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国際標準の学力と質的向上をめざすパラグアイの教育改革

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国際標準の学力と質的向上をめざすパラグアイの教育改革

牛 田 千 鶴

はじめに  南米大陸のほぼ中央に位置するパラグアイは,約 41 万平方キロメートルの面積を有する,人口 700 万人ほどの国である。日本の面積よりも少し広い国土に,愛知県の人口にも満たない人々が 居住していることになる。世界銀行による 2019 年の一人当たり GDP は 5,414.8 ドルで,ラテンア メリカ地域の中ではハイチ,ニカラグア,ホンジュラス,エルサルバドルに次いで低かった1)。ま

た,国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(CEPAL: Comisión Económica para América Latina y el Caribe)2) の資料[CEPAL 2019: 42]によると,パラグアイの 2018 年のジニ係数3)は 0.474 であっ た。0.500 が「深刻な所得格差が存在するとされる数値基準」であることからすれば,ラテンアメ リカ地域の他の多くの国々同様,依然として格差社会であり続けていることが見て取れるが,2002 年の数値が 0.584 であったことを考えれば,徐々に改善されてきていることも窺われる。  パラグアイ政府は 2014 年,政令(Decreto N°2794)によって「国家開発計画“パラグアイ 2030”」(Plan Nacional de Desarrollo “Paraguay 2030”)を策定し,①貧困削減と社会開発,②包摂 的な経済成長,③国際社会へのパラグアイの責任ある参画,の 3 つをその戦略的行動計画の主軸 とした。言うまでもなくこの“パラグアイ 2030”は,2030 年までに国際社会が協力して取り組む べき共通の課題を 17 の目標として掲げた「持続可能な開発目標」(SDGs: Sustainable Development Goals)に呼応して策定されたものである。SDGs は,「国連ミレニアム宣言」(2000 年採択)を基 にまとめられた「ミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)」(2001 年策定) が 2015 年に達成目標年を迎えたため,その後継的位置づけにより,2015 年の国連サミットで採 択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」(2030 Agenda for Sustainable Development) に盛り込まれたものである。

 “パラグアイ 2030”は,SDGs の掲げる 17 の目標のうち,とりわけ貧困撲滅に関する目標 1 と,すべ

ての人々への公平で質の高い教育の提供を求める目標 4 に重きを置いた内容となっている4)。本稿ではま

1) キューバとベネズエラを除く,ラテンアメリカ域内 19 カ国 1 地域の中での順位である。(The World Bank, https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.CD?locations=ZJ, 最終閲覧日 2020 年 9 月 27 日)

2) 英語名称は Economic Commission for Latin America and the Caribbean(ECLAC)。

3) 0 から 1 の範囲で格差状況を表す指標で,完全に平等な所得分配ができている状態を 0 と想定し,1 に近いほど その社会の所得分配格差が大きいことを示す。

4) 「 国 家 開 発 計 画“ パ ラ グ ア イ 2030”」 の 詳 細 は,48 ペ ー ジ に 及 ぶ 政 府 発 行 文 書 Plan Nacional de Desarrollo Paraguay 2030 において確認できる。

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ず,国際学力調査の結果を基にパラグアイの教育状況について確認した後,1990 年代以降継続的に取 り組まれてきたパラグアイの教育改革政策の特色に触れ,その成果と残された課題について考察する。  本稿のテーマに関連した先行研究としては,国際機関によるものが大半を占めている。国際機 関が公刊してきた資料の中には,実態を数値的に示すことを目的とした「報告書」としての位置 づけに留まっているものも散見されるが,CEPAL[2019]や OECD[2018a; 2018b],OREALC/ UNESCO Santiago[2014]等,複数の学術分野の専門家らによる分析が加えられた調査研究の 成果も蓄積されてきている。パラグアイ独自の教育改革政策については,Fernández[2018]や Glavinich[2018]らによる研究論文が発表されてはいるものの,文献数全体としては,国際的に みてもまだ充分とは言えない状況にある。そのため本稿では,限られた先行研究を踏まえつつも, パラグアイ政府発行の一次資料を中心に参照している。 1.学力調査に観るパラグアイの教育状況 ラテンアメリカ域内の学力調査  国際的な学力調査としては,経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査 PISA(Programme for International Student Assessment)5)

や,国際教育到達度評価学会(IEA: International Association for the Evaluation of Educational Achievement)による国際数学(算数)・理科教育調査(TIMSS: Trends in International Mathematics and Science Study)6)

