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超微粒子超硬合金の曲げ強度の計算力学 に基づ く予測法

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素材物性学雑誌 第11 1 13‑22(1998)

超微粒子超硬合金の曲げ強度の計算力学 に基づ く予測法

関 根 英 樹,*片 桐 誠 **

ComputationalEstimationMethodofBendingStrengthof UltraFineGrainedCementedCarbides

by

HidekiSEKINEIandMakotoKATAGIRI

Byuseofamicroscopicfracturemodel,acomputationalestimationmethod ofbendingstrengthofultrafinegrainedcementedcarbideswasdeveloped on thebasisofmicromechanics.A macroscopicbreakageofthecementedcarbides wassupposedtooccurwhenamatrixcrack,whichgeneratedfrom adefectin ultrafinegrainedcementedcarbides,extendedunstably. Inthispaper,ultra finegrainedcementedcarbideswhichcontainedvanadium carbideandchromi um carbidewereexamined,andthen 77Phaseinthem waspaid attention as defects. Inordertoevaluatethestabi1両70rtheextensionofthematrixcrack, Stressintensltyfactorwasintroduced. Aftertheamountofthe771Phasewas relatedtothecarboncontentofultrafinegrainedcementedcarbidesunderthe conceptofmaterialbalance,thebendingstrengthwasestimated. TheestimaL edresultswereingoodagreementwiththeexperimentalones. Theeffectsof thecarboncontentofcarbidesandtheaveragesizeofか‑phaseonthebending strengthwerealsoexamined. Theresultswerepresentedinthefiguresandits applicationtomaterialdesignwasdiscussed.

KeyWords:BendingStrength,UltraFineGrainedCementedCarbide,77Phase, MicroscopicFractureModel,Micromechanics,ComputationalMe chanics,StressIntensltyFactor

平成10421日受付

*東北大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻

〒980‑8579仙台市青葉 区荒巻字青葉01

**秩父小野 田株式会社 中央研究所

〒285‑0802佐倉市大作2‑4‑2

IDepartmentofAeronauticsandSpaceEngineerlng,

TohokuUnlVerSity,01AramaklAzaAoba,Aobaku, Senda1980‑8579

ICentralResearchLaboratory,ChlChlbuOnodaCement CorporatlOn,24‑20saku,Sakura,Chlba285‑0802

13

. 緒言

高融点金属炭化物 と鉄族金属の焼結合金である超硬 合金やサーメ ットは,高硬度や高耐熱性などの優れ た 機械的性質 により,切削工具や耐摩耗部品 として広 く 用い られている。 これ らの焼結合金 は,合金炭素量 の 僅かな変化 によって T7相や e相 あるいは遊離炭素 な どの脆弱な有害相が発生 しやす く,機械的特性 にば ら つ きがで ることが知 られている。特 に岸 化 タングステ

(2)

関根英樹 ・片桐 誠

ン粒子が約0.6〟m以下の,いわゆる超微粒子超硬合 金の場合,原料粉末が酸化 しやす く焼結中に炭素が不 足す るため,77相が発生 し, その結果機械 的特性 に 比較的大 きいば らつ きがで る。 このため,超微粒子超 硬合金の製造 には合金炭素量 を所定の範囲 にす る高度 な技術が要求 され,粉砕や脱脂および焼結 などの工程 でさまざまな工夫がなされて きたLl"2。 しか しなが ら, 合金炭素量 は製品形状や焼結炉内雰囲気,さらには作 業環境 によって も変動を受 けるため,合金炭素量の変 動を完全 に回避す ることは困難である。このことか ら, 曲げ強度 などの品質検査が必要 となるが,曲げ強度 の 測定 には研削などの機械加工 によって曲げ試験用の試 料を作製 しなければな らず,ば らつ きも含めた強度 を 把握す るためには多数の試料 が必要であり,膨大な時 間 と労力を要す ることになる。さらに場合によっては, 製品の状態での超微粒子超硬合金の曲げ強度を把握す

