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エナメルマトリックス蛋白とリン酸カルシウムとの複合体による骨再生に関する研究

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Academic year: 2021

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エナメルマトリックス蛋白とリン酸カルシウムとの

複合体による骨再生に関する研究

著者

?野 愛実

52

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

歯博第888号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00130042

(2)

- 36 -

論 文 内 容 要 旨

【目的】 生体内において,細胞は周囲の細胞や細胞外マトリックスとの相互作用を介して生命活動を 担っている。そのため,細胞を三次元培養することで得られる球状細胞凝集塊(スフェロイド)は, 組織や器官のビルディングブロックとして注目されており,移植可能な三次元の細胞組織体を生体外 で作製することが再生医療における今後の方向性の一つとして挙げられている。スフェロイド培養は, 平面培養と比較して,より生体内環境に近い状態での培養が可能となり,その組織としての機能が十 分に発揮されることが期待されている。 また,歯原性上皮細胞株であるSF2細胞を三次元培養した場合,平面培養よりもエナメル芽細胞の 分化が大幅に促進し,最終の分化様式である石灰化物形成まで至ることが報告されている。分化の過 程で発現するエナメルマトリックス蛋白の一つであるアメロブラスチンは,骨組織においてもその発 現が確認されている。さらに当分野において,特定条件下で合成したリン酸オクタカルシウム(OCP)は, 新生骨との置換能を持つことが確認されており,骨芽細胞など硬組織由来細胞を活性化する作用を持 つ。また,OCPはエナメル質でも同定され,エナメルマトリックス蛋白と高い親和性を持つことが報 告されている。 そこで,本研究ではSF2細胞とOCP混合することで,より効率的なエナメル芽細胞分化を目的とし てSF2細胞・OCP組織複合体を作製し,エナメル芽細胞分化および骨再生に与える影響についての検 討を行った。 【方法】in vitro試験として,SF2細胞とOCPとの組織複合体を作製し,エナメル芽細胞分化に関して 解析を行った。スフェロイド培養には,当分野で開発した三次元培養器を使用した。in vivo試験として, ラット切歯由来の歯原性上皮細胞であるSF2細胞と当分野で開発した骨再生材料の一つであるOCPを 混合して組織複合体を作製し,マウス頭蓋冠規格化骨欠損部に埋入し,サンプル埋入4週後に頭蓋冠を 氏 名(本籍)   : 伹ただ 野の 愛まな 実み(福島県) 学 位 の 種 類  : 博 士  ( 歯 学 ) 学 位 記 番 号  : 歯 博 第 8 8 8 号 学位授与年月日  : 令和 2 年 3 月 25 日 学位授与の要件  : 学位規則第4条第1項該当 研 究 科 ・ 専 攻  : 東北大学大学院歯学研究科(博士課程)歯科学専攻 学 位 論 文 題 目  : エナメルマトリックス蛋白とリン酸カルシウムとの複合体による骨再生 に関する研究 論 文 審 査 委 員  : (主査)教授 洪     光 教授 鈴 木   治   教授 福 本   敏

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- 37 - 回収して新生骨形成の評価を行った。 【結果】SF2細胞を使用したin vitro試験でのアメロブラスチン発現量は,OCP/SF2で高い発現傾向 を認めた。マウス頭蓋冠規格化骨欠損部において,OCP/SF2群で厚みのある新生骨形成が認められ, 新生骨量は,SF2only群と比較して高かった。 【結論】以上の結果から,OCPと混合することにより,SF2細胞のエナメル芽細胞分化が促進され, 分化の過程で生じたエナメルマトリックス蛋白によって骨形成を認めることが示唆された。今後,新 たな骨再生材料としての応用が期待される。

審 査 結 果 要 旨

細胞を三次元培養することで得られる球状細胞凝集塊(スフェロイド)は組織や器官の再生分野に おいて注目されている。今までのスフェロイド培養技術では生成効率の乏しさ,大きさのコントロー ルの困難さがあったが,三次元細胞培養デバイスの開発により,一度に大量の均一サイズスフェロイ ド形成が可能のみならず,損傷することなくピペッティングのみで回収可能になった。 歯原性上皮細胞株であるSF2細胞は三次元培養によって,骨吸収抑制と骨形成促進作用が期待され るアメロジェニンとアメロブラスチンが発現することが報告されている。しかし,細胞分化の後期に なるとスフェロイドの周囲でアメロジェニンの発現が消失し,内部ではアメロブラスチンの発現が維 持することがわかった。そこで,本研究では三次元培養デバイスを用いてエナメルマトリックス蛋白 と優れた新生骨との置換能を有するリン酸オクタカルシウム(OCP)複合組織体の骨再生治療への応 用を目的に,OCPとSF2細胞を混合し,三次元培養することにより,OCP-SF2細胞複合体がエナメル 芽細胞分化および骨再生に与える影響について,in vitro(エナメル芽細胞分化の解析)およびマウス 頭蓋冠規格化欠損モデルを用いたin vivoで検討を行った。 その結果,in vitroにおいては,アメロブラスチン発見量はSF2+OCP群で高い発見が認められ,同 様にin vivoにおいてもSF2細胞群との比較で厚みのある新生骨形成および高い新生骨量が確認され, 骨再生におけるOCP-SF2細胞複合体の有効性が示唆された。 本研究では,三次元培養によるOCP-SF2細胞複合体の骨再生治療への有用性についてin vitroおよび in vivo検討に基づき明らかにした。本研究は,OCP-SF2細胞複合体の優れた骨再生能を明らかにする ことにより,新たな骨再生材料としてエナメルマトリックス蛋白とリン酸オクタカルシウム複合体の 適用可能性と将来性を示しており,再生医療学の研究領域に学術的貢献をし得ることから 博士(歯学) の学位論文として相応しいと判断する。

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