がよく知られているが,ラテンアメリ カ地域では,「域内比較分析調査(Estudio Regional Comparativo y Explicativo)」と称する独自の 学力調査も実施されてきている。UNESCO ラテンアメリカ・カリブ海地域事務所(OREALC/ UNESCO Santiago: Oficina Regional de Educación para América Latina y el Caribe)の域内事業の一 環として,「教育の質的評価のためのラテンアメリカ研究所(LLECE: Laboratorio Latinoamericano de Evaluación de la Calidad de la Educación)」により運営されてきた学力調査である。LLECE とは, 域内 15 カ国の参加を得て 1994 年に設立された連携機関であり,本調査は,ラテンアメリカ地域の 教育制度の質的評価を行うことで各国の将来的な教育改革に資することを目的とする。すなわち, 教育水準の実態を域内他国との比較において把握した上で,取り組むべき課題を抽出し,成果を上 げている他国の実践を参考にしながら,自国の教育改革政策の具体化につなげていく,ということ こそが,調査の最大の狙いである。同調査が,学力水準の確認に加え,児童や保護者,学校関係者 (教員・校長等)にそれぞれアンケートを実施し7),教育状況の実態をより多角的,総合的に把握し 5) 15 歳生徒を対象に,2000 年(32 カ国が参加)より 3 年毎に実施され,7 回目となる 2018 年には 79 の国と地域 が参加した。ラテンアメリカ地域においては,アルゼンチン(首都ブエノスアイレス =CABA: Ciudad Autónoma de Buenos Aires のみ),ブラジル,チリ,コロンビア,コスタリカ,メキシコ,ペルー,ドミニカ共和国,ウルグア イの 9 つの国・地域で実施された。 6) 小・中学生(第 4 学年と第 8 学年/日本では小学 4 年生と中学 2 年生)を対象に,1995 年(41 の国と地域が参加) 以降,4 年に一度の頻度で実施されている。7 回目となる 2019 年の調査には,64 の国と地域が参加した。ラテン アメリカからは過去に,アルゼンチン,チリ,コロンビア,エルサルバドル,メキシコの参加実績がある。 7) 子どもたちに対しては,教科書や問題集等の入手状況や学校内外での活動状況,クラスメイトや教員との関係性 等について,保護者に対しては,家庭内での教育環境(本の有無や学習支援への関与)や子どもの通学・家庭学習 状況,勉学向上面での子どもたちへの期待の度合い等について,学校関係者に対しては,職務内容や校内の雰囲気・ 設備状況等について確認された[OREALC/UNESCO Santiago−LLECE 2016: 13]。

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ようとしている理由も,そこにある。  参加各国の教育省や評価機関,大学,専門家らの協力の下,LLECE は初等教育の現状把握と質的 向上に向け,これまで四度,学力調査を行っている。その 3 回目である TERCE は,2013 年に実施 され,域内 15 カ国と 1 州の 3,000 以上の小学校から,約 19 万 5,800 人の児童(3 年生・6 年生)が 参加した。1 回目(PERCE)は 1997 年に 13 カ国(児童約 55,000 人)が,また 2 回目(SERCE)は 2006 年に 16 カ国と 1 州(児童約 19 万 6,000 人)が参加して実施された8) 。2019 年にも 18 カ国の参 加を得て 4 回目(ERCE)が既に実施されているが,評価対象となった児童数や得点の集計等,調 査結果は 2021 年に公表される予定である。各回調査に参加した国・地域の詳細は表 1 の通りである。 表 1 ラテンアメリカ域内学力調査に参加した国・地域 各調査略称 実施年 参加国・地域数 参加国・地域名 PERCE(第 1 回) 1997 年 13 カ国 アルゼンチン,ボリビア,ブラジル,チリ,コロンビ ア,コスタリカ,キューバ,ホンジュラス,メキシコ, パラグアイ,ペルー,ドミニカ共和国,ベネズエラ SERCE(第 2 回) 2006 年 16 カ国・1 州 アルゼンチン,ブラジル,チリ,コロンビア,コスタリカ, キューバ,エクアドル,エルサルバドル,グァテマラ, メキシコ,ニカラグア,パナマ,パラグアイ,ペルー, ドミニカ共和国,ウルグアイ,ヌエボレオン州(メキ シコ) TERCE(第 3 回) 2013 年 15 カ国・1 州 アルゼンチン,ブラジル,チリ,コロンビア,コスタ リカ,エクアドル,グァテマラ,ホンジュラス,メキ シコ,ニカラグア,パナマ,パラグアイ,ペルー,ド ミニカ共和国,ウルグアイ,ヌエボレオン州(メキシコ) ERCE(第 4 回) 2019 年 18 カ国 アルゼンチン,ボリビア,ブラジル,チリ,コロンビ ア,コスタリカ,キューバ,エクアドル,エルサルバ ドル,グァテマラ,ホンジュラス,メキシコ,ニカラ グア,パナマ,パラグアイ,ペルー,ドミニカ共和国, ウルグアイ

