彙を工夫する必要がある。 また,本研究では,先行研究による分類とχ2検. に対する価値観を考察するにあたり有益な示唆をいただ きました。また,平谷祐人氏と木野克哉氏(当時,北海 道教育大学大学院院生)には,データの分析などにご協. 定及び残差分析を用いたクロス表により,全体的. 力いただきました。この場を借りてお礼申し上げます。. な傾向を読みとった。しかし,中学生における失. 本稿は,JSPS科研費26381168の助成を受けたものです。. 敗に対する価値観の個人差を特定するためには, それらを測定する尺度が必要となる。今後は,本 稿で得られた知見を基に,中学生における適切な 失敗観尺度についての検討を進め,中学生の失敗 に対する価値観やそれらが学習に及ぼす影響につ いて明らかにしたい。. 参考文献 1)文部科学省:知識活用研究会報告書-失敗経験の積 極的活用のために(2001年8月10日) ,http://www.next.. 180. (藤川 聡 旭川校准教授) (前迫 孝憲 大阪大学教授) (水上 丈実 旭川校教授) .
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