る必要が生ず るが,製品の形状が小 さい場合などで は 測定が不可能 となる。 このよ うな場合 には,超硬合金 の微細組織を観察 し,77相 や遊離炭素 な どの有害相 の分布状態か ら曲げ強度を経験的に推定す る方法が と られるが, このような評価の有効性 には限界 が あ る。

また,超微粒子超硬合金 の合 金炭素量 を 77相 や遊離 炭素が発生 しない限度内でよ り狭 く管理 して比較的高 い曲げ強度を保証す る生産方法が行われ ることもある が,生産性 に劣 るなどの欠点 がある。

セ ラ ミックスや超硬合金 などの脆性材料の強度 と微 構造 との関連 は,Meredithら〔3や 鈴木 ら〔4}な どによ っ て これまで報告がなされてい る。Meredithらは,10‑

20vo1%の気孔を含むアル ミナの曲げ試験を行い,読 料の破断面の詳細な観察か ら破壊源近傍の空隙の分布 を調べた。さらに, これ らの空隙が段階的に連結 す る ときの応力を見積 り,微構造 と破壊強度 とを関連づ け ている。 しか し,最終的に材料が破断に至 った空隙 の 連結 は特定がなされていない。一方,鈴木 らは,超硬 合金の破壊源の詳細な観察 に基づいて,欠陥寸法 と曲 げ強度 との関係式を論理的に導 いている。 しか し,読 料表面近傍 に欠陥が存在す る場合 は,その関係式の結 果 より低強度側 に偏椅す ることになるが,議論か らこ の場合を除外 している。また鈴木 らは,破壊源 とな る 欠陥が材料表面近傍 に分布す る確率が,特 にHIP処理 した超硬合金 はど高 くなっていることについて言及 し ている。超硬合金 は高強度化 や信頼性 を高 め るため,

近年盛んにHIP処理が行われ るがぐ5', これ らの超硬合 金の曲げ強度 については,当然試料表面近傍 に分布 す

る欠陥か らの破断を考慮 しなければな らない。

このような背景か ら本研究では,WC‑CoVCICr3C2

超微粒子超硬合金 の 77相か らの微視的 き裂進展をモデ ル化 し,マイクロメカニクスを基礎 においた計算力学 によって,超微粒子超硬合金の曲げ強度を予測す る方 法を検討 した。 このとき,77相量 を物質収支 に基 づ いて合金炭素量 と関連づ けることにより,曲げ強度 を 合金炭素量か ら予測 で きるよ うに した。 また,WC‑

CoVC‑Cr3C2超微粒子超硬合金 の試料 を作 製 して, 曲げ強度の予測値 と実測値 との比較を行 い,本研究 の 妥当性を確認 した。 さらに,合金炭素量 お よび 77相 の大 きさが曲 げ強度 に及 ぼす影響 につ いて も検討 し た。

Ⅱ. 曲げ強度予測法 の理論 的基礎 1.微視的き裂の生成および進展のモデル

超硬合金の試料を用いて,Fig.1に示すような4 曲げ試験を行 う場合を考える。Fig.1において, 曲 げ 荷重をPとし,試料を完全弾性体 とみなす と, この 荷重Pによって引張側表面か らの距離Xの試料 内部

に生ず る引張応力 は次式で与え られ る。

Ll‑2X

cT= LI CTo ここでLlは試料の高 さである。 (TOは,近 い方 の下支 点か らの距離Zにお け る試料 の引張側表面 の引張応 力であ り,試料の厚 さ,上支点間距離および下支点間 距離をそれぞれ L2, Slおよび S2とすれば,次式 で表

される。

Fig.1 Schematicview of4‑pointbendingtest

(3)

第11 1 (1998) 超微粒子超硬合金の曲げ強度の計算力学 に基づ く予測法

3P(S2‑Sl)