(出所)OREALC/UNESCO Santiago の公式 Web ページで公表されている情報による。

 既に報告・分析がなされている調査結果としては,TERCE のものが最新となるため,本稿では その内容に依拠し,域内他国との比較の視点に基づきながら,パラグアイの教育状況を探ることと する。パラグアイは,過去 4 回実施されたラテンアメリカ域内学力調査のすべてに参加している。 TERCE には,3 年生が言語(読解・作文)と算数の各試験に 3,123 ∼ 3,274 人,6 年生が言語(読解・ 作文),算数,理科の各試験に 3,175 ∼ 3,231 人が参加した[OREALC/UNESCO Santiago−LLECE 2015: 6]。表 2 は TERCE の科目別相対評価状況を示す一覧であるが,パラグアイは,ホンジュラ スおよびドミニカ共和国とともに,すべての科目・学年において,子どもたちの学習達成度がラテ ンアメリカ域内平均を下回る結果となった。

8) 参加した学校数・児童数等は,OREALC/UNESCO Santiago が公式 Web ページおよび調査報告書[2014: 54]に て公表するデータによる。

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 ラテンアメリカ地域の多くの国々同様,パラグアイにおいても,児童労働に従事している子ども たちや留年経験者,あるいは条件付現金給付プログラム9)の対象となっている家庭の子どもたち等 については,そうでない子どもたちよりも学習到達度は低かった。先住民児童の学習到達度につい ても,非先住民児童と比べ低い傾向が示された[OREALC/UNESCO Santiago−LLECE 2016: 56― 57, 76―79, 82―83]。  TERCE では,各試験の得点に応じ,科目毎に I から IV までのレベルで学習到達度が示されている。 3 年生の算数を例にとれば,習熟度レベル I で求められる能力は,「数字を昇順・降順に並べたり, 数量を比較したりすることができる」「基礎的な幾何学図形を識別できる」「特定の規則性のもとに 並べられた図形や数列の空欄部分に入る形や数がわかる」「表やグラフに示されたデータの意味を 9) 子どもの就学支援や健康管理を抱き合わせた社会福祉政策として,ラテンアメリカ地域で始まったプログラムであ る。子どもの通学や定期的な健康診断・予防接種等を要件として,貧困家庭に最低限の生活を保障すべく直接現金 が支給される。子どもが児童労働等で家計を助ける必要なく学校に通え,心身ともに健康で成長できるよう促し,将 来に向けた人的資本(human capital)の形成につなげようとするものであり,現在では世界各地で導入されている。 表 2 TERCE 域内平均点を基準とした科目別相対評価状況 科目 学年 域内平均点を下回る国々 域内平均点相当の国々 域内平均点を上回る国々 言 語 読解 3 年生 グァテマラ・ホンジュラス・ ニカラグア・パナマ・パラ グアイ・ドミニカ共和国 アルゼンチン・ブラジル・ コロンビア・エクアドル チリ・コスタリカ・メキシ コ・ペルー・ウルグアイ・ ヌエボレオン州 6 年生 エクアドル・グァテマラ・ ホンジュラス・ニカラグア・ パナマ・パラグアイ・ドミ ニカ共和国 アルゼンチン・ペルー ブラジル・チリ・コロンビ ア・コスタリカ・メキシコ・ ウルグアイ・ヌエボレオン 州 作文 3 年生 グァテマラ・ホンジュラス・ ニカラグア・パラグアイ・ ドミニカ共和国 ブラジル・コロンビア・エ クアドル・パナマ・ヌエボ レオン州 アルゼンチン・チリ・コス タリカ・メキシコ・ペルー・ ウルグアイ 6 年生 コロンビア・エクアドル・ ホンジュラス・パラグアイ・ ドミニカ共和国 ブラジル・ニカラグア・パ ナマ・ペルー・ウルグアイ アルゼンチン・チリ・コス タリカ・グァテマラ・メキ シコ・ヌエボレオン州 算 数 3 年生 グァテマラ・ホンジュラス・ ニカラグア・パナマ・パラ グアイ・ドミニカ共和国 コロンビア・エクアドル アルゼンチン・ブラジル・ チリ・コスタリカ・メキシ コ・ペルー・ウルグアイ・ ヌエボレオン州 6 年生 グァテマラ・ホンジュラス・ ニカラグア・パナマ・パラ グアイ・ドミニカ共和国 ブラジル・コロンビア・エ クアドル アルゼンチン・チリ・コス タリカ・メキシコ・ペルー・ ウルグアイ・ヌエボレオン 州 理 科 6 年生 グァテマラ・ホンジュラス・ ニカラグア・パナマ・パラ グアイ・ドミニカ共和国 アルゼンチン・ブラジル・ エクアドル・ペルー チリ・コロンビア・コスタ リカ・メキシコ・ウルグア イ・ヌエボレオン州 (出所)OREALC/UNESCO Santiago−LLECE[2015: 3]

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読み取ることができる」等である。一方,最も高い水準 IV については,「数字を用いたより複雑な 問題を解くことができる」「比や単位換算を組み込んだ問題を解くことができる」「立体の展開図や 幾何学図形を用いたより複雑な問題を解くことができる」等となっている。

