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Academic year: 2021

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学位授与番号:乙3091号 氏 名:伏谷 直

学位の種類:博士(医学)

学位授与日付:平成 26 年 4 月 23 日

学位論文名:

肝細胞癌患者における経口テガフール / ウラシルの治療効果に影響を及ぼす酵素 の遺伝子多型

主論文名:

Genetic polymorphisms of enzymes related to oral tegafur/uracil therapeutic efficacy in patients with hepatocellular carcinoma.

(肝細胞癌患者における経口テガフール / ウラシルの治療効果に影響を及ぼす酵 素の遺伝子多型)

学位審査委員長:教授 松浦知和

学位審査委員:教授 山田尚 教授 相澤良夫

東京慈恵会医科 大学 電子署名者 : 東京慈恵会医科大学 DN : cn=東京慈恵会医科大学, o, ou, [email protected], c=JP 日付 : 2016.01.26 17:02:48 +09'00'

(2)
(3)

1

論文審査の結果の要旨

伏谷直氏の学位請求論文は主論文

1

編からなり、主論文の原題は「

Genetic polymorphisms of enzymes related to oral tegafur/uracil therapeutic efficacy in patients with hepatocellular carcinoma

」、日本語原題は「肝細胞癌患者における経口テガフール/ウラ シルの治療効果に影響を及ぼす酵素の遺伝子多型」であり、

2013

年に

ANTI-CANCER

DRUGS

誌に発表された。以下、論文要旨と審査委員会における審査結果を記載する。

背景

経口

5-FU

治療は進行肝細胞癌患者

(HCC)

に適応があり、単剤で使用されることが多い。し かしながら、その治療効果と

5-FU

代謝関連酵素がどのように関連しているかは明らかでは ない。我々は日本人の肝細胞癌患者の

5-FU

代謝関連酵素の遺伝子多型を調査した。

方法

我々は

58

人の

C

型肝炎ウイルス陽性の肝細胞癌患者の

P450 2A6(CYP2A6)

とジヒドロピ リミジン脱水素酵素

(DPD)

2

つの遺伝子多型に関して調べた。有効性の指標として、チミ ジル酸合成酵素

(TS)

の翻訳効率

(VNTR)

の遺伝子多型を調べ、高または低発現かを遺伝子型 で分けた。

結果

58

例の

HCC

患者中

CYP2A6*4(

遺伝子欠損型

)

の対立遺伝子頻度は

0.233

で、ホモ接合遺 伝子型

(4*4*)

5

例に見つかった。

DPYD*9(T85C)

のヘテロ接合遺伝子型

(T/C)

8

例で

DPYD*9

の対立遺伝子頻度は

0.069

であった。

58

例中、

TS

翻訳効率が

42

例は高値群で

16

例が低値群に分けられた。この

16

例のうちの

15

例は正常の

CYP2A6

の代謝活性を持 ち、さらにこの

15

例のうちの

13

例は正常の

DPD

活性を持っていた。

結論

肝細胞癌患者

58

例が

5-FU

で治療したとすると、

13

(22.4

)

だけに治療効果を認める可 能性があるということになる。それゆえ、

HCC

患者に経口

5-FU

治療を開始するときは

5-FU

代謝関連酵素である

3

つの遺伝子多型

(CYP2A6, DPYD, TS)

を考慮することが重要で ある。

学位審査委員会は

2014

4

9

日、相澤良夫教授と山田尚教授のご臨席のもとに公開で 行われた。席上以下の質問があり、伏谷氏はこれらの質問に的確に回答した。

質問1.肝細胞癌(

HCC

)への経口化学療法はほとんど効果がないと考えられているが、

あえて経口

5-FU

療法に関する臨床研究を試みたのか?

- 本研究を行ったのは、自身が受け持った

HCC

患者で著効例を経験し、興味を持ったた

めである。まだ臨床治療への応用は行っていない。今後、臨床研究を進めたい。

(4)

2

質問2.C 型肝炎症例あるいは健常者でも、CYP2A6, DPD, TS の

genomic variation

は同 じと考えるが、なぜ、HCC を発症した患者のみを対象として検討したのか?

5-FU

による

HCC

患者への実際の治療報告がほとんどないので、日本の

HCC

患者で検 討してみた。

質問3.肝硬変患者が多いと思うが、肝機能が悪化している例では、

5-FU

の効果に代謝酵 素の遺伝子多型による影響は少ないのではないか?

- その可能性はあるが、

5-FU

TS-1

よりは安全性が高く、治療前に代謝動態が推定でき れば、肝機能の悪い患者にも安全な治療を行える。また、効く可能性のない治療は回避で きる。

質問4.

CYP2A6

では、

80

%が

5-FU

metabolizer

である。したがって、

DPD

の方が代 謝への意義は大きいのではないか?

TS-1

の開発の経緯からも、その可能性は高い。しかし、

5-FU

の主な

3

つの代謝過程を あわせて評価し、ウラシルの効果予測をした検討はない。

質問5.代謝回転の速い癌細胞が

TS

を高発現している。したがって、肝臓癌自体の

TS

活 性をみることのほうが、臨床的に意義があるのではないか?

- 腫瘍や肝臓自体の

TS

活性を測定できれば意義がある。

質問6.大腸がん症例の報告でよいが、

3

要素のいずれかが関与した副作用報告はあるか?

- 認めていない。

質問7.

TS

遺伝子プロモーター領域の反復配列が

TS

発現と関連があるとのことであるが、

その関連は明確になっているか?

- その詳細は明確ではない。

コメント:

HCC

に対する

5-FU

の治療効果を推定するために、

5-FU

代謝のキーとなる

3

つの酵素遺伝子の

polymorphism

に関して、総合的に検討した論文である。臨床的検討か ら、約

20

%の患者には効果が期待できることが判明した。個々の患者について薬物効果を 事前に予測し、治療法を選択することには大変意義があり、今後のテーラーメード治療の 実用化をめざす貴重な臨床研究である。

その後、学位審査委員会は慎重審議の結果、本論文を学位審査論文として十分価値ある

ものとして認めた次第である。

参照

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