( <] <普) (o<Z<旦 ) 脆性材料 の試料 に曲げ荷重を負荷 したとき,試料 の 巨視的破断 は,一般 に引張応力が生ず る部分 (Fig.1) に存在す る欠陥を起点 として,欠陥周 りのマ トリック スに微視的なき裂が生 じ,そのき裂が不安定進展す る ことで起 こる̀6.。 この微視的な き裂 の起 源 とな る欠 陥 は,超硬合金では,71相 や遊離炭素 の ほか に, ボイ ド,粗大WC,Coプールおよび不純 物 な どで あ る ことが報告 されている̀4"7}。本研究では,以上の これ ま での研究成果を踏 まえて,次のような微視的 き裂の生 成および進展 のモデルを作成 した。

Fig.2は,曲げ試験用の試料の引張応力が生ず る部 Crackindefect

Specimensurface

Fig.2 Tensilestressinaspecimenunderbend‑

ingtestandacrackindefect

(a)Surfacecrack

15

分 に小 さな欠陥が存在 し,負荷 された荷重 によって欠 陥が破断 した状態を表 した模式図である。本研究では, 欠陥 として 77相 を想定 し, その形状 は球形 と した。

また,欠陥の破断 は引張応力の方向に垂直 に欠陥の中 心を通 って欠陥全体 にわたって起 こるとした。欠陥は,

その位置 により,欠陥が試料表面 に現れる場合 (Fig, 3(a))と,試料内部 に存在す る場合 (Fig.3(ち)) があるが,欠陥が試料表面 に現れ る場合 も,球形 の一 部である欠陥が,同様 に破断す ると考えた。欠陥が試 料の稜部 に存在す る可能性 については,JISR1601で は試料 の稜の面取 りを規定 し,稜部の欠陥を排除 して いることか ら,本研究で も試料の稜部 には欠陥が存在 しないとすることにした。以後,試料中に存在す る引張 応力を受 ける欠陥 に通 し番号を付 けることとし,Fig.

2に示 されるように, i番 目の欠陥 の位置 お よび半 径 XりaH その欠陥が受 ける一様 引張応力場 を U乙と す る。

さて,Fig.3に示 した欠陥の破断に対 して,応力拡 大係数を求め,欠陥の破断 に起因 してマ トリックスに 微視的な き裂が生ず るときの安定 ・不安定性を調べよ 。 Fig.4Fig.3(a)の表面欠陥の破断面 を含 む 平面を表 した ものである。表面欠陥が破断 してマ トリッ クスに微視的なき裂が進展す る様相 は,欠陥の位置 に よってFig.4に示すように二つ に分類 で きる。 まず, Fig.4(a)に示すようなXl<alの場合 は,試料表面 か ら最 も深い破断面の先端上 の点A にお ける応力拡 大係数が最大 となるので,欠陥の破断に起因 した微視 的なき裂 は,cTの増加 と共 に,試料表面 か ら最 も深

(b)Intemalcrack Fig.3 Miroscopiccrackindefect

(4)

16

(a)X;<a

関根英樹 ・片桐 誠

S t a b l e ‑ U n s t a b l e

O ) ) a , ≦ 耳

≦2aE,

Flg.4 Crackextensionofsurfacecrack い破断面の先端か ら進展を開始す る。微視的なき裂 が

進展を始めると, き裂の先端 における応力拡大係数 は U zの応力状 態 の もとで, さ らに大 き くな るので, このき裂進展 は不安定的に生 じることになる。

次 に,Fig.4(b)に示すような a乙<̲X.<̲2a乙の場 合 は,試料表面付近の破断面 の先端上 における応力拡 大係数が最 も大 きく,試料表面か ら破断面の先端が遠 くなるにつれて小 さ くな るので,ULの増加 とと もに, 試料表面付近 の破 断面 の先端 か ら応力拡大係数 がマ