 TERCE の結果によると,パラグアイでは,3 年生の算数の試験で習熟度レベル I の学力である と評価された児童は 66.5%に上り,II が 17.1%,III が 12.6%,IV が 3.8% であった。6 年生の算数 についても同様で,習熟度レベル I が 69.3%,II・III・IV はそれぞれ 24.8%,5.1%,0.8%であった。 6 年生の習熟度レベル IV に求められる能力は,「自然数・分数・少数・割合等の計算を含むより複 雑な問題を解くことができる」「図形の周りの長さや多角形の面積・角度等の計算を含むより複雑 な問題を解くことができる」「単位換算を要する問題を解くことができる」「より複雑な表やグラフ のデータ解釈を要する問題を解くことができる」等である。パラグアイでこの水準に達していたの は,調査に参加した 6 年生児童のうちの,1%にも満たなかったということになる。いずれにして もパラグアイでは,3 年生・6 年生とも,7 割近い子どもたちが,算数の学習達成度が基礎的な段 階に留まっていることが示されたのである。このほか,理科についても,6 割近い子どもたちが習 熟度レベル I という結果であった[OREALC/UNESCO Santiago−LLECE 2015: 59―71, 87]。 開発のための PISA  パラグアイは 2017 年に,OECD・世界銀行・UNESCO により実施された「開発のための PISA (PISA-D: PISA for Development)」にも参加している。PISA-D は,学習到達度調査によるエビデン スに基づき,必要な教育改革政策を各国が策定・施行できるよう支援するための国際教育協力の試 みでもあり,パラグアイからは,全国で選定された 205 校より,約 5,000 人の生徒(15 歳),205 人の校長および約 2,000 人の教員が参加した[UNESCO 2018: 98]10)。PISA-D では,紙媒体での筆記 試験(選択式・記述式の混合形式)による学力調査とともに,生徒自身や教員・校長へのアンケー ト調査も実施され,パラグアイについては次のような状況が明らかとなった。  読解力・数学・理科いずれの試験についても平均値は習熟度レベル 111)に相当し,SDGs が求め る最低限の水準である習熟度レベル 2 以上に達していたパラグアイの生徒は,読解力では 32.2%, 数学では 8.3%に留まった[OECD 2018a: 5―7]。PISA-D に参加したのは学校に通学できている生徒 に限られるため,中等教育の純就学率(2015 年データ)が 80%ほどであったことからすれば[OECD 2018b: Gráfico 4.1],国内の 15 歳生徒の平均的学力はさらに低くなるであろうことが窺われる。  読解力を養うには,小学校からの学習の積み上げや活字に触れる機会の確保が不可欠である。数 学や理科についても,基礎的な学力が備わっていなければ,応用分野の学習内容が理解できるはず もない。PISA-D は 15 歳生徒を対象とする学力調査ではあるが,その結果が求めるのは,初等教育 をも含む抜本的な改革であり,国全体での学力の底上げにほかならない。  他方,PISA-D に伴い実施されたアンケート調査で,試験日までの 2 週間において一日以上欠席 したことがあると答えたのは,パラグアイの受験生徒の半数以上に上り,PISA-D 参加 7 カ国のう 10)PISA-D は,計 7 カ国を対象として実施され,ラテンアメリカ地域からは,パラグアイに加え,エクアドル,グァ テマラ,ホンジュラスが参加した。他の 3 国は,カンボジア,セネガル,ザンビアであった。

11)PISA-D においても通常の PISA 同様,習熟度レベル 6 を最も高い評価水準として設定しているが,PISA が最低レ ベルの 1 を 2 段階(1a・1b)に分けて計 7 段階で評価するのに対し,PISA-D では 1b よりさらに低い 1c を加え, 計 8 段階で読解力,数学,理科の各分野の学力状況を確認している。パラグアイにおける平均的学力については, 読解力と理科が 1a,数学が 1b であることが示された。

