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Academic year: 2021

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(1)

学位授与番号:甲1013号 氏 名:土橋 映仁

学位の種類:博士(医学)

学位授与日付:平成 28 年 3 月 23 日

学位論文名:

節外性 NK/T 細胞リンパ腫、鼻型では BCOR 遺伝子の機能喪失型変異を高頻度 に認める

主論文名:

Frequent BCOR aberrations in extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type.

(節外性 NK/T 細胞リンパ腫、鼻型では BCOR 遺伝子の機能喪失型変異を高頻度 に認める)

学位審査委員長:教授 大橋十也

学位審査委員:教授 吉田清嗣 教授 海渡健

東京慈恵会医 科大学 電子署名者 : 東京慈恵会医科大学 DN : cn=東京慈恵会医科大学, o, ou, [email protected], c=JP 日付 : 2017.02.20 11:46:58 +09'00'

(2)

論 文 要 旨

論 文 提 出 者 名 土橋 映仁 指導教授名 池上 雅博 教授

主 論 文 題 名

Frequent BCOR aberrations in extranodal NK/T-cell lymphoma, nasal type. (節外性 NK/T 細胞リンパ腫,鼻型では BCOR 遺伝子の機能喪失型変異を高頻度に認め る) Genes, chromosomes & cancer.

主 論 文 要 旨

近年,節外性 NK/T 細胞リンパ腫,鼻型(ENKTL)において, JAK-STAT 経 路に変異が多数みられるという複数の報告があり,病因・治療の両面から注 目を集めている.しかし, JAK-STAT 経路の変異頻度は低く,さらに報告によ って頻度にばらつきがある.したがって,ENKTL の多くの症例で病因となり うる遺伝子変異が解明されていないこととなる.

そこで,これまでに様々ながん種で報告のある 602 種のがん関連遺伝子の ターゲットキャプチャープローブを作成し, ENKTL 25 例について,ターゲッ トキャプチャーシーケンシングを行った. 25 例のうち 11 例については,正常 部サンプルを対照におき体細胞変異を抽出した.これらを用いて, BCOR

( 32% ) , TP53 ( 16% ) , DDX3X ( 12% ), FAT4 ( 8% ) , NRAS ( 8% ), MLL3 ( 12% ) , MIR17HG ( 8% )にリカレント変異を同定した.最も多くの症例で認められた BCOR 遺伝子変異は機能喪失型で, 8 例( 32% )の内訳はナンセンス変異 1 例,

フレームシフト変異 5 例,スプライシングエラーを引き起こす変異 1 例,遺 伝子欠失1例であった.

さらに,これまでに公開された論文のレビューと,公共データベースに登 録されている ENKTL 症例シークエンスデータの再解析を行った.興味深いこ とに,造血器系腫瘍における BCOR 遺伝子の変異は,骨髄系腫瘍には稀なら ず認められたが,リンパ腫においては ENKTL に高度に特異的であった.また,

独自のパイプラインを用いた再解析の結果, ENKTL において BCOR 遺伝子の 変異は 113 例中 24 例(21.2%)と,最も多く認められた.

ENKTL において, BCOR 遺伝子が特異的かつ高頻度に機能喪失型変異を生

じていることを明らかにした.病因論的に,がん抑制遺伝子として重要な役

割を果たしている可能性が考えられる.

(3)

論文審査の結果の要旨

土橋映仁氏の学位申請論文は主論文 1編からなり、タイトルは「F r e q u e n t BCOR a b e r r a t i o n s i n e x t r a n o d a l N K / T - c e l l l y m p h o m a , n a s a l t y p e . 」 、日本語では

「節外性 N K / T細胞リンパ腫,鼻型では BCOR 遺伝子の機能喪失型変異を高頻度 に認める」と題され、2 0 1 6年に G e n e s , c h r o m os o m e s & c a n c e r 誌に発表された。

同誌のインパクトファクターは 2 0 1 4年で 4 . 04 1である。以下、学位申請論文の 要旨と審査委員会における審査結果を記載する。

近年,節外性N K / T 細胞リンパ腫,鼻型(E N K T L)において,J A K - S T A T 経路に変 異が多数みられるという複数の報告があり,病因・治療の両面から注目を集め ている.しかし,J A K - S T A T 経路の変異頻度は低く,さらに報告によって頻度に ばらつきがある.したがって,E N K T L の多くの症例で病因となりうる遺伝子変異 が解明されていないこととなる.

そこで,土橋氏は、これまでに様々ながん種で報告のある6 0 2 種のがん関連遺 伝子のターゲットキャプチャープローブを作成し,E N K T L 2 5 例について,ター ゲットキャプチャーシーケンシングを行った.2 5 例のうち1 1 例については,正 常部サンプルを対照におき体細胞変異を抽出した.結果として, BCOR (32%),

TP53 (1 6 % ), DDX3X (1 2 % ), FAT4 (8 % ), NRAS (8 % ), MLL3 (1 2 % ), MIR17HG

(8 % )にリカレント変異を同定した.最も多くの症例で認められた BCOR 遺伝子 変異は機能喪失型で,8 例(3 2 % )の内訳はナンセンス変異1 例,フレームシフト 変異5 例,スプライシングエラーを引き起こす変異1 例,遺伝子欠失1例であっ た.

さらに,土橋氏は、これまでに公開された論文のレビューと,公共データベ ースに登録されているE N K T L 症例シークエンスデータの再解析を行った.興味深 いことに,造血器系腫瘍における BCOR 遺伝子の変異は,骨髄系腫瘍には稀なら ず認められたが,リンパ腫においてはE N K T L に高度に特異的であった.また,独 自のパイプラインを用いた再解析の結果,E N K T L において BCOR 遺伝子の変異は 1 1 3 例中2 4 例(2 1 . 2 % )と,最も多く認められた.

以上より、E N K T Lにおいて, BCOR 遺伝子が特異的かつ高頻度に機能喪失型変異 を生じていることを明らかにし、病因論的に,がん抑制遺伝子として重要な役 割を果たしている可能性が考えられると結論した.

平成 2 8年 3月 16日、吉田清嗣、海渡健両審査委員出席のもとに公開学位審査 会を開催し、土橋氏による研究概要の発表に続いて、口頭試験を実施した。試 験では以下のような質問があった。

(1)何故今回 E N K T Lに着目したのか?(2)E N K T Lの初発症状、転移先はどこ

か?(3)E B Vと発癌との関係は何か?(4)J A K / S T A T p a t h w a yの活性化と B C O R

の変異との機能的関係は何か?(5)B C O Rの変異は d r i v e r変異か p a s s e n g er変

異か?(6)今回のデータでは機能解析などがないので B C O Rが癌抑制遺伝子と

は言えないのではないか?(7)D D X 3 X変異との B C O R変異の関係は何か?(8)

(4)

本研究で元も新規性のはる結論は何か?(9)B C O Rの変異が多いとしているが、

その統計学的根拠な何か?(10)E B V関連腫瘍の B C O R変異を解析したか?(1 1)癌抑制遺伝子とした根拠はなにか?(12)今後の研究の方針は何か?(1 3)ホールゲノム解析をした方が情報が得られるのではないか?(14)染色 体の大きな欠質などはなかったか?

上記質問に対して土橋氏は適切に回答した。

その後、吉田、海渡両教授と慎重に審議した結果、今回の研究は E N K T Lにおけ

る分子基盤を明らかにし将来の治療法の開発に繋がる重要な研究であり、学位

を授与するに値する研究であると結論した。

参照

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