トリックスの限界応力拡大係数KICMと等 しくな り微 視的 き裂 は安定的に進展す る。 この とき最終 的 には, Fig.4(b)の右図の よ うに, マ トリックス中 に進展

した微視的 き裂 は,その先端の全てで応力拡大係数 が マ トリックスの限界応力拡大係数KICMに等 しくな り, このときき裂の形状 は半径Xの半 円形 と近似で きる。

さらにUlが増加す ると,その荷重状態で, この半 円 形 き裂 は不安定的に放射状 に進展 し,試料は破断する。

Fig.5Fig.3(b)の内部欠陥 の破 断面 を含 む平 面を表 した ものである。試料表面か ら最 も遠 い破断面 の先端上 の点 A および最 も近 い破断面 の先端上 の点 Bにおける応力拡大係数をそれぞれKIA,KIBとす る と,常 にKIA<KIBであるので,a.が増加す ると試料 表面 に近 い部分の破断面 の先端の応力拡大係数がマ ト

リックスの限界応力拡大係数 と等 しくな り,マ トリッ クス中に微視的な き裂が進展す る。特 に,内部欠陥が 試料表面 ごく近 くに存在す る場合 には,破断面 の先端 上の点 Bか らの微視的 な き裂 の進展が試料表面 に到 達 した後 に,微視的なき裂 はFig.4(b)の a己≦XZ<̲ 2alの場合 と同様の過程を経て,Fig.5の右図 の よ う に,先端の全てで応力拡大係数がマ トリックスの限界 応力拡大係数KICMに等 しい半円形 にな るまで安定的 に進展す る。 さらにULが増加 す ると,半 円形 き裂 は 不安定的に放射状 に進展 し,試料 は破断す る。内部欠 陥の破断面か らの微視的なき裂の進展の安定 ・不安定

Fig.5 Crackextensionofinternalcrack

(5)

11 1 (1998) 超微粒子超硬合金の曲げ強度の計算力学 に基づ く予測法

性 を,Fig.6を用 いて さ らに詳 しく説明 しよ う。Fig.

6は,UZ1GPa,内部欠陥の直径2aL40〟mの と きの内部欠陥 の破断面 の先端 で の応 力拡 大係数KI。 ,

KIBお よび半径Xlの半 円形 き裂 の き裂 先 端 で の応 力 拡大係数KI'Aと,破断面 の位置Xlとの関係 を示 した ものであ る。Flg.6か らわか るよ うに,破断面 の位 置

Xl2al<Xl<̲Xz'の場合 は,KIl<̲KIBで あ るか ら,微視的な き裂 は前述 したよ うに安 定 的 に進 展 し, 最終的 に半 円形 の形状 に到達す る。 ここに,Xl事は次 式 を満足す る破断面 の位置であ る。

KI'A‑ KIB (3) さらに cTzが増加す ると,XLと共 にKI。は増 大 す るの で,半 円形 き裂 は不安定的 に進展 し,試料 は破断する。

一方,破断面 の位置がXl>XJの場 合 は,Kl'A>KIB

であ るか ら,微視的な き裂 の進展が は じめか ら不安 定 的 に起 こり書式料 は破断す る。

以上 の議論 よ り,曲げ強度 を算出す るのに必要 な応 力拡大係数KIIは,次式 によって与 え られ る。

KI己‑

N、‑ult:dWJVTx'3'x'"x'slO)I,tZJL71SuaJuTSSaJ)S

蓋 UL (xl<al)

uE (al<‑Xl<‑Xl (4)

:lJlJ

E(0)Ul妄言丁 (xE>X乙)

J,=tGPall KIA'