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ちでは最多であった。過去に 3 か月を超える欠席経験のある生徒も 17%(ほぼ 6 人にひとり)に上っ た。加えて,教員の 30%以上が教員養成課程を修了しておらず,教員の 3 人にひとりが,教育と は関係のない他の仕事にも従事していた[OECD 2018a: 12―14]。  パラグアイの教育状況は,国際社会が協力して取り組むべき共通目標として 2015 年に策定され た SDGs の 17 の目標のうちの一つである,「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供 し,生涯学習の機会を促進する」という目標 4 の達成にはいまだ程遠い段階にあることを,上記学 力調査の結果は示唆している。目標 4 には,2020 年ないし 2030 年までに実現すべき具体的な課題 として,「自由かつ公平で質の高い初等教育および中等教育を修了できるようにする」(4.1),「教 育におけるジェンダー格差を無くし,障害者,先住民および脆弱な立場にある子どもなど,脆弱層 があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする」(4.5),「持続可能な開発 と持続可能なライフスタイル,人権,ジェンダー平等,平和と非暴力の文化,グローバル市民,お よび文化的多様性と文化が持続可能な開発にもたらす貢献の理解などの教育を通じて,すべての学 習者が持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するようにする」(4.7),「国際協力な どを通じて,資格を持つ教員の数を大幅に増加させる」(4.c)等,10 項目が掲げられている12)。  TERCE や PISA-D の結果を見る限り,こうした課題の一つ一つにおいても,パラグアイ政府の 取組がいまだ功を奏しているとは言い難い状況ではあるが,同国のよりよい未来のために,そして 国際社会の責任ある一構成員として,同国政府が取り組んできた教育改革政策について,次節では とりあげる。 2.国家戦略としての基礎教育改革 1992 年憲法公布と教育改革の始動  パラグアイでは,1992 年に新憲法が公布され,教育に関連した条文内容としては,全人的かつ 生涯にわたっての永続的な教育権の保障(第 73 条),貧困家庭の児童・生徒への国による栄養補給 プログラムの推進や学用品の支給(第 75 条),経済的困窮度を優先的選考基準とする奨学金その他 の支援に関す法的・組織的整備(第 80 条),国家予算の 20%以上の教育予算への配分(第 85 条) 等が謳われた。パラグアイでは,国民の 77%がグァラニー語を日常的に話し(2012 年国勢調査), 非先住民人口にも同言語の話者が広く存在するという,ラテンアメリカ域内でも特異な社会状況が 存在する。パラグアイが複文化・二言語国家(país pluricultural y bilingüe)であることを明記した 1992 年憲法では,スペイン語とグァラニー語を同国の正式な公用語とすることが定められている (第 140 条)。二言語教育の実施も義務付けられ,初等教育開始時には,児童の母語に応じてふたつ の公用語のいずれかで授業を受ける権利が保障された(第 77 条)。  同憲法では,教育課程における先住民文化の尊重(第 66 条)が掲げられてはいるものの,グァ ラニー語以外の先住民言語を母語とする児童であっても,日常的な授業言語としては,スペイン語 かグァラニー語のいずれかを選ばなければならない。新憲法公布 2 年後の 1994 年には,スペイン 語とグァラニー語のいずれかを主たる授業言語としつつ,もう一方の言語についても学び,両言語 12)グローバル・ネットワーク・ジャパンが公式 Web ページ(http://ungcjn.org/sdgs/goals/goal04.html, 最終閲覧日 2020 年 9 月 12 日)で紹介する日本語訳による。

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の運用能力の向上をめざすという,二言語教育計画(Plan de Educación Bilingüe)が始動した。そ れは,他のラテンアメリカ諸国でしばしば実施されてきた,先住民児童のみを対象とする,スペイ ン語単一教育への移行のための過渡的措置としてではなく,スペイン語母語話者をも含む初等教育 課程の全児童を対象に展開された,域内でも極めて特異な二言語教育計画であった。

 パラグアイ政府は法令(Ley N°258)によって 1994 年を「教育改革の年」と位置づけ,教育文 化省(当時/ MEC: Ministerio de Educación y Cultura)に戦略的教育改革計画の策定と実行を委ね ることとなった。国際的教育協力潮流の流れを汲んで,パラグアイの教育改革においても,基礎教 育の完全普及が最優先課題に掲げられた。1998 年には教育基本法(Ley General de Educación)が 制定され,義務教育年限を 6 年(6―12 歳)から 9 年(6―15 歳)に延長するとともに,落第制度も 廃止した。また同法においては,実質的かつ平等な教育機会を全国民に対し提供することが国家の

責務であることも,改めて謳われた(第 4 条)13)。

戦略的教育改革計画 “パラグアイ 2020”

 1996 年に施行された「戦略的教育改革計画 “パラグアイ 2020”」(Plan Estratégico de la Reforma Educativa “Paraguay 2020”)においては,基礎教育を中心に,就学前教育から高等教育までの各課 程における教育の質的向上や,教員養成の充実化に向けた改善等が求められた。具体的な取組の 中には,識字教育の実施や不就学児童・生徒のための特別支援プログラムの策定等も含まれてい た[MEC 2020: 3―4]。また,15 歳から 50 歳までのすべての住民が,教育によって身につけた倫理 的判断力に基づいて行動し,創造的で問題解決能力も備え,多文化社会の構成員であるとの自覚の 下,協調性をもって集団の中で能率よく仕事をすることができること等を,2020 年までに達成す べき目標に掲げた。基礎的な数学的知識・技能を習得することに加え,言語運用能力についても, スペイン語とグァラニー語の両方で不自由なく意思疎通ができ,読解や作文もできるようにするこ とが目標とされた。教育機会の平等のための一助として,学用品セットの無料配布も展開された。 2007 年の開始当初は,公立学校の 50%の児童・生徒に届けられるに留まっていたが,2010 年以降 は公立学校の 100%,補助金を受けている私立学校の 75%の児童・生徒がその恩恵に与っている [Fernández 2018: 83―87]。  2008 年に “パラグアイ 2020” は更新されたが,その前年より,教育文化省と教育文化全国委員会 (CONEC: Consejo Nacional de Educación y Cultura)は共同で,1996 年からそれまでの取組成果を 振り返るとともに,目標達成年までの残る 10 年以上の期間にどのような課題を重点的に解決して いかなければならないのかを確認するため,現状分析を兼ねた中間調査を行った。パラグアイの教 育制度に関する外部評価を依頼された米州開発銀行(IDB)は,199 の教育機関の校長や教員,児童・ 生徒,保護者らにアンケート調査を実施するとともに,政治家や教会関係者,労働団体や経営者協 会の代表,報道関係者,教育専門家等,60 名に面談形式でじっくりと意見や見解を探るインタビュー 調査を行った。教育文化省も独自の全国相談会を開催し,19,000 人以上の関係者・当事者らと直接 会って,2020 年までにパラグアイの教育がめざすべき方向性について,意見聴取を行った。また, 教育文化全国委員会が主催した対話会合には,国立・私立大学の代表者を含む教育関係者,国や地 方自治体の代表者,経済界・教会関係者等,380 名もの人々が参加した。さらに,教育文化省・教 育文化全国委員会共催の教育戦略検討会議には,教育文化大臣・副大臣,教育分野の専門家や指導 13)パラグアイの教育基本法については,[江原・田島・新木 2001: 1―50]にてその全訳が紹介されている。

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者,プログラム・コーディネーターら 45 名が参加した[MEC/CONEC 2008: 8―10]。“パラグアイ 2020” 更新版は,こうして,全国各地の関係者や当事者,および多様な社会を構成する各分野の代 表者,専門家らの意見を基にまとめられたものである。  “パラグアイ 2020” 更新版において強調されたことは,低所得者層への支援に重点を置いた就学 状況の改善であり,確かな国民意識と倫理観・批判的精神を備え,自律的で思慮深く,創造性や競 争力のある公民を育むための全人教育の実践,そして,スペイン語とグァラニー語での二言語併用 と言語文化的多様性に配慮したカリキュラムの継続的改善であった。教員養成機関の質保証を含 む教員養成課程の改善,および教員の待遇等の改善についても,引き続きの課題とされた[MEC/ CONEC 2008: 18―22]。加えて,表 3 に示す通り,将来的に達成すべき数値目標も具体的に示された。 表 3 “パラグアイ 2020” 更新版による関連指標と達成目標 指標 2006 年:実績 2013 年:目標 2020 年:目標 基礎教育課程入学率(小学 1 年入学率) 67% 80% 95% 基礎教育課程修了率(中学卒業率) 42% 62% 72% 国家予算に占める教育文化省予算の割合 19% 25% 30% (出所)MEC/CONEC[2008: 25―27]より抜粋し筆者作成  “パラグアイ 2020” 更新版で示された数値目標の達成状況については,たとえば基礎教育課程入 学率の場合,2013 年には 65%に留まり目標の 80%には至らなかったものの,2016 年には 90%に 達し,順調に改善されていることが確認できる14)。基礎教育課程修了率についても,2013 年には 57%,2015 年には 61%[Glavinich 2018: 224]と徐々に増加し状況は改善されてきているものの, 当初の予定よりも 2 年以上遅れての目標達成ペースであることが見て取れる。国家予算に占める教 育文化省予算の割合もまた,2013 年には 2006 年以降最低の 14%に落ち込み,2017 年においても 16%に回復したに過ぎず[Juntos por la Educación 2019: 53],目標達成には程遠い予算状況であっ たことが窺われる。

国家教育計画 2024

 教育文化省は,2008 年に更新された「戦略的教育改革計画 “パラグアイ 2020”」を基に,翌 2009 年には,25 年後を見据えた教育ビジョン「国家教育計画 2024」(Plan Nacional de Educación) を策 定した。同計画には,教育は公共善(bien público)であり,すべての人々の生涯にわたっての基 本的権利であることが謳われ,平等な就学機会の保障や教育の質保証,さらには,国と地方との連 携の下での,幅広い人々の参加による実効性のある教育政策の推進が,教育改革の主要課題として 掲げられた。「国家教育計画 2024」は,パラグアイ政府による「国家開発計画“パラグアイ 2030”」 と共同歩調をとる教育面での具体的改革計画である。“パラグアイ 2030”は前述の通り,SDGs(お よびそれ以前の MDGs),すなわち 2030 年までに国際社会が一致団結して達成すべき目標課題の

14)2013 年のデータについては,首都アスンシオン市にある市民教育研究所(Observatorio Educativo Ciudadano)の 公式 Web ページを,また 2016 年のデータについては UNICEF とパラグアイ統計・調査・国勢調査総局の報告書 [UNICEF/DGEEC 2016: 22]を,それぞれ参照した。