2a=40岬 ーIl

20 40 60 80

Crackdepth,X./岬 I

Fig.6 StressintensltyfactorsagalnStCrack depth

17

ここで,h‑ (11b2/aP)y2であ る。E (h)は第二 種 の 完全楕円積分であ り,MAおよびMeBは文献 r8':9を参照

されたい。

2. ¶柏量の算出

超硬合金 の合金炭素量 と 77相量 の関係 を物質 収支 に基づいて求 め ることを考 え る。本研究で取 り扱 う超 硬合金 の成分系 は,基本的な超微粒子超硬合金であ る WCIColVC‑Cr3C2で あ る。VCお よびCr3C2はWC の粒成長抑制効果が大 き く, これ らの炭化物 の添加 は 超硬合金 の微粒組織 や均粒組織 を得 る方法 と して応用 されている。VCを粒 成 長抑 制剤 と して用 い る場 合, その添加量 は焼結温度 における溶解度程度が最 も効果 的 とされ るqα。 この超硬 合金 の成 分 系 で は,VCお よ CrC2はCo相 やWC相 に固溶す るため,超 硬 合金 の微細組織 はWC相 とCo相 で あ り,VCお よびCr3 C2相 などの第 3相 は晶 出 しな い。 しか し, 本研究 で

は超硬合金 の組成か ら,WC,Co,VCお よ びCr3C2 の各相がそれぞれ生 じる もの と して,77相量 を算 出 した。

超硬合金中の金属炭化物の生成化学式 は次 のよ うに 表せ る。

W

+ C ‑

WC

V +C‑ VC 3Cr+2C‑ Cr3C2

(5)

また,77相 は,系の炭素量が過少, す なわ ちW量 が 過剰 の とき晶出 し,その生成化学式 は次 のよ うに表 せ

る。

3W+3CoC‑ (W。Co3)C (6) ここで,(W3Co)Cは 77相 であ る。

いま,超硬合金 の元素組成S(mol/mol) お よび超 硬合金 の構成相組成R(mol/mol) を,それぞれ マ ト

リックスで表す と

St(SwScoScSvSc,) (7)

Ri(RwcRcoRvcRcr。C3Rか) (8)

Ⅴ およびCrの炭化物 の生成 自由 エ ネルギ ー はW それよ り小 さいqLlことか ら,Ⅴ およびCrはすべてVC およびCrC2とな るもの とした。 さ らに, 超 硬合金 ,CoWを固溶す ることによ り,77相 の晶出に対 す る緩衝能が知 られている03。本 研究 で は, この緩 衝 能 を,式 (7)で表 された元素組成 Sで,Wが過剰 の時 WCoに対 し最大pw(mol/mol) だ け固溶 で き

(6)

関根英樹 ・片桐 誠

るもの とした。

以上の こか ら,超 物質支 は,式 (5)お よび式 (6)成化学式 ,に表す こ とがる。

1Pw0 O3 010 03 101 2 1 001 00 000 30

R Wc R co R vc

Rc,C3

R ・

式 (9)を用ば超硬合金成 お量 から各 相量 を算出で きる。なお,Pw, 77の出現 す る超硬合金 の炭素量のめ た。

Ⅲ. げ強度 の実結果

曲げ強度 の実験 に は,WC‑8mass%C0‑0.4mass%

VC‑0.5mass%Cr3C2の組成 の超微 粒子超 硬合金 を用 いた。WC,Co,VCおよびCr3C2の粒度 は, それ ぞ れ約0.6〝m,1.OJJm,2.5〟mお よび2.0〃mで あ る。

これ らの粉末 を湿式 ボール ミル粉 砕 によ る粉砕混 合, 噴霧乾燥, プ レス成形 を経 て,1723K,60minの真空 焼 結 を行 った後 , さ らに100MPaのAr気 流 中 で 1623K,60minHIP処理 を行 い超硬 合金 を作製 し た。炭化物 中の炭素 に換算 した超硬合金 の合金炭素 量 (C/carbide,CT) は,原料 に タ ングステ ン粉 あ るい はカーボ ンブラックを添加す ることによ り,6.Omass