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実現のため,「貧困削減と社会開発」を戦略の柱の一つに位置づけ,パラグアイ政府が策定したも のである。  「国家教育計画 2024」においては,パラグアイの教育改革が,世界的教育潮流の中に位置づけ られるべきことも確認された。教育文化省の組織的強化も重視され,国連機関や米州機構,南米 共同市場(Mercosur)等に関わる教育関連会議や国際的な教育大臣会合等への参加を通じて,同 省が教育に関する世界的課題の解決に積極的に取り組んでいくことが表明された。2015 年には, UNESCO(国連教育科学文化機関),UNICEF(国連児童基金),UNDP(国連開発計画),UNFPA (国連人口基金),世界銀行などの共催により,インチョン(韓国)で開催された世界教育フォー ラムにも,ラフエンテ(Marta Lafuente)教育文化大臣(当時)が出席した。世界 160 カ国以上か ら 1,600 名以上(120 名以上の各国教育大臣を含む)が参加した同フォーラムでは,「教育 2030」 (Education 2030)が採択され,初等教育の完全普及や成人識字率の向上,教育における男女間格

差の解消等をめざす「万人のための教育」(Education for all)15)の実現,ならびにすべての人への公

平で質の高い教育の保障が盛り込まれた SDGs の課題達成に向け,世界各国が一丸となって取り組 むことが宣言された。パラグアイ教育文化省は,こうした世界的な教育協力の潮流に即して自国の 教育改革に注力していくことを,国際社会に約束したのである。  ラフエンテ大臣は 2015 年に,国内大手紙のインタビュー記事において,「1994 年以来取り組ま れてきたパラグアイの教育改革は,新たに 120 万人もの子どもたちが学校に通うことを可能にした 一方で,教育の質の向上については大きな欠陥を伴うものであった」旨の指摘をしている16)。大臣 はまた,児童・生徒の学習到達度評価の実施や学校での ICT の活用,現職教師の研修等の重要性 を改めて強調した。  教育の質的向上に直接貢献するのは言うまでもなく,現場の教員である。教員養成課程の充実 はもとより,より効果的な教育方法や学習支援の在り方を学ぶための継続的な研修参加も求められ る。教員一人ひとりのモティベーションを低下させず,生きがいをもって職務にいそしんでもらう ためには,相応の給与と社会的評価も重要である。パラグアイの小学校教員の平均年間所得は 6,166 ドル(2017 年当時)で,アルゼンチンやブラジル,チリ,ペルーといった周辺諸国と比較しても 最低の額であり,米国の小学校教員の平均年収と比べれば,実に 10 分の 1 以下である17)。教員労働 組合と政府―カルテス(Horacio Cartes)前政権(2013―2018 年)―との間では,2019 年から 2021 年にかけて毎年 16%ずつのベースアップを行うことで合意がなされているが,全国の公立校に勤 める約 8 万人の教員の給与引き上げにかかる予算は年間 1 億 2,000 万ドルほどとなり,財政難を理 由に反故にされ続けてきている。先に触れた通り,PISA-D の調査で明らかになったのは,パラグ 15)1990 年にジョムティエン(タイ)で開催された「万人のための教育」世界会議以降,国際教育協力の潮流は,初 等教育や識字教育といった基礎教育の保障をより重視するものとなっていった。2000 年にダカール(セネガル) で開催された「世界教育フォーラム」では,「万人のための教育」の目標達成にはまだ程遠い実情であることが確 認され,初等教育(無償・義務)の完全普及,成人識字率のさらなる向上,教育における男女格差の解消等,2015 年までに達成すべき 6 つの目標が「ダカール行動の枠組」として掲げられた。

16)2015 年 3 月 8 日付 Ultima Hora 紙の記事 “Ministra de Educación admite fallas en la reforma de los 90”より。 (https://www.ultimahora.com/ministra-educacion-admite-fallas-la-reforma-los-90-n878526.html, 最終閲覧日 2020 年 9

月 26 日)

17)2017 年 6 月 22 日付 5 Días 紙の記事 “Paraguay, entre los que menos paga a maestros” より。

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アイの教員の 3 人にひとりが,教育とは関係のない他の仕事にも従事しているという実態であった。 教職以外に仕事を掛け持ちしなければ生活を維持できないといった状況を解消するためにも,合理 的な給与体系の確立が急務であるが,その大前提として,それを可能とする適正な予算配分や安定 的経済発展が不可欠であることは言うまでもない。

 2017 年には 105 条から成る教育科学省組織基本法(Ley N°5749)が制定され,教育文化省から 教育科学省(Ministerio de Educación y Ciencias /略称は MEC のまま)に名称変更がなされ,今 日に至っている。同法第 5 条・第 51 条・第 53 条では,国際標準に即した学習達成度評価を行う ことにも触れられており,第 40 条には,教育課題の国際的達成目標に照らして国内の教育体制の 改善状況や課題を見極め,統計的記録や専門的文書等を作成するよう記されている18)。ラテンアメ リカ域内および世界レベルでの国際的な学習到達度調査に積極的に参加してきたパラグアイである が,そうすることで自国の教育状況を客観的に確認し,国のよりよい将来に向けて必要な改革を, 世界が直面する教育課題の一担い手として,国際教育協力の下で実現しようとしてきたのである。 おわりに  本稿では,パラグアイの教育状況について,社会調査を含む国際的な学力調査を指標として確認 し,1990 年代以降,そうした状況をいかに改善しようとパラグアイ政府が取り組んできたのかに ついて考察を行った。政府・教育科学省(旧教育文化省)を中心として,様々な改革が展開されて きてはいるが,依然として子どもたちの教育状況はラテンアメリカ域内でも最低水準から脱するに 至っていない。  ラテンアメリカ地域は歴史的に,先住民と移民による複文化社会を構成してきた。パラグアイで は前述の通り,伝統言語としてのグァラニー語と,征服という歴史的事象を通じて定着したスペイ ン語の両方を公用語に定め(1992 年憲法第 140 条),1994 年には,先住民児童のみを対象とするス ペイン語単一教育への移行のための過渡的措置としてではなく,初等教育課程の全児童を対象にス ペイン語とグァラニー語の授業を行う,極めて特異な「バイリンガル教育計画(Plan de Educación Bilingüe)」も導入された。同計画は,国家の教育改革の大きな柱に据えられ,パラグアイ政府は, 2020 年を計画達成目標年と定めている。

 近年では異文化間二言語教育(Educación Bilingüe Intercultural)プログラムとして,非先住民 の子どもたちにも学習の機会を提供すべきであるとの議論も見られるが,ラテンアメリカのバイリ ンガル教育は依然として,先住民集住地区で実施される例が大半である。こうした状況下,異なる ふたつの言語を公用語に定め,国「全域」において住民の多くがそれら 2 言語を自在に使えること を目標とした教育改革に取り組んでいるのは,パラグアイのみである。1996 年に発表した “パラグ アイ 2020” においては,2020 年までに 15 歳から 50 歳までの全国民が,読み書きをはじめ 2 言語 を自在に使いこなせるようになっていることが目標として掲げられた。  本稿では,パラグアイの過去 30 年余りの教育状況の推移と継続的な教育改革の取組について概 観し考察するに留まったが,今後は,より具体的で独自色の強い取組の一例として,1994 年から

18)教育科学省組織基本法の詳細については,以下のパラグアイ国会図書館(Biblioteca y Archivo del Congreso de la Nación) の 公 式 Web ペ ー ジ で 確 認 で き る。(https://www.bacn.gov.py/leyes-paraguayas/5260/establece-la-carta-organica-del-ministerio-de-educacion-y-ciencias, 最終閲覧日 2020 年 9 月 26 日)

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四半世紀を経て 2020 年に節目を迎えたバイリンガル教育プログラムの成果に関し,分析と評価を 行いたいと考えている。パラグアイの教育改革の行方を注視しつつ,多民族・複文化社会における, より民主的で平等な公教育の在り方について,引き続き考察を深めていくこととしたい。 *本稿は,令和元∼ 3 年度科学研究費補助金による「パラグアイの初等教育課程におけるバイリン ガル教育と国民アイデンティティの基盤形成」【基盤研究(C)/課題番号 19K12513】に係る研究 成果の一部である。 引用文献

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Observatorio Educativo Ciudadano 公式 Web ページ

https://observatorio.org.py/, (最終閲覧日 2020 年 9 月 25 日) OREALC/UNESCO Santiago 公式 Web ページ,

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Education Reforms in Paraguay to Achieve a Global

Standard of Learning Outcomes and Quality Improvement

Chizuru U

SHIDA 要  旨  長年にわたりラテンアメリカの最貧国の一つに数えられてきたパラグアイでは,国や社会を豊かに する鍵は教育にあるとして,過去 30 年近くにわたり継続的に教育改革が推進されてきた。1992 年憲 法では永続的な教育権の保障が謳われ,「教育改革の年」と位置づけられた 1994 年以降には,基礎教 育の完全普及を柱とする国際的な教育達成目標や教育協力の潮流の下,カリキュラムの見直しや教員 の待遇改善を含む様々な改革計画が策定され,実行に移されてきた。「戦略的教育改革計画 “パラグ アイ 2020”」(1996 年∼)や「国家教育計画 2024」(2009 年∼)がその代表的取組である。そうした 取組の成果として,教育の量的拡大はある程度達成できたものの,パラグアイが参加してきた国際的 学力調査の結果にも示されているように,質的向上については依然として課題が残る現状にある。

参照

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