%か ら6.3mass%に調整 した。合金炭素量 は,超硬 合 金 を粉砕 し燃焼法 によって測定 した。

得 られた超硬合金 を研削加工す ることによ り曲げ試 験用 の試料 を作製 し,JISR1601に したが って4点 曲 げ試験 を実施 し,曲げ強度 を測定 した。 また,光学 顕 微鏡 および走査型電子顕微鏡 (SEM)を用 いて,曲 げ 試験後 の試料 の破壊源の観察や,試料 に分布す る り相 の粒度 の測定 を行 ったoさ らに,77相を含 まないWC‑

Co2相 か らな る予 き裂 の あ る試料 につ いて,JIS R1607によ った曲げ試験 を行 い破壊靭性値 を測定 した。

JISR1601に したが って測定 した曲 げ強度 をFig.7 に 。で示 した。曲 げ強度 cTbは,合 金炭素量CTの減 少 とともに減少す る傾向が認 め られた。Fig.8は合金 炭素量 が6.02mass%である超 硬合 金 の破断面 のSE M写真で ある。矢印で示 した破壊 源 で あ る 77相 の周 辺 には,77相 を中心 と した半 円形 の ミラーゾー ンが観 察 され,その外 には ミス トゾー ンおよびハ ックルゾー

321

I:dDJ.uaDSBuTPtIm

600 605 610 615

Carboncontentofcarbide,CT(mass%) Fig.7 Experimentalandestimatedbending

strengths

Fig.8 FracturesurfaceandfractureoriglnOf anultrafine一grainedcementedcarbide

ンがあ り,典型的な脆性材料 の破断面 の状況 を呈 して い る77相 はマ トリックスに比べ脆弱であ る ことが知 られてお り,その破断面 は,WC‑Coの2相 か らな る マ トリックスの破断面 と較べ ると,比較的平滑である

Fig.9は,種 々の合金炭素量 の超硬合金 の研磨面 お よび破断面 の観察 によ り,77相 の投影面積か ら求 めた 平均粒度Dqと合金炭素量CTとの関係 を調 べ た結 果 である。本研究で用 いた超硬合金 は,合金炭素量が約 6.15mass%以下で 77相 が出現 し,その 叩相 の平均 粒

(7)

11 1 (1998) 超微粒子超硬合金の曲げ強度の計算力学 に基づ く予測法

0000432tlYjJhG'aSqdLlJ022TSt!12^V

600 605 610 615

C∬bon00ntent,Cr(mass%)

Fig.9 Relationshipbetweenaveragesizeof

phaseandcarboncontentofultra fine一 grainedcementedcarbides

19

度 は合金炭素量 の減少 とともに増大す る傾向が認め ら れた。

さ らに,77相 を含 ま な いWC‑Co試 料 につ いて , JISR1607によった曲げ試験を行 い破壊靭性値 を測定

した結果,破壊靭性値 は12.OMPa・my2と得 られ た。

この値を,曲げ強度の予測 に必要 なマ トリックスの限 界応力拡大係数KICM と して用 いた。

Ⅳ. 曲げ強度予測法および予測結果ならびに考察 曲げ強度 はFig.10のフローチャー トに示 した手順 で 算出す る。まず,合金炭素量CTを与え,式(9)を用 い ,77相 のモル含有率 Rかを求 め る。 ここで,Pwは 77相の出現 した合金炭素量か らPw‑0.05(mol/mol) とす る。次 に,77相の平均粒径DガはFig.9の回帰線

Fig.10 Flow chartofcomputationalestimationmethodofbendingstrength

(8)

20 関根英樹 ・片桐 誠

か ら求 め,その粒度分布 は実測結果 を参照 して,粒 径 dを 0か ら2Dガまで の三 角形 分布 と し,粒度 分布 の ]盲点をDTとす る. この とき,T?相 の累積粒度分布 関 p(d)は次式 で表す ことがで きる。

p(d) d2

2T) (0≦d<D)

(d‑2鋸 2+1 (D叩<‑d<‑2Dn, 11Ll 続 いて,JISR1601に規定 され る3mm x4mm X 40mmの試料 を考 え, 曲 げ荷重 の負荷 に よ って試 料 内に引張応力が生ず る部分 (Fig.1) に,一 様乱数 を 用 いて,式(10)の累積 粒 度分布 に したが うよ うな粒 径 の 77相 を,77相 の含有率 になるまで分 布 させ,計算 試料 モデルを作成す る。 また, この計算試料 モデ ル内 の各 77相 について曲 げ強度 を予 測 す るの に必 要 な応 力拡大係数KIlを式(4)を用 いて計算す る。

次 に,各 か相 に対応す る曲げ強度Ubzを計 算 す るo i番 目の T?相 に起 因 して試料 が破 断す る条件 は, 77 相問の相互作用 を無視す ると次式で 与え られ る。

KIl‑ KICM (ll) 従 って, Cblは次式 によって与 え られ るo

(i) <‑Z< に存在す るとき,

KICM Li MAVrTY /E(h)Ll2XZ

KICM Li (XE<a己)

(aZ≦X≦XL IJ・=

KICM L1

(Xz>X:) LlZl

(ii)り相 が0<Z<旦二旦 に存在す るとき, 2

(T̲T

KICM LI S2‑SI MAVrq /E(h) Ll‑ 2X 2Z

(Xl<al) KICM LI S2‑SI

MAiY /E(0) Ll‑ 2X1 2Z

(aL<̲XL<̲XZ') KICM LI S2‑Sl MeB√蒜:/E(0)Ll‑ 2XJ 4a1 2Z

(X>X乙

試料 の巨視的破断 は,荷重 を増 加 させ て い った時, 最初 に不安定的にき裂進展をす る と きに生 ず るので, 試料 の曲げ強度 ubは,77相 の総数 N について の最 小 の UbLによ って与 え られ る。すなわち,

ob‑min(ub1,CTb2,.,C,blV) (14) 各合金炭素量 に対 して1000個 の計算試料 モデルを作製

して曲 げ強度 を算 出 し,得 られた値の平均値 を曲 げ強 度 の予測値 Upbと した。

このよ うな手順で計算 した曲 げ強度 の予 測値 Ob Fig.7に実線で示 した。 また,計算 した曲 げ強度 の予 測値 および標準偏差 Uubのい くつかの例 をTablelに 示 した。Fig.7か らわか るように, 合金 炭素 量CTの 減少 とともに, 曲 げ強度 の予 測値 ObCTが約6.10 mass%まで は, 比較 的急激 に減 少 し,CTが約6.10 mass%以下で は, しだいに緩 やか に減 少 す る傾 向 が み られ る。実測値 と比較す ると,CT‑6.04mass% お よびCT‑6.11mass%の試料 で は, 予 測 した曲 げ強 度 は実測値 よ りやや低 い。 しか し, これ らの試料 の実 測値 の うちで予測値 と最 も偏差 の大 きい値 は,それ ぞ Oa+2・7(7ubおよび6b+ 2・2gubと表す ことがで き, 確率的 に十分 に測定 され得 る値であ ることを示 してい

Table1 Resultsofcomputationalestimationofbendingstrength

Carboncontentofcarbide,CT(maSS%) 6.00 6.05 0 .10 6.15 Estimatedaveragebendingstrength,6b/GPa 1.12 1.54 2.15 3.36 Standarddeviationofestimatedbendingstrength,Uub/GPa 0.17 0.16 0.22 0.20 Averagesizeof77‑phase,D/〃m 50 24 12 5 Volumefractionof77‑Phase,Vか(VO1%) 4.78 3.23 1.66 0.09

Tabl e1 Re s ul t sofc omput at i onale s t i mat i onofbe ndi ngs t r e ngt h

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